(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223361
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】活性成分のカプセル化による、ハロゲン化オレフィンを含むポリオールブレンド物の改良された貯蔵寿命
(51)【国際特許分類】
C08G 18/06 20060101AFI20171023BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20171023BHJP
C08G 18/22 20060101ALI20171023BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20171023BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
C08G18/06
C08G18/18
C08G18/22
C08G18/00 J
C08G101:00
【請求項の数】22
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-555684(P2014-555684)
(86)(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公表番号】特表2015-507050(P2015-507050A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2013023974
(87)【国際公開番号】WO2013116416
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】61/593,983
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ビン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エス・コスタ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・アバ
(72)【発明者】
【氏名】スリー・アール・セイシャドリ
【審査官】
久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−337757(JP,A)
【文献】
特表2011−500892(JP,A)
【文献】
特表2002−513045(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/084563(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/137033(WO,A1)
【文献】
特開昭52−109597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00−18/87
C08G 101/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォームプレミックスであって、ポリオール、ポリイソシアネート及びイソシアネートから選択されるフォーム形成成分;カプセル化剤の中にカプセル化された界面活性剤;カプセル化剤の中にカプセル化されたアミン触媒;ヒドロフルオロオレフィン及びヒドロクロロフルオロオレフィンよりなる群から選択されるハロゲン化ヒドロオレフィン発泡剤;及び二酸化炭素発生剤を含む、長い貯蔵寿命/安定性を示す、フォームプレミックス。
【請求項2】
前記カプセル化剤が、熱可塑性若しくは結晶性ポリマーである、請求項1に記載のフォームプレミックス。
【請求項3】
前記結晶性ポリマーが、側鎖結晶性ポリマーである、請求項2に記載のフォームプレミックス。
【請求項4】
前記側鎖結晶性ポリマーが、6〜50個の炭素の置換若しくは非置換側鎖を有するアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルからなる群から選択される、請求項3に記載のフォームプレミックス。
【請求項5】
前記カプセル化剤の中にカプセル化された界面活性剤及び前記カプセル化剤の中にカプセル化されたアミン触媒が、2800μm以下の粒径を有する、請求項1に記載のフォームプレミックス。
【請求項6】
前記熱可塑性若しくは結晶性ポリマーが、30℃〜250℃の転移点を有する、請求項2に記載のフォームプレミックス。
【請求項7】
ヒドロフルオロカーボン、前記発泡剤以外のヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロルエーテル、C1〜C5アルコール、C1〜C4アルデヒド、C1〜C4ケトン、C1〜C4エーテル、ジエーテル、前記発泡剤以外のヒドロクロロフルオロオレフィン、及びそれらの混合物からなるリストより選択される共発泡剤をさらに含む、請求項1に記載のフォームプレミックス。
【請求項8】
アルカリ土類のカルボン酸塩、アルカリのカルボン酸塩、並びに、亜鉛、コバルト、スズ、セリウム、ランタン、アルミニウム、バナジウム、マンガン、銅、ニッケル、鉄、チタン、ジルコニウム、クロム、スカンジウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、及びバリウム並びにそれらの混合物からなる群から選択される金属のカルボン酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択される金属塩をさらに含む、請求項1に記載のフォームプレミックス。
【請求項9】
メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソ−ブタノール、ペンタノール及びイソ−ペンタノールから選択されるアルコールと、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、クエン酸、アゼライン酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から選択される酸との反応生成物であるエステルをさらに含む、請求項1に記載のフォームプレミックス。
【請求項10】
前記アミン触媒が、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、1,3−プロパンジアミン、N’−(3−ジメチルアミノ)プロピル−N,N−ジメチル−、トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,3−プロパンジアミン、N’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−、N,N,N’N’−テトラメチルヘキサンジアミン、N,N’’,N”−トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、1,4−ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)−エチルメチル−アミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)−プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N’,N’’−トリス(3−ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジン、ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン、ジエチル−(α−フェニエチル)アミン、トリ−n−プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルイソプロピルアミン、ジ−t−ブチルアミン、シクロヘキシル−t−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ−(α−フェニルエチル)アミン、トリフェニルメチルアミン、及び1,1−ジエチル−n−プロピルアミン、モルホリン、イミダゾール、ジモルホリノジエチルエーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、n−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル;N,N−ジメチルエタノールアミン;N−エチルモルホリン;N−メチルモルホリン;N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビスアミノエチルエーテル;N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン;N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン;2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール;N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン;及び2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のフォームプレミックス。
【請求項11】
1,2−エポキシブタン、グリシジルメチルエーテル、dl−リモネン、l−リモネン及びd−リモネンから選択される環状テルペン、1,2−エポキシ−2,2−メチルプロパン、ニトロメタン、ジエチルヒドロキシルアミン、アルファメチルスチレン、イソプレン、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、dl−リモネンオキシド、ヒドラジン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノン、カルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸,スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から選択される有機酸、並びにそれらの組合せからなる群から選択される安定剤をさらに含む、請求項1に記載のフォームプレミックス。
【請求項12】
ポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォームであって、ポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム形成成分;カプセル化剤の中にカプセル化された界面活性剤;カプセル化剤の中にカプセル化されたアミン触媒;ヒドロフルオロオレフィン及びヒドロクロロフルオロオレフィンよりなる群から選択されるハロゲン化ヒドロオレフィン発泡剤;及び二酸化炭素発生剤を含む、長い貯蔵寿命/安定性を示すフォームプレミックスから形成される、ポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項13】
前記カプセル化剤が、熱可塑性若しくは結晶性ポリマーである、請求項12に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項14】
前記結晶性ポリマーが、側鎖結晶性ポリマーである、請求項13に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項15】
