(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の照明ランプ50を示す図である。
照明ランプ50は、筒状のガラス管56を有している。ガラス管56は、透明な直管形ガラス管であり、筒管の一例である。筒管はガラス管でなくてもよく透明又は透光性のある樹脂管でもよい。
中心軸Oは、筒状のガラス管56の中心を結んだ中心線である。
【0011】
発光部60は、発光ダイオード(LED51)と基板52とヒートシンク54を有している。
発光部60は、ガラス管56に収納されて発光方向に光を発光する。発光部60は、ガラス管56の長手方向に渡って延在している。
【0012】
LED51は、LED(発光ダイオード)単体又はLEDモジュールからなる。LED51は、LEDチップともいう。
基板52は、複数のLED51を均等に配置配列している。
【0013】
ヒートシンク54は、アルミニウム製などの金属製であり、基板52を取り付ける台座となりかつ放熱部材となる。
【0014】
ガラス管56の両端に一対の口金55がある。
各口金55は、一対の給電端子58を備えている。給電端子58の本数や形は、図に限らず他の本数でも他の形状でもよい。
【0015】
1対の口金55は、ガラス管56の両端を覆うとともに、発光部60のヒートシンク54の両端とガラス管56の両端に固定されている。
口金55は、端面通気口40を有している。端面通気口40は、ガラス管56の内気と外気とを対流させるための開口である。端面通気口40の形状は、D字状形状あるいは半月形状をしている。
【0016】
ガラス管56の内面には、拡散膜90が有り、拡散膜90は、LED51からの光を拡散する。拡散膜90によりガラス管56の外観は曇った状態又は半透明状態になる。
【0017】
照明ランプ50は、ガラス製外郭を有し、外形が従来の直管形蛍光ランプと同じ形状である。また、照明ランプ50は、機能を損なわずには恒久的に分解できない直管形LEDランプシステムである。
【0018】
図2は、ヒートシンク54の斜視図である。
長手方向と直交する平面によるヒートシンク54の断面形状は、D字状形状あるいは半月形状をしている。
ヒートシンク54は、一体成型された一つのアルミニウム部品であり、平板部62と弧状部63を有している。
平板部62は、平板状であり、弧状部63は、円柱を平板で切った弧状曲面を呈している。
平板部62と弧状部63の間には、中空部分64がある。中空部分64の形状もD字状形状あるいは半月形状をしている。
中空部分64の円弧部分は弧状部63の内周面であり、中空部分64の弦部分が平板部62の裏面で形成されている。
平板部62の両端には平板部62を貫通した穴61がある。穴61の形状は、丸、楕円、四角等、任意である。
【0019】
ヒートシンク54の長手方向の長さはL2である。ガラス管56の中心軸Oから、弧状部63の外周面まで半径はR2であり、弧状部63の内周面までの半径はR3であり、弧状部63の外周の円弧長はK1である。
【0020】
図3は、実施の形態1の照明ランプ50のAA端面(長手方向と直交する平面による端面)を示す図である。
拡散膜90は、ガラス管56の内面に形成されている膜である。拡散膜90は、光を拡散するとともに光を透過させるものである。拡散膜90は、全周にあるのではなく、一部分存在していない。すなわち、開口部91には、拡散膜90がない。
開口部91は、ガラス管56の長手方向に直線状に所定の幅(所定の円弧長K2)を持って配置されている。
接着部材59は、拡散膜90の開口部91に塗布され、ガラス管56の内面とヒートシンク54の弧状部63の外周面とを接着する。
【0021】
図3において、各部の長さには、以下の関係がある。
