(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1又はそれ以上の要因は、前記アラートの前に生成されたプライミングキューのタイプ、前記センサからの出力、及びデフォルトプライミングキューのうちの少なくとも1つを含む、
請求項6に記載の電子装置。
前記処理装置は、前記プライミング及びアラートシステムに、前記プライミングキューがユーザに提供された後に前記ユーザに知覚可能であるアラートを提供させるように適合される、
請求項1に記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電子装置は、あるイベント又は動作の検出に基づいて、ユーザに1又はそれ以上のアラートを提供することができる。例えば、電子メール又はテキストの受信、或いはカレンダープログラムに予定された目前の会議又は約束をユーザにアラートすることができる。各アラートは、ユーザに異なるタイプの刺激を提供する複数の要素を含むことができる異なるアラートを定めることができる。例えば、アラートは、音声アラート、視覚アラート、触覚アラート、又はこれらのアラートの様々な組み合わせを定めることができる。アラートの組み合わせは、同時に、連続的に、又は一部時間的に重なって発生することができる。
【0012】
しかしながら、アラート単独では、常にユーザが気付くとは限らない。環境が邪魔になることもあれば、或いはユーザが別のことに気を取られていることもある。さらに、状況によってはアラートを低出力で発することが有用な場合もあり、これによってアラートの認知性が低下することもある。このことは、例えばバッテリの充電量が少なく、アラートの強度と充電の維持との間でトレードオフを行うことができる際に有用となり得る。
【0013】
従って、いくつかの実施形態では、アラートの前にプライミングキューを提供することができる。プライミングキューは、電子装置のユーザが最低限知覚できる、又は潜在意識下で知覚できる出力とすることができる。1つの実施形態では、プライミングキューのモードが、アラート自体のモードと異なる。例えば、プライミングキューを触覚出力とし、アラートを音声出力とすることができる。このような例では、プライミングキューの触覚出力を、プライミングキューに明確に気付くことなく意識が高まった状態にユーザを置くことができる十分に小さな動作を電子装置に引き起こすように設計することができる。ユーザは、この状態の間にはアラートを受け入れやすくなることができ、従ってより速く(又は完全に)アラートに気付くことができる。別の例として、プライミングキューは、人間の眼には速すぎて意識的に知覚できないが潜在意識に印象を残し、ユーザの注意を装置に引き付けてユーザにアラートの受け取りを事前通知する、ディスプレイ上で点滅する光又は図形の形を取ることができる。
【0014】
他の実施形態では、プライミングキューのモードが、アラートのモード又はアラートの構成要素のモードと同じである。例えば、プライミングキューとアラートを、いずれも触覚出力とすることができる。或いは、プライミングキューを音声出力とし、アラートを音声出力と視覚出力の合成物とすることもできる。
【0015】
いくつかの実施形態では、全てのアラートの前ではなく、装置がプライミングキューを出力すべきと判断した時にのみプライミングキューを生成することができる。電子装置は、ユーザが最後に電子装置を操作した時点、電子装置の現在の活動及び/又は動作状態、ユーザの現在の行動、騒音及び明るい光などの環境要因の有無のうちのいずれか又は全てを判断し、これらを用いてプライミングキューを出力すべきかどうかを判断し、出力すべき場合には、プライミングキューの強度を知的に決定することができる。
【0016】
上述したように、本明細書で説明する実施形態は、ユーザにアラートを発する前に1又はそれ以上のプライミングキューを提供する。各プライミングキューは、触覚プライミングキュー、視覚プライミングキュー、音声プライミングキュー、又はこれらのプライミングキューの様々な組み合わせとして与えられる刺激の形を取ることができる。プライミングキューは、ユーザが意識下又は潜在意識下のいずれかで知覚することができる。プライミングキューは、アラートの刺激を知覚するようにユーザの準備を整え、状況によっては、ユーザがアラートを知覚する反応時間を短縮することができる。いくつかの実施形態では、ユーザがプライミングキューに気付かない場合もあるが、代わりに知覚閾値を超える(例えば、十分に大きな、明るい、強力な、刺激的な)アラートを知覚しやすくなる意識の高い状態にユーザを置く。
【0017】
一般に、プライミングキューを構成する刺激は、プライミングキューの継続時間にわたって一様とすることも、プライミングキューの継続時間にわたって変化することも、或いはプライミングキューの継続時間の一部のみにわたって変化することもできる。一例として、時間と共に刺激を変化させることができる。例えば、継続時間中に、頻度、強度及び/又はリズムを変化させることができる。これに加えて又はこの代わりに、継続時間の一部又は全部にわたって刺激をパルス化する(強度を上下させる)こともできる。これに加えて又はこの代わりに、プライミングキューが、既知のパターン、音又は表示(画像など)を模倣することもできる。一例として、プライミングキューは、心拍を模倣することができる。場合によっては、電子装置が、ユーザから入力が受け取られるまで可変プライミングキューを出力することもできる。例えば、ユーザは、電子装置の画面にタッチし、或いは電子装置によって受け取られる別の形の入力を提供することができる。電子装置は、入力を受け取ったことに応答して、継続時間の一部又は全部にわたって一様なアラート、或いは継続時間の一部又は全部にわたって変化するアラートを出力することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、電子装置が、この電子装置の所与の距離内に位置する他の電子装置の存在を検出することができる。プライミングキューは、複数の電子装置にほぼ同時に提供することができる。一例として、ユーザグループが会議に出席し、これらのユーザの一部が、同じ理由でほぼ同時にプライミングキュー及びアラートを受け取ることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第三者機関がプライミングキューを作動させることができる。第三者機関は、ユーザに提供すべきプライミングキューのタイプ(例えば、触覚、音声、視覚、又はこれらの組み合わせ)を選択することができる。或いは、ユーザに提供されるプライミングキューのタイプは、ユーザが(例えば、基本設定メニューを用いて)自身の電子装置をどのように構成しているかに基づくこともできる。一例として、国家又は地域の非常時には、緊急アラートシステムがプライミングキュー及びアラートをトリガすることができる。或いは、レストランが、ユーザに席が空いている旨を知らせるためにプライミングキュー及びアラートをトリガすることもできる。別の例として、航空機システム又は路面電車システムなどの輸送システムが、飛行機が搭乗手続き中である旨、又は路面列車が駅に到着中又は駅から出発中である旨をユーザに知らせるためにプライミングキュー及びアラートをトリガすることもできる。
