特許第6223335号(P6223335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー.の特許一覧

特許6223335駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車
<>
  • 特許6223335-駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車 図000002
  • 特許6223335-駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車 図000003
  • 特許6223335-駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車 図000004
  • 特許6223335-駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車 図000005
  • 特許6223335-駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車 図000006
  • 特許6223335-駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車 図000007
  • 特許6223335-駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223335
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】駆動ユニットを有する調節装置、該調節装置を有する空気吸入口、このような空気吸入口を有する自動車
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20171023BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B60K11/04 J
   F16H1/32 A
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-521585(P2014-521585)
(86)(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公表番号】特表2014-523833(P2014-523833A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】NL2012050524
(87)【国際公開番号】WO2013012337
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】2007162
(32)【優先日】2011年7月21日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】510126416
【氏名又は名称】エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・アレクサンダー・ジョージ・グスタヴォ・ブーム
(72)【発明者】
【氏名】エリック・アルフレッド・シメオン・ドゥ・フリース
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・フリッツ・ブロウワー
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−201439(JP,A)
【文献】 特開昭64−018744(JP,A)
【文献】 実開平02−029345(JP,U)
【文献】 米国特許第04926921(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
F16H 1/32
B60R 19/52
B60R 19/48
F01P 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、空気吸入口が開放する第1位置と、前記空気吸入口が閉鎖される第2位置と、の間で自動車のエンジン区画の前記空気吸入口を調節するための調節装置であって、
少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で前記空気吸入口を調節するための駆動ユニットを備え、
前記駆動ユニットが複合式駆動システムを備え、
前記複合式駆動システムが、1つの入力ギアと、メイン軸線周りに延在した少なくとも2つの出力ギアと、を有し、
前記出力ギアのうちの1つが、固定地点に取り外し可能に接続されており、前記出力ギアの他の1つが、ブロックされていないことを特徴とする調節装置。
【請求項2】
