特許第6223381号(P6223381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223381セラミック変換素子、セラミック変換素子を備えた半導体チップおよびセラミック変換素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223381
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】セラミック変換素子、セラミック変換素子を備えた半導体チップおよびセラミック変換素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20171023BHJP
   C09K 11/00 20060101ALI20171023BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20171023BHJP
   C09K 11/56 20060101ALI20171023BHJP
   C09K 11/59 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H01L33/50
   C09K11/00 A
   C09K11/64CPM
   C09K11/64CQD
   C09K11/64CPP
   C09K11/64CPC
   C09K11/64CPR
   C09K11/56CQH
   C09K11/59CPS
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-86705(P2015-86705)
(22)【出願日】2015年4月21日
(62)【分割の表示】特願2013-552147(P2013-552147)の分割
【原出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-165588(P2015-165588A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2015年4月21日
(31)【優先権主張番号】102011010118.7
(32)【優先日】2011年2月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウテ リーポルト
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク アイザート
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−146835(JP,A)
【文献】 特開2010−141119(JP,A)
【文献】 特開2007−150331(JP,A)
【文献】 特開2009−260320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
C09K 11/00
C09K 11/56
C09K 11/59
C09K 11/64
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック変換素子(1)であって、
・第1の波長領域の電磁ビームを、当該第1の波長領域とは異なる第2の波長領域の電磁ビームに変換するのに適している活性セラミック層(2)と、
・前記第1の波長領域のビームおよび/または前記第2の波長領域のビームを通し、かつ、セラミック材料から形成されており、かつ、ピグメントを含む担体層(3)と
を有しており、
前記ピグメントが前記変換素子に特定の色調を与える、
ことを特徴するセラミック変換素子(1)。
【請求項2】
1つの活性層(2)と1つの担体層(3)とを有している、請求項1記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項3】
前記活性セラミック層(2)は、以下の蛍光体のうちの1つを有する:すなわち、希土類金属がドーピングされたガーネット、希土類金属がドーピングされたアルカリ土類硫化物、希土類金属がドーピングされたチオガレート、希土類金属がドーピングされたアルミン酸塩、希土類金属がドーピングされたケイ酸塩、希土類金属がドーピングされたオルト珪酸塩、希土類金属がドーピングされたクロロシリケート、希土類金属がドーピングされたアルカリ土類金属窒化ケイ素、希土類金属がドーピングされた酸窒化物および希土類金属がドーピングされた酸窒化アルミニウム、希土類金属がドーピングされた窒化ケイ素、サイアロンのうちの1つを有する、請求項1または2記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項4】
前記活性層(2)は100μm以下、有利には50μm以下、特に有利には25μm以下の厚さを有している、請求項1から3までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項5】