【0020】
これらの実装は、ユーザに対して1又はそれ以上の形の出力を生成するように構成された電子装置上で行うことができる。
図1は、ユーザにアラートを提供する前にプライミングキューを出力できる電子装置の一例の斜視図である。図示の実施形態では、電子装置100が、ウェアラブル通信装置として実装されている。このウェアラブル通信装置は、例えば、他の装置からの無線電子通信、及び/又は、以下に限定されるわけではないが、心拍データ、血圧データ、体温データ、酸素レベルデータ、食事/栄養情報、医学的注意喚起、健康関連の助言又は情報、又はその他の健康関連データなどの健康関連情報又はデータを提供するように構成することができる。
【0021】
他の実施形態では、電子装置を異なる形で実装することができる。例えば、電子装置を、スマートフォン、ゲーム装置、デジタル音楽プレーヤ、タブレットコンピュータ装置、及びユーザにアラートを提供する他のタイプのポータブル消費者電子装置とすることができる。
【0022】
電子装置100は、ディスプレイ104と、1又はそれ以上のボタン106又は入力装置とを少なくとも部分的に取り囲むエンクロージャ102を含む。エンクロージャ102は、電子装置100の内部構成要素のための外面又は部分的外面及び保護ケースを形成し、ディスプレイ104を少なくとも部分的に取り囲むことができる。エンクロージャ102は、前面要素及び後面要素などの、互いに動作可能に接続された1又はそれ以上の構成要素で形成することができる。或いは、エンクロージャ102は、ディスプレイ104に動作可能に接続された単一要素で形成することもできる。
【0023】
ディスプレイ104は、以下に限定されるわけではないが、液晶ディスプレイ(LCD)技術、発光ダイオード(LED)技術、有機発光ディスプレイ(OLED)技術、有機電界発光(OEL)技術、又は別のタイプのディスプレイ技術を用いたマルチタッチセンサ式タッチ画面を含む、あらゆる好適な技術を用いて実装することができる。
【0024】
ボタン106は、機械ボタン、ソフトボタン(例えば、物理的には動かずに入力を受け付けるボタン)、ディスプレイ又は入力領域上のアイコン又は画像などとすることができるホームボタンの形を取ることができる。これに加えて又はこの代わりに、ボタン106は、ユーザがウェアラブル通信装置100の1又はそれ以上の機能及び/又はアプリケーションと相互作用できるようにする入力/出力装置とすることもできる。スピーカ、マイク、オン/オフボタン、ミュートボタン又はスリープボタンなどの他の機構を入力/出力装置として使用することもできる。いくつかの実施形態では、ボタン106を、電子装置のカバーガラスの一部として一体化することができる。
【0025】
電子装置100は、バンド108に恒久的に又は取り外し可能に取り付けることができる。バンド108は、以下に限定されるわけではないが、レザー、金属、ゴム又はシリコン、ファブリック及びセラミックを含むあらゆる好適な材料で作製することができる。図示の実施形態では、このバンドが、ユーザの手首に巻き付けられるリストバンドである。このリストバンドは、ブレスレット金具、ベルクロ及び磁気コネクタなどの取り付け機構(図示せず)を含むことができる。他の実施形態では、このバンドを、ユーザの手にフィットして取り付け機構を含まないように弾性又は伸縮性とすることができる。
【0026】
図2は、
図1に示す電子装置100の例示的なブロック図である。電子装置100は、ディスプレイ104、1又はそれ以上の処理装置200、メモリ202、1又はそれ以上の入力/出力(I/O)装置204、1又はそれ以上のセンサ206、電源208、ネットワーク通信インターフェイス210、触覚感知装置211、並びにプライミング及びアラートシステム212を含むことができる。ディスプレイ104は、電子装置100のための画像出力又はビデオ出力を提供することができる。電子装置は、例えば、タッチセンサ式装置及び/又は指紋センサなどの1又はそれ以上の入力装置のための入力面を有することもできる。ディスプレイ104は、実質的にあらゆるサイズとすることができ、電子装置100の実質的にあらゆる場所に位置することができる。
【0027】
処理装置200は、電子装置100の動作の一部又は全部を制御することができる。処理装置200は、電子装置100の実質的に全ての構成要素と直接的又は間接的に通信することができる。例えば、システムバス又は信号線214、或いは他の通信機構が、(単複の)処理装置200、メモリ202、(単複の)I/O装置204、(単複の)センサ206、電源208、ネットワーク通信インターフェイス210、触覚感知装置211、及び/又はプライミング及びアラートシステム212間の通信を提供することができる。1又はそれ以上の処理装置200は、データ又は命令の処理、受信又は送信を行うことができるいずれかの電子装置として実装することができる。例えば、(単複の)処理装置200の各々は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、又はこのような装置の組み合わせとすることができる。本明細書に記載する「処理装置」という用語は、単一のプロセッサ又は処理装置、複数のプロセッサ、複数の処理装置、又はその他の好適に構成された1又は複数のコンピュータ要素を含むことを意味する。
【0028】
