【文献】
C.H.J.VAN DEN BREKEL et.al.,INTERFACE MORPHOLOGY IN CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION ON PROFILED SUBSTRATES,Journal of Crystal Growth,1978年,Vol.43,p.488-p.496
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の光源であって、前記光生成ユニットが、カソード層、アノード層および該カソード層とアノード層の間のいくつかの中間層を有する有機発光ダイオードであり、前記第一の領域の屈折率は前記中間層の屈折率の平均と同様である、光源。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光生成ユニットから出射するよう光を結合するための出射結合デバイスであって、出射結合効率、すなわち光抽出効率を増大させることができるものを提供することが本発明の目的である。光生成ユニットおよび前記出射結合デバイスを有する光源ならびに前記出射結合デバイスを生産するための生産方法および生産装置を提供することが本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の側面では、光生成ユニットから出射結合方向に出射するよう光を結合するための出射結合デバイスであって、当該出射結合デバイスは:
・前記光生成ユニットに面する第一の領域であって、光学的に均質であり、前記出射結合方向の厚さが前記光のコヒーレンス長より大きい、第一の領域と;
・前記第一の領域の屈折率より小さい屈折率をもつ第二の領域と;
・前記第一の領域と前記第二の領域の、構造化されている中間領域とを有する、
出射結合デバイスが提供される。
【0008】
生成される光は一般に、完全に単色性ではなく、いくつかの波長を含む。それらいくつかの異なる波長は、出射結合デバイス内での生成された光の波長依存の干渉を生じることがあり、これが出射結合効率を低下させる。しかしながら、光生成ユニットに面する光学的に均質な第一の領域の出射結合方向における厚さが生成される光のコヒーレンス長より大きいので、これらの干渉効果、よって対応する出射結合効率の劣化を軽減できる。このことおよび構造化された中間領域が出射結合効率を増大させる。
【0009】
前記第一の領域および前記第二の領域は好ましくは前記中間領域をはさむ層であり、前記中間領域は好ましくは中間層である。前記第一の領域をなす前記第一の層は光学的に均質であり、生成される光のコヒーレンス長より大きな厚さをもつ。前記第一の領域をなす前記第一の層は好ましくは、前記第一の層を通じて屈折率および物質組成が一定のままであれば光学的に均質であると見なされる。
【0010】
前記出射結合デバイスは、光生成ユニットによって生成された光を光生成ユニットから出て前記のより低い屈折率をもつ前記第二の領域および空気中にはいるよう結合するよう適応されている。
【0011】
前記光生成ユニットのある好ましい実施形態は有機発光ダイオード(OLED)である。特に、光生成ユニットは、白色光を発する有機発光ダイオードである。対応して、前記出射結合デバイスは好ましくは、OLEDから光を出射するよう結合するよう適応される。OLEDは好ましくは、光をOLEDから出るよう結合するために、前記出射結合デバイスの前記第一の領域上に、特に前記第一の層上に配置される。
【0012】
OLEDは、たとえば3ないし10μmの範囲のコヒーレンス長をもつ光を生成できる。したがって、出射結合方向における前記第一の領域の厚さはたとえば10μmより大きい。
【0013】
ある実施形態では、前記出射結合デバイスは、OLEDから出るよう光を結合するよう適応されており、前記OLEDはカソード層、アノード層および該カソード層とアノード層の間のいくつかの中間層を有する。ここで、前記第一の領域の屈折率は前記中間層の屈折率の平均と同様である。換言すれば、前記第一の領域の屈折率は好ましくは光生成ユニットの中間層の屈折率の平均に一致する。