前記側鎖結晶性ポリマーが、6〜50個の炭素の置換若しくは非置換側鎖を有するアクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルからなる群から選択される、請求項14に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項16】
前記カプセル化剤の中にカプセル化された界面活性剤及び前記カプセル化剤の中にカプセル化されたアミン触媒が、2800μm以下の粒径を有する、請求項12に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項17】
前記熱可塑性若しくは結晶性ポリマーが、30℃〜250℃の転移点を有する、請求項14に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項18】
ヒドロフルオロカーボン、前記発泡剤以外のヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロルエーテル、C1〜C5アルコール、C1〜C4アルデヒド、C1〜C4ケトン、C1〜C4エーテル、ジエーテル、前記発泡剤以外のヒドロクロロフルオロオレフィン、及びそれらの混合物からなるリストより選択される共発泡剤をさらに含む、請求項12に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項19】
アルカリ土類のカルボン酸塩、アルカリのカルボン酸塩、並びに、亜鉛、コバルト、スズ、セリウム、ランタン、アルミニウム、バナジウム、マンガン、銅、ニッケル、鉄、チタン、ジルコニウム、クロム、スカンジウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、及びバリウム並びにそれらの混合物からなる群から選択される金属のカルボン酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択される金属塩をさらに含む、請求項12に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項20】
メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソ−ブタノール、ペンタノール及びイソ−ペンタノールから選択されるアルコールと、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、クエン酸、アゼライン酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から選択される酸との反応生成物であるエステルをさらに含む、請求項12に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項21】
前記アミン触媒が、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、1,3−プロパンジアミン、N’−(3−ジメチルアミノ)プロピル−N,N−ジメチル−、トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,3−プロパンジアミン、N’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−、N,N,N’N’−テトラメチルヘキサンジアミン、N,N’’,N”−トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、1,4−ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)−エチルメチル−アミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)−プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N’,N’’−トリス(3−ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジン、ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン、ジエチル−(α−フェニエチル)アミン、トリ−n−プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルイソプロピルアミン、ジ−t−ブチルアミン、シクロヘキシル−t−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ−(α−フェニルエチル)アミン、トリフェニルメチルアミン、及び1,1−ジエチル−n−プロピルアミン、モルホリン、イミダゾール、ジモルホリノジエチルエーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、n−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、及びビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル;N,N−ジメチルエタノールアミン;N−エチルモルホリン;N−メチルモルホリン;N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビスアミノエチルエーテル;N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン;N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン;2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール;N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン;及び2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【請求項22】
1,2−エポキシブタン、グリシジルメチルエーテル、dl−リモネン、l−リモネン及びd−リモネンから選択される環状テルペン、1,2−エポキシ−2,2−メチルプロパン、ニトロメタン、ジエチルヒドロキシルアミン、アルファメチルスチレン、イソプレン、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、dl−リモネンオキシド、ヒドラジン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノン、カルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸,スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から選択される有機酸、並びにそれらの組合せからなる群から選択される安定剤をさらに含む、請求項12に記載のポリオール、ポリイソシアネート又はイソシアネートフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化オレフィン系発泡剤例えば、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)のHCFO−1233zdを含む熱硬化性フォームブレンド物を安定化させるための方法に関する。より詳しくは、本発明は、カプセル化された触媒のような活性成分及び界面活性剤を使用する、熱硬化性フォームブレンド物を安定化させるための方法に関する。本発明はさらに、プレブレンド配合物及び、得られるポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームにも関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン層の保護のためのMontreal Protocol(1987年10月採択)は,クロロフルオロカーボン(CFC)使用の段階的廃止を義務づけている。オゾン層に対してより「優しい」物質、例えばヒドロフルオロカーボン(HFC)例えば、HFC−134aがクロロフルオロカーボンの代替え物となった。後者の化合物は,温室効果ガスであって,地球温暖化の原因となることが証明されており,Kyoto Protocol on Climate Change(1998年採択)によって規制を受けた。浮かび上がってきた代替え物質のヒドロフルオロプロペンは環境的に受容される、すなわちオゾン層破壊係数(ODP)がゼロで、かつ地球温暖化係数(GWP)が低く、受容可能であることが示された。
【0003】
熱硬化性フォームのために現在使用されている発泡剤としては、比較的に高い地球温暖化係数を有するHFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfcと、可燃性であり、エネルギー効率の低いペンタン異性体のような炭化水素とが挙げられる。したがって、新規な代替え発泡剤が求められている。HFCの代替え物として、ハロゲン化ヒドロオレフィン系物質、例えばヒドロフルオロプロペン及び/又はヒドロクロロフルオロプロペンに関心が寄せられてきている。これらの物質は下層大気中で本来的に化学的に不安定であるために、地球温暖化係数が低く、かつ所望されるオゾン層破壊性能もゼロ又はほとんどゼロとなる。
【0004】
多くの用途において、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームのための成分をプレブレンドされた配合物の形で提供できれば、利便性が良い。最も典型的には、フォーム配合物は、プレブレンドされて二つの成分とする。ポリイソシアネート、及び場合によってはイソシアネートと併存できる粗原料が、第一の成分を構成して、これは一般的に「A」液(A−side)成分と呼ばれている。ポリオール若しくは複数のポリオールの混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、並びにその他のイソシアネート反応性及び非反応性成分が、第二の成分を構成し、これは一般的に「B」液(B−side)成分と呼ばれている。したがって、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームは、A液成分とB液成分とを合わせることによって容易に調製することができるが、それには、少量の調製ではハンドミックスするか、又は好ましくは、マシン混合技術によって、ブロック、スラブ、ラミネート、現場発泡パネル及びその他の物品、スプレー塗布フォーム、フロスなどを形成させる。
【0005】
二成分系、特に、ある種のヒドロハロオレフィン、例えばHFO−1234ze及びHCFO−1233zdを使用する系のB液組成物の貯蔵寿命が短いことが見いだされている。A液成分とB液成分とを合わせることによってフォームを製造する場合は通常、良好なフォームが得られる。しかしながら、ヒドロハロオレフィンを含むポリオールプレミックス組成物(B液)をエージングさせた後でポリイソシアネート(A液)を用いて処理すると、そのフォームは低品質で、さらには、発泡させている途中で崩壊する可能性もある。そのように貧弱なフォーム構造となるのは、ある種の触媒がHFO−1234ze及びHCFO−1233zdも含めたある種のヒドロハロオレフィンと反応して、その結果発泡剤が部分的に分解し、それに続けて、ポリマー性のシリコーン界面活性剤が望ましくない変性を受けるためであると考えられている。