メモリ202は、電子装置100が使用できる電子データを記憶することができる。例えば、メモリは、オーディオ及びビデオファイル、文書及びアプリケーション、装置設定及びユーザ設定、プライミング及びアラートシステム212のタイミング及び制御信号又はデータ、データ構造又はデータベースなどの電子データ又はコンテンツを記憶することができる。メモリ202は、(単複の)処理装置200が実行できるアプリケーションプログラムを記憶することもできる。アプリケーションプログラムの例としては、以下に限定されるわけではないが、電話プログラム、電子メールプログラム、個人情報管理(PIM)プログラム、ワードプロセッシングプログラム、スプレッドシートプログラム、インターネットブラウザプログラム、メッセージングプログラムなどが挙げられる。メモリ202は、あらゆるタイプのメモリとして構成することができる。ほんの一例として、メモリは、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、フラッシュメモリ、取り外し可能メモリ、又は他のタイプの記憶素子、又はこのような装置の組み合わせとして実装することができる。
【0029】
1又はそれ以上のI/O装置204は、ユーザ又は別の電子装置との間でデータの送信及び/又は受信を行うことができる。
図1のボタン106は、I/O装置の一例である。(単複の)I/O装置204は、ディスプレイ104、トラックパッドなどのタッチセンサ式入力面、1又はそれ以上のボタン、1又はそれ以上のマイク又はスピーカ、1又はそれ以上のアクチュエータ、マイク用ポートなどの1又はそれ以上のポート、及び/又はキーボードを含むことができる。
【0030】
電子装置100は、電子装置100の実質的にあらゆる場所に位置する1又はそれ以上のセンサ206を含むこともできる。1又は複数のセンサ206は、以下に限定されるわけではないが、画像、圧力、光、接触、熱、位置、動きなどの実質的にあらゆるタイプの特性を感知するように構成することができる。例えば、(単複の)センサ206は、画像センサ、熱センサ、光又は光学センサ、圧力トランスデューサ、磁石、ジャイロスコープ、加速度計などとすることができる。
【0031】
電源208は、電子装置100にエネルギーを供給できるいずれかの装置を用いて実装することができる。例えば、電源208は、1又はそれ以上のバッテリ又は充電式バッテリ、或いは遠隔制御装置を壁コンセントなどの別の電源に接続する接続ケーブルとすることができる。これに加えて又はこの代わりに、電源208は、バッテリの再充電又は電子装置の動作のために電子装置に電力を供給する誘導エネルギー伝達システムなどの無線エネルギー伝達システムとすることもできる。
【0032】
ネットワーク通信インターフェイス210は、他の電子装置との間のデータの送信を容易にすることができる。例えば、ネットワーク通信インターフェイスは、無線及び/又は有線ネットワーク接続を介して電子信号を送信することができる。無線及び有線ネットワーク接続の例としては、以下に限定されるわけではないが、セルラー、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、IR及びイーサネット(登録商標)が挙げられる。
【0033】
触覚感知装置211は、例えば、1又はそれ以上のタッチ入力及び/又は力入力などの、ユーザからの触覚入力を受け取るように構成される。上述したように、ディスプレイ104は、マルチタッチセンサ式タッチ画面とすることができる。これに加えて又はこの代わりに、触覚感知装置211は、電子装置のユーザからの指紋データを取り込む指紋感知装置とすることもできる。いくつかの実施形態では、触覚感知装置211、又は触覚感知装置の構成要素を、電子装置100の1又はそれ以上の他の構成要素と一体化することができる。一例として、指紋知覚装置をディスプレイ104の少なくとも一部に含めることができる。別の例として、触覚感知装置を、トラックパッド又はその他のI/O装置204のタッチセンサ式入力面とすることもできる。
【0034】
プライミング及びアラートシステム212は、触覚モジュール216、音声モジュール218及び/又は視覚モジュール220を介してプライミングキュー及びアラートを提供するように適合することができる。本明細書で使用する「モジュール」は、特定の機能、動作及び/又は出力を有するハードウェア、ファームウェア又はソフトウェアコンポーネントとすることができる。いくつかのモジュールを互いに組み合わせることも、或いは共に一体化することもできると理解されたい。触覚モジュール216は、触覚フィードバックを生成する要素を含むことができ、この触覚フィードバックを生成する要素によって受け取られる信号を生成するように構成される。図示の実施形態では、触覚モジュール216が、触覚モジュール216からの信号を受け取る1又はそれ以上のアクチュエータ222を含む。(単複の)アクチュエータ222は、触覚モジュール216から受け取った信号に基づいて触覚フィードバック(振動など)を生成する。(単複の)アクチュエータは、I/O装置204の一部(例えば、
図1のエンクロージャ102又はバンド108の表面)としての触覚フィードバックを生成する。(単複の)アクチュエータは、1又は複数の方向に動いてユーザに触覚プライミングキューを提供することができる。例えば、アクチュエータは、水平方向に平行移動して(例えば、ユーザの手首に平行に又は手首の幅を横切って移動して)、ユーザが意識下又は潜在意識下で感知する1又はそれ以上のタップ又は振動を出力することができる。1又はそれ以上のアクチュエータ222は、あらゆる好適なアクチュエータとして構成することができる。非限定的な例として、アクチュエータ222は、線形電磁アクチュエータとすることができる。
【0035】
音声モジュール218は、可聴プライミングキュー及びアラートを生成するように構成される。音声モジュール218は、音声出力を生成する要素によって受け取られる信号を生成することができる。図示の実施形態では、音声モジュール218が、音声モジュール218からの信号を受け取り、受け取った信号に基づいて音声出力を生成するスピーカ224を含む。例示的な音声出力としては、以下に限定されるわけではないが、トーン及び楽曲が挙げられる。
【0036】
視覚モジュール220は、電子装置のユーザに視覚プライミングキュー及びアラートを提供するために使用することができる。図示の実施形態では、視覚モジュール220が、視覚モジュール220からの信号を受け取り、受け取った信号に基づいて視覚出力を生成する光源226を含むことができる。従って、光源226は、I/O装置204の一部とすることができる。あらゆる好適なタイプの光源を使用することができる。一例として、1又はそれ以上の発光ダイオードを光源とすることができる。
【0037】
