特許第6223352号(P6223352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223352
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】ハイソリッド塗料および塗装方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20171023BHJP
   C09D 175/02 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 101/14 20060101ALI20171023BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20171023BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D175/02
   C09D133/00
   C09D7/12
   C09D101/14
   C09D5/00 D
   B05D7/24 301D
   B05D7/24 302P
   B05D7/24 302T
【請求項の数】18
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-545919(P2014-545919)
(86)(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公表番号】特表2015-505875(P2015-505875A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】US2012065578
(87)【国際公開番号】WO2013085697
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年10月16日
(31)【優先権主張番号】61/568,919
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー エス. ディッセンバー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジー. パーティカ
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド エイチ. キャンベル
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−506113(JP,A)
【文献】 特表2008−524359(JP,A)
【文献】 特開2003−082281(JP,A)
【文献】 特表2004−513209(JP,A)
【文献】 特表2004−507595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
B05D 7/24
C09D 5/00
C09D 7/12
C09D 101/14
C09D 133/00
C09D 175/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱硬化性結合剤、
(b)ポリイソシアネートと、任意にヒドロキシル基もしくはエーテル基またはこれら双方の基を有する第一級モノアミンまたは第二級モノアミンを含むアミノ反応体との反応生成物である、固体のポリ尿素粒子を、結合剤の固体に対して、0.1〜10質量%、
(c)2000〜8000の数平均分子量および5〜120℃のガラス転移温度を有するアクリルポリマーを、樹脂の固体に対して、2〜25質量%、および
(d)フレーク顔料を含有し、
前記アクリルポリマーが活性水素官能性を有し、当該活性水素官能性としてヒドロキシル基を含む、ハイソリッド塗料。
【請求項2】
高分子量セルロース混合エステル、架橋アクリルポリマーマイクロ粒子、無機フィロシリケート、ヒュームドシリカまたはこれらの組合せを含む、請求項1記載のハイソリッド塗料。
【請求項3】
(b−1)前記アミノ反応体が水、ポリアミンまたはこれら双方を含むか、もしくは(b−2)前記反応生成物がモノイソシアネートを含むか、または(b−1)と(b−2)との組合せを含む、請求項1または2記載のハイソリッド塗料。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートが6〜9個の炭素原子を有する脂肪族ジイソシアネートまたは単素環式ジイソシアネートを含むか、または前記ポリイソシアネートがシクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレートおよびこれらの組合せからなる群から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料。
【請求項5】
前記アミノ反応体がベンジルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−アミノエタノール、1−アミノエタノール、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシ−1−プロピルアミン、1−メトキシメチルプロピルアミンおよびこれらの組合せからなる群から選択された成分を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料。
【請求項6】
前記アクリルポリマーが5000〜25000の質量平均分子量もしくは2.0〜4の多分散指数またはこれらの双方を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料。
【請求項7】
前記アクリルポリマーが脂環式モノマー単位を含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料。
【請求項8】
前記脂環式モノマー単位がアクリルポリマーの質量に対して45質量%〜85質量%の量でアクリルポリマー中に含まれている、請求項記載のハイソリッド塗料。
【請求項9】
不揮発性含量を少なくとも40質量%有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料。
【請求項10】
下地を塗装する方法において、請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料を下地上の層において吹付施工し、次に施工された塗料を硬化させ、硬化された塗膜を下地上にもたらすことを含む、前記方法。
【請求項11】
下地を塗装する方法であって、プライマー層を形成させるための少なくとも1つのプライマー塗料と下塗り層を形成させるための少なくとも1つの下塗り塗料とクリヤコート層を形成させるための少なくとも1つのクリヤコート塗料とを下地に施工し、下塗り塗料をプライマー層が硬化されていない際に施工し、下塗り塗料が請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料であることを含む、前記方法。
【請求項12】
下地を塗装する方法であって、プライマー層を形成させるための少なくとも1つのプライマー塗料と下塗り層を形成させるための少なくとも1つの下塗り塗料とクリヤコート層を形成させるための少なくとも1つのクリヤコート塗料とを下地に施工し、クリヤコート塗料を下塗り層が硬化されていない際に施工し、下塗り塗料が請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料であることを含む、前記方法。
【請求項13】
下地を塗装する方法であって、プライマー層を形成させるための少なくとも1つのプライマー塗料と下塗り層を形成させるための少なくとも1つの下塗り塗料とクリヤコート層を形成させるための少なくとも1つのクリヤコート塗料とを下地に施工し、下塗り塗料をプライマー層が硬化されていない際に施工し、かつクリヤコート塗料を下塗り層が硬化されていない際に施工し、および下塗り塗料が請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料であることを含む、前記方法。
【請求項14】
下地を塗装する方法であって、請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料をモノコート上塗り層として下地上に施工することを含む、前記方法。
【請求項15】
請求項1からまでのいずれか1項に記載のハイソリッド塗料中に含まれる前記固体のポリ尿素粒子が、前記ポリイソシアネートと前記アミノ反応体との混合物をアクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂の少なくとも1つの中で反応させることによって製造されている、請求項10から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
熱硬化性結合剤を含有するハイソリッド塗料を下地上の層において施工しかつ施工された層を硬化させるプロセス中のレオロジー制御を改善する方法であって、このハイソリッド塗料中に、
ポリイソシアネートと、任意にヒドロキシル基もしくはエーテル基またはこれら双方の基を有する第一級モノアミンまたは第二級モノアミンを含むアミノ反応体との反応生成物である、固体のポリ尿素粒子を、結合剤の固体に対して、0.1〜10質量%、
000〜8000の数平均分子量および5〜120℃のガラス転移温度を有するアクリルポリマーを、樹脂の固体に対して、2〜25質量%、および
フレーク顔料を含有することを含み、
前記アクリルポリマーが活性水素官能性を有し、当該活性水素官能性としてヒドロキシル基を含む、前記方法。
【請求項17】
高分子量セルロース混合エステル、架橋アクリルポリマーマイクロ粒子、無機フィロシリケート、ヒュームドシリカおよびこれらの組合せからなる群から選択された成分が、ハイソリッド塗料中に含まれる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記固体のポリ尿素粒子が、前記ポリイソシアネートと前記アミノ反応体との混合物をアクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂の少なくとも1つの中で反応させることによって製造されている、請求項16または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書の分野
本発明の開示内容は、塗料および塗装方法、より詳述すれば、良好な外観を提供する、自動車用ハイソリッド熱硬化性塗料および工業用ハイソリッド熱硬化性塗料ならびに前記塗料の施工方法および良好な外観を提供するために、施工された塗料のレオロジーを制御する方法に関する。
【0002】
開示内容の説明
この個所で述べることは、単に本発明の開示内容に関連した背景の情報を提供することにすぎず、公知技術水準を構成するものではない。
【0003】
「ハイソリッド」は、溶剤型組成物でありかつより高い不揮発性含量、例えば約40質量%(wt.%)を上回る不揮発性含量を有する、塗料またはペイントに対する工業用塗料分野および自動車用塗料分野において規定された名称である。この不揮発性含量は、試験試料を110℃(230°F)で60分間加熱する、ASTM Test Method D2369に従って測定される。塗料製造業者らは、何十年もの間、工業用塗料および自動車用塗料の溶剤含量を減少させる研究をしてきており、かつ何年にもわたって様々なよりいっそうハイソリッドの技術を開発してきた。特殊な塗料に対して達成されうる固体含量は、ある程度まで、塗料のタイプおよび下地上で備えなければならない性質に依存する。一般に、極めて低い分子量の樹脂にはより少ない溶剤が添加されうる一方で、当該の低分子量の樹脂を用いると必要な施工および硬化された塗料特性を達成することができないものと解釈されている。別の例として、一般に、吹付可能な顔料入り塗料よりも高い固体含量を有する吹付可能なクリヤコート塗料を製造することができる。分散された顔料は、塗料の粘度を増加させる傾向があり、したがって適した吹付粘度(すなわち、下地上に塗料を吹付する際に施工に適した粘度)を得るために、より多くの溶剤が添加されなければならない。
【0004】
