【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立請求項の特徴によってこの課題を解決する。
【0005】
本発明によれば、内視鏡検査システムは、内視鏡がガスタービン内へ挿入されて画像記録装置を備える所定の態様において内視鏡をガスタービン内で位置決めして方向付けるように構成される。
【0006】
本発明によれば、内視鏡検査システムによる所定の位置決めおよび方向付けは、それによってガスタービン内の特定の部品および/または領域の画像記録を標準化できるため、特に有益である。このようにすると、ガスタービンの異なる検査からの画像記録を直接に比較できる。
【0007】
好ましくは、内視鏡検査システムは、内視鏡をガスタービン内において所定の態様で位置決めするおよび/または方向付けるための電子的に制御された位置決め機器を備える。結果として、もはや内視鏡を手動で移動させる必要がない。位置決めおよび方向付けは、位置決めが特に効率的で迅速となり得るように、データ処理装置によって制御することができる。
【0008】
また、内視鏡検査システムは、好ましくは、ガスタービン内における内視鏡の位置および/または方向を自動的に決定するように構成される。位置決めおよび方向付けのチェックがもはやオペレータによって手動で行なわれる必要がなく、したがって、位置決めおよび方向付けのチェックは、一人または様々なオペレータに関連する主観的要因にもはや依存しない。結果として、内視鏡の位置決めおよび方向付けにおける人的要因をエラー源および不正確として排除できる。
【0009】
内視鏡の位置は、データ処理装置を使用して画像記録を画像処理することによって決定されるのが好ましい。エンジン内の部品または領域は、データ処理装置によって画像記録内で特定され、そこから、これらの部品または領域に対する内視鏡の位置および方向が決定される。決定された位置データは、その後、内視鏡を本発明によって規定される位置および方向へと至らせることができるように内視鏡を位置決めして方向付けるために使用できる。また、追加的にまたは代替的に、位置を決定するための他の手段を使用できる。
【0010】
好ましくは、内視鏡検査システムとガスタービンとの間に位置規定手段が設けられる。これらは、一方では、内視鏡検査システムをガスタービンに対して固定できるようにする機械的な手段を含むことができ、また、他方では、位置を規定できるように内視鏡の座標系とガスタービンの座標系とを同期させることができるようにする機械的なおよび/または電子的な手段を含むことができる。位置規定手段は、内視鏡を所定の態様で位置決めして方向付けるために有利であり、特に電子的に制御される位置決め機器にとって有利である。また、位置規定手段は、内視鏡の位置および/または方向を較正できるように内視鏡の位置および/または方向を自動的に決定するために有利である。
【0011】
内視鏡検査システムは、画像を自動的に捕捉するように構成されるのが好ましい。内視鏡が所定の位置および方向にあれば、検査されているガスタービン内の対応する部品または領域の画像取得がもたらされる。もはや画像取得を手動で行なう必要がなく、したがって、ガスタービンを検査するために要する時間の長さが減少される。
【0012】
好ましくは、データ処理装置は、画像記録装置からの画像記録を検査されているガスタービンの部品または領域へ割り当てるように構成される。ガスタービン内からの部品または領域を画像記録によって検出された部品または領域に割り当てるためには、対応する部品または領域を特定できなければならない。これは、内視鏡の所定の位置および方向および/または電子的に制御される位置決め機器から知られるガスタービンに関連する座標に基づいて行なうことができる。あるいは、割り当ては、データ処理装置による画像認識に基づいて行なうことができる。これは、ガスタービンの検査を後日に評価して再検討できるようにする文書化において特に有益である。
【0013】