これに加えて又はこの代わりに、視覚モジュール220は、受け取った信号に基づいてディスプレイに視覚出力を生成させる信号をディスプレイ104に送信することができる。一例として、ディスプレイは、ディスプレイの周辺部又は縁部のみの周囲に、或いはディスプレイの縁部の一部(1つ又は2つ)に沿って視覚プライミングキューを出力することができる。
【0038】
プライミング及びアラートシステム212には、処理装置228を含めることができる。処理装置228は、あらゆる好適なタイプの処理装置とすることができる。処理装置228は、プライミング及びアラートシステム212内の各モジュール216、218、220のための信号を供給することができる。1つの実施形態では、アクチュエータ222、スピーカ224及びディスプレイ104のための信号をメモリ202に記憶して、この信号に処理装置228がアクセスすることができる。
【0039】
別の実施形態では、処理装置228がプライミング及びアラートシステム212に含まれず、処理装置200がモジュール216、218、220に信号を供給する。これに加えて又はこの代わりに、処理装置200及び228は、複合処理又は分散処理によって信号を制御してモジュール216、218、220に供給することもできる。
【0040】
いくつかの実施形態では、外部装置232内の処理装置230が、プライミング及びアラートシステム212に、ユーザにプライミングキュー及び/又はアラートを提供させることができる。処理装置230は、例えば、処理装置230に動作可能に接続されたネットワーク/通信インターフェイス234(Wi−Fi、セルラー、Bluetooth(登録商標)など)を用いて電子装置100に信号を送信することができる。後でより詳細に説明するように、レストラン又は公共輸送システムなどの第三者機関によって操作される処理装置が、ユーザにプライミング及び/又はアラートを提供するようにプライミング及びアラートシステム212をトリガすることもできる。
【0041】
従って、アラートは、装置が外部ソースからデータ(テキストメッセージ、電子メール、通話コール及び警告システムなど)を受け取った時、(例えば、ユーザ入力が要求されている旨を示すための)アプリケーションによって、一定の時刻(例えば、カレンダー入力が発生する時刻)に達した時、電子装置の動作状態(例えば、低バッテリ充電、装置のオペレーティングシステムのアップグレード、装置の温度が一定のレベルに達したことなど)によって、ユーザが開始した設定(ある時点で発生するように設定されたアラーム)を通じて、地理的要因(特定の地域への出入り)によって、及び近接性(別の電子装置を有する別の人物が近くに存在する時)などによって生成することができる。これらの及びその他のアラート条件は、本文書の全体を読んだ時に理解されるであろう。
【0042】
図3に、プライミングキューの波形300及びアラートの波形302の両方を含む、サンプル電子装置からのサンプル出力を示す。図示のように、プライミングキューは、ユーザの注意を実際に出力側電子装置に引き付けるようには設計されず、ユーザを高い意識又は潜在意識の状態に置くように設計されるので、プライミングキュー300の振幅は、アラート302の振幅よりも大幅に小さくすることができる。また、図示のプライミングキュー300は、時間と共に振幅が増加している。しかしながら、プライミングキュー300の最大振幅は、アラート302の(単複の)振幅未満に留まる。他の実施形態では、プライミングキュー300を、ある時間にわたって一定とすることができる。従って、上述したように、プライミングキューは、実際にアラートが発生した時にユーザがアラートに気付きやすくすることができる。
【0043】
これに加えて又はこの代わりに、アラート302の振幅も時間と共に変化することができ、或いは一定の振幅を有することができる。
図3に示すアラート302は、第1の振幅から第2の最大振幅まで増加する。他の実施形態では、アラートが出力されている時間全体にわたって徐々に振幅を増加させることができる。或いは、アラートの振幅を一定に留めることもできる。この一定の振幅は、最大振幅、又は最大振幅よりも小さな振幅とすることができる。
【0044】
やはり
図3に示すように、プライミングキューの波形300とアラートの波形302は、時間遅延304によって分離することができる。遅延304は、プライミングキューは終了したが、他に何も動作が生じなかった場合に、ユーザに予知反応を引き起こすことができる。遅延304は、プライミングキューとアラートが互いに混合されないことを確実にする。この時間遅延は完全に任意であり、実施形態によっては省略することもできると理解されたい。
【0045】
いくつかの実施形態では、時間遅延304が、プライミングキューを生成した要素がアラートの生成に使用される前の公称状態又は安定状態に戻るのを可能にすることができる。一例として、プライミングキューを出力するためのアクチュエータは、プライミングキューの波形を受け取ることができる。時間遅延は、アクチュエータがアラート波形を受け取る前の安定状態に戻るのを可能にすることができる。アクチュエータが安定状態に戻れるようにすることにより、アクチュエータ内の可動要素が、予測できない形又は望ましくない形で動かないことが確実になる。
【0046】
ここで
図4を参照すると、アラートの生成前にプライミングキューを出力する第1の方法のフローチャートが示されている。まず、ブロック400に示すように、電子装置が、ユーザに提供されるアラートに関連する動作の発生を検出し、又はユーザに提供されるアラートを生成する。一例として、この動作は、電子メール又はテキストメッセージの受信とすることができる。別の例として、この動作は、カレンダー入力のためのリマインダとすることができる。
【0047】
次に、ブロック402において、動作の発生又は不発生を検出したことに基づいて、プライミングキューを出力すべきか否かを判断することができる。いくつかの実施形態では、電子装置が特定の要因を検出し、この要因に基づいてユーザにプライミングキューを提示すべきか否かを判断することができる。一例として、電子装置は、所与の期間内にユーザが電子装置を操作しなかったことを検出することができる。例えば、ユーザが所与の期間にわたってタッチ画面上に入力を提供していなかったり、最近装置に音声コマンドを提供していなかったり、或いは一定期間内に他の何らかのタイプの入力を提供していたり(又はしていなかったり)することがある。或いは、電子装置に関連する1又はそれ以上のセンサ(