塗料の色および外観は、実際に、例えば自動車用上塗り塗料にとって最も重要である。前記上塗り塗料のための色は、モノコート上塗り塗料によって提供され、このモノコート上塗り塗料は、単層上塗り塗料または下塗り塗料であり、これらは、複合二層上塗りにおいてクリヤコート塗料層の下の塗色層として使用される。特殊な効果的な色、例えばメタリック色および真珠箔色ならびに色可変顔料を有する塗料は、前記上塗り塗料、すなわち特殊な効果フレーク顔料に対して付加的な課題を提起する。特殊な効果顔料は、塗料層においてゴニオ外観性の作用を生じうる当該効果顔料である。例えば、アメリカ材料試験協会(ASTM)の文書F284は、メタリックを「金属フレークを含有するゴニオ外観性の材料の外観に対する関連事項」と規定している。メタリック下塗りの色は、様々な角度から見た時に、様々な外観または色の塗膜を生じるために、金属フレーク顔料、例えば着色アルミニウムフレーク顔料、銅フレーク顔料、亜鉛フレーク顔料、ステンレス鋼フレーク顔料および黄銅フレーク顔料を含めてアルミニウムフレーク顔料を用いて、および/または処理されたマイカ、例えば二酸化チタン被覆されたマイカ顔料および酸化鉄被覆されたマイカ顔料を含めて真珠箔フレーク顔料を用いてもたらされうる。
【0005】
レオロジー制御は、最適なゴニオ外観性の作用に対して、塗膜の前面に対して平行にフレークを配向させるために、前記塗料の施工中に必要とされる。メタリック色および真珠箔色ならびに見る角度で変化する色を生じるフレーク顔料は、最適な望ましいメタリック効果、真珠箔効果または色可変効果を提供するために、施工された塗料層の乾燥中に、下地に対して実質的に平行な配向を達成しなければならない。一般に、「メタリック」塗料としてグループ化された、前記顔料を有するハイソリッド塗料は、低いソリッド、すなわち高い溶剤含量の塗料に対して達成されうる、前面(正面から見た)とフロップ(斜めの角度から見た)との間の輝度の顕著な差を提供しなかった。当該塗料に対して厳しい性能要求に対処し続けている一方で、殊にハイソリッドメタリック上塗り塗料を用いる場合に、施工中の適切なレオロジー制御および顔料入りハイソリッド上塗りの硬化を得ることは、難しくて骨の折れる大変な仕事が残されたままである。
【0006】
顔料入りではないクリヤコート上塗り塗料は、高度な画像の明瞭さ(DOI)を達成させるために、極めて高度な表面平滑さを可能にする、幾つかの種類のレオロジーコントロール剤を必要とする。クリヤコート塗料層およびモノコート上塗り塗料層は、一般に比較的厚手であり、典型的には、外観と保護の双方のために1.5〜3mil(ミル)(約38〜約76μm)である。自動車両の車体の塗装において、上塗りは、水平面と鉛直面の双方に施工される。製造の経済的制約は、最小の時間および製造床面積において施工された、前記の比較的厚手のクリヤコート層またはモノコート上塗り層を必要とし、したがって、クリヤコート塗料またはモノコート塗料は、下地上に厚手で施工され、塗料層中に顕著な量の溶剤を留め、この場合この溶剤は、焼付前、溶剤蒸発の「フラッシュ」時間中および上塗りの焼付中に蒸発されなければならない。むしろ厚手の塗料層を施工すると、この塗料層中に顕著な溶剤含量を留めて、水平面での問題がより少なくなる一方で、鉛直面では、なお顕著な溶剤含量を有する上塗り層が著しく大量に流れ、塗料層において垂れの出現を引き起こす。また、垂れは、下地が水平に平らではない他の領域においても、例えば文字ライン、側溝または自動車両の車体の溝に沿って起こりうる。したがって、レオロジー制御は、同様に前記理由から重要である。
【0007】
開示内容の要約
例外的なレオロジー特性を有する、メタリック塗料および他のハイソリッド塗料ならびにメタリック塗料および他のハイソリッド塗料においてより良好なレオロジー制御を得る方法、ならびに例外的な外観を有するメタリック塗膜または他の塗膜を製造するために、当該のハイソリッド塗料を製造および施工する方法が見い出された。
【0008】
我々は、(a)熱硬化性結合剤、(b)ポリイソシアネートとモノアミンを有するアミノ反応体との反応により製造された、固体のポリ尿素粒子を、結合剤の固体に対して、約0.1〜約10質量%、および(c)約2000〜約8000の数平均分子量および約50〜約120℃のガラス転移温度を有するアクリルポリマーを、結合剤の固体に対して、約2〜約25質量%含有するハイソリッド塗料を開示する。ポリイソシアネートとモノアミンを有するアミノ反応体との反応によって製造された、固体のポリ尿素粒子は、「固体のポリ尿素粒子」と呼称される。前記特徴をもつアクリルポリマーは、「低分子量の高いTgのアクリルポリマー」と呼称される。
【0009】
様々な実施態様において、ハイソリッド塗料は、上塗り塗料である。さらに、様々な実施態様において、ハイソリッド塗料は、顔料、特に下塗り塗料およびモノコート上塗り塗料を含む。さらに顔料を含む前記実施態様の中で、ハイソリッド塗料は、フレーク顔料、特に下塗り塗料およびモノコート上塗り塗料を含む。
【0010】
別の視点において、熱硬化性結合剤、固体の尿素粒子および低分子量の高いTgのアクリルポリマーを含有するハイソリッド塗料を下地上の層において吹付施工し、次に施工された塗料を硬化させ、硬化された塗膜を下地上にもたらす方法が開示されている。
【0011】
また、プライマー層を形成させるための少なくとも1つのプライマー塗料と下塗り層を形成させるための少なくとも1つの下塗り塗料とクリヤコート層を形成させるための少なくとも1つのクリヤコート塗料とを下地に施工し、下塗り塗料をプライマー層が硬化されていない際に施工し、下塗り塗料が熱硬化性結合剤、固体の尿素粒子および低分子量の高いTgのアクリルポリマーを有するハイソリッド塗料であることを含む、下地を塗装する方法が開示されている。様々な実施態様において、下塗り塗料は、フレーク顔料またはフレーク顔料の組合せを含む。
【0012】
さらに、プライマー層を形成させるための少なくとも1つのプライマー塗料と下塗り層を形成させるための少なくとも1つの下塗り塗料とクリヤコート層を形成させるための少なくとも1つのクリヤコート塗料とを下地に施工し、クリヤコート塗料を下塗り層が硬化されていない際に施工し、下塗り塗料が熱硬化性結合剤、固体の尿素粒子および低分子量の高いTgのアクリルポリマーを含有するハイソリッド塗料であることを含む、下地を塗装する方法が開示されている。様々な実施態様において、下塗り塗料は、フレーク顔料またはフレーク顔料の組合せを含む。
【0013】
さらに、なお、プライマー層を形成させるための少なくとも1つのプライマー塗料と下塗り層を形成させるための少なくとも1つの下塗り塗料とクリヤコート層を形成させるための少なくとも1つのクリヤコート塗料とを下地に施工し、下塗り塗料をプライマー層が硬化されていない際に施工し、かつクリヤコート塗料を下塗り層が硬化されていない際に施工し、および下塗り塗料が熱硬化性結合剤、固体の尿素粒子および低分子量の高いTgのアクリルポリマーを含有するハイソリッド塗料であることを含む、下地を塗装する方法が開示されている。様々な実施態様において、下塗り塗料は、フレーク顔料またはフレーク顔料の組合せを含む。
【0014】
さらに、有効量のレオロジーコントロール添加剤パッケージが固体のポリ尿素粒子を含む、メタリック塗料および他のハイソリッド塗料においてより良好なレオロジー制御を得る方法が開示され、その際に低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、ハイソリッド塗料中に含まれている。
【0015】
ハイソリッド塗料を製造する方法において、固体のポリ尿素粒子を含む結合剤樹脂は、低分子量の高いTgのアクリルポリマーと組み合わされている。結合剤は、熱硬化性である。様々な実施態様において、フレーク顔料またはフレーク顔料の組合せは、ハイソリッド塗料中に含まれている。ハイソリッド塗料は、下地上の上塗り層において施工され(モノコート上塗り層として、または下塗り−クリヤコート複合上塗りの下塗り層として)、かつ硬化され、下地上に例外的な外観を有する塗膜を提供する。フレーク顔料を含むハイソリッド塗料は、下地上の層において施工されかつ硬化され、下地上に例外的な効果外観を有する効果塗膜を提供し、この効果は、メタリック顔料が使用される際にメタリック効果であり、真珠箔顔料が使用される場合には、真珠箔効果であり、かつ色可変顔料が使用される場合には、色可変効果である。
【0016】
様々な実施態様において、ハイソリッド塗料は、前記固体のポリ尿素粒子および低分子量の高いTgのアクリルポリマーの他に、レオロジーコントロール剤を含む。様々な実施態様において、ハイソリッド塗料は、低分子量のセルロース混合エステル以外のセルロース混合エステル、マイクロゲルレオロジーコントロール剤、例えば架橋アクリルポリマーマイクロ粒子、ワックスレオロジーコントロール剤、無機フィロシリケートおよびヒュームドシリカから選択された、さらなるレオロジーコントロール剤を含む。様々な実施態様において、ハイソリッド塗料は、さらに、セルロース混合エステル、架橋アクリルポリマーマイクロ粒子、無機フィロシリケートおよびヒュームドシリカから選択された、さらなるレオロジーコントロール剤を、結合剤の質量に対して、約0.1〜約3質量%含む。
【0017】
開示された組成物および方法は、向上された外観、特にフレーク顔料を含む塗膜に対して特に向上された特殊な効果的外観を有する塗膜を提供する。開示された組成物は、2つのレオロジーコントロール剤と固体のポリ尿素粒子と低分子量の高いTgのアクリルポリマーとの組合せによって提供される前記塗料の施工中に卓越したレオロジー特性をもつ。レオロジーコントロール剤の前記組合せは、前記塗料の固体含量を高く維持させることができる一方で、ハイソリッド下塗りおよび上塗りにおいて優れたカラーコンシステンシーおよびメタリック外観を生じる、予期しない相乗効果を提供する。公知技術水準に鑑みて、本発明の開示された塗料および方法が安定性、耐性、不揮発性含量および他の性能要件における何らの減少もなしに、着色されたハイソリッド上塗りの改善されたレオロジー制御およびメタリック外観を提供することができたことは、驚異的でありかつ予知することができなかった。カラーコンシステンシーおよびメタリック外観における相乗的改善は、2つのレオロジーコントロール剤の個々の性能に基づいて、または早期に公知のレオロジーコントロール剤の組合せに照らしてみて予測不可能であった。
【0018】
前記の塗料および方法の記述において、次の意味をもつ、一定の用語が使用される。
【0019】
便宜上、「樹脂」は、本明細書中で、樹脂、オリゴマーおよびポリマーを含めて使用される。「結合剤」とは、前記塗料の被膜形成成分をさして言う。したがって、樹脂、架橋剤および他の皮膜形成剤は、結合剤の一部分であるが、しかし、溶剤、顔料、添加剤、例えば酸化防止剤、HALS、UV吸収剤、均染剤および類似物は、結合剤の一部分ではない。「熱硬化性」結合剤とは、硬化性結合剤または架橋性結合剤をさして言う。
【0020】
数平均分子量および質量平均分子量は、ポリスチレンまたはポリ(メチルメタクリレート)標準を用いてテトラヒドロフランに溶かした試料のゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される。
【0021】
「多分散指数」は、質量平均分子量対数平均分子量の比である。
【0022】
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定によって測定されるかまたはFox式を用いて算出され、このFox式において、前記コポリマーのガラス転移温度(ケルビン度で)の逆数は、前記コポリマーのモノマーの質量分数を掛けた、それぞれのモノマーのホモポリマーに対するガラス転移温度(ケルビン度で)の逆数の全ての異なる共重合されたモノマーの総和である(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.1(1956)123参照)。前記目的のためのホモポリマーのガラス転移温度は、刊行物中、特に”Polymer Handbook”,J.Brandrup et al.,Wiley−Interscience,(現在、2003年に第4版が再発行された)中に報告されているか、または刊行物の記載が利用できないならば、ホモポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されうる。
【0023】
「顔料」とは、前記塗料中で不溶性である着色剤をさして言う。「フレーク顔料」とは、フレークまたは薄手の小板の形である顔料、例えばマイカをベースとする顔料および金属フレーク顔料、例えばアルミニウム顔料をさして言う。
【0024】
「メタルトラベル(Metal travel)」および「トラベル(travel)」とは、双方とも、正面から見た場合(「前面」)と斜めの角度から見た場合(「フロップ」)との塗膜の輝度の差をさして言う。トラベルは、様々な方法で測定されうる。1つの方法は、次式:
MFI=50×(L25−L75)/L75
〔式中、L25およびL75は、それぞれ、塗工層の平面から25°および75°の角度をとる明度の測定値である〕に従って分光光度計を用いて測定される金属フロップ指数(MFI)である。より高い金属フロップ指数は、よりいっそうのトラベルを示す。
