【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本開示は、生物学的に活性なペプチドを含有する錯体の組成物、このような組成物の調合物及び使用法を提供するものである。部分的には、本発明は、生物学的に活性なペプチド及びたんぱく質を送達すると共にそのinvivoでの半減期を延長するように構成された、患者への投与用のペプチド錯体に関する。
【0009】
本発明のある実施態様は、一群の新規な長期作用性バソプレッシン類似体、それらの調合物や、これらの化合物を用いて、血液量減少及び血圧低下状況における多様な臓器への血流を増加させたり、血液中の第VIII因子及びプラスミノーゲン活性化因子のレベルを増加させたりするための処置法に関する。より具体的には、本発明は、バソプレッシンと、活性バソプレッシン又はバソプレッシン誘導体の徐放により働くと考えられる当該ポリペプチドの長期作用性類似体を生じるように結合性部分を共有結合させる修飾を施してある、バソプレッシンの生物学的に活性なポリペプチド誘導体とに関する。更に、本発明のバソプレッシン類似体をこのように修飾したことで、血液中への類似体の徐放や、バソプレッシン中へのそれらの活性化に向けて、この類似体を疎水性含有担体ポリマに装薬することが可能になる。本発明の別の局面では、バソプレッシン類似体はミセルを形成するために充分な疎水性鎖を含有するため、さらにゆっくりとした活性化やより長期間の徐放又は半減期が得られている。本開示はまた、血液中へ本類似体をゆっくりと放出させるために金属キレート含有ポリマ担体に装薬することができ、また必要であれば放出後のそれらの活性化を可能にする、本発明の類似体の修飾も提供するものである。
【0010】
本発明の別の実施態様は、ペプチドのカルボキシル又はアミノ末端に付着させた、脂肪酸などのキレート基又はアルキル基を持つペプチドや、それらの調合物及びこれらのペプチドを用いた処置法に関するものである。ある具体的な例では、本発明はGLP-1(7-36)及
びGLP-1(7-37) の類似体に関し、この場合のカルボキシル末端はニトリロ三酢酸又はイミド二酢酸で修飾されることで、GLP-1 は、金属イオン、好ましくはZn又はCu、を含有する担体に非共有結合的に繋がれることとなる。更に、本発明のGLP-1類似体では、当該の類
似体を、血液中にゆっくりと放出させるために、疎水性かつ金属イオン含有性のポリマに装薬することができる。長期作用性のGLP類似体は、糖尿病及び心臓血管疾患の処置に特
に有用である。更に、当該ペプチドをアミノ又はカルボキシル末端でニトリロ三酢酸又はイミド二酢酸を付着させる修飾を施すことにより、血液中への当該類似体の徐放や、必要であれば放出後のプロテアーゼによるそれらの活性化に向けて、本発明のペプチド類似体を金属キレート含有ポリマ担体に装薬することができるようになる。
【0011】
バソプレッシン・アゴニストは内臓及び全身の血管収縮を誘導することで血行力学的平衡を回復し、臓器の血流を増すために治療的に用いられる。しかし、バソプレッシンの使用は、その半減期が24分間と短く、輸注又は反復的かつ頻繁の注射により投与する必要があるという制限がある。長期作用性の合成バソプレッシン類似体は、バソプレッシンの低分泌を特徴とする状態や、(フォン・ウィルブランド病のいくつかの形における)出血、小児による過度の夜尿症や食道静脈瘤において有用である(Barettet al., Gastroenterology 1970;58:926)。理想的には、大変長期作用性のバソプレッシン・アゴニストを1
日に1回投与するというのが、継続的な輸注又は1日に2回の投与に比較して、肝臓移植を待つ患者の延命には有用であろう。本発明は、血液中でゆっくりと活性化して、可能性としては1日に1回、2日毎に1回、3乃至6日毎に1回、又は更に1週間に一回、投与することのできるバソプレッシン類似体に関する。これは、高用量の例えばドーパミン又はノルエピネフリンなどのイノトロープに応答しない敗血症ショック患者の管理のための二次処置として理想的であろう。非収縮性心臓停止においてバソプレッシン類似体はエピネフリンよりも有効であることが示されている(WenzelV, et al. A Comparison of Vasopressin and Epinephrine forOut-of-HospitalCardiopulmonary Resuscitation. N Engl J Med 2004;350:105-13)。全ての研究が一致するわけではないが、院外心臓停止の2006年研究が、この状況下でのバソプレッシン及びその類似体の優位性の証拠に加えられている(Crit Care. 2006 Feb;10(1):R13 (CritCare.2006 Feb;10(1):R13)。この有効性は更に、バソプレッシン類似体が今日存在するものよりも長期作用性である場合には更に増強されるであろう。
