特許第6223380号(P6223380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000002
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000003
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000004
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000005
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000006
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000007
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000008
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000009
  • 特許6223380-中継装置及びプログラム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223380
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】中継装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   G06F11/07 166
   G06F11/07 140A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-76447(P2015-76447)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2016-197309(P2016-197309A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 仁
(72)【発明者】
【氏名】田畠 広泰
【審査官】 大塚 俊範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−204063(JP,A)
【文献】 特開2009−211658(JP,A)
【文献】 特開2009−176203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G06F 11/30−11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の機器が正常か異常かを判定するための判定ルールを記憶する判定ルール記憶手段と、
前記機器の監視情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された監視情報を前記判定ルール記憶手段に記憶された判定ルールと照合することで前記機器の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段により異常が検出された場合、その異常に関する異常情報を、前記機器の監視センターへネットワークを経由して送信する異常情報送信手段と、
前記判定ルール記憶手段に記憶されている判定ルールを、他の施設に設置されている中継装置から取得した判定ルールで更新する更新手段と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項2】
判定ルールを共有する他の施設それぞれに設置されている中継装置の識別情報を記憶する中継装置情報記憶手段を有し、
前記更新手段は、前記判定ルール記憶手段に記憶されている判定ルールを、前記中継装置情報記憶手段に識別情報が記憶されている中継装置から取得した判定ルールで更新することを特徴とする請求項に記載の中継装置。
【請求項3】
前記取得手段により取得された監視情報に基づき当該監視情報が生成されたときの前記機器の状態を推定する推定手段を有し、
前記判定ルール記憶手段には、前記機器の状態毎に設定された判定ルールが記憶されており、
前記異常検出手段は、前記推定手段により推定された前記機器の状態に対応した判定ルールを用いて異常を検出することを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項4】
監視対象の機器が正常か異常かを判定するための判定ルールを記憶する判定ルール記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、
前記機器の監視情報を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された監視情報を前記判定ルール記憶手段に記憶された判定ルールと照合することで前記機器の異常を検出する異常検出手段、
前記異常検出手段により異常が検出された場合、その異常に関する異常情報を、前記機器の監視センターへネットワークを経由して送信する異常情報送信手段、
前記判定ルール記憶手段に記憶されている判定ルールを、他の施設に設置されている中継装置から取得した判定ルールで更新する更新手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置及びプログラム、特に監視センターがネットワークを介して監視する機器側に配設される中継装置の機能に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の施設内に設置された空調や照明等の機器を、ネットワークを介して遠隔地の監視センターから監視することは従来から行われている。例えば、監視センターがネットワークを介して各設備機器から当該設備機器の状態を示す情報等の監視情報を収集し、その監視情報を分析して異常を検知する。