【0025】
「前記」、「少なくとも1つ」および「1つ以上」は、当該用語の少なくとも1つの存在を示すために、同じように使用され、複数の当該用語が存在していてよい。前記作業例とは別の方法は、詳細な説明の末尾に提供されており、特許請求の範囲の記載を含めて、本明細書中のパラメーター(例えば、量または条件)の全ての数値は、「約」が実際に数値の前にあろうとなかろうと全ての場合に「約」の用語によって変更されるものと解釈されるべきである。「約」は、述べられた数値がある程度僅かな不明確さを認めることを示す(数値における正確さに対する幾つかの取り組み方では、近似的にとか、当該値に適度に近くとか、ほぼと言える)。さもなければ、「約」によって提供される不明確さが当技術においてこの通常の意味で理解されないならば、本明細書中で使用される「約」は、当該パラメーターを用いて通常の測定法からもたらされうる変法を少なくとも示す。さらに、開示内容の範囲は、全ての値の開示内容および全範囲内のさらに分けられた範囲を含む。
【0026】
施工可能性のさらなる範囲は、本明細書中に提供された記載から明らかになるであろう。明細書の記載および特殊な例は、説明を目的とすることだけを意図しており、本発明の開示内容の範囲を限定することを意図するものではない。
【0027】
詳細な説明
次の説明は、本来、例示的な説明に過ぎず、かつ本発明の開示内容、応用または使用を限定することを意図するものではない。本発明の任意の特殊な1つ以上の前記視点に関連して、上記に規定された詳細、例および選択事項と、本発明の任意の特殊な1つ以上の前記視点に関連して下記されかつ例示された詳細、例および選択事項とは、本発明の全ての視点に対して等しく適用される。
【0028】
前記のハイソリッド塗料は、熱硬化性結合剤、固体のポリ尿素粒子および低分子量の高いTgのアクリルポリマーを含む。固体のポリ尿素粒子は、結合剤中で不溶性でありかつポリイソシアネートを含む反応生成物とモノアミンとの反応生成物である。
【0029】
固体のポリ尿素粒子は、例えば米国特許第2004/0158022号明細書、米国特許第4311622号明細書および米国特許第4888373号明細書、欧州特許第0198519号明細書および欧州特許第0192304号明細書中に記載された当該の固体のポリ尿素粒子であってよい。モノアミンは、第一級アミンまたは第二級アミンであってよくかつヒドロキシル基またはエーテル基を含むことができる。前記塗料は、全ての結合剤質量に対して、固体のポリ尿素粒子を0.1〜10質量%含むことができる。固体のポリ尿素粒子は、0.01〜50μmの平均粒径を有することができる。
【0030】
一般に、固体のポリ尿素粒子は、ポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物の組合せを含む混合物とモノアミンまたはモノアミンの組合せとを反応させることによって製造されてよく、かつ他の任意の反応体を含むことができる。
【0031】
前記モノアミンは、第一級モノアミンまたは第二級モノアミンであってよく、これらは、ヒドロキシル基またはエーテル基を含むことができる。さらに、前記反応混合物は、水、ポリアミン、モノイソシアネート、または前記の任意のさらなる反応体の組合せを含むことができる。様々な実施態様に応じて、第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有するポリアミンまたは当該ポリアミンおよび/または水の組合せは、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの組合せを有する反応混合物における記載と同様にモノアミンまたはモノアミンの組合せとともに含まれる。様々な実施態様において、固体のポリ尿素粒子は、ポリイソシアネート化合物、モノイソシアネート化合物、モノアミンおよびポリアミンを含む混合物を反応させることによって製造されうる。
【0032】
単数または複数のポリイソシアネートは、イソシアネート基が炭化水素基に結合されている当該有機化合物だけでなく、イソシアネート基が、例えばエステル基、エーテル基、第三級アミノ基、尿素基、ウレタン基、ビウレット基、イソシアヌレート基、アロファネート基、ウレトジオン基および類似物の一部分として、ヘテロ原子、例えば酸素または窒素を含む基に結合されている当該有機化合物も含み、ならびにこれらの組合せも含む、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する任意の有機化合物から選択されうる。任意の適当なジイソシアネートは、固体のポリ尿素粒子、例えば脂肪族または芳香脂肪族または脂環式または芳香族ジイソシアネートの製造に使用されうる。ジイソシアネートは、通常3〜40個の炭素原子を含み、および様々な実施態様において、ジイソシアネートは、4〜20個、5〜24個または6〜18個の炭素原子を含むことができる。一定の実施態様において、対称的な脂肪族または脂環式ジイソシアネートを使用することは、好ましい。適当なジイソシアネートの限定のない例は、トリメチレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ω,ω’−ジプロピルエーテルジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−ジメチル−2,4−ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネートおよびこれらのウレトジオンならびにこれらの任意の複数の組合せを含む。様々な実施態様において、6〜9個の炭素原子を含有する脂肪族または単素環式ジイソシアネート、例えばシクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート、これらの化合物のイソシアヌレートおよびこれらの組合せを使用することは、有利である。
【0033】
任意に、前記混合物は、モノイソシアネート、例えばオクチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、デシルイソシアネート、ウンデシルイソシアネートおよびこれらの組合せを含みうる。
【0034】
固体のポリ尿素粒子の製造において使用される反応混合物の第2の成分は、ヒドロキシル基またはエーテル基を含んでいてよいモノアミンである。様々な実施態様において、モノアミンは、約24個以下の炭素原子、特に約12個以下の炭素原子を有しうる。使用されうる、ヒドロキシル基またはエーテル基なしの適当なモノアミンの特別な限定のない例は、ベンジルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、1−メチルブチルアミン、2−メチルブチルアミン、1−エチルプロピルアミン、N−エチルブチルアミン、N−メチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、イソノナニルアミン、イソトリデシルアミン、n−デシルアミン、ステアリルアミンおよびこれらの組合せを含む。様々な実施態様において、1〜4個の脂肪族炭素原子を有するモノアミン、例えばベンジルアミン、プロピルアミンおよびt−ブチルアミンが使用される。使用されうる、ヒドロキシル基を有する適当なモノアミンの特別な限定のない例は、2−アミノエタノール、1−アミノエタノール、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、およびポリヒドロキシモノアミン、例えば2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミンならびにこれらの組合せを含む。当該アルコキシアミンの特別な限定のない例は、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシ−1−プロピルアミン、1−メトキシメチルプロピルアミン、1,1−ジメトキシ−2−プロピルアミン、3−エトキシ−1−プロピルアミン、3−ブトキシ−1−プロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−プロピルアミン、3−トリデシルオキシプロピルアミン、3−ステアリルオキシプロピルアミン、p−メトキシベンジルアミン、3,4−ジメトキシベンジルアミン、p−メトキシフェニルエチルアミン、3,4−ジメトキシフェニルエチルアミン、9−フェノキシ、−4,7−ジオキサノン−1−アミン、2−メチル−4−メトキシアニリン、2,5−ジメトキシアニリン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、2−(4−モルホリノ)エチルアミン、4−(3−アミノプロピル)モルホリン、2,2’−アミノエトキシエタノールおよびこれらの組合せを含む。ヒドロキシル基またはエーテル基を有するかまたは有しない、1つ以上のモノアミンの混合物が任意の組合せで使用されてよい。一定の実施態様において、モノアミンは、第一級モノアミン、例えば1〜6個の炭素原子を有する脂肪族モノアミンであるかまたは当該脂肪族モノアミンを含む。一定の実施態様において、モノアミンは、ベンジルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、アミノエタノール、1−アミノエタノール、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシ−1−プロピルアミン、1−メトキシメチルプロピルアミンおよびこれらの組合せから選択されてよい。
【0035】
さらなる実施態様において、ポリアミンは、固体のポリ尿素粒子を形成する反応混合物中に含まれていてよい。一定の実施態様におけるポリアミンは、アミノ基が第一級アミノ基であることができるジアミンである。適当なポリアミンの限定のない例は、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂肪族芳香族ポリアミン、脂環式芳香族ポリアミンおよび脂肪族脂環式ポリアミンを含み、その際に「脂肪族芳香族ポリアミン」は、少なくとも1個のアミノ基が脂肪族基に結合されかつ少なくとも1個のアミノ基が芳香族基に結合されているポリアミンを示すやり方での命名法が使用され、したがって、この命名法は、前記ポリアミンの他のタイプに対して適用される。
【0036】
使用されうる他の固体のポリ尿素粒子のさらなる例は、Baumgart et al.,米国特許第2004/0158022号明細書およびLenges et al.,米国特許第7741510号明細書中に開示された当該固体のポリ尿素粒子を含み、これら双方の文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。
【0037】
一定の実施態様において、前記反応混合物は、ベンジルアミン、プロピルアミンおよびt−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシ−1−プロピルアミン、1−メトキシメチルプロピルアミン、2−アミノエタノール、1−アミノエタノール、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノブタノール、p−メトキシベンジルアミン、3,4−ジメトキシベンジルアミンおよびこれらの組合せ、およびシクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから選択されたポリイソシアネート、これらの化合物のイソシアヌレート、およびこれらの化合物の組合せであるか、またはこれらの化合物、これらの化合物のイソシアヌレート、およびこれらの化合物の組合せを含む。
【0038】
ジイソシアネートとモノアミンとの反応において、一般に、ジイソシアネートまたはモノアミンのどちらか一方は、化学量論的量に対して過剰で使用されうる。例えば、モノアミンのアミノ基および任意のポリアミンおよび水の当量とポリイソシアネートのイソシアネート基および任意のモノイソシアネートの当量との割合は、それぞれイソシアネート1当量に対してアミン約0.7〜1.5当量、またはそれぞれイソシアネート1当量に対してアミン約0.9〜約1.2当量、またはそれぞれイソシアネート1当量に対してアミン約0.95〜約1.1当量であることができる。様々な実施態様において、モノアミンまたはモノアミンの組合せは、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの組合せと反応されてよく、その際に反応体は、アミノ基対イソシアネート基の当量比が約1.2対約0.4である程度に割り当てられる。様々な実施態様において、アミノ基対イソシアネート基の当量比は、約1.0対約0.8である。固体のポリ尿素粒子が一定の塗料において使用される場合には、脂肪族アミンおよびポリイソシアネートが好ましい。
