(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3に記載の体液抽出測定器において、予め決定した力を前記使い捨て可能なカートリッジに加えることにより前記タワー内にゆがみを生ぜしめ、前記ひずみ計が前記タワー内の前記ゆがみを測定するようになっている体液抽出測定器。
請求項5に記載の体液抽出測定器において、前記開始素子がスイッチであり、前記タワーが移動することにより前記スイッチをトリガするようになっている体液抽出測定器。
請求項1〜11の何れか一項に記載の体液抽出測定器において、前記体液抽出測定器が更に光学系を有し、前記使い捨て可能なカートリッジがカートリッジの内部の可視化を可能とする複数ののぞき窓を有し、前記光学系は、前記検出器を前記複数ののぞき窓のうちの1つに光学的に接続するようになっている体液抽出測定器。
請求項1〜12の何れか一項に記載の体液抽出測定器において、前記タワーは、前記使い捨て可能なカートリッジの凹所内に少なくとも部分的に嵌合されるように構成されている体液抽出測定器。
請求項13に記載の体液抽出測定器において、前記体液抽出測定器が、前記使い捨て可能なカートリッジを前記タワーの周りに回転させる回転素子を有している体液抽出測定器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
流体試料の抽出、移送及び分析の何れか又は任意の組合せを実行する測定器及び方法をここに開示する。流体試料には、例えば、1種類以上の溶液(例えば、コントロール溶液)や、混合液や、体液(例えば、血液、唾液、等)や、これらの組合せ等のような適切な如何なる流体をも含めることができる。これらの流体の試料は、適切な如何なる抽出個所、例えば、1個所以上の身体個所(例えば、手の指、足の指、その他の皮膚表面、等)又は1つ以上の人工容器(例えば、コントロール溶液又は体液試料を入れている小瓶)からも引出すことができる。流体試料が収集されると、この流体試料を分析してこの流体試料の1つ以上のパラメータを測定することができる。この流体試料の分析には例えば、この流体試料における1種類以上の検体濃度を決定することを含めることができる。測定器は、適切な如何なる検体(例えば、ホルモン、タンパク質、酵素、毒素、ドラッグ、その他の分子、等)の濃度をも測定するように構成しうる。ある例では、1つ以上の血液試料又はその他のグルコース含有溶液のグルコース濃度を測定するように測定器を構成することができる。
【0017】
ここに開示する測定器のある例では、測定器が測定器ハウジングと1つ以上のカートリッジとを有するようにしうる。これらカートリッジの各々を以下に詳細に説明する。複数の測定器を完全に一体化し、測定器ハウジングとカートリッジとが、流体試料の収集、移送及び分析の何れか又は任意の組合せを実行するのに必要な全ての構成素子を収納しうるようにすることができる。ある例では、複数の流体試料を収集して分析するように測定器を構成することができる。ある例では、例えば、カートリッジが1つ以上のセルを有し、これらセルの幾つか又は全てが、以下に詳細に説明するように流体試料を収集する1つ以上の抽出装置を収納するようにしうる。測定器は更に、試料の分析による1つ以上の結果を表示する、さもなければ生じるように構成することができる。測定器のある部分は再利用可能にできるとともに、測定器の他の部分は使い捨てにできることは勿論である。又ある例では、例えば、測定器ハウジングを再利用可能にするとともにカートリッジは使い捨てにする。これらの例では、新たなカートリッジを測定器ハウジング内に挿入するか、さもなければ測定器ハウジングと係合させて、新たな一連の検査を行うようにすることができる。他の例では、測定器ハウジング及びカートリッジの双方を使い捨てにすることができる。
【0018】
図1A〜1Dは、ここで開示する測定器の実施例を示す。特に、この測定器は測定器ハウジング(100)とカートリッジ(102)とを有しうる。特に、
図1A及び1Bはそれぞれ測定器ハウジング(100)の正面図及び底面斜視図を示しており、
図1Cはカートリッジ(102)の斜視図を示している。カートリッジ(102)は
図1Cでは封止可能なポーチ(116)内に収容されているものとして示しているが、カートリッジ(102)は適切な何らかの容器内に収容し、使用前には取出しうるようにすることができることは勿論である。
図1Dは、カートリッジ(102)を測定器ハウジング(100)の内側に配置したこの測定器ハウジング(100)を示す断面図である。図示するように、測定器ハウジング(100)は、カートリッジ係合突起部(105)を有するドア(104)と、カートリッジ収容室(106)又は空所と、トリガ機構(107)と、ディスプレイ(108)と、ボタン(110)と、ポート(112)と、タワー(114)とを具えるようにしうる。ここに開示する測定器には必ずしも上述した各機能を設ける必要はなく、ここに開示する測定器にはこれらの機能の如何なる組合せをも設けるようにすることができる。これらの機能の各々を以下に、より詳細に説明する。更に、測定器ハウジング(100)には、1つ以上の撮像システム(図示せず)と、測定器を動作させるか又は検査処置を容易にするか又はこれらの双方を達成するための内部機構又は構成要素(例えば、メモリ、回路、アクチュエータ、バッテリ、真空ポンプ、センサ、これらの組合せ、等)とを設けることができる。
【0019】
ドア(104)は、
図1Bに示すように開放することによりカートリッジ収容室(106)が見えるようにすることができる。カートリッジ(102)はカートリッジ収容室(106)の内側に配置することができ、ドア(104)を閉じてカートリッジ(102)を測定器ハウジング(100)内に一時的に収容することができる。カートリッジを測定器ハウジングの内側に配置すると、このカートリッジの1個所以上の部分が測定器ハウジング(100)の1つ以上の構成要素に係合しうる。ある例では、以下に詳細に説明するように、カートリッジ(102)をカートリッジ収容室(106)内に配置した際にこのカートリッジの自己整合を容易に達成しうる1つ以上の機能を測定器ハウジング(100)に設けることができる。又ある例では、カートリッジ(102)に凹所(図示せず)を設けることができる。カートリッジ(102)をカートリッジ収容室(106)内に配置した際に、タワー(114)の一部がカートリッジ(102)の凹所内に嵌合するか、さもなければこの凹所に係合するようにしうる。この係合は、カートリッジ(102)を測定器ハウジング(100)に対し適所に保持するのに役立つようにしうる。これとは反対に、ある例では、カートリッジ収容室(106)内の1つ以上の凹所(図示せず)に、又は測定器ハウジング(100)の他の部分に係合しうる1つ以上の突起部(図示せず)をカートリッジ(102)に設けることができる。これに加え又はこれに代えて、1つ以上の磁石によりカートリッジを測定器ハウジングに対して適所に保持するようにしうる。カートリッジは、測定器ハウジングに係合させるのに、必ずしも(例えば、カートリッジ収容室を介して)測定器ハウジング(100)の内部に配置する必要がないことは勿論である。例えば、ある例では、カートリッジを測定器ハウジングの1個所以上の外面に取付けるか、さもなければ係合させるようにしうる。
【0020】
測定器ハウジング(100)のドア(104)がカートリッジ係合突起部(105)を有するものとする。カートリッジ(102)をカートリッジ収容室(106)内に配置してドア(104)を閉じると、このカートリッジ係合突起部(105)によりカートリッジ(102)を押圧するか、さもなければこのカートリッジ(102)をバイアスするようにしうる。例えば、タワー(114)の一部がカートリッジ(102)に係合すると、カートリッジ係合突起部(105)がカートリッジ(102)を押圧してこのカートリッジ(102)をタワー(114)との係合状態に保持するようにしうる。この係合は、測定器の機械公差を考慮しうるようにするものとする。ある例では、カートリッジ係合突起部(105)をばね荷重にしてカートリッジ(102)をバイアスするようにしうる。
【0021】
更に、カートリッジ(102)が1つ以上の抽出装置(130)を収容するかさもなければ保持するようにしうる。以下に詳細に説明するように、これらの抽出装置はカートリッジの1つ以上のセル内に収納することができ、且つ流体試料の収集、流体試料の移送及び流体試料との反応の何れか又は任意の組合せを達成するための1つ以上の構成要素を有するようにしうる。例えば、ある例では、抽出装置(130)が、検査処置中に抽出個所を穴抜きするか、又は穿通するか、さもなければ貫通するための穿通部材(136)を有するようにすることができる。カートリッジ(102)が複数の抽出装置を有する例では、各抽出装置を用いて異なる流体試料に関してそれぞれ別々の検査を達成するようにすることができる。カートリッジ(102)を使い捨て可能に構成した例では、新たなカートリッジに交換して未使用(例えば、アンファイヤード(unfired )状態)の抽出装置を提供するようにしうる。
【0022】
カートリッジ(102)が測定器ハウジング(100)と動作的な係合状態に配置されると、流体試料を収集して分析する1つ以上の検査処置を実行するように測定器を構成することができる。検査シーケンスを開始する前に、最初に測定器を1つ以上のボタン(110)又は適切な他のスイッチ、レバー、圧力センサ、等により始動させることができる。測定器の始動には測定器ハウジング(100)の起動を含めることができ、又は休止モードからの測定器のウエークアップ処理を含めることができる。測定器は、カートリッジ(102)を測定器ハウジング内に配置する前に始動処理(例えば、起動又は休止モードからのウエークアップ処理)を行うようにすることができることは勿論である。他の例では、カートリッジ(102)を測定器ハウジング(100)の内部に配置することにより、測定器を始動させることができる。
【0023】
測定器を始動させるか又はカートリッジ(102)を測定器ハウジング(100)内に配置するか或いはこれらの双方を行なった場合に、以下に詳細に説明するように、完全性の検査と、インデキシング(指標付け)と、カートリッジ(102)からの情報の取得の何れか又はこれらの任意の組合せを実施する1つ以上の処理を実行するように測定器を構成することができる。これらの処理のあるものでは、カートリッジ(102)の個々の抽出装置が以前に用いられたか、ファイヤード(fired )状態にされたか、さもなければ(故意に又は不注意に)駆動されたかどうかを評価するように測定器を構成するようにしうる。カートリッジの一部を外部環境から封止した例では、この封止の完全性を検査するように測定器を構成することができる。このことに加えて又は代えて、カートリッジ(102)上に蓄積された、又はカートリッジ(102)内に蓄積された、又はカートリッジ(102)と関連する情報(例えば、校正情報、有効期限、等)が得られるように測定器ハウジング(100)を構成することができる。カートリッジの有効期限が切れたことを、又は抽出装置の全てが用いられたかさもなければ設けられたことを測定器が判定した場合には、検査の開始を阻止するように測定器を構成しうるとともに、これに加えて、測定器が新たなカートリッジ(102)を挿入するようにする警報を(例えば、1種類以上の可視記号、音声、触刺激又はその他の識別子を介して)ユーザに与えうるようにしうる。
【0024】
新たなカートリッジを挿入するためには、最初に測定器ハウジング内に既に収容されているカートリッジを除去する必要がある。カートリッジは適切な如何なる方法でも測定器ハウジングから取出す又は除去することができる。ある例では、ユーザが使用済みカートリッジをこのカートリッジに直接接触する必要なしに取出すように測定器ハウジング(100)を構成し、これにより潜在的に危険な物質(例えば、使用済みの針又はランセット)にユーザを曝すおそれを低減させるようにすることができることは勿論である。例えば、ある例では、測定器ハウジング(100)に1つ以上の取出ボタン(113)を設け、この取出ボタンを押すか、さもなければ動作させて、ユーザがカートリッジ(102)に触ることなくこのカートリッジ(102)を測定器ハウジング(100)から取出すようにすることができる。他の例では、測定器ハウジング(100)のドア(104)が開放された際に、カートリッジ(102)を、これがカートリッジのハウジングから受動的に落下するように構成することができる。代表的なカートリッジ取出機構の例を以下に詳細に説明する。
【0025】
如何なる検査/インデキシング/情報収集処理をも終了した後、測定器は準備完了(レディー)モードに入る。このモードでは、
図1Dに示すようにアンファイヤード状態の抽出装置がポート(112)と整列されるように、カートリッジ(102)が位置決めされている。この時点で、ユーザは検査処置を開始することができる。或いはまた、検査処置が開始された後までポート(112)との抽出装置の整列が生じないようにすることができる。ある瞬時に1つ以上のボタン(110)を押すか又は他の適切な素子(例えば、1つ以上のボタン、スイッチ、レバー、センサ、これらの組合せ、等)を駆動させることにより、検査処置を開始させることができる。又以下に詳細に説明するように、抽出個所(例えば、1個所以上の皮膚表面又は流体充填容器)をポート(112)に対向させて配置することによりユーザが検査処置を始動させるようにしうる。例えば、ポート(112)が可動コンタクトパッドを有し、この可動コンタクトパッドに対してユーザが抽出個所(例えば、皮膚表面)を押すことができるようになっており、抽出個所がこの可動コンタクトパッドに与えられた際にこの可動コンタクトパッドがカートリッジの一部に接触するようにしうる。
【0026】
検査処置が開始されると、(例えば、トリガ機構、等を介して)抽出装置を始動又は駆動させて、抽出個所を穴抜きするか、又は貫通するか、さもなければ穿通するように測定器を構成することができる。更に、抽出装置は、流体試料を抽出個所から取出す又は収集するように構成することができる。更に、抽出装置が流体試料を収集する前、又はその最中、又はその後に、真空と圧力と熱との何れか又はこれらの任意の組合せを抽出個所に与えるようにしうる。真空を抽出個所に与える例では、以下に詳細に説明するように、真空量を変えるか又は調整することができる。このことに加えて又は代えて、ある例では、振動、マッサージ、等を用いて抽出個所に機械的に刺激を加えることができる。流体試料が収集されると、以下に詳細に説明するように測定器がこの流体試料を分析する。流体試料の分析には、流体試料中の1種類以上の標的検体(例えば、グルコース)の濃度を決定することを含めることができる。ある例では、抽出装置により収集された流体試料がコントロール試料であるかどうかを決定するように測定器を構成することができる。ここに開示する測定器は、流体試料の分析中に抽出装置の1個所以上の部分を撮像しうる1つ以上の撮像システムを有するようにしうる。測定器の特定の構成要素及びこれらの測定器を用いる方法を以下に詳細に説明する。
[カートリッジ]
【0027】
上述したように、ここに開示する測定器は1つ以上のカートリッジを有しうる。カートリッジは一般に、測定器ハウジングに係合させるか、又はこの測定器ハウジング内に嵌合させるか、又はこの測定器ハウジングに取付けるか、或いはまたこれらの任意の組合せを達成させることができ、且つ1つ以上のカートリッジセル内に収容させた1つ以上の抽出装置を有しうる。以下に詳細に説明するように、抽出装置は、流体試料を得るか、又は流体試料を移送するか、又は流体試料と反応させるか、或いはこれらの任意の組合せを達成させる特定の構成要素を有しうる。以下に詳細に説明するように、抽出装置と流体試料との間で生じる如何なる反応もカートリッジ又は測定器ハウジングの1つ以上の部分(例えば、撮像システム)により定量化又は測定することができる。カートリッジは測定器から除去しうるようにするか、又は測定器内に一体化させることができる。カートリッジを測定器から除去しうる場合には、このカートリッジを使い捨てとなるように構成しても、このように構成しなくてもよい。ある例では、カートリッジの1個所以上の部分を再使用するようにしうる。例えば、1つ以上の未使用の抽出装置が入っているカートリッジをカートリッジ
収容室内に装填して測定器が追加の検査処置を実行するようにすることができる。
【0028】
ここに開示する測定器では適切な如何なるカートリッジも用いうるようにする。ある例では、例えば“MULTI-SITE BODY FLUID SAMPLING AND ANALYSIS CARTRIDGE ”と題する米国特許出願第11/529,614号明細書及び“ANALYTE CONCENTRATION DETECTION DEVICES AND METHODS ”と題する米国特許出願第12/222,724号明細書に開示されたカートリッジの1つ以上を測定器が有するようにしうる。これらの米国特許出願明細書の内容は参考のためにここに導入するものである。
図2A〜2Dは、ここに開示する測定器とともに用いるのに適した一例のカートリッジ(200)を示す。特に、
図2A及び2Bはそれぞれカートリッジ(200)の底面斜視図及び断面図を示す。
図2C及び
図2Dは、それぞれカートリッジ(200)の上面斜視図及び部分的上面斜視図を示す。これらの図に示すように、カートリッジ(200)は、セル(204)のような複数の別々のセルに分割しうるハウジング(202)を具えることができる。1つ以上のセル(例えば、セル(204))は、以下に詳細に説明する1つ以上の抽出装置のような1つ以上の抽出装置(206)を有しうる。カートリッジ(200)は、カートリッジハウジング(202)を少なくとも部分的に貫通する凹所(207)を有することができる。以下に詳細に説明するように、測定器ハウジングの1個所以上の部分を少なくとも部分的に凹所(207)に貫通させてカートリッジ(200)に係合させるようにしうる。以下に詳細に説明するように、ハウジングには、測定器ハウジング(図示せず)の一部に係合してカートリッジを測定器ハウジングに対して整列させ且つ移動させるのに役立ち得る歯部であるティース(209)をも設けることができる。更に、
図2Aに示すように、カートリッジの少なくとも一部分を被覆材料(208)の1個所以上の区分により封止させるか、又は被覆させるか、又はマスキングさせることができる。被覆材料(208)は
図2B〜2Dには図示せずに、それ以外のカートリッジ(200)の構成要素が良好に示されるようにしている。
【0029】
図2Cでは、ハウジング(202)が2つの別々の片(上部セグメント(203)及び下部セグメント(205))から形成されているものとして示しているが、ハウジング(202)は適切な如何なる個数の別々の片(例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つ以上の片)から形成しうることは勿論である。
図2Dは、ハウジング(202)の上部セグメント(203)を除去し、複数の抽出装置(206)が見うるようにしたカートリッジ(200)を示している。
【0030】
図2A〜2Dでは、カートリッジを、複数の抽出装置(206)を有するものとして示しているが、カートリッジは所望に応じ1つのみの抽出装置(206)を収容しうるものである。これらの例では、以下に詳細に説明するように、カートリッジが1回の検査処置を実行し、この時点でカートリッジを除去して未使用のカートリッジと交換するようにカートリッジを構成することができる。カートリッジが複数の抽出装置を有する例では、カートリッジは適切な如何なる個数の(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個又は12個以上の)抽出装置を有するようにしうる。カートリッジ内の互いに異なる抽出装置が同じ素子及び同じ素子構造を有するか、又は異なる素子又は異なる素子構造を有するようにしうる。例えば、カートリッジ内のある抽出装置は、流体試料内の第1の検体と反応しこの第1の検体の濃度の測定を行うように構成し、他の抽出装置は、第2の検体と反応しこの第2の検体の測定を行うように構成することができる。他の例では、ある抽出装置をねじりばねにより駆動又は移動させ、他の抽出装置を線形ばね又は板ばねにより駆動又は移動させるようにしうる。これに加えて又はこれに代えて、1つ以上の抽出装置を電気機械アクチュエータ又は空気圧式アクチュエータにより駆動させることができる。
【0031】
更に、
図2A〜2Dに示す各抽出装置(206)は別々のセル(204)内に収容されているが、ある例では、単一のセル内に複数の抽出装置を配置することができることは勿論である。例えば、ある例では、同時に2つ以上の流体試料を得て分析するようにするのが望ましい。更に、幾つかのセルに抽出装置を収容しないか、さもなければ有さないようにしうる。例えば、1つ以上のセルは、1つ以上のメモリユニット、光基準(例えば、1つ以上の着色部材)、乾燥剤、外部環境に曝されていることを決定するセンサ、等を保持、収容、又は収納するように構成することができる。
図2A〜2Dでは、ここに開示したカートリッジをほぼ円筒状として示しているが、カートリッジは適切な如何なる形状にもすることができる。ある例では、カートリッジを箱型又はディスク型とすることができる。
【0032】
カートリッジのセルには1つ以上の壁部を設けることができる。例えば、
図2Bに示すように、セル(204)には、カートリッジの外周面(211)における外周壁部(210)と、凹所(207)の外周面(213)における内周壁部(212)と、カートリッジの頂面(217)における上端壁部(216)と、カートリッジの底面(215)における下端壁部(214)と、隣接セル(204)を分離させる側壁部(218)とを設けることができる。ある例では、これら壁部の1つ以上に、カートリッジセル(204)の内部にアクセスしうるようにする(又は抽出装置の1つ以上の素子を測定器から取出しうるようにする)1つ以上の開口又は孔を貫通させることができる。例えば、