【0012】
本発明におけるバソプレッシン類似体はまた、例えば麻酔関連低血圧、不応性敗血症ショック、非収縮性心臓停止、気管支鏡関連出血、火傷移植関連出血、子宮頚の集落形成(子宮頚の新生物形成の場合)関連出血、労働関連血液喪失など、肝臓疾患の関連しない障害にも用いることができる。
【0013】
本発明の実施態様の一つは、類似体としては生物学的に活性であっても、又は活性でなくともよい生物学的に活性なペプチドの脂肪酸含有類似体であり、これは生物学的流体内では内因性酵素により脂肪酸含有部分の除去により容易に活性化することができる。ここで用いられる場合のペプチドという用語は、100個未満のアミノ酸のポリマを意味する。更に、本発明の類似体を選択的には、疎水性基を連結させることで、生物学的流体内においてその後の脂肪酸含有部分の活性化又は除去に向けて当該ペプチド類似体を徐放可能にする、保護性のポリマ又は非ポリマ製担体のコアを含有する担体に装薬することができる。疎水性基を含有する保護性ポリマ担体を含むポリマ担体の一例は、引用をもってここに援用することとする米国特許出願第11/613,183号に解説されている。この装薬は、更に、脂肪酸含有部分の活性化又は除去あるいはその分解を遅らせることで、長期間にわたって生物学的流体内で持続的なレベルのペプチド活性を提供できるようにするものである。加えて、ペプチド又はその類似体を脂肪酸で修飾すると、生物学的流体中での当該類似体の活性化及び分解を遅らせると共に、おそらくは血中での活性化も遅らせることのできるミセルを形成することができる。本発明の別の実施態様では、ペプチドを修飾してキレート分子を含有させることで、配位により固定又はキレートさせた金属イオンを持つポリマ担体への装薬が容易となり、こうして生物学的流体中での当該ペプチドの放出と、それに続く活性化又は分化が鈍化するであろう。ここで用いられる場合の装薬という用語は、引用をもってここに援用することとする米国特許番号第7,138,105B2号に記載されたように、金属の架橋を含む担体へのペプチドの可逆的付着を意味する。
【0014】
我々は、出血性の食道静脈瘤のコントロールに以前用いられていた合成ペプチドであるバソプレッシンの脂肪酸含有類似体が血清中では容易に活性化し得ることを見出した。更に、本発明のバソプレッシン類似体は、疎水性基を含有する保護性ポリマナノ担体に投薬することができる。この装薬は、活性バソプレッシンへの活性化を鈍化させることで、生物学的流体中におけるバソプレッシンのレベルを長期間にわたって維持することができる。加えて、バソプレッシン類似体であるテルリプレッシンを脂肪酸で修飾すると、生物学的流体中での当該類似体の活性化を遅らせ、そして潜在的には血中での活性化も遅らせることができるミセルを形成することができる。
【0015】
バソプレッシン又は他のペプチドのヒスチジン−、イミノ二酢酸−、又はニトリロ二酢酸−含有類似体も、プロテアーゼにより生物学的流体中で容易に活性化させることができ、あるいはこれらは自己活性化性である場合もある。更に、本発明のバソプレッシン類似体を、キレートされた金属を含有する保護性ポリマ製又は非ポリマ製のナノ担体に装薬することができる。この装薬により、バソプレッシンのヒスチジン含有類似体の活性バソプレッシンへの転化を遅らせることができ、また生物学的流体中でのバソプレッシンのレベルを長期間にわたって維持することができる。
【0016】
本発明は一般式:A-(Cm)
x-ペプチド又はペプチド-(Cm)
x-Aを有するペプチド類似体に関し、但しこの場合、式中においてペプチドの左側はN末端であり、そして右側はC末端であり;CmはGly、Ala、Arg、Lys、式(N)
q-Argの部分(但しこの場合の N はいずれかのアミノ酸であり、q は0又は 1である)、あるいは式(N)
q-Lys(但しこの場合のN はいずれかのアミノ酸であり、そしてq は 0 又は 1である)の部分であり、そして x は0乃至6の整数であり;A は6乃至36個の炭素を有するアルキル基を含有するいずれかの化学基又は部分、ニトリロ三酢酸基、イミド二酢酸基、又は式 (Z
yHis
w)
