特許 6223399 膜モジュール取外し装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6223399

(24)【登録日】2017年10月13日

(45)【発行日】2017年11月1日

(54)【発明の名称】膜モジュール取外し装置

(51)【国際特許分類】

   B01D 65/00 20060101AFI20171023BHJP

   B01D 65/02 20060101ALI20171023BHJP

   C02F 1/44 20060101ALI20171023BHJP

【ＦＩ】

   B01D65/00

   B01D65/02 520

   C02F1/44 A

【請求項の数】4

【全頁数】22

(21)【出願番号】特願2015-185169(P2015-185169)

(22)【出願日】2015年9月18日

(65)【公開番号】特開2017-56433(P2017-56433A)

(43)【公開日】2017年3月23日

【審査請求日】2017年5月15日

(73)【特許権者】

【識別番号】000120401

【氏名又は名称】荏原実業株式会社

(73)【特許権者】

【識別番号】000116404

【氏名又は名称】阿波製紙株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100091498

【弁理士】

【氏名又は名称】渡邉 勇

(74)【代理人】

【識別番号】100118500

【弁理士】

【氏名又は名称】廣澤 哲也

(72)【発明者】

【氏名】加太 孝幸

(72)【発明者】

【氏名】石川 智仁

(72)【発明者】

【氏名】中川 浩一

(72)【発明者】

【氏名】宮本 高志

【審査官】 ▲高▼ 美葉子

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１４−１８８４４１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１１−２５５３０５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２０１３／０２２１５４６（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 特開２００２−１８６８３８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平１１−３０９３５０（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００６−１７５４１２（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１４−０４６２７５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 実開平０６−０６０４３０（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ０１Ｄ ５３／２２

Ｂ０１Ｄ ６１／００−７１／８２

Ｃ０２Ｆ １／４４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

処理槽に浸漬される膜モジュールをケーシングから取り外す膜モジュール取外し装置であって、
フレームと、
前記フレームに固定され、前記フレームから下方に延びる吊下部材と、
前記吊下部材に接続された、前記膜モジュールの吊上部材に係合可能な係合機構と、
前記ケーシングの両側に配置された第１ガイド棒および第２ガイド棒にそれぞれ接触可能な支持面を有する第１ガイド受け部材および第２ガイド受け部材と、
前記第１ガイド棒および前記第２ガイド棒にそれぞれ接触可能な支持面を有する第３ガイド受け部材および第４ガイド受け部材と、を備え、
前記第１ガイド受け部材、前記第２ガイド受け部材、第３ガイド受け部材、および第４ガイド受け部材は、前記フレームに固定されており、
前記第１ガイド受け部材は、前記第３ガイド受け部材の上方に位置し、前記第２ガイド受け部材は、前記第４ガイド受け部材の上方に位置していることを特徴とする膜モジュール取外し装置。

【請求項2】

前記吊下部材と前記係合機構との間に着脱可能に取り付けられる延長部材をさらに有することを特徴とする請求項１に記載の膜モジュール取外し装置。

【請求項3】

前記フレームは、上側フレーム部材と、下側フレーム部材と、上側フレーム部材を下側フレーム部材に接続するサイドフレーム部材を有しており、
前記下側フレーム部材は、
前記吊下部材が接続される下側フレーム基体と、
前記下側フレーム基体と着脱可能であり、前記サイドフレームに接続される下側フレーム側体とを有し、
前記下側フレーム基体と、前記下側フレーム側体との間に着脱可能に取り付けられる下側フレーム延長部材をさらに有することを特徴とする請求項１に記載の膜モジュール取外し装置。

【請求項4】

前記第１ガイド棒および前記第２ガイド棒は、前記膜モジュールに配置された膜エレメントに固体が付着することを防止するための洗浄空気の気泡を供給する空気供給配管から構成されることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の膜モジュール取外し装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、上水処理や下水の高度処理などに用いられる水処理槽や、活性汚泥が含まれる活性汚泥槽などの処理槽内に設置された膜モジュールをケーシングから取外す膜モジュール取外し装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、有機物を含む廃水を活性汚泥により処理する活性汚泥法が知られている。有機物を含んだ廃水には、例えば、下水や食品工場からの廃水などが含まれる。この活性汚泥法では、微生物からなる活性汚泥が収容された活性汚泥槽に廃水を供給し、該活性汚泥槽内の活性汚泥により廃水中の有機物を分解する。有機物が分解された廃水は、活性汚泥と共に沈殿槽に供給され、該沈殿槽で上澄み液と沈殿した活性汚泥とに分離される。上澄み液は、例えば、河川に放出される一方で、沈殿した活性汚泥は、活性汚泥槽に戻される。