【0014】
ある実施形態では、前記第一の領域の屈折率は1.7以上である。前記第一の領域の屈折率が1.8以上であることがさらに好ましい。ある実施形態では、前記第一の領域の屈折率は1.7ないし2.1の範囲内である。前記第一の領域の屈折率がこの範囲内であれば、出射結合効率がさらに増大させられることが見出された。たとえば、前記第一の領域の屈折率は1.85±0.05であることができる。
【0015】
ある実施形態では、前記アノード層および任意的には前記カソード層は、前記アノード層および任意的には前記カソード層を通して光を出射結合させるよう透明である。アノード層はたとえば、インジウム‐スズ酸化物(ITO)層であり、カソード層は金属層であることができる。中間層は好ましくはOLEDの有機層を含む。
【0016】
前記第一の材料は好ましくは生成される光に対して透明な無機材料である。特に、前記第一の材料は、光生成ユニットによって生成される光を吸収しない。たとえば、前記第一の領域は、SiO
xN
y層である第一の層を有することができる。前記第二の領域は、好ましくはガラスを有する。特に、前記第二の領域はガラス基板から形成されることができる。
【0017】
ある好ましい実施形態では、構造化された中間領域は、角張った形をしたまたは丸まった形をした構造のうちの少なくとも一つを有する。たとえば、それらの構造は角錐形状または半球形状であることができる。丸まった形の構造は、レンズ効果を提供することができ、よってレンズ配列を形成することができる。
【0018】
前記第二の領域は、第二の材料を有することができ、前記構造化された中間領域は前記第二の材料からなる構造を有することができる。特に、前記第二の領域は、前記中間領域の構造をなす表面構造をもつ表面を有する第二の層であることができる。たとえば、前記表面構造は、砂吹き〔サンドブラスト〕、研摩および/またはエッチングによって生成された構造であることができる。あるさらなる好ましい実施形態では、前記中間領域は、前記中間領域を構造化するための粒子を有する。前記粒子は、a)前記第二の領域の屈折率以下またはb)前記第一の領域の屈折率以上の屈折率をもつことができる。前記中間領域におけるこれら種々の構造は出射結合効率をさらに増大させる。
【0019】
前記出射結合デバイスが、基板の表面上に第一の材料を堆積させることによって生成可能であることがさらに好ましい。ここで、堆積後は、前記第一の領域は、前記光のコヒーレンス長より大きい厚さをもち、前記基板の屈折率より大きい屈折率をもつ前記第一の材料の光学的に均質な第一の層を有し、前記第二の領域は前記基板の第二の層を有し、前記中間領域は前記構造および前記第一の材料を有する中間層を有する。堆積手順は好ましくは化学蒸着法(CVD: chemical vapor deposition)手順である。この堆積手順を実行することにより、前記第一の層は、前記基板の表面上の構造によく適合することができる。特に、CVDは「視線方向(line-of-sight)」プロセスではなく、複雑な形状を一様にコーティングできる。したがって、良好な「付き回り性〔スローイングパワー〕」をもつ。
【0020】
本発明のあるさらなる側面では、光を生成する光生成ユニットと、請求項1記載の光生成ユニットから出射するよう光を結合する出射結合デバイスとを有する光源が提示される。
【0021】
本発明のあるさらなる側面では、光生成ユニットから出射するよう光を結合するための出射結合デバイスを製造する製造方法であって:
・表面上に構造をもつ基板を提供する段階と;
・前記基板の屈折率より大きい屈折率を有する第一の材料を前記構造をもつ前記表面上で提供して、前記構造の上方で、光学的に均質な、前記光のコヒーレンス長より大きな厚さをもつ第一の層が生成されるようにする段階とを含む方法が提示される。
【0022】
好ましくは、前記基板の表面上で前記構造によって定義される溝が充満され、前記構造の上方の生成された第一の層が均一となるよう、堆積手順が実行される。