p(但し式中、Zはヒスチジン以外のアミノ酸残基であり、His はヒスチジンであり、yは0乃至6の整数であり、wは1乃至6の整数であり、pは1乃至6の整数であり、そしてxは2乃至6の整数である)の部分であってよい。該ペプチドは5乃至100個のアミノ酸のいずれかの配列又は鎖であってもよい。該鎖内のアミノ酸は20個の天然発生型アミノ酸又はそれらの誘導体のいずれの組合せでもよい。
【0017】
更に本発明は、一般式:A-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-D(SEQID NO: 1)を有するバソプレッシン類似体にも関し、但しこの場合、式中においてAは、3乃至36個の炭素ユニットのアルキル基を含有する化学基又は部分、ニトリロ三酢酸基、イミド二酢酸基、又は(His)
x 基(但しこの場合のxは2乃至6の整数であり;Gly はグリシンであり;Cys はシスチン又はシステインであり;Tyrはチロシンであり;Phe はフェニルアラニンであり;Gln はグルタミンであり;Asnはアスパラギンであり;Proはプロリンであり;Bはリジン又はアルギニンであり;C is グリシン又は又はアラニンであり;Dは NH
2 又は Hである)である。
【0018】
上記の組成物の別の実施態様では、A は式CH
3(CH
2)
n-CO-の直鎖状アルキル基を含有する基であり、但しこの場合のnは4乃至34の整数である。上記の組成物の別の実施態様では、Aは6乃至36個の炭素ユニットを持つ分枝状アルキルカルボニル基である。上記の組成物の別の実施態様では、A はHis)
x-であり、但しこの場合のxは2乃至6の整数である。
【0019】
Aがアルキル基を含有する上記の組成物においては、当該組成物は、いずれのポリマ担体の非存在下でもバソプレッシン類似体の活性化及び分解を遅らせるであろうミセルを形成することができることが理解される。
【0020】
本発明は、疎水性基を持つポリマ担体、あるいは、金属結合ドメイン及びキレートされた金属を共有結合させたポリマ担体、を更に含む上記の組成物にも関する。本発明の目的は、バソプレッシン類似体のヒスチジン部分、ニトリロ三酢酸又はイミド二酢酸部分を、このヒスチジン、ニトリロ三酢酸又はイミド二酢酸と、当該ポリマ担体にキレートされた金属との間の配位結合によりポリマ担体の金属結合ドメインにキレートされた金属に付着させることである。更に本発明の目的は、バソプレッシン類似体のアルキル部分を、当該ポリマ担体の疎水性部分に非共有結合的に付着させることでもある。これらの付着は、invivoにおいて急速な分解から当該類似体を保護するであろうが、バソプレッシン類似体を活性化に向けて循環中への徐放は可能とするであろう。基本的には、本ポリマ担体は、担体に対する当該バソプレッシン類似体の解離定数(Kd)に応じて該類似体を放出することとなる、この類似体にとっての貯蔵庫として作用するであろう。1)それが活性化するプロテアーゼにより、又は2)その生理的受容体により、未結合の類似体量が使い切られるにつれ、より多くの類似体が更なる活性化又は利用に向けて放出されるであろう。その結果、持続的なレベルのバソプレッシンが、長期間にわたって血中で活性のままとなるであろう。
【0021】
概略的には、ある局面では、組成物が提供される。本組成物は一般式A-(Cm)
x-ペプチドの化合物を含み、但しこの場合、式中において該ペプチドは100個を越えないアミノ酸を有する生物学的に活性なペプチドであり;Cmは、Gly部分(この場合のxは0乃至6の整数である)又はAla部分(この場合のxは0乃至6の整数である)又はArg部分(この場合のxは0乃至6の整数である);又はLys 部分(この場合のxは0乃至6の整数である);あるいは式(N)
q-Argの部分(この場合のNはいずれかのアミノ酸であり、そしてqは0又は1であり、そしてxは0乃至6の整数である);あるいは式(N)
q-Lysの部分(この場合のNはいずれかのアミノ酸であり、そしてq は0又は1であり、xは0乃至6の整数であり;
そしてAは6乃至36個の炭素を有するアルキル基であり、そしてxは2乃至6の整数である);あるいはニトリロ三酢酸部分;イミド二酢酸部分;あるいは式(Z
yHis
w)
pの部分(但しこの場合の式中Zはヒスチジン以外のいずれかのアミノ酸残基であり、His はヒスチジンであり、yは0乃至6の整数であり、wは1乃至6の整数であり、pは1乃至6の整数であり;そしてxは2乃至6の整数である)である。代表的な実施態様では、AはHis
6である。いくつかの局面では、本組成物の化合物はCm を含むが、この場合の Cm はGlyであり、そしてA-(Gly)