【0006】
この問題を克服するための一つの方法は、発泡剤、界面活性剤、及び触媒を分離し、「A」液成分又は「B」液成分とは別のストリームとして使用して、三ストリーム又は三成分法を使用するものである。しかしながら、そのような配合変更やプロセス変更を必要としない解決法の方が好ましいであろう。B液の中における貯蔵時に、触媒及び界面活性剤のような成分が発泡剤と反応することから保護する技術、例えばその結晶化の性質をその系に合わせて熱的にコントロールすることができるポリマーを使用してカプセル化するような技術を使用するのが、より好ましい方法となり得る。
【0007】
ポリウレタン化学反応のために通常使用される触媒は、二つの大きなカテゴリー、すなわちアミンと、金属化合物とに分類することができる。アミン触媒は、多官能イソシアネートがポリオールと反応してポリウレタンを形成する、ゲル化触媒(すなわち重合)反応を促進するか、又はイソシアネートが水と反応してポリウレア及び二酸化炭素を生成する、発泡触媒(すなわちガス発生)反応を促進するか、に基づいて一般的に選択される。アミン触媒はさらに、イソシアネートの三量化反応を促進させることも可能である。いくつかのアミン触媒は、それら3種の反応のいずれをもある程度促進させるであろうから、それらは、それらがいずれか一つの反応を他の反応よりもどの程度促進させるかに基づいて、多くの場合選択される。
【0008】
米国特許出願公開第2009/0099274号明細書には、発泡系において、ヒドロハロオレフィンとの反応性が低い立体障害アミンを使用することが開示されている。立体障害アミンは、ゲル化触媒となり得ることも知られている。ゲル化触媒は典型的には、発泡反応又はウレア化反応よりも、ゲル化反応又はウレタン化反応に対する触媒作用に高い選択性を有していることを特徴とする三級アミンである。これらの触媒は、高い濃度で水を含む系には貧弱な性能しか期待されないが、その理由は、それらが、水とイソシアネートとの反応を活性化させることができないからである。
【0009】
米国特許出願公開第2009/0099273号明細書には以下の開示がある。「2成分系、特にHFO−1234ze及びHFCO−1233zdを含めたある種のヒドロハロオレフィンを使用しているものの欠点は、B液組成物の貯蔵寿命である。A成分とB成分とを合わせることによってフォームを製造する場合は通常、良好なフォームが得られる。しかしながら、ポリイソシアネートを用いる処理に先立って、そのポリオールプレミックス組成物をエージングさせると、そのフォームは低品質であり、さらに、発泡させている途中で崩壊する可能性もある」。その明細書は、そのB液を安定化させるために非シリコーン系界面活性剤を使用することを開示している。
【0010】
米国特許第6,224,793号明細書には、ポリウレタンを調製するのに有用な活性剤、例えば触媒、硬化剤、又は促進剤をカプセル化して、一液型の硬化可能な組成物を提供することが開示されており、このものは、A液及びB液の二液型で出荷する必要がない。そのカプセル化された活性剤は、所望の温度でその活性剤が放出されるように設計することができる。そこで開示されているカプセル化された活性剤は、周囲条件(約23℃、及び相対湿度約50パーセント)に曝露させた場合に、3日より長い、さらにより好ましくは5日以上の安定性を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、触媒及び界面活性剤のような活性成分をカプセル化させることによって、低GWP発泡剤の存在下でのポリオールブレンド物を安定化させる新規な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
カプセル化された、触媒及び界面活性剤のような活性成分は、従来からの触媒及び界面活性剤よりも、ヒドロハロオレフィンとの反応性が低いということが今や見いだされた。特に、結晶性若しくは熱可塑性のポリマーを使用してカプセル化された触媒は、ポリオールプレミックスのB液の中にハロゲン化オレフィン系の発泡剤を有する熱硬化性フォームブレンド物を安定化させるのに使用することができるということが今や見いだされた。その安定化方法は、プレミックスの貯蔵寿命を延ばし、その結果として得られるフォームのフォーム特性を向上させるということが見いだされた。
【0013】
本発明は、ヒドロハロオレフィン発泡剤及び結晶性若しくは熱可塑性のポリマーの中にカプセル化された活性成分を含む、ポリオールプレブレンド物を目的としている。カプセル化された活性成分の粒径は2,800ミクロン以下であるが、それらの活性成分は、周囲条件下では、その粒子から顕著に抽出されることはない。ポリオールプレブレンド物の中にヒドロハロオレフィンが存在している場合に、その粒子から抽出される活性成分の量が50%以下であれば好ましい。
【0014】
一つの好ましい実施態様においては、そのカプセル化剤が結晶性ポリマーであり、そして、アクリル酸アルキル若しくはメタクリル酸アルキルのポリマー若しくはコポリマーを含む側鎖結晶性(side chain crystallizable)ポリマーであって、そのポリマーが約6〜50個の炭素の置換若しくは非置換の側鎖を有していれば、より好ましい。また別の実施態様においては、その熱可塑性若しくは結晶性ポリマーが、30〜250℃の転移点若しくは融点を有している。さらに別の実施態様においては、カプセル化された反応剤を調製するためのプロセスには次の工程が含まれている:1)活性成分を結晶性若しくは熱可塑性のポリマーと接触させる工程であって、そのポリマーが溶融されており、そして接触条件下ではその活性成分が、非揮発性であるか又は低い揮発性しか有していない工程;2)約2800ミクロン以下の粒子を形成させる工程;及び3)そのコーティングされた粒子を、その表面又は表面に近い部分が急速に固化できるような条件に曝露させる工程。
【0015】
一つの好ましい実施態様においては、それらの活性成分が、アミン、又は有機金属塩、又はシリコーン界面活性剤、及び/又はそれらの混合物である。それらのカプセル化された活性成分は、周囲温度下で優れた安定性を示し、所望の温度では比較的に速い反応性を示す。
【0016】
したがって、カプセル化されたアミン触媒は、ポリオールプレミックスブレンド物の成分として、熱硬化性フォームブレンド物を安定化させるためのプロセスにおいて、そして、そうして得られるポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームにおいて、従来からの触媒例えば、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)及びペンタメチルジエチルトリアミン(PMDETA)の好ましい代替え物である。本発明の方法は、驚くべきことには、プレミックスブレンド物を安定化させることが見いだされると共に、本発明のブレンド組成物が、驚くべきことには、長い貯蔵寿命を有していることも見いだされた。本発明で得られたフォームが、向上したフォーム特性を有していることが見いだされ、また、それらを採用すれば、低いか若しくはゼロのオゾン層破壊係数、より低い地球温暖化係数、低いVOC含量、及び低毒性の要件を満たし、それによって環境に優しいものとなる可能性がある。
【0017】
一つの実施態様においては、本発明は、ハロゲン化ヒドロオレフィン発泡剤、ポリオール、界面活性剤、及びカプセル化された触媒組成物を含むポリオールプレミックス組成物を提供する。また別の実施態様においては、本発明は、ハロゲン化ヒドロオレフィン発泡剤、ポリオール、界面活性剤、及び2種以上のアミン触媒を含むカプセル化された触媒組成物を含むポリオールプレミックス組成物を提供する。
【0018】
その発泡剤には、ハロゲン化ヒドロオレフィン発泡剤と、場合によっては炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル/ジエーテル、若しくはCO
2発生物質、又はそれらの組合せのような共発泡剤とを含んでいてもよい。その界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤若しくは非シリコーン系界面活性剤であってよい。いくつかの実施態様においては、本発明にはさらに、金属塩が含まれていてもよいが、それらは例えば、アルカリ土類のカルボン酸塩、アルカリのカルボン酸塩、並びに、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、スカンジウム(Sc)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)のカルボン酸塩である。それらのカルボン酸塩は、典型的なポリオールプレミックスの中に容易に配合することができる。
【0019】
また別の実施態様においては、本発明は、安定化された熱硬化性フォームブレンド物を提供するが、それに含まれるのは:(a)ポリイソシアネート及び場合によっては、イソシアネートと併存できる粗原料;並びに(b)ヒドロハロオレフィン発泡剤、ポリオール、界面活性剤、及びカプセル化された触媒組成物を含むポリオールプレミックス組成物である。また別の実施態様においては、その安定化された熱硬化性フォームブレンド物の触媒組成物には、2種以上のアミン触媒が含まれる。
【0020】
さらなる実施態様においては、本発明は、熱硬化性フォームブレンド物を安定化させるための方法であるが、それには、(a)ポリイソシアネート、及び場合によっては、イソシアネートと併存できる粗原料;及び(b)ヒドロハロオレフィン発泡剤、ポリオール、界面活性剤、及びカプセル化された触媒組成物を含むポリオールプレミックス組成物を組み合わせることが含まれる。したがって、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームは、A液成分とB液成分とを合わせることによって容易に調製することができるが、それには、少量の調製ではハンドミックスするか、又は好ましくは、マシン混合技術によって、ブロック、スラブ、ラミネート、現場発泡パネル及びその他の物品、スプレー塗布フォーム、フロスなどを形成させる。
【0021】