【0023】
前記第一の材料が、CVD手順のような堆積手順によって提供されることがさらに好ましい。特に、堆積は、1より小さいCVD数で実行される。これは、基板の表面上の前記構造によって定義される溝を効果的に充満することを許容する。前記第一の材料が提供されたのち、前記第一の層の表面が平滑化されることができる。たとえば、前記第一の層を平滑化するために熱平滑化処理または研磨処理が実行されることができる。
【0024】
好ましくは、本製造方法はさらに、前記第一の層上に、光を生成するOLEDのような光生成ユニットを設ける段階を含む。特に、ITO層が前記第一の層上に堆積され、OLEDのさらなる諸層が前記ITO層上に、OLEDおよび前記出射結合デバイスを有する光源を生成するために設けられる。
【0025】
本発明のあるさらなる側面では、光生成ユニットから出射するよう光を結合する出射結合デバイスを製造するための製造装置であって:
・表面上に構造をもつ基板を提供する基板提供ユニットと;
・前記基板の屈折率より大きい屈折率を有する第一の材料を前記構造をもつ前記表面上で提供して、前記構造の上方に、光学的に均質な、前記光のコヒーレンス長より大きな厚さをもつ第一の層が生成されるようにする第一材料提供ユニットとを有する装置が提示される。
【0026】
請求項1の出射結合デバイス、請求項10の光源、請求項11の製造方法および請求項15の製造装置が従属請求項で定義される同様および/または同一の好ましい実施形態をもつことが理解される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態は、それぞれの独立請求項をもつ従属請求項の任意の組み合わせであることもできる。
【0028】
本発明のこれらおよびその他の側面は、以下に記述される実施形態から明白となり、これを参照することで明快にされるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、光を生成する光生成ユニット2と、出射結合方向4において光生成2から出るよう光を結合するための出射結合デバイス3とを有する光源1の例を概略的に示している。
【0031】
光生成ユニット2は、カソード層8と、アノード層10と、カソード層8とアノード層10の間のいくつかの中間層9とを有するOLEDである。この実施形態では、カソード層8は、たとえば銅または銀を含む不透明金属層であり、アノード層10はITO層である。中間層9はたとえば、二つ以上の層であることができ、
図1に概略的に示される電圧源23を介してカソード層8とアノード層10に電圧が加えられる場合に中間層9によって光が生成されるよう構成された、既知の有機層を含むことができる。中間層9内で生成された光は、出射結合方向4においてアノード層10を通って光生成ユニット2を出ることができる。よって、
図1に示される光源1は生成された光を下方向に放出する。もう一つの実施形態では、加えて、生成された光がカソード層8をも通じてOLED 2を出ることができるよう、カソード層8が透明であることができる。よって、OLEDは
図1に示されるような下面発光器または上下面発光器であることができる。
【0032】
出射結合デバイス3は、光生成ユニット2に面する第一の領域5と、第二の領域7と、第一の領域5と第二の領域7の間の中間領域6とを有する。第一の領域5は、生成される光のコヒーレンス長より大きい、出射結合方向4の厚さをもつ、光学的に均質な第一の層である。OLEDによって生成される光は一般に3μmから7μmまでの間のコヒーレンス長をもつ。よって、一様であり構造化されていない、光学的に均質な第一の層5の厚さは、好ましくは約10μm以上である。
【0033】
第一の層5の屈折率は好ましくは中間層9の屈折率の平均と同様である。すなわち、第一の層5の屈折率は、好ましくは、光生成ユニット2の中間層9の屈折率の平均に一致する。この実施形態では、中間層9は約1.8の平均屈折率をもつ。よって、第一の層の屈折率も約1.8である。他の実施形態では、第一の層の屈折率は別の値をもつことができ、一般に該屈折率は1.7以上である。第一の層は、好ましくは、OLED 2によって生成された光に対して透明である無機材料からなる。特に、第一の層5は、OLED 2によって生成された光を吸収しない。ある実施形態では、第一の層はSiO