【0003】
その他にも、監視対象の機器において監視機能を稼動させる技術が提案されている(例えば特許文献1)。更に、監視対象機器のアプリケーションが動作するオペレーティングシステム(OS)とは別に監視機能専用のOSを立ち上げて監視させる技術が提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4572251号明細書
【特許文献2】特開2005−115751号公報
【特許文献3】特開2004−54357号公報
【特許文献4】特開2003−143181号公報
【特許文献5】特開2011−188450号公報
【特許文献6】特開2006−222649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、監視センターからネットワークを介して監視を行う場合、監視対象の設備機器が多数存在するとネットワーク通信量が膨大になる。また、設備機器の機種が多数存在すると各設備機器のハードウェア構成、ソフトウェア構成、更に通信仕様等に適合させなければならず、負荷は膨大になる。
【0006】
機器が設置された施設側にて監視する上記特許文献2,3に記載された技術では、このような問題は解消しうる。しかしながら、特許文献2では、OS等の基本ソフトウェアに障害が発生すると監視機能を正常に機能させることはできない。これに対し、特許文献3では、基本ソフトウェアに障害が発生しても監視機能を継続して発揮させることは可能であるかもしれない。しかしながら、機器のハードウェアに障害が発生すると、監視機能を正常に機能させることはできなくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、監視センターに負荷をかけることなく、また監視対象機器のハードウェアに異常が発生した場合でも監視対象の機器を確実に監視できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る中継装置は、監視対象の機器が正常か異常かを判定するための判定ルールを記憶する判定ルール記憶手段と、前記機器の監視情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された監視情報を前記判定ルール記憶手段に記憶された判定ルールと照合することで前記機器の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段により異常が検出された場合、その異常に関する異常情報を、前記機器の監視センターへネットワークを経由して送信する異常情報送信手段と、前記判定ルール記憶手段に記憶されている判定ルールを、他の施設に設置されている中継装置から取得した判定ルールで更新する更新手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、判定ルールを共有する他の施設それぞれに設置されている中継装置の識別情報を記憶する中継装置情報記憶手段を有し、前記更新手段は、前記判定ルール記憶手段に記憶されている判定ルールを、前記中継装置情報記憶手段に識別情報が記憶されている中継装置から取得した判定ルールで更新することを特徴とする。
【0012】
また、前記取得手段により取得された監視情報に基づき当該監視情報が生成されたときの前記機器の状態を推定する推定手段を有し、前記判定ルール記憶手段には、前記機器の状態毎に設定された判定ルールが記憶されており、前記異常検出手段は、前記推定手段により推定された前記機器の状態に対応した判定ルールを用いて異常を検出することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプログラムは、監視対象の機器が正常か異常かを判定するための判定ルールを記憶する判定ルール記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、前記機器の監視情報を取得する取得手段、前記取得手段により取得された監視情報を前記判定ルール記憶手段に記憶された判定ルールと照合することで前記機器の異常を検出する異常検出手段、前記異常検出手段により異常が検出された場合、その異常に関する異常情報を、前記機器の監視センターへネットワークを経由して送信する異常情報送信手段、前記判定ルール記憶手段に記憶されている判定ルールを、他の施設に設置されている中継装置から取得した判定ルールで更新する更新手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、監視センターに負荷をかけることなく、また監視対象機器のハードウェアに異常が発生した場合でも監視対象の機器を確実に監視することができる。
【0015】
また、記憶している判定ルールを外部から更新することができる。
【0016】
また、判定ルールを共有する施設間で判定ルールを同一内容に設定することができる。
【0017】
また、推定した機器の状態に応じた判定ルールを用いることによって機器の異常の検出精度を向上させることができる。
【0018】