思いがけないことには、カプセル化されたアミン触媒が、従来からの触媒よりも、ヒドロハロオレフィンとの反応性が低いということも見いだされた。驚くべきことには、カプセル化されたアミン触媒はさらに、他の触媒よりも触媒性能が良好であるということも見いだされた。ポリオールプレミックスブレンド組成物においてカプセル化されたアミン触媒を使用すると、驚くべきことには、延長された貯蔵寿命の安定性を有する熱硬化性のブレンド組成物が生成する。本発明の発明者らはさらに、金属塩、例えば、アルカリ土類のカルボン酸塩、アルカリのカルボン酸塩、並びに亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、スカンジウム(Sc)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)のカルボン酸塩が、良好なフッ化水素酸(HF)捕捉活性を有しており、そして酸素含有アミン触媒の安定化効果を向上させるということも見いだした。例えば、1個又は複数の官能性カルボキシル基を有する金属塩は、HF捕捉剤として採用することができる。そのような金属塩としては、例えば、次のものが挙げられる:ギ酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、オクタン酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、オクタン酸カルシウム、オクタン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、オクタン酸第一スズ、及びジブチルスズジラウレート(DBTDL)。場合によっては、ポリオールブレンド組成物と混合するために、溶媒を使用して金属塩を溶解させてもよい。さらに、ポリオールプレミックスブレンド組成物をポリイソシアネートと混合することによって得られるフォームが、フォームの崩壊がわずかであるか、或いは全くない均質なセル構造を有していることも、思いもよらず、驚くべき事である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ポリウレタンの発泡は、ハロゲン化オレフィン、例えばヒドロクロロフルオロオレフィンの1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(一般的に、HCFO−1233zdと呼ばれている)を使用することによって検討した。ポリウレタンフォームのためのブレンド物には、ポリオール、界面活性剤、アミン触媒、ハロゲン化オレフィン、及び二酸化炭素(CO
2)発生物質が含まれる。驚くべきことには、本発明によるカプセル化されたアミン触媒が、フォームブレンド物の経時的な安定性を向上させるということも今や見いだされた。さらに、そのようにして得られたフォームが、驚くべきことには、フォームの崩壊がわずかであるか、或いは全くない均質なセル構造を有していることも見いだされた。さらに、それらのフォームブレンド物は、金属塩例えばアルカリ土類の塩を使用した場合に、予想外の安定性を示した。
【0023】
理論に拘束される訳ではないが、特にHCFO−1233zdを使用した場合の、二成分系の貯蔵寿命安定性が短縮される問題は、ハロゲン化オレフィンとアミン触媒との反応に関連していると考えられる。その反応によってフッ化水素酸(HF)が生成し、それがインサイチューでシリコーン界面活性剤を攻撃する。この副反応は、水素、フッ素、及びケイ素の核磁気共鳴(NMR)スペクトル、並びにガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)によって確認された。この効果は、HCFO−1233zdのハロゲン化オレフィンのC
1に対するアミン触媒の求核的攻撃として要約することができる。したがって、本発明の実施態様は、HCFO−1233zdのハロゲン化オレフィンのカプセル化されたアミン触媒への反応性を下げることによって、そのような有害な相互作用を抑制している。
【0024】
本発明のポリオールプレブレンド物には、結晶性若しくは熱可塑性のポリマーの中にカプセル化された活性成分を含むカプセル化された活性成分、及びヒドロハロオレフィンが含まれる。カプセル化された活性成分の粒径は2,800ミクロン以下であるが、その中では、それらの活性成分は、周囲条件下では、その粒子から顕著に抽出されることはない。HCFO−1233zdとアミンとの間の予想外の強い相互作用が理由で、ヒドロハロオレフィンがポリオールプレブレンド物中に存在している場合には、その粒子から抽出される活性成分の量は50%以下であるのが好ましい。
【0025】
一つの好ましい実施態様においては、そのカプセル化剤が結晶性ポリマーであり、そして、アクリル酸アルキル若しくはメタクリル酸アルキルのポリマー若しくはコポリマーを含む側鎖結晶性ポリマーであって、そのポリマーが約6〜50個の炭素の置換若しくは非置換の側鎖を有していれば、より好ましい。また別の実施態様においては、その熱可塑性若しくは結晶性ポリマーが、30〜250℃の転移点を有している。本明細書で使用するとき、転移温度/転移点とは、熱可塑性若しくは結晶性ポリマーが変化して、活性成分を放出するようになるような温度を指している。それらの活性成分は、それらの粒子から、放出されても、浸出されてもよい。その結晶性若しくは熱可塑性のポリマーが、狭い温度枠の間で、急速な溶融のための転移温度を横切って、活性成分の放出を急速に起こさせることができるようにするのが好ましい。好ましい温度枠は、30〜110℃の間である。
【0026】
さらに別の実施態様においては、カプセル化された反応剤を調製するためのプロセスには次の工程が含まれている:1)活性成分を結晶性若しくは熱可塑性のポリマーと接触させる工程であって、そのポリマーが溶融されており、そして接触条件下ではその活性成分が、非揮発性であるか又は低い揮発性しか有していない工程;2)約2800ミクロン以下の粒子を形成させる工程;及び3)粒子を、その表面又は表面に近い部分が急速に固化できるような条件に曝露させる工程。
【0027】
好適な熱可塑性ポリマーとしては次のものが挙げられる:ポリスチレン(styrenics)、スチレンアクリロニトリル、低分子量塩素化ポリエチレン、可溶性セルロース系材料、アクリル樹脂、例えばメタクリル酸メチル又は脂環式アクリル酸エステルをベースとするもの。
【0028】
好適な結晶性ポリマーとしては、次のものが挙げられる:ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、フェノキシ熱可塑性プラスチック、ポリ乳酸、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、又は側鎖結晶性ポリマー。より好ましいポリマーとしては、次のものが挙げられる:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、フェノキシ熱可塑性プラスチック、及びポリ乳酸又は側鎖結晶性ポリマー。さらにより好ましい熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、又は側鎖結晶性ポリマーが挙げられ、連鎖アクリル酸エステルポリマーが最も好ましい。結晶性ポリマーは、ホモポリマー、又は2種以上のコモノマーのコポリマー、例えばランダムコポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、及び熱可塑性エラストマーとすることが可能である。結晶性ポリマーの少なくとも一部が、側鎖結晶性(SCC)ポリマーを形成しているのが好ましい。SCCポリマーは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、オレフィン系、エポキシ、ビニル、エステル含有、アミド含有、若しくはエーテル含有モノマーの1種又は複数からのものでよい。そのような好適なポリマー残基としては、そのポリマーの結晶化度が主として、2〜12個、好ましくは2〜8個の炭素原子を含むポリマー骨格から来ているようなものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。そのモノマーの化学式は、CH
2=CHR(ここでRは、水素、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、4−メチルペンチル、ヘキシル、又はヘプチルである)、並びに他のポリマー例えば、ポリエステル、ポリアミド、及びポリアルキレンオキシド、すなわち、ポリテトラヒドロフランとすることができる。DSC融解熱として表した結晶化度は少なくとも10J/gであるが、20J/gであれば好ましい。
【0029】
使用することが可能なSCCポリマー残基としては、公知のSCCポリマー、例えば、1種又は複数のモノマー例えば、置換及び非置換のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フルオロアクリル酸エステル、ビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、α−オレフィン、ρ−アルキルスチレン、アルキルビニルエーテル、アルキルエチレンオキシド、アルキルホスファゼン、及びアミノ酸から誘導されるポリマー;ポリイソシアネート;ポリウレタン;ポリシラン;ポリシロキサン;及びポリエーテル;長鎖の結晶性の基を含むそのようなポリマーすべて、から誘導される残基が挙げられる。好適なSCCポリマーは、例えば以下の文献に記載されている:J.Poly.Sci.,60,19(1962);J.Poly.Sci.(Polymer Chemistry),7,3053(1969),9,1835,3349,3351,3367,10,1657,3347,18,2197,19,1871;J.Poly.Sci.(Polymer Physics Ed.),18,2197(1980);J.Poly.Sci.Macromol.Rev.,8,117(1974);Macromolecules,12,94(1979),13,12,15,18,2141,19,611;JACS,75,3326(1953),76;6280;Polymer J.,17,991(1985);及びPoly.Sci.USSR,21,241(1979)。SCCポリマーには、ポリマー骨格の部分を形成している有機基と、結晶性部分を含む側鎖とが含まれるが、後者は、ポリマー骨格に対して直接か、又は二価の有機若しくは無機の基、例えば、エステル、カルボニル、アミド、炭化水素(例えば、フェニレン)、アミノ、若しくはエーテル結合を介して、又はイオン性の塩結合(例えば、カルボキシアルキルアンモニウム、スルホニウム若しくはホスホニウムイオン対)を介して結合されていてよい。基Cyは、脂肪族であっても、芳香族であってもよく、例えば、少なくとも10個の炭素のアルキル、少なくとも約6個の炭素のフルオロアルキル、又はp−アルキルスチレン(そのアルキルには約6〜約24個の炭素が含まれる)である。SCC残基には、2種以上の異なった、この一般式の繰り返し単位が含まれていてよい。SCCにはさらに、他の繰り返し単位が含まれていてもよいが、ただし、そのような他の単位の量は、その結晶性の基の全重量が、そのブロックの残りのものの重量に少なくとも等しいか、好ましくは2倍となっているのが好ましい。好適なSCC残基には、合計して、その残基の主鎖の少なくとも約5倍の炭素原子を含む側鎖、特には、約12〜約50個、特には約14〜約22個の炭素原子を含む直鎖状のポリメチレン残基、又は6〜50個の炭素原子を含む、直鎖状のペルフルオロ化若しくは実質的にペルフルオロ化されたポリメチレン残基を含む側鎖が含まれる。使用するためのSCC残基を与えうるその他のポリマーとしては、次のものが挙げられる:n−アルキルα−オレフィンのアタクチック及びイソタクチックポリマー;n−アルキルグリシジルエーテルのポリマー;n−アルキルビニルエーテルのポリマー;n−アルキルオキシカルボニルアミド−メタクリル酸エチルのポリマー;アクリル酸n−フルオロアルキルのポリマー;n−アルキルオキサゾリンのポリマー;アクリル酸ヒドロキシアルキル若しくはメタクリル酸ヒドロキシアルキルをアルキルイソシアネートと反応させることによって得られるポリマー;並びに、二官能イソシアネート、アクリル酸ヒドロキシアルキル若しくはメタクリル酸ヒドロキシアルキル、及び一級脂肪族アルコール反応させることによって得られるポリマー。
【0030】