前記セラミック活性層(2)は、付活剤を有する蛍光体から成り、前記付活剤の濃度の値は、2%以上5%以下の間である、請求項1から4までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項6】
200μm以下50μm以上の間、有利には180μm以下50μm以上の間の厚さを有している、請求項1から5までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項7】
前記活性層(2)と前記担体層(3)との間に抑制層(5)が配置されており、
前記抑制層(5)は、前記活性層(2)から前記担体層(3)内への付活剤イオンの拡散を低減させるのに適している、請求項1から6までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項8】
前記抑制層(5)は5μmよりも薄い、請求項7記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項9】
・前記担体層(3)は散乱源(4)を有しており、前記散乱源はセラミック粒子から形成されており、ここで前記セラミック粒子の材料は、前記担体層のセラミック材料とは異なっており、
・前記散乱源(4)は、前記第1の波長領域の電磁ビームおよび/または前記第2の波長領域の電磁ビームを散乱させるのに適している、請求項1から8までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項10】
前記変換素子は、自立するように構成されている、請求項1から9までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項11】
前記変換素子は、交互に配置された複数の活性層と複数の担体層とを含む、請求項1から10までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項12】
前記活性層は2つの前記担体層の間にカプセル封入されている、請求項1から11までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項13】
前記活性層はドーピングされた蛍光体材料から形成されており、前記担体層はドーピングされていないセラミックの蛍光体材料から形成されており、前記担体層のドーピングされていない蛍光体材料にピグメントが導入されている、請求項1から12までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項14】
前記散乱源によって前記変換素子のニュートラルな色印象が形成される、請求項1から13までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)。
【請求項15】
ビーム放射半導体チップであって:
・第1の波長領域の電磁ビームをビーム出射面(8)から送出するのに適している半導体ボディ(6)と、
・前記第1の波長領域のビームを、当該第1の波長領域とは異なる第2の波長領域のビームに変換するのに適している活性セラミック層(2)を備えている、請求項1から14までのいずれか一項に記載されたセラミック変換素子(1)とを有している、
ことを特徴とするビーム放射半導体チップ。
【請求項16】
前記変換素子(1)の前記担体層(3)は、前記半導体ボディ(6)の前記ビーム出射面(8)とは反対の側にある、請求項15記載のビーム放射半導体チップ。
【請求項17】
前記変換素子(1)の前記活性層(2)は、前記半導体ボディ(6)の前記ビーム出射面(8)上に直に接して被着されている、請求項15または16記載のビーム放射半導体チップ。
【請求項18】
4000K以上6000K以下の間の色温度を有する混合白色光を送出する、請求項15から17までのいずれか一項記載のビーム放射半導体チップ。
【請求項19】
請求項1から14までのいずれか一項記載のセラミック変換素子(1)を製造する方法であって、
・担体層(3)または担体層(3)用のベースであるグリーンシート(12)を準備するステップと、
・活性セラミック層(2)用のベースであるグリーンシート(14)または前記活性セラミック層(2)用のベースである粉体分散液を、前記担体層(3)上に、または、前記担体層(3)用のベースとして用いられる前記グリーンシート(12)上に被着するステップと、
・層状複合体を焼結するステップと
を有している、ことを特徴とする、セラミック変換素子(1)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セラミック変換素子、セラミック変換素子を備えた半導体チップおよびセラミック変換素子の製造方法を提示する。
【背景技術】
【0002】
本発明の課題は、取り扱いが容易なセラミック変換素子を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、さらに、このようなセラミック変換素子の製造方法を提供することである。
【0004】