図2のセンサ206など)が、所与の期間内に電子装置が動いたことを示す出力を生成していないこともある。さらに別の選択肢として、装置は、環境センサを通じて環境面を判断し、このデータを用いて、プライミングキューがアラートの知覚を容易にするか否かを判断することができる。例えば、暗い環境では、このような状況によって視覚アラートの影響が増幅されるので、視覚アラートの前にプライミングキューを提供する必要がない場合もある。静かな環境での音声アラートに関しても同様である。逆に、環境要因(騒音、光など)によっては、装置がプライミングキューを起動する可能性を高めるものもある。
【0048】
いくつかの実施形態では、モーションセンサを用いて、ユーザが歩いているかどうか、走っているかどうか、又は身体活動を行っているかどうかを判断することができる。そうであれば、ユーザは、自身の注意力のかなりの部分を占める活動を行っているので、装置がプライミングキューを起動する可能性が高くなると考えられる。いくつかの実施形態では、PPGセンサなどの生体測定センサを用いて、活動がどれほど激しいかを判断するためにユーザの心拍数を追跡し、このデータを用いてプライミングキューの強度を修正することができる。同様に、装置のセンサが皮膚コンダクタンスを測定して、装置がどれほどユーザの皮膚に近いかを判断することもでき、値が高いほど装置と皮膚の間の結合が緩く、及び/又は距離が遠いことを示すことができる。この場合も、このようなデータを用いてプライミングキューを起動すべきか否かを判断し、プライミングキューの強度を決定することができる。同様に、モーションセンサを用いて、例えば最近ユーザが装置を手に取ったかどうか、或いはユーザが装置に目を向けていることを示す位置に装置を保持しているかどうかなどの、ユーザによる電子装置への関与を判断することができる。このような場合、装置は、プライミングキューを生成しないこと、又はプライミングキューの強度を軽減することを決定することができる。
【0049】
ブロック402においてプライミングキューを出力すべきであると判断された場合、ブロック404においてプライミングキューが生成される。プライミングキューは、ユーザに与えられる1又はそれ以上の刺激の形を取ることができる。例えば、触覚プライミングキューの形の刺激をユーザに与えることができる。触覚プライミングキューは、状況によっては視覚又は音声プライミングキューに比べて個人性及び私的性が高いと考えられる。触覚プライミングキューの代わりに、又はこれに加えて、ブロック404において音声プライミングキュー及び/又は視覚プライミングキューを生成することもできる。
【0050】
上述したように、プライミングキューは、ユーザが意識下又は潜在意識下で知覚することができ、明確にユーザの注意をプライミングキューに引き付けることなく潜在的又は無意識的にユーザの意識を高めることができる。プライミングキューは、ユーザの意識を高め、或いはアラートを感知しやすい又は受け入れやすい状態にユーザを置くことができる。1つの実施形態では、プライミングキューの継続時間全体にわたってプライミングキューを知覚できないように、又は辛うじて知覚できるようにすることができる。別の実施形態では、継続時間の一部にわたってプライミングキューを知覚できないように、又は辛うじて知覚できるようにし、継続時間の残り部分では知覚できるようにすることができる。さらに別の実施形態では、プライミングキューの継続時間にわたってプライミングキューを知覚できるようにすることができる。
【0051】
ブロック406において、所与の第1の期間を経過することができる。プライミングキューは、ブロック406の前に終了することも、或いはこの待機期間の一部又は全部にわたって継続することもできる。ブロック406では、あらゆる好適な時間を用いることができる。いくつかの実施形態では、この時間が、各プライミングキューについて一定である。他の実施形態では、この時間が、プライミングキューの1つ又はそれ以上の特徴に応じて変化することができる。例えば、プライミングキューのタイプ(触覚、音声又は視覚)、プライミングキューの継続時間、及び/又はプライミングキューの刺激の強度がブロック406の時間に影響を与えることができる。刺激の強度が強い又は大きい時には、ブロック406における経過時間を短くすることができる。逆に、刺激の強度が弱い時には、ブロック406における経過時間を長くすることができる。別の例として、プライミングキューの刺激の継続時間が長い時には、ブロック406における経過時間を短くすることができ、刺激の継続時間が長い時には、経過時間を長くすることができる。
【0052】
これに加えて又はこの代わりに、ブロック406における時間は、生成すべき第1のアラートの1又はそれ以上の特徴に応じて変化することもできる。例えば、ブロック406では、アラートのタイプ(例えば、触覚、視覚又は音声)、継続時間、及び/又はアラート刺激の強度が時間に影響を与えることができる。刺激の強度が弱い時には、ブロック406における経過時間を短くすることができる。逆に、刺激の強度が大きい時には、ブロック406における経過時間を短くすることができる。別の例として、アラートの刺激の継続時間が長い時には、ブロック406における経過時間を短くすることができ、刺激の継続時間が長い時には、経過時間を長くすることができる。
【0053】
ブロック402においてプライミングキューが出力される予定でない場合、又はブロック406において所与の時間が経過した後、ブロック408においてアラートが生成される。ブロック408においてユーザに出力される第1のアラートは、プライミングキューと同じ様式又は異なる様式を有することができ、或いはアラートの一部とプライミングキューの一部の様式を同じにすることもできる。一例として、ブロック404において触覚プライミングキューが提供され、ブロック408において触覚アラートが生成される場合、プライミングキューとアラートは同じ様式を有する。別の例として、ブロック404において触覚プライミングキューが提供され、ブロック408において音声アラートが提供される場合、プライミングキューとアラートは異なる様式である。別の例として、ブロック404において触覚プライミングキューが提供され、ブロック408において音声及び触覚アラートが提供される場合、プライミングキューの一部とアラートの一部の様式が同じものになり得る。
【0054】