好ましいSCCポリマー残基には、以下のものが含まれる:約30〜約100パーセント、好ましくは約40〜約100パーセントの、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、アルキルオキサゾリン、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル、アルファ−オレフィン、アルキル1,2−エポキシド、及びアルキルグリシジルエーテル(これらにおけるアルキル基は、12〜50個の炭素原子を含むn−アルキル基である)、及びそれらに相当するフルオロアルキルモノマー(それらにおけるサーモアルキル(thermoalkyl)基は、約6〜約50個の炭素原子を含むn−フルオロアルキル基である)からなる群から選択される、少なくとも1種のモノマーから誘導される単位;約0〜約20パーセントの、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、N−アルキルアクリルアミド、アルキルビニルエーテル、及びアルキルビニルエステル(これらにおけるアルキル基は、4〜12個の炭素原子を含むn−アルキル基である)からなる群から選択される、少なくとも1種のモノマーから誘導される単位;並びに、約0〜約15パーセントの、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、及びN−ビニルピロリドンからなる群から選択される、少なくとも1種の極性モノマーから誘導される単位。そのようなSCC残基にはさらに、マトリックスとの相溶性を変化させるため、又はその変性剤を含む反応生成物の弾性率を上げるために、その他のモノマーから誘導される単位が含まれていてもよく、そのようなモノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、モノアクリル官能性ポリスチレンなどが挙げられる。使用される側鎖結晶性ポリマーが、例えば活性水素原子を有するような、官能基を顕著な量で含んでいないのが好ましいが、その理由は、顕著な量の活性水素原子が存在すると、ポリマーの粘度が上昇し、このことが、カプセル化された活性剤粒子を調製するために使用されるプロセスに悪影響を与える可能性があるからである。SCCポリマー残基の数平均分子量は、好ましくは約200,000未満、より好ましくは約100,000未満、特には約50,000未満、より特には約1,000〜約20,000である。(例えば、反応条件や連鎖移動剤の添加を選択することによって)SCCポリマー残基の分子量を調節して、T
mに実質的に変化を与えること無く、付加させた残基の反応性を最適化させることができる。
【0031】
カプセル化された活性剤は以下の手順で調製すればよい:1)カプセル化のための物質を溶融させるには充分であるが、活性剤が蒸発するほどには高くない温度で、カプセル化のための物質の中に、活性剤を分散又は溶解させる工程;2)カプセル化のための物質の中に散在させた活性剤の液滴を形成させる工程;及び3)それらの液滴を冷却させて、カプセル化物質を固化させる工程。場合によっては、そのプロセスにはさらに、次の工程が含まれていてもよい:4)それらの液滴を、活性剤は溶解させるが、カプセル化のための物質は溶解しない溶媒と接触させて、カプセル化物質の表面から活性剤を除去する工程。この最後の工程は、実施しない方が好ましい。このプロセスは米国特許第5,601,761号明細書に記載されている(その特許を、参考として引用し本明細書に組み入れる)。より詳しくは、そのカプセル化剤は、それが液状になる、すなわち溶融するまで加熱する。その後で、活性剤をそのカプセル化剤の中に分散させる。カプセル化剤を溶融させる条件下では、その活性剤が非揮発性であるのが好ましい。その混合物を成形して、好ましくは約2800ミクロン以下の粒子とする。
【0032】
ポリウレタン化学反応のために通常使用される触媒は、一般的には、二つの大きなカテゴリー、すなわちアミンと、金属化合物とに分類することができる。従来からのアミン触媒としては、三級アミン例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリエチレンジアミン(TEDA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、及びジメチルエタノールアミン(DMEA)が挙げられる。アミン触媒は一般的に、それらがゲル化反応を促進させるか、発泡反応を促進させるかを基準にして選択される。ゲル化反応においては、多官能イソシアネートがポリオールと反応して、ポリウレタンを形成する。発泡反応においては、イソシアネートが水と反応して、ポリウレアと二酸化炭素を形成する。アミン触媒はさらに、イソシアネートの三量化反応を促進させることも可能である。これらの反応は、異なった反応速度で起こり、その反応速度は、温度、触媒レベル、触媒のタイプ、及びその他各種の因子に依存する。しかしながら、高品質のフォームを製造するためには、ゲル化と発泡の競争反応の速度を適切にバランスさせなければならない。
【0033】
いくつかの公知のアミン触媒例えば、立体障害アミン触媒は、良好なゲル化反応官能性は有しているものの、発泡反応触媒としてはあまり機能しないということが見いだされている。例えば、テトラメチルブタンジアミン(TMBDA)は、発泡反応よりも、ゲル化反応を優先的に促進させる。他方、ペンタメチルジプロピレントリアミン及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミンは、発泡反応とゲル化反応とのバランスがとれるが、重量基準で言えば、後者よりも前者の方に優勢である。分子構造が、触媒の強度及び選択性に対する手がかりを与える。発泡触媒は一般的に、三級窒素から炭素2個分離れたエーテル結合を有している。その例としては、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル及びN−エチルモルホリンが挙げられる。強力なゲル化触媒には、アルキル置換された窒素を含んでいてよく、例えばトリエチルアミン(TEA)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などである。もっと弱いゲル化触媒には、環置換された窒素を含んでいてよく、例えばベンジルジメチルアミン(BDMA)である。三量化触媒には、トリアジン構造を含んでいてよく、四級アンモニウム塩がそれである。いくつかの用途においては、美的な目的又は環境的な目的で、従来の触媒から、ヒドロキシル基又は活性アミノ水素を含む触媒、例えばN,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル及びN’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンに代替えされる可能性があるが、これらは、反応してポリマーマトリックスの中に組み入れられる。
【0034】
本発明の酸素含有アミン触媒としては、エーテル基及び/又はヒドロキシル基を含むそれらのアミンが挙げられる。例えば、その酸素含有アミン触媒は、アルカノールアミン、エーテルアミン、モルホリン基含有触媒例えばN−アルキル置換されたモルホリンなどであってよい。その触媒には、アミン官能基の形で、1個、2個、3個又はそれ以上の窒素原子が含まれていてよい。一つの実施態様においては、その触媒分子の中に存在しているアミン基の全部が三級アミン基である。その触媒には、一つの実施態様においては、2個、3個又はそれ以上の酸素原子が含まれていてよいが、それらの酸素原子は、エーテル基、ヒドロキシル基、又はエーテル基及びヒドロキシル基両方の形で存在していてもよい。好適な酸素含有アミン触媒としては、次の化学構造に相当する化合物が挙げられる:
R
1R
2N(CH
2)
2X(CH
2)
2Y
式中、R
1とR
2は、同一であるか又は異なっていて、それぞれC
1〜C
6アルキル基例えばメチル、及び/又はアルカノール基例えば−CH
2CH
2OH若しくはCH
2CH(CH
3)OHであり;Xは、O又はNR
3であるか、及び/又はOH末端であってもよいが、ここでR
3は、C
1〜C
6アルキル基例えばメチルであるか、又はアルカノール基例えば、−CH
2CH
2OH若しくはCH
2CH(CH
3)OHであり;そしてYは、OH又はNR
4R
5であるが、ここでR
4及びR
5は、同一であるか又は異なっていて、それぞれC
1〜C
6アルキル基例えばメチル、及び/又はアルカノール基例えば、−CH
2CH
2OH若しくは−CH
2CH(CH
3)OHであるが、ただし、その化合物には、少なくとも1個のエーテル基及び/又はヒドロキシル基が含まれている。
【0035】
酸素含有アミン触媒の例としては以下のものが挙げられる:
ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル;
N,N−ジメチルエタノールアミン;
N−エチルモルホリン;
N−メチルモルホリン;
N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビスアミノエチルエーテル;
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン;
N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン;
2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール;
N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン;及び
2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、並びにそれらの混合物。
【0036】
先にも述べたように、触媒は、ゲル化反応と発泡反応を調節して、バランスをとる機能を果たす。三級アミン触媒は、例えばゲル化、発泡、及び架橋活性のような、それら独自の触媒特性を有している。当業者にはよく理解されるところであるが、それらの触媒活性は、ライズ挙動、発泡効率、成形性、生産性、及び得られるフォームのその他の性質と強い相関がある。
【0037】
アミン触媒の例としては、以下のものが挙げられる:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、1,3−プロパンジアミン、N’−(3−ジメチルアミノ)プロピル−N,N−ジメチル−、トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,3−プロパンジアミン、N’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−、N,N,N’N’−テトラメチルヘキサンジアミン、N,N’’,N”−トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、1,4−ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)−エチルメチル−アミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)−プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N’,N’’−トリス(3−ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N.N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジン、ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン、ジエチル−(α−フェニエチル)アミン、トリ−n−プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルイソプロピルアミン、ジ−t−ブチルアミン、シクロヘキシル−t−ブチルアミン、デ−sec−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ−(α−フェニルエチル)アミン、トリフェニルメチルアミン、及び1,1−ジエチル−n−プロピルアミン。その他のアミンとしては、モルホリン、イミダゾール、エーテル含有化合物が挙げられるが、例えば、ジモルホリノジエチルエーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、n−メチルイミダゾール若しくは1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、及びビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、並びにそれらの組合せである。