接着部材59の円弧長K3≦拡散膜90の開口部91の円弧長K2≦ヒートシンク54の円弧長K1
弧状部63の内周面半径R3<弧状部63の外周面半径R2<ガラス管56の内周面半径R1
【0022】
「弧状部63の外周面半径R2<ガラス管56の内周面半径R1」としているが、放熱性を向上させるために、弧状部63の外周面半径R2はガラス管56の内周面半径R1よりわずかに小さいくしている。また、ヒートシンク54とガラス管56の間に接着部材59があるので、ヒートシンク54のいずれの部分も、ガラス管56の内周及び拡散膜90に直接接触していない。その理由は、金属製のヒートシンク54がガラス管56や拡散膜90を破損することを防止するためである。すなわち、ヒートシンク54は、接着部材59によりガラス管56と拡散膜90とから離れた状態(浮いた状態)で固定されている。
【0023】
図4は、実施の形態1の照明ランプ50のZZ縦断面を示す図である。
図4では、給電端子58の図示を省略している(以下、他のZZ縦断面図において、同じ)。
また、
図4では、照明ランプ50の左側の図示を省略しているが、左右同じ構造をしている(以下、他のZZ縦断面図において、同じ)。
【0024】
図5は、口金55を内部方向(
図4の矢印X方向)から見た図である。
図5において、ヒートシンク54とガラス管56とは点線で示している。
長手方向において、ガラス管56の長さL1は、ヒートシンク54の長さL2より長い。
口金55は、樹脂成型品であり、上口金71と下口金72とからなる。上口金71は下口金72に対して、図示していないネジにより固定される。
上口金71と下口金72は、全体として半円筒形の形状をしている。上口金71と下口金72には、それぞれ、半円筒形で薄肉のカバー部70がある。カバー部70は、ガラス管56の端部外周の半分を覆い、カバー部70の内面とガラス管56の端部外周が接着剤57で接着される。
【0025】
図4、
図5において、下口金72には、下口金72の内部に立設された内壁74がある。
内壁74の形状は、円形であるが、その形は、舌状、蒲鉾状、板状、その他の形状でかまわない。
【0026】
内壁74から、長手中央方向に突き出た突き当て部75がある。突き当て部75の全体形状は、略半円筒形状である。ガラス管56の中心軸Oから、突き当て部75の外周面(突き当て外周部82)まで半径はR3である。
【0027】
突き当て部75の中央側先端面には、中心軸Oと直交する突き当て面76がある。突き当て面76は、ヒートシンク54の端部にある端面85の少なくとも一部の端面85を突き当てる面である。
図4、
図5の場合、端面85は、突き当て部75の上側のみにあり、突き当て面76はヒートシンク54の平板部62の端面85のみを突き当てている。
【0028】
ガラス管56の中央にヒートシンク54が挿入接着された状態で、下口金72がガラス管56の両側から挿入される。突き当て面76は、ヒートシンク54の両端の端面85に突き当てられ、口金55は、突き当て部75(突き当て面76)により、ガラス管56の長手方向における位置決めがなされる。
【0029】
したがって、給電端子58を除く照明ランプ50の長手方向の全長は、口金端面73から突き当て面76までの長さ(口金基準長さ)をL3とすると、以下のとおりとなる。
照明ランプ50の長さL=ヒートシンク54の長さL2+(口金基準長さL3×2)
【0030】
ここで、照明ランプ50の長さLは、ガラス管56の長さL1には関係ない。照明ランプ50の長さLは、ヒートシンク54の長さL2と口金端面73から突き当て面76までの長さL3(口金基準長さL3)とのみにより決定される。また、ヒートシンク54と口金55との締結には、ピンや穴やボスを全く用いていないし、ネジ孔やネジを全く用いていない。
【0031】