ユーザに第2のアラートを出力する(ブロック412)前に、ブロック410において所与の第2の期間を経過することができる。この第2の期間は固定又は可変とすることができ、ブロック406における第1の期間と同じ時間又は異なる時間とすることができる。ブロック410において経過する時間には、第1のアラート及び/又は第2のアラートの1又はそれ以上の特徴が影響を与えることができる。例えば、第1及び/又は第2のアラートの刺激タイプ(触覚又は音声など)、刺激の強度及び/又は刺激の継続時間が第2の期間の時間に影響を与えることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、第2のアラートの選択について、第2の期間をゼロにし、第2のアラートを第1のアラートと組み合わせて合成アラートを形成することができる。換言すれば、2つのアラートを同期させて、第1のアラートの直後に第2のアラートをユーザに出力することができる。一例として、触覚アラートの直後に音声アラートをユーザに提供することができる。第2のアラートの選択は、第1のアラートの1又はそれ以上の特徴に基づいて行うことができる。例えば、第1のアラートの刺激タイプ(触覚又は音声など)、刺激の強度、及び/又は刺激の継続時間が、ブロック410における第2の所与の期間の時間に影響を与えることができる。いくつかの実施形態では、アラート条件に少なくとも部分的に基づいて第2のアラートを選択することができる。異なるタイプのアラートは、異なるアラート条件を有する。一例として、増加した又は高い強度で生成された触覚アラートの後に第2の期間を設けて、アクチュエータが第2のアラートを生成する前にアクチュエータの可動要素を安定させることができる。
【0056】
これに加えて又はこの代わりに、第1のアラートとほぼ同時に第2のアラートをユーザに提供することもでき、或いは第1のアラートの時間と一部重ねて第2のアラートを提供することもできる。
【0057】
ブロック412においてユーザに提供される第2のアラートの1又は複数の特徴には、第1のアラートの1又はそれ以上の特徴が影響を与えることもできる。例えば、第1のアラートの刺激タイプ(触覚又は音声など)、刺激の強度、及び/又は刺激の継続時間が、第2のアラートの刺激タイプ、刺激の強度、及び/又は刺激の継続時間に影響を与えることができる。いくつかの実施形態では、第2のアラートをユーザに提供しないようにすることもできる。例えば、第2のアラートをユーザに提供せずに第1のアラートを選択することができる。或いは、第2のアラートをユーザに提供しないように電子装置を構成することもできる。別の例として、第2のアラートの前には、その固有のプライミングキューを提供しても又はしなくてもよく、電子装置は、本明細書の他の箇所で説明するものと同じパラメータ及び分析を用いて、(第1のアラートと第2のアラートを同時に提供しない場合に)第2のアラートの前に第2のプライミングキューを提供するかどうかを判断することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、2つもより多くのアラートをユーザに出力することができる。各アラートは、一定の期間によって分離することも、或いはアラート間に時間的中断を設けずに、いくつかのアラートを合成アラートとしてユーザに提供することもできる(例えば、同時に、連続して、又は時間的に一部重ねてアラートを提供することができる)。いくつかの実施形態では、一定数のアラートが生成された後に、第2のプライミングキューをユーザに提供することができる。一定数のアラート後にプライミングキューを追加すると、ユーザが「アラート疲れ」を発症してアラートがユーザの不快又はイライラの原因になる可能性を抑えることができる。
【0059】
図5は、電子装置内でアラートが生成される前にプライミングキューを出力する第2の方法のフローチャートである。まずブロック500において、電子装置は、アラートに関連する又はアラートを生成する動作の発生を検出することができる。或いは、電子装置は、ブロック500において、動作の不在を検出することもできる。次に、ブロック502において、ユーザにプライミングキューを出力すべきか否かを判断することができる。出力すべき場合、ブロック502において、ユーザにプライミングキューが出力される。
【0060】
ブロック504において、ユーザがプライミングキューに反応したか否かを判断することができる。一例として、ユーザは、タッチ画面又は電子装置のエンクロージャの所与の範囲にタッチしてプライミングキューに応答することができる。或いは、ユーザは、ジェスチャを行ってプライミングキューに応答することもできる。別の例として、電子装置の画像センサを用いてユーザの視線をモニタすることもできる。例えば、ユーザが所与の期間にわたって電子装置に目を向けていなかった場合、プライミングキューを出力することができる。或いは、モーションセンサ(例えば、ジャイロスコープ、加速度計、磁気探知機など)が、所与の期間にわたって電子装置の動きがなかったことを検出することもでき、所与の期間にわたって電子装置が動いていない場合、プライミングキューを生成することができる。
【0061】
ブロック504において、ユーザからの応答が受け取られなかった場合、処理はブロック506に進み、ユーザにプライミングキューを提供するための時間が失効したか否かを判定する。失効していない場合、ブロック508において、プライミングキューの刺激の少なくとも1つの特徴を修正し、方法はブロック504に戻ることができる。例えば、ブロック508では、刺激のタイプを変更し、及び/又は刺激の継続時間を延ばすことができる。
【0062】
ユーザにプライミングキューを提供するための時間が失効している場合、電子装置は、ブロック510において対策を講じることができる。例えば、電子装置は、所与の時間にわたって待機した後に、同じプライミングキュー又は異なるプライミングキューを再び提供することができる。或いは、電子装置は、電子装置の1又はそれ以上のセンサから受け取られた出力に基づいて、ユーザがプライミングキューを知覚できない、又は電子装置を携帯していないと判断することができる。一例として、1又はそれ以上のセンサからの出力を用いて、電子装置に関連する環境条件の騒音レベル及び/又は光レベルを判断又は推定することができる。電子装置は、これらの騒音レベル及び/又は光レベルに基づいて、ユーザがプライミングキューを知覚できないと判断し、ユーザへのプライミングキューの提供を中止することができる。
【0063】
これに加えて又はこの代わりに、1又はそれ以上のセンサからの出力を用いて、電子装置の動きレベルを求めることもできる。電子装置は、この動きレベル(例えば、所与の時間にわたって動いていないこと)に基づいて、ユーザが電子装置を携帯していないと判断することができる。或いは、動きレベルが高い(例えば、ユーザが運動中である)場合、電子装置は、ユーザがプライミングキューを知覚できないと判断し、プライミングキューの出力を中止することができる。別の例として、電子装置の処理装置が、例えば電源コード又は無線エネルギー伝送システムを用いてバッテリが充電中であることを検出し、ユーザが電子装置を携帯していないと判断することもできる。