xN
yからなる。
【0034】
第二の領域7は、第一の層5の屈折率より小さな屈折率をもつ第二の層である。第二の層7は好ましくは均一なガラス基板である。中間領域6は、角錐のアレイによって構造化された中間層である。この実施形態では、角錐は約1μmの高さをもつが、角錐は別の高さをもつこともできる。好ましくは、構造11がより大きな高さをもつ場合、中間層6および第一の層5の全厚さはより大きくなる。特に、構造11より上方の中間層6の部分の厚さがより大きくなる。たとえば、構造11がたとえば50μmの高さをもつ場合、中間層6および第一の層5を合わせた厚さは約250μmであることができる。構造11のすぐ上方の中間層6の部分は、出射結合デバイス3を製造する間に構造11上に第一の層の材料を堆積させることによって引き起こされる曲がった成長線を有する。これらの成長線は、構造11の上方の中間領域6の光学的に不均質な部分につながる。高さ方向における構造11への距離が増すとともに、曲がった成長線は消え、堆積された第一の材料は光学的に均質になる。構造11の上方のこの光学的に均質な第一の材料が第一の層5を定義する。
【0035】
角錐アレイ構造11は、レプリカ技法によって用意されてもよく、よって一ないし数マイクロメートルの小さな寸法において用意できる。構造11、すなわち角錐は、第二の層7の材料から構成される。角錐11どうしの間の空間は、第一の層5をもなす第一の材料によって充填される。
図1では、角錐は第二の層7に対して正である。すなわち、角錐は、第二の層7の表面24上に存在し、該表面24から突き出ている。別の実施形態では、角錐は第二の層7に関して負であることもできる。すなわち、第二の層の表面内の負の角錐穴を第一の層5をなす第一の材料で充填することによって、正の角錐が形成されることができる。その場合は、角錐は、比較的低い屈折率をもつ第二の材料から構成されるのではなく、比較的大きな屈折率をもつ第一の材料によって構成される。
【0036】
図1を参照して上記した実施形態では、中間層6は角錐構造11をもつものの、他の実施形態では、構造化された中間層6は、他の角張った形または丸まった形の構造のような他の構造を有することもできる。以下では、中間領域の種々の構造が
図2〜
図4を参照して例示的に記述される。なお、これらの図および
図1では、寸法は縮尺通りではない。
【0037】
図2は、
図1を参照して上述した光生成ユニットと同様の光生成ユニット2と、中間層106のほかは
図1を参照して上述した出射結合デバイス3と同様の出射結合デバイス103とを有する光源101のさらなる実施形態を、例として概略的に示している。中間層106は、マイクロレンズ・アレイを形成する半球形状の構造111を有する。この実施形態では、半球111は約5μmの半径をもち、中間層106および第一の層5は合わせてたとえば30ないし50μmの範囲内の厚さをもつ。半球111を有する基板7の構造化された表面を用意するためにもレプリカ技法を使うことができる。
【0038】
図3は、
図1を参照して上述した光生成ユニットと同様の光生成ユニット2と、出射結合デバイス203とを有する光源101のさらなる実施形態を、例として概略的に示している。出射結合デバイス203は、中間層206のほかは
図1を参照して上述した出射結合デバイス3と同様である。中間層206は、第二の層7と同じ材料で構成されるランダム構造211を有する。ここで、ランダム構造211間の空間は比較的大きな屈折率をもつ第一の材料によって充填される。ランダム構造211は、基板7の対応する表面を砂吹きすることによって生成できる。この実施形態では、ランダム構造211は、数マイクロメートルのオーダーの高さをもち、中間層206および第一の層5の合計厚さは約30ないし50μmの範囲内である。
【0039】