【0039】
ポリアミンが含まれている場合には、前記反応体は、アミノ基対イソシアネート基の当量比が約1:2〜約2:1である程度に割り当てられていてよく、この当量比は、様々な実施態様において、約1:1.8〜約1.8:1、1:1.6〜約1.6:1、1:1.4〜約1.4:1、または1:1.2〜約1.2:1であってよい。固体のポリ尿素粒子を形成する反応において、ポリアミン(含まれている場合)からのアミノ基対モノアミンからのアミノ基の当量比は、約4:1〜約1:2であってよく、様々な実施態様において、ポリアミンからのアミノ基対モノアミンからのアミノ基の当量比は、約3:1〜約1:1、約2:1〜約1:1、約1.5:1〜約1:1、または約1.2:1〜約1:1であってよい。
【0040】
ジイソシアネートとモノアミンとの反応は、一般に、任意の方法で、前記反応成分を、任意に高められた温度で化合させることによって実施されうる。例えば、この反応は、不活性雰囲気中で約10℃〜150℃の範囲内、または20℃〜80℃の範囲内の温度で実施されうる。一般に、ジイソシアネートは、モノアミンに添加されるべきであり、これは、所望に応じて、数工程で行われうる。
【0041】
前記反応は、任意に、不活性の有機溶剤、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、または脂肪族炭化水素、例えば石油エーテルの存在下で実施されうるか、または任意に結合剤樹脂の存在下で実施されうる。結合剤は、上塗り塗料または下塗り塗料に適している、任意の結合剤であってよい。限定がなく、挙げることができる適当な例は、ポリエステル、モノマーとしてのポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールを用いて製造されたものを含めてポリウレタン、アクリル樹脂および他のポリビニル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド、不飽和オリゴマーおよび樹脂、アミノプラスト、ポリエポキシド、およびポリカルボン酸または無水物のオリゴマーおよびポリマーを含む。様々な実施態様において、固体のポリ尿素粒子は、ポリエステル、ポリウレタン、またはアクリル樹脂または当該樹脂の組合せにおいて形成される。有機溶剤の存在下で実施される場合には、この方法は、アミン成分が1つの有機溶剤または1つを上回る有機溶剤の混合物に添加され、次に極めて強力な撹拌下にできるだけ迅速にポリイソシアネート成分に添加されうる。結合剤樹脂の存在下で実施される場合には、結合剤樹脂とポリイソシアネートとの混合物は、結合剤樹脂とモノアミンとの混合物と混合されうる。この混合操作は、任意の常法で、反応体を強力に攪拌しながら実施されうる。この方法の実施態様において、結合剤と固体のポリ尿素粒子との1つにまとめた質量に対して、固体のポリ尿素粒子を約1質量%〜約20質量%および結合剤樹脂を約80質量%〜約99質量%または固体のポリ尿素粒子を約1質量%〜約10質量%および結合剤を約90質量%〜約99質量%有する固体のポリ尿素粒子のマスターバッチとして使用される混合物が得られるという反応の結論の下で、結合剤は、当該量のポリイソシアネートおよびモノアミンと混合される。前記の質量比は、前記塗料の製造において使用されると直ちに均一に混合されうる混合物が得られるという結果を生じうる。前記塗料中の結合剤と固体のポリ尿素粒子のマスターバッチ中の結合剤とは、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。この「インサイチュー(in−situ)で」の製造において、前記反応は、有利に、不活性ガスの雰囲気中で20℃〜80℃の範囲内の温度で実施され、この場合最初にモノアミンは、結合剤に添加され、混合物が均一化された後に、ポリイソシアネートは、撹拌下に、この混合物に徐々に添加される。
【0042】
一定の実施態様において、固体のポリ尿素粒子がインサイチュー(in−situ)で結合剤中で製造されない場合には、チキソトロピック塗料の2つの成分は、固体のポリ尿素粒子を80℃〜200℃の範囲内の温度で結合剤の存在下に溶融することによって混合されることができ、その結果として、均一な混合物が得られる。前記混合物が室温へ冷却された後に、固体のポリ尿素粒子は、結合剤中の分散液を形成する。
【0043】
様々な実施態様において、前記塗料は、全ての結合剤質量に対して、固体のポリ尿素粒子を約10質量%まで、または約0.1質量%〜約5質量%または約0.2質量%〜約5質量%含む。固体のポリ尿素粒子は、結合剤樹脂と結合剤樹脂中に製造された固体のポリ尿素粒子との合わせた質量の約15質量%〜約50質量%または約20質量%〜約40質量%を有する組成物中に添加されうる。
【0044】
前記塗料中の固体のポリ尿素粒子は、一般に、約0.01〜約50μmの平均粒径を有するか、または一定の実施態様において、約0.1〜約20μmまたは約3〜約17μmの平均粒径を有する。前記平均粒径は、様々な方法で、例えばクールター計数器、レーザー回折(レーザー光散乱としても公知である)またはさらに、より一般的な意味で、ヘグマンのグラインドゲージを用いて測定されうる。
【0045】
また、開示されたハイソリッド塗料は、低分子量の高いTgのアクリルポリマーを含む。このハイソリッド塗料は、結合剤の全質量に対して、低分子量の高いTgのアクリルポリマーを約2〜約25質量%含む。様々な実施態様において、ハイソリッド塗料は、結合剤の全質量に対して、低分子量の高いTgのアクリルポリマーを約5〜約20質量%または約5〜約13質量%または約6〜約10質量%含む。
【0046】
低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、約2000〜約8000の数平均分子量を有する。様々な実施態様において、低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、約4000〜約8000の数平均分子量を有することができ、および様々な塗料は、約5500〜約7500の数平均分子量を有する、低分子量の高いTgのアクリルポリマーを使用することができる。様々な実施態様において、低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、約5000〜約25000、特に約10000〜約22000の質量平均分子量および約2.0〜約4、特に約2.5〜約3.5の多分散指数を有することができる。
【0047】
前記の低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、約50〜約120℃のガラス転移温度を有し、様々な実施態様において、低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、約60〜約110℃、約65〜約100℃、または約70〜約90℃のガラス転移温度を有する。
【0048】
前記Tgは、示差走査熱量測定によって測定されるかまたはFox式を用いて算出され、このFox式において、前記コポリマーのガラス転移温度(ケルビン度で)の逆数は、前記コポリマーのモノマーの質量分数を掛けた、それぞれのモノマーのホモポリマーに対するガラス転移温度(ケルビン度で)の逆数の全ての異なる共重合されたモノマーの総和である。
【0049】
低分子量の高いTgのアクリルポリマーに対して前記の2つの方法によって測定されたガラス転移温度の間には、小さな差が存在するとはいえ、当該の小さな差は、開示されたハイソリッド塗料において、および開示された方法において、低分子量の高いTgのアクリルポリマーの使用には重要ではない。
【0050】
前記の低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、ハイソリッド塗料の硬化中にハイソリッド塗料の別の成分と反応性の官能基を有することができる。好ましくは、低分子量の高いTgのアクリルポリマーは、活性水素官能性を有する。当該活性水素官能性の限定のない例は、ヒドロキシル基およびカルバメート基ならびにこれらの組合せを含む。用語の「カルバメート」とは、構造式
【化1】
〔式中、Rは、Hまたはアルキルである。好ましくは、Rは、Hまたは炭素原子数約1〜約4のアルキルであり、より好ましくはRは、Hである〕を有する基をさして言う。反応性の官能基のさらなる例は、架橋剤で硬化しうる熱硬化性樹脂に対するポリマー官能基の例と同様の下記した反応性の官能基である。
【0051】
適当なヒドロキシル官能性の低分子量の高いTgのアクリル樹脂は、1つ以上のヒドロキシル官能性のエチレン性不飽和モノマーを1つ以上の他のエチレン性不飽和モノマーと重合させることによって製造されうる。ヒドロキシル官能性のエチレン性不飽和モノマーの適当な例は、アクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルを含む。(本明細書の記載内容において、「(メタ)アクリレート」の用語は、メタクリレートエステルとアクリレートエステルの双方が含まれていることを示すために使用される)ヒドロキシル官能性モノマーの限定のない例は、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、炭素数約10までの分枝鎖状または直鎖状アルキル基を有する他のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物を含む。一般に、ヒドロキシル官能性モノマーが少なくとも約5質量%ポリマー中に含まれている。実施態様の例は、ポリマー中にヒドロキシル官能性モノマーを約15質量%まで含む。一定の実施態様において、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物から重合された、ヒドロキシル官能性の低分子量の高いTgのアクリルポリマーが使用されうる。当業者であれば、ヒドロキシル基が他の手段、例えば有機酸またはアミンによる、例えばグリシジルメタクリレートからのグリシジル基の開環により発生されうることは、評価するであろう。ヒドロキシル官能基は、限定なしに、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、11−メルカプト−1−ウンデカノール、1−メルカプト−2−プロパノール、2−メルカプトエタノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、2−メルカプトベンジルアルコール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、4−メルカプト−1−ブタノールおよびこれらの組合せを含めて、チオアルコール化合物によって導入されてもよい。前記方法のいずれかは、有用なヒドロキシル官能性アクリルポリマーの製造に使用されてよい。
【0052】
適当なカルバメート官能性の低分子量の高いTgのアクリル樹脂は、前記モノマーのエステル部分にカルバメート官能基を有する、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーを重合させることによって製造されうる。当該モノマーは、当業者によく知られており、かつ例えば米国特許第3479328号明細書、米国特許第3674838号明細書、米国特許第4126747号明細書、米国特許第4279833号明細書および米国特許第4340497号明細書、米国特許第5356669号明細書、ならびにWO 94/10211中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。当該モノマーを合成する1つの方法は、ヒドロキシエステルを尿素と反応させ、カルバミルオキシカルボキシレート(すなわち、カルバメート変性されたアクリルモノマー)を形成させることを含む。合成の別の方法は、α,β−不飽和酸エステルをヒドロキシカルバメートエステルと反応させ、カルバミルオキシカルボキシレートを形成させる。さらに別の技術は、第一級アミンもしくは第一級アミンまたはジアミンを環式カーボネート、例えばエチレンカーボネートと反応させることによってヒドロキシアルキルカルバメートを形成させることを含む。さらに、ヒドロキシアルキルカルバメート上のヒドロキシル基は、アクリル酸またはメタクリル酸との反応によってエステル化され、前記モノマーを形成させる。カルバメート変性されたアクリルモノマーを製造する他の方法は、前記文献中に記載されており、かつ同様に利用されうる。さらに、アクリルモノマーは、文献中によく知られた技術によって他のエチレン不飽和モノマーとともに重合されうる。
【0053】