前記複合式駆動システムは、ハーモニック駆動システムから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の調節装置。
【請求項3】
前記複合式駆動システムは、サイクロイド駆動システムから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の調節装置。
【請求項4】
前記複合式駆動システムは、遊星ギアシステムから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の調節装置。
【請求項5】
リングギアが、前記固定地点と取り外し可能または取り外し不可能に接続された前記出力ギアを形成していることを特徴とする請求項4に記載の調節装置。
【請求項6】
サイド軸線上に位置付けられたサイドギアが、前記メイン軸線上に位置付けられている太陽ギアを駆動することを特徴とする請求項4または5に記載の調節装置。
【請求項7】
少なくとも、空気吸入口が開放する第1位置と、前記空気吸入口が閉鎖される第2位置と、の間で自動車のエンジン区画の前記空気吸入口を調節するための調節装置であって、
少なくとも前記第1位置と前記第2位置との間で前記空気吸入口を調節するための駆動ユニットを備え、
前記駆動ユニットが遊星ギアシステムから形成された複合式駆動システムを備え、
前記複合式駆動システムが、1つの入力ギアと、少なくとも2つの出力ギアと、を有し、
前記出力ギアのうちの1つが、固定地点に取り外し可能または取り外し不可能に接続されており、前記出力ギアの他の1つが、ブロックされておらず、
リングギアが、固定地点と取り外し可能または取り外し不可能に接続された前記出力ギアを形成していることを特徴とする調節装置。
【請求項8】
前記固定地点に接続された前記出力ギアが、前記固定地点と取り外し可能に接続されており、エネルギー貯蔵要素の付勢を受けることを特徴とする請求項7に記載の調節装置。
【請求項9】
前記入力ギア及び前記少なくとも2つの出力ギアが、メイン軸線周りに延在していることを特徴とする請求項7または8に記載の調節装置。
【請求項10】
前記駆動ユニットは、前記メイン軸線から所定距離で且つ前記メイン軸線と平行に延在したサイド軸線をさらに備えていることを特徴とする請求項1から6及び9のいずれか1項に記載の調節装置。
【請求項11】
前記駆動ユニットには、第1シャフトと、該第1シャフトから所定距離で且つ前記第1シャフトと平行な第2シャフトと、が設けられており、
前記複合式駆動システムは、前記第1シャフトに沿って延在するか、または前記第2シャフトに沿って延在していることを特徴とする請求項1から6、9及び10のいずれか一項に記載の調節装置。
【請求項12】
入力ギアが偏心出力部を有していることを特徴とする請求項1から6及び9から11のいずれか一項に記載の調節装置。
【請求項13】
空気吸入口の調節要素の位置を直接的または間接的に決定するための位置決定器をさらに備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の調節装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の調節装置が設けられた空気吸入口。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の調節装置を有する空気吸入口が設けられた自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジン区画の空気吸入口を調節するための調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車には、1つ以上の空気吸入開口部を備えた空気吸入口が設けられている。空気吸入口は、通常、稼働中の自動車のエンジンを冷却するために用いられる。通常、空気吸入口は、自動車の前方部においてエンジンの前方に設置されている。通常、エンジンは、冷却水、例えば水またはオイルにより冷却することができる。この冷却水は、熱交換器内、例えばラジエータ内で空気で冷却される。空気吸入口を通って流れる空気は、自動車のエンジンにおけるエンジン区画のラジエータへ全体的または部分的に案内されて、冷却水を介して間接的にエンジンを冷却する。空気吸入口を開放位置と閉鎖位置との間で調節することが可能である、調節可能な構造のエンジン区画の空気吸入口を形成することが公知である。このために、空気吸入口には、調節部材、例として、調節することができる、例えば直立または横軸回りに回動できる薄板が設けられている。
【0003】