【0064】
ブロック502及び504に戻り、ブロック502においてプライミングキューを出力する予定でない場合、又はブロック404においてプライミングキューに基づいて応答が受け取られた場合、処理はブロック512に進んでユーザにアラートが出力される。このアラートは、単一のアラート(例えば触覚アラート)とすることも、或いは合成アラートを形成するアラートの組み合わせとすることもできる。アラートの組み合わせは、同じ又は異なる様式を有することができ、一定期間によって分離することも、又は分離しないこともできる。
【0065】
次に、ブロック514において、ユーザがアラートに反応したか否かを判断することができる。反応しなかった場合、処理はブロック516に進み、ユーザにアラートを提供するための時間が失効したか否かを判定する。失効していない場合、ブロック518においてアラートの刺激の1又はそれ以上の特徴を修正し、方法はブロック514に戻ることができる。例えば、ブロック518では、刺激のタイプを変更し、及び/又は刺激の継続時間を延ばすことができる。
【0066】
アラートを提供するための時間が失効している場合、電子装置は、ブロック520において対策を講じることができる。プライミングキューと同様に、電子装置は、所与の時間にわたって待機した後に、同じ又は異なるアラートを再び提供することができる。或いは、電子装置は、電子装置の1又はそれ以上のセンサから受け取られた出力に基づいて、ユーザがアラートを知覚できない、又は電子装置を携帯していないと判断することができる。これに加えて又はこの代わりに、1又はそれ以上のセンサからの出力を用いて電子装置の動きレベルを求めることもでき、電子装置は、この動きレベルに基づいて、ユーザが電子装置を携帯していない、又はアラートを知覚できないと判断することができる。
【0067】
ここで
図6を参照すると、電子装置上でアラートが受け取られる前にユーザグループにプライミングキューを出力する方法が示されている。いくつかの実施形態では、プライミングキューとアラートを、同じ理由でほぼ同時にユーザグループに送信することができる。まず、ブロック600に示すように、電子装置は、電子装置からの所与の距離内に位置する1又はそれ以上の他の電子装置の存在を検出する。他の電子装置の存在を検出する電子装置は、ユーザグループ内のユーザのうちの1人の電子装置、又はユーザグループ内の電子装置と通信している別個の電子装置とすることができる。一例として、電子装置は、Bluetooth(登録商標)などのネットワーク通信インターフェイス(
図2のネットワーク通信インターフェイス210など)を用いて別の電子装置を検出することができる。
【0068】
次に、ブロック602において、アラートが2又はそれ以上の電子装置によって受け取られる予定であるか否かを判断することができる。受け取られる予定である場合、ブロック604において、これらの電子装置がプライミングキューを出力すべきか否かを判断することができる。出力すべき場合、ブロック606において、これらの電子装置が、目前のイベント又は動作に基づいてプライミングキューを出力する。各電子装置が同じタイプのプライミングキューを生成することも、或いは1又はそれ以上の電子装置が異なるプライミングキューを出力することもできる。電子装置によって出力されるプライミングキューのタイプは、ユーザが(例えば、基本設定メニューを通じて)電子装置をどのように構成しているかに基づくことができる。上述したように、プライミングキューは、ユーザの注意を向け又は集中させて、後で受け取られるアラートの刺激を意識下又は潜在意識下のいずれかで知覚するようにユーザの準備を整えることができる。プライミングキューは、ユーザが後続のアラートを知覚する反応時間を短縮することができる。
【0069】
ブロック610において電子装置がアラートを出力する前に、ブロック608において第1の所与の期間を経過することができる。この場合も、各ユーザが同じ時間を経過することも、或いはブロック608において1又はそれ以上のユーザが異なる時間を使用することもできる。ブロック608において経過する時間は、アラートの刺激のタイプ、及び/又はユーザが(例えば、基本設定メニューを通じて)自身の電子装置をどのように構成しているかに基づくことができる。
【0070】
ブロック608では、あらゆる好適な時間を使用することができる。いくつかの実施形態では、この時間が、各プライミングキューについて一定である。他の実施形態では、この時間が、電子装置が出力するプライミングキュー及び/又はアラートの1又はそれ以上の特徴に応じて変化することができる。例えば、プライミングキューの刺激の強度がブロック608の時間に影響を与えることができる。刺激の強度が強い又は大きい時には、ブロック608における経過時間を短くすることができる。別の例として、プライミングキューの刺激の継続時間が長い時には、ブロック608における経過時間を短くすることができ、刺激の継続時間が長い時には、経過時間を長くすることができる。
【0071】
ブロック610において出力されるアラートは、プライミングキューと同じ様式又は異なる様式を有することができる。また、アラートは、単一のアラートとすることも、或いは合成アラートを形成するアラートの組み合わせとすることもできる。合成アラートにおけるアラートの組み合わせは、同じ又は異なる様式を有することができ、一定期間によって分離することも、或いはしないこともできる。アラートを提供するイベント、アラートのタイプ、及び/又はユーザが自身の電子装置をどのように構成しているかに応じて、一部のユーザが単一のアラートを受け取り、他のユーザがアラートの組み合わせを受け取ることもできる。
【0072】
図7は、電子装置上でアラートが出力される前に第三者機関がプライミングキューを生成する方法のフローチャートである。まず、ブロック700において、第三者機関がプライミング及びアラートシステムを起動することができる。一例として、第三者機関に関連する処理装置(
図2の処理装置230など)が、ユーザの電子装置のプライミング及びアラートシステムを作動させる信号を送信することができる。
【0073】
