(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップa)の平衡化緩衝液が0.45M〜0.55Mクエン酸ナトリウム及び50mM〜100mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液である、請求項1に記載の方法。
前記ステップa)のTNFR−Fc融合タンパク質がpcDNA3.1−Kozak−TNFRII−Fc−IRES−GSベクターの導入された哺乳類細胞から生産される、請求項1に記載の方法。
前記TNFR−Fc融合タンパク質が、カラムに注入する前にアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び脱塩からなる群から選択される少なくとも1つの方法で部分精製される、請求項1に記載の方法。
前記TNFR−Fc融合タンパク質の混合物を含む試料が、注入前にクエン酸ナトリウムを用いて50mS/cm〜55mS/cmの伝導度に調整される、請求項1に記載の方法。
前記ステップc)が40mS/cm〜47mS/cmの伝導度を有する溶出緩衝液で活性型TNFR−Fc融合タンパク質を溶出させるステップである、請求項1に記載の方法。
前記方法が、pHが6.5〜7.0であり、伝導度が4mS/cm〜6mS/cmの緩衝液を用いてカラムから不活性型TNFR−Fc融合タンパク質又はTNFR−Fc融合タンパク質凝集体を含む分画を分離するステップd)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記目的をするための本発明の一実施態様は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いて活性型TNFR−Fc融合タンパク質を製造する方法を提供する。
【0015】
前記方法は、a)クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム及びリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの塩を含む平衡化緩衝液(equilibration buffer)で前平衡化(pre-equilibration)された疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムに哺乳類細胞から生産されたTNFR−Fc融合タンパク質の混合液を含む試料をクロマトグラフィーレジン体積当たり10〜14g/L bedの量で注入するステップと、b)前記平衡化緩衝液の塩と同じ塩を含む洗浄緩衝液(wash buffer)で前記カラムを洗浄してTNFR−Fc融合タンパク質の混合液から切断型TNFR−Fc融合タンパク質を除去するステップと、c)前記平衡化緩衝液よりも低い塩濃度を有する溶出緩衝液(elution buffer)で前記カラムから活性型TNFR−Fc融合タンパク質を溶出させるステップとを含むことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0016】
前記TNFR−Fc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞でTNFR−Fc融合タンパク質を生産する場合、TNFRタンパク質のシステインがランダムに結合して天然型TNFRタンパク質と同一のジスルフィド結合が形成されなかったり、TNFRタンパク質の一部分も切断されて正常な形態のTNFR−Fc二量体が形成されない。よって、TNFR−Fc融合タンパク質を宿主細胞から生産する場合、活性型TNFR−Fc融合タンパク質、不活性型TNFR−Fc融合タンパク質又はTNFR−Fc融合タンパク質凝集体が含まれる混合液から野生型TNFRタンパク質の生物学的活性と同一の又は対応する活性を有する活性型TNFR−Fc融合タンパク質のみ分離する必要があった。本発明の前記方法は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いてTNFR−Fc融合タンパク質の混合液から活性型TNFR−Fc融合タンパク質を高純度で分離することができる方法であり、活性型TNFR−Fc融合タンパク質の分離に効果的に用いることができる。
【0017】
本発明における用語「TNFR(tumor necrosis factor receptor)タンパク質」とは、TNF−αに結合する受容体タンパク質を意味する。前記TNFRは、TNFRI(p55)タンパク質又はTNFRII(p75)タンパク質を含み、好ましくはTNFRIIタンパク質であるが、これに限定されるものではない。前記TNFRIIはTNFRSF1B(Tumor necrosis factor receptor superfamily member 1B)と混用される。前記TNFRIIタンパク質は、4つのドメインと膜透過(transmembrance)領域を有し、235個のアミノ酸を含むTNFRIIタンパク質であってもよいが、これに限定されるものではない。前記TNFRIタンパク質及びTNFRIIタンパク質に関する情報は、米国国立衛生研究所であるジェンバンク(GenBank)のような公知のデータベースから得ることができ、例えば、 受託番号がNP_001056又はP20333のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
前記TNFRタンパク質は、ヒト体内に過剰発現すると様々な疾患を起こすことが知られているTNF−αに結合する生物学的活性を有するので、それを自己免疫疾患などのTNF−αにより媒介される疾病の治療に用いることができる。これを達成するために免疫グロブリンのFc領域をTNFRタンパク質に融合して半減期が延長した融合タンパク質を製造する。
【0019】
本発明における用語「TNFR−Fc融合タンパク質」とは、TNFRタンパク質の全部又は一部が免疫グロブリンのFc領域と酵素作用により連結されたもの、又は遺伝子操作により前記2つのポリペプチドが1つのポリペプチドとして発現した結果物を意味する。前記TNFR−Fc融合タンパク質において、TNFRタンパク質と免疫グロブリンのFc領域は直接連結されたものであってもよく、ペプチドリンカーにより連結されたものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0020】