直管形のLEDランプでは、長さ規制がある。たとえば、全長は、1212.6mmである。照明ランプ50の長さLをヒートシンク54の長さL2と口金基準長さL3とのみで決定する場合、ヒートシンク54の端面85と突き当て面76との当接だけ(平面と平面との当接だけ)で照明ランプ50の長さLが決まるので、ネジ締結で規制する場合や穴とピン(樹脂ボス)で規制する場合に比べて、ガタ分(遊び)がなくなる。すなわち、照明ランプ50の長さLは、ヒートシンク54の長さL2と口金基準長さL3のみの外形公差のみで決定することができる。
【0032】
なお、突き当て部75の全体形状は、略半円筒形状でなくてもよく、突き当て面76が堅固に形成できる形状であればよい。
【0033】
突き当て部75の長手中央側の突き当て面76を除いた部分から、さらに長手中央方向に長さL6だけ突き出た嵌合部77がある。嵌合部77の断面形状は、D字状形状あるいは半月形状をしている。嵌合部77の断面中央は中空の樹脂中空部79がある。樹脂中空部79の断面形状も、D字状形状あるいは半月形状をしている。
樹脂中空部79を、嵌合部77から突き当て部75まで、さらには内壁74まで貫通させて、貫通孔46を形成している。貫通孔46の断面形状も、D字状形状あるいは半月形状をしている。ガラス管56の中心軸Oから、嵌合部77の外周面(嵌合外周部83)までの半径はR3であり、ヒートシンク54の弧状部63の内周半径と同じである。
【0034】
嵌合部77の断面外形は、ヒートシンク54の中空部分64の断面輪郭形状と同じ形状をしており、嵌合部77は、中空部分64に隙間なく長さL6だけ挿入される。こうして、口金55の下口金72は、口金55の嵌合部77により、ガラス管56の2次元断面空間(長手方向と直交する平面空間)に対する上下左右方向の位置決めがなされる。
なお、ヒートシンク54の中空部分64は、ヒートシンク54の長手方向に同一断面形状で貫通しているものであるが、嵌合部77との関係では、中空部分64は嵌合部77が挿入される深さ(長さL6)以上まで嵌合部77の外形と同一断面形状であればよい。ヒートシンク54の中空部分64は、ヒートシンク54の右端面85から他の左端面まで長手方向に貫通して存在していればよい。
【0035】
以上のように、口金55の下口金72は、突き当て部75と嵌合部77とにより、ガラス管56に対する3次元位置が決定されるので、突き当て部75と嵌合部77とを合わせて、固定部80と呼ぶ。
【0036】
嵌合部77には、嵌合爪78が設けられている。嵌合爪78は、樹脂自体が持つ弾性力を有している。このため、嵌合爪78は上下に移動できる。嵌合爪78は、中央側に斜面を有し、端部側に垂直面を有しているので、嵌合爪78は、中央方向には、移動しやすいが、逆行しにくい。嵌合爪78の位置は、嵌合部77と中空部分64の端面85が付き当てられたときに、穴61の中央にくるように配置されている。嵌合爪78が穴61にはまれば、垂直面が穴61の側面に引かかるので、下口金72は逆行できず、ヒートシンク54から外れない。
【0037】
嵌合爪78のサイズよりも穴61の面積が大きく開口されており、嵌合爪78の周囲には穴61の側面まで隙間が有る。この隙間により、嵌合爪78は穴61の中で、長手方向に移動可能な裕度(遊び)を有している。
【0038】
上口金71は下口金72にネジ止めされ、上口金71と下口金72は、ガラス管56に対して、接着剤57により接着されているが、接着剤57の劣化により上口金71と下口金72とがガラス管56から外れてしまうという危険をなくすため、嵌合爪78を穴61にひっかけておき、上口金71と下口金72とがガラス管56から外れることを防止する。
【0039】