空気吸入口の閉鎖位置では、車両の空気抵抗が下げられ、このことは、エンジンの燃費に対して有効である。さらに、エンジンの効率、燃費及び二酸化炭素排出量に関し、自動車のエンジンは最適な稼働温度を有しており、この最適な稼働温度は、通常、大気温度よりも高い。そして、閉鎖された空気吸入口は、エンジンが低温である場合にも、燃費に対して有効である。また、空気吸入口を開放させて運転する間に、エンジンの温度は、最適な稼働温度以下まで下がることがあり、このため、燃費が増大する可能性がある。最適な稼働温度より高い稼働温度でも、エンジンの燃費が増大する可能性がある。
【0004】
従って、調節可能な構造の空気吸入開口部を形成することは有利である。このために、空気吸入口は、通常、駆動ユニットを備えた調節装置と結合されている。駆動ユニットを用いて、空気吸入口は、閉鎖及び開放することができる。空気吸入口が閉鎖された場合、エンジンの稼働温度が高温まで急激に上がったときに、空気吸入口は、十分な冷却を提供するために再び開放することができる。
【0005】
公知の調節装置、例えば特許文献1に開示される調節装置は、通常、複雑な駆動ユニットを備えている。このような駆動ユニットの欠点は、それらが比較的メンテナンスを必要とする傾向があり且つ比較的短い耐用期間を有することである。また、このような複雑な駆動ユニットは、通常、比較的重く、大きく且つ故障しやすく、且つ/または不十分な出力を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4926921号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】P.W. Jensen、“Raumbedarf und Wirkungsgrad zusammengesetzter Planetenradergetriebe”、Konstruktion 21、Heft 5、1969
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した欠点の少なくとも1つを解消する調節装置を利用可能にすることである。このために、本発明は、少なくとも、空気吸入口がほぼ開放する第1位置と、空気吸入口がほぼ閉鎖される第2位置と、の間で自動車のエンジン区画の空気吸入口を調節するための調節装置であって、少なくとも第1位置と第2位置との間で空気吸入口を調節するための駆動ユニットを備え、駆動ユニットが複合式駆動システムを備えている、調節装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
複合式駆動システムを備えた駆動ユニットを設けることによって、駆動ユニットは、比較的コンパクト、従って比較的低い全高で構成することができる。結果として、調節装置は比較的コンパクトにすることができ、このため、調節装置は、空気吸入口に近い多様な場所に設置することができる。これは、設計におけるより大きな自由及びより大きな適応性を設計者に与えることができる。
【0010】
複合式駆動システムを設けることによって、比較的コンパクトな方式で、調節装置を比較的小型のモータで稼働することを可能にする比較的大きい伝達比が達成できる。これは、全体的な寸法も好ましくすることができる。
【0011】
複合式駆動システムは、さまざまな構成、例えば複合式遊星ギアシステム、サイクロイド駆動システムまたはハーモニックドライブ(登録商標)駆動システムの形態が公知である。
【0012】
複合式駆動システムは、通常、1つの入力ギア、及び少なくとも2つの出力ギアを備えている。一般的に、出力ギアの1つは、ブロックされ、且つ固定地点と接続されている。ブロックされない出力ギアは、回転可能である。ブロックされる出力ギア及びブロックされない出力ギアを交換することによって、別の伝達比及び/または回転方向が得られる。また、このような駆動システムでは、比較的高い伝達比が比較的簡素な方式で達成することができ、且つ/または過負荷防止が比較的簡素な方式で適用することができる。複合式駆動システムは、メイン軸線周りに延在することができ、従って、コンパクトな構造を可能にする。
【0013】
複合式遊星ギアシステムは、被駆動太陽ギア、1つ以上の階段状または非階段状遊星ギア及び2つ以上の出力外側ギアの複合体を備えるように利用することができる。これらは、とりわけ“ウォルフロム(Wolfrom)”遊星ギアシステムとして当業者に公知である。また、他の構成、例えば階段状または非階段状遊星を有する被駆動遊星ギアキャリアと、2つの出力外側ギアと、が考えられる。これら及び他の構成は、非特許文献1に開示されている。
【0014】
サイクロイド駆動システムは、通常、外側ギアと、外側ギアと同軸に軸受取付された遊星キャリアと、1つ以上の遊星と、外側ギアと同軸に軸受取付された太陽ギアと、を備えている。太陽ギアには、各遊星に対して、偏心して設置された軸受シャフトが設けられている。外側ギアは、固定地点と接続されてもよく、且つ第1出力ギアの機能を果たす。遊星キャリアは、第2出力ギアの機能を果たし、且つブロックされない。当然ながら、外側リングがブロックされない構成からなり、且つ遊星キャリアがブロックされる構成からなってもよい。遊星キャリアには、通常、遊星の穴内を回転するピンが設けられている。