前記TNFR−Fc融合タンパク質は、TNFRタンパク質の全部又は一部を免疫グロブリンFc領域と融合して作成することができ、例えば、TNFRIIタンパク質の1番目〜235番目のアミノ酸部位とヒンジ部位を含む免疫グロブリンFc領域の232個のアミノ酸とを融合させて製造することができるが、これに限定されるものではない。また、前記TNFR−Fc融合タンパク質は宿主細胞の発現によりコドン最適化(codon optimization)されてもよい。例えば、前記TNFR−Fc融合タンパク質は配列番号1のアミノ酸配列で定義されるCHO細胞に対してコドンを最適化したTNFR−Fc融合タンパク質であってもよいが、これに限定されるものではない。前記TNFR−Fc融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質を含み、前記配列と70%以上の類似性、好ましくは80%以上の類似性、より好ましくは90%以上の類似性、さらに好ましくは95%以上の類似性、最も好ましくは98%以上の類似性を有するアミノ酸配列を持つタンパク質であり、実質的にTNF−αに結合する活性を有するタンパク質であればいかなるものでもよい。また、このような類似性を有する配列が前記TNFR−Fc融合タンパク質と同一の又は対応する生物学的活性を有するならば、一部の配列が欠失、修飾、置換又は付加されたタンパク質変異体のいかなる種類のものも本発明の範囲内に含まれる。また、前記TNFR(tumor necrosis factor receptor)−Fc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号2のヌクレオチド配列を含み、前記配列と70%以上の類似性、好ましくは80%以上の類似性、より好ましくは90%以上の類似性、さらに好ましくは95%以上類似性、最も好ましくは98%以上の類似性を有するヌクレオチド配列であり、実質的にTNF−αに結合する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドであればいかなるものでもよい。また、このような類似性を有する配列が前記TNFR−Fc融合タンパク質と同一の又は対応する生物学的活性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であれば、一部の配列が欠失、修飾、置換又は付加されたタンパク質変異体をコードするヌクレオチド配列のいかなる形態も本発明の範囲内に含まれることは自明である。本発明の一実施例においては、CHO細胞に特異的にコドン最適化を行った。
【0021】
本発明における用語「免疫グロブリン(Ig)のFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域、重鎖定常領域1(CH1)及び軽鎖定常領域(CL1)を除いたものであり、重鎖定常領域2(CH2)、重鎖定常領域(CH3)及びヒンジ部分を含む免疫グロブリンの一部分を意味する。また、本発明の免疫グロブリンFc領域には、天然アミノ酸配列及びその配列誘導体も含まれる。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより天然型アミノ酸配列とは異なる配列を意味する。また、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgM、IgE、IgAもしくはIgD由来のFc領域、又はそれらの組み合わせもしくはそれらのハイブリッド(hybrid)により生産されたFc領域であってもよい。結合タンパク質の半減期を向上させることが知られているIgGに由来するものであることが好ましい。IgG1に由来するものがより好ましいが、これに限定されるものではない。
【0022】
一方、本発明における用語「組み合わせ」とは、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドが異なる起源の単鎖ポリペプチドに結合形成し、ニ量体又は多量体を形成することを意味する。すなわち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgE Fcフラグメントからなる群から選択される少なくとも2つのフラグメントから二量体又は多量体が形成され得る。
【0023】
本発明における用語「ハイブリッド(hybrid)」とは、単鎖免疫グロブリンFc領域に存在する異なる起源の少なくとも2つの免疫グロブリンFcフラグメントをコードする 配列を意味する。本発明においては、様々な形態のハイブリッドが可能である。すなわち、前記ドメインのハイブリッドはIgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなる群から選択される1つ〜4つのドメインで構成することができ、ヒンジを含んでもよい。一方、IgGもまたIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けられ、本発明においては、それらの組み合わせ及びそれらのハイブリッド化も含まれる。
【0024】
前記TNFR−Fc融合タンパク質は、前記融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを哺乳類細胞に導入して発現させることにより得ることができ、例えば、変異したGS(glutamine synthetase)酵素及びTNFR−Fc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを哺乳類細胞に導入して得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