【0038】
公知の安定化方法では、フッ化水素酸のための捕捉剤として機能する、各種の安定剤の使用に焦点が合わされてきた。それらの安定剤としては、以下のものが挙げられる:アルケン、ニトロアルカン、フェノール、有機エポキシド、アミン、ブロモアルカン、ブロモアルコール、及び、とりわけアルファ−メチルスチレン。より最近の方法では立体障害アミン及び有機酸の使用に焦点があわされているが、これらでは、触媒活性が犠牲になっている。
【0039】
本発明の発明者らは、カプセル化されたアミン触媒の好適な使用法を今や発見したが、それらは、ハロゲン化オレフィン例えばHCFO−1233zd(E及び/又はZ)及びHFOの1234ze(E及び/又はZ)との反応性が従来からの触媒よりもはるかに小さく、立体障害アミン触媒よりも良好な触媒活性を有していることが見いだされた。本発明の発明者らはさらに、金属塩、例えば、アルカリ土類のカルボン酸塩、アルカリのカルボン酸塩、並びに亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、スカンジウム(Sc)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)のカルボン酸塩が、良好なフッ化水素酸(HF)捕捉活性を有しており、そして酸素含有アミン触媒の安定化効果を向上させるということも見いだした。例えば、1個又は複数の官能性カルボキシル基を有する金属塩は、HF捕捉剤として採用することができる。そのような金属塩としては、例えば、次のものが挙げられる:ギ酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、オクタン酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、オクタン酸カルシウム、オクタン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、オクタン酸第一スズ、及びジブチルスズジラウレート(DBTDL)。
【0040】
本発明の発泡剤には、不飽和ハロゲン化ヒドロオレフィン例えば、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィンなど、特に、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1233zd(E又はZ又はそれらの組合せ)を単独でか、又は1種又は複数の共発泡剤例えば、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)(1233zdを除く)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロエーテル(HFE)、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル/ジエーテル又は二酸化炭素などとの組合せで含んでいる。
【0041】
好適なヒドロフルオロオレフィン類(HFO)は、典型的には3、4、5又は6個の炭素を含み、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ペンタフルオロプロペン例えば1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO 1225ye、E及びZ異性体)、テトラフルオロプロペン例えば1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO 1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO 1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ye)、トリフルオロプロペン例えば3,3,3−トリフルオロプロペン(1243zf)、すべてのテトラフルオロブテン(HFO 1345)、すべてのペンタフルオロブテン異性体(HFO1354)、すべてのヘキサフルオロブテン異性体(HFO1336)、すべてのヘプタフルオロブテン異性体(HFO1327)、すべてのヘプタフルオロペンテン異性体(HFO1447)、すべてのオクタフルオロペンテン異性体(HFO1438)、すべてのノナフルオロペンテン異性体(HFO1429)。HCFO例えば、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、HCFO1223、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテン−2(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロブテン−2(E及びZ異性体)。本発明の好ましい実施態様には、約60℃未満の標準沸点を有する不飽和のハロゲン化ヒドロオレフィンの発泡剤組成物が含まれる。
【0042】
本発明の好ましい発泡剤組成物である、単独又は組合せ物になっているヒドロフルオロオレフィン又はヒドロクロロフルオロオレフィンは、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォームの製造において使用されるポリオール混合物の中で、良好な安定性を示す。
【0043】
好ましい共発泡剤としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:
(a)ヒドロフルオロカーボン、非限定的に挙げれば、例えば:ジフルオロメタン(HFC32);1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125);1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a);1,1,2,2−テトラフルオロタン(HFC134);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a);1,1−ジフルオロエタン(HFC152a);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea);1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)、
(b)ヒドロフルオロオレフィン、非限定的に挙げれば,例えば:テトラフルオロプロペン(HFO1234)、トリフルオロプロペン(HFO1243)、すべてのテトラフルオロブテン(HFO 1345)、すべてのペンタフルオロブテン異性体(HFO1354)、すべてのヘキサフルオロブテン異性体(HFO1336)、すべてのヘプタフルオロブテン異性体(HFO1327)、すべてのヘプタフルオロペンテン異性体(HFO1447)、すべてのオクタフルオロペンテン異性体(HFO1438)、すべてのノナフルオロペンテン異性体(HFO1429)、
(c)炭化水素、非限定的に挙げれば,例えば、ペンタン異性体、ブタン異性体、
(d)ヒドロフルオロエーテル(HFE)例えば、C
4F
9OCH
3(HFE−7100)、C
4F
9OC
2H
5(HFE−7200)、CF
3CF
2OCH
3(HFE−245cb2)、CF
3CH
2CHF
2(HFE−245fa)、CF
3CH
2OCF
3(HFE−236fa)、C
3F
7OCH
3(HFE−7000)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシドデコフルオロヘキサン(HFE 7500)、1,1,1,2,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−ペンタン(HFE−7600)、1,1,1,2,2,3,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(HFE−7300)、エチルノナフルオロイソブチルエーテル/エチルノナフルオロブチルエーテル(HFE 8200)、CHF
2OCHF
2、CHF
2−OCH
2F、CH
2F−OCH
2F、CH
2F−O−CH
3、シクロ−CF
2CH
2CF
2−O、シクロ−CF
2CF
2CH
2−O、CHF
2−CF
2CHF
2、CF
3CF
2−OCH
2F、CHF
2−O−CHFCF
3、CHF
2−OCF
2CHF
2、CH
2F−O−CF
2CHF
2、CF
3−O−CF
2CH
3、CHF
2CHF−O−CHF
2、CF
3−O−CHFCH
2F、CF
3CHF−O−CH
2F、CF
3−O−CH
2CHF
2、CHF
2−O−CH
2CF
3、CH
2FCF
2−O−CH
2F、CHF
2−O−CF
2CH
3、CHF
2CF
2−O−CH
3(HFE254pc)、CH
2F−O−CHFCH
2F、CHF
2−CHF−O−CH
2F、CF
3−O−CHFCH
3、CF
3CHF−O−CH
3、CHF
2−O−CH
2CHF
2、CF
3−O−CH
2CH
2F、CF
3CH
2−O−CH
2F、CF
2HCF
2CF
2−O−CH
3、CF
3CHFCF
2−O−CH
3、CHF
2CF
2CF
2−O−CH
3、CHF
2CF
2CH
2−OCHF
2、CF
3CF
2CH
2−O−CH
3、CHF
2CF
2−O−CH
2CH
3、(CF
3)
2CF−O−CH
3、(CF
3)
2CH−O−CHF
2、(CF
3)
2CH−O−CH
3、及びそれらの混合物;
(e)C1〜C5アルコール類、C1〜C4アルデヒド類、C1〜C4ケトン類、C1〜C4エーテル類及びジエーテル類、並びに二酸化炭素、
(f)HCFO例えば、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及びHCFO1223、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテン−2(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロブテン−2(E及びZ異性体)。
【0044】