【0015】
外側リングギアは、遊星の歯の数よりも多い複数の歯を有している。歯の数の差に依存して、比較的高い伝達率が達成できる。サイクロイド駆動システムは、比較的コンパクトな構成からなることができる。
【0016】
ハーモニックドライブ駆動システムは、環状の外側リングと、出力シャフトに接続された可撓性を有する内側リングと、入力シャフトに接続されたウェーブジェネレータと、を備えている。可撓性を有する内側リングには、外側リングの内側歯と協働する外側歯が設けられている。可撓性を有する内側リングの制限された数の歯が環状の外側リングと噛合するように、可撓性を有する内側リング内でウェーブジェネレータを回転させる。ウェーブジェネレータの回転運動を通じて且つ内側リングよりも多い歯を有する外側リングに起因して、内側リングは、外側リングに対して動く。リングが固定地点と接続されることに依存して、比較的高い伝達比が達成できる。他の実施形態、例えば2つの外側リングと、固定地点と回転ロックされた可撓性を有する内側リングと、を有する実施形態も可能である。
【0017】
有利には、駆動ユニットは、駆動システムのメイン軸線から所定距離で且つメイン軸線とほぼ平行に延在したサイド軸線を有している。これは、調節装置の全高をさらによりコンパクトにさせることを可能にする。有利には、駆動ユニットには、第1シャフト及び第2シャフトが設けられている。第1シャフト及び第2シャフトは、相互に所定距離にあり且つ互いにほぼ平行である。駆動システムは、駆動システムのメイン軸線が第1シャフトと同一であり、第1シャフト周りにほぼ延在してもよい。駆動システムは、駆動システムのメイン軸線が第2シャフトと同一であり、第2シャフト周りにほぼ延在してもよい。これは、設計における比較的大きい自由を設計者に与える。状況に応じて、1つの構造または他の構造が選択できる。
【0018】
偏心出力部を有した入力ギアを設けることによって、駆動システムは、さらによりコンパクトな構成から形成することができる。従って、例えば、駆動ホイールまたは出力ギアと結合することができる1つだけの遊星ギアを設けることは、十分である。
【0019】
有利には、複合式駆動システムの1つの出力ギアは、固定地点と取り外し可能に接続されている。これは、例えば、フェイルセーフ機能が駆動ユニットに加えられるときに有利である。このような追加のフェイルセーフ機能により、調節装置は、問題が生じた場合に、開放位置もしくは閉鎖位置または所定の中間位置へ空気吸入口を導くことができる。例として、固定地点と取り外し可能に接続された出力ギア、例えば複合式遊星ギアシステム内のリングギアは、エネルギー貯蔵要素の影響を受けて付勢されてもよい。出力ギアと、固定地点、例えば調節装置のハウジングと、を取り外し可能に接続することによって、フェイルセーフ装置が設けられる場合、フェイルセーフ装置は、簡素な方式で駆動ユニットに結合することができる。
【0020】
エネルギー貯蔵要素は、バネとして構成されてもよいが、電気及び/または電磁エネルギーを貯蔵することができるキャパシタ要素またはバッテリーもしくはコイル要素を備えてもよい。また、エネルギー貯蔵要素は、例えば、形状記憶合金及び/またはバイメタル要素及び/または火工要素を備えることができる。種々のエネルギー貯蔵要素が考えられる。エネルギー貯蔵要素は、例えば運動エネルギー、電気エネルギー、電磁エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギー、化学的エネルギーなどを貯蔵するように構成されてもよい。
【0021】
問題は、調節装置の駆動ユニットの故障、及び/または空気吸入口を迅速に開放または閉鎖させることが望まれる自動車内外環境における障害を意味すると理解され、例えば、エンジン区画において出火した場合、または大気中における砂または粉塵の濃度が高くなった場合などである。
【0022】
有利には、調節装置には、空気吸入口の調節要素の位置を直接的且つ/または間接的に決定するための位置決定器が設けられてもよい。
【0023】
さらに有利な実施形態は、従属請求項に表される。
【0024】
本発明は、上記調節装置が設けられた空気吸入口と、このような空気吸入口が設けられた自動車と、にさらに関する。
【0025】
本発明は、図に示される調節装置の例示的な実施形態に基づいてより詳細に明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による調節装置の第1実施形態の分解斜視図を示している。
図2図1の例示的な実施形態の駆動ユニットの略図を示している。
図3】本発明による調節装置の第2実施形態の分解斜視図である。
図3a】本発明による調節装置の第2実施形態の概略平面図である。