図2A〜2Cに示すように、各セル(204)の外周壁部(210)に開口(220)を設けることができる。検査処置中に抽出装置(206)の1個所以上の部分を開口(220)に通すことができる。これに加えて又はこれに代えて、セル(204)の下端壁部(214)には、
図2Bに示す開口(222)のような1つ以上の開口を設けることができる。ある例では、1つ以上の真空源又はトリガ機構(図示せず)の一部を、開口(222)を経てセル(204)内に前進させて、セルに真空圧力を加えるか又は抽出装置に係合させるか、或いはこれらの双方を達成させるようにしうる。これに加えて又はこれに代えて、セルの上端壁部(216)には、
図2Cに示す開口(224)のような1つ以上の開口を設けることができる。ある例では、セル(204)の1つ以上の側壁(218)に、隣接セル間でガスを連通させることのできる開口(図示せず)を設けることができる。
【0033】
上述したように、1つ以上の乾燥剤片をカートリッジで包装するか、又はカートリッジの内側に入れるか、或いはこれらの双方を達成するようにしうる。乾燥剤はカートリッジの内部の湿気を吸収する作用をし、これにより、何らかの湿気とカートリッジ内に収容された1種類以上の試薬又はその他の化学品との間の相互作用を最少にすることによりカートリッジの寿命を高める作用を可能にする。ある例では、カートリッジハウジングの1個所以上の部分を乾燥剤材料から形成しうる。カートリッジが複数のセルを有する例では、乾燥剤の1つ以上の片をカートリッジセルの1つ以上の中に配置しうる。1つ以上のカートリッジセルが抽出装置を有する例では、乾燥剤の片を抽出装置と同じセル内に配置しうる。他の例では、抽出装置を有していないセル内に乾燥剤の片を配置することができる。これらの例のうちのある例では、1つ以上の開口により、抽出装置を有するセルを、乾燥剤の片を保持しているセルと連結させ、これにより乾燥剤と抽出装置との間をガス結合させるようにしうる。例えば、
図2A〜2Dに関して上述したカートリッジ(200)の例では、1つ以上の乾燥剤片(230)を、開口(224)を介してカートリッジセル(232)の内部に配置することができる。セル(232)と、抽出装置(206)を収納している隣接セル(204)とは、開口(図示せず)によりガス結合され、これにより1つ以上の乾燥剤片(230)が湿気をセル(204)からセル(232)内に引込み、このセル(232)で湿気を1つ以上の乾燥剤片(230)により吸収するようにしうる。
【0034】
ある例では、各乾燥剤収納セル(232)を単一の抽出装置収納セル(204)にガス結合させることができる。これらの例では、単一の抽出装置収納セル(204)を(例えば、以下に詳細に説明するように検査処置中に)周囲環境に曝すことにより、他のセル(204)を周囲環境から分離させた状態に保つようにすることができる。他の例では、乾燥剤収納セル(232)を複数の抽出装置収納セル(204)に結合しうる。
【0035】
ある例では、セル壁部の1個所以上の部分を透明とし、これによりセルの部分がのぞき窓として作用するようにしうる。これらののぞき窓は、適切な如何なる透明材料(例えば、ガラス、プラスチック、等)からも形成することができ、以下に詳細に説明するような撮像システムによるカートリッジの内部の可視化を可能としうる。ある例では、壁部の一部のみを透明材料から形成することができる。他の例では、壁部全体を透明材料から形成し、従って、壁部全体がのぞき窓として作用するようにしうる。又、適切な如何なるセル壁部(上端壁部と、下端壁部と、周囲壁部との何れか又は任意の組合せ)をものぞき窓として作用させることができる。他の例では、セル壁部における1つ以上の開口により、撮像システムによるカートリッジの内部の可視化を達成するようにしうる。(すぐ下で説明するように)開口を1種類以上の被覆材料で被覆する例では、最初に被覆材料を開口から除去してこの開口をのぞき窓として用いるようにする必要がある。他の例では、被覆材料を透明とすることにより、この被覆材料を通る可視化を達成するようにしうる。
【0036】
図2Aでは、カートリッジ(200)を、被覆材料(208)の1つ以上の区分を有するものとして示してあるが、カートリッジ(200)は必ずしもこのようにする必要はない。カートリッジが被覆材料を有する例では、被覆材料を用いてカートリッジハウジング(202)の1つ以上の面及び開口の双方又は何れか一方を被覆するようにしうる。被覆材料によりセルの開口を被覆すると、この被覆材料は外部環境とカートリッジの内部との間の一時的な障壁を形成する作用をし、これによりカートリッジセルを一時的に封止するようにしうる。被覆材料により個々のセルを外部環境から封止することにより、この被覆材料は、抽出装置の有効期限に影響を及ぼす又は抽出装置の1つ以上の部分を汚染させる外部刺激(例えば、ガス、湿気、等)のおそれを回避又は最少にする作用を達成しうる。更に、被覆材料を用いてカートリッジセルの内部の1種類以上のガス(例えば、窒素を主体とするガス又は混合体)を捕捉し、これにより、封止されたカートリッジの有効期限を長くするようにしうる。被覆材料はカートリッジの何れかの表面及び開口の双方又は何れか一方を少なくとも一時的に被覆するようにしうる。例えば、
図2Aに示すカートリッジ(200)の例では、被覆材料(208)がカートリッジの頂面(217)、外周面(211)及び底面(215)であって、開口(220)、(222)及び(224)を有するこれらの面を被覆するようにしうる。この例では、透明な内周壁部(212)の少なくとも一部を被覆しない状態に保ち、この部分を通る可視化を達成するようにしうる。或いはまた、透明な内周壁部(212)を透明な被覆材料(図示せず)により被覆することができる。
【0037】
被覆材料(208)は、適切な如何なる材料(例えば、アルミニウム、鋼、等のような金属ホイル(箔)や、エチルビニルアセテート、ポリエチレン、ポリエステル、等のようなプラスチック膜や、これらの組合せ又は混合物、等)からも形成でき、且つ適切な如何なる手段(例えば、感圧接着剤又は感熱接着剤のような1種類以上の接着材料)によってもカートリッジに取付けることができる。被覆材料は、単一の又は複数の材料層から形成しうる。被覆材料を多重層の被覆材料とする例では、これらの種々の層を互いに異なる材料から形成しうるが、必ずしもこのようにする必要はない。ある例では、被覆材料の1個所以上をほぼ不透明に又は光を透過させないようにすることができる。これらの例では、以下に詳細に説明するように、測定器が被覆材料により得られる封止の完全性を要求するのに、遮光性の被覆材料が役立ち得るものである。更に、ある例では、カートリッジを被覆するのに単一片の被覆材料を用いることができる。他の例では、異なる片の被覆材料を用いてカートリッジの異なる面(又はその部分)を被覆するようにしうる。例えば、ある例では、第1の片の被覆材料によりカートリッジの底面を被覆し、第2の片の被覆材料によりカートリッジの外周面を被覆し、第3の片の被覆材料によりカートリッジの頂面を被覆することができる。これらの例のうちのある例では、異なる片の被覆材料を互いに同じ材料とするか、互いに異なる材料とすることができる。例えば、ある例では、カートリッジの底面を被覆する第1の片の被覆材料が低密度ポリエチレン(LDPE)を有する第1の層と、金属ホイル(例えば、アルミニウムホイル)を有する第2の層とを含み、外周面を被覆する第2の片の被覆材料がエチルビニルアセテートを有する第1の層と、金属ホイル(例えば、アルミニウムホイル)を有する第2の層とを含むようにしうる。更に他の例では、異なる片の被覆材料がそれぞれ異なるカートリッジを封止するようにしうる。
【0038】
測定器の動作中に、被覆材料の1個所以上の部分を貫通するか、又は移動させるか、さもなければ除去して、流体試料の抽出及び分析の双方又は何れか一方を容易に達成するようにしうる。例えば、開口を覆っている被覆材料を除去することにより、抽出装置の一部が開口を通るようにするスムーズな経路を生ぜしめることができる。
図2Aに示すカートリッジ(200)の例では、開口(220)を覆っている被覆材料の一部を除去/貫通してカートリッジの内部(204)をアクセスするようにしてある。被覆材料の一部を除去してカートリッジの内部をアクセスするようにしてある例では、被覆材料は除去しやすく構成しうる。例えば、ある例では、被覆材料がエチルビニルアセテートを有する第1の層と、金属ホイル(例えば、アルミニウム)を有する第2の層とを含むようにしうる。これらの例では、エチルビニルアセテートは被覆材料を容易に破壊又は破断させることができる。その理由は、(以下に詳細に説明するように、例えばパンチ(穿孔器)を用いることにより)エチルビニルアセテートは貫通又は除去される為である。他の例では、抽出装置の始動時にこの抽出装置の一部により被覆材料を穴抜き又は貫通することができる。
【0039】
更に他の例では、1つ以上の真空チューブ又はトリガ機構を被覆材料に貫通させてセルの内部に対するアクセスを行いうるようにしうる。これらの例のうちのある例では、被覆材料は、真空チューブ又はトリガ機構がこの被覆材料を貫通する際にこの真空チューブ又はトリガ機構を囲む封止を形成する作用を行いうる1種類以上の材料を有するようにしうる。例えば、ある例では、低密度ポリエチレン(LDPE)を有する第1の層と、金属ホイル(例えば、アルミニウムホイル)を有する第2の層とを具えることのできる被覆材料により1つ以上の開口を被覆しうる。これらの例では、真空チューブ又はトリガ機構が被覆材料を貫通する際に、LDPEの弾性特性によりこの真空チューブ又はトリガ機構の周りを封止しうる。
【0040】
ある例では、カートリッジは、このカートリッジ又はその構成要素の1つに関する情報を有するように構成することができる。カートリッジは、適切な如何なる情報(例えば、校正コード、バッチ情報、有効期限情報、等)をも適切な何らかの方法で有するようにしうる。例えば、
図2Aに示すカートリッジ(200)の例では、カートリッジ(200)が1つ以上のバーコード(226)を有しうる。これらの例では、測定器ハウジング(図示せず)が1つ以上のバーコードスキャナ/読取器を有するようにしうる。カートリッジが円柱状であるか又はそれ以外の円形断面領域を有する例では、カートリッジを回転させてバーコードを容易に読取りうるようにしうる。他の例では、バーコードを読取りうる位置にカートリッジを移動させるように測定器ハウジングを構成することができる。カートリッジは、適切な任意の個数のバーコード(例えば、0、1、2、3又は4以上のバーコード)を有しうる。
【0041】
カートリッジ(200)はバーコード(226)を有するものとして
図2Aに示しているが、必ずしもこのようにする必要はない。ある例では、カートリッジが1つ以上のメモリチップ又はメモリカードを有し、この或いはこれらメモリチップ又はメモリカードが例えば、RF通信、光通信、直接電気通信、等を介して情報を測定器ハウジングに伝達しうるようにできる。これらの例では、測定器ハウジングを更に、データ又はその他の情報をカートリッジメモリ内にアップロード/入力させるように構成することができる。例えば、測定器ハウジングがカートリッジを最初に使用することに関する日付情報をこのカートリッジにアップロードするようにしうる。従って、カートリッジが異なる測定器ハウジング内に配置されている場合には、新たな測定器ハウジングによりカートリッジの最初の使用日をダウンロードするようにしうる。このことは、カートリッジがその最初の使用後に又は無菌包装から取出した後に制限された有効期限を有する場合に特に意味があるものである。他の例では、個別のメモリカード又はメモリチップをカートリッジに対してパッケージングするか、又は設けるか、又はこれらの双方を達成することができる。このメモリカード又はメモリチップは測定器の一部内に挿入して、情報を測定器に伝達するようにしうる。更に他の例では、ユーザ又は医師がカートリッジに関する情報を測定器内に手入力させることができる。
【0042】
図2A〜2Dに関して上述したカートリッジ(200)は複数の抽出装置を有しているが、カートリッジには単一の抽出装置を設けるようにしうることは勿論である。例えば、
図13A〜13Cは、単一の抽出装置(1302)を有するカートリッジ(1300)の実施例を示す。
図13A、13B及び13Cは、それぞれ単一の抽出装置を装填状態、伸長状態及び休止状態で示すカートリッジの断面側面図である。カートリッジは、
図13Aでは被覆材料(1384)を有するものとして示しているが、カートリッジを必ずしもこのようにする必要はない。被覆材料(1384)を有さないカートリッジの例では、装置の動作中に被覆材料(1384)の1個所以上を除去又は貫通処理するか、或いはこれらの双方を達成することができる。カートリッジ(1300)は、あらゆる箇所で説明する1つ以上の測定器ハウジングのような測定器ハウジング(図示せず)のカートリッジ収容室内に装填しうる。カートリッジ(1300)は、測定器ハウジングの内側に配置する場合には、撮像システム(1380)に対して位置決めし、以下に詳細に説明するようにカートリッジ(1300)の内部を、透明窓(1382)を通して見うるようにしうる。
【0043】
抽出装置(1302)は、ハブ(1390)、穿通部材(1388)及び線形ばね(1386)を有するものとして
図13A〜13Cに示してあるが、抽出装置(1302)は以下に詳細に説明するように如何なる素子をも又はこれら素子の組合せをも有しうることは勿論である。カートリッジ(1300)を測定器ハウジング内の適所に配置する場合、抽出装置(1302)を始動させることのできる1つ以上のトリガ機構を測定器が有するようにしうる。
図13A〜13Cに示す例では、1つ以上のトリガピン(1320)によりハブ(1390)の1つ以上のラッチ部(1322)を押圧して抽出装置(1302)を駆動させ、この抽出装置を
図13Aに示す装填状態から
図13Bに示す伸長状態に移動させ、最終的に
図13Cにおける休止状態に移動させるようにしうる。抽出装置(1302)は伸長状態及び休止状態の双方又は何れか一方にある際に流体試料を収集するように構成でき、この流体試料を分析するようにしうる(例えば、流体試料の収集前と、収集中と、収集後との何れか又はこれらの任意の組合せで撮像システム(1380)により抽出装置(1302)を可視化することにより流体試料の分析に役立つようにしうる)。流体試料の収集及び分析の双方又は何れか一方に続いて、カートリッジ(1302)を測定器ハウジングから取出し、未使用の抽出装置を有する新たなカートリッジを測定器ハウジング内に配置することができる。
【0044】
ここに開示する測定器と共に使用するのに適したカートリッジは、上述した素子又は特徴事項の如何なる組合せをも有することができるとともに、以下に記載する如何なる抽出装置をも又はこれら抽出装置の如何なる組合せをも有することができることは勿論である。
[抽出装置]
【0045】
上述したカートリッジは一般に、1以上の流体試料を得るか、又は1以上の流体試料を移送するか、又は1以上の流体試料と反応させるか、或いはこれらの任意の組合せを達成する1つ以上の抽出装置を有している。ここに開示する測定器に対しては、“MULTI-SITE BODY FLUID SAMPLING AND ANALYSIS CARTRIDGE ”と題する米国特許出願第11/529,614号明細書に記載されたような適切な如何なる抽出装置をも用いることができる。この米国特許出願明細書の内容は参考のために導入されるものである。抽出装置は一般に、抽出個所(例えば、皮膚表面)を穴抜き、又は貫通、又は穿通させるか、この抽出個所から流体試料を収集するか、或いはこれらの双方を達成するための1つ以上の穿通部材を有しうる。抽出装置は更に、穿通部材をカートリッジに対して移動させるハブ又はその他の構造体を有するようにしうる。更に、抽出装置は、流体試料と反応してこの流体試料の1種類以上の特性を表わしうる測定可能な反応(例えば、電気化学反応又は測光反応)を生じうる定量化部材を有しうる。
【0046】
図3A〜3Eは、ここに開示する測定器とともに用いるのに適した抽出装置(300)の例を示す。
図3A及び3Bはそれぞれ、抽出装置(300)の側面図及び分解斜視図を示す。ここには、ハブ(302)、針(304)、スタンドオフ(305)、パッド(306)、キャップ(308)及びねじりばね(310)が示されている。ハブ(302)はラッチ部(312)、ピボット棒(314)及びマイクロパターン化表面(316)を有しうる。この例では、ハブ(302)は、針(304)の内側の穴(317)がマイクロパターン化表面(316)と流体連通状態となるようにこの針(304)を保持しうる。パッド(306)又は他の定量化部材をマイクロパターン化表面(316)上に配置することができ、キャップ(308)はパッド(306)を少なくとも部分的に越えるように配置してこのパッド(306)をマイクロパターン化表面(316)に対して適所に保持するようにしうる。キャップ(308)には開口(318)又はその他ののぞき窓を設け、これを介してパッド(306)を見うるようにしうる。
【0047】
すぐ上に説明した抽出装置(300)の例では、ハブ(302)をカートリッジセル(322)に対して回転するように構成しうる。
図3C〜3Eは、抽出装置をカートリッジセル(322)に対して回転しうるようにする方法を示している。ピボット棒(314)は、カートリッジセル(322)の内側に配置させる場合に、これらピボット棒(314)はこれらがカートリッジに対して回転しうるようにこのカートリッジセル(322)の1つ以上の部分に係合するようにしうるが、さもなければこれらを適所に保持する。この場合、ピボット棒(314)はピボット点として作用させ、これを囲むように抽出装置(300)を休止状態に回転させるようにしうる。実際に、抽出装置(300)は、
図3C〜3Eにそれぞれ示すコックド(cocked)/プレファイヤード状態と、伸長状態と、休止状態との間に回転させることができる。測定器の撮像システムは、抽出装置(300)が静止状態にある際にこの抽出装置(300)の1個所以上の部分(例えば、パッド(306))を可視化するか、さもなければ撮像することができ、或いは抽出装置(300)がこれらの部分の幾つか又は全ての間で移動している際にも同様となるようにしうることは勿論である。
【0048】
プレファイヤード状態では、ねじりばね(310)を
図3Cに示すように圧縮された/巻かれたような状態にすることができる。この場合、このねじりばねは、後に抽出装置(300)を駆動するのに用いうるエネルギーを蓄積しうる。ばねは、ある場合に圧縮状態ではなく伸長又は曲げることができることは勿論である。ラッチ部(312)又は同様な構造体をセル(322)の一部に係合させ、これにより抽出装置(300)を一時的に適所に固定させるようにしうる。以下に詳細に説明するように、検査処置中、トリガ機構又はこれと同様な機構によりラッチ部(312)の係合を外すか、さもなければ抽出装置を解放させ、この抽出装置を自由に移動させるようにしうる。この際、ねじりばね(310)の圧縮が解除され/ほどかれ、ハブ(302)をピボット棒(314)の周りに回転させるようにすることができる。この場合、ハブはピボット棒(314)により得られるピボット点の周囲を回ってハブの前方に回転して、抽出装置(300)が
図3Dに示すように伸長状態に入るようにしうる。この状態では、抽出装置は、その針(304)又はその他の穿通部材が抽出個所(図示せず)を穴抜きするか、又は穿通するか、又は貫通し、流体試料(図示せず)を収集しうるように位置しうる。ある場合には、針(304)は伸長状態にある際にセル(322)の開口(326)を通って伸長するようにしうるが、必ずしもこのようにする必要はない。ハブ(302)は、調和的に往復回転させることができ、最終的に
図3Eに示すように休止状態に休止させることができる。ピボット棒(314)は、抽出装置をその周りに回転させうるピボット点として作用しうる為、針(304)は回転中に一定の経路をたどることができる。更に、抽出装置とカートリッジとの双方又は何れか一方は、以下に詳細に説明するように、ハブ(302)の戻り回転を制限する作用を行いうる1つ以上の突起部又はその他の素子を有しうる。
図3Eに示すように、針(304)は、休止状態にある際にカートリッジセル(322)内に完全に収納させ、これにより検査処置に続く偶然の針刺しのおそれを最少にするのに役立つようにしうる。
【0049】
抽出装置(300)は、カートリッジに対して回転するように構成されているものとして
図3A〜3Eに示してあるが、ここに開示する抽出装置はカートリッジに対して適切な如何なるようにも移動するように構成することができることは勿論である。例えば、ある例では、抽出装置をカートリッジセルに対して直線状に摺動又は移動するように構成することができる。これらの例のうちのある例では、抽出装置の一部(例えば、ハブ)が、カートリッジセル内の1つ以上の行路内で摺動又は移動するように構成しうる1つ以上の突起部(例えば、上述したピボット棒(314)に類似する突起部)を有することができる。これらの行路は直線状として抽出装置に対する直線経路を形成するか、又は湾曲/ジグザグ状にしてハブの多次元移動を達成するようにしうる。これらの例のうちのある例では、突起部が非円形又は非曲線の断面形状(例えば、長方形、正方形、等)を有し、これにより突起部を行路内で摺動させうるが、この行路に対する突起部の回転を阻止できるようにしうる。このことに加えて又はこのことに代えて、抽出装置が単一の行路内に配置された2つ以上の突起部を有し、これにより抽出装置がカートリッジに対して回転するのを阻止する役割を達成するようにもできる。これとは逆に、カートリッジが1つ以上の突起部/ピボット棒を有し、抽出装置が、突起部に沿って摺動しうるか又は突起部の周囲を回転しうるか、或いはこれらの双方を達成しうる1つ以上の行路を有するようにしうる。
【0050】
抽出装置(300)は、ねじりばね(310)を有するものとして