カルバメート官能性の低分子量の高いTgのアクリル樹脂を製造するための他の選択可能な方法は、米国特許第4758632号明細書の記載と同様に、既に形成されたアクリルポリマーと別の成分とを反応させ、ポリマー骨格に付随したカルバメート官能基を形成させることである。当該ポリマーを製造するための1つの技術は、(アンモニアおよびHNCOを放出するために)尿素をヒドロキシ官能性アクリルポリマーの存在下で熱分解し、カルバメート官能性ポリマーを形成させることを含む。別の技術は、ヒドロキシアルキルカルバメートのヒドロキシル基をイソシアネート官能性ポリマーのイソシアネート基と反応させ、カルバメート官能性ポリマーを形成させることを含む。イソシアネート官能性アクリルは、文献中に公知であり、かつ例えば米国特許第4301257号明細書中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。イソシアネートビニルモノマーは、文献中によく知られており、かつ不飽和m−テトラメチルキシレンイソシアネートを含む。さらに別の技術は、環式カーボネート官能性アクリル上の環式カーボネートをアンモニアと反応させ、カルバメート官能性アクリルを形成させることである。環式カーボネート官能性アクリルポリマーは、文献中に公知であり、かつ例えば米国特許第2979514号明細書中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。別の技術は、ヒドロキシ官能性ポリマーをアルキルカルバメートでトランスカルバミル化することである。ポリマーを製造する、より困難ではあるが実行可能な方法は、ヒドロキシアルキルカルバメートでトランスエステル化することであろう。
【0054】
架橋性官能基または架橋性官能基を提供するために誘導体化されるであろう官能基を有するエチレン不飽和モノマーとともに重合されうる、適当なコモノマーの例は、限定なしに、3〜5個の炭素原子を有する、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸ならびにアクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸のアルキルエステルおよびシクロアルキルエステル、ニトリルおよびアミド、4〜6個の炭素原子を有する、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸および当該酸の無水物、モノエステルおよびジエステル、ビニルエステル、ビニルケトン、および芳香族またはヘテロ環式脂肪族ビニル化合物を含む。アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸の適当なエステルの代表例は、限定なしに、1〜20個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコールとの反応からの当該エステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびメチルクロトネート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートおよびエチルクロトネート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレートおよびプロピルクロトネート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレートおよびイソプロピルクロトネート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレートおよびn−ブチルクロトネート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレートおよびイソブチルクロトネート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレートおよびt−ブチルクロトネート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレートおよびヘキシルクロトネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートおよび2−エチルヘキシルクロトネート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレートおよびドデシルクロトネート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびシクロヘキシルクロトネート、アルキル置換シクロヘキシルアクリレート、アルキル置換シクロヘキシルメタクリレートおよびアルキル置換シクロヘキシルクロトネート、アルカノール置換シクロヘキシルアクリレート、アルカノール置換シクロヘキシルメタクリレートおよびアルカノール置換シクロヘキシルクロトネート、例えば2−t−ブチルアクリレート、2−t−ブチルメタクリレートおよび2−t−ブチルクロトネートおよび4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートおよび4−t−ブチルシクロヘキシルクロトネート、4−シクロヘキシル−1−ブチルアクリレート、4−シクロヘキシル−1−ブチルメタクリレートおよび4−シクロヘキシル−1−ブチルクロトネート、2−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、2−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートおよび2−t−ブチルシクロヘキシルクロトネート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートおよび4−t−ブチルシクロヘキシルクロトネート、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシルメタクリレートおよび3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシルクロトネート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートおよびテトラヒドロフルフリルクロトネート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびイソボルニルクロトネート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートおよびラウリルクロトネート、およびステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレートおよびステアリルクロトネート、不飽和ジアルカノイック酸および無水物、例えばフマル酸、マレイン酸、イタコン酸および無水物とアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールおよびt−ブタノールとのモノマールエステルおよびジエステル、例えば無水マレイン酸、マレイン酸ジメチルエステルおよびマレイン酸モノヘキシルエステル、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルエチルエーテル、およびビニルエチルケトン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2−ビニルピロリドンおよびp−t−ブチルスチレンを含む。前記コモノマーは、必要とされるガラス転移温度および塗装性を備えることを得るために、任意の所望の組合せで使用されうる。
【0055】
様々な実施態様において、低分子量の高いTgのアクリル樹脂のアクリルポリマーは、1つ以上の脂環式モノマーを用いて重合される。限定するものではないが、脂環式モノマーの適当な例は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルキル置換シクロヘキサノールの(メタ)アクリレートエステル、およびアルカノール置換シクロヘキサンの(メタ)アクリレートエステル、例えば2−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−シクロヘキシル−1−ブチル(メタ)アクリレート、および3,3,5,5,−テトラメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソメンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、アルキル置換シクロペンタノールの(メタ)アクリレートエステル、およびアルカノール置換シクロペンタンの(メタ)アクリレートエステル、アダマンタニル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、シクロウンデカンメチル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロドデカンメチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート等、ならびにこれらの組合せを含む。幾つかの実施態様において、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートまたはこれら双方が使用される。脂環式モノマー単位は、アクリルポリマーの少なくとも約45質量%、有利に少なくとも約60質量%、より有利に少なくとも約65質量%の量でアクリルポリマー中に含まれる。脂環式モノマー単位が低分子量の高いTgのアクリル樹脂中に前記ポリマーの約85質量%まで、特に約80質量%まで、殊に約75質量%までの量で含まれることは、有利である。
【0056】
前記アクリルポリマーは、通常の技術を用いて、例えば前記モノマーを重合開始剤および任意に連鎖移動剤の存在下で加熱することによって製造されうる。アクリルポリマーを塊状で重合させるかまたは乳濁液として重合させることも可能であるが、重合は、有利に溶液中で実施される。
【0057】
典型的な開始剤は、有機過酸化物、例えばジアルキルペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルアセテート、ペルオキシジカーボネート、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、ならびにペルオキシケタール、アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)および1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)およびこれらの組合せである。典型的な連鎖移動剤は、メルカプタン、例えばオクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンまたはt−ドデシルメルカプタン、ハロゲン化化合物、チオサリチル酸、メルカプト酢酸、メルカプトエタノールおよび既述された他のチオールアルコール、および二量体のα−メチルスチレンである。
【0058】
前記反応は、通常、約20℃〜約200℃の温度で実施される。適度に制御しながら、還流時より低い温度を維持しながら、前記反応は、通常、溶剤または溶剤混合物が還流される温度で行うことができる。前記開始剤は、反応が実施される温度に適合される程度に選択されるべきであり、その結果、この温度での開始剤の半減期は、有利に約30分以下であるべきである。一般に、付加重合および(メタ)アクリレートモノマーを含めて混合物の重合のさらなる詳細は、ポリマー業界において、直ちに利用可能である。
【0059】
ハイソリッド塗料のレオロジー挙動、ひいてはハイソリッド塗料を用いて調整された、塗装された下地の外観は、固体のポリ尿素粒子の含量および低分子量セルロース混合エステルおよび固体のポリ尿素粒子の性質、低分子量セルロース混合エステルロール混合エステルおよび結合剤に依存する。一般に、固体のポリ尿素粒子は、0.1〜10質量%の量で使用されうるか、または様々な実施態様において、約0.2〜約9質量%、または約0.3〜約8質量%、または約0.4〜約7質量%、または約0.5〜約6質量%の量で使用されうるが、これらそれぞれの量は、全結合剤量に対するものである。前記実施態様の何れかにおいて、高いTgのアクリルポリマーは、全結合剤量に対して、約2〜約25質量%、または約5〜約20質量%、または約5〜約13質量%、または約6〜約10質量%の量で含まれている。
【0060】