したがって本発明は、発泡剤、ポリオール、界面活性剤、及びカプセル化されたアミン触媒を含む触媒組成物を含むポリオールプレミックス組成物を提供する。また別の実施態様においては、本発明は、発泡剤、ポリオール、界面活性剤、及びカプセル化されたアミン触媒を含む触媒組成物を含むポリオールプレミックス組成物を提供するが、ここでその触媒組成物には2種以上のアミン触媒が含まれている。また別の実施態様においては、本発明は、(a)ポリイソシアネート、及び場合によっては、イソシアネートと併存できる粗原料;並びに(b)ポリオールプレミックス組成物を含む安定化された熱硬化性フォームブレンド物を提供する。さらに別の実施態様においては、本発明は、(a)ポリイソシアネート、及び場合によっては、イソシアネートと併存できる粗原料;並びに(b)ポリオールプレミックス組成物を含む熱硬化性フォームブレンド物を安定化させるための方法である。この方法に従った混合物からは、安定な発泡性熱硬化性組成物が製造され、それを使用して、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームを形成させることが可能である。
【0045】
本発明の発泡性組成物には、一般的に気泡構造を有するフォームを形成させることが可能な1種又は複数の成分、及び発泡剤を、本発明においては、典型的には組合せの形で一般的に含んでいる。ある種の実施態様においては、その1種又は複数の成分には、フォームを形成することが可能な熱硬化性組成物及び/又は発泡性組成物を含んでいる。熱硬化性組成物の例としては、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、並びにフェノール系フォーム組成物が挙げられる。そのような熱硬化性フォームの実施態様においては、本発明の組成物の1種又は複数が、発泡性組成物における発泡剤の一部として含まれるか、又は好ましくは、適切な条件下で反応及び/又は発泡してフォーム又は気泡構造を形成することが可能な成分の一つ又は複数を含む、2種以上の発泡性組成物の一部として含まれている。
【0046】
本発明はさらに、本発明の組成物を含む発泡剤を含むポリマーフォーム配合物から調製されるフォーム、好ましくは独立気泡フォームにも関する。さらに他の実施態様においては、本発明は、熱硬化性フォーム例えばポリウレタンフォーム及びポリイソシアヌレートフォーム、好ましくは、軟質若しくは硬質の低密度フォームを含む発泡性組成物を提供する。
【0047】
本発明の発泡剤の組合せを形成させたり、及び/又は発泡性組成物に添加したりする順序と方法が、本発明の運用性には通常影響しないということは、当業者には理解されることであろう。例えば、ポリウレタンフォームの場合においては、発泡剤の組合せの各種の成分、さらには本発明の組成物の成分を、発泡装置への導入より前に混合しないことも、さらにはそれらの成分を、発泡装置の同じ位置に添加しないことも可能である。したがって、ある種の実施態様においては、発泡剤の組合せの1種又は複数の成分を、それらの成分が発泡装置の中に同時に入るか、及び/又はこの方法でより効率的に作用することを期待して、ブレンダーの中に導入するのが望ましいこともあり得る。それにも関わらず、ある種の実施態様においては、発泡剤の組合せの2種以上の成分を前もって組み合わせておき、直接的に、又はプレミックス(後ほどそれを、発泡性組成物の別の部分に添加する)の一部として、発泡性組成物の中に共に導入する。
【0048】
ある種の実施態様においては、b液のポリオールプレミックスには、ポリオール、ケイ素系若しくは非ケイ素系の界面活性剤、アミン系若しくは非アミン系の触媒、難燃剤/抑制剤、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、充填剤、及びその他必要な安定剤/禁止剤が含まれている。ポリオールとしては、以下のものが挙げられる:グリセリンベースのポリエーテルポリオール例えば、Carpol GP−700、GP−725、GP−4000、GP−4520など;アミンベースのポリエーテルポリオール例えば、Carpol TEAP−265及びEDAP−770、Jeffol AD−310など;スクロースベースのポリエーテルポリオール例えば、Jeffol SD−360、SG−361、及びSD−522、Voranol 490、Carpol SPA−357など;マンニッヒベースのポリエーテルポリオール例えばJeffol R−425X及びR−470Xなど;ソルビトールベースのポリエーテルポリオール例えば、Jeffol S−490など;芳香族ポリエステルポリオール例えば、Terate 2541及び3510、Stepanol PS−2352、Terol TR−925など。
【0049】
触媒としては以下のものが挙げられる:N,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMAFE)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PDMAFE)、1,4−ジアザジシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール(DMAFE)、2−((2−ジメチルアミノエトキシ)−エチルメチル−アミノ)エタノール、1−(ビス(3−ジメチルアミノ)−プロピル)アミノ−2−プロパノール、N,N’,N”−トリス(3−ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N.N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N’−ジエチルピペラジンなど。特に、立体障害のある一級、二級又は三級のアミンが有用であり、そのようなものとしては例えば以下のものが挙げられる:ジシクロヘキシルメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルイソプロピルベンジルアミン、メチルシクロペンチルベンジルアミン、イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン、ジエチル−(α−フェニエチル)アミン、トリ−n−プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルイソプロピルアミン、ジ−t−ブチルアミン、シクロヘキシル−t−ブチルアミン、デ−sec−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン、ジ−(α−フェニルエチル)アミン、トリフェニルメチルアミン、及び1,1,−ジエチル−n−プロピルアミン。その他の立体障害のあるアミンとしては、以下のものが挙げられる:モルホリン、イミダゾール、エーテル含有化合物例えばジモルホリノジエチルエーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、イミダゾール、n−メチルイミダゾール若しくは1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ジモルホリノジメチルエーテル、N,N,N’,,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,,N”,N”−ペンタエチルジエチレントリアミン、N,N,N’,,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル、又はそれらの組合せ。
【0050】
非アミン系触媒には、ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、カドミウム、コバルト、鉄、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、チタン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はそれらの組合せを含む有機金属化合物が含まれていてもよい。有機金属化合物の例としては以下のものが挙げられる:第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート(DGTDL)、ジブチルスズメルカプチド、フェニルマーキュリックプロピオネート、鉛オクトエート、酢酸/オクタン酸カリウム、酢酸マグネシウム、チタニルオキサレート、カリウムチタニルオキサレート、ギ酸四級アンモニウム、第二鉄アセチルアセトネートなど、及びそれらの組合せ。
【0051】
触媒の使用レベルは、ポリオールプレミックスの、典型的には約0.1ppm〜6.00重量%、好ましくは約0.5ppm〜4重量%、より好ましくは1ppm〜2重量%の量である。
【0052】
界面活性剤としては、以下のものが挙げられる:ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマー例えば、Goldschmidt製のB8404、B8407、B8409、B8462及びB8465、Air Products製のDC−193、DC−197、DC−5582、及びDC−5598、並びにMomentive製のL−5130、L5180、L−5340、L−5440、L−6100、L−6900、L−6980、及びL6988。非シリコーン系界面活性剤としては、以下のものが挙げられる:スルホン酸の塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジナフチルメタンジススルホン酸、リシノール酸、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪族アルコール、パラフィンオイル、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、ロート油、ピーナッツ油、パラフィン脂肪族アルコール、又はそれらの組合せ。界面活性剤の使用レベルは、典型的には、ポリオールプレミックスの0.4〜6重量%、好ましくは0.8〜4.5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0053】
難燃剤としては以下のものが挙げられる:リン酸トリクロロプロピル(TCPP)、リン酸トリエチル(TEP)、エチルリン酸ジエチル(DEEP)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホン酸ジエチル、臭素化酸無水物ベースのエステル、ジブロモネオペンチルグリコール、臭素化ポリエーテルポリオール、メラミン、ポリリン酸アンモニウム、アルミニウム三水和物(ATH)、リン酸トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)、リン酸トリ(2−クロロエチル)、リン酸トリ(2−クロロイソプロピル)、リン酸/オリゴマー性ホスホン酸クロロアルキル、オリゴマー性リン酸クロロアルキル、ペンタブロモジフェニルエーテルをベースとする臭素化難燃剤、メチルホスホン酸ジメチル、N,Nビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホン酸ジエチル、オリゴマー性ホスホン酸塩、及び上述のものの誘導体。
【0054】