x は当該ペプチドのN末端のアミド結合を通じて付着さしている。ある実施態様では、Cmは Gly であり、そしてA-(Gly)
xは当該ペプチドに、当該ペプチドのアミノ酸の側鎖を通じて付着している。別の実施態様では、Cm はGlyであり、そしてA-(Gly)
x は当該ペプチドに、C末端のアミド結合を通じて付着している。別の実施態様では、本組成物は A- (Cm)
x-ペプチドの一般式を有することができ、但しこの場合の(Cm)
xは Gly-Gly-Gly-であり;A- は -Gly-Gly-Gly-のアミノ末端に結合したアミドであり;そしてA-Gly-Gly-Gly- は当該ペプチドのいずれかのアミノ基に結合したアミドである。前述の実施態様の一例においては、当該ペプチドは一般式Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-Dを有するバソプレッシン類似体であり、但しこの場合のBは リジン又はアルギニンであり;C はグリシン又はアラニンであり;そしてD はNH
2 又はHである。上述の実施態様の別の例では、当該ペプチドはGLP であり、そしてA-(Cm)
x- は当該ペプチドのN末端に付着していない。更に上述の実施態様には、Aが、式CH
3(CH
2)
n-CO-の直鎖状アルキルカルボニル基(但し式中、nは4乃至34の整数であり、あるいはnは6又は10であり、そしてCmがGly-Gly-Gly である)である組成物も含まれよう。上述の実施態様の別の例では、Aは、カルボニル基の炭素を通じて6乃至36の炭素ユニットを付着させた分枝状アルキルカルボニル基である。ある実施態様では、当該バソプレッシン類似体はCH
3(CH
2)
6CO-OCH(CH
3)CO-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2である。別の実施態様では、当該バソプレッシン類似体はHis-His-His-His-His-His-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2である。
【0022】
別の局面では、上述の組成物は更に、6乃至36個の炭素ユニットの複数のアルキル鎖を持つポリマ担体を含み、但しこの場合、複数のペプチド類似体化合物のアルキルカルボニル基は、疎水性相互作用により、当該ポリマ担体の複数のアルキル鎖に非共有結合的に結合している。別の実施態様では、上述の組成物は更に、共有結合させた金属結合ドメインとキレートさせた金属イオンとを持つポリマ担体を含む。
【0023】
別の局面では、本組成物はポリマ担体を含むが、前記ポリマ担体は、ポリマのコアと;前記ポリマのコアに共有結合した複数の第一疎水性基と;各々がポリマのコアに共有結合し、ポリマのコアの重量からは独立に約400乃至20,000ダルトンの分子量を有する複数の保護側鎖と;各々が第二疎水性基に共有結合したペプチドを含む複数のペプチド類似体であって、前記第一疎水性基と第二疎水性基との間の疎水性相互作用を通じて前記ポリマ担体に非共有結合的に結合している、ペプチド類似体と、を含む。ある実施態様では、前記ペプチドは、一般式:Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-Dを有するバソプレッシン類似体であり、但しこの場合のBはリジン又はアルギニンであり、Cは グリシン又はアラニンであり、そしてDはNH
2 又はHである。上述の実施態様では、疎水性基は式CH
3(CH
2)
n-COの直鎖状アルキルカルボニル基であり、但しこの場合のnは4乃至34の整数である。上述の例示的な実施態様では、当該のバソプレッシン類似体はCH
3(CH
2)
6CO-OCH(CH
3)CO-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2である。別の実施態様では、上述の組成物のペプチドはGLPである。例示的な実施態様では、上述の組成物のペプチド類似体はGLP-Gly-Gly-Gly(但し式中、Gly-Gly-Gly- は当該ペプチドのC末端又は側鎖に付着している)である。
【0024】