前記変異したGS酵素は、野生型GS酵素のアミノ酸配列において299番目であるグリシン(G)のアルギニン(R)への置換を含む配列を有する酵素であり、本発明のTNFR−Fc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、前記変異したGS酵素を含んでもよい。例えば、pcDNA3.1−Kozak−TNFRII−Fc−IRES−GSベクターが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明においては、TNFR−Fc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む代表的な発現ベクターとしてpcDNA3.1−Kozak−TNFRII−Fc−IRES−GSベクターを用い、これをCHO細胞に形質導入してTNFR−Fc融合タンパク質を発現させた。前記方法で得られたTNFR−Fc融合タンパク質には、活性型TNFR−Fc融合タンパク質、切断型TNFR−Fc融合タンパク質、不活性型TNFR−Fc融合タンパク質又は/及びTNFR−Fc融合タンパク質凝集体のような様々な形態のTNFR−Fc融合タンパク質の混合物が含まれる。よって、そこからTNF−αに結合する生物学的活性を有する活性型TNFR−Fc融合タンパク質のみ分離する必要性がある。本発明の製造方法を用いる場合には、前記活性型融合タンパク質及び凝集体をそれぞれ異なる分画で得ることができるので、活性型融合タンパク質のみ高純度で得ることができる。
【0027】
本発明の前記活性型TNFR−Fc融合タンパク質を製造する方法は、a)平衡化緩衝液で前平衡化した疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムに TNFR−Fc融合タンパク質の混合液を含む試料を注入する工程を含む。
【0028】
前記ステップa)は、 平衡化緩衝液で前平衡化した疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムに前記試料を注入するステップである。
【0029】
前記カラムの前平衡化は、クロマトグラフィーのカラムレジンが平衡緩衝化されるように高濃度の塩容液を前記カラムに処理して行う。
【0030】
前記高濃度の塩容液の例としては、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム及びリン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの塩を含む緩衝液が挙げられるが、本発明の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)のカラムを緩衝化できるものであれば、前記塩溶液の種類は特に限定されない。その例としては、クエン酸ナトリウム又は硫酸ナトリウムを塩として用いることができるが、これらに限定されるものではない。前記平衡緩衝液がクエン酸ナトリウムを塩として含むものであれば、その濃度は0.45〜0.55Mであってもよく、50〜100mMリン酸ナトリウムをさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。また、硫酸ナトリウムを塩として含むものであれば、その濃度は0.70〜0.72Mであってもよく、50〜100mMリン酸ナトリウムをさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。また、前記平衡化緩衝液のpHは6.5〜7.0であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。前記平衡化緩衝液はpH6.7〜6.9の0.48〜0.52Mクエン酸ナトリウム及び50〜70mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液、又はpH6.7〜6.9の0.71〜0.72M硫酸ナトリウム及び50〜70mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液であることがより好ましく、pH6.8の0.5Mクエン酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液、又はpH6.8の0.72M硫酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液であることが最も好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の一実施例においては、pH6.8の0.5Mクエン酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液とpH6.8の0.72M硫酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液を平衡化緩衝液として用いた。
【0032】
本発明における用語「疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)」とは、生体分子の精製過程に用いられ、これはタンパク質表面と疎水性相互作用クロマトグラフィー吸着剤の可逆的相互作用に基づくものである。イオン交換クロマトグラフィーやサイズ排除クロマトグラフィーに比べて、イソ型(isoform)タンパク質と同程度の等電点又は分子量を有する不純物の分離に卓越している。
【0033】
前記疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)のカラムで用いることのできるリガンドの種類は、本発明の活性型TNFR−Fc融合タンパク質の分離に用いることのできるリガンドであれば、その種類は特に限定されるものではないが、例えば、ブチル基、オクチル基、フェニル基及びアルキル基を含むことができる。前記リガンドとしては、ブチル基又はフェニル基であることが好ましく、ブチル基であることがより好ましいが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施例においては、ブチルリガンドを含むGEヘルスケア社のButyl Sepharose 4 Fast Flowを用いた。前記Butyl Sepharose 4 Fast Flowは、高度に架橋された4%アガロースマトリックスにブチルリガンドがエーテル結合によりカップリングされた90μmのサイズのビーズに基づいたものであり、高い化学的、物理的及び熱的安定性を有する。担体の高い疎水性により、親水性タンパク質を分離するのに用いることができる。
【0034】
活性型TNFR−Fc融合タンパク質を製造する本発明の方法は、a)前記前−平衡緩衝化されたカラムにTNFR−Fc融合タンパク質の混合液を含む試料を注入するステップを含む。
【0035】