ある種の実施態様においては、酸捕捉剤、ラジカル捕捉剤、及びその他の安定剤/禁止剤が望ましい。安定剤/禁止剤としては以下のものが挙げられる:1,2−エポキシブタン、グリシジルメチルエーテル、環状−テルペン例えば、dl−リモネン、l−リモネン、d−リモネンなど、1,2−エポキシ−2,2−メチルプロパン、ニトロメタン、ジエチルヒドロキシルアミン、アルファメチルスチレン、イソプレン、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、dl−リモネンオキシド、ヒドラジン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ヒドロキノン、有機酸例えばカルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸,スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びそれらの組合せ。所望に応じての、その他の添加剤として以下のものが挙げられる:接着促進剤、静電気防止剤、抗酸化剤、充填剤、加水分解剤、潤滑剤、抗菌剤、顔料、粘度調節剤、及び抗UV剤。それらの添加剤としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:立体障害のあるフェノール、ジフェニルアミン、ベンゾフラノン誘導体、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、ミクロスフィア、シリカ、メラミン、カーボンブラック、ワックス及びセッケンの形態、アンチモン、銅、及びヒ素の有機金属誘導体、二酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、グリコールエーテル、ジメチルAGSエステル、プロピレンカーボネート、ベンゾフェノン、並びにベンゾトリアゾール化合物誘導体。
【0055】
ある種の実施態様においては、エステルを存在させて、ポリオールブレンド物の経時的な安定性を与えるが、エステルとしては、式a)R−C(O)−O−R’のもの(ここで、R及びR’は、C
aH
c-bG
b、式中Gは、ハロゲン例えば、F、Cl、Br、Iであり、a=0〜15、b=0〜31、c=1〜31である)、並びに、ジカルボン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、スルホン酸、スルファミン酸、ヒドロキサム酸、若しくはそれらの組合せからの反応生成物であるエステルが挙げられる。好ましいエステルは、アルコール、例えば(限定される訳ではないが)メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソ−ブタノール、ペンタノール、イソ−ペンタノールなど、及びそれらの混合物と;酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、シアノ酢酸、ピルビン酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、クエン酸、アゼライン酸、トリフルオロアセチック、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など、及びそれらの混合物との反応生成物である。より好ましいエステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチルなど、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0056】
エステルは、発泡剤にあらかじめ混合しておいてもよいし、或いは、当業者には公知の手段によって、発泡剤とは別にポリオールブレンド物の中に直接添加しておいてもよい。エステルの典型的な量は、ポリオールブレンド物の0.1重量%〜10重量%であり、エステルの好ましい量は、ポリオールブレンド物の0.2重量%〜7重量%であり、エステルのより好ましい量は、ポリオールブレンド物の0.3重量%〜5重量%である。
【実施例】
【0057】
実施例1
115のIso指数を有する配合物で試験したが、それらにはそれぞれ以下のものが含まれていた:Rubinate M、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(Huntsmanから入手可能);Jeffol R−425−X、ポリオール(Huntsman製);Voranol 490、ポリオール(Dow Chemical製);Stephan 2352、ポリオール(Stepan製);TCPP、難燃剤(Rhodia製);B8465、界面活性剤(Evonik Corp製);Polycat 8及び5(ペンタメチルジエチレントリアミン、PMDETA)(Air Productsから入手可能)。全発泡レベル(Total blowing level)は20.0mL/gである。表1に、配合物A及びBをまとめた。
【0058】
【表1】
【0059】
A液(MDI)とフレッシュに調製したB液(ポリオール、界面活性剤、触媒、発泡剤、及び添加剤の混合物)とを、ハンドミキサーを用いて混合し、容器に投入して、フリーライズフォームを形成させた。フリーライズフォームを作成する場合には、開放した容器の中に、投入した原料を放置して、膨張させておいた。反応性、密度及びフォーム品質を表2にまとめた。
【0060】
【表2】
【0061】
表2に見られるように、フレッシュに調製したポリオールブレンド物からは、同様のフリーライズ密度及びフォーム品質を有するフォームが得られた。
【0062】
実施例2
次いで、配合物A及びBのB液のポリオールブレンド物を周囲条件下で9ヶ月エージングさせ、フレッシュに作製したフォームと同じプロセスを用いてフォームを作製した。それらの結果を表3にまとめた。
【0063】
【表3】
【0064】
表3に見られるように、エージングさせた、HFC245fa発泡剤を用いたポリオールブレンド物は、フレッシュに作製したフォームと同様のフォームを与えたが、それに対して、エージングさせた、1233zd発泡剤を用いたポリオールブレンド物からは、受容可能なフォームが得られなかった。
【0065】
実施例3
試験したカプセル化材料は、次の3種の側鎖結晶性(SCC)ポリマーであった:Intelimer(登録商標)8600ポリマー、Intelimer(登録商標)13−1ポリマー、及びIntelimer(登録商標)13−6ポリマー(すべて、Air Products and Chemicals Incから入手可能)。それらのSCCポリマーの物理的性質を表4にまとめた。
【0066】
【表4】
【0067】
Intelimer(登録商標)13−1ポリマー及びIntelimer(登録商標)13−6ポリマーはドライアイスを使用した条件下で摩砕して、摩砕の間に溶融しないようにした。ドライアイスを蒸発させてから、その微粉を乾燥器の中で3日間乾燥させてから、その後に使用した。表5に記載したB液組成を有する、一般的なスプレーフォーム配合を使用した。
【0068】
【表5】
【0069】
Jeffol R−470−X及びSG−360は、Huntsmanから入手可能なポリオールであり;Terate 2031は、Invistaから入手可能なポリオールである。Polycat 8及び5(ペンタメチルジエチレントリアミン、PMDETA)並びにDabco T−120は、Air Productsから入手可能な触媒であり、Tegostab B 8465は、Evonik Corpから入手可能な界面活性剤であり、TCPPは、Rhodiaから入手可能な難燃剤であり、Saytex RB−79は、Albemarle Corpから入手可能な難燃剤である。
【0070】
触媒の組合せ、PC5、PC8、及びDabco T−120及び界面活性剤を、3種のポリマー、Intelimer(登録商標)8600ポリマー、Intelimer(登録商標)13−1ポリマー、及びIntelimer(登録商標)13−6ポリマーのそれぞれと組み合わせてプレブレンドしたが、それを表6にまとめた。
【0071】
【表6】
【0072】
ポリマーと添加剤は、シェーカーの中で、室温で一夜かけてブレンドした。その後、そのブレンド物を、表5に従って、3a1〜4の組合せを使用して、B液ブレンド物の中に配合した。B液ブレンド物全体を、シェーカーの中で、室温で一夜かけて混合した。それぞれのサンプルを、重水素化クロロホルム(CDCl
3)溶媒の溶液を用いて希釈した。次いでそのブレンド物について、25℃で
1H NMRスペクトルで分析した。アミン及びケイ素界面活性剤を、TCPPに対して正規化して、定量した。それらの結果を表7にまとめた。
【0073】
【表7】
【0074】
表7から、ポリマーと混合したときに、実施例3a2、3a3及び4の触媒及び界面活性剤の量は、実施例3a1における対照実験とは変わっていないということがわかる。したがって、ポリマーと触媒及び界面活性剤のブレンド物を混合するだけでは、触媒及び界面活性剤のいずれもが、トラップされることも、吸収されることも、或いは吸着されることもない。添加剤をポリマーの中にカプセル化すると、その添加剤の量は、対照よりは低くなるであろう。
【0075】
実施例3b1
触媒の組合せ、PC5、PC8、及びDabco T−120並びに界面活性剤を、ポリマーを用いて、以下の様にしてカプセル化した。
【0076】
Intelimer(登録商標)13−1ポリマーを摩砕してから、50℃で溶融させた。3重量部の溶融ポリマーを、1重量部の触媒と界面活性剤とのブレンド物3a1と混合した。次いでそのブレンド物をシェーカーに投入し、約1時間、その中の温度を55℃に調節してから、温度を急速に下げて10℃として、ポリマーを触媒及び界面活性剤と共に固化させた。摩砕して微粉末としてから、表5に従ってB液ブレンド物を配合し、室温で一夜シェーカーにかけた。
【0077】
実施例3b2
触媒の組合せ、PC5、PC8、及びDabco T−120並びに界面活性剤を、実施例3b1の記載に従ってカプセル化したが、6部のIntelimer(登録商標)13−1を用いた。それらの結果を表8にまとめた。
【0078】
【表8】
【0079】
実施例3b1(3部のポリマー)におけるように、触媒の55.4%がポリオールの中に残り、44.6%がカプセル化された。ポリマーの量を6部にまで増やすと、66.9%の触媒がカプセル化された。それに対して、界面活性剤は、少量しかカプセル化されなかった。
【0080】
実施例4
実施例3b1を24時間エージングさせて実施例4とし、アミン及び/又はシリコーン界面活性剤がカプセルから漏れ出しているかどうかを分析した。結果を表9にまとめた。
【0081】
【表9】
【0082】
表9から、アミン及び界面活性剤のいずれの量も比較的一定に保たれており、したがって、アミン又は界面活性剤のいずれもがポリマーから漏れ出していなかったことがわかる。
【0083】
実施例5
実施例3b1を50℃で溶融させ、30分間で10℃にまで冷却した。そのようにして得られた物質を分析して、カプセル化されたアミン及び界面活性剤が放出されうるかどうかを調べた。それらの結果を表10にまとめた。
【0084】
【表10】
【0085】
表10から、カプセル化されたアミン及び界面活性剤をカプセル化ポリマーの沸点よりも高い温度に加熱してから冷却すると、アミン及び界面活性剤がポリマーから放出されるということがわかる。
【0086】
本明細書においては、特定の実施態様を参照しながら本発明についての例証及び説明をしているが、添付の特許請求項を、それら例示した詳細に限定するということを意図しているものではない。むしろ、これらの詳細に対して当業者が各種の修正を施してもよいが、それらの修正は本出願の主題の精神と範囲の内に依然として入るであろうと考えており、これらの特許請求項はそのように構築されているのである。