好ましくは、内視鏡検査システムは、画像記録を自動的に記憶するおよび/またはアーカイブするように構成される。生成された画像記録は、ガスタービンの検査からの画像記録をデータセット内に電子的に預けることができるように、日付、検査されたガスタービン、および、検査されたガスタービンの部品または領域などの検出されたパラメータと共にデータ処理装置によって自動的に記憶されるおよび/またはアーカイブされる。記憶およびアーカイビングは、検査を後日に評価するため、および、検査の証拠を与えるために有益である。特に、アーカイビングは、データセットへの分散的なアクセスを可能にする少なくとも1つのサーバでデータ処理装置により行なうことができる。また、照明、焦点、および、露光時間などの画像捕捉のためのパラメータは、内視鏡検査システムによって設定されるのが好ましい。
【0014】
好ましくは、画像記録装置は、ガスタービンの少なくとも1つのシャフトの回転位置にしたがって画像記録を実行するように構成される。シャフトの回転位置は、ガスタービンのロータブレードの位置にとって極めて重要である。ガスタービン内の内視鏡の所定の位置および方向に加えて、ガスタービン内の回転部品または回転領域に対する内視鏡の所定の位置および方向も同時に、対応する画像記録に不可欠である。ガスタービンの回転部品または回転領域の画像記録のための所定の画像細部は、内視鏡が所定の位置および方向にある場合、および、回転部品または回転領域が接続されるシャフトの特定の回転位置が設定される場合にのみ生成される。したがって、画像記録は、対応するシャフトの回転位置にしたがって生成されるのが好ましい。
【0015】
好ましい実施形態において、画像は、シャフトが回転している間に、シャフトの回転動作と同期して捕捉される。このようにすると、検査速度をかなり高めることができ、ガスタービンごとの検査継続時間をかなり減らすことができる。同期は、任意の適した態様で行なうことができる。好適には、同期は、マーカーによって、例えばブレードロックによって有利に規定される対応する回転位置を通るときに行なわれる。同期は、シャフトのそれぞれの回転時に行なわれる必要はなく、シャフトのn回転ごとの同期(例えば、n=10)で十分であってもよい。回転位置が画像記録装置によって検出されてもよい。シャフトを駆動させるためにステッピングモータまたは同期モータが使用された場合も想起でき、そのような場合には、更なる測定を伴わずに回転角または位置に関する情報が利用できる。
【0016】
別の実施形態において、シャフトの回転位置は、内視鏡検査システムによって検出され、したがって、画像捕捉のために設定される。
【0017】
想定し得る実施形態において、内視鏡検査システムは、ガスタービンの少なくとも1つのシャフトを回転させるための回転機器を制御するように構成される。検査されているガスタービンの少なくとも1つのシャフトは、シャフトの回転動作に影響を及ぼすように構成される回転機器に接続される。この回転機器は、シャフトの回転位置、したがって画像記録のための画像細部を設定できるように内視鏡検査システムによって制御できる。好ましい実施形態において、回転機器は、少なくとも1つのシャフトの回転または回転位置の連続調整をもたらすべく、特に、シャフトの回転に同期して画像を捕捉できるようにするべく構成される。あるいは、回転を手動で行なうことができる。
【0018】
データ処理装置は、画像記録と基準画像記録および/またはアーカイブされた画像記録とを比較するように構成されるのが好ましい。内視鏡検査システムによる内視鏡の本発明にしたがった所定の位置決めおよび方向付けは、それによって複数の画像記録を画像処理手段により有利に比較できるため、ガスタービンの部品または領域の画像記録の比較のために特に有益である。複数の画像記録の比較は、複数の検査間でのガスタービンの部品または領域における違いを自動的に特定できるようにするために、また、特定された違いを適切な態様でマークするために有益である。
【0019】
好ましくは、データ処理装置は、所望状態からの逸脱および/または検査されているガスタービンの部品または領域の損傷を自動的に特定するように構成される。所望状態からの逸脱は、基準記録との比較によって決定することができる。例えば新しい、または新しいままの状態のガスタービンを示すアーカイブされた画像記録を基準画像と見なすことができる。あるいは、基準記録が他のガスタービンに由来するものであってもよい。また、コンピュータ生成画像を基準記録として使用できる。所望状態からの逸脱および/または損傷を自動的に特定することは、例えば、内視鏡検査システムにより特定された損傷を評価中にオペレータに気付かせることができるため、ガスタービンを検査するために特に有益である。結果として、損傷を特定する際のエラーの可能性をオペレータによって更に減らすことができる。また、特定された逸脱および損傷を含む画像記録だけを評価のためにオペレータに与えることができる。これにより、オペレータの作業負担および必要とされる検査時間が減少する。