本発明における用語「TNFR−Fc融合タンパク質の混合液を含む試料」は、TNFR−Fc融合タンパク質を含む細胞の培養上清(cell culture supernatant)、前記細胞の破砕物(cell extract)、又は部分精製された上清や破砕物であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記TNFR−Fc融合タンパク質を宿主細胞で生産する場合、活性型TNFR−Fc融合タンパク質、TNFR−Fc融合タンパク質の一部分が欠失した切断型TNFR−Fc融合タンパク質、ジスルフィド結合が正常に形成されていない不活性型TNFR−Fc融合タンパク質又は/及びTNFR−Fc融合タンパク質凝集体の混合物が前記培養上清や細胞破砕物に含まれる。
【0036】
前記TNFR−Fc融合タンパク質は、 前記融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが導入された哺乳類細胞で発現され、この上清が回収されたものが好ましい。次に、これを再び疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに注入する前に、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び脱塩からなる群から選択される少なくとも1つの方法で部分精製することができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本発明における用語「部分精製」とは、クロマトグラフィーのような分画方法(fractionation procedure)を少なくとも1つ行った後にも、目的とする活性型TNFR−Fc融合タンパク質以外の他のタンパク質も存在する状態を意味する。本発明の一実施態様においては、タンパク質Aクロマトグラフィーを用いて培養上清の部分精製を行った。
【0038】
前記TNFR−Fc融合タンパク質の混合液は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムの注入前に高濃度の塩溶液で伝導度が調整された混合タンパク質試料であってもよい。前記塩溶液としては、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム及び硫酸アンモニウムからなる群から選択される塩を含む溶液であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記高濃度の塩溶液で処理したTNFR−Fc融合タンパク質試料は、50〜75mS/cmの範囲内で調整することが好ましい。
【0039】
前記高濃度の塩溶液がクエン酸ナトリウムを含む溶液である場合は、伝導度は50〜55mS/cmの範囲内で調整することが好ましく、硫酸ナトリウムを含む溶液を用いる場合は65〜75mS/cmの伝導度に調整することが好ましいが、これらに限定されるものではない。前記タンパク質試料は、0.45〜0.55Mのクエン酸ナトリウムの濃度を有するのが好ましく、0.48〜0.52であることがより好ましく、0.5Mであることが最も好ましい。また、前記タンパク質試料は 0.70〜0.72Mの硫酸ナトリウム濃度を有するのが好ましく、0.71〜0.72であることがより好ましく、0.72Mであることが最も好ましい。また、前記タンパク質試料のpHは6.5〜7.0であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本発明の一実施態様においては、クエン酸ナトリウムを含む塩溶液を用いて前記TNFRII−Fc融合タンパク質試料の伝導度を50〜52mS/cmとなるように調整したが、ここでクエン酸ナトリウムの最終濃度は0.5Mであった。また、硫酸ナトリウムを含む塩溶液を用いて前記試料を65〜75mS/cmの伝導度となるように調整したが、ここで硫酸ナトリウムの最終濃度は0.72Mであった(実験例1)。また、本発明においては、前記クエン酸ナトリウムや硫酸ナトリウム以外に、塩化ナトリウムを塩として用いて疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を行った。しかし、塩化ナトリウムの濃度を0.75M〜1.5Mと高くしても活性型TNFRII−Fc融合タンパク質がカラムに結合せず、フロースルー分画に回収され(
図3〜5)、用いる塩の種類及び濃度の範囲も本発明の方法において重要な要素であることが確認された。
【0041】
前記ステップa)においては、 置換効果によりタンパク質の分離が容易に行えるようにTNFR−Fc融合タンパク質混合液をクロマトグラフィーレジン積当たり10〜14g/L bedの量で注入することができる。
【0042】
本発明における用語「置換効果(displacement effect)」とは、相対的に高い結合力を有する分析物が高濃度で存在する場合に、低い結合力の分析物はカラムレジンに保持されずに早く溶出する現象を意味する。本発明の目的分析物質である活性型TNFR−Fc融合タンパク質は、不活性型タンパク質及びタンパク質凝集体とは疎水性の程度の差が大きいので、伝導度の調整だけでも容易に分離することができる。しかし、切断型タンパク質及と活性型タンパク質間の疎水性の若干の差により、従来の疎水性相互作用クロマトグラフィーの分析条件で切断型タンパク質から活性型タンパク質を容易に分離することができる。本発明は、タンパク質試料の注入量を クロマトグラフィーレジン体積当たり10〜14g/L bedの範囲内で調整する、前記置換効果により、活性型タンパク質からの切断型タンパク質分画の除去が可能になることを特徴とする。クロマトグラフィーレジン体積当たり12〜14g/L bedの量でタンパク質試料を注入することがより好ましい。本発明の一実施態様においては、タンパク質注入量による置換効果を比較した。タンパク試料を10g/L bed未満である9.5g/L bedの量で注入した場合は、切断型TNFRII−Fc融合タンパク質分画と活性型TNFRII−Fc融合タンパク質分画が容易に分離されなかった。それに対して、13g/L bedの量で注入した場合は、切断型分画と活性型分画が明確に区分された(実験例5,
図9及び
図10)。
【0043】
また、本発明の方法は、b)洗浄緩衝液で前記カラムを洗浄し、切断型TNFR−Fc融合タンパク質の分画を分離して製造するステップを含む。
【0044】