嵌合爪78は、穴61との間に裕度(遊び)を有しているのでヒートシンク54を位置決めするものではない。嵌合爪78は、口金55の脱落防止のための補助機構である。
【0040】
接着剤57による上口金71と下口金72とのガラス管への接着は、口金55とガラス管56との位置関係を固定するものではない。
口金55は、ガラス管56には完全に固定されているのではなく、ヒートシンク54の伸縮する範囲で接着剤57でガラス管56に移動可能に取り付けられている。
たとえば、接着剤57としてシリコーンゴムなどの弾性接着剤を用いる。
【0041】
ガラス管56の線膨張係数はヒートシンク54の線膨張係数より小さい。最低温消灯放置時のヒートシンク54の温度Tc(K)と、最高温雰囲気点灯時のヒートシンク54の温度Th(K)とのヒートシンク54の長さの差がSmmあるとする。照明ランプ50を(Tc+Th)/2(K)±5℃の雰囲気で製造する場合、ガラス管56の伸縮を無視すると、ガラス管56の筒端面86と口金55の内壁74との隙間L4を、S÷4以上にしてS÷2以上にすればよい。
S÷4≦隙間L4≦S÷2
【0042】
照明ランプ50に起こり得る冷却収縮と高温熱膨張を考慮すると、当該ランプの組み立て作業は(Tc+Th)/2(K)程度の室温で組み立てられることが望ましい。即ち−20℃(253K)が市場で起こり得る最低温状態で、かつ実機実装高温時のヒートシンク54の長さが両端口金位置関係を決定するヒートシンク54が70℃(343K)の場合、(253+343)/2=298(K)、即ち25℃雰囲気で組立てられた場合、製品完成時の収縮・膨張の影響の最大値が最も小さくできる。
【0043】
接着剤57による接着は、ヒートシンク54とガラス管56との線膨張係数差(熱膨張差)により、口金55とガラス管56との距離が接近したり離れたりすることを可能にする接着(ゆるい接着)である。この熱膨張による長さの変化を吸収するため、筒端面86と内壁74との間に隙間L4を設けている。
【0044】
ガラス管56は、端部内面にガラス管56の内部方向に盛り上がった出っ張り部81を有している。
【0045】
出っ張り部81は、加熱処理(グレージング)により形成されるものである。ガラス管56の切断端面をバーナで加熱し、軟化させて、ガラス管56の切口の断面形状を略円形に整える際に、出っ張り部81が発生する。
例えば、出っ張り部81のサイズは以下のようなものである。
出っ張り部81の高さH3=0.35〜0.6mm
出っ張り部81の長さL5=1.0〜2.0mm
【0046】
ヒートシンク54の長さL2は、ガラス管56の長さL1より短く、ヒートシンク54は、出っ張り部81の存在する端部以外の中央部分に取り付ける。出っ張り部81の長手方向の長さをL5とすると、以下の関係がある。
ガラス管56の長さL1>ヒートシンク54の長さL2+(出っ張り部81の長さL5×2)
【0047】
また、ヒートシンク54の弧状部63の厚さH2は、出っ張り部81の高さH3より大きい。
出っ張り部81のガラス管56に最も近接している突き当て外周部82は、出っ張り部81に接触しないように、ガラス管56の内面から所定の距離H1だけ離れている。
嵌合部77のガラス管56に最も近接している嵌合外周部83も、ガラス管56の内面から前記所定の距離H1だけ離れている。
突き当て外周部82と嵌合外周部83とは、中心軸Oを中心とする半径R3の円筒の外周面の一部である。
【0048】
したがって、突き当て部75と嵌合部77からなる固定部80は、固定部80のいずれの部分においても、ガラス管56の内面から前記所定の距離H1以上離れている。
ここで、所定の距離H1は、弧状部63の厚さH2と接着部材59の厚さH4を加算したものであるから、以下の関係がある。
所定の距離H1=弧状部63の厚さH2+接着部材59の厚さH4>出っ張り部81の高さH3