本発明の別の課題は、ウォームホワイト領域における白色混合光を送出する半導体チップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題は、請求項1の特徴部分に記載されている構造を有するセラミック変換素子によって、および、請求項12の特徴部分の構造を有するビーム放射性半導体チップによって、および、請求項15のステップを有する方法によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例に即したセラミック変換素子の概略的な断面図
図2】実施例に即したセラミック変換素子の概略的な断面図
図3】実施例に即したセラミック変換素子の概略的な断面図
図4】実施例に即したセラミック変換素子の概略的な断面図
図5】実施例に即した半導体チップの概略的な断面図
図6】実施例に即した半導体チップを有するデバイスの概略的な断面図
図7】付活剤濃度に依存した、種々のセラミック変換素子に対する色度座標cyおよびcyの測定値
図8】活性層とセラミック層とを有するセラミック変換素子内の温度経過のシミュレート値および従来のセラミック変換素子内の温度経過のシミュレート値
図9】実施例に則した、3つの異なる方法段階におけるセラミック変換素子の概略的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
セラミック変換素子、半導体チップおよび方法の有利な発展形態および実施形態はそれぞれ、従属請求項に記載されている。
【0008】
セラミック変換素子は、殊に、
・活性セラミック層と
・担体層とを含んでおり、
活性セラミック層は、第1の波長領域の電磁ビームを、第1の波長領域とは異なる、第2の波長領域の電磁ビームに変換するのに適しており、
担体層は、第1の波長領域の電磁ビームおよび/または第2の波長領域の電磁ビームを通す。
【0009】
変換素子が、変換されたビームと変換されていないビームとを含んでいる、例えば白色の混合光を送出するために設けられている場合、担体層は、第1の波長領域と第2の波長領域のビームの有利には少なくとも75%、特に有利には少なくとも90%を透過させる。
【0010】
変換素子が、第1の波長領域のビームをできるだけ完全に、第2の波長領域のビームに変換するために設けられている場合には、担体層は、第2の波長領域のビームの、有利には少なくとも75%、特に有利には少なくとも90%を透過させ、有利には、第1の波長領域のビームを吸収し、このビームが最大で10%、変換素子を通過する。この実施形態では、担体層は特に有利には、半導体チップの取り出し側に向けて配置されている。
【0011】
担体層は、アクティブな、セラミック層を機械的に安定させるために設けられている。有利には、担体層を使用することによって、自立していない活性セラミック層を波長変換のために使用することが可能になる。従って、活性セラミック層を次のように薄くすることができる。すなわち、より高い付活剤濃度を用いることができ、これによって、実現されるべき色度座標のより広い領域が、所定の半導体ボディとの組み合わせにおいて得られるように、薄くすることができる。
【0012】
従って、変換素子の変換作用を、活性セラミック層の厚さを用いて調整することが可能である。この場合には、任意に薄い活性層が実現可能であり、これによってより広い色度座標領域が、所定の半導体ボディと組み合わせることで得られる。特別な利点は、変換作用の調整が、蛍光体内の付活剤含有量を介して行われるのではなく、活性セラミック層の厚さを介して行われる、ということにある。従って、その粒子状の蛍光体がシリコーンマトリクス内に入れられている、例えば小さい変換プレートにおいて使用されるような、比較的高い付活剤濃度を有している蛍光体が使用可能であろう。このようにして、しばしば付活剤濃度の変化によって引き起こされる蛍光体の発光色の不所望な変化が回避される。薄い活性セラミック層を用いて、通常はさらに、変換素子の効率上昇および均一な色分布が可能になる。
【0013】
ある実施形態では、変換素子は、活性層を1つだけ有し、担体層を1つだけ有している。変換素子が1つの活性セラミック層と1つの担体層から形成されていてもよい。
【0014】
さらに、変換素子が複数の活性層と複数の担体層を含んでいてもよい。これらは有利には交互に配置されている。
【0015】
ある実施形態では、変換素子は、それぞれ別の担体層によってカプセル封入されている活性層から形成されている。すなわち、活性層の各主要面上にそれぞれ1つの担体層が被着されている。活性セラミック層はここで、有利には、それぞれ1つの共通の境界面を各担体層と形成する。通常は不活性の2つの担体層の間の活性層のカプセル封入は、有利には、セラミック変換素子の寿命を長くすることができる。
【0016】
活性セラミック層は例えば、以下の蛍光体のうちの1つを有する、または、以下の蛍光体のうちの1つから成る:すなわち、希土類金属がドーピングされたガーネット、希土類金属がドーピングされたアルカリ土類硫化物、希土類金属がドーピングされたチオガレート、希土類金属がドーピングされたアルミン酸塩、希土類金属がドーピングされたケイ酸塩、例えばオルト珪酸塩、希土類金属がドーピングされたクロロシリケート、希土類金属がドーピングされたアルカリ土類金属窒化ケイ素、希土類金属がドーピングされた酸窒化物および希土類金属がドーピングされた酸窒化アルミニウム、希土類金属がドーピングされた窒化ケイ素、サイアロンである。