図3A〜3Eに示してあるが、抽出装置(300)を検査処置中に適切な如何なる機構によっても移動させることができることは勿論である。例えば、ある例では、抽出装置が1種類以上のばね(例えば、ねじりばね、線形ばね、板ばね、円錐ばね、等)を有するようにしうる。これらの例では、ばねを圧縮又は延伸形態に保持し、ばねを解放させた際に、ばねの蓄積エネルギーが抽出装置の1個所以上の部分を摺動、回転又は移動させうるようにすることができる。他の例では、1つ以上のアクチュエータにより抽出装置をカートリッジに対して摺動、回転又は移動させるようにしうる。例えば、ある例では、機械的に駆動されるアームを抽出装置の一部分(例えば、ハブ)に一時的に係合させて、抽出装置を摺動、回転又は移動させるようにすることができる。
【0051】
上述したように、ここに開示する抽出装置は、流体試料の収集を容易にするための1つ以上の穿通部材を有するようにしうる。この穿孔部材は、抽出表面を穴抜き、貫通又は穿通することのできる適切な如何なる構造にすることもできる。例えば、ある例では、穿通部材が中空針又は極微針を有するようにしうる。針は、適切な如何なる外径(例えば、約300〜600μm、約500μm、等)又はゲージ(20〜25、26〜36、等)や適切な如何なる内径(例えば、約25〜250μm)をも有するようにしうる。ある例では、中空針を、この針の穴を通して流体試料を収集し且つ移送するように構成することができる。ある例では、流体を毛管現象により針内に引込むのに充分に針の穴の直径を小さくする。他の例では、穿通部材がソリッドランセットを有するようにしうる。これらの例では、ランセットが、その表面に沿って流体を移送させるためにその表面上に1つ以上の流路/微小流路を有するようにしうる。ここに開示する穿通部材は、適切な如何なる材料(例えば、1種類以上の金属、ガラス、等)又はこれら材料の組合せからも形成でき、これに加えて、穿通部材に対する流体の流れを助長させる1種類以上の被膜(例えば、ポリジメチルシロキサン、Silwet(登録商標)、等)及び表面テキスチャリングの双方又は何れか一方を有するようにしうる。ある例では、1種類以上の被膜が、血液が穿孔部材内又はその上で凝固するのを阻止するのを促進するヘパリン又はその他の抗凝血剤を有するようにしうる。
【0052】
上述したように、抽出装置は、
図3A〜3Eに示すスタンドオフ(305)のような1つ以上のスタンドオフを有しうる。スタンドオフは、穿通部材(例えば、針又はソリッドランセット)の一部に取付けるか又はこの穿通部材の一部に少なくとも部分的に外接するか、或いはこれらの双方を達成するようにしうる。スタンドオフは、多数の有効な機能を達成しうる。ある例では、スタンドオフが、光をカートリッジセルに入り込むのを阻止するのを促進する作用を行いうる。例えば、上述した抽出装置(300)の例では、抽出装置(300)が(
図3D及び3Eにそれぞれ示すような)伸長状態又は休止状態に配置されていると、スタンドオフ(305)が開口(326)を少なくとも部分的に封鎖又は被覆するようにすることができる。この場合、スタンドオフ(305)は、光がカートリッジセルに入り込むのを殆ど阻止し、これにより迷光が測定器の光学系に入り込むのを最少にするのを促進することができる。ある例では、スタンドオフ(305)を、光がこのスタンドオフ(305)から反射してカートリッジに入り込むのを阻止するのを促進するマット又は吸光材料から形成しうる。
【0053】
他の例では、スタンドオフ(305)が流体試料の収集に役立つようにしうる。特に、ある例ではスタンドオフ(305)の少なくとも一部分を凹面形状にすることができる。ユーザは検査処置中に、(例えば、一滴の血液をスタンドオフ上にミルキングすることにより)流体試料の一部をスタンドオフ(305)の凹面形状面に送給するようにしうる。流体は、凹面形状面の底部に自然に定着し、ここで流体を針(304)の内腔(図示せず)に入れることができる。スタンドオフは更に、血液を針(304)に向けるのを促進させる1つ以上の溝又は条溝及び1つ以上の疎水性被膜の双方又は何れか一方を有するようにしうる。
【0054】
更に他の例では、スタンドオフ(305)が検査処置中に抽出個所の穿通深さ及び速度の双方又は何れか一方に影響を与えるか又はこれを制御するようにしうる。穿通部材は検査処置中に抽出個所に穴抜きを行う為、スタンドオフは抽出個所に係合して穿通部材の更なる前進を阻止するようにすることができる。ある例では、抽出装置の移動経路により穿通深さが必然的に制御又は制限されるか、或いはその双方が達成されるようになることは勿論である。ある例では、スタンドオフが穿通部材の穿通深さを制限する作用を行うようにしうる。これらの例のうちのある例では、スタンドオフを穿通中に皮膚に接触して圧縮しうる圧縮性材料から形成しうる。この圧縮は、穿通部材が抽出個所を穿通する際にこの穿通部材を減速させる作用をし、これにより穿通部材の穿通と関連する痛みを和らげる作用を達成するようにしうる。更に、圧縮されたスタンドオフ内に蓄積されたエネルギーが抽出個所を押圧し、穿通部材が組織を取出す速度を速めるようにすることができる。これに加えて又はこれに代えて、スタンドオフが穿通部材に対して摺動するようにしうる。これらの例では、スタンドオフが穿通処理中に皮膚と接触し、これによりスタンドオフを穿通部材に対し摺動させるようにしうる。スタンドオフと穿通部材との間の相対移動から得られる1個所以上の摩擦力が穿通部材の前進移動を制限するか又は抵抗するようにしうる。スタンドオフと皮膚との間の接触により大きな面積の圧力感知神経を刺激させ、これにより痛み感知神経からの痛み信号の伝達を阻止し、これにより穿通と関連する痛みを低減させるようにしうることも勿論である。
【0055】
抽出装置をカートリッジに対して回転させるようにばねを構成した例では、抽出装置の1個所以上の部分(例えば、ハブ)とカートリッジとの双方又は何れか一方を、抽出装置の回転を制限するように構成することができる。これらの例のうちのある例では、抽出装置の1個所以上の部分とカートリッジとの双方又は何れか一方を、抽出装置の前進回転を制限するように構成することができる。抽出装置がスタンドオフを有する例では、スタンドオフが、すぐ上に記載したようなハブの前進回転を制限するか又は制御するか、或いはこれらの双方を達成するのに役立つようにしうる。他の例では、ハブの1個所以上の部分がカートリッジの一部と相互作用してハブの前進回転を制限するか又は制御するか、或いはこれらの双方を達成するようにしうる。これに加えて又はこれに代えて、他の例では、抽出装置の1個所以上の部分とカートリッジとの双方又は何れか一方により抽出装置の後退回転を阻止するようにしうる。例えば、ある例では、抽出装置がカートリッジセルの1つ以上の突起部又はその他の部分と相互作用しうる1つ以上の止め部材を有し、相互作用点を越える後退回転を阻止するようにしうる。特に、抽出装置がコックド状態にある場合に、止め部材が突起部を初期形状とは異なるように湾曲又は屈曲させるようにしうる。ファイヤード状態にする場合、止め部材と突起部との係合を一時的に外し、この突起部がまっすぐになるか、さもなければその型を変更して、その前に止め部材により占められていたオープンスペースの幾らか又は全てに入り込むようにしうる。従って、突起部により止め部材の戻り経路の一部を封鎖し、これにより後退回転を制限するようにしうる。これに加えて又はこれに代えて、抽出装置がコックド状態にある場合に、止め部材の1つ以上を湾曲又は屈曲させるか、ファイヤリング(firing)後に止め部材の1つ以上をまっすぐにすることができる。同様に、湾曲されていない止め部材の戻り経路をカートリッジの突起部により封鎖して後退回転を阻止するようにしうる。抽出装置は回転範囲を制限するように構成することができるが、抽出装置を回転限界の一方での又は回転限界の間での(例えば、穿通部材が刺創内に又はそのすぐ上に休止するような)休止状態で停止するように構成しうる。抽出装置が直線方向に移動する例では、抽出装置とカートリッジとの双方又は何れか一方を、この直線方向の移動を制限するか又は制御するか、或いはこれらの双方を達成するように構成することができることも勿論である。
【0056】
ある例では、抽出装置は、流体試料を抽出装置の一部分からこの抽出装置の他の部分に移送させる(移す)ように構成することができる。例えば、上述した抽出装置(300)の例では、針(304)により採取した流体試料が(例えば、毛管現象により)この針の穴を通ってハブ(302)のマイクロパターン化表面(316)に至るようにしうる。この表面(316)は、流体試料を針の穴から引出してこの表面(316)にまたがるように拡散させるための1つ以上の溝、条溝及び流体路の何れか又は任意の組合せを有するようにしうる。これらの表面は、定量化部材(例えば、パッド(306))の湿潤化を迅速且つ均一にするのを促進させることができる。例えば、ある例では、抽出装置が流体試料と反応するように構成した試薬/分析パッドを有するようにする。これらの例のうちのある例では、流体試料がパッドにまたがるように拡散する速度が、流体試料と試薬との間の反応速度に比べて遅くなるようにしうる。この場合、パッドの一点における反応を、血液がパッドの他の点に到達しうる前に終了するようにしうる。ある例では、流体試料は試薬にまたがって迅速に拡散し、反応がパッドの異なる部分で同じような時間に生じるようにするのが望ましい。このことは、流体試料の分析が、この流体試料とパッドとの間の反応速度を測定することを含む場合に、望ましいこととしうる。マイクロパターン化したハブ表面は、定量化部材の表面にまたがる流体試料の拡散をより迅速にする作用を達成しうる。(以下に詳細に説明する)ある例では、マイクロパターン化したハブ表面は、流体を定量化部材に接触させる前にこの流体をこのハブ表面にまたがって拡散するように構成しうる。これらの例のうちのある例では、流体試料が試薬パッドの異なる部分に同時に接触するようにしうる。これらの例のうちの他の例では、流体試料が試薬パッドを指向的に(例えば、定量化部材の一方の側から定量化部材の他方の側に)湿潤させるようにしうる。
【0057】
上述したように、ハブ表面には、流体試料を針の穴から引出してこのハブ表面にまたがるように拡散させるための1つ以上の溝、条溝及びパターン化流体路の何れか又は任意の組合せを有するようにしうる。これらの流体路は、流体の流れに対する抵抗を小さくすることができ、従って流体がこれらの流体路に沿って移動してパッドの異なる部分により吸収しうるようになる。更に、流体路は、その寸法及び間隔に応じて毛管現象により流体を能動的に引込み、これにより流体を針から引込む速度又は程度を高めうるように構成することができる。パターン化した表面は、適切な如何なる形状を有することもできる。ある例では、この表面が、“DEVICES AND METHODS FOR FACILITATING FLUID TRANSPORT”と題する米国特許出願第11/239,123号明細書に記載されたような1つ以上の溝又は条溝を有するようにしうる。この米国特許出願明細書の内容は参考のために導入されるものである。
【0058】
図4は、パターン化表面を有するハブ(401)を具える抽出装置(400)の一例を示す。この
図4に示すように、ハブ(401)は、下側表面(402)と、上側表面(404)と、下側表面(402)から延在する複数の柱状体(406)と、上側表面(404)内の条溝(407)とを有しうる。定量化部材(例えば、試薬パッド)をハブ(401)上に配置する場合、定量化部材(図示せず)は上側表面(404)と柱状体(406)の頂部との双方又は何れか一方の上に載置できる。柱状体(406)は、これら柱状体間の間隔が毛管現象を生ぜしめるように配置でき、この毛管現象が流体を流体源(408)(例えば、針の穴)から、すなわち入口(410)から引込むとともに、この流体を下側表面(402)にまたがって拡散させるようにしうる。例えば、ある例では、隣接柱状体間の間隔を約0.002インチ(1インチは2.54cm)と0.005インチとの間にすることができる。柱状体により生ぜしめられる毛管現象は複数の流路を生ぜしめるものであり、流体のこれらの流路は相互連結されている為、2つの隣接柱状体(406)間の間隔を(例えば、パッド又はその他の破片により)封鎖することにより、流体を排出するハブ(401)の能力を殆ど変えることがないようにしうる。その理由は、試料は1つ以上の代わりの流路を通って同じ目的地に到達しうる為である。
【0059】
ある例では、パターン化表面は、これを流体に接触させる前にある量の流体をこのパターン化表面内に引込むように構成することができる。例えば、
図4に示すハブ(401)のパターン化表面の例では、流体を定量化部材(例えば、試薬パッド)に接触することなく下側表面(402)にまたがるように拡散させるのに、柱状体(402)が充分高くなるように(例えば、約0.005インチになるように)することができる。流体試料が下側表面(402)にまたがって拡散されると、流体レベルは定量化部材のレベルに到達するまで上昇しうる。この時点で、流体試料は定量化部材の異なる部分にほぼ同時に接触し、より一貫性が有り容易に測定される反応が得られるようになる。更に、ある例では、下側表面(402)を、流体が定量化部材に接触する前にある量(例えば、定量化部材との反応を終了させるのに充分な量)の流体を収集するように構成しうる。収集される試料の量が不充分である場合には、流体が定量化部材に到達せず(従って、反応が生ぜず)、この時点で、追加の流体を抽出装置に供給するようにする警報をユーザに発するように測定器を構成することができる。
【0060】
図4に示すように、流体源(408)は下側表面(402)に対して中央に配置することができる。これらの例では、流体を放射状に拡散するように構成することができる。他の例では、流体源を下側表面の一端の方向に配置することができ、流体を方向的に流体源から離れるように引込むように構成することができる。上述したパターンは、例えば、型成形、レーザアブレーション、電極放電加工、エッチング又は他の適切なマイクロマシニング技術のような適切な如何なる方法でも形成しうる。更に、マイクロパターン化表面は、例えば、ヘパリン被膜、界面活性剤被膜、湿潤剤、これらの組合せ、等のような1種類以上の被膜を有するようにしうる。
【0061】
定量化部材がパターン化表面上に配置されると、ガスがパターン化表面の流路内に入るようにこの定量化部材の下側に捕捉されるおそれがある。流体試料が流体源(例えば、上述したように針の穴)を介してパターン化表面に導入される際、この捕捉されたガスが毛管現象を妨害するおそれがあり、さもなければパターン化表面の1つ以上の流路に沿う流体の流れに悪影響を及ぼすおそれがあり、これにより更に定量化部材に到達してこれと反応する流体試料の能力に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、ここに記載する装置のある例では、パターン化表面の1個所以上の部分を1個所以上の通気孔又はガス収集領域に流動的に連結することができる。例えば、
図4に関して上述したハブ(401)の例では、上側表面(404)内の条溝(407)が流路を形成し、流体が下側表面(402)にまたがって拡散された際に捕捉ガスをこの流路内に押出すようにしうる。これらの例のうちのある例では、ガスが条溝(407)を通過して抽出装置(400)から出るようにすることができる。例えば、キャップ(図示せず)を定量化部材上に配置してこれを適所に保持する場合のある例では、ガスがパターン化表面から条溝を経て(例えば、キャップ内の1つ以上の条溝又は孔を経て、又はハブとキャップとの間のオープンスペースを経て)キャップを通過するようにキャップを形成することができる。他の例では、ガスがキャップを通過して移動できない場合が有り、従って、ガスを条溝(407)内に収集しうるようにする。
【0062】
ハブ(401)は、
図4では単一の条溝(407)を有するものとして示してあるが、適切な任意の個数(例えば、0、2、3又は4以上)の条溝を有するようにしうることは勿論である。複数の条溝を有する例は、1つ以上の条溝が破片により塞がれた状態になるか、さもなければガスを条溝内に収集させること及び条溝を通過させることの双方又は何れか一方を達成できないように封鎖された場合に特別な有効性を見いだすことができるものである。更に、ハブ(401)は、流体源(408)に連結された1つの流体入口(410)を有するものとして
図4に示してあるが、適切な任意の個数の入口を有しうるものである。
【0063】
図22A及び22Bはそれぞれ、ハブ(2202)を有する抽出装置(2200)の例の一部を示す斜視図及び頂面図である。これらの図に示すように、ハブ(2202)は、下側表面(2201)を有するパターン化表面と、上側表面(2203)とを具えるとともに、複数の柱状体(2204)と、分流器(2210)により連結された第1の流体入口(2206)及び第2の流体入口(2208)と、条溝(2212)とを具えている。第1の流体入口(2206)及び第2の流体入口(2208)と、分流器(2210)とは穴(2214)を囲むようにしうる。穴(2214)は皮膚穿通部材に流動的に連結し、この皮膚穿通部材により収集された流体試料が穴(2214)に送給されるようにしうる。分流器(2210)は、穴の直径が下側表面(2201)と上側表面(2203)との間で増大するように構成及び配置することができる。穴の直径が増大すると、穴(2214)により生ぜしめられる毛管力が減少し、これにより流体の横方向の拡がりを助長しうる。流体の横方向の広がりを助長することにより、ハブは、流体レベルが(試薬パッドのような)定量化部材に到達する前にある量の流体を収集ように構成しうる。同様に、第1及び第2の流体入口を下側表面(2201)と上側表面(2203)との間で広げ、これにより流体の横方向の広がりを助長するようにすることもできる。詳細に上述したように、柱状体(2204)を第1の流体入口(2206)及び第2の流体入口(2208)に対して配置し、詳細に上述したように、毛細管流動が柱状体(2204)を囲むように生じるようにしうる。ある例では、柱状体(2204)の直径を下側表面(2201)と上側表面(2203)との間で減少させ、これによりすぐ上で説明したように横方向の流れを助長するようにしうる。
【0064】
図17A及び17Bはそれぞれ、ハブ(1702)を有する抽出装置(1700)の他の例の一部を示す斜視図及び頂面図である。これらの図に示すように、ハブ(1702)は、上側表面(1704)と、穴(1706)と、複数の流体条溝(1708)と、分流器(1701)とを具えている。これらの図に示すように、各流体条溝(1708)は、互いに隣接する2つの分流器(1701)間に配置することができ、穴(1706)と、上側表面(1704)との間に延在する傾斜面を有しうる。流体条溝(1708)は、流体を穴(1706)から引出して、流体条溝(1708)及び分流器(1701)の上方に配置しうるとともに少なくとも部分的に上側表面(1704)上に載置しうる定量化部材(例えば、試薬パッド)に流体を送給する毛管力を生じることができる。流体条溝(1708)の幅は、(流体条溝(1708)がより浅くなるように)穴(1706)と上側表面(1704)との間で増大させることができる。流体条溝(1708)の幅が増大するにつれ、流体条溝(1708)により得られる毛管力を減少させることができる。これにより、流体条溝(1708)の各々を等しく充填させるのを促進させ、その結果、流体を定量化部材により一層均一に送給するようにしうる。
【0065】
図17A及び17Bに示すハブ(1702)の例では、分流器(1701)が、ハブ(1702)の上側表面(1704)と平行な上側表面(1710)を有する第1の複数の分流器と、穴(1706)の方向に向けて下方に傾斜した上側表面(1710)を有する第2の複数の分流器とを具えるようにしうる。定量化部材(図示せず)は、第1の複数の分流器の上側表面(1710)上に載置し、これにより定量化部材が穴(1706)の方向に屈曲するのを回避するのを助けるようにしうるとともに、第2の複数の分流器により流体を試薬パッドの大きな領域に達するようにしうる。しかし、ある例では、各分流器(1701)の上側表面(1710)をハブ(1702)の上側表面(1704)と平行にすることができ、他の例では、各分流器(1701)の上側表面(1710)を穴(1706)に向けて傾斜させることができることは勿論である。
【0066】
上述したように、ここに開示した抽出装置は、流体試料と反応して測定可能な結果を生じるようにする1つ以上の定量化部材を有するようにしうる。定量化部材は、流体試料と電気化学又は光化学反応するように構成することができる。例えば、ある例では、抽出装置が、
図3Bに示すパッド(306)のような1種類以上の試薬/分析パッドを有するようにしうる。これらのパッドは、流体試料と反応させるための1種類以上の化学試薬を含みうる1種類以上の吸収材量(例えば、ニトロセルロース)から形成しうる。これらの化学試薬は、流体試料と反応して、測定器の1個所以上の部分により検出又は測定しうる、或いはこれらの双方を達成しうる1種類以上の測定可能なパラメータ(例えば、色変化、電気化学反応、等)を生じるようにすることができる。定量化部材が測光反応を生じるように構成されている例では、以下に詳細に説明するように、定量化部材を1つ以上の撮像システムを用いて撮像することができる。定量化部材が電気化学反応を生じるように構成されている例では、抽出装置が、電気化学反応を測定又は定量化するための1つ以上の電極を有するようにしうる。更に、ここに開示する抽出装置に対しては、適切な如何なる測光又は電気化学定量化部材をも用いることができることは勿論である。
【0067】
簡潔に上述したように、定量化部材をハブに対して適所に保持するのにキャップ又はその他の保持用構造体を用いることができる。例えば、