ここで、接着部材59の厚さH4をゼロに仮定すると、以下の関係がある。
所定の距離H1=弧状部63の厚さH2>出っ張り部81の高さH3
【0049】
すなわち、弧状部63の厚さH2を出っ張り部81の高さH3より大きくすれば、固定部固定部80のガラス管56に最も近接している外周部84は、出っ張り部81に接触しないようにできる。
【0050】
グレージングの出っ張り部81を回避する為に、ヒートシンク54をガラス管56より短く、且つ、弧状部63の厚さをグレージングの出っ張りを回避する厚さにする。
その結果、グレージングにより生じた出っ張り部81への、ヒートシンク54の乗り上げによるガラス管のワレを回避することができる。また、乗り上げ回避のためにヒートシンクを2層にすることもなく、部品点数の削減・コスト増加抑制が可能になる。
【0051】
以上のように、この実施の形態では、ガラス管56内にLEDを配置し、ガラスの両端に口金を配置した直管蛍光ランプ形LEDランプにおいて、ガラス管56内部のヒートシンク54の長さをガラス管56より短くし(ガラス管56の両端部のグレージング部分より内側にし)、かつ、ヒートシンク54の弧状部63の厚み(または、ヒートシンク54の弧状部63の厚み+ヒートシンク54のガラス内面への接着部材59の厚み)をガラスのグレージングの高さより厚くする。
また、口金55の固定部80の半径をヒートシンク54の弧状部63の内周面の半径以下にすれば、口金55もグレージングの出っ張りを回避することができる。
【0052】
こうすることによって、ヒートシンク54はグレージング部分に接触せず、かつ、口金55の嵌合部77をヒートシンク54の中空部分64に嵌合するときに、当該突き当て部75はグレージング部分と干渉しない。
【0053】
また、この実施の形態では、ガラス管56と口金55は接着剤のみで固定(ゆるく固定)されるので、口金落下防止のために、嵌合爪78(樹脂ボス)とヒートシンク54の穴61で、脱落防止(口金の抜け防止)を図っている。
【0054】
また、この実施の形態では、照明ランプ50の長さ規制は、口金端面73から突き当て面76までの長さL3とヒートシンク54の長さL2とのみで行うため、穴61と嵌合爪78は裕度をもって嵌め合わせている。また、熱応力吸収のためにも、穴61と嵌合爪78は裕度をもって嵌め合わせている。
【0055】
また、ガラス管56と口金55は、熱応力吸収のため、また、ワレ防止のため、筒端面86と内壁74との間に隙間L4を設け、さらに距離H1を設け、直接当たらないようにしている。
【0056】
なお、ヒートシンク54の中空部分64の断面形状、及び、嵌合部77の断面形状は、D字状形状あるいは半月形状でなくてもよく、中空部分64の断面形状と嵌合部77の断面形状とは同じであればよく、三角形、四角形、台形、その他の多角形、楕円などでもよい。
【0057】
また、ヒートシンク54の中空部分64の断面形状と嵌合部77の断面形状とは、必ずしも同じでなくてもよい。嵌合部77の形状は、中空部分64の角部分(コーナー)に挿入される部分があればよい。
たとえば、
図5のように、ヒートシンク54の中空部分64の断面形状がD字状形状の場合、嵌合部77の断面形状は、E1,E2、E3の3点を結ぶ3角形であればよい。あるいは、嵌合部77の断面形状は、E1,E2を結ぶ直線とその直線の中央とE3を結ぶ直線とからなるT字形状でもよい。
【0058】
要するに、嵌合部77は、中空部分64に挿入されることにより、ガラス管56の二次元断面空間において下口金72の上下左右の位置を確定するものであればよい。
【0059】