【0017】
蛍光体として、殊にガーネット、例えばイットリウムアルミニウム酸化物(YAG)、ルテチウムアルミニウム酸化物(LuAG)およびテルビウムアルミニウム酸化物(TAG)等が使用される。
【0018】
蛍光体は例えば、以下の付活剤によってドーピングされている:すなわち、セリウム、ユーロピウム、テルビウム、プラセオジム、サマリウム、マンガンである。
【0019】
変換素子の1つの実施形態では、活性層は100μm以下の厚さ、有利には50μm以下の厚さ、特に有利には25μm以下の厚さを有している。
【0020】
ある実施形態では、セラミック活性層は、その付活剤が2%以上5%以下の濃度を有している蛍光体を有している。特に有利には、この実施形態では、YAG:Ceが蛍光体として使用される。
【0021】
別の実施形態では、セラミック層の厚さと、付活剤濃度との積はほぼ一定である。特に有利には、セラミック層の厚さと、%での付活剤濃度との積は、約50μm−1である。特に有利には、このような実施形態でも、YAG:Ceが蛍光体として使用されている。
【0022】
変換素子の別の実施形態では、担体層は、活性層のように、セラミック材料から形成されている。セラミック担体層の材料は、有利には、次のように選択されるべきである。すなわち、これが、変換素子の製造に必要な焼結温度において、僅かにだけ、活性層の蛍光体と化学反応するように選択されるべきである。セラミック担体層用の材料としては例えば、蛍光体用の上述した材料のうちの1つが適している。しかしこれは、付活剤を有していない。特に有利には、セラミック担体層は、付活剤を有していない、ドーピングされていない蛍光体材料から形成される。これは、付活剤がドーピングされた形態において、活性層に使用される。さらに、使用されるべき蛍光体と類似した、ないしは、これとコンパチブルな物質を、担体層に使用することもできる。
【0023】
特に有利には、担体層は実質的に、蛍光体の活性イオンを有していない。換言すれば、担体層は有利には、波長変換特性を有していないまたは波長変換特性を、無視できる程度にしか有していない。特に有利には、付活剤濃度は、担体層の体積全体にわたって平均化されて、最大で、活性セラミック層内の付活剤濃度の1/4である。
【0024】
特に有利には、活性セラミック層の材料として、ガーネット蛍光体、例えばYAl12:Ce(YAG:Ce)が使用される。従って、YAG:Ceから成る活性セラミック層を有する変換素子は、付活剤を有していない、ドーピングされていないYAGから成る担体層を有する。
【0025】
さらに、担体層用の材料として、酸化アルミニウムも適している。酸化アルミニウムは、殊に、YAG:Ceと類似ないしはこれとコンパチブルな物質である。
【0026】
別の発展形態では、セラミック変換素子は、50μm以上200μm以下の厚さ、有利には80μm〜200μmの厚さを有している。
【0027】
別の発展形態では、セラミック変換素子は、50μm以上180μm以下の厚さ、特に80μm〜180μmの厚さを有している。
【0028】
このようなセラミック変換素子は有利には、特に容易に取り扱うことができる。
【0029】
変換素子の1つの実施形態では、活性層と担体層との間に抑制層が配置されている。この抑制層は、活性セラミック層から担体層内への付活剤イオンの拡散を、少なくとも低減させるのに適している。
【0030】
特に有利には、この抑制層は極めて薄い。変換素子の1つの実施形態では、抑制層は5μm以下の厚さを有している。
【0031】
特に有利には、抑制層は、セラミック材料から形成されている。
【0032】
抑制層は、例えば、酸化アルミニウムから形成されていても、酸化アルミニウムを含有していてもよい。酸化アルミニウムは、殊に、YAG:Ceを含有している活性セラミック層から、ドーピングされていないYAG担体層へのセリウムの拡散を少なくとも、低減させるのに適している。
【0033】
変換素子の別の実施形態では、担体層は、散乱源を有している。これは、第1の波長領域および/または第2の波長領域の電磁ビームを散乱させるのに適している。散乱源としては、例えば、セラミック担体層内の孔または粒子が設定される。散乱源は、有利には、1.5μm以下0.5μm以上の直径を有している。特に有利には、散乱源は、少なくとも0.1、担体層の材料の屈折率と相違している屈折率を有している。散乱源として例えば、セラミック材料を有しているまたはセラミック材料から成る粒子を用いることができるだろう。この場合には、散乱源のセラミック材料と、担体層のセラミック材料は異なっている。有利にはこの粒子は、以降の材料のうちの1つを有するまたは以降の材料のうちの1つから成る:すなわち、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタンである。これらの粒子は、殊に、ドーピングされていないYAGから成る担体層と関連して使用されるのに適している。散乱源を所期のように担体層内に組み込むことによって、変換素子の放射特性の均一性を改善することができる。さらに、散乱源を用いることによって、非活性状態にある変換素子のニュートラルな色印象を実現することができる。