図3A〜3Eに関して上述した抽出装置(300)では、パッド(306)をハブ(302)のマイクロパターン化表面(316)に対向して保持しうる。ここに示したように、キャップ(308)は開口(318)を有し、以下に詳細に説明するように、1つ以上の撮像システムを用いてこの開口を介してパッド(306)を見うるようにすることができる。このことは、定量化部材を光学的に撮像したい場合に特別な有効性が得られるものである。キャップ(308)は、
図3Bでは開口(318)を有するものとして示してあるが、この開口に加えて又は代えて透明材料から成る1つ以上ののぞき窓を有するようにしうる。
【0068】
ここに開示したキャップは適切な如何なる方法でもハブに係合させることができる。ある例では、キャップをハブの一部として一体に形成するようにしうる(例えば、ハブと関連する押上げ式の蓋として形成するようにしうる)。他の例では、キャップをハブに対向してプレス嵌めするようにしうる。更に他の例では、キャップを、1つ以上の掛け金又はその他の取付け機構を介してハブに取付けるようにしうる。ある例では、キャップをハブに取付ける際に、キャップとハブとの間で定量化部材の少なくとも一部を押圧するようにこのキャップを構成することができる。定量化部材のこの押圧は、流体試料を引込む又は流体試料と反応する定量化部材の能力に影響を及ぼすおそれがある。キャップがのぞき窓を有する例では、こののぞき窓により覆われた定量化部材の部分を押圧しないようにし、従って、定量化部材のこの部分が押圧により影響されないようにしうる。従って、定量化部材の見えない部分の押圧により、流体がこの見えない部分により吸収されるのを制限しうる。キャップをハブに対向させてプレス嵌めする例では、キャップをハブに対向させて調整可能に押圧し、定量化部材を調整可能に押圧するようにしうる。
【0069】
以下に説明するように、抽出装置が撮像システムによる可視化を達成するように構成されているある例では、迷光(例えば、光源により発生された迷光又は定量化部材により反射された迷光)を偏向、吸収又は捕捉する1つ以上の光変更特性をキャップが有するようにしうる。
図5A〜5Cは、ここに開示する抽出装置と共に用いるのに適した種々のキャップの例を示している。
図5Aに示すように、キャップ(500)は、開口(504)を囲むテーパー付の凹所(502)を有するようにしうる。このテーパー付の凹所(502)は光を偏向又は捕捉するように作用しうる。テーパー付の凹所は、
図5Aでは直線的にテーパーが付いているように示してあるが、1つ以上の曲線をたどるようにすることもできる。例えば、湾曲したテーパー付の凹所(508)を有するキャップの他の例を
図5Bに示す。これに加えて又は代えて、テーパー付の凹所が1つ以上の段部を有するようにすることができる。例えば、複数のテーパー付の段部(512)を有するキャップ(510)の例を
図5Cに示す。
【0070】
更に、ある例では、キャップを、測定器ハウジングの撮像システムに対する基準色として作用しうる着色材料から形成しうる。ある例では、光学系がキャップの色を用いて、(例えば、キャップの測定した色が期待した色と異なるかどうかを決定することにより)撮像システムがとらえた色又は輝度の読みを校正するようにしうる。これに加えて又は代えて、キャップの色により、撮像システムがキャップと定量化部材との間の境界を識別するようにしうる。この境界は、定量化部材を可視化する際の基準位置として用いることができる。
【0071】
抽出装置は、上述したような適切な如何なる特徴をも有する如何なる素子又はこれら素子の組合せをも具えることができることは勿論である。
[測定器ハウジング]
【0072】
ここに開示する測定器には測定器ハウジングを設けることができる。一般に、測定器ハウジングには、より詳細に上述したカートリッジのような1つ以上のカートリッジを収容し、測定器に検査処置(例えば、流体試料の収集、移送及び分析)を実行するのに必要な構成要素の全てを提供するようにしうる。上述したように、測定器ハウジングは使い捨てとなるように構成するか、又は再使用しうるように構成する(例えば、複数のカートリッジと共に用いるように構成する)ことができる。測定器ハウジングは手持ちで使用するように構成しうるが、装着可能な測定器として一時的に身体に取付けるように構成することもできる。例えば、ある例では、測定器ハウジングが(例えば、リストバンドのような)1つ以上のストラップ又はその他の身体取付け素子を有することができる。
【0073】
図6A〜6Dは、ここに開示した測定器と共に用いるのに適した測定器ハウジング(600)の一例を示す。特に、
図6A〜6Cはそれぞれ、測定器ハウジング(600)の正面図、部分的に断面とした正面図及び断面図を示している。
図6Dは、カートリッジ(602)を係合させている断面の測定器ハウジング(600)を示している。ここに示すように、測定器ハウジングは、ディスプレイ(603)と、ボタン(604)と、ポート(606)と、カートリッジ収容室(608)と、ドア(609)と、光学系(611)及び光源(612)を有するタワー(610)と、回転素子(613)と、始動機構(614)と、バーコード読取器(616)と、光検出器(618)と、ホイルパンチ(620)と、トリガ機構(622)とを有しうる。測定器ハウジング(600)のこれらの種々の構成要素は測定器を動作させるのに役立ちうるものであり、これらの各々を以下に詳細に説明する。
図6A〜6Cには図示していないが、以下に詳細に説明するように、1つ以上のカートリッジ係合突起部をドア(609)に設けることができる。
【0074】
ここに開示する測定器ハウジングには、
図6Aに示すディスプレイ(603)のような1つ以上のディスプレイを設けることができる。ディスプレイ(603)は、情報(例えば、バッテリ/電力情報、検査結果、得られる検査個所の番号、合図/警報、等)をユーザに伝達するのに用いることができる。これに加えて又は代えて、1種類以上の音声警報と1種類以上の触覚警報(例えば、振動警報、等)との双方又は何れか一方を介して情報をユーザに伝達することができる。例えば、ある例では、音声情報を(例えば、音声プロンプト又はデータ放送を介して)ユーザに中継するように構成した1つ以上のスピーカを測定器ハウジングが有するようにしうる。
【0075】
ここに開示する測定器ハウジングには、測定器を動作させるために、1つ以上のボタン、レバー、スイッチ、センサ又はその他の構造体を設けることもできる。例えば、
図6Aに示す測定器ハウジング(600)には、ボタン(604)を設けることができる。測定器ハウジング(600)には適切な如何なる個数ものボタン(例えば、0、1、2、3又は4以上の個数のボタン)を設けうることは勿論である。これらのボタン(又は上述したような他の構造体)は適切な如何なる機能をも果たすように構成することができる。ある例では、測定器をターンオン又はターンオフさせるか、測定器をハイバネーティング(休止)状態から活動させるか、又は測定器をハイバネーティング状態にするように1つ以上のボタンを構成することができる。他の例では、1つ以上のボタンを用いて、測定器から情報(例えば、前の検査結果、カートリッジに関する情報、等)を呼び出し、この情報をディスプレイ上に表示するか、又は聴覚的に伝達するようにすることができる。更に他の例では、ボタンを用いて測定器に情報(例えば、校正コード、データ情報、等)を入力し、この情報を測定器ハウジング又はカートリッジのメモリ素子内に蓄積するようにすることができる。更に他の例では、1つ以上のボタンを用いて、以下に詳細に説明するように特定のユーザを認証するようにしうる。これに加えて又は代えて、1つ以上のボタンを用いて、以下に詳細に説明するように検査処置を開始するようにしうる。1つのボタン(又は複数のボタン)がすぐ上に説明した動作の組合せのような多数の機能を果たすようにしうることは勿論である。更に、これらの動作を、適切な如何なる装置又は構造体(例えば、1つ以上のレバー、スイッチ、トグル、タッチスクリーン、センサ、これらの組合せ、等)によっても達成しうることは勿論である。
【0076】
測定器ハウジングは、情報(例えば、検査結果、校正コード、検査手順、等)を記憶させるためのメモリ又はその他の内部回路を有するようにしうる。ある例では、1種類以上の外部構成要素(例えば、コンピュータ、サーバ、等)に対しデータを送信又は通信するように測定器ハウジングを構成し、これにより測定器が測定器ハウジング内に記憶されたデータ(例えば、検査データ)をアップロード又は伝送しうるようにすることができる。このデータはその後に(手動又は自動的に)分析することができるとともに、このデータにより、ユーザ、医師又はヘルスケア提供者が、患者の1種類以上の病状(例えば、糖尿病)を管理する際に所定の処置、薬、食事療法又は運動療法の有効性を評価しうるようにする。測定器ハウジングは更に、情報又はデータ(例えば、日時情報、校正コード、抽出手順、ソフトウェアの更新、ハードウェアの更新、等)を外部情報源からダウンロードするように構成することができる。ある例では、測定器ハウジングが、コンピュータ又はその他の装置に直接接続するための通信ポート又はデータポート(例えば、USBポート、ファィヤーワイヤー(FireWire:登録商標)ポート、等)を有するようにしうる。他の例では、“MEDICAL DIAGNOSTIC DEVICES AND METHODS”と題する米国特許出願第12/457,332号明細書に記載されているように、情報を外部情報源から無線で送信及び受信の双方又は何れか一方を行うように測定器ハウジングを構成しうる。この米国特許出願明細書の内容は参考のために導入されるものである。更に他の例では、測定器がメモリカード読取器を有するようにしうる。これらの例では、ユーザはメモリカード又はメモリチップを読取器内に入れてデータ又は情報を測定器ハウジングに供給することができる。ある例では、メモリカードには、校正コード及び有効期限情報の双方又は何れか一方のような、特定のカートリッジに特有の情報を入れることができる。
【0077】
図6A及び6Cに示すように、測定器ハウジング(600)には1つ以上のポート(606)を設けることができる。一般に、ポート(606)は測定器ハウジング(600)内に開口(624)を提供し、この開口を経てカートリッジの抽出装置が流体試料を収集するようにしうる。例えば、ユーザは、1個所以上の皮膚表面(例えば、指、手のひら、つま先、腕、脚、胃、等の一部)又はその他の抽出個所(例えば、コントロール溶液の小瓶の一部)をポート(606)に対して配置でき、且つ検査処置を開始しうる(ある例では、抽出個所をポート(606)に対向させて配置することにより検査処置を開始しうる)。検査処置中、抽出装置(図示せず)の穿通部材はポート(606)内の開口(624)を介して駆動され、抽出個所を穴抜きするか又は貫通させるようにしうる。これに加えて又は代えて、抽出個所の1個所以上の部分を、開口(624)を介して押圧し、ここで抽出装置により穴抜きを行うようにしうる。
【0078】
ポート(606)は、“BODY FLUID SAMPLING DEVICE - SAMPLING SITE INTERFACE”と題する米国特許出願第12/457,085号明細書に記載された1つ以上の装置のような適切な如何なる構造体をも有することができる。この米国特許出願明細書の内容は参考のために導入されるものである。例えば、ある例では、
図6A及び6Cに示す測定器ハウジング(600)のように、ポート(606)は、このポート(606)に力を加えた際に、屈曲又は湾曲するか或いは移動しうる柔軟性リング(626)を具えることができる。これらの変化は、以下に詳細に説明するように、力を、ポートを介して測定器の他の部分に伝達するのを望んでいる場合に、特別な有効性を得るようにしうるものである。
【0079】
測定器ハウジング(600)内にはカートリッジ収容室(608)を介して1つ以上のカートリッジ(602)を配置することができる。特に、測定器ハウジング(600)のドア(609)を開放することにより、カートリッジ収容室(608)にアクセスできるようになり、その後カートリッジ(602)を内部に挿入しうる。次に、ドア(609)を閉じてカートリッジ(602)を
図6Dに示すように適所に保持するようにしうる。測定器ハウジング(600)は、カートリッジをこの測定器ハウジングに対して適所に整列させるか、係合させるか、保持するか、或いはこれらの任意の組合せを達成するための1つ以上の構造体を有することができる。例えば、タワー(610)により、カートリッジを測定器ハウジング(600)の1個所以上の部分に対して適所に整列又は保持することができる。例えば、タワー(610)が撮像システム(611)を収容する例では、以下に詳細に説明するように、このタワー(610)が(例えば、カートリッジ(602)とドア(609)の1個所以上の部分との間の係合を介して)カートリッジ(602)を撮像システム(611)に対して適所に保持するようにしうる。
【0080】
ここに開示する測定器ハウジングは、カートリッジを測定器アセンブリの1個所以上の部分に対して回転させるのに用いうる1つ以上の回転素子を有することができる。例えば、
図6A〜6Dに示す上述した測定器ハウジング(600)の例では、測定器ハウジング(600)が、タワー(610)に対して回転しうる回転素子(613)を有することができる。回転素子(613)はティース(624)、コグ(cog )又はその他の構造体を有することができ、これらはカートリッジのティース、コグ又は同様な構造体(例えば、
図2A〜2Dに関して詳細に上述したカートリッジ(200)のティース(209))に係合しうる。従って、カートリッジ(602)が
図6Dに示すように測定器ハウジング(600)内に配置されると、回転素子(613)とカートリッジ(602)との間の係合により、カートリッジ(602)を回転させることができる。その理由は、回転素子(613)が測定器ハウジング(及びタワー(610))に対し回転する為である。カートリッジ(602)の回転は、以下に詳細に説明するように、カートリッジのインデキシングに役立つことができるか、又は新たな抽出装置を検査処置で用いるための適所に配置することができ、或いはこれらの双方を達成することができる。
【0081】
ある例では、回転部材はカートリッジ(例えば、カートリッジ(602))を測定器ハウジングに対して整列させるのに役立つようにしうる。例えば、
図6A〜6Dに関して上述した測定器ハウジング(600)の例では、カートリッジ(602)をカートリッジ収容室(608)内に押込められるか又は挿入する際、ティース(624)の傾斜部(625)はカートリッジ(602)のティース(図示せず)の対応する傾斜部に沿って摺動するようにでき、このことがカートリッジ(602)を回転素子(613)に対して回転及び自己整列させる作用を達成しうる。この自己整列特性により、カートリッジ(602)を回転部材に対して適切に配置するのに必要とするデクステリティ(巧みさ)を低減させることができる。上述した回転素子(613)はカートリッジを回転させるとともに整列させることができるが、他の例では、別個の機構を用いてカートリッジを回転及び整列させることができる。更に他の例では、測定器ハウジングが、回転機構の無い整列機構を有するようにしうる。
【0082】
検査処置を開始する場合、流体試料を収集するために抽出装置をトリガ、始動、解放又は移動させる必要がある。この場合、抽出装置を始動させるための1つ以上のトリガ機構を測定器ハウジングに設けることができる。抽出装置をばねにより移動させるように構成する例では、トリガ機構は、ばねを伸長状態、圧縮状態、巻かれた状態又は拘束状態から解放するように構成しうる。他の例では、トリガ機構を少なくとも一時的に抽出装置の一部に係合させて1つ以上の状態間で(例えば、プレファイヤリング(pre-firing)状態と伸長状態との間で)移動するようにしうる。
【0083】
トリガ機構は、参考のために前述した米国特許出願第11/529,614号明細書に記載されたような適切な如何なる機構にもすることができる。
図8A〜8Cは、ここに開示する測定器と共に用いるのに適したトリガ機構(800)の適切な一例を示す。
図8A〜8Cは、特にカートリッジセル(802)と、2部分の開始部材(804)を有するトリガ機構(800)とを示す側面の断面図である。ここに示すように、開始部材(804)は真空チューブ(805)及びトリガピン(806)を有し、これらの双方は基部部材(808)に取付けられているようにすることができる。この開始部材(804)は測定器ハウジング(図示せず)に取付けるか又は測定器ハウジングにより移動させるか、或いはこれらの双方を達成するようにしうる。特に、真空チューブ(805)及びトリガピン(806)は、1つ以上の駆動機構により基部部材(808)を介して同時に前進させたり、後退させたりすることができ、且つ検査処置を促進させるためにカートリッジセル(802)内に入れるようにしうる。例えば、開始部材(804)は3種類以上の状態間で移動しうるようにしうる。第1の“プレファイヤード”状態では、
図8Aに示すように、開始部材(804)の全体をカートリッジセル(802)の外部に位置させることができる。検査処置の開始時には、真空チューブ(805)の一部分がカートリッジセル(802)の壁部内の開口(810)を通ってカートリッジセル(802)内に入るとともに少なくとも部分的にこのカートリッジセル(802)内に延在している第2の状態に開始部材(804)が移動するようにしうる。開始部材(804)がこの第2の状態に移動する際、真空チューブ(805)は、開口(814)を覆っている被覆材料(図示せず)を穴抜き又は貫通しうることは勿論である。
【0084】
この第2の状態になった時点で、真空チューブ(805)を真空ポンプに連結しうるとともに、カートリッジセル(802)に真空圧力を加えるようにすることができる。カートリッジセル(802)に真空圧力を加えることにより、真空チューブ(805)は、カートリッジセル(802)と係合する皮膚表面に真空圧力を加えることができる。充分なレベルの真空をカートリッジセル(802)に加えた後に、開始部材(804)を第3の“ファイヤリング”状態に移動させることができる。この状態では、トリガピン(806)をカートリッジセル(802)内に入れるとともに少なくとも部分的にこのカートリッジセル(802)内に延在させることができる。トリガピン(806)がカートリッジセル(802)内に入る際、このトリガピン(806)を、ハブ(820)のラッチ部(818)のような抽出装置(816)の1個所以上の部分に係合させてこの抽出装置(816)を移動させるようにすることができる。これにより、
図8Cに示すようにラッチ部(818)を解放させて抽出装置(816)をカートリッジセル(802)に対して移動させることができる。その後、開始部材(804)をその第1の状態に復帰させ、(同じカートリッジ又は異なるカートリッジからの)新たなカートリッジセルを開始部材(804)と整列されるように配置し、この開始部材(804)が他の抽出装置をトリガするようにしうる。
【0085】
図8A〜8Cに示す真空チューブ(805)及びトリガピン(806)の双方を基部部材(808)により移動させる間、真空チューブ(805)とトリガピン(806)とは別々に駆動させることができることは勿論である。ある例では、真空チューブとトリガピンとを互いに独立的に移動させることができる。更に他の例では、開始部材が、真空チューブとトリガピンとの双方として作用する単一部材を有するようにする。これらの例では、この単一の部材を、カートリッジの外部の第1の状態から、この単一の部材がカートリッジ内に部分的に延在している第2の状態に移動させることができる。この第2の状態で、この単一の部材がカートリッジに真空圧力を加えることができる。次に、この単一の部材をカートリッジの内部の第3の状態に移動させ(例えば、カートリッジ内に更に前進させ)、抽出装置をトリガすることができる。例えば、
図1A〜1Dに示すトリガ機構(107)及び
図6A〜6Dに示すトリガ機構(622)の各々が、すぐ上で説明したように、真空チューブ及びトリガピンの双方として作用する部材を有するようにしうる。
【0086】
ある例では、測定器ハウジングが1つ以上のバーコード読取器を有するようにしうるが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、
図6A〜6Dに関して上述した測定器ハウジング(600)の例では、測定器ハウジングがバーコード読取器(616)を有しうる。カートリッジがその表面上に1つ以上のバーコードを有する例では、バーコード読取器(616)を、バーコードに含まれる情報を走査又は読取るように構成しうる。カートリッジが測定器ハウジング(600)に対して(例えば、回転素子(613)を介して)回転するか又は移動するように構成されると、カートリッジが回転又は移動された際にバーコード読取器はバーコードを走査しうる。
【0087】
更に、ある例では、測定器ハウジングが、被覆材料の1個所以上の部分に貫通処理するか、剥離処理するか、移動処理するか又はその他の処理により被覆材料の1個所以上の部分を除去するための1つ以上の素子を有するようにしうる。ある例では、
図6A〜6Dに示し詳細に上述した測定器ハウジング(600)のように、測定器ハウジング(600)はパンチ(620)を有しうる。このパンチ(620)を1つ以上の開口(図示せず)を介してカートリッジセル内に前進させて、開口を被覆する被覆材料(図示せず)を破断、切断、除去又は移動させることができる。その後、抽出装置を、被覆されていない開口を経て前進させて、流体試料を抽出個所から収集するようにしうる。
【0088】
図6Bには光源(612)及び光検出器(618)も示してある。光源(612)は、光を光センサ(618)の方向に指向させるように構成でき、この光源はあらゆる箇所で説明するような適切な如何なる光源にもすることができる。光検出器(618)は、測定器ハウジングの内側の(例えば、カートリッジ収容室内の)所定の個所で光を測定するように構成しうる。