嵌合部77が中空部分64内でガラス管56の二次元断面空間において上下左右に動く場合、ランプが外部振動を受けたとき、ヒートシンク54がガラス管56内で上下左右に動く可能性が高くなり、ヒートシンク54がガラス管56や拡散膜90に接触・衝突し、ガラス管56や拡散膜90を破壊する危険がある。したがって、嵌合部77は、中空部分64に対して隙間なく挿入されることが望ましい。嵌合部77と中空部分64とを接着してもよい。
【0060】
口金55の端面通気口40と固定部80の貫通孔46とにより、ヒートシンク54の中空部分64は、長手方向に通気可能な構造になっている。
【0061】
端面通気口40の形状と貫通孔46の縦断面の形状は、同形又は相似形であるのがよい。また、端面通気口40の面積を貫通孔46の断面の面積より大きくするほうが、通気性が向上して好適である。
端面通気口40の面積≧貫通孔46の断面の面積
【0062】
端面通気口40の位置と貫通孔46の位置とは、ガラス管56の長手方向に直交する平面座標(縦断面)において同じ位置が好適である。すなわち、ガラス管56の長手方向に障害なく通気できる位置が望ましい。
【0063】
<<<実施の形態1の他例1>>>
図6は、口金55に内壁74がなく、固定部80が口金端面73と連続して形成されている場合を示している。貫通孔46が口金端面73に露出した部分がそのまま端面通気口40となっている。すなわち、固定部80の貫通孔46の右端(一端)が端面通気口40となる。また、貫通孔46の左端(他端)を形成する嵌合部77の外周がヒートシンク54の内周に挿入されている。
【0064】
<<<実施の形態1の他例2>>>
図7は、ヒートシンク54が、貫通孔46に挿入されている場合を示している。すなわち、固定部80の貫通孔46の右端(一端)が端面通気口40となる。また、貫通孔46の左端(他端)が、嵌合部77の内周に形成されている。嵌合部77の内周にヒートシンク54の外周が挿入されている。
【0065】
<<<実施の形態1の他例1と2との効果>>>
照明ランプ50は、長期使用の観点で、使用中に安全を損なうランプ内へのホコリの侵入ができない構造が望ましい。
図6、
図7の照明ランプ50は、上記ヒートシンク54の中空部分64と貫通孔46とのみに通気されるため、発光部60は密封されていることになる。このように、
図6、
図7の照明ランプ50は、ランプ内へのホコリの侵入ができない構造でありながら、照明ランプ50の内部(ヒートシンク54の中空部分64)に通気ができ放熱性が向上する。
【0066】
以上のように、この実施の形態の照明ランプ50は、
ガラス管56(筒管)と、
ガラス管56の内部に配置されたLED51と、
ガラス管56の長手方向に渡って延在し、ガラス管56の長手方向に渡って中空部分64を有するヒートシンク54と、
ガラス管56の端部に取り付けられ、ヒートシンク54の中空部分64を通気する端面通気口40(通気口)が形成された口金55と
を備えたことを特徴とする。
【0067】
上記口金55は、ヒートシンク54の端部を固定する固定部80を有する。固定部80は、ガラス管56の長手方向に渡って貫通する貫通孔46を形成している。
【0068】
上記固定部80は、ヒートシンク54の中空部分64に嵌め込まれる嵌合部77を有し、
上記嵌合部77は、中央部分に上記貫通孔46を形成している。
【0069】
上記ガラス管56の長手方向に直交する平面による上記ヒートシンク54の上記中空部分64の断面は、D字状形状あるいは半月形状あるいは略半円形状をしている。
上記ガラス管56の長手方向に直交する平面による上記固定部80の上記貫通孔47の断面がD字状形状あるいは半月形状あるいは略半円形状をしている。
【0070】
この実施の形態によれば、ヒートシンク54の中空部分64が通気されるので、ヒートシンク54からの放熱効果が向上する。
【0071】
実施の形態2.