【0034】
別の実施形態では、担体層は、少なくとも1つのピグメントを有している。このピグメントは、変換素子に特定の色調を与えるのに適している。これによって有利には、変換素子の特定の色印象が得られる。
【0035】
セラミック変換素子は、有利には、半導体ボディのビームを少なくとも部分的に、他の波長領域のビームに変換するのに適している。
【0036】
ビーム放射半導体チップは、殊に、
・第1の波長領域の電磁ビームを、ビーム出射面から送出するのに適している半導体ボディと、
・上述したようなセラミック変換素子と
を含んでいる。
【0037】
特に有利には、セラミック変換素子は、半導体ボディのビームの一部のみを第2の波長領域のビームに変換し、半導体ボディから送出されたビームの他の部分を透過する。このようにして、混合色、殊に白色の光が生成される。
【0038】
特に有利には、半導体ボディは、青色スペクトル領域からの光を送出する。特に有利には、セラミック変換素子は、半導体ボディの青色光の一部を、黄色スペクトル領域からの光に変換するために設けられている。このようにして、混合色の、白色の光を生成することができる。青色光を黄色光に変換するのに適している、波長を変換する活性セラミック層は、有利には、YAG:Ceを蛍光体として有している。
【0039】
半導体チップの他の実施形態では、半導体ボディは、有利には380nm〜420nmの紫外スペクトル領域からのビームを送出する。半導体ボディの紫外光は、セラミック変換素子によって、有利には可視光に変換される。特に有利にはセラミック変換素子はここで、半導体ボディのビームをできるだけ完全に、第2の波長領域のビームに変換する。白色光を生成するために、変換素子は、ここで、通常は、少なくとも2つの異なる蛍光体を含む。例えば一方の蛍光体は紫外ビームを青色ビームに変換し、他方の蛍光体は紫外ビームを黄色ビームに変換する。紫外光を変換するために、有利には、付活剤としてのユーロピウムによってドーピングされている蛍光体が使用される。
【0040】
セラミック変換素子は有利には次のように配置されている。すなわち、半導体ボディから送出されたビームの大部分がこの変換素子を通るように配置されている。
【0041】
特に有利には、変換素子の活性層は、半導体ボディのビーム出射面上に直に接触して被着されている。このようにして、動作中に、活性セラミック層内で、ストークスシフトによって生じる熱を、半導体ボディを介して導出することができる。
【0042】
他の実施形態では、担体層は、半導体ボディのビーム出射面とは反対の側にある。従って有利には、散乱源および/またはピグメントが設けられた、変換素子の担体層が、外部観察者に対する色印象に影響を与えることができる。
【0043】
特に有利には、ビーム放射半導体チップは、プランクの放射則曲線上での4000K以上6000K以下の間の混合色の、白色光を送出する。
【0044】
ある実施形態では、半導体チップは、青色スペクトル領域からのビームを送出する半導体ボディと、YAG:Ce蛍光体をベースとする活性セラミック層を有するセラミック変換層とを有する。ここでYAG:Ceセラミックのイットリウム部分は、ガドリニウムによって置換可能である。ホスト格子内でイットリウムをガドリニウムによって置換することによって、ホスト格子の格子定数が変化し、これによって、付活剤の放射波長が、より長い波長へとシフトされる。このようにして、有利には、プランクの放射則曲線の下方にある色度座標を有する白色光を送出する半導体チップを実現することが可能になる。
【0045】
セラミック変換素子を製造する方法は、以降のステップを有している:
・担体層または担体層用のベースであるグリーンシートを準備する
・活性セラミック層用のベースであるグリーンシートまたは活性セラミック層用のベースである粉体分散液を、担体層上にまたは担体層用のベースとして用いられるグリーンシート上に被着させる、
・層状複合体を焼結する。
【0046】
活性セラミック層および担体層がそれぞれセラミックから形成されるべき場合には、有利には相応するグリーンシートが担体層用のベースとして準備される。このようにして、ここで、活性セラミック層用のベースであるさらなるグリーンシートまたは活性セラミック層用のベースである相応の粉体分散液がグリーンシート上に被着される。
【0047】
粉体分散液(pulverdispersion)は、例えば、吹きつけまたはデポジットによって被着される。
【0048】
相応するグリーンシートをラミネートすることによって、セラミック担体層と活性セラミック層から成る任意の層状複合体が得られる。ラミネート時には、2つまたはより多くのグリーンシートが、圧力および温度を加えることによって相互に接着される。
【0049】
任意の厚さのセラミック担体層を実現するために、複数の同様のグリーンシートを、担体層用のベースとして相互に重ねてラミネートすることもできる。