図6Dに示すように、カートリッジ(602)が測定器ハウジング(600)の内側に配置されている場合、光源(612)及び光検出器(618)は、以下に詳細に説明するように、カートリッジの完全性を確認するのに役立つことができる。
[タワー]
【0089】
すぐ上で述べたように、ここに開示する測定器ハウジングは、カートリッジを測定器ハウジングに対して適所に整列又は保持するための1つ以上のタワー又はその他の構造体を有しうる。タワーを有する測定器ハウジングの例では、タワーを測定器ハウジングに対して固定させるか又は測定器ハウジングに対して移動しうるようにできる。タワーを測定器ハウジングに対して移動しうるようにした例では、タワーをこれに対する如何なる方向にも移動しうるようにできる。ある例では、タワーを測定器ハウジングの長手軸線に対して横方向に移動しうるようにできる。これに加えて又は代えて、タワーを測定器ハウジングの長手軸線に対して回転するように構成することができる。又、これに加えて又は代えて、タワーを測定器ハウジングの長手軸線の周りに回転するように構成することができる。
【0090】
図7A及び7Bは、タワー(700)の例を、測定器ハウジング(図示せず)の長手軸線(702)に対して軸線方向に移動するのと、この長手軸線に対して回転するのとの双方を達成するように構成する一方法を示している。特に、
図7Aはタワー(700)の正面図を示し、
図7Bはカートリッジ(703)と係合するタワー(700)の側面図を示している。
図7Bにはカートリッジ(703)の断面のみが示されており、カートリッジ(703)は、詳細に上述したような1つ以上の抽出装置(705)を有しうる。
図7A及び7Bに示すように、タワー(700)はピン(704)又はその他の直線的に移動しうる素子に回転結合させることができる。ピン(704)は、測定器ハウジング(図示せず)に摺動自在に取付けて、このピンが測定器ハウジングに対して軸線方向に摺動しうるようにすることができる。ピン(704)とタワー(700)との間の係合の為に、ピン(704)が軸線(702)に沿って摺動すると、タワーはこの軸線(702)に沿って移動しうる。ピン(704)及びこれを有するタワー(700)は測定器ハウジングの適切な如何なる軸線にも沿って(測定器の長手軸線に沿って)移動させることができる。タワー(700)は、矢印(722)で示すようにピン(704)の周りに回転させることもできる。ある例では、タワー(700)をピン(704)に固定的に取付けるかさもなければピン(704)と一体化することができ、ピン(704)及びタワー(700)の双方を測定器ハウジング(図示せず)に対して回転するように構成することができる。この回転は、以下に詳細に説明するように、1以上の検査処置を開始するのに役立つようにしうる。
【0091】
ここに開示するタワーは、1つ以上のカートリッジに係合して、これらカートリッジを測定器ハウジングに対して適所に保持することができる。ある例では、タワーによりカートリッジを測定器ハウジング全体に対して固定関係に保持するようにしうる。タワーが測定器ハウジングの休止状態に対して移動しうる例では、カートリッジをタワーに対して固定関係に保持しうるとともに、測定器ハウジングの休止状態に対して移動するようにしうる。ここに開示するタワーは適切な如何なる方法でもカートリッジに係合させることができる。ある例では、タワーの1個所以上の部分を、カートリッジの1つ以上の凹所の内側に嵌合するように構成しうる。
【0092】
図7A及び7Bに示すタワー(700)の例は、ここに開示するタワーをカートリッジに係合させうるようにする一方法を示している。ここに示すように、タワー(700)の先端部には、第1の区分(706)と、この第1の区分(706)から延在する第2の区分(708)とを設けることができる。これら第1の区分(706)及び第2の区分(708)は、
図7Bに示すようにカートリッジ(703)の凹所(710)内に延在してこのカートリッジ(703)に係合するように構成することができる。ここに示すカートリッジ(703)の例では、凹所(710)が、第1の横断面積を有する第1の部分(712)と、第2の横断面積を有する第2の部分(714)とを具えるようにしうる。タワー(700)の第1の区分の少なくとも一部分は、凹所(710)の第1の部分(712)の第1の横断面積と同じ外側寸法及び断面形状(例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、等)の双方又は何れか一方を有するようにしうる。これに加えて又は代えて、タワー(700)の第2の区分(708)の少なくとも一部分は、カートリッジ(703)の第2の部分(714)の第2の横断面積と同じ外側寸法及び断面形状(例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、等)の双方又は何れか一方を有するようにしうる。タワー(700)の外側をカートリッジの凹所(710)の内側と嵌合させることにより、タワーを凹所(710)内に入れることにより構成要素間の嵌合を達成し、これによりタワー(700)に対するカートリッジ(703)の動きを最少にすることができる。ある例では(例えば、タワー(700)及び凹所(710)の各々が円形の横断面を有する場合には)、詳細に上述したように、カートリッジ(703)をタワー(700)に対して回転させることができる。更に、タワー(700)は、
図7A及び7Bでは、第1の区分(706)及び第2の区分(708)を有するものとして示してあるが、適切な如何なる個数ともしうる区分(例えば、0個、1個、2個、3個又は4個以上の区分)を有するようにしうることは勿論である。
【0093】
ある例では、タワーが、カートリッジとタワーとの間の軸線方向の移動を制限又は阻止する1つ以上の機構を有するようにしうる。例えば、ある例では、タワーの1個所以上の区分がカートリッジに対する軸線方向の移動に影響を与えるようにしうる。例えば、上述したタワー(700)の例では、タワー(700)の第2の区分(708)がタワー(700)の第1の区分(706)よりも小さい直径を有するようにしうる。カートリッジの凹所(710)の第2の部分(714)はタワー(700)の第1の区分(706)の直径よりも小さい直径を有するようにしうるが、少なくともタワー(700)の第2の区分(708)と同じ大きさとする。従って、カートリッジ(703)は矢印(716)により示される方向で、タワー(700)の第2の区分(708)がカートリッジの凹所(710)の第2の部分(714)に入るまでタワー(700)に沿って摺動させることができる。凹所(710)の第2の部分(714)はタワー(700)の第1の区分(706)を受入れる程度に充分な大きさではない為、これらの部分はタワー(700)の頂部の方向への更なる軸線方向移動を阻止するように衝合しうる。
【0094】
更に、測定器ハウジングの1個所以上の部分により、タワー(700)からのカートリッジ(703)の係合が外れるのを阻止するようにしうる。例えば、ばね(図示せず)又はその他の構造体によりタワー(700)を矢印(718)で示す方向にバイアス又は押圧するようにしうる。タワー(700)は、このタワーの第1の区分(706)が凹所(710)の第2の部分(714)に衝合するまで凹所(710)内に押込み、次いでこれによりカートリッジ(703)を方向(718)に押圧又はバイアスするようにしうる。測定器ハウジングの1つ以上の表面(例えば、カートリッジ収容室のドア又は壁部)は、方向(718)における移動を阻止する止め部材として作用するようにしうる。この場合、タワー(700)はカートリッジ(703)の内面に対してこのカートリッジを保持し、このカートリッジ(703)を適所に保持するとともに、このカートリッジ(703)のタワー(700)との係合を外すのを阻止するようにしうる。
【0095】
カートリッジ(703)がタワー(700)に対して適所に保持されると、1つ以上の力をカートリッジ(703)に加えて、タワー(700)を測定器ハウジング(図示せず)に対して移動させるようにしうる。例えば、ある例では、
図7Bに示すようにユーザが(矢印(720)で示す)力を(例えば、ポートを介して)カートリッジに加えることができる。この力によりカートリッジ(703)とタワー(700)とを矢印(722)で示す方向でピン(704)の周りに回転させることができる。この回転により、後に詳細に説明するように、タワー(700)を開始素子(724)に係合させ、次いでこれにより検査処置を開始するようにしうる。
【0096】
上述したように、カートリッジはタワーに対して軸線方向及び横方向で適所に保持しうるが、カートリッジは依然としてタワーの周りに回転するように構成しうる。ある例では、以下に詳細に説明するように、1つ以上の機構を用いてカートリッジをタワーに対して(又はタワーをカートリッジに対して)回転させるようにしうる。他の例では、(例えば、タワーとカートリッジの凹所との双方が円形でない横断面を有する場合に)カートリッジがタワーに対して回転しえないようにすることができる。これらの例は、撮像システムがタワーとは分離させて測定器ハウジング内に収容されている例で有効となりうる。これらの例のうちのある例では、タワーの1個所以上の部分を測定器ハウジングに対して回転するように構成し、これによりカートリッジを測定器ハウジングに対して回転させるようにしうる。(例えば、
図7A及び7Bに関して上述したタワー(700)及びピン(704)のように)、例えば、タワーがピンを介して測定器ハウジングに連結されている例では、ピン(又はピンを保持している測定器ハウジングの一部分)を、タワーとカートリッジとを測定器ハウジング内で回転させるように構成することができる。これに加えて又は代えて、タワーを異なるセグメントに分割し、第1のセグメントを1つ以上の他のセグメントに対して回転するように構成することができる。
【0097】
上述したように、測定器ハウジングは、検査処置を開始するための1つ以上の開始素子を有しうる。ある例では、開始素子を、与えられる1つ以上の力(又はその他の刺激)に応答しうる適切な如何なるスイッチ又はセンサにもすることができる。測定器の如何なる部分も力を開始素子に加えて検査処置を開始させることができる。例えば、タワーが測定器ハウジングに対して移動しうる例では、タワーにより開始素子に力を加えることができる。例えば、
図7A及び7Bに示すとともに詳細に上述したタワー(700)の例では、(例えば、力(720)をカートリッジ(703)に加えることにより)タワー(700)をピン(704)の周りに回転させることによりタワー(700)を開始素子(722)内に押入れることができる。或いはまた、タワー(700)をピン(704)の周りに回転させることによりカートリッジ(703)を移動させて開始素子(722)に接触させるように開始素子(722)を配置することができる。更に他の例では、1つ以上の開始素子をポート内に組込み、力を(例えば、1個所以上の抽出個所を介して)ポートに加えた場合に、力が開始素子に加えられるようにしうる。ある例では、以下に詳細に説明するように、測定器ハウジングには開始素子を設ける必要なしに、検査処置を他のある方法で(例えば、1つ以上のボタンを押すことにより)開始しうるようにできることも勿論である。
【0098】
開始素子は適切な如何なる構造にもすることできる。例えば、開始素子が1つ以上の力センサを有するようにしうる。開始素子が力センサを有する例では、この力センサを、ある範囲内の力がこのセンサに加えられた際に検査処置を始動するように構成することができる。ある例では、ユーザが少なくとも最小の力レベルでポートを押圧するようにするのが望ましい。例えば、約200グラム重よりも大きな力で皮膚表面をポートに対向して配置することが、この領域への血液の流れを増大させるのに役立つようにしうる。従って、ポートに加えられた力が予め決定した最小レベルに達したことを、力センサに加えられた力が表すと、検査処置を開始するようにこの力センサを構成することができる。更に、検査処置を開始する最大力レベルを設定するのも望ましいことである。例えば、皮膚表面があまりにも大きな(例えば、約500グラム重よりも大きな)力でポートに当てられると、皮膚表面とポートとの間の圧力が増大することにより、強制的に血液を抽出個所から遠ざけるおそれがある。従って、ある例では、力センサに加えられる力があるレベルを超えた場合に、力センサが検査処置を開始しないようにする。力センサは、ポートに加えられる適切な如何なる範囲の力(例えば、少なくとも約100グラム重、少なくとも約200グラム重、少なくとも約300グラム重、約100グラム重と約600グラム重との間、約200グラム重と約500グラム重との間、約250グラム重と約450グラム重との間、等)でも検査処置を開始するように構成することができることは勿論である。適切な如何なる力センサをも用いることができる。ある例では、力センサが1つ以上のアナログセンサを有するか、又は1つ以上のデジタルセンサを有するようにしうる。又、ある例では、力センサが力感応抵抗器を有するようにする。
【0099】
他の例では、開始素子が1つ以上のスイッチを有するようにしうる。これらの例では、ある力がスイッチに加えられることによりこのスイッチをトグリング/フリッピングする(切換える)ことができる。スイッチのトグリングにより1つ以上の検査処置を開始することができる。スイッチをトグリングするのに必要とする力は、上述したような適切な如何なる力にもすることができる。スイッチは、力が除去されると自動的にトグリングされて戻るように構成することができ、或いは測定器ハウジングは検査処理の終了時にスイッチをトグリングして戻るようにしうる。更に、ある例では、ユーザがあまりにも大きな力をカートリッジに加えた場合に、検査処置を中止するようにトグリングしうる他の(第2の)スイッチを開始素子が有するようにしうる。更に他の例では、開始素子が、1つ以上の光ビーム、1つ以上のひずみ計、1つ以上の容量性タッチスイッチ、1つ以上のホール効果センサ、等を有するようにしうる。
【0100】
図10A及び10Bは、測定器ハウジングに対して移動しうるように構成したタワーの他の例を示す。特に、
図10Aはタワー(1000)の斜視図を示している。この図に示すように、タワーは、中央回転ピン(1002)と、案内突起部(1004)と、開始突起部(1006)とを有しうる。
図10Bに示すように、タワー(1000)は、このタワーを、測定器ハウジング(1010)の長手軸線(1016)に対する軸線方向移動及び回転の双方又は何れか一方を達成しうるように測定器ハウジング(1010)内に配置しうる。特に、中央回転ピン(1002)及び案内突起部(1004)は、測定器ハウジング(1010)の1つ以上の行路(図示せず)内に位置させるか、さもなければこれらの行路に係合させるようにしうる。中央回転ピン(1002)は、測定器ハウジングに対して回転させ、これによりタワー(1000)を測定器ハウジング(1010)に対して回転させるようにしうる。例えば、(矢印(1102)で示す)力が(例えば、カートリッジを介して)タワー(1000)の一端に加えられると、中央回転ピン(1002)が回転軸として作用し、この回転軸の周りにタワー(1000)を(矢印(1014)で示すように)回転させるようにしうる。この回転は、タワー(1000)の一部(例えば、開始突起部(1006))を、以下に詳細に説明するような開始素子(1008)との動作係合状態へ配置するか又は押圧するか、或いはこれらの双方を達成するようにしうる。更に、中央回転ピン(1002)及び案内突起部(1004)は、測定器ハウジング(1010)に対して軸線方向に摺動しうるように構成しうるとともに、(例えば、詳細に上述したように1つ以上のばねを介して)一方向にバイアスしうる。
【0101】
中央回転ピン(1002)は必ずしもタワー(1000)の両端間にその両端から等距離に配置する必要はなく、適切な如何なる中間的な位置にも配置することができる。中央回転ピン(1002)を中間的な位置に配置することにより、タワー(1000)を開始素子(1008)と係合させるためには、このタワー(1000)の端部(1018)を軸線(1016)に対し横方向に(すなわち、矢印(1012)の方向に)僅かに変位させる必要があるだけにできる。このことにより、装置の操作用の構成素子間のトレランスを小さくしうる。
【0102】
図10A及び10Bでは、タワー(1000)が案内突起部(1004)を有するように示してあるが、必ずしもこのようにする必要はない。案内突起部(1004)を有する例では、案内突起部(1004)を(1つ以上の行路を経て)測定器ハウジングと係合させ、タワーの横方向変位及び回転の双方又は何れか一方を制限するようにしうる。更に、
図10A及び10Bでは、タワー(1000)が開始突起部(1006)を有するように示してあるが、必ずしもこのようにする必要はない。開始突起部(1006)を有する例では、この開始突起部は1つ以上の開始素子(1008)を押圧するか又はこれらに係合させるのに役立ちうる。
【0103】
図7A、7B、10A及び10Bに関連して上述したタワーは測定器ハウジングに対して移動しうるが、タワーは測定器ハウジングに対して固定するようにしうることは勿論である。これらの例では、タワーを依然として上述したような1つ以上のカートリッジに係合させるようにしうる。力をカートリッジに加えることにより、タワーの本体内にゆがみ、変形又はひずみを誘起させることができる。このゆがみを測定して検査処置を開始させるようにしうる。特に、ひずみ計を有する開始機構をタワーに連結するか又はタワーと関連させて、カートリッジに加えられている力を表すことができる、タワーに与えられている負荷を測定するようにしうる。この開始機構は、適切な如何なるひずみ計(例えば、フルブリッジひずみ計、ハーフブリッジひずみ計、等)をも有しうる。ひずみ計により、タワーに加えられている力が、予め決定した範囲内にあることと、予め決定したしきい値に到達することとの双方又は何れか一方を決定した場合に、測定器が検査処置を開始するようにしうる。ある例では、タワーに加えられた力が予め決定した範囲外にある場合に、検査処置の開始が阻止されるように測定器を構成することができる。
【0104】
例えば、
図21A及び21Bに、測定器ハウジング(図示せず)に対して固定しうるタワー(2100)の一例の斜視図及び側面の断面図をそれぞれ示す。タワー(2100)は、1つ以上のねじ部品(図示せず)又はその他の機械的な固定部材を用いて測定器ハウジングに固定させることができる。これらの図に示すように、タワー(2100)は、すぐ上で説明した1つ以上のひずみ計のようなひずみ計(2102)を有しうる。カートリッジ(図示せず)は、例えば
図1A〜1Dと
図7A及び7Bとに対して上述したようなタワー(2100)と係合するように配置しうる。力が(例えば、圧力を抽出個所によりポートに加えた際のポートを介して)カートリッジに加えられると、カートリッジとタワー(2100)との間の係合によりタワー(2100)のゆがみ/変形を生ぜしめ、このゆがみをひずみ計(2102)により測定しうる。ひずみ計(2102)からのデータは、光ケーブル(2106)又はその他の適切なデータ伝送アセンブリを介してプリント回路板アセンブリ(2104)又はその他の処理アセンブリに供給しうる。タワー/カートリッジ/ポートに加えられた力が、詳細に上述したような予め決定した範囲内にあることと、予め決定したしきい値に到達することとの双方又は何れか一方を測定器が決定した場合に、この測定器は検査処置を開始することができる。ある例では、タワーに加えられた力が予め決定した範囲外にある場合に、検査処置の開始を阻止するように測定器を構成しうる。
図21A及び21Bに示すように、タワー(2100)は、以下に詳細に説明する撮像システムの1つのような、発光アセンブリ(2108)及び受光アセンブリ(2110)を有する撮像システムを具えることができるが、ここに開示するタワーは必ずしも如何なる撮像システムをも有する必要がないことは勿論である。
[カートリッジの取出]
【0105】
ここに開示する測定器ハウジングのある例では、測定器ハウジングがこの測定器ハウジングからカートリッジを取出すための1つ以上の機構を有するようにしうる。又ある例では、カートリッジ取出機構により、ユーザがカートリッジと直接接触する必要なしにカートリッジを取出しうるようにし、このことが、潜在的に危険な物質(例えば、使用済みの針又はランセット)にユーザを曝すおそれを低減させるのに役立つようにすることができる。ある例では、カートリッジ収容室のドアが開放された際に、カートリッジを、このカートリッジ収容室から受動的に落下するように構成することができる。他の例では、1つ以上の構造体を用いてカートリッジをカートリッジ収容室から押出すか又は前進させるようにすることができる。
【0106】
図12A及び12Bは、カートリッジ取出機構を有する測定器ハウジング(1200)の一例を示す。これらの図に示すように、測定器ハウジング(1200)は、カートリッジ収容室(1202)と、ドア(1204)と、ボタン(1206)及びレバー(1208)を有するカートリッジ取出機構とを具えることができる。ある例では、レバーがフォーク形又は複数叉の形状を有するようにできるが、このレバーは適切な如何なる寸法又は形状にもすることができることは勿論である。
図12Aは、ドア(1204)が開放状態にしてあるとともに、カートリッジ(1210)がカートリッジ収容室(1202)の内側に配置された測定器ハウジング(1200)を示す斜視図である。
図12Bは、測定器ハウジングの一部を除去した測定器ハウジング(1200)を示す正面図である。
【0107】
カートリッジ(1210)をカートリッジ収容室(1202)から取出すために、ボタン(1206)を押すか又は始動させるようにしうる。ボタン(1206)は、このボタン(1206)を始動させることによりレバー(1208)をカートリッジ収容室(1202)内で回転させるようにレバー(1208)に連結させることができる。ある例では、ボタン(1206)を押すことによりレバー(1208)の移動を機械的に駆動するようにする。他の例では、ボタン(1206)を押すことにより信号を1つ以上のモータ、カム又はその他のアクチュエータに供給し、これによりレバー(1208)の移動を駆動するようにすることができる。レバー(1208)がカートリッジ収容室(1202)内で回転すると、