【0020】
好ましくは、データ処理装置は、ガスタービン内の部品または領域の損傷を計測するように構成される。亀裂または凹みなどのガスタービンの損傷の幾何学的寸法は、損傷の評価にとって極めて重要である。損傷は、データ処理システムによって画像記録に関連して計測される。この計測は、画像記録内の部品の既知の寸法によって、および/または、画像記録内の部品または領域に対する内視鏡の所定の位置および方向とそこからもたらされ得る画像記録内の部品または領域の寸法とによって支援され得る。これは、損傷が一般にその幾何学的寸法に基づいて評価されるため、有益である。
【0021】
好ましくは、データ処理装置は、ガスタービン内の部品または領域の損傷を分類するように構成される。分類は、例えば、所望状態からの逸脱の度合いに基づいて、および/または、損傷の度合いに基づいて行なうことができる。また、重大な部品の比較的小さい大きさの損傷が重大でない部品のそれとは異なって分類されるように、部品または領域のタイプにしたがって分類を行なうこともできる。あるいは、損傷のタイプまたは逸脱にしたがって分類を行なうことができる。また、損傷の分類は、航空機で使用されるガスタービンの耐空性へのその影響にしたがって、例えば、次のオーバーホールで修理すれば十分な損傷にしたがって、あるいは、耐空性を損なう損傷にしたがって行なうことができる。これらの組み合わせの分類も可能である。分類は、検査時間を減らすため、および、文書化を簡略化するために使用されるのが好ましい。
【0022】
例えば、本発明に係る内視鏡検査システムを使用して検査する際、重大であるとして分類された損傷を最初にオペレータへ与えることができ、それにより、場合によって作動停止が必要な場合に、これらの所見を検査の早い段階で特定できる。
【0023】
好ましくは、データ処理装置は、ガスタービン内の部分または領域の損傷の進行を監視するように構成される。検出された損傷は、データ処理装置によって、アーカイブされた画像記録と比較される。亀裂などの損傷の度合いの進行は、以前の検査のアーカイブされた画像記録に基づいて経時的に監視できる。これは、1つの画像を使用して、または幾何学的な寸法に基づいて行なうことができる。結果として、欠陥が更に大きくなったか否か、または例えばガスタービンの異なる検査間で亀裂のサイズが安定したままであったか否かを特定することができる。
【0024】
好ましくは、データ処理装置は、検査されているガスタービン内の部品または領域の損傷の更なる進行を予測するために予測手続きを行なうように構成される。エンジンが検査された複数の回数にわたって亀裂の長さなどの損傷に関連する値が分かる場合には、データ処理装置で実施される損傷モデルおよび被検査タービンの動作プロファイルを用いて亀裂の進行速度などの損傷に関連する値を決定することができる。その値から、データ処理装置によって、損傷の更なる予期される進行の予測を行なうことができる。これは、ガスタービンのオーバーホールまたは修理の効率的なスケジューリングのため、および、動作の安全性のために有益である。
【0025】
また、本発明に係る内視鏡検査システムを使用してガスタービンを検査するための方法が提供され、この方法では、最初の方法ステップにおいて、本発明に係る内視鏡検査システムの内視鏡がガスタービンの内側へ挿入される。次の方法ステップにおいて、内視鏡検査システムの内視鏡は、データ処理装置によってガスタービン内において所定の態様で位置決めされて方向付けられる。最後の方法ステップでは、ガスタービンの部品または領域の画像記録が、画像記録装置によって、所定の位置および方法から生成される。
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明を好ましい実施形態に基づき説明する。