図4図3及び図3aの例示的な実施形態の駆動ユニットの略図を示している。
図5】本発明による調節装置の第3実施形態の分解斜視図を示している。
図6図5の例示的な実施形態の駆動ユニットの略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図において、同一または対応する部分は、同一の参照符号で示されている。図は、例示的な実施形態のために示されるにすぎず、何らかを限定するものとして解釈されるべきではないことに留意する。
【0028】
図1は、本発明による調節装置1の分解斜視図を示している。調節装置1は、自動車のエンジン区画の空気吸入口を調節するように構成されている。空気吸入口は、少なくとも、空気吸入口がほぼ開放した第1位置と、空気吸入口がほぼ閉鎖された第2位置と、の間で調節することができる。
【0029】
調節装置は、少なくとも第1位置と第2位置との間で空気吸入口を調節するための駆動ユニット2を備えている。本実施形態において、駆動ユニット2は、ハウジング3に囲まれている。
【0030】
本発明によれば、駆動ユニット2は、複合式駆動システム4、本実施形態において複合式遊星ギアシステム4を備えており、複合式遊星ギアシステム4により、駆動ユニット2は、比較的コンパクトとなり、且つ比較的高い伝達率を有することができる。
【0031】
ハウジング3内には、ウォームホイール6及びサイドギア7を介して遊星ギアシステム4を駆動するモータ5がある。
【0032】
有利には、モータ5は、自動車の電源回路と接続することができる電動アクチュエータである。モータ5の他の実施も可能である。
【0033】
サイドギア7は、遊星ギアシステム4の入力ギアとして太陽ギア8を駆動する。本実施形態において、太陽ギア8は、偏心出力部8aを有して構成されており、このため、例示的な実施形態では、ただ1つの遊星ギア9を使用することができる。他の実施形態では、いくつかの遊星ギア9が設けられてもよい。
【0034】
遊星ギア9は、リングギア10の内側歯10aと噛合する外側歯9aを有している。太陽ギア8の偏心出力部8aと、リングギア10の歯10aよりも歯の数が少ない遊星ギア9と、に起因して、遊星ギア9は、制限された数の歯と噛合する間、リングギア10内を回転する。遊星ギア9の外側歯9aは、駆動ホイール11の内側歯11aとも噛合する。駆動ホイール11及びリングギア10は、同軸に軸受取付されている。
【0035】
複合式駆動システム4の2つの出力ギアは、本実施形態ではリングギア10及び駆動ホイール11として構成されている。リングギア10は、固定地点(fixed world)と接続され、駆動ホイール11は、回転可能である。以下で説明するように、この例示的な実施形態では、リングギア10は、ハウジング3と取り外し可能に接続されている。
【0036】
駆動ホイール11は、調節装置1の出力部を構成し、空気吸入口は、駆動ホイール11で調節することができる。リングギア10の内側歯10aと駆動ホイール11の内側歯11aとの歯の数の差は、小さく且つ好ましくは1つである。これは、出力ギアホイールの一方、リングギア10または駆動ホイール11のブロック及び太陽ギア8の駆動で、他方の妨害されない出力ギアホイールの回転を導く。
【0037】
太陽ギア8には、少なくとも1つの出力部が設けられており、各出力部が遊星ギアと結合されている。この例示的な実施形態では、太陽ギアには、1つの出力部、偏心出力部8aが設けられている。しかしながら、太陽ギアには、例えば、それぞれが遊星ギアと結合された2つの出力部が設けられてもよい。2つの遊星ギアを設けることによって、力は、駆動システムにわたって比較的有利に分配される。多くの変形例が可能である。
【0038】
駆動システム、本実施形態において遊星ギアシステム4は、図2に示すように、ほぼメイン軸線13周りに延在している。サイドギア7は、サイド軸線12周りに延在している。メイン軸線13及びサイド軸線12は、互いに所定距離にあり、且つ互いにほぼ平行である。また、調節装置1の駆動シャフト20がメイン軸線13周りに延在している。本実施形態において、駆動シャフト20は、駆動ホイール11の出力部である。
【0039】
結果として、駆動ユニット2の全高は比較的小さくすることができる。サイド軸線12は、駆動ユニット2の第1シャフトとみなすことができ、第1シャフトは、モータ5によって最初に駆動される。メイン軸線13は、駆動ユニット2の第2シャフトとみなすことができ、第2シャフトは、第1シャフトの後に、モータ5によって駆動される。
【0040】
図1及び図2に示す例示的な実施形態では、リングギア10は、バネ14及びレバー15を介して、固定地点、この場合、調節装置1のハウジング3と取り外し可能に接続されている。稼働中に、リングギア10は、本実施形態では空気吸入口の第1位置に対応するフェイルセーフ位置へのエネルギー貯蔵要素、本実施形態ではバネ14の力に対抗して付勢される。しかしながら、フェイルセーフ位置は、第2位置、または第1位置と第2位置との間に位置付けられた所定の中間位置に対応してもよい。