実施の形態1と異なる点について説明する。
図8、
図9、
図10は、実施の形態2の照明ランプ50のZZ縦断面を示す図である。
図8、
図9、
図10では、ヒートシンク54が、口金55の口金端面73まで伸びている。すなわち、
図8、
図9、
図10では、ヒートシンク54の端部は、口金55の口金端面73に取り付けられたことを特徴とする。
【0072】
図8は、ヒートシンク54が照明ランプ50を口金端面73の裏側まで伸びている場合を示している。口金端面73の裏側がヒートシンク54を突き当てる突き当て部75となっている。口金端面73から口金端面73の裏側に突出した嵌合部77が形成されている。嵌合部77の外周にヒートシンク54の中空部分64が嵌め込まれる。
【0073】
図9は、ヒートシンク54が照明ランプ50を貫通している場合を示している。ヒートシンク54の端部の外周は、上記端面通気口40の内周に取り付けられる。中空部分64が口金端面73に露出した部分がそのまま端面通気口40となっている。すなわち、中空部分64の右端(一端)の開口が端面通気口40となる。
ヒートシンク54は、上記端面通気口40の内周に固定される。あるいは、ヒートシンク54は、接着部材59によりガラス管56に固定される。
【0074】
図10は、ヒートシンク54が照明ランプ50を口金端面73の裏側まで伸びている場合を示している。口金端面73の裏側がヒートシンク54を突き当てる突き当て部75となっている。
図10には、嵌合部77はない。
ヒートシンク54は、接着部材59により突き当て部75に固定される。あるいは、ヒートシンク54は、接着部材59によりガラス管56に固定される。
【0075】
<<<実施の形態2の効果>>>
実施の形態2の照明ランプ50は、ヒートシンク54に外気が直接流入するので放熱性が向上する。ヒートシンク54が外気に触れやすくなり、かつ、外気を通気しやすくなり、放熱効果が向上する。
また、実施の形態2の照明ランプ50は、ランプ内へのホコリの侵入ができない構造でありながら、照明ランプ50の内部(ヒートシンク54の中空部分64)に通気ができ放熱性が向上する。
【0076】
実施の形態3.
実施の形態1、2と異なる点について説明する。
【0077】
図11、
図12、
図13は、端面通気口40を口金55の上下に2個(複数)設けた場合を示している。
図12、
図13の上口金71の端面通気口40は、おもに、基板52やLED51の表面を通気して放熱させるための開口である。
図12、
図13の下口金72の端面通気口40は、実施の形態1、2と同じ構造・機能を有している。
【0078】
<<<実施の形態3の効果>>>
実施の形態2の照明ランプ50は、LED51や基板52の放熱性も向上する。
【0079】
実施の形態4.
前記各実施の形態と異なる点について説明する。
【0080】
図14、
図15は、端面通気口40を口金55の上下に2個設け、さらに、側面通気口41を上下に2個設けた場合を示している。側面通気口41は、口金55の上口金71と下口金72とのカバー部70の外周に帯状に設けられた開口である。
【0081】
<<<実施の形態4の効果>>>
実施の形態4の照明ランプ50は、端面通気口40に加えて、側面通気口41を設けたので、通気性・放熱性が向上する。
また、口金端面73が覆われた場合でも側面通気口41から通気が可能である。また、カバー部70の外周が覆われた場合でも端面通気口40から通気が可能である。
【0082】
実施の形態5.
前記各実施の形態と異なる点について説明する。
【0083】
図16、
図17は、角通気口44を口金55の上下の角に2個設けた場合を示している。角通気口44は、カバー部70と下口金72との給電端子58から最も遠いコーナーを斜め45度の平面で切り欠いた開口である。
【0084】
<<<実施の形態5の効果>>>
角通気口44は、斜めに開口しているので、口金端面73が覆われた場合でもカバー部70の外周側から通気が可能である。また、カバー部70の外周が覆われた場合でも口金端面73側から通気が可能である。
【0085】
実施の形態6.
前記各実施の形態と異なる点について説明する。
【0086】
図18、
図19は、ヒートシンク54の中空部分64に冷却材42を充填した場合を示している。冷却材42は、不燃性冷却材を用いるのがよい。冷却材42は、空気よりも伝熱性が高い材料を用いるのがよい。
【0087】
<<<実施の形態6の効果>>>
冷却材42により冷却効果を得ることができる。
【0088】
実施の形態7.
前記各実施の形態と異なる点について説明する。
【0089】
図20、
図21は、
図10のヒートシンク54の中空部分64に冷却材42を充填した場合を示している。冷却材42として、不燃性冷却材を用いるのがよい。
図21の端面蓋43は、ヒートシンク54の中空部分64の端部を塞ぐためのカバーである。
【0090】
<<<実施の形態7の効果>>>
冷却材42によりヒートシンク54の冷却効果を得ることができる。
【0091】
実施の形態8.