【0050】
グリーンシートをベースにして抑制層を形成し、積層体内にラミネートすることもできる。
【0051】
殊に、特に薄いセラミック層(例えばセラミック抑制層またはセラミック活性層)を形成するために、相応する担体材料の積層を、吹きつけまたはデポジットによって行うことができる。
【0052】
本発明の別の有利な実施形態および発展形態は、図面に関連して以降に説明される実施例から明らかになる。
【実施例】
【0053】
図面において、同じ素子、同様の素子または機能が同じ素子には、同じ参照符号が付けられている。図面内に示された素子の形状および素子間の大きさの比は、基準とされるものではない。むしろ、個々の要素、殊に層厚は、より見やすいようにおよび/またはより理解しやすいように、過度に大きく示されている場合がある。
【0054】
セラミック変換素子1は、図1の実施例では、活性セラミック層2を有している。この活性セラミック層は、第1の波長領域のビームを第2の波長領域のビームに変換するのに適している。このために、活性セラミック層2は、焼結された蛍光体から形成されている。蛍光体は、例えば、YAG:Ceであり得る。活性セラミック層2の厚さは、有利には、格段に100μmを下回り、特に有利には50μmを下回り、約25μmである。このような比較的薄い活性セラミック層2を使用する場合には、有利には、高い付活剤濃度を有するYAG:Ceが蛍光体として使用可能である。これは例えば、蛍光体粒子が樹脂内に埋設されている小さい変換プレートにおいても使用されている。
【0055】
特に有利には、活性セラミック層2の厚さと、%での付活剤濃度との積は、約50μm−1である。すなわち、セラミック層2の厚さが約25μmの場合には、付活剤濃度の値は約2%である。
【0056】
さらに、セラミック変換素子1は、担体層3を含んでいる。この担体層は、第1の波長領域および/または第2の波長領域のビームに対して透過性である。担体層3と活性セラミック波長変換層2は直接的に接して相互に被着されており、共通の境界面を形成している。担体層3は、例えば、ドーピングされていないセラミックYAG材料から形成される。さらに、例えば、酸化アルミニウムも、担体層3の材料として適している。
【0057】
担体層3はここで、薄い活性セラミック層2を機械的に安定させるために設けられている。担体層3は、セラミック変換素子1全体を厚くし、セラミック変換素子の厚さは有利には80〜180μmである。
【0058】
図2の実施例に即しているセラミック変換素子1は、図1のセラミック変換素子1とは異なり、散乱源4を担体層3内に有している。散乱源4として、例えば孔または粒子が用いられている。これは、担体層3の材料とは異なる材料を有している。散乱源4は、この実施例では、主に、約1μmの直径を有している。担体層3内に散乱源4を所期のように組み込むことによって、セラミック変換素子1の放射均一性を改善することができる。さらに、担体層3はピグメントを有することができる。これは、担体層に所望の色調を与える。
【0059】
図3の実施例に則しているセラミック変換素子1は、2つの担体層3によってカプセル封入されている活性セラミック層2を有している。この場合には、活性セラミック層2の各主要面には、担体層3が、各主要面と直接的に接触して配置されている。活性セラミック層2をカプセル封入することによって、セラミック素子の寿命を延ばすことができる。
【0060】
図4の実施例に則しているセラミック変換素子1は、図1〜3に示されている変換素子1とは異なり、抑制層5を有している。この抑制層5はここで、活性セラミック層2とビーム透過担体層3の間に配置されている。抑制層5は、活性セラミック層2から担体層3内に付活剤イオンが拡散するのを抑制するために設けられている。抑制層5は有利には極めて薄く形成されており、5μm以下の厚さを有している。抑制層5用の適切な材料は、例えば酸化アルミニウムである。
【0061】
図5の実施例に則した半導体チップは、ビーム形成領域7を有している半導体ボディ6を有している。半導体ボディ6のビーム形成流域7は、動作時に、第1の波長領域のビームを形成するのに適している。これは、半導体ボディ6のビーム出射面8から送出される。特に有利には、第1の波長領域は、青色スペクトル領域からのビームを含む。
【0062】
さらに、図5に示されている半導体チップは、例えば図2で示されたようなセラミック変換素子1を含んでいる。さらに、図5に示されている半導体ボディ6に、例えば図1、3および4に基づいて説明されたような別の変換素子1を組み合わせて、半導体チップとすることも可能である。
【0063】
セラミック変換素子1は、活性波長変換層2とともに、半導体ボディ6のビーム出射面8上に、直接的に接して被着されている。これによって、変換素子1の活性層2内でのストークスシフトによって生じた熱が、半導体ボディ6を介して、例えば背面に取り付けられている電気コンタクトへと導出される。担体層3内の散乱源4によって、ここでは有利には、ニュートラルな、例えば白い色印象が外部観察者に与えられる。
