【実施例】
【0063】
本発明は、本発明を限定することを意図されない、実施例および比較例に関してより詳細に今説明される。
【0064】
実施例1
本実施例は、酸化物の観点から質量で90:5:5のセリウム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0065】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0066】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、8.9gの硝酸バリウム(BaOの観点から5.2g)および38.6gの硝酸アルミニウム(Al
2O
3の観点から5.2g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0067】
次に、酸化バリウムおよび酸化アルミニウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、10.8gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0068】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で90:5:5の酸化セリウム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0069】
この複合酸化物粉末の比表面積は、空気中2時間800℃での、または別の方法では2時間900℃でのか焼後にBET法によって測定した。さらに、か焼した複合酸化物を、40kVの管電圧、40mAの管電流、1°/分のスキャン速度、および0.01°のサンプリング間隔でX線回折にかけてBaCeO
3相の存在/不在を確認した。か焼した複合酸化物の(111)面でのCeO
2結晶子サイズは、X線回折パターンのピークの半値幅から、Scherrer方程式を用いて測定した。それらの結果を表1に示す。
【0070】
実施例2
本実施例は、酸化物の観点から質量で85:10:5のセリウム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0071】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0072】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、18.8gの硝酸バリウム(BaOの観点から11.0g)および40.8gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al
2O
3の観点から5.5g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0073】
次に、酸化バリウムおよび酸化アルミニウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、22.8gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0074】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で85:10:5の酸化セリウム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0075】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0076】
実施例3
本実施例は、酸化物の観点から質量で70:20:10のセリウム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0077】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0078】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、45.7gの硝酸バリウム(BaOの観点から26.7g)および99.5gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al
2O
3の観点から13.4g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0079】
次に、酸化バリウムおよび酸化アルミニウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、55.5gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0080】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で70:20:10の酸化セリウム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0081】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0082】
実施例4
本実施例は、酸化物の観点から質量で75:5:20のセリウム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0083】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0084】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、10.6gの硝酸バリウム(BaOの観点から6.2g)および185.6gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al
2O
3の観点から25.0g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0085】
次に、酸化バリウムおよび酸化アルミニウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、12.9gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0086】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で75:5:20の酸化セリウム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0087】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0088】
実施例5
本実施例は、酸化物の観点から質量で78:8:4:5:5のセリウム、ジルコニウム、ランタン、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0089】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0090】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、32.4mlのオキシ硝酸ジルコニウム溶液(ZrO
2の観点から9.6g)、15.8mlの硝酸ランタン溶液(La
2O
3)の観点から4.8g)、10.3gの硝酸バリウム(BaOの観点から6.0g)、および44.5gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al
2O
3の観点から6.0g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0091】
次に、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、および酸化アルミニウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、12.5gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0092】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で78:8:4:5:5の酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0093】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0094】
実施例6
本実施例は、酸化物の観点から質量で85:5:5:5のセリウム、イットリウム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0095】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0096】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、22.0mlの硝酸イットリウム溶液(Y
2O