別の局面では、本組成物はポリマ担体を含むが、前記ポリマ担体は、ポリマのコアと;前記ポリマのコアに共有結合した複数の第一キレート基であって、前記第一キレート基が遷移金属イオンに配位結合した第一キレート基と;各々がポリマのコアに共有結合し、ポリマのコアの重量からは独立に約400乃至20,000ダルトンの分子量を有する複数の第一保護側鎖と;各々が第二キレート基に共有結合したペプチドを含む複数のペプチド類似体であって、前記遷移金属イオンへの配位結合を通じて前記ポリマ担体に非共有結合的に結合している、ペプチド類似体と、を含む。ある実施態様では、前記ペプチドは、一般式:Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-Dを有するバソプレッシン類似体であり、但しこの場合のBはリジン又はアルギニンであり、Cはグリシン又はアラニンであり、そしてDはNH
2 又はHである。ある例示的な実施態様では、前記バソプレッシン類似体は式His-His-His-His-His-His-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2を有する。別の実施態様では、上述の組成物のペプチドはGLPである。ある例示的な実施態様では、上述の組成物のペプチド類似体はGLP-Gly-Gly-Gly(但し式中、Gly-Gly-Gly-は当該ペプチドのC末端又は側鎖に付着している)である。
【0025】
本発明の別の局面では、上述の組成物は薬学的に許容可能な担体中に調合される。
【0026】
更に別の局面では、本発明は、患者に上述の組成物を投与する方法を提供するものである。ある実施態様では、本発明は、血液量減少、内臓血管拡張、全身性血管拡張、低血圧、食道静脈瘤出血、肝腎障害症候群、アルコール又は肝炎により引き起こされる肝硬変、又は敗血症の処置において上述のバソプレッシン類似体を患者に投与する方法を提供する。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1)
一般式:A-(Cm)
x-ペプチドを有する組成物であって、但し式中:
(a)前記ペプチドは100個以下のアミノ酸を有する生物学的に活性なペプチドであり;
(b)Cmは:
(i)Gly部分(この場合、x は0−6の整数である);
(ii)Ala部分(この場合、x は0−6の整数である);
(iii)Arg 部分(この場合、x は0−6の整数である);
(iv)Lys部分(この場合、x は0−6の整数である);
(v)式(N)
q-Argの部分(この場合、Nはいずれかのアミノ酸であり、そしてqは0又は1であり、そしてxは0−6の整数である);又は
(vi)式(N)
q-Lysの部分(この場合、Nはいずれかのアミノ酸であり、そしてq は 0 又は 1であり、 xは0−6の整数である)であり;そして
(c)Aは:
(i)6乃至36個の炭素ユニットを有するアルキル基、そしてxは2乃至6の整数
であり;
(ii)ニトリロ三酢酸部分;
(iii)イミノ二酢酸部分;又は
(iv)式 (Z
yHis
w)
pの部分(この場合、Z はヒスチジン以外のいずれかのアミノ酸残基であり、Hisはヒスチジンであり、yは0乃至6の整数であり、wは1乃至6の整数であり、p は1乃至6の整数であり、そしてxは2乃至6の整数である)である、組成物。
(項目2)
CmがGlyであり、そしてA-(Gly)
xが前記ペプチドにN末端でのアミド結合を介して付着している、項目1に記載の組成物。
(項目3)
Cm がGlyであり、そしてA-(Gly)
xが前記ペプチドのアミノ酸の側鎖を介して前記ペプチドに付着している、項目1に記載の組成物。
(項目4)
Cm がGlyであり、そしてA-(Gly)
xが前記ペプチドにC末端のアミド結合を介して付着している、項目1に記載の組成物。
(項目5)
一般式:A-(Cm)
x-ペプチドを有する項目1の組成物であって、但し式中、
(a)(Cm)
xがGly-Gly-Gly-であり;
(b)A-が、-Gly-Gly-Gly-のアミノ末端に結合したアミドであり;そして
(c)A-Gly-Gly-Gly-が、前記ペプチドのいずれかのアミノ基に結合したアミドである、
項目1に記載の組成物。
(項目6)
前記ペプチドが、一般式:Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-Dを有するバソプレッシ
ン類似体であって、但し式中、
Cysがシスチン又はシステインであり;
Tyr がチロシンであり;
Phe がフェニルアラニンであり;
Gln がグルタミンであり;
Asnがアスパラギンであり;
Pro がプロリンであり;
B がリジン又はアルギニンであり;
C がグリシン又はアラニンであり;そして
D がNH
2 又はHである、
項目5に記載の組成物。
(項目7)
Aが式CH
3(CH
2)
n-CO-の直鎖状アルキルカルボニル基であり、但しこの場合、nは4乃至34の整数である、項目5に記載の組成物。