また、監視情報から機器の異常であると即座に判断できない場合に限って監視情報を監視センターへ送信し、機器が異常かどうかの判断を委ねるようにしたので、機器の異常であると即座に判断できないときに中継装置にかかる負荷の増大を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1におけるゲートウェイ装置を含む監視システムの全体構成の一例を示した図である。
図2】実施の形態1におけるゲートウェイ装置のハードウェア構成図である。
図3】実施の形態1におけるゲートウェイ装置のブロック構成図である。
図4】実施の形態1におけるゲートウェイ装置が実施する監視処理を示したフローチャートである。
図5】実施の形態2におけるゲートウェイ装置のブロック構成図である。
図6】実施の形態3におけるゲートウェイ装置のブロック構成図である。
図7】実施の形態4におけるゲートウェイ装置のブロック構成図である。
図8】実施の形態4におけるゲートウェイ装置が実施する監視処理を示したフローチャートである。
図9】実施の形態5におけるゲートウェイ装置が実施する監視処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置を含む監視システムの全体構成の一例を示した図である。本実施の形態における監視システムは、ゲートウェイ装置10が持つ機能に特徴を有している。図1には、監視センター1に設置された監視サーバ2と、ビル3に設置された機器4、設備7及びゲートウェイ装置10と、が示されている。監視サーバ2とゲートウェイ装置10は、インターネット等の外部のネットワーク5により接続される。また、ゲートウェイ装置10と機器4は、LAN等のビルの内部に構築されたネットワーク6により接続される。機器4は、電気設備等の1又は複数の設備7を接続し、測定値、設定値等の信号データやオン/オフ等の制御データ、あるいは警報データ等を設備7から収集し蓄積する管理装置やコントローラ等により実現される。
【0022】
監視センター1は、監視サーバ2を用いて、ビル3に設置された設備7の保守管理等のために機器4からデータを取得する。なお、監視センター1は、1又は複数のビル3に設置された監視対象の機器4を監視するが、監視内容は各ビル3とも共通でよいので便宜的に1つのビル3のみ図示した。また、ネットワーク6には、複数の機器4が接続されているかもしれないが、各機器4とも同じように監視すればよいので便宜的に1台のみ図示した。
【0023】
図2は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のハードウェア構成図である。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、コンピュータを搭載し、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、ゲートウェイ装置10は、図2に示したようにCPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ(HDD)34、通信手段として設けられ、外部ネットワーク接続用の外部ネットワークインタフェース(IF)35及び内部ネットワーク接続用の内部ネットワークインタフェース(IF)36を内部バス37に接続して構成される。なお、図示していないが、環境設定等のためにコンピュータを接続可能なインタフェースを設けてもよい。
【0024】
図3は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のブロック構成図である。なお、本実施の形態において説明に用いない構成要素に関しては図から省略している。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、下位通信部11、監視情報取得部12、異常検出部13、異常通知部14、上位通信部15、監視情報記憶部21及び判定ルール記憶部22を有している。下位通信部11は、内部のネットワーク6を介して機器4との間でデータ通信を行う。上位通信部15は、外部のネットワーク5を介して監視サーバ2との間でデータ通信を行う。監視情報取得部12は、機器4の監視情報を、下位通信部11を介して取得すると、監視情報記憶部21に格納する。異常検出部13は、取得手段により取得され監視情報取得部12に格納された監視情報を判定ルール記憶部22に記憶された判定ルールと照合することで機器4の異常を検出する。異常通知部14は、異常検出部13により異常が検出された場合、その異常に関する異常情報を監視サーバ2へネットワーク5を経由して送信することで機器4の異常を通知する。
【0025】
監視情報記憶部21には、参照することで機器4の異常を検出しうる情報が監視情報として保存される。本実施の形態では、監視情報として接続情報、リソース情報、ログ情報及びハードウェア情報を取り扱う。
【0026】
接続情報には、機器4との接続可否を示すフラグ情報、接続要求に対する応答情報及び応答時間等が含まれる。リソース情報には、機器4のCPU、メモリ、ディスクの使用率等が含まれる。ログ情報には、監視サーバ2へのアクセスログ、機器4のHDD等のデバイスログ、機器4で動作するアプリケーションのログ等が含まれる。ハードウェア情報には、機器4のHDDのSMART(Self−Monitoring,Analysis and Reporting Technology)、マザーボードのセンサ値等が含まれる。もちろん、監視情報の種類としてこれに限定する必要はない。例えば、計測データ値や値の遷移等を分析することで異常を検出できる場合もあるので、計測データそのものを監視情報として取り扱うようにしてもよい。