図12Bに示すようにレバーがカートリッジ(1210)を押圧することができる。ドア(1204)が開放されると、レバー(1208)の回転によりカートリッジ(1210)をカートリッジ収容室(1202)から押出し、これによりカートリッジ(1210)を測定器ハウジング(1200)から取出すようにすることができる。
【0108】
ある例では、ボタン(1206)を用いて、ドア(1204)を開放させるとともにレバー(1208)を駆動させるようにしうる。これらの例のうちのある例では、ボタン(1206)を押圧又は始動させることにより、ドア(1204)の開放とレバー(1208)の駆動とを同時に行うようにする。他の例では、レバー(1208)によりカートリッジ(1210)に与える力が、ドア(1204)の鎖錠を外す又はドアを開けるのに充分なものとなるようにしうる。他の例では、ドア(1204)が開放するまでレバー(1208)が駆動されないようにしうる。これらの例では、ボタン(1206)を1回目に押す又は始動させることによりドア(1204)を開放させ、(ドア(1204)が開放した状態で)ボタン(1206)を2回目に押す又は始動させることによりレバー(1208)を駆動してカートリッジを取出すようにしうる。ドアを開放させるのと、レバーを駆動させるのとに互いに異なるボタン又は機構を用いうることも勿論である。
【0109】
図11は、カートリッジ取出機構を有する測定器ハウジング(1100)の他の例を示す。この
図11では、カートリッジ収容室(1102)と、タワー(1104)と、突出しピン(1106)を有するカートリッジ取出機構とを明瞭に見せるために、測定器ハウジング(1100)の一部分を除去してある。又、ドア(1108)を開放状態で示してあり、カートリッジ(1110)はカートリッジ収容室(1102)内に配置されている。カートリッジ(1110)をカートリッジ収容室(1102)から取出すためには、突出しピン(1106)を前進させてカートリッジ(1110)に係合させ、このカートリッジ(1110)を測定器ハウジング(1100)から押出すようにしうる。ユーザは、突出しピン(1106)を機械的に駆動するか或いは1つ以上のモータ、カム又はアクチュエータに信号を供給して突出しピン(1106)を駆動することのできる1つ以上のボタン等を押すか又は始動させることにより突出しピンの移動を開始させることができる。(例えば、詳細に上述したように1つ以上の抽出装置を始動させるために)トリガピン及び真空ピンの双方又は何れか一方が1つ以上のカートリッジセルに入るようにしうる例では、同じトリガピン及び真空ピンを用いてカートリッジを取出すようにすることもできる。これらの例では、ピンを前進させることによりこのピンが(例えば、カートリッジセルの壁部内の1つ以上の開口を介して)カートリッジセルに入るようにする第1の向きで、カートリッジとピンとが整列するようにしうる。カートリッジを取出すためには、ピンを前進させることによりこのピンがカートリッジの壁部の1つを押圧する第2の向きで、カートリッジとピンとが整列するようにしうる。他の例では、測定器ハウジングが、別個の取出ピン、トリガピン及び真空ピンの何れか又は任意の組合せを有するようにしうる。
[撮像システム]
【0110】
上述したように、ここに開示する測定器は1つ以上の撮像システムを有することができるが、必ずしもこのようにする必要はない。実際に、抽出装置が1つ以上の電気化学的な定量化部材を有する例では、測定器に撮像システムを設ける必要はない。測定器ハウジングが撮像システムを有する例では、この撮像システムが、測定器の一部(例えば、抽出装置)の1種類以上の光学パラメータを可視化、表示、検出又は測定する作用をするようにしうる。例えば、ある例では、カートリッジが、試薬パッドを有する抽出装置を具え、この試薬パッドが流体試料(例えば、血液試料、コントロール溶液)と反応して色変化を呈し、この色変化がこの流体試料のグルコース濃度を表しうるようにしうる。測定器の撮像システムは、この反応中の試薬パッドを可視化して、この反応に関する情報(例えば、反応速度、色変化量、等)を得るか又は記録し、このデータを分析して流体試料の1種類以上の特性、例えば、試料のグルコース濃度、試料中のヘマトクリット値、試薬パッドに付与された試料の量、これらの組合せ、等を決定するようにしうる。撮像システムは、以下に詳細に説明するように、コントロール試料が抽出装置に与えられたかどうかを決定するのに用いることもできる。
【0111】
撮像システムは測定器の適切な如何なる部分の中にも収容しうる。カートリッジが撮像システムの1個所以上の部分を有するようにしうることは勿論であるが、一般に撮像システムは少なくとも部分的に測定器ハウジング内に入れられる。測定器ハウジングが撮像システムを有する例では、撮像システムの個々の構成要素を測定器の適切な如何なる部分にも収容しうる。これらの例のうちのある例では、撮像システムの1つ以上の構成要素を測定器のタワー内に収容しうる。
図7A及び7Bに関して上述したタワー(700)及びカートリッジ(703)のように、カートリッジとタワーとが互いに適所に整列又は保持されている例では、タワーとカートリッジとの間のこの係合により、カートリッジを撮像システムに対して少なくとも一時的に固定関係に保持するようにしうる。これにより、撮像システムが患者の動きに感応しにくくしうる。その理由は、検査処置中にカートリッジを撮像システムに対して移動させるのをより困難としうる為である。
【0112】
ここに開示する撮像システムは一般に、発光アセンブリと受光アセンブリとを有している。発光アセンブリと受光アセンブリとは、測定器の適切な如何なる位置にも配置することができる。ここに開示する測定器が(詳細に上述したような)タワーを有する例では、これらアセンブリの1つ以上を部分的に又は全体的にタワー内に収容しうる。これらの例のうちのある例では、発光アセンブリと受光アセンブリとの双方をタワー内に収容しうる。他の例では、発光アセンブリをタワー内に収容するとともに受光アセンブリを測定器ハウジングの他の部分内に収容することができ、或いはこれらの収容を逆にすることができる。
【0113】
一般に、発光アセンブリは、光を発生させるとともに測定器の1個所以上の部分(例えば、試薬パッド等のような抽出装置の1個所以上の部分)に指向させるように構成して使用するようにしうる。発光アセンブリは一般に、1つ以上の光源を有する。ある例では、発光アセンブリが、予め決定した波長で、又は予め決定した波長範囲内で光を発生するように構成された光源を有しうる。これに加えて又は代えて、発光アセンブリは多色光源を有しうる。他の例では、発光アセンブリが、予め決定した2つ以上の異なる波長で光を選択的に発生させるか、又は予め決定した異なる波長範囲内で光を選択的に発生させるように構成しうる光源を有するようにしうる。例えば、ある例では、光源が、赤、緑及び青の光を選択的に出力しうるRGBLED(RGB発光ダイオード)を有するようにする。ある例では、発光アセンブリが、2つ以上の別々の光源を有し、各光源を予め決定した波長又は波長範囲で光を発生するように構成するようにしうる。従って、発光アセンブリを、複数種類の波長で光を生じるように構成して、以下に詳細に説明するように、撮像システム及び測定器が検体濃度を決定するのに役立つようにしうるか、又は撮像システム及び測定器がコントロール溶液の適用を決定するのに役立つようにしうる。ある例では、発光アセンブリが、光源により発生される光を拡散又は散乱させうるディフューザを有するようにしうる。これに加えて又は代えて、発光アセンブリが、光源により発生される光を集束又は直線化しうるコリメータを有するようにしうる。これに加えて又は代えて、発光アセンブリが、この発光アセンブリにより発生される迷光を捕捉又は除去するのに役立ちうるバッフリング又はライトトラップを有するようにしうる。発光アセンブリの構成要素の幾つか又は全てを個別の構成要素として設けることができるが、他の構成要素を組合せて多目的構成要素とすることができることは勿論である。例えば、ここに開示する発光アセンブリのある例には、コリメータとライトトラップとの双方を有する素子を具えるようにしうる。
【0114】
ここに開示する撮像システムの受光アセンブリは、測定器の1個所以上の領域を撮像するように構成しうる。例えば、測定器が上述したような1つ以上の抽出装置を有する例では、以下に詳細に説明するように、受光アセンブリが抽出装置の1つ以上の構成要素を撮像する(例えば、抽出装置から反射又は放出する光を検出及び測定する)ように構成しうる。受光アセンブリは、これにより受光した光に応答して1以上の電気信号を生じうる1つ以上の検出器/イメージセンサを有するようにしうる。ある例では、受光アセンブリは、これにより受光した光の1種類以上の波長を濾波して除去しうる1つ以上のフィルタを有するようにしうる。これに加えて又は代えて、受光アセンブリは、この受光アセンブリ内で光を集束させうるか又は光の方向を変えうる1つ以上のレンズを有するようにしうる。これに加えて又は代えて、受光アセンブリは、この受光アセンブリを通る光の方向を変える作用を行いうる1つ以上のミラーを有するようにしうる。これに加えて又は代えて、受光アセンブリは、この受光アセンブリ内で迷光を捕捉するバッフリング又はその他のライトトラップを有するようにしうる。発光アセンブリの構成要素の幾つか又は全てを個別の構成要素として設けることができるが、他の構成要素を組合せて多目的構成要素とすることができることは勿論である。例えば、
図21A及び21Bにつき上述したタワー(2100)の例では、受光アセンブリが、抽出装置からの光を検出器(2114)の方向へ向けての集束且つ方向変えの双方を行いうる型成形光学素子(2112)を有するようにしうる。
【0115】
図9A及び9Bは、撮像システム(900)の一例を示す。ここに示すように、撮像システムはタワー(902)内に収容でき、発光アセンブリ(904)及び受光アセンブリ(906)を有しうる。撮像システム(900)は、
図9A及び9Bでは、別々の発光アセンブリ及び受光アセンブリ(それぞれ(904)及び(906))を有するものとして示してあるが、撮像システムは発光と受光との双方を行いうるアセンブリを具えることができることは勿論である。一般に、発光アセンブリ(904)は、パッド(910)と抽出装置の他の部分との双方又は何れか一方から反射しうる(ライン(908)で示す)1つ以上の光ビームを発生するように構成することができる。パッドから反射された(ライン(912)で示す)光の幾らかは、受光アセンブリ(906)に入り、この受光アセンブリにおいて、以下に詳細に説明するように分析するようにしうる。
図9では撮像システムがパッド(910)から反射する光を可視化するように示しているが、撮像システムは撮像システム(900)の視野内(例えば、発生された光(908)を受光アセンブリ(906)内に反射させる個所内)にある如何なる構造体をも可視化するようにしうることは勿論である。
【0116】
発光アセンブリ(904)及び受光アセンブリ(906)は適切な如何なる素子又はこれら素子の組合せをも有するようにしうる。例えば、
図9Aに示すように、発光アセンブリ(904)は光源(914)、ディフューザ(916)及びコリメータ(918)を有することができる。光源(914)は適切な如何なる発光機構(例えば、発光ダイオード、ガス放電ランプ、電球、化学光源、等)にもすることができる。ディフューザ(916)は、適切な如何なるディフューザ(例えば、すりガラスディフューザ、グレーガラスディフューザ、オパールガラスディフューザ、テフロン(登録商標)ディフューザ、等)にもすることができ、光源(914)により発生された光を散乱又は拡散させるようにしうる。更に、コリメータ(918)は1つ以上の湾曲されたミラー又はレンズ(図示せず)を有することができ、ディフューザ(916)からの散乱光を受けてこの散乱光を集束/直線化させる作用を行いうる。更に、発光アセンブリ(904)は、ディフューザ(916)及びコリメータ(918)間にバッフリング(920)又はその他のライトトラップを有し、迷光を除去するのに役立つようにしうる。ディフューザ(916)、バッフリング(920)及びコリメータ(918)が全体として光源(914)からの光を集束された光ビームに変換する。
【0117】
発生された光(908)はパッド(910)の表面に対し角度(θ
1 )でこのパッドに当るようにしうる。抽出装置が、
図3A〜3Eに関して上述した抽出装置(300)のようにカートリッジに対して回転するように構成されている例では、角度(θ
1 )は、パッド(910)が抽出装置と共に回転する際に変えることができる。従って、説明の目的のために、角度(θ
1 )とは、パッドがその休止状態にある際の、発生光(908)とパッド(910)の表面との間の角度を称するものである。角度(θ
1 )は、例えば、約85度と約95度との間や、約80度と約100度との間や、約75度と約105度との間のような適切な如何なる値にもすることができ、約90度とするのが好ましい。角度(θ
1 )の選択は、以下に詳細に説明するように、受光アセンブリ(906)の配置に影響しうるものである。
【0118】
図9Aに示すように、受光アセンブリ(906)は、最初の通路(922)と、ミラー(924)と、レンズ(928)を有する集束装置(926)と、フィルタ(930)と、検出器(932)とを具えることができる。最初の通路(922)は、一般に、パッド(910)から、又は撮像システム(900)の視野中の他の構造体から反射された光を受けることができる。この反射光(912)は次にミラー(924)から反射し、集束装置(926)内に進むことができる。反射光(912)は、
図9ではミラー(924)から反射するものとして示してあるが、最初に反射させることなく集束装置に直接伝達されるようにしうることは勿論である。ある例では、1つ以上の集束素子の表面内にミラーを一体化させるようにしうる。集束装置(926)は、反射光(912)を検出器(932)に向けて集束させうる適切な如何なるレンズ又はレンズの組合せ(928)(例えば、1つ以上の凹レンズ及び1つ以上の凸レンズの双方又は何れか一方)をも設けることができる。
【0119】
受光アセンブリ(906)は、
図9Aではフィルタ(930)を有するものとして示してあるが、必ずしもこのようにする必要はない。受光アセンブリがフィルタ(930)を有する例では、このフィルタ(930)は適切な如何なるフィルタ(例えば、1つ以上の吸収フィルタ、1つ以上の干渉フィルタ、1つ以上の単色フィルタ、等)にもすることができる。同様に、検出器(932)は、適切な如何なる検出器素子とすることもできる。例えば、ある例では、検出器が1つ以上の光ダイオード、CCD又はCMOS検出器素子を有するようにしうる。検出器が複数の検出器素子(例えば、複数のCMOS検出器素子)を有する例では、これら検出器素子を配列(アレイ)配置にすることができる。この配列は、直線的な一次元配列とするか又は二次元配列とすることができる。撮像システムの構成要素の幾つか又は全てを互いに組合せるか又は一体化することができることは勿論である。例えば、ある例では、光源(例えば、発光ダイオード)をディフューザと一体化することができる。他の例では、1つ以上のレンズを光学素子内に一体化することができる。更に他の素子では、レンズ素子を着色することにより、レンズ素子とフィルタ素子とを組合せるようにすることができる。
【0120】
撮像素子の受光アセンブリが抽出装置の1個所以上の部分(例えば、試薬パッド)を撮像するように構成されている場合には、発光アセンブリからの光が抽出装置の撮像部分に当った際に受光アセンブリが鏡面反射を受けないように、この受光アセンブリを抽出装置に対し配置することができる。特に、光が抽出装置の撮像構成要素(例えば、試薬パッド、キャップ)に当った場合、抽出装置に当った光ビームが入射角に等しい反射角で反射しうる鏡面反射が生じうる。さもなければ、抽出装置の構成要素が拡散反射面として作用し、発光アセンブリからの光を均一に散乱するようにしうる。受光アセンブリが鏡面反射を受けない限り、拡散反射は、受光アセンブリが光を受ける角度に拘らず一定となりうる。従って、受光アセンブリは鏡面反射を回避して広範に散乱した光を受光するように構成するのが望ましい。(
図9Aに示す光(908)のように)コリメート光(コリメータを有する発光アセンブリにより発生された光)のビームが照射軸線に沿って抽出装置に当ると、鏡面反射は照射軸線に対し余角を成す反射軸線の周囲の特定の範囲内で生じうる。例えば、ある例では、抽出装置に対する鏡面反射は、反射軸線の両側で約20度の角度範囲内で生じるようにしうる。従って、ある例では、受光アセンブリは、鏡面反射を回避するために反射軸線から少なくとも20度の角度だけ離して配置することができる。
【0121】
例えば、
図9A及び9Bに示す撮像システムでは、最初の通路(922)は、発生された光(908)に対しある角度(θ
2 )(又は狭い範囲の角度)で反射された光のみがミラー(924)(又は受光アセンブリ(906)の他の部分)に到達するように構成しうる。特に、最初の通路(922)は、迷光を捕捉する作用を行いうるバッフリング又はその他のライトトラップ(図示せず)を有するようにしうる。角度(θ
2 )は適切な如何なる角度にもすることができ、例えば、約20度よりも大きくするか、約30度よりも大きくするか、約40度よりも大きくするか、約50度よりも大きくするか、約15度及び約25度間とするか、約25度及び約35度間とするか、約35度及び約45度間とするか、約45度及び約55度間とするか、等とすることができる。
【0122】
角度(θ
2 )の選択は部分的に、角度(θ
1 )と、パッド(910)の期待回転量と、パッド(910)の物理特性と、発光アセンブリ(904)により生ぜしめられる光の特性とにより決定しうる。角度(θ
2 )は例えば、発生された光(908)がパッド(910)から反射される際にフレアイング(広がり)が生じるおそれが最少となるように選択しうる。特に、発生された光(908)がパッド(910)に当ると、パッド(910)は、光をあらゆる方向に散乱させる不完全なランバート面として作用しうる。上述したように、鏡面反射が入射角に対し余角を成す反射軸線で又はその周囲でより強い反射となりうることを除いて、パッドの見掛けの放射輝度は、視野角に依存しないようにしうる。例えば、
図9Bに示すように、発生された光(908)を入射角(θ
i )でパッド(910)に当てることができる。パッド(910)の見掛けの放射輝度は殆どの視野角に対し同じとしうるが、パッドの見掛けの放射輝度を複数桁だけ明るくなるようにしうる反射角(θ
γ)付近の角度範囲(934)に(鏡面反射からの)幾らかのフレアイングが存在するおそれがある。
【0123】
フレアイングはパッド(910)を撮像する検出器(930)の能力に影響を及ぼすおそれがある為、受光アセンブリ(904)が上述したようにフレアイングの範囲(934)内で反射光(912)を受光しないように撮像システム(900)を構成するのが望ましい。従って、ある例では、角度(θ
2 )を次式により決定することができる。
【数1】
【0124】
角度(θ
mγ)は、可視化中の伸長状態に対するパッドの最大回転角であり、角度(θ
f )は、詳細に上述したフレアリングの範囲(934)である。フレアリングの範囲(934)は、発生された光(908)の特性と、パッド(910)の特性とに依存しうる。例えば、ここに開示する測定器のある例では、抽出装置は、パッド(910)が一旦その最大の順方向回転点に達すると、パッドが可視化中に約10度だけ戻るように回転しうるように構成することができる。更に、ある例では、フレアリングの範囲は、
(θ
γ)±約15度
の角度とすることができる(従って、(θ
f)は約15度となる)。従って、角度(θ
1 )が約90度である例では、角度(θ
2 )を35度よりも大きくしうる。
【0125】
更に、測定器は、受光アセンブリ(906)が見た際のパッド(910)の見掛けの放射輝度が、パッド(910)が回転した際に著しく変化しないように構成しうる。光源とランバート面に対する法線との間の角度が増大すると、表面の見掛けの輝度は減少する。従って、パッド(910)が伸長状態から離れる方向に回転すると、パッドの見掛けの輝度は減少しうる。しかし、逆方向の回転中、パッド(910)は発光アセンブリ(904)に近づくようにしうる。光の強度は光源に近づくにつれて増大する為、パッドの回転による光の強度の減少は、パッドが発光アセンブリに近づく際の光の強度の増大により相殺しうる。
【0126】
上述したように、ここに開示する測定器の撮像システムは、抽出装置の1個所以上の部分を撮像するように構成しうる。抽出装置の撮像部分は、受光アセンブリの構成要素と、受光アセンブリ及び抽出装置間の相対配置とにより制御しうる。例えば、(詳細に上述したように)測定器の一部に対し回転又は移動するように構成した抽出装置を有しているここに開示した測定器の例では、抽出装置が移動した際に撮像システムが抽出装置の異なる部分を撮像するようにしうる。
【0127】
ある例では、撮像システムの受光アセンブリが、単一の検出器素子を有する検出器を具えるようにしうる。これらの例では、検出器が抽出装置上の単一の個所を撮像しうる。例えば、試薬パッド(1402)とキャップ(1404)とを有する抽出装置(1400)の部分図を
図14に示す。単一素子の検出器を具える撮像システム(図示せず)は、単一画素ビューイング領域(1406)を見るように構成しうる。このビューイング領域(1406)の大きさは、1つ以上のレンズ又はその他の集束素子を用いるか、又は抽出装置(1400)及び撮像システム間の相対配置を変更するか、或いはこれらの双方を行うことにより変えることができる。抽出装置(1400)は説明の目的で