【0064】
図6の実施例に則したオプトエレクトロニクスデバイスは、半導体チップを有している。この半導体チップは例えば、図5に基づいて既に説明されたものである。この半導体チップはここで、半導体ボディ6のビーム出射面8に背中合わせの自身の背面9で、デバイスケーシング11の陥入部10内に固定されている。このデバイスケーシング11は、ここで、ヒートシンクとして用いられ、これは、矢印によって示されているように、半導体チップから熱を排出する。
【0065】
図7は、CIE表色系の一部を示している。これは、色度座標cxおよびcyにわたって拡がっており、8000Kと4000Kとの間の色温度の色度座標の間のプランクの放射則曲線Cpを含んでいる。さらに、この部分内には、半導体チップの色度座標の測定値が記入されている。この半導体チップは例えば、図5に基づいて既に説明されたものである。
【0066】
ここで曲線C(白抜き正方形)は、0.5%より高くない、低い付活剤濃度を有している、セラミックYAG:Ce材料から形成されている活性層2を有しているセラミック変換素子1を有する半導体チップに対する値を示している。このセラミック変換素子1は、ここで、青色発光半導体チップと組み合わされて、白色光を形成するのに適しており、厚さ全体にわたって活性波長変換材料YAG:Ceから形成されている。これらの色度座標は、主に、プランクの放射則曲線の上方の、CIE表色系のコールドホワイト領域に位置している。これに対して、セラミック活性層2に対して、少なくとも2%の付活剤濃度を有する高ドープされたYAG:Ceを有しているセラミック変換素子1を備えた半導体チップの測定値(C、白抜き三角)は、プランクの放射則曲線の下方に位置している。この高い付活剤濃度は、4000Kと6000Kの間の色温度を得るために必要とされる。
【0067】
図8は、変換素子1の活性セラミック層2内の温度Tの経過を、厚さdに依存して示している。曲線T(実線)は、ここで、本発明に相応して設けられている、積層されている変換素子1の温度経過を示している。また、破線Tは、ブロック形状の従来のセラミック変換素子の、厚さdに依存した温度経過を示している。ここで、積層された変換素子1内の温度の方が低く、殊にその最高温度において低いことが見て取れる。これによって、出力密度が高い場合に、有利には、光損失が低くなる。
【0068】
図9A〜9Cに基づいて、積層されたセラミック変換素子1の製造方法が、例として詳細に説明される。
【0069】
第1のステップでは、グリーンシート12が、セラミック担体層3に対するベースとして準備される(図9A)。グリーンシートは通常、各セラミック粉体、バインダー、および添加物から、担体シート上に注がれる。任意の厚さのセラミック担体層3を実現するために、ここでは、複数のグリーンシート12が、担体層3用のベースとして積層され、ラミネートされる。ラミネート時に、これらのグリーンシート12が、圧力および温度によって相互に接続される。
【0070】
セラミック担体層3用のベースとしてのグリーンシート12に対して択一的に、担体層3自体を供給することもできる。
【0071】
次のステップにおいて、図9A〜9Cの実施例では、別のグリーンシート13が抑制層5用のベースとして供給され、担体層3用のグリーンシート12上に配置される。これに対して択一的に、担体層3用のベースであるグリーンシート12を、セラミック抑制層5用のベースである粉体分散液の被着によって設けることもできる。
【0072】
抑制層5用のベースであるグリーンシート13上に、さらに、活性セラミック層2用のベースとしてのグリーンシート14が配置される。これとは択一的に、活性セラミック層2用のベースも、粉体分散液の被着によって形成することが可能である。
【0073】
次のステップでは、種々のグリーンシート12、13、14が焼結方法を介して相互に接続され、焼結されたセラミック結合体に変換される。このセラミック結合体は、セラミック担体層3、活性セラミック層2およびセラミック抑制層5を有している。これは図9Cに概略的に示されている。
【0074】
焼結プロセスを加速することによって、有利には、付活剤イオンが活性セラミック層2から担体層3内に拡散するのが低減される。これは殊に、抑制層5が設けられていない場合である。
【0075】
本発明は、ドイツ連邦共和国特許出願DE102011010118.7号の優先権を主張するものである。従ってこの文献の開示内容は、本願に参照によって取り入れられている。
【0076】
本発明は、実施例に基づく上記の説明によってこれらの実施例に限定されることはない。むしろ本発明には、あらゆる新規の特徴ならびにこれらの特徴のあらゆる組み合わせが含まれており、これには殊に特許請求の範囲の特徴のあらゆる組み合わせが含まれ、またこのことはこれらの特徴またはこれらの組み合わせそのものが特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には示されていないとしてもあてはまるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9