【0027】
判定ルール記憶部22には、機器4が正常か異常かを判定するための基準となる閾値や範囲等により表される指標が判定ルールとして予め設定登録される。
【0028】
ゲートウェイ装置10における各構成要素11〜15は、ゲートウェイ装置10に搭載されたコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU31で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部21〜22は、ゲートウェイ装置10に搭載されたHDD34にて実現される。あるいは、RAM33又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0029】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0030】
次に、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10が実施する監視処理について図4に示したフローチャートを用いて説明する。ゲートウェイ装置10では、監視処理用のアプリケーションをRAM33に常駐させており、機器4の監視を常時行っている。
【0031】
監視情報取得部12は、機器4の監視情報を取得すると、これを監視情報記憶部21に保存する(ステップ101)。監視情報は、基本的には定期的に収集されるが、異常発生等のイベントが発生した時点で不定期に収集される場合もある。前述した接続情報は、接続要求を機器4に、例えば1時間毎に送ることにすると、1時間に1回の周期で収集される。リソース情報は、機器4から数秒という短周期で収集することができるが、例えば、1時間毎に最大値、最小値、平均値等を求めて監視情報として監視情報記憶部21に保存するようにしてもよい。ログ情報及びハードウェア情報は、例えば1日に1回収集するようにしてもよい。
【0032】
以上のようにして、監視情報が監視情報記憶部21に保存されると、異常検出部13は、監視情報を判定ルールと照合することで、機器4に異常が発生しているかどうかを判定する(ステップ102)。接続情報の場合、接続が正常にできない場合、応答コードが異常を示すコードデータの場合、応答時間が所定の閾値以上に長い場合は、異常と判定する。リソース情報及びハードウェア情報は、判定ルールに予め設定された閾値との比較、あるいは正常と推測される範囲と比較することで正常又は異常と判定する。ログ情報は、ログの内容を参照することで異常の発生の有無を検出できる。
【0033】
監視情報を判定ルールと照合した結果、機器4の異常が検出されなかった場合(ステップ103でN)、異常検出部13は、ステップ101に戻り、以降の監視情報の取得に戻る。このとき、正常、異常の判定に用いた監視情報を監視情報記憶部21から削除してもよい。一方、異常が検出された場合(ステップ103でY)、異常検出部13は、検出した異常に関する情報、具体的には、異常が検出された機器4の識別情報、異常発生日時、異常の内容等、異常の分析に必要な情報を含む異常検出情報を生成する(ステップ104)。そして、異常通知部14は、異常検出部13により生成された異常検出情報を上位通信部15に送信させることで、異常の検出を監視サーバ2に通知する(ステップ105)。
【0034】
本実施の形態によれば、機器4のハードウェアに異常が発生した場合でも、ゲートウェイ装置10がその異常を検出することができるので、その発生した異常を監視サーバ2に知らせることができる。また、異常の検出に要する処理を監視サーバ2に一切させないので、監視サーバ2における処理負荷を大幅に軽減することができる。更に、監視サーバ2に通知する情報は、検出した異常に関する情報だけなので、ネットワーク通信量も削減することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、監視情報を機器4から直接取得するようにしたが、例えば、別途用意した監視情報記憶手段から間接的に取得するようにしてもよい。
【0036】
実施の形態2.
図5は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のブロック構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、実施の形態1に示した構成に、判定ルール更新部16を設けた構成を有している。判定ルール更新部16は、判定ルール記憶部22に記憶されている判定ルールを、上位通信部15を介して外部から取得した判定ルールで更新する更新手段として設けられている。ここでいう「外部」というのは、ビル3の外部であり、ネットワーク5を介して通信可能な装置を意味している。本実施の形態では、監視サーバ2を想定している。
【0037】
すなわち、上位通信部15が監視サーバ2から送信されてきた判定ルールを受信すると、判定ルール更新部16は、その受信された判定ルールを上位通信部15から取得し、その取得した判定ルールで判定ルール記憶部22に記憶されている判定ルールを更新する。判定ルールの送信元は、判定ルールに付加されている送信元の識別情報によって判断してもよい。
【0038】
本実施の形態によれば、ゲートウェイ装置10に設定されている判定ルールを監視サーバ2から更新することができる。つまり、機器4の保守員等は、ビル3へ出動することなく監視センター1から判定ルールを更新することができる。
【0039】
実施の形態3.