前記結合剤は、上塗り塗料または下塗り塗料に適している何れかのものであってよい。前記結合剤は、硬化剤または架橋剤で硬化しうるかまたは化学線、例えばUV線もしくはEB線への暴露および架橋剤、例えば樹脂によって硬化しうる、自己架橋型である当該樹脂を含めて、熱硬化性であることができる。前記結合剤は、多種多様の樹脂またはポリマーの何れか1つまたは組合せを含むことができる。適当な硬化性ポリマーの限定のない例は、ビニルポリマー、例えばアクリルポリマー(ポリ(メタ)アクリレート)および分枝鎖状であるもの、グラフト化されているものを含めて、変性されたアクリルポリマー、およびポリエステル、ポリエーテルまたは他のブロックを有するコポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、マクロモノマー、例えばポリエステルジオール、ポリエーテルジオールおよびポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタン、アルキド、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリシロキサン、アルキドおよび不飽和オリゴマーおよび不飽和樹脂、およびこれらの混合物を含み、これらの全ては、文献中に公知である。様々な実施態様において、硬化性ポリマーは、架橋剤と反応性の基を有する。ポリマーの官能基の限定のない例は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノプラスト官能基、尿素基、カルバメート基、(ブロック化されたかまたはブロック化されていない)イソシアネート基、エポキシ基、環式カーボネート基、アミノ基、アルデヒド基、チオール基、ヒドラジド基、活性化メチレン基および熱硬化性ポリマー中で製造されうる、前記基の任意の組合せを含む。様々な実施態様において、ポリマーの官能基は、ヒドロキシル基、第一級カルバメート基、イソシアネート基、アミノプラスト官能基、エポキシ基、カルボキシル基およびこれらの混合物である。一定の実施態様において、ポリマーの官能基は、ヒドロキシル基、第一級カルバメート基およびこれらの混合物である。
【0061】
本発明の1つの実施態様において、前記ポリマーは、アクリルポリマーである。アクリルポリマーは、有利に500〜20000、より有利に1500〜10000の数平均分子量を有する。この数平均分子量は、ポリスチレンまたはポリ(メチルメタクリレート)標準を用いる、テトラヒドロフランに溶かした試料のゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される。当該ポリマーは、文献中によく知られており、かつモノマー、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレートもしくはラウリルメタクリレート、シクロアルキルアクリレートおよび/またはシクロアルキルメタクリレート、例えばシクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートならびにビニル芳香族炭化水素、例えばビニルトルエン、α−メチルスチレンおよびスチレン、ならびにアクリル酸またはメタクリル酸のアミドまたはニトリル、ビニルエステルおよびビニルエーテルから製造されうる。任意の架橋性官能基、例えばヒドロキシル基、アミノ基、グリシジル基、カルバメート基等は、アクリルモノマーのエステル部分中にイソシアネート配合されうる。当該ポリマーを形成するために使用されうるヒドロキシ官能性アクリルモノマーの限定のない例は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートを含む。アミノ官能性アクリルモノマーは、t−ブチルアミノエチルメタクリレートおよびt−ブチルアミノエチルアクリレートを含むであろう。グリシジル基は、例えばグリシジルメタクリレートまたはアリルグリシジルエーテルを共重合させることによって配合されうる。前記モノマーのエステル部分中の架橋性官能基を有する他のアクリルモノマーも当業界内に含まれる。
【0062】
変性されたアクリルは、塗料において被膜形成硬化性ポリマーとして使用されてもよい。当該アクリルは、文献中によく知られている、ポリエステル変性アクリルまたはポリウレタン変性アクリルであることができる。ε−カプロラクトンで変性された、ポリエステル変性アクリルは、Etzell他の米国特許第4546046号明細書中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。また、ポリウレタン変性アクリルは、文献中でよく知られている。このポリウレタン変性アクリルは、例えば米国特許第4584354号明細書中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。
【0063】
ポリエステルは、前記塗料において結合剤樹脂として使用されてもよい。ポリエステル樹脂は、酸官能性樹脂またはヒドロキシル基官能性樹脂として配合されていてよい。このポリエステルは、1グラム当たり約20〜約100mg KOH、または約20〜約80mg KOH、または約20〜約40mg KOHの酸価を有することができる。別の実施態様において、このポリエステルは、1グラム当たり約25〜約300mg KOH、または約25〜約150mg KOH、または約40〜約100mg KOHのヒドロキシル価を有することができる。ポリエステル樹脂を製造する方法は、よく知られている。典型的には、ポリオール成分および酸成分および/または無水物成分または重合性誘導体、例えばメチルエステルは、通常、反応が完結するまで運転するために、副生成物の水またはメタノールを除去しながら、任意に触媒を用いて、一緒に加熱される。前記ポリオール成分は、少なくとも約2の平均官能価を有する。前記ポリオール成分は、単官能性アルコール、二官能性アルコール、三官能性アルコールおよび多官能性アルコールを含むことができる。ジオールが好ましいが、しかし、前記ポリエステルの幾つかの分枝鎖が所望される場合には、多官能性アルコールが含まれる。実証となる例は、限定なしに、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールAおよびヒドロキシアルキル化ビスフェノールを含む。任意に、少量の三官能性アルコールおよび多官能性アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンまたはペンタエリトリトールが使用されてよい。前記の酸成分および/または無水物成分は、平均で少なくとも2個のカルボン酸基および/または無水物を有する化合物、またはこれらの低級(C1〜C4、特にメチル)エステルを含む。ジカルボン酸またはジカルボン酸の無水物は、好ましいが、しかし、前記ポリエステルの幾つかの分枝鎖が所望される場合には、多官能性の酸および無水物が使用されうる。適当なポリカルボン酸または無水物化合物は、限定なしに、約3個〜約20個の炭素原子を有するものを含む。適当な化合物の実証となる例は、限定なしに、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ピロメリット酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アゼライク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカン−1,12−ジカルボン酸、クエン酸、トリメリット酸およびこれらの無水物を含む。任意に、モノカルボン酸、例えばオクタン酸、ノナン酸、ステアリン酸およびシクロヘキサン酸ならびにヒドロキシカルボン酸、例えばジメチロールプロピオン酸、ならびにこれらの化合物の組合せが含まれる。
【0064】
また、架橋性官能基、例えばヒドロキシル基を有するポリウレタンは、文献中によく知られている。前記ポリウレタンは、ポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、MDI、および固体のポリ尿素粒子の製造において有用である、上記したもの以外の何れか、およびこれらの組合せ)とポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよびポリエステルの製造において有用である、記載したもの以外の何れか、およびこれらの組合せ)とマクロジオール、例えばポリエステルジオール、ポリエーテルジオールおよびポリカーボネートジオールとの連鎖延長反応によって製造される。前記ポリウレタンは、ポリウレタン鎖を過剰のジオール、ポリアミン、アミノアルコールまたは類似物でキャッピングすることによって架橋性官能基を備えることができる。
【0065】
カルバメート官能性ポリマーおよびカルバメート官能性オリゴマーは、硬化性ポリマー、殊に少なくとも1個の第一級カルバメート基を有する当該硬化性ポリマーとして使用されてもよい。
【0066】
前記塗料において使用される硬化性ポリマーのカルバメート官能基の例は、様々な方法で製造されうる。例えば、アクリルポリマーの場合を使用すると、当該ポリマーを製造する1つの方法は、モノマーのエステル部分においてカルバメート官能基を有する、モノマー、例えばアクリルモノマーを製造することである。当該モノマーは、文献中によく知られており、かつ米国特許第3479328号明細書、米国特許第3674838号明細書、米国特許第4126747号明細書、米国特許第4279833号明細書および米国特許第4340497号明細書、米国特許第5356669号明細書、ならびにWO 94/10211中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。1つの合成法は、ヒドロキシエステルを尿素と反応させ、カルバミルオキシカルボキシレート(すなわち、カルバメート変性アクリル)を形成させることを含む。別の合成法は、α,β−不飽和酸エステルをヒドロキシカルバメートエステルと反応させ、カルバミルオキシカルボキシレートを形成させることを含む。さらに別の技術は、第一級アミンもしくは第二級アミンまたは第一級ジアミンもしくは第二級ジアミンを環式カーボネート、例えばエチレンカーボネートと反応させることによって、ヒドロキシアルキルカルバメートを形成させることを含む。さらに、ヒドロキシアルキルカルバメート上のヒドロキシル基は、アクリル酸またはメタクリル酸との反応によってエステル化され、モノマーを形成する。カルバメート変性アクリルモノマーを製造する他の方法は、文献中に記載されており、かつ同様に利用されうる。さらに、このアクリルモノマーは、所望される場合には、文献中によく知られた技術によって、他のエチレン不飽和モノマーとともに重合されうる。
【0067】
前記結合剤の硬化性ポリマーを製造するための他の選択可能な方法は、米国特許第4758632号明細書の記載と同様に、既に形成されたポリマー、例えばアクリルポリマー、ポリエステルポリマーまたはポリウレタンポリマーと別の成分とを反応させ、ポリマー骨格に付随したカルバメート官能基を形成させることである。当該ポリマーを製造する1つの技術は、(アンモニアおよびHNCOを放出するために)尿素をヒドロキシ官能性アクリルポリマーの存在下で熱分解し、カルバメート官能性ポリマーを形成させることを含む。別の技術は、ヒドロキシアルキルカルバメートのヒドロキシル基をイソシアネート官能性ポリマーのイソシアネート基と反応させ、カルバメート官能性ポリマーを形成させることを含む。イソシアネート官能性アクリルは、文献中に公知であり、かつ例えば米国特許第4301257号明細書中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。イソシアネートビニルモノマーは、文献中によく知られており、かつ不飽和m−テトラメチルキシレンイソシアネート(TMI(登録商標)としてAmerican Cyanamidによって販売された)を含む。イソシアネート官能性ポリウレタンは、等量で過剰のジイソシアネートを用いることによって形成されうるか、またはヒドロキシル官能性プレポリマーをポリイソシアネートで末端キャッピングすることによって形成されうる。さらに別の技術は、環式カーボネート官能性アクリル上の環式カーボネート基を、カルバメート官能性アクリルを形成させるために、アンモニアと反応させることである。環式カーボネート官能性アクリルポリマーは、文献中に公知であり、かつ例えば米国特許第2979514号明細書中に記載されており、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。別の技術は、ヒドロキシ官能性ポリマーをアルキルカルバメートでトランスカルバミル化することである。ポリマーを製造する、より困難ではあるが実行可能な方法は、ヒドロキシアルキルカルバメートでトランスエステル化することであろう。
【0068】
前記塗料の結合剤は、さらに架橋剤を有することができる。架橋剤は、それぞれ前記塗料の全結合剤に対して、10〜60%、一般に15〜55%、または25〜50%の量で使用されうる。