【0003】

近年、活性汚泥槽内にろ過ユニットを配置した膜分離活性汚泥法が注目されている。ろ過ユニットは、膜モジュールと、この膜モジュールを収容するケーシングとを有し、膜モジュールでは、複数の膜エレメントが所定の間隔を開けて並列に配置される。さらに、ろ過ユニットは、ケーシングの下方に配置される散気装置を有し、該散気装置によって、膜エレメントが洗浄される。

【0004】

膜エレメントは、例えば、処理水の流路を兼ねた支持材と、該支持材の両面に配置される２枚の膜とにより構成される。これら２枚の膜の外縁は互いに溶着または接着される。膜には、多数の微小な通孔が形成されており、膜エレメントの流路を兼ねた支持材は、これら微小な通孔を介して膜エレメントの外部と連通している。活性汚泥および大腸菌などのバクテリアや、懸濁物質はこれらの通孔を通過することができないが、水や溶解成分はこれらの通孔を通過することができる。なお、膜エレメントは、２枚の膜と、該膜の外縁を固定する枠体とで構成されるものもある。

【0005】

膜エレメントの流路を兼ねた支持材は、ポンプなどの吸引装置に接続されている。吸引装置を運転すると、活性汚泥および大腸菌などのバクテリアや、懸濁物質が分離された水が膜エレメントの流路を兼ねた支持材に流入し、その後、吸引ホース、吸引ヘッダー、および吸引装置を通って排出される。膜エレメントから排出される水は、活性汚泥および大腸菌などのバクテリアや、懸濁物質が含まれない清澄な水であるため、沈殿槽を介さずに河川などの公共水域に放出することができる。また、膜エレメントから排出される水は、散水またはトイレのフラッシング水などに利用することができる。

【0006】

このように、膜エレメントを用いて活性汚泥と水とを分離する膜分離活性汚泥法によれば、沈殿槽が不要になるため、廃水処理設備の設置面積を減少させることができる。また、膜分離活性汚泥法によって処理された水は、清澄な水であるため、凝集沈殿および／または砂ろ過などを行う高度処理設備が不要であり、さらに、この水を様々な用途に再利用することができる。

【0007】

並列に配置された複数の膜エレメントを有する膜モジュールは、上水処理や下水の高度処理の水処理槽に使用されることもあり、膜エレメントにより、懸濁物質が分離された水を得ることができる。本明細書では、上水処理や下水の高度処理などに用いられる水処理槽や、活性汚泥が含まれる活性汚泥槽などの膜モジュールが浸漬される槽を「処理槽」と総称する。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

しかしながら、処理槽に浸漬される膜モジュールの定期的なメンテナンスおよび／または交換が必要である。膜モジュールのメンテナンスおよび／または交換を実施するときは、少なくとも膜モジュールの上部が処理槽の液面から露出するまで、処理槽の液面を低下させなければならない。したがって、膜モジュールのメンテナンスおよび／または交換をしている間は、処理槽に流入する液体の処理を行うことができないという問題があった。

【0009】

本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、水処理槽や活性汚泥槽などの処理槽の液面を低下させることなく、膜モジュールをケーシングから簡単に取外すことができる膜モジュール取外し装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0010】

上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、処理槽に浸漬される膜モジュールをケーシングから取り外す膜モジュール取外し装置であって、フレームと、前記フレームに固定され、前記フレームから下方に延びる吊下部材と、前記吊下部材に接続された、前記膜モジュールの吊上部材に係合可能な係合機構と、前記ケーシングの両側に配置された第１ガイド棒および第２ガイド棒にそれぞれ接触可能な支持面を有する第１ガイド受け部材および第２ガイド受け部材と、前記第１ガイド棒および前記第２ガイド棒にそれぞれ接触可能な支持面を有する第３ガイド受け部材および第４ガイド受け部材と、を備え、前記第１ガイド受け部材、前記第２ガイド受け部材、第３ガイド受け部材、および第４ガイド受け部材は、前記フレームに固定されており、前記第１ガイド受け部材は、前記第３ガイド受け部材の上方に位置し、前記第２ガイド受け部材は、前記第４ガイド受け部材の上方に位置していることを特徴とする膜モジュール取外し装置である。

【0011】

本発明の好ましい態様は、前記吊下部材と前記係合機構との間に着脱可能に取り付けられる延長部材をさらに有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記フレームは、上側フレーム部材と、下側フレーム部材と、上側フレーム部材を下側フレーム部材に接続するサイドフレーム部材を有しており、前記下側フレーム部材は、前記吊下部材が接続される下側フレーム基体と、前記下側フレーム基体と着脱可能であり、前記サイドフレームに接続される下側フレーム側体とを有し、前記下側フレーム基体と、前記下側フレーム側体との間に着脱可能に取り付けられる下側フレーム延長部材をさらに有することを特徴とする。