(項目8)
A が式CH
3(CH
2)
n-CO-の直鎖状アルキルカルボニル基であり、但しこの場合、nは4乃至34の整数である、項目6に記載の組成物。
(項目9)
nが 6 であり、そしてCmがGly-Gly-Gly-である、項目8に記載の組成物。
(項目10)
n が10であり、そしてCmが Gly-Gly-Gly-である、項目8に記載の組成物。
(項目11)
式:CH
3(CH
2)
6CO-OCH(CH
3)CO-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2を有する、項目6に記載の組成物。
(項目12)
式::His-His-His-His-His-His-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2を有する、項目6に記載の組成物。
(項目13)
A が、前記カルボニル基の炭素に付着した、6乃至36個の炭素ユニットを持つ分枝状アルキルカルボニル基である、項目1に記載の組成物。
(項目14)
A が、前記カルボニル基の炭素に付着した、6乃至36個の炭素ユニットを持つ分枝状アルキルカルボニル基である、項目5に記載の組成物。
(項目15)
A が、前記カルボニル基の炭素に付着した、6乃至36個の炭素ユニットを持つ分枝状アルキルカルボニル基である、項目6に記載の組成物。
(項目16)
6乃至36個の炭素ユニットの複数のアルキル鎖を持つポリマ担体を更に含み、この場合、複数のペプチド類似体のアルキルカルボニル基が、前記ポリマ担体の複数のアルキル鎖に、疎水性相互作用により非共有結合的に結合している、項目6乃至11、13乃至15のいずれかに記載の組成物。
(項目17)
Aがニトリロ三酢酸基又はイミド二酢酸基である、項目1に記載の組成物。
(項目18)
共有結合した金属結合ドメイン及びキレ−トされた金属イオンを持つポリマ担体を更に含む、項目12又は17に記載の組成物。
(項目19)
前記ペプチドがGLP であり、そしてA-(Cm)
x-が前記ペプチドのN末端に付着していな
い、項目1に記載の組成物。
(項目20)
Aが1)ニトリロ三酢酸基、2)イミノ二酢酸基、又は3)(Z
yHis
w)
pを含有する化学基又は部分である、項目19に記載の組成物。
(項目21)
共有結合した金属結合ドメイン及びキレ−トされた金属イオンを持つポリマ担体を更に含む、項目20に記載の組成物。
(項目22)
A が、6乃至36個の炭素ユニットを持つアルキル基を含有する化学基又は部分である、項目19に記載の組成物。
(項目23)
6乃至36個の炭素ユニットの複数のアルキル鎖を持つポリマ担体を更に含む、項目22に記載の組成物。
(項目24)
AがHis
6である、項目1に記載の組成物。
(項目25)
薬学的に許容可能な担体に入れた項目1に記載の組成物を含む医薬組成物。
(項目26)
項目1に記載の組成物を対象に投与するステップを含む方法。
(項目27)
項目19乃至24のいずれかから選択される組成物を対象に投与するステップを含む、前記対象の糖尿病を処置する方法。
(項目28)
対象における血液量減少症、内臓血管拡張、全身性血管拡張、血圧低下、食道静脈瘤出血、肝腎障害症候群、又は敗血症を処置する方法であって、項目1に記載の組成物を前記対象に投与するステップを含み、但し前記ペプチドが式:Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-Dのバソプレッシン類似体であり、但し式中、
Cysがシスチン又はシステインであり;
Tyr がチロシンであり;
Pheがフェニルアラニンであり;
Gln がグルタミンであり;
Asn がアスパラギンであり;
Pro がプロリンであり;
Bがリジン又はアルギニンであり;
C がグリシン又はアラニンであり;そして
D がNH
2又はHである、
方法。
(項目29)
A が式CH
3(CH
2)
n-CO-を持つ直鎖状アルキルカルボニル基であり、この場合nが4乃至34の整数である、項目28に記載の方法。
(項目30)
(Cm)
xがGly-Gly-Gly-である、項目28に記載の方法。
(項目31)
血液量減少症又は血圧低下が処置されようとする、項目28に記載の方法。
(項目32)
血圧低下が穿刺術を原因とする、項目31に記載の方法。
(項目33)
食道静脈瘤出血が処置されようとする、項目28に記載の方法。
(項目34)
肝腎障害症候群が処置されようとする、項目28に記載の方法。
(項目35)