【0069】
一定の実施態様において、前記架橋剤とポリマーとの反応が不可逆的結合を形成することは、好ましい。熱的に不可逆的な結合を生じる官能基「対」の例は、(ブロック化されたかまたはブロック化されていない)ヒドロキシ/イソシアネート、ヒドロキシ/エポキシ、カルバメート/アミノプラスト、カルバメート/アルデヒド、酸/エポキシ、アミン/環式カーボネート、(ブロック化されたかまたはブロック化されていない)アミン/イソシアネート、尿素/アミノプラストおよび類似物である。架橋剤結合剤樹脂の限定のない例は、アミノプラスト、ブロック化されたかまたはブロック化されていないポリイソシアネート、ポリエポキシド、ポリカルボン酸または無水物化合物、オリゴマーまたはポリマーおよびポリ尿素化合物またはオリゴマーを含む。
【0070】
一定の実施態様におけるハイソリッド塗料は、アミノプラストを架橋剤として含む。本発明の目的のためのアミノプラストは、活性化された窒素を低分子量のアルデヒドと反応させ、任意にさらにアルコール(好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するモノアルコール)と反応させ、エーテル基を形成させることによって得られた物質である。活性化された窒素の好ましい例は、活性化アミン、例えばメラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキシルカルボグアナミンおよびアセトグアナミン、尿素それ自体、チオ尿素、エチレン尿素、ジヒドロキシエチレン尿素およびグアニル尿素を含めて尿素、アミド、例えばジシアンジアミド、および少なくとも1個の第一級カルバメート基または少なくとも2個の第二級カルバメート基を有するカルバメート官能性化合物である。
【0071】
活性化された窒素は、低分子量アルデヒドと反応される。ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド、殊にホルムアルデヒドが好ましいとはいえ、アルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、またはアミノプラスト樹脂の製造において使用される他のアルデヒドから選択されうる。この活性化された窒素基は、少なくとも部分的にアルデヒドでアルキロール化され、かつ全体的にアルキロール化されることができ、好ましくは、活性化された窒素原子は、全体的にアルキロール化される。この反応は、米国特許第3082180号明細書中の教示と同様に、酸によって触媒されることができ、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。
【0072】
活性化された窒素とアルデヒドとの反応によって形成されたアルキロール基は、部分的または全体的に1つ以上の単官能性アルコールでエーテル化されうる。単官能性アルコールの適当な例は、限定なしに、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール等を含む。1〜4個の炭素原子を有する単官能性アルコールおよびこれらの混合物は、好ましい。エーテル化は、例えば米国特許第4105708号明細書および米国特許第4293692号明細書中に開示された方法によって実施することができ、当該文献の開示内容は、参照のために本明細書に援用される。
【0073】
アミノプラスト樹脂は、少なくとも部分的にエーテル化されていてよく、かつ様々な実施態様において、アミノプラストは、全体的にエーテル化されている。例えば、アミノプラスト化合物は、複数のメチロールおよび/またはエーテル化されたメチロール、ブチロールまたはアルキロール基を有することができ、これらは、任意の組合せで非置換の窒素水素基とともに存在していてよい。全体的にエーテル化されたメラミンホルムアルデヒド樹脂の限定のない例は、ヘキサメトキシメチルメラミンである。アミノプラスト架橋剤は、カルバメート、末端尿素、およびヒドロキシルを含むポリマーのための架橋剤として使用されうる。
【0074】
一定の実施態様におけるハイソリッド硬化性塗料は、ポリイソシアネート架橋剤またはブロック化されたポリイソシアネート架橋剤を含む。有用なポリイソシアネート架橋剤は、限定なしに、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン化合物およびイソシアネート官能性プレポリマー、例えば1モルのトリオールと3モルのジイソシアネートとの反応生成物を含む。このポリイソシアネートは、低級アルコール、オキシム、またはイソシアネート基の再生のために硬化温度で揮発する、他の当該物質でブロック化されていてよい。
【0075】
イソシアネートまたはブロック化されたイソシアネートは、架橋性結合剤樹脂から利用しうる当該イソシアネートと反応性のそれぞれ当量の官能基に対して、0.1〜1.1の当量比、または0.5〜1.0の当量比で使用されうる。
【0076】
エポキシ官能性架橋剤は、カルボキシル官能性の架橋性樹脂またはアミノ官能性の架橋性樹脂と一緒に使用されてよい。エポキシ官能性架橋剤の実例となる例は、全ての公知のエポキシ官能性ポリマーおよびエポキシ官能性オリゴマーである。エポキシ官能性の架橋剤の限定のない例は、ポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステル、グリシジルメタクリレートポリマーおよびイソシアヌレートを含むエポキシ官能性物質、例えばトリスグリシジルイソシアヌレートおよびグリシドールとイソシアネート官能性イソシアヌレート、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)の三量体との反応生成物である。
【0077】
前記ハイソリッド塗料は、硬化反応速度を向上させるために、触媒を含んでいてよい。例えば、殊にモノマーのメラミンを硬化剤として使用する場合には、硬化反応を向上させるために、強酸触媒が利用されうる。当該触媒は、文献中によく知られており、かつ限定なしに、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェートおよびヒドロキシホスフェートエステルを含む。強酸触媒は、しばしば、例えばアミンでブロック化される。ポリイソシアネートと適当な硬化性結合剤樹脂の官能基との反応に適した触媒は、錫化合物、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキシド、第三級アミン、亜鉛塩およびマンガン塩を含む。エポキシドとカルボキシル基との反応は、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩(例えば、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキサン、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、テトラメチルアンモニウムブロミドおよびテトラブチルアンモニウムヒドロキシド)、スズ錯塩および/または亜リン酸錯塩(例えば、(CH33SNI、(CH34PI、トリフェニルホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムヨージド)等で触媒作用を及ぼされてよい。
【0078】
前記ハイソリッド塗料は、1つ以上の有機溶剤を含む。適当な溶剤の限定のない例は、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、グリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステルを含む。特殊な例は、限定なしに、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、Aromatic 100、Aromatic 150、ナフサ、ミネラルスピリット、ブチルグリコール等を含む。
【0079】
前記ハイソリッド塗料は、任意に、高分子量混合セルロースエステル、例えばCAB−381−0.1、CAB−381−20、CAB−531−1、CAB−551−0.01およびCAB−171−15S(Eastman Chemical Company,Kingsport,Tennesseeから入手可能)を含めて、さらにレオロジー制御剤を含むことができ、当該エステルは、全結合剤量に対して、約5質量%まで、または約0.1〜約5質量%、または約1.5〜約4.5質量%の量で含まれていてよい。さらなる例は、マイクロゲルレオロジー制御剤、例えば全結合剤量の約5質量%までの量で含むことができる、架橋されたアクリルポリマーマイクロ粒子、ワックスレオロジー制御剤、例えばアクリル酸変性ポリエチレンワックス(例えば、Honeywell A−C(登録商標)Performance Additives)を含めてポリエチレンワックス、ポリ(エチレンビニルアセテート)コポリマーおよび全結合剤量に対して約2質量%までの量で含むことができる、酸化されたポリエチレン、および全結合剤量に対して約10質量%までの量または全結合剤量に対して約3〜約12質量%の量で含むことができるヒュームドシリカを含むことができる。
【0080】
さらなる薬剤、例えば立体障害アミン光安定剤、紫外線光安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、安定剤、湿潤剤、接着促進剤等は、前記塗料中に配合されうる。当該添加剤は、よく知られており、かつ塗料に典型的に使用される量で含まれていてよい。
【0081】
下塗り塗料およびモノコート上塗り塗料において利用されうる特殊な効果顔料の限定のない例は、メタリック顔料、真珠箔顔料および色可変効果フレーク顔料を含む。(真珠箔上塗りおよび色可変上塗りを含めて)メタリック上塗りの色は、1つ以上の特殊なフレーク顔料を用いてもたらされる。メタリック色は、一般にゴニオ外観性の効果を有する色として規定される。例えば、アメリカ材料試験協会(ASTM)の文書F284は、メタリックを「金属フレークを含有するゴニオ外観性の材料の外観に対する関連事項」と規定している。メタリック下塗りの色は、様々な角度から見た時に、様々な外観(反射率または色)の塗装を生じるために、金属フレーク顔料、例えばアルミニウムフレーク顔料、被覆アルミニウムフレーク顔料、銅フレーク顔料、亜鉛フレーク顔料、ステンレス鋼フレーク顔料および黄銅フレーク顔料を用いて、および/または処理されたマイカ、例えば二酸化チタン被覆されたマイカ顔料および酸化鉄被覆されたマイカ顔料を含めて真珠箔フレーク顔料を用いてもたらされうる。金属フレークは、コーンフレークタイプ、レンズ形または耐サーキュレーション性であることができ、マイカは、天然、合成または酸化アルミニウムのタイプであることができる。フレーク顔料は、凝集せずかつ高剪断下で微粉砕されない。それというのも、高剪断は、フレークまたは当該フレークの結晶形態を破壊するかまたは湾曲させ、ゴニオ外観性の効果を減少または破壊するからである。フレーク顔料は、低剪断下での攪拌によって結合剤成分中に満足に分散される。単数または複数のフレーク顔料は、ハイソリッド塗料中に、そのつど全結合剤量に対して、約0.01質量%〜約0.3質量%または約0.1質量%〜約0.2質量%の量で含まれていてよい。
【0082】
商業的フレーク顔料の限定のない例は、BASF Corporationから入手可能なPALIOCROME(登録商標)顔料を含む。
【0083】
下塗り塗料およびモノコート上塗り塗料において利用されうる、他の適当な顔料およびフィラーの限定のない例は、無機顔料、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、黄土、シエンナ、アンバー、ヘマタイト、褐鉄鉱、赤色酸化鉄、赤色透明酸化鉄、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化クロムグリーン、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、シリカ、例えばヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、タルク、バライト、フェロシアン化第二鉄アンモニウム(プルシアンブルー)およびウルトラマリン、ならびに有機顔料、例えば金属化アゾレッドおよび非金属化アゾレッド、キナクリドンレッドおよびキナクリドンバイオレット、ペリレンレッド、銅フタロシアニンブルーおよび銅フタロシアニングリーン、カルバゾールバイオレット、モノアリリドイエローおよびジアリリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ、ナフトールオレンジ等を含む。単数または複数の前記顔料は、好ましくは、樹脂またはポリマー中に、または顔料分散剤、例えば既述された種類の結合剤樹脂とともに、公知方法に従って分散される。一般に、前記の顔料および分散樹脂、ポリマーまたは分散剤は、顔料凝集塊を一次顔料粒子に分解しかつ顔料粒子の表面を分散樹脂、ポリマーまたは分散剤で湿潤させるのに十分に高い剪断下に接触される。凝集塊の破壊および一次顔料粒子の湿潤は、顔料の安定性および発色にとって重要である。顔料およびフィラーは、塗料の全質量に対して、典型的には約40質量%までの量で利用されうる。