【0012】

本発明の好ましい態様は、前記第１ガイド棒および前記第２ガイド棒は、前記膜モジュールに配置された膜エレメントに固体が付着することを防止するための洗浄空気の気泡を供給する空気供給配管から構成されることを特徴とする。

【発明の効果】

【0013】

本発明によれば、膜モジュール取外し装置が第１ガイド棒および第２ガイド棒により案内されながら、膜モジュール取外し装置を降下させることができる。これにより、フレームに連結された係合機構は、活性汚泥槽内に配置されたケーシング内の膜モジュールの吊上部材に近づき、吊上部材に係合することができる。したがって、処理槽の液面を低下させなくても、係合機構を確実に膜モジュールの吊上部材に係合させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】膜分離活性汚泥法における活性汚泥槽の一例を示す概略図である。

【図2】ろ過ユニットの縦断面図である。

【図3】ろ過ユニットの上面図である。

【図4】ろ過ユニットの横断面図である。

【図5】膜モジュールの一例を示す正面図である。

【図6】図５に示される膜モジュールの上面図である。

【図7】ガイド体の別の例を説明するための膜モジュールの上面図である。

【図8】ガイド体のさらに別の例を説明するための膜モジュールの上面図である。

【図9】図９（ａ）は、本発明の一実施形態に係る膜モジュール取外し装置の正面図であり、図９（ｂ）は、図９（ａ）に示される膜モジュール取外し装置の上面図である。

【図10】図９（ａ）のＡ線矢視図である。

【図11】図１１（ａ）は、係合機構が吊上部材に近づいていく様子を示した模式図であり、図１１（ｂ）は、係合機構が吊上部材に押し付けられている様子を示した模式図であり、図１１（ｃ）は、係合機構に吊上部材が係合した様子を示した模式図である。

【図12】係合機構の別の例を示す模式図である。

【図13】図１３（ａ）は、図１２に示される係合機構が吊上部材に近づいていく様子を示した模式図であり、図１３（ｂ）は、図１２に示される係合機構が吊上部材に押し付けられている様子を示した模式図であり、図１３（ｃ）は、図１２に示される係合機構に吊上部材が係合した様子を示した模式図である。

【図14】フック変位部材の別の例を示した模式図である。

【図15】係合機構のさらに別の例を示す模式図である。

【図16】さらに別の係合機構を備えた膜モジュール取外し装置の正面図である。

【図17】図１６のＢ線矢視図である。

【図18】図１８（ａ）は、図１７に示される係合機構のフックが吊上部材に近づいていく様子を示した模式図であり、図１８（ｂ）は、図１７に示される係合機構のフックが吊上部材に押し付けられている様子を示した模式図であり、図１８（ｃ）は、図１７に示される係合機構のフックに吊上部材が係合した様子を示した模式図である。

【図19】図９（ａ）および図９（ｂ）に示される膜モジュール取外し装置で膜モジュールをケーシングから取り外す様子を示す概略図である。

【図20】第３ガイド受け部材および第４ガイド受け部材が省略された膜モジュール取外し装置の一例を示す正面図である。

【図21】膜モジュール取外し装置の別の実施形態を示す正面図である。

【図22】図２２（ａ）は、上段に配置された膜モジュールをケーシングから取り外す様子を示す概略図であり、図２２（ｂ）は、下段に配置された膜モジュールをケーシングから取り外す様子を示す概略図である。

【図23】図２３（ａ）は、膜モジュール取外し装置のさらに別の実施形態を示す正面図であり、図２３（ｂ）は、図２３（ａ）に示される膜モジュール取外し装置に、下側フレーム延長部材が取り付けられた様子を示す正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、処理槽の一例である活性汚泥槽に設置された膜モジュールをケーシングから取り外す膜モジュール取外し装置である。しかしながら、この膜モジュール取外し装置は、膜モジュールが設置された全ての処理槽に対して用いることができる。このような処理槽としては、例えば、上水処理や下水の高度処理などに用いられる水処理槽が挙げられる。

【0016】

図１は、膜分離活性汚泥法に使用される活性汚泥槽（処理槽）の一例を示す概略図である。図１に示される活性汚泥槽１には、有機物を含む廃水が供給される。有機物を含む廃水は、例えば、下水、または食品工場からの廃水などである。有機物を含む廃水は、無機物を含んでいることもある。活性汚泥槽１には、微生物からなる活性汚泥が収容されており、活性汚泥によって、廃水中の有機物が分解される。