【0041】
付勢されたリングギア10の位置は、本実施形態ではリングギア10の外側上のカム10cにおいて固定され、カム10cは、レバー15のカム15aと噛合する。バネ14は、一側がハウジング3のカム(図示せず)に接続され、他側がリングギア10のカム10bと接続され、且つほぼリングギア10の外側に沿って延在している。
【0042】
リングギア10とハウジング3との取り外し可能な接続に起因して、簡単な方式で、フェイルセーフ構造16が遊星ギアシステム4と結合することができる。フェイルセーフ構造16は、本実施形態では、レバー15と、作動部材として磁性要素17と、エネルギー貯蔵要素としてバネ14と、を備えている。エネルギー貯蔵要素の他の実施が可能である。
【0043】
リングギア10とハウジング3との取り外し可能な接続に起因して、例えばフェイルセーフ構造が要望により設けられても設けられなくてもよい。従って、駆動ユニットは、モジュール構成からなることができる。
【0044】
稼働中に、レバー15は、磁力により磁性要素17、例えば電磁石と結合することができる。問題が生じた場合、例えば電源障害の場合、磁性要素17の磁力が低下し、このため、レバー15との結合がなされない。この結果、レバー15は、バネ14の力により生じる回動運動をし、このため、カム15aは、ギア10の外側上のカム10bから結合解除し、リングギア10は、バネ力の影響を受けて、本実施形態では空気吸入口の第1位置に対応する終端位置へ動く。この結果、空気吸入口は、ほぼ開放する。当業者には、リングギア10、バネ14及びレバー15が同様であるが逆の構造である場合、問題が生じる、例えばエンジン区画に出火が生じると、空気吸入口がほぼ閉鎖することは明らかである。
【0045】
磁性要素17は、フェイルセーフモードを作動し且つエネルギー貯蔵要素を結合解除するための作動要素として機能する。作動要素は、さまざまな方式、例えば熱電対、温度センサ、エンジン区画の信号、バネ、バイメタル要素、ニチノール要素、CO2警報機などで実施されてもよい。
【0046】
このようなフェイルセーフ構造16は、再使用することができる。調節装置1を再び使用するときに、リングギア10は、モータ5の駆動の影響を受けて、カム10bがレバー15のカム15aと結合するまで終端位置に向かってバネ14の力に対抗してテンションをかけられる。
【0047】
図3図3a及び図4は、本発明による調節装置1の第2実施形態を示している。この第2実施形態では、遊星ギアシステム4は、ほぼメイン軸線周りに設置されている。モータ5は、ウォームホイール6を介して太陽ギア8を駆動する。駆動システムの入力ギアとしての太陽ギア8は、偏心出力部8aを有しており、偏心出力部8aの周りで遊星9を動かす。遊星9は、出力ギアとしてのリングギア10内で動く。外側歯9aは、内側歯10aよりも歯の数が少なく、このため、いずれの場合にも遊星ギア9の制限された数の歯のみがリングギア10と噛合する。遊星ギア9の周囲は、出力ギアとしての中間ギア18と係合する。中間ギア18は、遊星ギア9の外側歯9aと噛合する内側歯18aを有している。中間ギア18は、駆動ホイール11の外側歯11bと噛合する外側歯18bをさらに有している。出力ギアとしてのリングギア10は、ブロックされ、且つ固定地点としてのハウジング3と固定して接続されている。出力ギアとしての中間ギア18は、ブロックされず、且つ回転可能である。
【0048】
図4に示すように、遊星ギアシステム4は、ほぼメイン軸線13周りに位置付けられている。本実施形態では、メイン軸線13は、駆動ユニットの第1シャフトを形成している。駆動ホイール11は、駆動ユニット2の第2シャフトとしてのサイド軸線12周りに延在している。結果として、比較的平坦でコンパクトな駆動ユニットが達成できる。駆動ホイール11は、空気吸入口を調節するための調節装置1の出力部として、駆動シャフト20を備えている。
【0049】
図4図3及び図3aの実施形態には、フェイルセーフ構造が設けられていないが、要望により、これが加えられてもよい。この例示的な実施形態では、リングギア10は、固定地点としてのハウジング3と固定して接続されている。本実施形態において、リングギア10の外側上のカム10dは、ハウジング3の凹所21内に固定してロックされている。あるいは、リングギア10は、ハウジング3と一体的であってもよい。
【0050】
図5及び図6は、本発明による調節装置1の第3の例示的な実施形態を示している。モータ5は、ウォームホイール6を介してサイドギア7を駆動する。サイドギア7は、太陽ギア8の外側歯8bと結合している。太陽ギア8には、偏心出力部8aが設けられ、偏心出力部8aの周りを遊星ギア9が動く。