図14に示してあり、詳細に上述したような如何なる構成要素又はこれらの組合せをも有する適切な如何なる抽出装置の一部を単一素子の検出器を用いて撮像しうることは勿論である。
【0128】
他の例では、撮像システムの受光アセンブリは、1つ以上の線形配列とした検出器素子を有する検出器を具えるようにしうる。これらの例では、検出器が適切な如何なる個数の線形の検出器配列(例えば、1つの線形配列、2つの線形配列、3つの線形配列、それ以上の線形配列、等)をも有するようにでき、各線形配列は複数画素の線形ビューイング領域を見るように構成しうる。線形検出器配列は、抽出装置の1個所以上の部分を撮像するように構成しうる。例えば、
図15Aに、試薬パッド(1502)及びキャップ(1504)を有する抽出装置(1500)の一例を示す。
図15Aには、試薬パッド(1502)及びキャップ(1504)のみを示しているが、抽出装置(1500)は、詳細に上述したような如何なる追加の素子(例えば、ハブ、皮膚穿通部材)又はこれら素子の組合せをも有しうることは勿論である。
図15Aに示すように、線形検出器配列(図示せず)を有する撮像システムは、各画素(1508)が1つの検出器素子に相当する複数の画素(1508)に分割した線形ビューイング領域(1506)を撮像するように構成しうる。
【0129】
撮像システムのビューイング領域(1506)は、抽出装置(1500)の如何なる部分をも撮像するようにしうる。ある例では、ビューイング領域を、試薬パッド(1502)の一部分のみを撮像するように構成しうる。他の例では、ビューイング領域を、試薬パッド(1502)及びキャップ(1504)を撮像するように構成しうる。(
図15Aに示すような)更に他の例では、ビューイング領域を、試薬パッド(1502)と、キャップ(1504)と、このキャップ(1504)を囲むオープンスペース(1510)とを撮像するように構成しうる。撮像システムのビューイング領域(1506)は、
図15Aではキャップ(1504)の両側でオープンスペース(1510)を撮像するものとして示してあるが、キャップ(1504)の片側でオープンスペース(1510)を撮像するようにしうる。試薬パッド(1502)及びキャップ(1504)を、撮像システムを用いて照明すると、これらの構成素子は光を反射しうるが、その周りのオープンスペース(1510)は光を反射しえない。
図15Bは、撮像システムにより照明された際の検出器素子の各々から収集された光の量を表す、ビューイング領域(1506)の画素(1508)から収集されたトレース(1512)の一例を示す。ここに示すように、トレース(1512)は、試薬パッド(1502)を撮像する画素に対応する第1のセグメント(1514)と、キャップ(1504)を撮像する画素に対応する第2及び第3のセグメント(これら双方に符号(1516)を付してある)と、キャップ(1504)の周りのオープンスペース(1510)を撮像する画素に対応する第4及び第5のセグメント(これら双方に符号(1518)を付してある)とを含むことができる。
【0130】
ここに開示する測定器は、抽出処置中にトレース(1512)の異なるセグメント間を識別するように構成しうる。例えば、トレース(1512)の第1のセグメント(1514)は、以下に詳細に説明するように試薬パッド(1502)に与えられる試料中の検体の濃度を決定するのに用いることができる。第2及び第3のセグメント(1516)は試料の分析に役立ちうる。ある例では、キャップ(1504)を参照基準として用いることができ、トレース(1512)の第1のセグメント(1514)は第2及び第3のセグメント(1516)の値に基づいて調整することができる。例えば、キャップ(1504)は、既知の反射レベルを有する材料で形成するかこの材料を被覆することができる。第2及び第3のセグメント(1516)(すなわち、キャップ(1504)から反射された光)が既知の反射レベルから期待されている値からずれる場合、トレース(1512)の第1のセグメント(1514)又はその他の部分をこのずれに基づいて調整又は補正することができる。キャップ(1504)は参照基準として用いうるが、以下に詳細に説明するように、1つ以上の他の構造体を参照基準として用いることができることは勿論である。これらの例では、撮像システムを、測定された反射と参照基準の構成要素の期待される反射との間のずれに基づいて検出器の1つ以上の出力を調整するように構成することができる。
【0131】
これに加えて又は代えて、オープンスペース(1510)から受けた光を用いて試料の分析を調整するようにもできる。オープンスペース(1510)を撮像する画素(1508)は抽出装置(1500)を撮像していない為、これらの画素が受ける光は迷光であるとみなしうる。測定器ハウジング内のあまりにも多くの迷光は、撮像システムの1つ以上の測定の有効性に影響を及ぼすおそれがある。従って、オープンスペース(1510)を撮像する画素が受ける光(例えば、トレース(1512)の第4及び第5のセグメント(1518))が特定の読みに対するあるしきい値に達すると、測定器は1つ以上の処置を講じることができる。これらの例のうちのある例では、検査処置を中止するか、又はエラー値をユーザに戻すか、或いはこれらの双方を行うように測定器を構成することができる。他の例では、オープンスペース(1510)を撮像する画素が受ける光が予め決定したしきい値を超える特定の読みを排除するように測定器を構成することができる。
【0132】
図15Aでは、ビューイング領域(1506)は、試薬パッド(1502)の中央を横切るように撮像するものとして示されているが、線形の検出器配列を有する撮像システムは、パッドの適切な如何なる部分をも可視化するようにしうる。更に、抽出装置が測定器に対して移動するように構成されている例では、パッドを移動させることにより、撮像される抽出装置の領域を変更しうるようにする。例えば、
図16A〜16Cに、測定器(1600)に対して回転するように構成されている抽出装置(1602)を有するこの測定器(1600)を示している。
図16Aは、測定器(1600)の一部、特にタワー(1604)と、抽出装置(1602)を収容するカートリッジ(1606)とを示しているが、測定器(1600)は、あらゆる箇所で説明する適切な如何なる素子又はこれら素子の組合せをも有しうることは勿論である。
図16Aには、発光アセンブリ(1603)及び受光アセンブリ(1605)を有する撮像システムも示してある。
図16Aでは、これらの双方のアセンブリはタワー(1604)内に収容されているものとして示してあるが、これらアセンブリの各々は、測定器(1600)の適切な如何なる部分にも配置することができることは勿論である。
【0133】
図16Aには、ハブ(1608)と、皮膚穿通部材(1610)と、試薬パッド(1612)と、キャップ(1614)とを有するものとして抽出装置(1602)の例を示してあるが、抽出装置は、詳細に上述したような如何なる素子又はこれら素子の組合せをも有することができることは勿論である。抽出装置(1602)は、トリガする際に回転軸(1616)を中心に回転するように構成することができる。例えば、ねじりばね(図示せず)により抽出装置(1602)の回転を駆動するようにすることができる。抽出装置(1602)は、これがトリガされた後に、この抽出装置(1602)に作用する外部力(例えば、患者の皮膚)がない場合に、(
図16Aにおける抽出装置(1602)の状態のような)休止状態に設定されるように構成することができる。受光アセンブリ(1605)には、検出器素子の線形配列(図示せず)を有する検出器(1618)を含めることができ、又この受光アセンブリ(1605)は、抽出装置(1602)が休止状態にある場合にこの抽出装置(1602)の1個所以上の部分を撮像するように構成することができる。受光アセンブリ(1605)は、抽出装置(1602)が休止状態から外れた際にこの抽出装置(1602)の部分を撮像するようにしうるが、この抽出装置(1602)の撮像部分はこの抽出装置(1602)が回転する際に変更することができることも勿論である。
【0134】
ある例では、受光アセンブリ(1605)は、抽出装置(1602)が休止状態にある際に試薬パッド(1612)の中央ライン(1620)を撮像するように配置及び構成するようにしうる。
図16Bに示すような他の例では、受光アセンブリ(1605)は、ビューイング領域(1624)が中央ライン(1620)の第1の側で試薬パッド(1612)の中央ライン(1620)からずれた場合に、試薬パッド(1612)(及び任意ではあるが、キャップ(1614)及びこのキャップ(1614)の周りのオープンスペース(1622))を撮像するように配置及び構成するようにしうる。(抽出処置中のように)ユーザの皮膚が皮膚穿通部材(1610)に接触すると、皮膚と皮膚穿通部材(1610)との間の接触により、(
図16Aに矢印(1626)で示すように)抽出装置(1602)を受光アセンブリ(1605)に向けて回転させることができる。これらの例では、抽出装置(1602)を受光アセンブリ(1605)に向けて回転させることにより、ビューイング領域(1624)を試薬パッド(1612)の中央ライン(1620)に向けて移動させるように、抽出装置(1602)及び撮像システムを構成することができる。試薬パッド(1612)を連続回転させることにより、
図16Cに示すようにビューイング領域(1624)を、中央ライン(1620)を越えてこの中央ライン(1620)の第2の側に移動させることができる。試薬パッド(1612)を撮像しているビューイング領域(1624)の画素(1628)の個数は、ビューイング領域(1624)が(例えば、試薬パッド(1612)の露出部分が円形又は楕円形である場合に)試薬パッド(1612)の露出部分の中央ラインに近づくにつれて増大しうる為、抽出装置(1602)が回転すると中央ライン(1620)の一方の側から他方の側に移行するようにビューイング領域(1624)を構成することにより、この回転中に試薬パッド(1612)を撮像しうる画素(1628)の個数を最大にすることができるようになる。
【0135】
図16A〜16Cにつき上述した例では、受光アセンブリにより撮像されたビューイング領域(1624)を抽出装置の回転軸線に対し平行にすることができる。しかし、ビューイング領域(1624)は抽出装置の回転軸線に対し垂直にするか、又はその他の角度にすることができることは勿論である。
【0136】
ある例では、ここに開示する検出器が検出器素子の2つ以上の線形配列を有するようにしうる。
図18Aは、試薬パッド(1802)及びキャップ(1804)を有する抽出装置(1800)の一例を示す。2つの線形検出器配列(図示せず)を具える撮像システム(図示せず)は第1のビューイング領域(1806)及び第2のビューイング領域(1808)を撮像しうる。2つの検出器配列は、試薬パッド(1802)を可視化する画素(1810)の全個数を増大させることができる。第1及び第2のビューイング領域は、抽出装置(1800)が休止状態にある際に、試薬パッド(1802)の中央ライン(1812)の両側にそれぞれ配置し、これによりライン(1814)で示す方向に移動するのを補償するようにすることができる。特に、一方のビューイング領域が中央ラインから離れる方向に移動すると、他方のビューイング領域が中央ラインに向かう方向に移動しうる。
【0137】
図18Aでは、第1及び第2のビューイング領域を互いに平行であるとして示しているが、検出器配列は、互いに適切な如何なる角度にも配置されたビューイング領域を撮像することができる。例えば、
図18Bに、
図18Aにつき上述した抽出装置(1800)を示している。この
図18Bに示すように、線形検出器配列は、第2のビューイング領域(1818)に対し垂直である第1のビューイング領域(1816)を撮像するように構成しうる。これらの例では、第1及び第2のビューイング領域が複数の方向に移動するのを補償しうる。上述した検出器は適切な如何なる個数(例えば、1個、2個、又は3個以上)の線形検出器配列をも有することができ、これらの配列が有するこれらの間の相対配置は適切な如何なるものにもすることができることは勿論である。更に他の例では、検出器が2次元の検出器配列を有することができる。例えば、
図19は、2次元の検出器配列を有する検出器(図示せず)により撮像しうる抽出装置(1900)を示している。この
図19に示すように、検出器配列は、行及び列の画素(1904)を有するビューイング領域(1902)を撮像しうる。
【0138】
上述したように、撮像システムは、抽出装置の1つ以上の撮像部分を参照基準として用いるように構成しうる。上述したように、参照基準は、既知の反射値を有する材料から形成するか又はこの材料を含むようにしうる。測定器は、参照基準に対する予期した反射値と実際の反射値との間の変動に基づいて(詳細に上述したように)1つ以上の測定を補正又は変更するように構成しうる。抽出装置の適切な如何なる部分(又は測定器の他の構成要素)をも参照基準として用いることができる。
図20A〜20Cは、抽出装置の1個所以上の部分を参照基準として用いうる抽出装置の例を示している。
図20Aは、試薬パッド(2002)及びキャップ(2004)を有する抽出装置(2000)の一例を示しており、キャップ(2004)を参照基準として用いうるようになっている。
図20Bは、試薬パッド(2008)及びキャップ(2010)を有する抽出装置(2006)の他の例を示しており、試薬パッド(2008)の区分(2012)を参照基準として用いうるようになっている。参照基準を試薬パッド(2008)に接近させて配置することにより、撮像中に生じるおそれのある潜在的な照明変動を減少させることができる。ある例では、試薬パッドの参照基準区分を、試薬パッドに取付けられた1つ以上のフィルムとするか、或いは試薬パッドに着色材料を部分的に被覆又は印刷することができる。他の例では、試料がその検体含有量に拘らずパッドに被着された場合に予め決定した色変化を生じる試薬を試薬パッドの参照基準区分が有するようにしうる。
図20Bでは、参照基準区分(2012)を、露出した試薬パッド(2008)の周囲を囲むものとして示しているが、参照基準区分(2012)を試薬パッド(2008)の適切な如何なる部分上にも位置させることができることは勿論である。例えば、
図20Cに、試薬パッド(2016)及びキャップ(2018)を有する抽出装置(2014)の例であって、試薬パッド(2016)に沿って延在する細条(2020)が参照基準として作用しうるようにした例を示している。
【0139】
ここに開示する撮像システムは、抽出装置のような測定器の1個所以上の部分を撮像する際に、1種類以上の特定の波長(又は波長範囲)を測定するように構成することができる。例えば、ある例では、試薬パッドは、標的検体を含む試料が試薬パッドに与えられた際に色変化を生じるように構成しうる。撮像システムは、色変化と関連する試薬パッドから反射された最初の特定波長を測定するように構成することができる。例えば、ある例では、標的検体(例えば、グルコース)を含む流体試料が試薬パッドに与えられると赤色変化を生じうる1種類以上の試薬を試薬パッドに含めることができる。これらの例では、この色変化を測定するように構成した撮像システムを測定器に設けるようにすることができる。撮像システムは特に、試薬パッドから反射される赤色光を測定するように構成することができる。撮像システムは例えば、約625ナノメートルと約635ナノメートルとの間の波長の光を測定するように構成することができる。ある例では、630ナノメートルの波長の光を測定するように撮像システムを構成するようにしうる。測定器は、これらの波長の読みを用いて(例えば、試薬パッドの色の変化率を用いることにより)標的検体の濃度を計算することができる。
【0140】
ある例では、測定器の1個所以上の部分(例えば、抽出装置)を撮像する際に、2種類以上の特定の波長(又は波長範囲)を測定するように構成した撮像システムをこの測定器が有するようにしうる。例えば、標的検体(例えば、グルコース)を含む流体試料が試薬パッドに与えられると赤色変化を生じうる1種類以上の試薬を試薬パッドが有する例では、流体試料の1種類以上の成分が試薬パッドの発色に影響しうる。流体試料が血液を有する場合には、この血液中に含まれる赤血球が、標的検体の濃度計算に影響しうる赤の発色に寄与しうるものである。赤血球は青色光を吸収する為、試薬パッドから反射される青色光の量を測定することにより、測定器が流体試料のヘマトクリット値(すなわち、赤血球の濃度)を評価するようにしうる。試薬パッドから反射される青色光の量は、流体試料のヘマトクリットレベルに反比例しうる。従って、測定器は、試薬パッドからの赤色光及び青色光の双方を測定するように構成することができる。青色光を評価する場合、約465ナノメートルと約470ナノメートルとの間の波長の光を測定するように測定器を構成することができる。これらの例のうちのある例では、約470ナノメートルの波長の光を測定するように測定器を構成することができる。測定器により測定された赤色光は、標的検体の濃度を計算するのに用いることができ、測定器により測定された青色光は、評価したヘマトクリット値に基づいて検体濃度の測定値を調整しうる補正値を生ぜしめるのに用いることができる。
【0141】
ある例では、抽出装置に与えられたコントロール溶液の存在を自動的に検査するために、測定器が1種類以上の波長を用いるようにしうる。例えば、ある例では、コントロール試料が試薬パッドに与えられた場合に特定の色変化を生じる1種類以上の試薬を試薬パッドが有するようにしうる。この色変化を用いて、コントロール試料が(検査用の流体試料とは対照的なものとして)試薬パッドに与えられたことを測定器に伝えることができる。例えば、ある例では、標的検体との反応に基づいて生じうる色変化(例えば、グルコースを試薬パッドに与えた場合の赤色変化)に加えて青色変化を生じるようにコントロール試料を構成することができる。測定器は試薬パッドから反射される赤色光及び青色光の双方を測定するように構成しうる。赤色光はコントロール試料中の標的検体の濃度を計算するのに用いることができ、一方、青色光はコントロール試料の存在を表すことができる。青色光のレベルは、詳細に上述したようにヘマトクリット値の補正を実行するのに用いることができるが、コントロール試料と試薬パッドとの間の反応により生じる青色変化により、体液試料(例えば、血液)に対し期待される何らかの値以外の反射値を生じうる。測定器は、青色光の反射がこの範囲外である場合に、流体試料をコントロール溶液として識別するように構成することができる。測定器が流体試料をコントロール溶液として識別すると、この測定器により標的検体の計算濃度(例えば、赤色変化により計算された濃度)をコントロール溶液に対する期待濃度と比較するようにしうる。測定器は、計算濃度が期待濃度とある量よりも多く相違する場合に、測定器自体を再校正するか、コントロール溶液が満足な応答を生ぜしめることができなかったことをユーザに警報するように構成することができる。
【0142】
試薬パッドは、コントロール溶液の存在中適切な如何なる色変化をも生じるようにしうることは勿論である。例えば、ある例では、コントロール溶液が、緑色の波長(例えば、約525ナノメートル)の光又は(可視スペクトル、紫外スペクトル、赤外スペクトル、等における波長を含む)適切な他の如何なる波長もの光に対しパッドの反射を変化させる色変化をもたらしうるようにしうる。コントロール溶液が異なることにより、異なる反射変化をもたらし、試薬パッドに与えられた際の異なるコントロール溶液を測定器が識別しうるようにしうることは勿論である。
【0143】
1種類以上の波長の光を撮像するように測定器を構成する場合、このことが適切な如何なる方法でも達成されるように、この測定器を構成することができる。光を第1の波長で撮像するように測定器を構成する場合、この測定器が、光を第1の波長で出力するように構成された光源を有するようにしうる。これに加えて又は代えて、測定器の受光アセンブリが、この受光アセンブリが受ける第1の波長とは異なる波長を濾波して除去するように構成したフィルタを有するようにしうる。従って、検出器は第1の波長の光を受光しうるようになる。これらの例のうちのある例では、測定器が、複数種類の波長の光を出力しその他の波長はフィルタにより除去するように構成した光源を有するようにしうる。
【0144】
光を2種類以上の波長(例えば、第1の波長及び第2の波長)で撮像するように測定器を構成する場合、それぞれ異なる波長を出力するように構成された複数の発光構成要素を有する光源をこの測定器が具えるようにしうる。各発光構成要素は、特定の波長を発生しうる適切な如何なる構成要素(例えば、発光ダイオード等)にもすることができる。光源は例えば、第1の波長を出力するように構成された第1の発光構成要素と、第2の波長を出力するように構成された第2の発光構成要素とを有するようにしうる。光源は、第1の発光構成要素と第2の発光構成要素とを選択的に始動させることにより第1の波長と第2の波長との双方又は何れか一方で光を選択的に放出させるようにしうる。光源は例えば、赤色、緑色及び青色の光を選択的に生ぜしめうるRGBLEDを具えることができる。ある例では、測定器の撮像システムの受光アセンブリは、2種類以上の波長以外の光を選択的に濾波しうる1つ以上のフィルタを有するようにしうる。ある例では、第1及び第2の波長以外の光を濾波しうる二重帯域通過フィルタを測定器が有するようにしうる。これらの例では、フィルタが、選択波長以外の光が受光アセンブリの検出器に到達しないようにするのに役立ちうる。ある例では、検出器が、受光した光を異なるスペクトル成分に分割するように構成した1つ以上の光検出器を具えるようにしうる。検出器は例えば、RGB光検出器を有し、この光検出器が受ける赤色、青色及び緑色の光のレベルをこの光検出器が測定しうるようにすることができる。これらの例では、検出器が多色光を受光するようにしうるが、測定器は依然として2種類以上の波長を用いて撮像しうるものである。