【0017】

活性汚泥槽１内には、ろ過ユニット２が配置され、ろ過ユニット２は、活性汚泥槽１内の廃水中に浸漬されている。ろ過ユニット２は、ポンプなどの吸引装置３０から延びるポンプ吸引配管２７に接続されている。吸引装置３０を運転すると、活性汚泥槽１内の廃水がろ過ユニット２によってろ過され、廃水が、活性汚泥、大腸菌などのバクテリア、および懸濁物質などの固体と清澄な水（液体）とに分離される。分離された水は、ろ過ユニット２からポンプ吸引配管２７を通って活性汚泥槽１の外部に排出される。

【0018】

図示した例の活性汚泥槽１には、活性汚泥に酸素を供給するとともに、活性汚泥の上昇流を形成するための３つの散気装置１６，１６，３３が設けられている。２つの散気装置１６，１６は、活性汚泥槽１の底部に配置され、他の散気装置３３は、ろ過ユニット２の下部に配置される。活性汚泥槽１の底部に配置される散気装置１６の数は、汚濁物質を分解するために活性汚泥が必要とする酸素の供給量に基づいて決定され、３つ以上であってもよいし、１つであってもよい。散気装置１６，１６，３３は、該散気装置１６，１６，３３に空気を供給するコンプレッサやブロワなどの空気供給装置１７に接続される。本実施形態では、空気供給装置１７から延びる送気配管２４が、第１空気供給配管２１と第２空気供給配管２２と第３空気供給配管３１に分岐する。第１空気供給配管２１は、一方の散気装置１６まで延び、第２空気供給配管２２は、他方の散気装置１６まで延びる。第３空気供給配管３１によって、ろ過ユニット２の下部に配置された散気装置３３に空気が供給される。散気装置３３および第３空気供給配管３１については、後述する。

【0019】

ろ過ユニット２から排出される水は清澄な水であるので、この水を、沈殿槽を通さずに河川などの公共水域に放出することができる。すなわち、膜分離活性汚泥法では、沈殿槽が不要である。さらに、膜分離活性汚泥法では、凝集沈殿および／または砂ろ過などを行う高度処理設備も不要であり、ろ過ユニット２から排出される水を、散水またはトイレのフラッシング液などに再利用することができる。

【0020】

図２は、ろ過ユニット２の縦断面図であり、図３は、ろ過ユニット２の上面図であり、図４は、ろ過ユニット２の横断面図である。図２、図３、および図４に示されるように、ろ過ユニット２は、複数の膜モジュール５と、これら膜モジュール５を収容するケーシング６と、を有する。本実施形態では、ろ過ユニット２は、２つの膜モジュール５を備えるが、３つ以上の膜モジュール５を備えてもよく、１つの膜モジュール５のみを備えてもよい。ケーシング６の下部には、４本のケーシング脚部１０が設けられ、これらケーシング脚部１０によって、ろ過ユニット２が活性汚泥槽１の底面に支持される。４本以上のケーシング脚部１０を、ケーシング６に設けてもよい。各膜モジュール５のケーシング６内の位置決めは、ガイドレール７１および膜モジュールストッパ７３によってなされている。

【0021】

図５は、膜モジュール５の一例を示す正面図であり、図６は、図５に示される膜モジュール５の上面図である。図５および図６に示される膜モジュール５は、２つの膜エレメント８と、２つの膜エレメント８の間に配置されるガイド体２０とを有する。本実施形態のガイド体２０は、中空状に構成されており、ガイド体２０の内部空間における上部には、後述する膜モジュール取外し装置の係合機構が係合する吊上部材１４が固定されている。本実施形態の吊上部材１４は、水平に延びる円筒体または円柱体である。吊上部材１４は、例えば、多角柱状または多角筒状の形状を有していてもよい。ガイド体２０は、図４に示すガイドレール７１および膜モジュールストッパ７３に支持されており、これによって膜モジュール５が位置決めされている。膜エレメント８は、接続配管２５に連通しており、この接続配管２５は、継手２６により、ポンプなどの吸引装置３０（図１参照）から延びるポンプ吸引配管２７に接続される。

【0022】

図７は、ガイド体２０の別の例を説明するための膜モジュール５の上面図である。図７では、膜モジュール５を収容するケーシング６の一部も描かれている。図７に示されるガイド体２０は、ガイド体２０の側面から外側に突出する突出部２０ａを有する。突出部２０ａ以外の構成は、図５および図６に示されるガイド体２０の構成と同一であるため、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。

【0023】

図７に示される例では、ケーシング６のガイドレール７１は、ガイド体２０の突出部２０ａを挟むように配置されており、各膜モジュール５のケーシング６内の位置決めは、ガイドレール７１および膜モジュールストッパ７３によってなされる。図７に示される突出部２０ａは、ガイド体２０と一体に構成されているが、別体として構成された突出部２０ａをガイド体２０の側面に取り付けてもよい。図７に示されるように、ガイド体２０は、該ガイド体２０の側面から突出する突出部２０ａを有していてもよい。