図4は、光源のあるさらなる実施形態を例として概略的に示している。光源301は、
図1を参照して上述した光生成ユニット2と同様の光生成ユニット2と、構造化された中間領域306のほかはやはり
図1を参照して上述した出射結合デバイス3と同様の出射結合デバイス303とを有する。中間層306は、中間領域を構造化するための、すなわち中間層306に構造を与えるための粒子311を有する。粒子306は、a)第二の層7の比較的低い屈折率以下またはb)第一の層5の比較的大きな屈折率以上の屈折率をもつことができる。粒子は、第二の層7の表面324上で分布、特に均一分布しており、第一の層5をなす第一の材料中に埋め込まれる。粒子311の直径は好ましくは200nmより大きい。堆積技法を使うことによって、第一の材料は粒子311とともに第二の層7に加えられる。堆積技法については下記でより詳細に述べる。
【0040】
以下では、出射結合デバイスを有する光源を製造する製造方法の例を、
図5に示したフローチャートを参照して記述する。
【0041】
ステップ401では、基板7の表面上の構造をもつ基板7が提供される。具体的には、第二の層をなし、
図1ないし
図3に示される基板の表面上の構造をもつガラス基板7が提供されることができる。別の実施形態では、
図4に示した平坦な表面上に粒子をもつ基板が提供されることができる。
【0042】
ステップ402では、基板7の屈折率より大きな屈折率をもつ第一の材料が前記構造をもつ表面上に堆積される。それにより、前記構造の上に、光学的に均質な第一の層が生成される。この堆積手順は好ましくはCVDを使って、特に1より小さなCVD数をもつCVDを使って実行される。堆積手順は、結果として得られる光学的に均質な第一の層が、ステップ404で提供される光生成ユニットの光のコヒーレンス長より大きい厚さをもつよう、実行される。
【0043】
第一の材料が基板の構造化された表面上に堆積されて比較的大きな屈折率をもつ光学的に均質な第一の層が形成されたのち、ステップ403において、光生成ユニットが配置される第一の層の表面が平滑化される。たとえば、第一の層のこの表面を平滑化するために、熱平滑化処理または研磨処理が実行される。
【0044】
ステップ404では、光源を製造するために、光を生成する光生成ユニットが第一の層上に提供される。具体的には、好ましくはITO層であるアノード層、いくつかの有機層およびカソード層が、第一の層上にOLEDを製造する既知の手順を使って、第一の層上に設けられる。結果として得られる光源は、たとえばOLEDのような光生成ユニットと、該OLEDから出るよう光を結合する出射結合デバイスとを有する。ここで、出射結合デバイスは、前記構造をもつ前記基板および前記第一の層を有する。基板はたとえば第二の層7をなし、前記構造は前記構造間の空間内に堆積された第一の材料とともにたとえば中間層をなし、好ましくは一様である前記構造の上方の光学的に均質な第一の層がたとえば
図1ないし
図4に示されるような第一の層をなす。
【0045】
図6は、上記の製造方法に従って出射結合デバイスをもつ光源を製造するための製造装置30のある実施形態を例として概略的に示している。
【0046】
製造装置30は、基板の表面上に構造をもつ基板を提供するための基板提供ユニット20を有する。たとえば、基板提供ユニット20は、たとえば砂吹きによってまたは基板の平面表面上に粒子を設けることによって、基板上に構造を作るよう適応されることができる。
図6では、構造を作る前の基板は参照符号31により、構造をもつ、すなわち構造が基板の表面上に作られたあとの基板は参照符号32によって表わされている。
【0047】
製造装置30はさらに、基板の屈折率より大きい屈折率をもつ第一の材料を前記構造をもつ前記表面上に堆積させる堆積ユニットである第一材料提供ユニット21を有する。これにより、前記構造の上方で、のちの製造ステップにおいて設けられる光生成ユニットによって生成される光のコヒーレンス長より大きな厚さをもつ、光学的に均質な第一の層が生成される。前記構造および光学的に均質な第一の層をもつ、結果として得られた基板33は、次いで、平滑化ユニット22によって平滑化される。平滑化ユニット22はたとえば、加熱平滑化手順または研磨平滑化手順を実行するよう適応される。たとえば、平滑化手順は、不活性なまたは酸素またはN