【0084】
レオロジー制御剤の組合せは、特に、フレーク顔料を含有する、モノコートの上塗り塗料または下塗り塗料において使用される場合である。モノコート上塗り塗料は、所望の色および仕上げ塗りに対する光沢を提供する最終仕上げ塗料層として施工される、顔料入り塗料である。下塗り塗料は、クリヤコート塗料と一緒に使用され、複合上塗りを提供し、この複合上塗りにおいて、下塗りの下にある層は、所望の色を提供し、かつクリヤコートの上にある層は、仕上げ塗りに対して所望の光沢を提供する。
【0085】
ハイソリッド下塗りおよび単層上塗りに対する特殊なソリッドは、顔料の添加の効果および粘度に対する含量のタイプに基づく色および色強度により変動する。一般に、開示された下塗りは、ASTM 試験方法D2369によって測定された、不揮発性含量を約40質量%〜約55質量%有することができ、典型的には、不揮発性含量を約45質量%〜約50質量%有することができ、当該試験方法において、試験試料は、110℃(230°F)で60分間加熱される。
【0086】
一般に、下地は、プライマー層を施工し、任意にこのプライマー層を硬化させ、次に典型的にはウェットオンウェット法で下塗り層およびクリヤコート層を施工し、および施工した層を硬化させ、任意にプライマー層が未だ硬化していない場合には、プライマー層を下塗り層およびクリヤコート層とともに硬化させるか、またはさらにモノコート上塗り層を施工し、このモノコート上塗り層を硬化させ、再び任意にプライマー層が未だ硬化していない場合には、プライマー層を下塗り層およびクリヤコート層とともに硬化させることによって塗装されうる。硬化温度および硬化時間は、選択される特殊な結合剤に依存して変動しうるが、しかし、本明細書の記載と同様に製造された、典型的な工業用熱硬化性塗料および自動車用熱硬化性塗料は、約105℃〜約175℃の温度で硬化させることができ、および硬化の長さは、通常、約15分〜約60分である。
【0087】
前記塗料は、吹付塗装によって下地上に塗装されうる。静電吹付は、好ましい方法である。前記塗料は、所望の厚さ、典型的にはプライマー層および下塗り層に対して約10〜約40μmならびにクリヤコート層およびモノコート上塗り層に対して約20〜約100μmの厚さの硬化後の膜厚を備えさせるために、1回以上の段階で施工することができる。
【0088】
前記塗料は、金属下地、例えばむき出しのスチール、リン酸塩処理されたスチール、電気メッキされたスチール、またはアルミニウムおよび非金属の下地、例えばプラスチックおよび複合材上に施工されうる。前記下地は、その上に、硬化されたかまたは硬化されていない、既に別の塗装層、例えば電着されたプライマー層、プライマーサーフェイサー層および/または下塗り層を有する前記材料のいずれかであってもよい。
【0089】
前記下地は、電着プライマーで最初に下塗りされうる。電着塗料は、自動車両の塗装処理において使用される、いずれかの電着塗料であることができる。電着塗料の限定のない例は、BASF Corporationによって販売された、CATHOGUARD(登録商標)、例えばCATHOGUARD(登録商標)500を含む。電着塗装浴は、通常、水中または水と有機補助溶剤との混合物中の、イオン安定化を有する主要な被膜形成エポキシ樹脂(例えば、塩を含むアミノ基)を含めて水性分散液または乳濁液を含む。適当な条件下で、例えば熱を適用し、かつこうして被膜を硬化させて、主要な樹脂上で官能基と反応しうる架橋剤は、主に被膜形成樹脂で乳化される。架橋剤の適当な例は、限定なしに、ブロック化されたポリイソシアネートを含む。電着塗料は、通常、1つ以上の顔料、触媒、可塑剤、融合助剤、消泡剤、流れ制御剤、湿潤剤、界面活性剤、UV吸収剤、HLAS化合物、酸化防止剤および他の添加剤を含む。
【0090】
電着塗料は、好ましくは、10〜35μmの乾式膜厚に施工される。施工後、塗装された車体は、前記浴から取り出され、かつ脱イオン水ですすぎ洗いされる。この塗装は、適当な条件下で、例えば約275°F〜約375°F(約135℃〜約190℃)で約15〜約60分間焼き付けることによって硬化されうる。
【0091】
本発明は、さらに、次の実施例において記載される。実施例は、単に例を挙げて分かりやすく説明したものであり、かつ明細書および特許請求の範囲に記載された、本発明の範囲をなんら限定するものではない。全ての「部」は、別記しない限り、質量部である。
【実施例】
【0092】

前記方法は、以下に示すように、複数の例を試験することに使用された:
金属の制御を評価するために、実施例および比較例は、特別な角度で明度を測定することによって、目視的に比較された。効果的な金属制御または金属的外観を有する、塗装されたパネルは、明るい(明色の)「フラッシュ」角度および暗い「フロップ」角度を有する。目視的に、塗装されたパネルを、入射光の直接の反射を見ることができるように、次に少しだけ傾けて見る。これは、フラッシュ角度と呼ばれる。次に、塗装されたパネルを、直接の反射角度から直角に近く、よりいっそう傾けた角度で見ると、前記塗装は、暗く見える。これは、フロップ角度と呼ばれる。塗料層の平面からの角度で明度を測定することは、多角度型分光光度計または多角度型比色計(典型的には、OEM自動塗装用に使用される)を用いて測定される。前記分光光度計において、前記試料の照明は、前記パネルの表面に対して垂直である線から45°離れている。45°の照明角度で、光沢(表面反射)は、反射角度(鏡面反射角度とも呼ばれる)と等しい角度で発生し、および反対の位置の反射角度、すなわち−45°で発生する。分光光度計は、鏡面反射角度に対して記載された様々な立地に位置した検出器を有する。前記例の試験において、前記検出器は、鏡面反射角度から15°〜75°で位置している。明色のメタリック自動車用上塗りの色の標準色許容差が使用された。この測定値は、BASF Corporationから入手可能な商品のShear Silver R99AW010F Basecoatを用いて製造された制御パネルに対する角度で測定される明度から明度の変化率として記録され、メタリック外観は、目視的判断と15°および75°の角度で測定される明度の差を比較する判断との双方で判断される。塗装されたパネルの前面を真っ直ぐに見た場合には、塗装は、最も明色であるはずであり、前記パネルを当該パネルの本来の前面の位置から90°の角度で離れるように動かすと、ますます斜めの角度から見た場合には、塗装は、よりいっそう暗くなるはずである。メタリック外観は、前面の輝度によって判断され(より明色であると、より良好である)、前面から最も離れて見ることができる角度に対して暗さが増し(より暗色であると、より良好である)、前面の明るさとフロップの暗さとの変化がより大きいと、最も大きなトラベル効果またはメタリック効果が提供される。塗装がなおより大きな角度で再びより暗くなる場合であっても、フロップの角度の増加につれて明度がいくらかでも増加することは、望ましいことではなく、目視的なメタリック外観を損なう。目視的に、パネルをよりいっそう斜めに見ると、塗装は、よりいっそう暗くなり、前記制御パネルと比較した際に、0より大きな15°で測定された<dL>が、より明るい前面を示し、かつ0より小さな75°で測定された<dL>がより暗いフロップを示すことは実現しない。15°でのより明るい値および75°でのより暗いフロップは、一般により良好なトラベル外観およびより良好なメタリック外観を示すが、前記塗装が15°と75°との間の角度で明度が増加する望ましくない効果を有しないのであれば、これは望ましくはない。この後者の効果は、パネルを目視的に見ることによって測定されうるか、または間に入る角度で明度を測定することによって測定されうる。
【0093】
ASTM Test Method D2369によって測定された、質量による不揮発性分において、試験試料は、110℃(230°F)で60分間加熱される。
【0094】
実施例1および比較例A〜C
下塗り塗料を第1表中に示した成分を用いて製造した。製造された塗料は、Fisher #2カップを用いて測定された、21秒の吹付粘度に減少され、およびそれぞれの不揮発性含量は、試験試料が110℃(230°F)で60分間加熱される、ASTM Test Method D2369によって測定された。これらの値は、第2表中に記録されている。
【0095】
【表1】
1.Eastman Chemical Companyから得られた(高分子量セルロースアセテートブチレートポリマー、37質量%のブチリル含量、13質量%のアセチル含量、1.5質量%のヒドロキシル含量、Tg 130℃、融点155〜165℃、式Aとして記載された溶液中でASTM Method D1343によって測定された粘度1.9ポアズ)。
2.Fox式を用いて測定された、70℃の理論的TgおよびDSCによって測定された、65.1のTg、不揮発性分1g当たり54mg KOHのヒドロキシル価、および6650ダルトンの数平均分子量を有する、2.2−エチルヘキシルアクリレート2.27質量部と、メチルメタクリレート5.68質量部と、ヒドロキシメチルメタクリレート12.10質量部と、スチレン5.68質量部と、シクロヘキシルメタクリレート73.73質量部と、メチルエチルケトンとn−ブチルアセテートとの混合物中の不揮発性分50%との重合生成物。
3.Aromatic 100中の不揮発性分(NV)75%。同じヒドロキシル官能性アクリルポリマーがそのつど使用される。
4.Nuplex Resin LLCから得られたSETAL 10−1821(固体のポリ尿素粒子2.5質量%を含有する、不揮発性分(NV)上にOH5.4%を有する、僅かに分枝鎖状のポリエステルポリオール)。
【0096】
実施例1ならびに比較例A、BおよびCを用いる塗装されたパネルの製造および試験
実施例1ならびに比較例A、BおよびCのシルバー下塗り塗料を、個別的に4インチ×12インチの下塗りされたスチールパネル上に施工し、例えばそれぞれ2回の下塗りを、自動化された静電施工によって、2回の「塗装」または施工の段階で(ワンコート処理 ベル型、ワンコート処理 Sames社のエア霧化型塗装機でのエア霧化)、これらの塗装段階の間に短い休止またはフラッシュオフを入れて施工した。この湿式下塗りをフラッシュオフさせ(170°F(76.7℃)で4分間のフラッシュオフ)、次に商業的クリヤコート(UREGLOSS(登録商標)R10CG060B、BASF Corporationから入手可能)を、それぞれのパネル上の下塗りの上に2回の塗装でこれらの塗装段階の間に短いフラッシュオフを入れて、第2の最少の塗装後に施工した。次に、下塗り塗料層とクリヤコート塗料層とを一緒に、強制型空気炉内で265°F(129.4℃)で20分間、硬化させた。それぞれ下塗りの例のために製造された2枚のパネルのうちの1枚を、水平位置で前記炉内で硬化させ、2枚のパネルのうちの2枚目を前記炉内で直立で鉛直に近い位置で硬化させた。
【0097】
実施例1および比較例A、BおよびCの下塗り塗料の1つで製造された、それぞれのパネルの試験結果は、次表中に示されている。
【0098】
【表2】
【0099】
第2表中の結果は、実施例1、すなわち固体のポリ尿素粒子と約2000〜約8000の数平均分子量および約50〜約120℃のガラス転移温度を有するアクリルポリマーとの組合せを有する、本発明者の例が対照に対してメタリック外観における改善を提供することを証明する。これは、比較例A(高いTgのアクリルなし)、比較例B(尿素結晶なし)および比較例C(尿素結晶なし、かつCAB 381−0.5なし)から得られた、著しく劣悪な結果に基づくと予想できることではなかった。
【0100】
実施態様の前述の記載は、例を挙げて分かりやすく説明することを目的とした。本発明を余すところなく説明することを意図するものでもないし、本発明を限定することを意図するものでもない。特別な実施態様の個々の要素または特徴は、一般に、特別な実施態様が適用可能である場合には融通が利きかつ選択された実施態様において、詳細に示されていないかまたは説明されていない場合でも、使用可能であることを制限するものではない。同じことは、数多くの方法で変更されてもよい。当該の変更は、本発明を逸脱するものとみなすべきではなく、かつ全ての当該の変更は、本発明の範囲内に含まれることを意図している。