【0024】

図８は、ガイド体２０のさらに別の例を説明するための膜モジュール５の上面図である。図８では、膜モジュール５を収容するケーシング６の一部も描かれている。図８に示されるガイド体２０は、ガイド体２０の側面から内側に向かって凹んだ凹部２０ｂを有する。凹部２０ｂ以外の構成は、図５および図６に示されるガイド体２０の構成と同一であるため、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。

【0025】

図８に示される例では、ケーシング６のガイドレール７１は、ガイド体２０の凹部２０ｂに挿入される。この凹部２０ｂに挿入されたガイドレール７１と、膜モジュールストッパ７３によって、各膜モジュール５のケーシング６内の位置決めがなされる。図８に示されるように、ガイド体２０は、該ガイド体２０の側面から内側に向かって凹んだ凹部２０ｂを有していてもよい。

【0026】

膜モジュール５をケーシング６内で位置決めするためのガイド体２０およびガイドレール７１の構造は、上述した実施例に限定されず、様々な態様を有することができる。

【0027】

被処理水に含まれる活性汚泥および大腸菌などのバクテリアや、懸濁物質は、膜エレメント８を通過することができない一方で、水や溶解成分は膜エレメント８を通過することができる。したがって、廃水を膜エレメント８でろ過することによって、活性汚泥、バクテリア、および懸濁物質などの固体を水（液体）から分離することができる。吸引装置３０（図１参照）が運転されると、活性汚泥槽１内の水が膜エレメント８に流入し、さらに、接続配管２５およびポンプ吸引配管２７を通って、活性汚泥槽１から排出される。

【0028】

図２および図３に示されるように、ろ過ユニット２は、膜エレメント８の表面に空気の気泡を供給する第３空気供給配管３１を有する。第３空気供給配管３１は、コンプレッサまたはブロワなどの空気供給装置１７（図１参照）から送られた空気をケーシング６の下部まで移送する第１空気配管３２と、該第１空気配管３２に接続される散気装置３３と、該散気装置３３に接続される第２空気配管３４と、を有する。本実施形態の散気装置３３は、空気供給装置１７から供給された空気を放出するための複数の開孔（図示せず）が形成された散気管である。以下では、散気装置３３を散気管３３と称することがある。散気管３３は、ケーシング６の下方に配置されており、散気管３３に形成された開孔から放出された空気の気泡は、ケーシング６の下面から該ケーシング６の内部に供給され、ケーシング６の内部を通過する。

【0029】

第１空気配管３２および第２空気配管３４は、ケーシング６の両側に配置されている。より具体的には、第１空気配管３２は、ケーシング６の一方の側面に沿って鉛直方向に延びており、第２空気配管３４は、ケーシング６の他方の側面に沿って鉛直方向に延びている。散気管３３の一方の端部は、第１空気配管３２に接続され、散気管３３の他方の端部は、第２空気配管３４に接続される。第１空気配管３２および第２空気配管３４は、活性汚泥槽１の液面よりも上方まで延びている（図１参照）。

【0030】

空気は、第１空気配管３２を通じて散気管３３に流入し、該散気管３３に形成された開孔からケーシング６の内部を通って活性汚泥槽１内に放出される。空気は、上昇する気泡を形成し、この気泡によって、活性汚泥の上昇流が形成されるとともに、膜エレメント８の表面（膜面）に活性汚泥や懸濁物質などの固体が付着することが防止される。このように、空気供給配管３１によって、膜エレメント８に固体が付着することを防止するための洗浄空気の気泡が供給され、供給された空気の気泡によって、膜エレメント８の閉塞が防止される。散気管３３に送られた空気の一部は、第２空気配管３４に送られる。第２空気配管３４の末端は、フランジなどの閉止部材で閉止される。

【0031】

図９（ａ）、図９（ｂ）、および図１０を参照して、これまで説明してきた膜モジュール５をケーシング６から取り外す膜モジュール取外し装置４０の一実施形態を説明する。図９（ａ）は、本発明の一実施形態に係る膜モジュール取外し装置４０の正面図であり、図９（ｂ）は、図９（ａ）に示される膜モジュール取外し装置４０の上面図である。図１０は、図９（ａ）のＡ線矢視図である。図９（ａ）および図９（ｂ）では、２つの膜モジュール５をケーシング６から取り外す膜モジュール取外し装置４０が示される。