前記洗浄緩衝液は、平衡化緩衝液と同じ組成でもよいが、これに限定されるものではない。前記洗浄緩衝液を用いてカラムを洗浄する際に、切断型TNFR−Fc融合タンパク質が溶出する。ここで、溶出するピークを本発明においてはピーク1と命名した。
【0045】
本発明の一実施態様においては、平衡化に用いた平衡化緩衝液でカラムを洗浄して切断型タンパク質を除去した。ここで、使用した平衡化緩衝液は、pH6.8で、0.5Mクエン酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液、又はpH6.8で、0.72M硫酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む緩衝液であった。
【0046】
また、本発明は、c)前記平衡化緩衝液より塩濃度を減少させた溶出緩衝液を用いて前記カラムから活性型TNFR−Fc融合タンパク質を溶出させるステップを含む。
【0047】
疎水性相互作用クロマトグラフィーにおいて、分子の疎水性が大きいほど、カラムに結合させるために要求される塩は少なくなる。 活性型TNFR−Fc融合タンパク質と非活性型又は凝集体TNFR−Fc融合タンパク質間に 疎水性の差があるため、塩の濃度を調節することによって不活性型又は凝集体TNFR−Fc融合タンパク質から活性型タンパク質を分離することができる。よって前記ステップは、平衡化緩衝液より塩濃度の低い融合緩衝液を用いてを活性型TNFR−Fc融合タンパク質と疎水性リガンド間の相互作用を減少させ、カラムから活性型TNFR−Fc融合タンパク質を分離させるステップである。本発明においては、活性型TNFR−Fc融合タンパク質を含むピークをピーク2と命名する。
【0048】
前記溶出緩衝液は、平衡化緩衝液及び洗浄緩衝液より塩濃度を有する緩衝液であり、その伝導度は40〜47mS/cmであってもよい。クエン酸ナトリウムを含む溶出緩衝液を用いる場合、前記溶出緩衝液も0.35〜0.4Mの濃度のクエン酸ナトリウムを含んでもよく、0.38〜0.4Mであることがより好ましく、0.4Mの濃度のクエン酸ナトリウムを含むことが最も好ましいが、これらに限定されるものではない。また、硫酸ナトリウムを含む溶出緩衝液を用いる場合、前記溶出緩衝液は0.35〜0.56Mの濃度の硫酸ナトリウムを含んでもよく、0.38〜0.4Mであることがより好ましく、0.4Mの濃度の硫酸ナトリウムを含むことが最も好ましいが、これらに限定されるものではない。また、前記溶出緩衝液は50〜100mMリン酸ナトリウムをさらに含んでもよいが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施態様においては、pH6.8の0.4Mクエン酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む溶出緩衝液と、pH6.8の0.4M硫酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウムを含む溶出緩衝液を用いた。前記溶出緩衝液のpHは6.5〜7.0の範囲であってもよいが、これらに限定されるものではない。 ステップc)を行った後の伝導度は40〜47mS/cmであった。
【0049】
前記活性型TNFR−Fc融合タンパク質を製造する方法は、d)カラムから不活性型TNFR−Fc融合タンパク質又はTNFR−Fc融合タンパク質凝集体を含む分画を分離するステップをさらに含んでもよい。
【0050】
前記ステップは、前記溶出緩衝液より減少した塩の濃度を含む緩衝液、又はクエン酸ナトリウムや硫酸ナトリウムが含まれない緩衝液を用いて不活性型タンパク質及び凝集体タンパク質を含む分画を溶出させるステップである。この時に溶出するピークを本発明においてはピーク3と命名する。ここで、使用される緩衝液はpH6.5〜7.0であり、0〜0.1Mクエン酸ナトリウム又は0〜0.1M硫酸ナトリウムを有するものあってもよいが、これらに限定されるものではない。また、前記緩衝液は6.5〜7.0の範囲のpH を有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。また、前記緩衝液は、4〜6mS/cmの伝導度、50〜70mMのリン酸ナトリウム又は/及びpH6.7〜6.9のpHを有するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施態様においては、pH6.8である50mMのリン酸ナトリウムを含む緩衝液を使用し、伝導度を4〜6mS/cmに調整した。
【0051】
前述したように、本発明は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いて切断型、凝集体、不活性型及び活性型タンパク質の混合物から活性型タンパク質を分離する方法を提供する。前記方法は前記カラムに注入される試料の伝導度を高濃度の塩容液で調整してその注入量を高めることによって、置換効果により相対的に結合力が低い切断型タンパク質を活性型タンパク質から除去できることを特徴とする。また、前記方法は疎水性相互作用クロマトグラフィーの特定の塩の濃度を調節することによって、目的とする活性型TNFR−Fc融合タンパク質を高濃度で分離して製造できることを特徴とする。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、299番目のアミノ酸が置換されたGS及びTNFRII−Fc融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを動物細胞であるCHO細胞に形質転換し(実施例1〜4)、そこからTNFRII−Fc融合タンパク質を得た。次に、活性型TNFRII−Fc融合タンパク質を分離するために、疎水性相互作用クロマトグラフィーを行った(実験例1)。本発明の方法によりTNFRII−Fc融合タンパク質を分離する場合、切断型TNFRII−Fc融合タンパク質、活性型TNFRII−Fc融合タンパク質及びTNFRII−Fc融合タンパク質凝集体がそれぞれピーク1、2及び3に分離された(
図3、
図6及び
図7)。また、タンパク質試料を12g/L bed以上の量で疎水性相互作用クロマトグラフィーに注入する際に、9.5g/L bed以下の量で注入した時には分離しなかった切断型タンパク質に相当するピークが活性型タンパク質のピークから分離され(
図9及び