2含有大気内での追加的な熱処理によって、前記第一の層の堆積後に実行されることができる。
【0048】
平滑化された第一の層をもつ、結果として得られた層34には、次いで、光源を製造するために、光を生成するための光生成ユニット2を設けられる。光生成ユニットは、光生成ユニット提供ユニット35によって設けられる。光生成ユニット提供ユニット35は、たとえば、光源を生成するために第一の層上にOLEDの種々の層を加えるよう適応されることができる。
【0049】
製造方法および装置は、たとえば物理蒸着法(PVD)蒸着もしくはスパッタリング、特に電子ビームPVD蒸着もしくはスパッタリングによってITO層が堆積される前に、透明な無機材料の化学的に不活性なコンフォーマルCVD間層(interlayer)が構造化されたまたは粗い界面ナノ粒子層の上に設けられるよう適応されることができる。化学的に不活性なコンフォーマルCVD間層は比較的大きな屈折率をもち、OLEDによって生成される光のコヒーレンス長より大きな出射結合方向の厚さをもつ第一の領域、すなわちITO層に面する第一の層をなす。
【0050】
好ましくは、CVDパラメータは、OLEDのアノード層をなすITO層のための基礎として間層表面を提供するために、後述するように好適に調整される。間層表面、すなわちITO層が設けられる第一の層の表面は、好ましくはガラス基板である第二の層の表面上の構造によって引き起こされる粗さに比べて、強く低減した表面粗さをもつ。CVDパラメータは、構造間の溝を充填することが可能であるよう、構造の形態に依存して調整されることができる。
【0051】
ある実施形態では、第一の層を提供するために、特に第二の層上の構造間の溝を充填するために、ここに参照によって組み込まれる非特許文献1において開示されるようなCVDパラメータが使用される。具体的には、CVDプロセスは好ましくは、表面制御される。つまり、無次元のCVD数は好ましくは1より小さい。さらに、堆積レートおよび堆積温度は好ましくは低めの範囲である。たとえば、堆積レートは数ナノメートル毎秒、たとえば2ナノメートル毎秒であることができ、堆積温度は200ないし400°Cの範囲であることができる。
【0052】
CVD数の定義はよく知られており、たとえば等温(isothermal)の場合、次式
N(CVD)=k
Dδ/D
T
に従って、質量輸送計数k
Dと気相における境界層の厚さδとの積を拡散係数D
Tで割ったものによって与えられる。ここで、N(CVD)はCVD数である。
【0053】
図7は、任意の単位での堆積温度の逆数に依存するCVD堆積レートの対数を例示的に示している。点41において、CVD数は1である。線40に沿ってこの点41の下では、CVD数は1より小さい。堆積温度は好ましくは、堆積手順が点41より下で線40に対応するよう調整される。1より小さいCVD数は、運動学的に制御される領域を定義し、該領域では、構造間の溝は非常によく充填されることができる。
【0054】
あるさらなる実施形態では、CVDパラメータは、特に、構造間のより深い穴が第一の材料によって充填される必要がある場合には、いわゆる化学蒸気浸透(CVI: chemical vapour infiltration)法に従って選ばれる。対応するCVDパラメータはたとえば、ここに参照によって組み込まれる、学位請求論文である非特許文献2において開示されている。
【0055】
CVDによって第一の層を提供するための第一の材料は、好ましくは酸化物、特に次の酸化物:GeO
2(1.7)、Ga
2O
3(1.77)、HfO
2(1.79)、Ta
2O
5(2.08)のうちの少なくとも一つを含む。ここで、括弧内の値はそれぞれの屈折率である。たとえば、第一の層がGeO
2で構成される場合、CVD反応は、次の化学反応式:GeCl
4+O
2→GeO
2+2Cl