図6は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のブロック構成図である。なお、実施の形態2と同じ構成要素には同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、実施の形態2に示した構成に、ゲートウェイ装置(GW)情報記憶部23を設けた構成を有している。ゲートウェイ装置情報記憶部23は、判定ルールを共有する他のビルそれぞれに設置されているゲートウェイ装置の識別情報を記憶する中継装置情報記憶手段である。上記実施の形態2では、「外部」として監視サーバ2を想定したのに対し、本実施の形態では、他のビルに設置されているゲートウェイ装置を想定している。
【0040】
本実施の形態における動作は、基本的には実施の形態2と同じでよいが、判定ルールの送信元が監視サーバ2ではなく他のビルに設置されたゲートウェイ装置である点が実施の形態2と異なる。
【0041】
例えば、上記実施の形態2のように監視サーバ2から送信されてきた判定ルールで自機の判定ルールを更新したゲートウェイ装置は、ブロードキャスティングにより、あるいは、自機のゲートウェイ装置情報記憶部23に識別情報が設定登録されているゲートウェイ装置に対して、更新した判定ルールを送信する。
【0042】
外部から送信されてきた判定ルールを取得すると、判定ルール更新部16は、その判定ルールの送信元の識別情報を、ゲートウェイ装置情報記憶部23に記憶されている識別情報と照合する。そして、一致する識別情報がゲートウェイ装置情報記憶部23に登録されていれば、判定ルール更新部16は、他のゲートウェイ装置から送信されてきた判定ルールであると判断して、その取得した判定ルールで判定ルール記憶部22に記憶されている判定ルールを更新する。また、送信元の識別情報が監視サーバ2の識別情報の場合は、実施の形態2と同様に処理する。なお、識別情報は、IPアドレスや装置名称等、各ゲートウェイ装置を識別できる情報であれば特に限定する必要はない。
【0043】
ところで、本実施の形態において「判定ルールを共有する他のビル」というのは、判定ルールを同一の内容に設定したいゲートウェイ装置が設置されたビルのことをいう。例えば、ビル3から一定エリア内に存在するビル、あるいは所有者又は管理者をビル3と同一とするビル等である。一定エリアとして支社(あるいは一保守員でもよい)の管轄地域内に設置されたゲートウェイ装置の識別情報を設定しておけば、監視センター1は、当該エリア内の1箇所のゲートウェイ装置10の判定ルールのみを更新するだけで、当該エリア内における全てのゲートウェイ装置10の判定ルールを同じ内容とすることができる。また、同一所有者又は管理者のビル3に設置されたゲートウェイ装置の識別情報を設定しておけば、同一所有者又は管理者のビル3に関しては、同じ判定ルールを適用することが可能となる。
【0044】
本実施の形態では、判定ルールを共有する他のビルそれぞれに設置されているゲートウェイ装置の識別情報のみをゲートウェイ装置情報記憶部23に予め設定登録するようにした。ただ、ゲートウェイ装置情報記憶部23に登録しておくデータ構成としてはこれに限る必要はなく、例えば、監視センター1にて監視対象とするエリア内に存在するゲートウェイ装置の識別情報の全てにグループ識別情報を付加してゲートウェイ装置情報記憶部23に登録しておいてもよい。そして、判定ルール更新部16は、自機と同じグループに属するゲートウェイ装置から送信された判定ルールを取得した場合に、判定ルール記憶部22に記憶されている判定ルールを更新するようにしてもよい。このように、グループ単位に判定ルールを共通化するよう制御することも可能である。
【0045】
実施の形態4.
図7は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のブロック構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、実施の形態1に示した構成に、処理推定部17を設けた構成を有している。処理推定部17は、監視情報記憶部21に蓄積されている監視情報に基づき当該監視情報が生成されたときの機器4の状態を推定する推定手段として設けられている。また、本実施の形態における判定ルール記憶部22には、機器4の状態毎に設定された判定ルールが記憶されている。
【0046】
上記実施の形態1において説明したように、判定ルールには機器4が異常かどうかを判定するための閾値等が設定されており、異常検出部13は、監視情報を判定ルールと照合することで、機器4に異常が発生しているかどうかを判定する。ただ、実施の形態1では、機器4の状態に限らず判定ルールを一律的に設定していた。本実施の形態において監視対象とする機器4は、日報処理の生成、外部機器との通信等様々な処理を実行する。つまり、CPUを通常より高い使用率で動作する必要があったり、ディスクアクセスを通常より多く行ったりする場合がある。一方、実行する処理によっては、ディスクへの書込みを一切行わない場合もある。このように、機器4が実行する処理によって異なってくる機器4の状態(動作状況)に対し、共通した判定ルールを適用すると異常の検出精度が低くなるおそれが生じてくる。
【0047】
そこで、本実施の形態においては、機器4の状態毎に判定ルールを設定すると共に、処理推定部17を設けて機器4の状態を推定できるようにした。以下、本実施の形態における監視処理について図8に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1における図4に示したのと同じ処理には同じステップ番号を付け、説明を適宜省略する。
【0048】
本実施の形態における監視処理は、基本的には、実施の形態1と同様の処理を実行すればよい。ただ、本実施の形態では、処理推定部17は、監視情報記憶部21に記憶された監視情報を解析することで機器4がどのような状態、すなわちどのような処理を実行しているのかを推定する(ステップ401)。処理推定部17が機器4の状態を推定すると、異常検出部13は、その推定された機器4の状態に対応した判定ルールを判定ルール記憶部22から読み出し、監視情報をその読み出した判定ルールと照合することで(ステップ102)、機器4に異常が発生しているのかどうかを判定する(ステップ103)。
【0049】
機器4の状態を示すデータ自体は機器4から送られてこない。そこで、本実施の形態においては、以上説明したように機器4から送られてくる監視情報を解析することによって機器4の状態を推定し、その推定した機器4の状態に適合した判定ルールを用いて異常を検出する。これにより、異常の検出精度を向上させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、機器4が実行している処理の種類を機器4の状態とみなして説明したが、例えば、時間帯や時節等時間的な要素によっても機器4の状態は変化する場合は少なくないので、このような時間等の要素を考慮して各種判定ルールを用意するようにしてもよい。
【0051】
実施の形態5.