図10)、得られた活性型タンパク質のピークに相当する分析物の活性は純粋な活性型のものと同レベルであることが示された(
図8)。TNFRII−Fc二量体を精製する周知の方法によると、2種類の分画、すなわち活性型タンパク質を含む分画と、不活性型、凝集体及び切断されたタンパク質を全て含む分画とに分離された。しかし、3種類の分画、すなわち切断タンパク質を多量に含む分画、活性型タンパク質を含む分画、不活性型タンパク質及びタンパク質凝集体を含む分画に分離されたとう報告は未だなされてない。本発明においては、前記3種類の分画に分離され、前記活性は活性型TNFRII−Fcタンパク質を含み、分画の活性は純粋な活性型のものと同レベルであり、従来の技術より高い純度で活性型TNFRII−Fc融合タンパク質を製造できることを示した。
【0053】
よって、本発明の方法は、従来の方法では分離が難しかった切断型TNFR−Fc融合タンパク質を除去することにより、生物学的活性を有する活性型TNFR−Fc融合タンパク質を高純度で精製するのに用いることができる(例えば、エタネルセプト(etanercept))。
【0054】
本発明の他の実施態様は、前記方法により製造された活性型TNFR−Fc融合タンパク質を提供する。
【0055】
前記方法及びTNFR−Fc融合タンパク質の説明については前述した通りである。
【0056】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例はあくまで本発明を例示するためのものであり、本発明がこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:TNFRII−Fc融合タンパク質をコードする遺伝子の合成
組換えタンパク質発現ベクターシステムで生産された組換えタンパク質の発現レベルを確認するために、目的タンパク質としてTNFRII−Fc融合タンパク質を用いた。
【0058】
前記融合タンパク質をコードする遺伝子(配列番号2)が次の基準を満たすようにGeneArt社に依頼して合成した。(1)TNFRのシグナル配列を含むようにする。(2)TNFRアミノ酸の1番目〜235番目のアミノ酸まで発現するようにする。(3)CHO細胞に形質感染できるようにCHO細胞に対してコドン最適化する。(4)Invitrogen社のpcDNA3.1ベクターに挿入することを考慮して、5’末端には制限酵素NheI部位を、3’末端には制限酵素NotI部位を有するようにする。
【0059】
前記合成された融合タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列は最終的にVectorNTIプログラムを用いて分析した。
【0060】
実施例2:TNFRII−Fc融合タンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターの作成
一般的な組換えタンパク質発現システムであるDHFRシステムを得るために、ハムスターのDHFR(dihydrofolate reductase)遺伝子をクローニングした。
【0061】
具体的には、ハムスターのDHFR遺伝子を得るために、突然変異型(mutant type)のハムスターDHFR遺伝子を有するpSVA3ベクター(ATCC 77273)を購入して該当DHFR遺伝子を鋳型として用いて、点突然変異(point mutation)法を行って野戦型のDHFR遺伝子を得た。また、IRES塩基配列は、該当DNA配列を有するClontechベクター(Cat. #6029-1, PT3267-5)からPCR反応により得た。
【0062】
前記得たDHFR遺伝子と配列内リボソーム進入部位(Internal ribosome entry site、IRES)配列をpCR2.1ベクターにクローニングし、pCR2.1−IRES−DHFRの形態の発現ベクターを作成した。
【0063】
実施例1で得られたTNFR−Fcが挿入されたpcDNA3.1−TNFR−Fcベクターと前記得られたpCR2.1−IRES−DHFRベクターをそれぞれ制限酵素であるSalI及びXbaIで切断し、連結して最終的にTNFR−Fcが挿入されたpcDNA3.1−TNFR−Fc−IRES−DHFR発現ベクターを得た。カナマイシン抵抗性遺伝子を有するベクターへのクローニングのために、ClontechのpAC−GFPベクター(#632483)からカナマイシン抵抗性遺伝子を得てKan/Neo遺伝子を導入した。前記ベクターは、TNFR−Fc遺伝子の転写開始部位にKozak配列及び抗生剤選別マーカーとしてのKan/Neo遺伝子を有するベクターであり、CHO細胞株を用いた組換えタンパク質発現量の比較のために4種の異なる発現ベクターシステムのクローニングに対する基本骨格として用いられた。
【0064】
実施例3:ハムスターのGS遺伝子のクローニング及び哺乳類のタンパク質発現ベクターpcDNA3.1−Kozak−TNFRII−Fc−IRES−GSの製造
GS DNAを得るためにハムスター細胞株であるCHO DG44(Invitrogen, 12609-012)を培養し、その後TRIZOL試薬(Invitrogen)を用いて全RNAを得た。得られた全RNAを用いたRT−PCRを行ってcDNAを得て、前記得られたcDNAを鋳型とし、下記GS遺伝子を得るためのプライマー対(GS SalI-F primer, GS XbaI-R primer)を用いてPCRを行い(94℃、5分間の変性を行い、94℃、30秒間の変性、50℃、30秒間のアニーリング、72℃、90秒間の伸長を25回繰り返し、72℃、7分間の伸長を行う)PCR産物を得た。
GS SalI−F:5’−gtcgacatggccacctcagcaagttccc−3’(配列番号3)
GS XbaI−R:5’−tctagattagtttttgtattggaaaggg−3’(配列番号4)
【0065】
前記得られたPCR産物を0.8%アガロースゲルに電気泳動し、その後該当バンドを切断してQuiagen Cleaning kit(#28204)を用いてクリーンアップした。次に、この産物を遺伝子クローニングベクターであるpGEMTベクター(Promega, USA)に挿入した。前記PCR産物が挿入されたpGEMTベクターをTOP10細胞に導入して計10個のcolonyを得た。塩基配列(配列番号5)及び前記塩基配列によりコードされるアミノ酸配列(配列番号6)を分析した。その結果、NCBI GenBankによって公知されているハムスターGS遺伝子(GenBank: X03495.1)によりコードされるアミノ酸配列と1つのアミノ酸が異なることが確認された。前記クローニングしたGS遺伝子は、野生型GS酵素のアミノ酸配列において299番目のアミノ酸がグリシン(Glycine, G)からアルギニン(Arginine, R)への置換を含む配列を含むGS酵素をコードする。