【0145】
光を2種類以上の波長で撮像するように測定器を構成する場合には、これらの波長の光を同時に又は順次に撮像することができる。例えば、受光した光を異なるスペクトル成分に分割しうる検出器を有する撮像システムの受光アセンブリの例では、測定器が光を複数種類の波長で同時に撮像するようにしうる。ある例では、測定器の一部(例えば、抽出装置)を異なる波長の光で順次に照明するように撮像システムを構成することができる。
【0146】
ある例では、撮像システムを、撮像中に発光アセンブリの光源がストローブオフ及びストローブオンするように構成することができる。光源がオフであると、検出器が受光する光は測定器に入る迷光となるようにしうる。測定器は、光源が発光している際に撮像システムから得られる読みから迷光を減算するように構成することができる。抽出装置を複数種類の波長で順次に照明するように測定器を構成する場合、光源を、各波長での照明間でストローブオフしうるか、又は各波長での照明後にストローブオフするようにしうる。例えば、第1の波長及び第2の波長を用いて照明するように測定器を構成する例では、第1の波長を用いて照明し、ストローブオフし、第2の波長を用いて照明し、ストローブオフするように測定器を構成することができる。このことは必要に応じ撮像中に繰返すことができる。或いはまた、第1の波長を用いて照明し、第2の波長を用いて照明し、次いでストローブオフするように測定器を構成することができる。この場合も、このことを必要に応じ濃度分析が終了されるまで繰返すことができる。
[ユーザ検証]
【0147】
ある例では、測定器ハウジングが1つ以上のユーザ検証機構を有するようにしうる。これらの例では、認定されたユーザがユーザ検証機構を適切に始動させた場合にのみ、“開錠”状態(例えば、抽出処置を実行するか又はユーザデータにアクセスするような、1種類以上の測定器機能をユーザが実行しうるようにする状態)となるように測定器を構成することができる。ユーザ検証機構は、意図されていないユーザにより測定器が使用されるか又は始動されるのを防止又は制限することが望ましい場合に有効となりうる。これらの場合、測定器は、一人のユーザによる使用及び始動の双方又は何れか一方が達成されることを意図するものとしうるか、又はユーザの特定のグループによる使用及び始動の双方又は何れか一方が達成されることを意図するものとしうる。例えば、医療の場(例えば、病院、診療所、等)では、患者の群の各患者が個々の測定器を有し、ユーザ検証機構は、各患者が他の患者の測定器を不注意に用いないようにしうるものである。他の例では、ヘルスケア提供者が測定器を開錠するようにするのが望ましい。
【0148】
ここに開始する測定器は、適切な如何なるユーザ検証機構をも有することができる。例えば、ある例では、測定器が指紋スキャナを有し、一人以上の認定されたユーザに対する指紋走査に関する参照データを記憶するようにこの測定器を構成することができる。この参照データは、指紋スキャナを用いて一人以上の認定ユーザの指紋を走査することにより得ることができるか、又は1種類以上のメモリカード、データ接続、等を介してデバイスメモリに取込むことができる。測定器を開錠するために、指を指紋スキャナに置くことを測定器がユーザに指示するようにしうる。測定器は、ユーザの指を走査した後、走査情報と記憶された認定データとを比較するようにしうる。走査した指紋が認証されたユーザの指紋であることを測定器が決定した場合、開錠するように測定器を構成することができる。
【0149】
他の例では、測定器が音声始動式のユーザ検証機構を有するようにしうる。これらの例のうちのある例では、潜在的なユーザから音声サンプルを取得し、この音声サンプルを、認証されたユーザから以前に収集された音声サンプルと比較するように測定器を構成することができる。これらの例では、認証されたユーザから初期の音声サンプルを得るように測定器を構成しうる。これらの例の他の例では、装置を開錠するために、ユーザ検証機構がユーザにある言葉又は音声(すなわち、口頭パスワード)を発することを要求するようにしうる。他の例では、測定器を開錠するために、ユーザ検証機構がユーザに(例えば、1つ以上のボタン、スイッチ又はレバーを介して)パスワード又はパスコードを手入力することを要求するようにしうる。更に他の例では、測定器と情報交換しうる1つ以上の装置をユーザ検証機構が利用するようにしうる。これらの例のうちのある例では、例えば、装置を開錠するために、ユーザ検証機構がRFIDタグ、キーホブ又はメモリカード/チップの存在を要求するようにしうる。認証されたユーザはこれらのタグ、ホブ又はカードの1つ以上を有するようにしうる。
【0150】
認証されたユーザが1回以上のユーザ検証手続きを用いて測定器を開錠した場合、測定器は、一定期間(例えば、30秒、60秒、等)の間開錠状態に維持しこの時点で鎖錠形態に復帰させるようにするか、又は1つ以上の事象が生じる(例えば、抽出処置が終了するか、装置の電源を切るか、ユーザ入力指示により測定器を鎖錠形態に復帰させる)まで開錠状態に維持するようにしうる。装置が鎖錠状態にある場合には、測定器が、インデキシング手続き又は検証手続きの実行と、抽出処置の実施と、ユーザによる記憶データのアクセスとユーザによる1つ以上の装置設定の変更(例えば、認証ユーザの変更)との何れか又はこれらの任意の組合せを行わないようにしうる。
【0151】
ここに開示する測定器は、適切な如何なる個数(例えば、0個、1個、2個又は3個以上)ものユーザ検証機構を有するようにしうることは勿論である。測定器が複数のユーザ検証機構を有する例では、全てのユーザ検証機構が始動した場合のみ開錠するか、又は一部のユーザ検証機構が始動した場合に開錠するように測定器を構成することができる。例えば、測定器が指紋スキャナとパスワードに基づくユーザ検証機構とを有する例では、正しいパスワードが入力されるか又は認証された指紋が走査された場合に開錠するように測定器を構成するか、或いは正しいパスワードの入力と認証された指紋の走査との双方を必要とするように測定器を構成するようにすることができる。
【0152】
簡潔に上述したように、ある例では、測定器は個人のユーザが使用するための専用とすることができる。1つ以上のユーザ検証機構が、測定器が開錠されないようにするか又は他のユーザにより用いられないようにするか、或いはこれらの双方が達成され、これにより汚染の可能性を低減させるようにするのに役立つものとしうる。例えば、病院又はホスピスケア施設における患者のように、複数のユーザの各々が測定器を有する場合には、ユーザ検証機構が、個人のユーザが他人の測定器を用いるおそれを低減させるのに役立ちうる。更に、ユーザ検証機構は(例えば、子供による)測定器の不注意な使用を回避するようにしうる。
【0153】
他の例では、1つの測定器を複数のユーザが使用するためのものとすることができる。これらの例では、認証された異なるユーザが測定器を使用することをこの測定器が追跡するようにしうる。これらの例のうちのある例では、現在の認証されたユーザが前の認証されたユーザと異なることを決定した場合、測定器ハウジングの1個所以上の部分の消毒又は汚染除去を行うか、新たなカートリッジを測定器内に挿入するか、或いはこれらの双方を行うことを現在のユーザに指示するように測定器を構成することができる。
[測定器の動作]
【0154】
ここに開示する測定器は、1回以上の検査処置を実行するのに用いることができる。一般に、検査処置に当って、流体試料を抽出個所から収集するために抽出装置を駆動又は移動させることができる。次いで、流体を1種類以上の定量化部材と接触させて、測定可能な反応を生ぜしめるようにしうる。この反応を測定器により測定するか、又は分析して、流体試料に関する情報をユーザに与えるようにしうる。例えば、1種類以上の流体試料(例えば、血液試料)のグルコース濃度を測定するように、測定器を構成することができる。
【0155】
ユーザは最初にカートリッジ(例えば、上述したカートリッジの1つ)を測定器ハウジング内に装填し、測定器を始動させうるようにする。測定器の始動処理には、測定器をターンオンさせる処置を含めるか、又は測定器を休止モードからウエークアップさせる処理を含めることができる。測定器は、カートリッジを測定器ハウジング内に挿入する前又は後に始動させることができる。ある例では、カートリッジを測定器ハウジング内に挿入する処理により測定器を始動させるようにすることができる。
【0156】
カートリッジが測定器ハウジング内に挿入され、測定器が始動されると、カートリッジからの情報を検査するか、この情報にインデキシングするか、又はこの情報を取得する1回以上の処理を実行するように測定器を構成することができる。例えば、カートリッジが(例えば、バーコード、メモリチップ、等を介して)情報を有するようにした例では、この情報をカートリッジから読出す又は受けるように測定器を構成することができる。カートリッジが1つ以上のバーコードを有する例では、1つ以上のバーコード読取器又はその他のセンサを介して1つ以上のバーコードを読取るように測定器ハウジングを構成することができる。これらの例のうちのある例では、1つ以上のバーコードを読取る処理には、カートリッジをバーコードスキャナに対して回転させる処理を含める。カートリッジから受けた又は読出した、1つ以上の校正コードのようなデータはその後、流体試料を分析するための1つ以上のアルゴリズムにアップロード又は組込むことができる。ある例では、カートリッジから受けた有効期限情報に基づいてカートリッジが期限切れになったことを測定器が決定しうるようにでき、且つカートリッジがユーザに新たなカートリッジを挿入するようにする警報を発するようにしうる。
【0157】
上述したことに加えて又は代えて、カートリッジの検査及びインデキシングの双方又は何れか一方を行うように測定器ハウジングを構成することができる。これらの例のうちのある例では、抽出装置が以前に(不注意に又は異なる検査処置の一部として)ファイヤード状態にされたか否か、又はカートリッジの被覆材料又はハウジングが損傷されているか否かを、或いはこれらの双方を検査するように、測定器ハウジングを構成することができる。次いで、測定器は、検査処置に用いるために得られる(例えば、以前にファイヤード状態にされておらず且つ適切に封止されたカートリッジセル内に収容されている)抽出装置や、検査用に利用できない(例えば、以前にファイヤード状態にされたか、又は損傷したセル内に収容された、又はこれらの双方の)抽出装置のインデックスを形成しうる。利用できる検査個所が得られない場合には、新たなカートリッジを挿入するようにする警報をユーザに発するように測定器を構成することができる。
【0158】
ある例では、測定器ハウジングの撮像システムが各抽出装置を検査して、この抽出装置が以前にファイヤード状態にされたか又は不注意に始動されたか、或いはこれらの双方が達成されたか否かを決定するようにしうる。例えば、上述したカートリッジのある例では、抽出装置がプレファイヤード/コックド状態及びポストファイヤリング(post-firing )状態を有するようにしうる。プレファイヤード状態では、抽出装置のある部分(例えば、試薬パッド)が撮像システムの視野の外部にあるようにしうる。これとは逆に、抽出装置がファイヤード状態にされると、抽出装置の同じ部分が撮像システムの視野内で休止状態となるようにしうる。検査処置中は、撮像システムがカートリッジセルの内部を可視化して、撮像システムの特定部分が視野内にあるか否かを決定するようにしうる。この特定部分が識別されると、測定器ハウジングは抽出装置が利用できないことを表すインデックス付けを行うようにしうる。この際、カートリッジを回転させ、撮像システムが残りのカートリッジセルを検査するようにしうる。
【0159】
上述したことに加えて又は代えて、インデキシング手続きにより個々のセルに対する封止の完全性を検査するようにしうる。例えば、
図6A〜6Dに関して上述した測定器ハウジング(600)の例は、カートリッジ(602)の封止部(シール)を検査するように構成しうる。特に、カートリッジセルをカートリッジ収容室(608)内に配置する場合、このカートリッジセルを光源(612)と光検出器(618)との間に位置させることができる。カートリッジが1つ以上ののぞき窓(図示せず)を有する例では、光源(612)がのぞき窓の1つを通ってカートリッジ内に向かうようにしうる。これとは逆に、1つ以上の不透明な被覆材料により、光が何れかの開口を経てカートリッジから出るのを回避しうるようにする。1つ以上の被覆材料(従って、セルの封止部)が損傷している(例えば、欠陥があるか、又は測定器の一部、例えば、穿通部材又はパンチにより以前から穴抜きされている)場合には、光がカートリッジを通って出射し、光検出器(618)により検出しうる。光検出器(618)がこの光を(カートリッジ収容室の内部の如何なる周囲光に対しても制御した後に)検出すると、測定器ハウジングはセルを使用できないものとしてインデキシングすることができる。次いで、測定器ハウジングによりカートリッジを回転又は移動させ、光源(612)が光を新たなセル内に指向させ、これにより残りのセルを検査するとともにインデキシングするようにしうる。更に、適切な何れかの光源(例えば、撮像システムの1つ以上の光源)を用いてカートリッジの封止部を検査するようにすることができる。
【0160】
すぐ上に記載した1回以上の検査処置を用いてカートリッジセルを検査すると、測定器ハウジングは各セルに、利用可能である(例えば、使用準備完了状態にある)ものとして、又は利用不可能である(例えば、損傷状態又は以前にファイヤード状態にされた)ものとしてインデキシングすることができる。測定器ハウジングはこのインデキシング情報を後に使用するために記憶することができる。カートリッジが検査されたか、又はインデキシングされたか、或いはその双方が行われた場合、待機(スタンバイ)状態又は準備完了状態に入るように測定器を構成しうる。準備完了状態にある場合、カートリッジの開口が測定器ハウジングのポートと整列され、カートリッジ内に収容された抽出装置が試料を、このポートを通して収集するようにしうる。或いはまた、待機状態にある場合、カートリッジの開口がポートと整列されないようにこのカートリッジが測定器ハウジング内に配置されるようにしうる。この場合、開口が測定器ハウジングにより被覆又は遮蔽され、ユーザが開口をアクセスできないようにしうる。従って、待機状態は、ユーザが使用済みの抽出装置をアクセスするのを防止し、これにより、使用済みの抽出装置に対するユーザの潜在的な接触及び潜在的な針刺しを最少化するようにしうる。測定器ハウジングがカートリッジを回転させるように構成されている例では、この測定器ハウジングがカートリッジを待機状態と準備完了状態との間で回転させるようにしうる。
【0161】
測定器ハウジングがパンチを有している例では、カートリッジセルを始動状態に配置する前にこのカートリッジセルを“開放”(例えば、セルの1つ以上の開口を覆っている被覆材料を除去又は破損)させるのにこのパンチを用いることができる。ある例では、カートリッジがインデキシング/検査された直後に準備完了状態に入るようにこのカートリッジを構成することができる。これらの例では、測定器ハウジング上の1つ以上のボタン、トリガ又はセンサを押すことにより、カートリッジを待機状態から準備完了状態に移動させるようにしうる。又、測定器ハウジングがパンチを有している例では、測定器が待機状態にある際に、パンチがカートリッジセルの開口と整列するようにしうる。好ましくは、使用可能な抽出装置をパンチと整列するように配置でき、最初にカートリッジを回転させる必要なしに、パンチがカートリッジを開放させる準備完了状態にあるようにする。
【0162】
測定器が準備完了状態にあると、ユーザは検査処置を開始することができる。プリセットされた期間内にユーザが検査処置を開始しない場合には、測定器はカートリッジを待機状態に戻し、休止状態に入るようにすることができる。適切な如何なる方法でもユーザが検査処置を開始するようにすることができる。ある例では、ユーザは、ボタン、スイッチ、レバー又はセンサを押すか又は始動させることにより、手動で検査処置を開始しうるようにする。これに加えて又は代えて、ユーザは抽出個所を測定器のポートに押圧することにより検査処置を開始するようにしうる。例えば、測定器ハウジングが
図7A及び7Bにつき詳細に上述したタワー(700)のような可動タワーを有する場合、ポートを介してカートリッジに加えられる圧力により、タワー又はカートリッジの一部分を上述したような開始素子に係合させるようにしうる。タワー又はカートリッジと開始素子との間の係合により検査処置を開始するようにしうる。同様に、測定器が固定タワーを有する例では、ポートを介してカートリッジに加えられる圧力により、ひずみやその他のたわみをタワー中に生ぜしめ、これをひずみ計のような開始素子により測定又は検出するようにしうる。上述したように、開始素子は、検査処置を開始する前にある力又は圧力がこの開始素子に加えられるようにする必要がある。これらの例では、予め決定した期間の間、ある力又は圧力が(例えば、ポートを介して)タワー及びカートリッジの双方又は何れか一方に加えられた際に、検査処置を開始するようにしうる。
【0163】
検査処置に当り、測定器は流体試料を収集し且つ分析することができる。ユーザは最初に、抽出個所(例えば、1個所以上の皮膚表面)をポートに対接配置するようにしうる。ある例では、真空、陽圧、機械的な刺激及び熱の何れか1つ又はこれらの任意の組合せを抽出個所に加えるように測定器を構成するようにしうる。これらの刺激の何れも流体試料の収集前、収集中又は収集後に加えることができる。例えば、ある例では、(
図8A及び8Bに関して上述した真空チューブ(805)のような)真空チューブを、カートリッジセルに貫通させるか、又はカートリッジに入れ、抽出個所を真空状態にするようにしうる。又、真空個所により与えられる圧力の監視及び制御の双方又は何れか一方を測定器内の1つ以上のセンサにより行いうるようにしうる。測定器は、目的とする圧力(又はその他の刺激)を所望の期間の間加えた後、抽出装置を始動させて、流体試料を収集するようにしうる。上述したような適切な如何なるトリガ機構によっても、抽出装置をトリガ/始動させることができる。抽出装置は、トリガされると、抽出個所に穴抜き、貫通又は穿通するように移動し、この個所から流体試料を得るようにしうる。流体試料は、この流体試料が定量化部材(例えば、試薬パッド)と接触して反応するように、移送する(例えば、針の穴を通して引込むか、又はマイクロパターン化表面に亘るように広げるか、或いはこれらの双方を行う)ようにしうる。ある例では、
“DETECTION METER AND MODE OF OPERATION“と題する米国特許出願第12/457,331号明細書に記載されているように、抽出装置が充分な量の試料を収集したか否かを決定するように測定器を構成することができる。この米国特許出願明細書の内容は参考のために導入されるものである。上述した反応により、1つ以上の測定可能な結果が得られ、この結果を抽出装置により測定するとともに分析するようにしうる。ある例では、上述したような1つ以上の撮像システムを用いて、流体試料と定量化部材との間の反応を測定するようにしうる。更に、“ANALYTE DETECTION DEVICES AND METHODS WITH HEMOTCRIT/VOLUME CORRECTION AND FEEDBACK CONTROL ”と題する米国特許出願第11/239,122号明細書や、米国特許出願第12/457,332号明細書及び米国特許出願第12/222,724号明細書に記載されているような1つ以上の方法又はアルゴリズムを用いて、測定データを分析するように測定器を構成することができる。これらの米国特許出願明細書の内容は参考のために導入されるものである。この場合、測定器は分析結果を記憶するか、又はこの情報を(例えば、ディスプレイ又は聴覚を介して)ユーザに伝達するか、或いはこれらの双方を達成するようにすることができる。
【0164】
抽出個所に真空が加えられる例では、抽出装置による流体試料の収集を改善するために、真空を調節又は変更するようにしうる。例えば、抽出個所が皮膚表面である場合には、真空を加えることにより皮膚表面を上昇させ(持ち上げ)、これにより皮膚表面をカートリッジセルの方向に引くか又はカートリッジセル内に引込むか、或いはこれらの双方を達成するようにしうる。ある検査処置中、抽出装置の穿通部材は、皮膚表面から血液を収集する穿孔部材の能力を防止又は邪魔しうる状態で休止するようにしうる。この状態の発生を回避するのに役立つようにするために、皮膚表面に加える真空圧力を調節し、これにより穿孔部材に対する皮膚表面の配置を変えるように測定器を構成しうる。
【0165】
例えば、ある例では、抽出装置を始動する前に、真空を皮膚の個所に与え、これにより皮膚表面を上昇させるとともに皮膚表面をカートリッジセルの方向に引くように測定器を構成するようにすることができる。抽出装置が始動され、流体試料が収集されている際には、真空圧力を維持するようにしうる。ある期間(例えば、約5秒、約10秒、等の期間)後、抽出装置が充分な量の流体試料を収集していないことを測定器が判定した場合には、真空圧力を変えるように測定器を構成することができる。例えば、ある例では、真空圧力を一部低減させるか又は真空を止め、これにより皮膚を緩めて降下させるように測定器を構成することができる。又、ある例では、このようにすることにより、貫通された皮膚表面内に穿通部材を再配置し、これにより抽出個所への血液の流れを変えるか又は増大させるようにしうる。又、ある例では、ある期間(例えば、約1秒、約2秒、約3秒、等の期間)後、真空を皮膚表面に再度与え、これにより皮膚表面を穿通部材に対し再上昇させうるように測定器を構成することができる。ある例では、真空の調節には、真空圧力を増大させることを含めることができることも勿論である。更に他の例では、皮膚表面を穿通部材に対し循環的に上昇及び降下させるように真空を循環的に調節しうるようにする。