【0032】

図９（ａ）および図９（ｂ）に示されるように、膜モジュール取外し装置４０は、フレーム４１と、該フレーム４１に固定され、フレーム４１から下方に延びる吊下部材４３と、該吊下部材４３の下端に取り外し可能に接続され、膜モジュール５のガイド体２０に取り付けられた吊上部材１４（図５および図６参照）に係合可能な係合機構４４とを有する。本実施形態の係合機構４４は、図１０に示される鉤具（後述する）から構成されている。吊下部材４３および係合機構４４の数は、膜モジュール取外し装置４０がケーシング６から取り外す膜モジュール５の数に対応する。図９（ａ）および図９（ｂ）に示される膜モジュール取外し装置４０は、２つの吊下部材４３と２つの係合機構４４を有するので、この膜モジュール取外し装置４０は、２つの膜モジュール５をケーシング６から取り外すことができる。

【0033】

ケーシング６内に３つ以上の膜モジュール５が配置されている場合は、膜モジュール取外し装置４０は、３つ以上の吊下部材４３および３つ以上の係合機構４４を備えてもよい。同様に、ケーシング６内に１つの膜モジュール５が配置されている場合は、膜モジュール取外し装置４０は、１つの吊下部材４３および１つの係合機構４４を備えてもよい。

【0034】

さらに、ケーシング６に複数の膜モジュール５が収容されている場合、膜モジュール取外し装置４０は、複数の膜モジュール５から選択された膜モジュール５に係合する係合機構４４だけを備えてもよい。例えば、４つの膜モジュール５がケーシング６に収容されている場合に、膜モジュール取外し装置４０は、膜モジュール５の配列方向における２番目の膜モジュール５の吊上部材１４に係合する係合機構４４だけを備えていてもよい。この膜モジュール取外し装置４０が使用される場合、膜モジュール５の配列方向における２番目の膜モジュール５だけがケーシング６から取り外され、膜モジュール５の配列方向における１番目、３番目、および４番目の膜モジュール５は、ケーシング６にとどめられる。このような構成によれば、例えば、１つの膜モジュール５だけが破損したときに、この破損した膜モジュール５だけを選択的にケーシング６から取り外すことができる。

【0035】

本実施形態のフレーム４１は、水平に延びる上側フレーム部材５０および下側フレーム部材５１と、上側フレーム部材５０と下側フレーム部材５１とを連結するサイドフレーム部材５３を有する。上側フレーム部材５０は、下側フレーム部材５１の上方に位置する。サイドフレーム部材５３は、鉛直方向に延びており、サイドフレーム部材５３の上端は上側フレーム部材５０に接続され、サイドフレーム部材５３の下端は下側フレーム部材５１に接続される。

【0036】

本実施形態のフレーム４１では、２つのサイドフレーム部材５３の間に、４つの補強フレーム５４が配置され、これら補強フレーム５４は、上側フレーム部材５０から下側フレーム部材５１まで斜め方向に延びる。隣接する補強フレーム５４は、逆方向に傾斜して延びている。上側フレーム部材５０、下側フレーム部材５１、サイドフレーム部材５３、および補強フレーム５４は、鋼鉄またはステンレス鋼などの金属から構成される。なお、フレーム４１が十分な強度を有している場合は、補強フレーム５４を省略してもよい。さらに、補強フレーム５４は、図示した例に限られない。例えば、補強フレーム５４は、上側フレーム部材５０から下側フレーム部材５１まで鉛直方向に延びてもよいし、一方のサイドフレーム部材５３から他方のサイドフレーム部材５３まで水平方向に延びてもよい。補強フレーム５４の数は、フレーム４１に要求される強度に応じて、適宜決定される。

【0037】

上側フレーム部材５０の上部には、ワイヤまたはチェーンなどの吊り具が固定される２つのアイボルト（リングボルト）５７が取り付けられている。これらアイボルト５７は、フレーム４１の両側に位置している。アイボルト５７に固定されたワイヤまたはチェーンなどの吊り具は、クレーンやウインチなどの吊上装置に接続される。

【0038】

図１０に示されるように、本実施形態の係合機構４４は、２つの分岐端４４ａ，４４ｂを有しており、分岐端４４ａ，４４ｂの先端には、回動爪４７，４８がそれぞれ取り付けられる。回動爪４７は、その一端を支点にして回動自在に分岐端４４ａに取り付けられ、回動爪４８は、その一端を支点にして回動自在に分岐端４４ｂに取り付けられる。回動爪４７，４８は、ばねなどの付勢部材（図示せず）によって下方に付勢されている。