【0066】
前記pGEMT−GSをSalI及びXbaI制限酵素を処理して得た断片を、SalI及びXbaI制限酵素で予め切断しておいたTOPO−IRES−DHFRベクターに挿入してpCR2.1−TOPO−IRES−GS遺伝子を得た。
【0067】
次に、TNFR−Fc遺伝子とIREF−GS遺伝子を結合するために、それぞれXhoIとXbaIで切断したTNFR−Fc−IRES−DHFR遺伝子とIRES−GS断片をライゲーションして、 kozak−TNFR−Fc−IRES−GSベクター(「IRES−GSベクター」)を作成した(
図1)。
図1は本発明に用いられるpcDNA3.1−Kozak−TNFRII−Fc−IRES−GSをクローニングする方法を示す概略図である。また、前記ベクターの模式図は
図2に示した。
【0068】
実施例4:疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)に適用するための試料の製造
リポフェクタミン(lipofectamine 2000; Invitrogen)を用いて、TNFRII−Fcを生産する遺伝子を含むpcDNA3.1−Kozak−TNFRII−Fc−IRES−GSベクターをチャイニーズハムスター(Chinese hamster ovary、CHO)細胞株に導入した。前期導入CHO細胞株を10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum; FBS)を含むDMEM/F12(Dulbecco’s Modified Eagle Medium Nutrient Mixture F-12)培地を用いて、前記遺伝子導入CHO細胞株をフラスコ又はバイオリアクターで培養した。培養液をデプスフィルタ(depth filter)で濾過して細胞を除去し、再度精密濾過法(microfiltration)を行って細胞断片を除去した。前記培養上清を回収し、プロテインAクロマトグラフィーで部分精製を行った。精製分画のpHは100mMクエン酸又はリン酸(pH2.1) を用いて3.6〜3.8の範囲内で調整した。
【0069】
1Mクエン酸ナトリウム及び75mMリン酸ナトリウムの溶液は(pH6.8)約1:1の体積比で混合した。伝導度が常温で50〜52mS/cmになるまで前記溶液を攪拌しながら添加した。添加後に0.2μmのフィルタを用いて混合液を濾過した。
【0070】
実験例1:疎水性相互作用クロマトグラフィー
実験例1−1:クエン酸ナトリウムを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー
ガラスカラムにButyl Sepharose 4 Fast Flow(GE Healthcare)を8cm以上の高さに充填した。0.5Mクエン酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)(緩衝液Iと命名する)、及び 50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)(緩衝液Jと命名する)を製造した。
【0071】
充填したカラムに3カラム体積の平衡化緩衝液(equilibrium buffer)である緩衝液Iを少しずつ注入してカラムを平衡化した。平衡化完了後、実施例4で製造した溶液をカラムに対してカラム1リットル当たり12グラム以上の量でカラムに注入した。注入完了後、2カラム体積の洗浄緩衝液である緩衝液Iでカラムを洗浄した。ここで、溶出する分画をピーク1と命名した。
【0072】
次に、溶出緩衝液を緩衝液I(80%)と緩衝液J(20%)の組成となるように製造し、前記緩衝液で伝導度を調整した。UV検出器のシグナルが増加したら、分画を回収した。ここで、溶出する分画をピーク2と命名した。ピーク2は1.5〜3.5カラム体積の量で回収された。
【0073】
次に、前記緩衝液が(100%)の緩衝液J組成となるようにし、その後緩衝液Jの3カラム体積でカラムを洗浄した。ここで、溶離する分画をピーク3と命名した。
【0074】
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーの結果として
図3のクロマトグラムを得た。
図3に示すように、ピーク1、ピーク2及びピーク3に分けた。ピーク1は切断された形態で含んでおり、ピーク2は活性型、ピーク3は不活性型とタンパク質の凝集体を含むことが確認された。
【0075】
実験例1−2:硫酸ナトリウムを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー
カラムをButyl Sepharose 4 Fast Flowで10cm以上の高さに充填した。0.72M硫酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)(以下、「緩衝液S」)及び50mMリン酸ナトリウム緩衝液(以下、「緩衝液J」)を製造した。
【0076】
前記充填したカラムに3カラム体積の緩衝液Sを少しずつ注入してカラムを平衡化した。平衡化完了後、1.2M硫酸ナトリウム及び50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)を用いて硫酸ナトリウムの最終濃度を0.72Mに調整したタンパク質溶液をカラム1リットル当たり11グラム以上の量でカラムに適用した。前記タンパク質溶液は、65〜75mS/cmの範囲の伝導度を有するものであった。注入完了後、2カラム体積の緩衝液Sでカラムを洗浄した。次に、緩衝液Sの組成を30カラム体積で100%から30%に減少させ、次いで3カラム体積で30%から0%に減少させた。前記疎水性相互作用クロマトグラフィーの結果として得られたクロマトグラムを
図4に示した。
【0077】
その結果、
図4に示すように、TNFRII−Fc融合タンパク質は0.72M硫酸ナトリウムの濃度でカラムへの吸着が観察された。