2によって定義できる。しかしながら、第一の材料は、Si
3N
4(2.05)のような窒化物を含むこともできる。ある実施形態では、第一の材料、すなわち第一の材料から構成される第一の層は、上記の酸化物のうちの一つのみまたは一種類の窒化物のみを含む。平均OLED屈折率が前記好適な範囲内にあるべきであるまたは混合によって調整されることができるならば、さらなる材料は、AlON=AlOxNy(1.71‐1.79)、YAG(1.82)、Sc
2O
3(2.0)、Y2O3(1.93)、MgO(1.77)およびAl
2O
3(1.66‐1.77)である。nの値は調製条件に依存することができる。最終的には、これらの酸化物/窒化物の混合が堆積されることができる。埋め込まれる/オーバーコーティングされる(最終的にはやはりCVD)粒子のために、Nb
2O
5(2.38)、BaTiO
3(2.45)、ZrO2(2.2)、TiO2(2.37)のようなより大きな屈折率をもつ化合物が使用されることができる。
【0056】
第一の層は、別の透明酸化物または他の透明材料を使うことによって構成されることもできる。たとえば、SiO
xN
yを使うことができる。ここで、xおよびyは好ましくは、SiO
xN
yの屈折率が1.7以上になるよう選ばれる。ある実施形態では、xおよびyは、屈折率が1.85±0.05となるよう選ばれる。その場合、CVD反応は次の化学反応式:SiCl
4+x/2 O
2+y/2 N
2→SiO
xN
y+2Cl
2によって定義されることができる。
【0057】
上述した材料GeO
2、Ga
2O
3、HfO
2、Ta
2O
5、Si
3N
4のCVDを実行するためには、十分揮発性の出発化合物が必要とされる。上記の材料のシーケンスにおいて、この要件はたいていそれぞれのハロゲン化物、すなわちGeCl
4、GaCl
3、HfCl
4、TaF
5またはTaCl
5、SiF
4またはSiCl
4によって充足される。このように、たとえば上記の材料の一つが、CVD手順を実行するために上記のハロゲン化物の一つとともに使用されることが好ましい。
【0058】
ある実施形態では、特に、第二の層をなす基板、すなわち第二の領域がホウケイ酸ガラスである場合、600°Cの温度までの熱CVDが使用される。別の実施形態では、特に、出発化合物の揮発性を含む特定の堆積条件のため、熱CVDがより高い温度を必要する場合、あるいは基板として400°Cより上では安定でない他のガラス組成が使われているなど他の理由のため基礎温度がたとえば400°Cまで下げられるべきである場合、プラズマ支援CVDが使用できる。プラズマ支援CVDはマイクロ波プラズマにより活性化されるCVDであってもよく、たとえば0.08から0.33mbarまでの間の圧力で実行できる。
【0059】
ある実施形態では、SiO
xN
yを堆積するための上述した化学反応式に基づくCVDプロセスはプラズマ活性化CVDプロセスである。このプロセスはたとえばリモート・プラズマ配置を使う。たとえば、SiO
xN
yを堆積するためのこのプラズマ活性化CVDは、80から600°Cまでの間の温度で実行できる。
【0060】
他の実施形態では、SiO
xN
y層を第一の層として前記構造をもつ前記基板上に堆積するために他のSi前駆物質が使用されることができる。ここで、好ましくは、たとえば800°Cより低い比較的低い温度、および任意的にたとえば0.4mbarより低い比較的低い圧力を使うことができる。
【0061】
ある実施形態では、非特許文献3に記載されるように、SiH
4、NH
3およびO
2またはN
2OをN
2内に希釈された気体出発化合物として使うSiO
xN
y堆積のためのCVDプロセスが適用されることができる。N
2Oを使うことにより、屈折率は、N
2OとNH
3の相対量、すなわち気体フローを一ステップ・プロセスにおいて調整することにより、1.46から2.2までの間で連続的に変えることができる。具体的には、N
2OとNH
3の相対量は、屈折率が1.7より大きい、特に約1.8に等しくなるよう調整されることができる。N
2OとNH