【0039】

図１１（ａ）、図１１（ｂ）、および図１１（ｃ）は、係合機構４４を吊上部材１４に係合させる様子を段階的に示した模式図である。より具体的には、図１１（ａ）は、係合機構４４が吊上部材１４に近づいていく様子を示した模式図であり、図１１（ｂ）は、係合機構４４が吊上部材１４に押し付けられている様子を示した模式図であり、図１１（ｃ）は、係合機構４４に吊上部材１４が係合した様子を示した模式図である。係合機構４４を吊上部材１４に係合させるときは、図１１（ａ）に示されるように、係合機構４４を降下させ、吊上部材１４に接近させる。次に、図１１（ｂ）に示されるように、係合機構４４を吊上部材１４に下向きに押し付ける。このとき、回動爪４７，４８が吊上部材１４により押圧され、付勢部材の付勢力に抗して回動爪４７，４８が上方に回動する。これにより、吊上部材１４は、回動爪４７，４８の間を通過することができる。吊上部材１４が回動爪４７，４８の間を通過すると、図１１（ｃ）に示されるように、回動爪４７，４８は付勢部材の復元力により、図１１（ａ）に示す初期位置に戻る。回動爪４７，４８が初期位置にあるとき、回動爪４７の先端と回動爪４８の先端の間の距離は、吊上部材１４の直径よりも狭い。係合機構４４を上方に移動させたとき、吊上部材１４は回動爪４７，４８に接触するが、図示しない回動爪ストッパにより回動爪４７，４８の回動が停止される。これにより、係合機構４４が吊上部材１４に係合する。

【0040】

係合機構４４は、図１２に示される鉤具（フック）から構成されてもよい。図１２は、係合機構４４の別の例を示す模式図である。図１２に示される係合機構４４は、フック７０と、フック７０の基端を回動可能に支持する回動軸７１を有する。したがって、フック７０は、回動軸７１を中心に回動することができる。

【0041】

さらに、係合機構４４は、フック７０の外面から突出する突出部材７９を有する。突出部材７９は、膜モジュール取外し装置４０を降下させたときに、フック７０が該フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒで吊上部材１４に接触するように、フック７０を予め回動させておくフック変位部材として機能する。すなわち、突出部材７９は、フック７０の先端がブラケット７６から離れる方向（図１２では、時計回り方向）にフック７０を回動させるモーメントをフック７０に付与するための錘として機能する。したがって、フック７０は、吊上部材１４の中心ＣＰから延びる垂線が領域Ｒの範囲内にあるように、突出部材７９によって、その鉛直姿勢からわずかに回動させられている。なお、本明細書において、「フック７０の最下端部７０ａ」は、フック変位部材を設けずに、フック７０の基端を回動軸７１で支持したときに、フック７０の最も下側に位置する部分である。

【0042】

突出部材７９は、円筒形状または円柱形状を有しているが、その形状は本実施形態に限定されない。図１２に示される突出部材７９の断面積は、該突出部材７９の全体に亘って同一であるが、フック７０の外面から離れるにしたがって徐々に大きくなってもよいし、小さくなってもよい。あるいは、突出部材７９の一部に（例えば、先端部に）、その断面積が他の部分よりも大きい拡大部を設けてもよい。このような構成により、フック７０を吊上部材１４に押し付けたときに、フック７０は、該フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒで吊上部材１４に接触し、フック７０が意図しない方向（図１２では、反時計回り方向）に回動することが防止される。したがって、フック７０を確実に吊上部材１４に係合させることができる。

【0043】

図１３（ａ）、図１３（ｂ）、および図１３（ｃ）は、図１２に示される係合機構４４を吊上部材１４に係合させる様子を段階的に示した模式図である。より具体的には、図１３（ａ）は、図１２に示される係合機構４４が吊上部材１４に近づいていく様子を示した模式図であり、図１３（ｂ）は、図１２に示される係合機構４４が吊上部材１４に押し付けられている様子を示した模式図であり、図１３（ｃ）は、図１２に示される係合機構４４に吊上部材１４が係合した様子を示した模式図である。図１２に示される係合機構４４を吊上部材１４に係合させるときは、図１３（ａ）に示されるように、係合機構４４を降下させ、吊上部材１４に接近させる。次に、図１３（ｂ）に示されるように、係合機構４４のフック７０を吊上部材１４に下向きに押し付ける。このとき、上述したように、フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒ（図１２参照）が吊上部材１４に押し付けられるので、フック７０は、該フック７０の先端がブラケット７６から離れる方向に回動軸７１を支点にして回動する。フック７０の先端が吊上部材１４の中心よりも下方に移動すると、フック７０は、自重により下方に回動する。その結果、図１３（ｃ）に示されるように、フック７０が吊上部材１４に係合する。