次に、ブロック702において、プライミングキューを生成すべきかどうかを判断することができる。生成すべきでない場合、処理はブロック706に進む。プライミングキューを生成すべき場合、ブロック704においてプライミングキューを出力することができる。いくつかの実施形態では、第三者機関が、ユーザに提供すべきプライミングキューのタイプ(例えば、触覚、音声、視覚又はこれらの組み合わせ)を選択することができる。或いは、ユーザに提供されるプライミングキューのタイプは、ユーザが(例えば、基本設定メニューを用いて)自身の電子装置をどのように構成しているかに基づくこともできる。
【0074】
次に、ブロック706及び708に示すように、第三者機関は、電子装置にメッセージを送信し、このメッセージと共にアラートを出力することができる。この場合も、第三者機関は、ユーザに提供すべきアラートのタイプ(例えば、触覚、音声、視覚又はこれらの組み合わせ)を選択することができる。或いは、ユーザに提供されるアラートのタイプは、ユーザが自身の電子装置をどのように構成しているかに基づくこともできる。
【0075】
一例として、国家又は地域の非常時には、緊急アラートシステムがプライミング及びアラートシステムを起動することができる。或いは、AMBERアラートシステムなどの無線緊急アラートシステムが、電子装置内のプライミング及びアラートシステムを起動することもできる。別の例として、レストランが、ユーザに席が空いている旨を知らせるためにプライミング及びアラートシステムを起動することもできる。また、航空機システム又は路面電車システムなどの輸送システムが、飛行機が搭乗手続き中である旨、又は路面列車が駅に到着中又は駅から出発中である旨をユーザに知らせるためにプライミング及びアラートシステムを起動することもできる。
【0076】
ここで
図8を参照すると、プライミングキュー及びアラートを識別して出力する方法を示している。
図8の方法は、
図4〜
図7に示す方法のうちのいずれか1つと共に使用することができる。まず、ブロック800に示すように、プライミングキューを出力すべきか否かを判断することができる。出力すべきでない場合、処理はブロック808に進む。プライミングキューを生成すべき場合、ブロック802において、プライミングキューのタイプを識別する。プライミングキューのタイプは、1又はそれ以上の要因に基づいて識別することができる。一例として、ブロック802で識別されるプライミングキューのタイプには、生成すべきアラートのタイプが影響を与えることができる。これに加えて又はこの代わりに、プライミングキューのタイプは、ユーザによって設定される基本設定に基づくこともできる。一例として、ユーザは、プライミングキューの生成をもたらす動作を選択し、この選択した動作に異なるタイプのプライミングキューを関連付けることができる。電子メールの受信に関して1つのタイプのプライミングキューを生成し、テキストメッセージの受信に関して別のタイプのプライミングキューを出力することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、ブロック802で識別されるプライミングキューのタイプを、装置メーカー又はユーザが設定したデフォルトプライミングキューとすることができる。ブロック802で識別されるプライミングキューのタイプには、環境条件が影響を与えることもできる。例えば、1又はそれ以上のセンサからの出力を用いてプライミングキューのタイプを決定することができる。例えば、暗い環境では、このような状況によって視覚アラートの影響が増幅されるので、視覚アラートの前にプライミングキューを提供する必要がない場合もある。静かな環境での音声アラートに関しても同様である。逆に、環境要因(騒音、光など)によっては、装置がプライミングキューを起動する可能性を高めるものもある。或いは、温度又は湿度に基づいて、ユーザによって知覚されやすいプライミングキューを選択することもできる。例えば、低い温度では、追加の衣類(重いコート及び帽子又は耳あて)により、及び/又は寒い気温によってプライミングキューに対するユーザの感度が低下するので、ユーザがプライミングキューを知覚するのが困難になり得る。この状況例では、ユーザが知覚しやすいプライミングキューを(例えば、処理装置によって)選択することができる。
【0078】
これに加えて又はこの代わりに、上述したように、電子装置は、所与の期間内にユーザが電子装置を操作しなかったことを検出し、この情報を用いてプライミングキューのタイプを識別することができる。例えば、ユーザが所与の期間にわたってタッチ画面上に入力を提供していなかったり、最近装置に音声コマンドを提供していなかったり、或いは一定期間内に他の何らかのタイプの入力を提供していたり(又はしていなかったり)することがある。別の選択肢として、装置は、環境センサを通じて環境面を判断し、このデータを用いて、アラートの知覚を容易にするプライミングキューのタイプを決定することができる。いくつかの実施形態では、モーションセンサを用いて、ユーザが歩いているかどうか、走っているかどうか、又は身体活動を行っているかどうかを判断することができる。そうであれば、装置は、ユーザによって知覚されやすいプライミングキューを識別することができる。
【0079】
次に、ブロック804において、識別したプライミングキューを出力する。ブロック808においてアラートのタイプを識別する前に、ブロック806において任意に所与の期間を経過することができる。プライミングキューと同様に、アラートのタイプも、1又はそれ以上の要因に基づいて識別することができる。ブロック804においてプライミングキューが生成された場合、ブロック804で出力されたプライミングキューのタイプが、ブロック808で識別されるアラートのタイプに影響を与えることができる1つの要因となる。これに加えて又はこの代わりに、電子装置は、プライミングキューのタイプの識別に関連して説明した要因例のうちの1つ又はそれ以上を用いて、ブロック808のアラートタイプを識別することもできる。その後、ブロック810において、識別したアラートを出力する。
【0080】
様々な実施形態について、そのいくつかの特徴を参照しながら詳細に説明したが、本開示の思想及び範囲内において変形及び修正が可能であると理解されるであろう。本明細書では特定の実施形態について説明したが、本出願はこれらの実施形態に限定されるものではない。具体的には、矛盾が生じなければ、1つの実施形態に関して説明したあらゆる特徴を他の実施形態で用いることもできる。同様に、矛盾が生じなければ、異なる実施形態の特徴を交換し合うこともできる。