敗血症が処置されようとする、項目28に記載の方法。
(項目36)
肝腎障害症候群が肝硬変により引き起こされる、項目28に記載の方法。
(項目37)
肝硬変がアルコ−ル又は肝炎により引き起こされる、項目36に記載の方法。
(項目38)
(a)
(i)ポリマのコア;
(ii)前記ポリマのコアに共有結合した複数の第一疎水性基;
(iii)複数の保護側鎖であって、各々が前記ポリマのコアに共有結合しており、前記ポリマのコア重量とは独立に約400乃至20,000ダルトンの分子量を有する、複数の保護側鎖;
を含むポリマ担体と:
(b)各々が第二疎水性基に共有結合したペプチドを含む、複数のペプチド類似体と
を含み、この場合、前記ペプチド類似体は前記ポリマ担体に、前記第一疎水性基及び前記第二疎水性基間の疎水性相互作用を介して非共有結合的に結合している、
組成物。
(項目39)
前記ペプチドが一般式:Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-Dを有するバソプレッシン
類似体であり、但し式中、
Cysがシスチン又はシステインであり;
Tyr がチロシンであり;
Phe がフェニルアラニンであり;
Gln がグルタミンであり;
Asn がアスパラギンであり;
Pro がプロリンであり;
B がリジン又はアルギニンであり;
C がグリシン又はアラニンであり;そして
D がNH
2又はHである、
項目38に記載の組成物。
(項目40)
前記疎水性基が式CH
3(CH
2)
n-CO-を持つ直鎖状アルキルカルボニル基であり;但し式中
、nが4乃至34の整数である、項目38に記載の組成物。
(項目41)
式:CH
3(CH
2)
6CO-OCH(CH
3)CO-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2を有する項目40に記載の組成物。
(項目42)
前記ペプチドがGLPである、項目38に記載の組成物。
(項目43)
前記ペプチド類似体がGLP-Gly-Gly-Glyであり、但しこの場合、Gly-Gly-Gly- は前記ペプチドのC末端又は側鎖に付着している、項目38に記載の組成物。
(項目44)
(a)
(i)ポリマのコア;
(ii)前記ポリマのコアに共有結合した複数の第一キレ−ト基であって、遷移金属イオンに配位結合した第一キレ−ト基;
(iii)複数の第一保護側鎖であって、各々が前記ポリマのコアに共有結合すると共に前記ポリマのコア重量とは独立に約400乃至20,000ダルトンの分子量を有する、第一保
護側鎖;
を含むポリマ担体と;
(b)各々が第二キレ−ト基に共有結合したペプチドを含む複数のペプチド類似体であって、前記ポリマ担体に、前記遷移金属イオンへの配位結合を介して非共有結合的に結合している、ペプチドの類似体と
を含む組成物。
(項目45)
前記ペプチドが一般式: Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-B-C-Dを有するバソプレッシン類似体であり、但し式中、
Cys がシスチン又はシステインであり;
Tyr がチロシンであり;
Pheがフェニルアラニンであり;
Gln がグルタミンであり;
Asn がアスパラギンであり;
Pro がプロリンであり;
Bがリジン又はアルギニンであり;
C がグリシン又はアラニンであり;そして
D がNH
2又はHである、
項目44に記載の組成物。
(項目46)
前記ペプチド類似体が式:
His-His-His-His-His-His-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2
を有する、項目44に記載の組成物。
(項目47)
前記ペプチド類似体が式:
His-His-His-His-His-His-Gly-Gly-Gly-Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Lys-Gly-NH
2を有する、項目44に記載の組成物。
(項目48)
前記ペプチドがGLPである、項目44に記載の組成物。
(項目49)
前記ペプチド類似体がGLP-Gly-Gly-Glyであり、但しこの場合、Gly-Gly-Gly- が前記ペプチドのC末端又は側鎖に付着している、項目44に記載の組成物。
【0027】
引用による援用
本明細書で言及された全ての公開文献、特許、及び特許出願は、各個々の公開文献、特許、又は特許出願を具体的かつ個別に、引用をもって援用することを示唆した場合と同程度に、引用をもってここに援用されたものである。