【0051】
遊星ギア9は、リングギア10内で動く。外側歯9aが内側歯10aよりも歯の数が少ないので、外側歯9aは、リングギア10の内側歯10aと部分的に噛合する。同様に、遊星ギア9は、駆動ホイール11と結合されている。本実施形態では、遊星ギア9は、リングギア10の内側歯10aと協働する第1外側歯9aと、駆動ホイール11の内側歯11aと協働する第2外側歯9bと、を有する階段状遊星ギアである。
【0052】
駆動システム4の出力ギアとしてのリングギア10は、ブロックされる構成からなり;本実施形態では、リングギア10は、ハウジング3と取り外し可能に接続されている。駆動システム4の出力ギアとしての駆動ホイール11は、ブロックされる構成ではなく、回転可能な構成である。駆動ホイール11は、空気吸入口を調節するための調節装置1の駆動シャフト20を備えている。
【0053】
図6に示すように、遊星ギアシステム4は、この例示的な実施形態では駆動ユニット2の第2シャフトと一致するメイン軸線13周りにほぼ位置付けられている。サイドギア7は、駆動ユニット2の第1シャフトと一致するサイド軸線12周りに位置付けられている。
【0054】
図5には、さらなるフェイルセーフ構造が示されており、このフェイルセーフ構造は、レバー15と、磁性要素として構成された作動要素17と、バネとして構成されたエネルギー貯蔵要素14と、を備えている。問題が生じた場合には、磁性要素17は、レバー15を介してエネルギー貯蔵要素14を作動させる。例として、問題が生じた場合には、磁性要素17とカウンター要素19との間の磁性結合が遮断され、このため、レバー15は回動し、且つリングギア10は結合解除される。その後、リングギア10は、付勢位置からフェイルセーフ位置へバネ力14の影響を受けて動く。リングギア10のフェイルセーフ位置は、空気吸入口の第2位置であって、空気吸入口がほぼ閉鎖される、ほぼ第2位置に対応するが、空気吸入口の第1位置であって、空気吸入口が開放する、第1位置に対応するか、または、所定の中間位置であって、空気吸入口が部分的に開放する、中間位置に対応してもよい。図1に示すフェイルセーフ構造と同様に、図5に示すフェイルセーフ構造は、再使用可能である。問題が生じた後に、モータ5が稼働する結果として、リングギア10は、初期位置または任意の中間位置に向かって再び付勢することができる。このため、例として、ホールセンサが使用されてもよく、これにより、例えば、回転数を数えてもよい。この例示的な実施形態においても、フェイルセーフ構造は、要望により省略されてもよい。
【0055】
有利には、図6に示すように、リングギア10は、駆動ホイール11の駆動シャフト20に接近した内側10cで軸受取付されている。太陽ギア8は、駆動シャフト20に接近して軸受取付されており、このため、駆動シャフト20の近くで有利な力比(force ratio)が得られる。図2に示す例示的な実施形態では、リングギア10は、外側10dで軸受取付されている。
【0056】
調節装置1には、空気吸入口の調節要素の位置を直接または間接的に決定するための位置決定器がさらに設けられてもよい。空気吸入口の調節部材は、例えば回動可能な細板であることができる。このような調節要素の位置は、間接的に、例えばモータまたはギアホイールの回転数を数えることによって決定することができる。例えば、駆動システムの要素には、ポテンショメータ、ホールセンサ、エレクトレットセンサまたは光学センサが設けられてもよい。センサの多くの変形例が可能である。
【0057】
位置決定器は、例えば、調節要素の角度を測定または調節ステップを数えることによって直接的に調節要素の位置を決定してもよい。これに対しても多くの変形例が可能である。有利には、位置決定器には、さまざまな位置を記憶する且つ/または再現するためにメモリ機能が設けられてもよい。例えば、メモリ機能は、フェイルセーフ構造が問題が生じた結果として稼働し始めた後に利用され、これにより、予め設定された位置及び/または最後についた位置に戻ってもよい。
【0058】
本発明は、本明細書に表された例示的な実施形態に限定されない。調節装置は、複合式駆動システムとして遊星ギアシステムに基づいて上記で説明されたが、駆動システムは、サイクロイド駆動システムまたはハーモニックドライブ(登録商標)駆動システムとして構成されてもよい。多くの変形例が可能であり、且つ当業者には明らかである。このような変形例は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。
【符号の説明】
【0059】
1 調節装置、2 駆動ユニット、3 固定地点、4 複合式駆動システム、7 サイドギア、8 太陽ギア、8a 偏心出力部、10 リングギア、11 駆動ホイール、12 サイド軸線、13 メイン軸線、14 エネルギー貯蔵要素
図1
図2
図3
図3a
図4
図5
図6