上記実施の形態1において説明したように、監視情報記憶部21に記憶する監視情報は、機器4の異常の検出のために用いられる。換言すると、機器4が正常か否かの判定ができるまでは削除できないため、監視情報を時系列的に保持しておく必要がある。監視情報を長時間保持しておくということ、及び長時間の監視情報に基づいて機器4の正常か異常かの判断を行うということは、ゲートウェイ装置10にそれだけ負荷がかかるということである。
【0052】
そこで、本実施の形態においては、判定ルール記憶部22に、「正常」、「異常」の判定のためのルール(閾値等)に加えて、「保留」と判定するための判定ルールを設定し、保留に該当する場合には、監視情報を監視サーバ2へ送信して異常の検出処理を監視サーバ2へ委ねることにした。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のハードウェア構成及び機能ブロック構成は、実施の形態1と同じでよい。
【0053】
以下、本実施の形態における監視処理について図9に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1における図4に示したのと同じ処理には同じステップ番号を付け、説明を適宜省略する。
【0054】
本実施の形態における監視処理は、基本的には、実施の形態1と同様の処理を実行すればよい。ただ、本実施の形態では、監視情報を判定ルールと照合することで異常が検出されず(ステップ103でN)、監視情報から機器4が正常か異常かを即座に判定できない、いわゆる保留に該当する場合(ステップ106でY)、異常検出部13は、監視情報を監視情報記憶部21から読み出して(ステップ107)、上位通信部15を介して監視サーバ2へ送信する(ステップ108)。なお、監視サーバ2へ送信した監視情報は、監視情報記憶部21から削除する。
【0055】
本実施の形態においては、機器4が正常か異常かを即座に判定できない場合、監視情報記憶部21に保存されている監視情報を監視サーバ2へ送信して、機器4が正常か異常かの判断を監視サーバ2に委ねることにした。これにより、監視情報記憶部21に保存される監視情報のデータ量が膨大になること、及び異常の検出に要する処理負荷の増大を回避することができる。
【0056】
上記各実施の形態においては、監視情報に基づき機器4を監視し、機器4に発生する異常を検出するための監視処理について説明した。各実施の形態において説明した構成及び処理内容は、適宜組み合わせて実施してもよい。また、本実施の形態では、中継装置としてゲートウェイ装置10を例にして説明したが、外部のネットワーク5とビル3の内部のネットワーク6とを接続して監視サーバ2と機器4との間のデータ通信を中継しうる中継機能を有する中継装置であればゲートウェイ装置10に限定する必要はない。
【符号の説明】
【0057】
1 監視センター、2 監視サーバ、3 ビル、4 機器、5,6 ネットワーク、7 設備、10 ゲートウェイ装置、11 下位通信部、12 監視情報取得部、13 異常検出部、14 異常通知部、15 上位通信部、16 判定ルール更新部、17 処理推定部、21 監視情報記憶部、22 判定ルール記憶部、23 ゲートウェイ装置情報記憶部、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 ハードディスクドライブ(HDD)、35 外部ネットワークインタフェース(IF)、36 内部ネットワークインタフェース(IF)、37 内部バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9