前記各実施の形態と異なる点について説明する。
図22のように、ヒートシンク54の中空部分64の断面の一部分に長手方向に渡って冷却材42を充填してもよい。
【0092】
<<<実施の形態8の効果>>>
図22の場合は、冷却材42による冷却効果と、通気による空冷効果とを得ることができる。
【0093】
実施の形態9.
前記各実施の形態と異なる点について説明する。
図23のように、照明器具100の器具ソケット21にソケット通気口22を設けてもよい。
【0094】
ソケット通気口22の位置と端面通気口40の位置とは、ガラス管56の長手方向に直交する平面座標(縦断面)において同じ位置が好適である。すなわち、ガラス管56の長手方向に障害なく通気できる位置が望ましい。
上記ガラス管56の長手方向に直交する平面による上記ソケット通気口22の断面がD字状形状あるいは半月形状あるいは略半円形状をしており、端面通気口40と同一あるいは相似形状をしている。
実施の形態9の照明器具100は、上記各実施の形態の照明ランプ50と、上記照明ランプ50の口金55を取り付ける器具ソケット21とを備え、器具ソケット21は、口金55の端面通気口40と連通するソケット通気口22を有することを特徴とする。
【0095】
<<<実施の形態9の効果>>>
ソケット通気口22が有るので、通気が妨げられることがなく、放熱性が向上する。
実施の形態6,7の
図18、
図20の場合は端面通気口40はないが、口金端面73や端面蓋43が冷やされるので、冷却効果が高まる。
【0096】
なお、実施の形態1〜9を、組み合わせてもかまわない。
口金の材質として、アルミニウム等の金属を用いれば、さらに、放熱性が向上する。特に、ヒートシンク54と金属性口金を接触させることにより放熱性がさらに向上する。
口金の形状は限定されるものではないが、ソケットとの相性から、例えば日本電球工業会にてJEL801として日本電球工業会規格に制定されているL形(GX16t−5)口金や、従来蛍光ランプと同じG13口金を用いるのが好適である。
【0097】
以下に、前述した各実施の形態の特徴を記載する。
【0098】
この発明の実施の形態の照明ランプは、
筒管と、
筒管の内部に配置された発光ダイオードと、
筒管の長手方向に渡って延在し、筒管の長手方向に渡って中空部分を有するヒートシンクと、
筒管の端部に取り付けられ、ヒートシンクの中空部分を通気する通気口が形成された口金と
を備えたことを特徴とする。
【0099】
上記口金は、ヒートシンクの端部を固定するとともに、筒管の長手方向に渡って貫通する貫通孔を形成した固定部を有することを特徴とする。
【0100】
上記固定部は、ヒートシンクの中空部分に嵌め込まれる嵌合部を有し、
上記嵌合部は、中央部分に上記貫通孔を形成していることを特徴とする。
【0101】
上記筒管の長手方向に直交する平面による上記ヒートシンクの上記中空部分の断面がD字状形状をしており、
上記筒管の長手方向に直交する平面による上記固定部の上記貫通孔の断面がD字状形状をしていることを特徴とする。
【0102】
上記ヒートシンクの端部は、上記口金の端面に取り付けられたことを特徴とする。
【0103】
また、この発明の実施の形態の照明ランプは、
筒管と、
筒管の内部に配置された発光ダイオードと、
筒管の長手方向に渡って延在し、筒管の長手方向に渡って中空部分を有するヒートシンクと、
ヒートシンクの中空部分に設けられた冷却材と
を備えたことを特徴とする。
【0104】
この発明の実施の形態の照明器具は、
上記いずれかに記載の照明ランプと、
上記照明ランプの口金を取り付ける器具ソケットとを備え、
上記器具ソケットは、口金の通気口と連通するソケット通気口を有することを特徴とする。