【0078】
これらの結果は、クエン酸ナトリウム以外に、硫酸ナトリウムを本発明の塩として用いて活性型TNFRII−Fc融合タンパク質を分離できることを意味するものである。
【0079】
実験例1−3:塩化ナトリウムを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
カラムをButyl Sepharose 4 Fast Flowで10cm以上の高さに充填した。0.75M塩化ナトリウム及び50mM トリス−HCl 緩衝液(pH7.2)(以下、「緩衝液X」)、1.0M塩化ナトリウム及び50mM トリストリス−HCl緩衝液(pH7.2)(以下、「緩衝液Y」)、1.5M塩化ナトリウム及び50mM トリス−HCl緩衝液(pH7.2)(以下、「緩衝液Z」)、及び50mM トリス−HCl緩衝液(pH7.2)(以下、「緩衝液T」)を製造した。
【0080】
前記充填したカラムに3カラム体積の緩衝液Xを少しずつ注入してカラムを平衡化した。平衡化完了後、1.5M塩化ナトリウム及び50mM トリス−HCl緩衝液(pH7.2)を用いて塩化ナトリウムの最終濃度を0.75Mに調整したタンパク質溶液をカラム1リットル当たり4グラム以上の量でカラムに適用した。注入完了後、2カラム体積の緩衝液Xでカラムを洗浄した。次に、前記緩衝液Xの組成を20カラム体積で100%から0%に減少させた。また、緩衝液Yと緩衝液Zにおいても前記と同様の過程を行った。前記による疎水性相互作用クロマトグラフィーを行った結果として得られたクロマトグラムを
図5に示した。
【0081】
図5に示すように、TNFRII−Fc融合タンパク質は高濃度の塩化ナトリウム塩溶液を用いた場合でもカラムに吸着せず、フロースルー分画で回収されることが示された。
【0082】
前記のような結果は、本発明の活性型TNFRII−Fc融合タンパク質は単に伝導度を調整するだけでは分離されず、用いられる特定の塩の種類及び濃度が重要であることを示す結果である。
【0083】
実験例2:疎水性相互作用HPLC
実施例1−1の各ステップで得られた試料に対して疎水性相互作用HPLC(hydrophobic interaction high performance liquid chromatography)に適用した。疎水性相互作用HPLCでは、Butyl NPRカラム(Tosoh Bioscience)を使用し、移動相Aは1.8M硫酸アンモニウム、100mMリン酸ナトリウム溶液(pH7.0)を用い、移動相Bは100mMリン酸ナトリウム溶液 (pH7.0)を用いた。 初期の5分間を移動相Aの組成を1ml/minで100%となるように維持し、45分間で移動相Aの組成が100%から0%になるように線形勾配を与えた。前記結果を
図6に示した。
【0084】
図6から分かるように、ピーク1ではピーク1の分画が優勢であるが、ピーク2が混合している。ピーク2は活性型の単一の分画のみ含むことが示された。ピーク3では活性型の分画がなく、ピーク3の分画のみ優勢であった。
【0085】
前記のような結果は、本発明のTNFRII−Fc融合タンパク質の製造方法は、活性型の形態のタンパク質のみ効果的に分離するのに使用できることを示すものである。
【0086】
実験例3:サイズ排除(size-exclusion; SE)HPLC
実験例1−1の各ステップで得られた試料に対してSE−HPLCを行った。SE−HPLCは、タンパク質のサイズにより分離する方法であり、切断タンパク質や凝集体を保持時間(retention time)により分離することができる。TSK−GEL3000SWXLカラム(Tosoh Bioscience; 7.8 mm ID * 30 cm H)をPBSにより1ml/minの流速で平衡化し、20μgのタンパク質を注入してタンパク質を分析した。その結果を
図7に示す。
【0087】
図7に示されるように、ピーク1にはメインピークの次の小さいピークが観察されたが、これは相対的にサイズの小さい切断された形態を示す。ピーク2ではSE−HPLCにおいて単一のピークが検出された。ピーク3ではメインピークより先に2つのピークが溶出したが、これらはタンパク質の凝集体であることを示す。
【0088】
この結果は、本発明のTNFRII−Fc融合タンパク質製造方法が、THFR−Fc融合タンパク質混合液から活性型TNFRII−Fc融合タンパク質のみ効率的に分離するのに使用できる方法であることを示すものである。
【0089】
実験例4:In vitro生物学的活性
実験例1−1のピーク2とピーク3の分画とTNF−αとの結合を確認した。ピーク2分画又はピーク3分画を適宜希釈し、抗IgFc抗体がコーティングされた固体表面に結合させた。その後、TNF−αで処理してピーク2及びピーク3分画がTNF アルファと結合することをHRPで発色させて確認した。その結果を
図8に示した。
【0090】
その結果、
図8から分かるように、基準結合単位(binding unit)を100としたとき、ピーク2は100に相当する値を示すのに対して、ピーク3は20以下の値を示すので、本発明の方法を行った場合、活性型と不活性型を相互に効果的に分離できることが示された。
【0091】
実験例5:疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)におけるタンパク質注入量による置換効果の比較
実験例1−1と同一の試料、同一の方法で、単位カラム体積当たりの試料の注入量のみ変更して分析した。実験例1−1においては実施例4で製造した溶液を12g/L bedでカラムに注入したのに対して、本実験例においてはそれぞれ9.5g/L bedと13g/L bedの容量で注入して分離分析した。その結果をそれぞれ
図9及び
図10に示す。
【0092】
図9に示すように、相対的に少ない量を注入した場合(9.5g/L bed)、切断型タンパク質分画であるピーク1がピーク2から分離されなかった。それに対して、図
10に示すように、多い量を注入した場合(13g/L bed)、切断型タンパク質分画であるピーク1が活性型タンパク質分画であるピーク2から明確に分離された。
【0093】
前記結果は、本発明のTNFRII−Fc融合タンパク質の精製において、注入するタンパク質の量が活性型タンパク質の効果的な分離において重要な要素であることを示すものである。