3の観点から5.5g)、9.4gの硝酸バリウム(BaOの観点から5.5g)、および40.8gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al
2O
3の観点から5.5g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0097】
次に、酸化イットリウム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、11.5gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0098】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で85:5:5:5の酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0099】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0100】
実施例7
本実施例は、酸化物の観点から質量で85:5:5:5のセリウム、ランタン、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0101】
複合酸化物粉末は、硝酸イットリウム溶液を18.1mlの硝酸ランタン溶液(La
2O
3の観点から5.5g)と置き換えたことを除いては、実施例6におけると同じ方法で調製した。得られた複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で85:5:5:5の酸化セリウム、酸化ランタン、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0102】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0103】
実施例8
本実施例は、酸化物の観点から質量で85:5:5:5のセリウム、プラセオジム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0104】
複合酸化物粉末は、硝酸イットリウム溶液を11.3mlの硝酸プラセオジム溶液(Pr
6O
11の観点から5.5g)と置き換えたことを除いては、実施例6におけると同じ方法で調製した。得られた複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で85:5:5:5の酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0105】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0106】
実施例9
本実施例は、酸化物の観点から質量で85:5:5:5のセリウム、ネオジム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0107】
複合酸化物粉末は、硝酸イットリウム溶液を21.4mlの硝酸ネオジム溶液(Nd
2O
3の観点から5.5g)と置き換えたことを除いては、実施例6におけると同じ方法で調製した。得られた複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で85:5:5:5の酸化セリウム、酸化ネオジム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0108】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0109】
実施例10
本実施例は、酸化物の観点から質量で80:10:5:5のセリウム、バリウム、ケイ素、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0110】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0111】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、19.9gの硝酸バリウム(BaOの観点から11.7g)、28.5gのコロイド状シリカ(SiO
2の観点から5.9g)、および43.8gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al
2O
3の観点から5.5g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0112】
次に、酸化バリウム、酸化ケイ素、および酸化アルミニウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、24.3gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0113】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で80:10:5:5の酸化セリウム、酸化バリウム、酸化ケイ素、および酸化アルミニウムであった。
【0114】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0115】
比較例1
本比較例は、酸化物の観点から質量で95:5のセリウムおよびバリウムの複合酸化物に関する。
【0116】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0117】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、8.4gの硝酸バリウム(BaOの観点から4.9g)を添加し、全容積を純水で2Lに調整した。
【0118】
次に、酸化バリウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、10.2gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0119】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で95:5の酸化セリウムおよび酸化バリウムであった。
【0120】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0121】
比較例2
本比較例は、酸化物の観点から質量で90:10のセリウムおよびバリウムの複合酸化物に関する。
【0122】
CeO
2の観点から100gの、そのセリウムイオンの90モル%以上が4価である硝酸セリウム溶液を量り取り、全容積を純水で2Lに調整した。得られた溶液を100℃に加熱し、この温度で30分間保持し、室温まで放冷して、それによってセリウム懸濁液を得た。
【0123】
こうして得られたセリウム懸濁液から母液を除去した後、17.8gの硝酸バリウム(BaOの観点から10.4g)を添加し、全容積を純水で1Lに調整した。
【0124】
次に、酸化バリウムの前駆体を含有するセリウム懸濁液を、120℃で2時間保持し、放冷し、アンモニア水でpH8.5まで中和して沈澱を確認した。さらに、21.6gの重炭酸アンモニウムを添加し、その結果、沈澱物が形成された。
【0125】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけて複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で90:10の酸化セリウムおよび酸化バリウムであった。
【0126】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0127】
比較例3
本比較例は、実施例1とは異なる方法によって合成される、酸化物の観点から質量で90:5:5のセリウム、バリウム、およびアルミニウムの複合酸化物に関する。
【0128】
301.7mlの硝酸セリウム溶液(CeO
2の観点から45g)、4.3gの硝酸バリウム(BaOの観点から2.5g)、および18.4gの硝酸アルミニウム・9水和物(Al
2O
3の観点から2.5g)を純水に溶解させて500mlの水溶液を得た。
【0129】
この溶液を、pHがアンモニウム水で8.0に維持される状態で、室温で30分にわたって、沈澱剤の水溶液、すなわち、純水に溶解された76.2gの重炭酸アンモニウムに加えて全容積を500mlにし、その結果沈澱物が形成された。
【0130】
得られたスラリーをヌッチェ濾過による固液分離にかけてフィルターケーキを得て、それを大気中500℃で10時間か焼して複合酸化物粉末を得た。この複合酸化物粉末をICPによる定量分析にかけてその組成を測定し、組成は、質量で90:5:5の酸化セリウム、酸化バリウム、および酸化アルミニウムであった。
【0131】
得られた複合酸化物粉末の特性を、実施例1におけると同じ方法で評価した。それらの結果を表1に示す。
【0132】
【0133】
表1の結果は、本発明の複合酸化物において、800℃以上でのか焼後の比表面積が著しく改善され、BaCeO
3相の形成が防がれ、そしてCeO
2結晶子サイズが小さく保たれたことを明らかに示す。
【0134】
さらに、本発明の製造方法で、上記の特性を有する複合酸化物が合成され得る。