3の相対量はたとえば、異なる層が異なる相対量を使って堆積されそれらの異なる層の屈折率が測定される実験によって、あるいは計算によって決定されることができる。あるいはまた、SiO
xN
yはSiAl
xO
yまたはAlONによって置換されることができる。それにより、SiAl
xO
yの屈折率はAl
2O
3への遷移によって変えることができ、AlONの屈折率はSiAl
xO
yN
zへの遷移によって変えることができる。
【0062】
上記の実施形態では、光生成ユニットはOLEDであるが、光生成ユニットは別の種類の光生成手段であってもよい。たとえば、光生成ユニットは、無機発光ダイオードであってもよいし、あるいは光生成ユニットは、たとえば1.7より大きい比較的大きな屈折率をもつ領域を有し、この高屈折率領域において光が生成される別の光発生ユニットであってもよい。その光が出射結合デバイスによって出射結合されることができる。
【0063】
上記の実施形態では、第一の層はCVDを使って堆積されることができるが、他の実施形態では、第一の領域、第二の領域および第一の領域と第二の領域の間の中間領域をもつ出射結合デバイスを製造するために他の方法を使うこともできる。たとえば、他の堆積方法またはスパッタリング方法が使用されることができる。たとえば、レーザー・アブレーション堆積方法、ガラス溶融堆積方法またはゾル‐ゲル堆積方法を使うことができる。
【0064】
上記の実施形態では、OLEDが、よって出射結合デバイスが平面形状をもつが、すなわち、上記の実施形態は平面上の諸層を有するが、OLEDおよび出射結合デバイスは三次元的な曲がった形をもつこともできる。ここで、OLEDおよび出射結合デバイスの諸層は三次元的に曲がっていることができる。
【0065】
上記の実施形態では、出射結合デバイスはある種の層、特に出射結合されるべき光のコヒーレンス長より大きな出射結合方向の厚さをもつ光学的に均質な第一の層、第一の層の屈折率より小さな屈折率をもつ第二の層および第一の層と第二の層の間の構造化された中間領域を有するが、他の実施形態では、出射結合デバイスはさらに追加的な層を有することができ、それがさらに出射結合効率を高めることができる。
【0066】
図1ないし
図4を参照して上記した実施形態では、出射結合デバイスは、光生成ユニットに光学的に接続されているが、他の実施形態では、出射結合デバイスは、第一の層上のアノード層、特にITO層をすでに有していてもよい別個のデバイスであることもでき、この別個の出射結合デバイスがOLED製造者に提供されることができる。該OLED製造者は、OLEDおよび出射結合デバイスを有する光源を製造するために、出射結合デバイス上にOLED層を設ける。
【0067】
上記では例において、第二の領域はホウケイ酸ガラスを含んでいるが、第二の領域は別の材料、たとえばソーダ石灰ガラス基板のような別のガラス基板を含むこともできる。
【0068】
開示される実施形態に対する他の変形が、当業者によって、特許請求される発明を実施する際に、図面、本開示および付属の請求項の吟味から、理解され、実施されることができる。
【0069】
請求項において、「有する/含む」の語は他の要素または段階を排除しない。単数形の表現は複数を排除しない。
【0070】
単一のユニットまたは装置が請求項において記載されるいくつかの項目の機能を充足してもよい。ある種の施策が互いに異なる従属請求項に記載されているというだけの事実がそれらの施策の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0071】
一つまたは複数のユニットまたは装置によって実行される、出射結合デバイスを製造するための、特に出射結合デバイスをもつOLEDを製造するための方法段階は、他の任意の数のユニットまたは装置によって実行されてもよい。たとえば、ステップ402および404は、単一のユニットによってまたは他の任意の数の異なるユニットによって実行されることができる。
【0072】
請求項に参照符号があったとしてもそれは範囲を限定するものと解釈すべきではない。