【0044】

図１４に示されるように、突出部材７９の代わりに、回動軸７１よりも上方に配置されたブラケット７６とフック７０とを接続するばね部材７８をフック変位部材として用いてもよい。ばね部材７８は、膜モジュール取外し装置４０を降下させたときに、フック７０が該フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒで吊上部材１４に接触するように、フック７０を予め回動させておく付勢力をフック７０に付与している。すなわち、フック７０は、その鉛直姿勢から、ばね部材７８の付勢力によって、フック７０の先端がブラケット７６から離れる方向（図１４では、時計回り方向）にわずかに回動させられている。したがって、吊上部材１４の中心ＣＰから延びる垂線は、フック７０の領域Ｒの範囲内にある。このような構成により、フック７０を吊上部材１４に押し付けたときに、フック７０は、該フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒで吊上部材１４に接触し、フック７０が意図しない方向（図１４では、反時計回り方向）に回動することが防止される。領域Ｒで吊上部材１４に接触したフック７０をさらに押し付けると、フック７０は、該フック７０の先端がブラケット７６から離れる方向に回動し、同時に、ばね部材７８が伸ばされる。フック７０の先端が吊上部材１４の中心よりも下方に移動すると、フック７０は、伸びたばね部材７８の復元力により下方に回動する。このように、突出部材７９の代わりに、ばね部材７８をフック変位部材として用いた場合でも、フック７０を確実に吊上部材１４に係合させることができる。

【0045】

図１５は、係合機構４４のさらに別の例を示す模式図である。図１５に示されるように、上述したばね部材７８や突出部材７９などのフック変位部材を省略してもよい。この場合、吊上部材１４の中心ＣＰから延びる垂線がフック７０の最下端部７０ａと先端部との間（すなわち、領域Ｒ）に位置するように、係合機構４４は吊下部材４３に接続されるのが好ましい。このように、吊上部材１４の中心ＣＰに対するフック７０の最下端部７０ａの位置を調整することにより、膜モジュール取外し装置４０を降下させたときに、フック７０が該フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒで吊上部材１４に接触することができる。フック７０の先端が吊上部材１４の中心ＣＰよりも下方に移動すると、フック７０は、自重により下方に回動し、フック７０が吊上部材１４に係合する。

【0046】

図１６は、さらに別の係合機構４４を備えた膜モジュール取外し装置４０の正面図であり、図１７は、図１６のＢ線矢視図である。図１６および図１７に示されるように、係合機構４４は、複数のフック７０と、該複数のフック７０に共通の回動軸７３とを有していてもよい。図示した例の係合機構４４は、２つのフックと、これら２つのフック７０に共通の回動軸７３を有する。すなわち、（共通）回動軸７３の外面には、２つのフック７０が固定されている。３つ以上のフック７０が回動軸７３の外面に固定されてもよい。係合機構４４のフック７０の数は、膜モジュール取外し装置４０がケーシング６から取り外す膜モジュール５の数に対応する。図１６に示される係合機構４４は、２つのフック７０を有するので、この膜モジュール取外し装置４０は、２つの膜モジュール５をケーシング６から取り外すことができる。

【0047】

本実施形態の吊下部材４３は、フレーム４１の下側フレーム部材５１の下面に固定され、回動軸７３の端部を回転可能に支持するブロック体として構成される。本実施形態の吊下部材４３の数は、２つであるが、３つ以上であってもよい。さらに、図１７に示される係合機構４４は、下側フレーム部材５１から外側に突出するブラケット７６とフック７０とを接続するばね部材７８を有する。上述したように、ばね部材７８は、膜モジュール取外し装置４０を降下させたときに、フック７０が該フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒで吊上部材１４に接触するように、フック７０をわずかに回動させる付勢力をフック７０に付与している。したがって、吊上部材１４の中心ＣＰから延びる垂線は、フック７０の領域Ｒの範囲内にある。フック変位部材として、ばね部材７８の代わりに、上述した突出部材７９を用いてもよい。さらに、ばね部材７８または突出部材７９などのフック変位部材を省略してもよい。この場合、図１５を参照して説明された実施形態と同様に、吊上部材１４の中心ＣＰがフック７０の最下端部７０ａと先端との間に位置するように、係合機構４４は吊下部材４３に接続されるのが好ましい。

【0048】

図１８（ａ）、図１８（ｂ）、および図１８（ｃ）は、図１６および図１７に示される係合機構４４を吊上部材１４に係合させる様子を段階的に示した模式図である。より具体的には、図１８（ａ）は、図１７に示される係合機構４４のフック７０が吊上部材１４に近づいていく様子を示した模式図であり、図１８（ｂ）は、図１７に示される係合機構４４のフック７０が吊上部材１４に押し付けられている様子を示した模式図であり、図１８（ｃ）は、図１７に示される係合機構４４のフック７０に吊上部材１４が係合した様子を示した模式図である。図１８（ａ）、図１８（ｂ）、および図１８（ｃ）では、１つのフック７０が示されているが、回動軸７３には複数のフック７０が固定されているため、これらフック７０は、回動軸７３の回転に伴って、同時に回動する。

【0049】

本実施形態の係合機構４４を吊上部材１４に係合させるときは、図１８（ａ）に示されるように、係合機構４４を降下させ、フック７０を吊上部材１４に接近させる。次に、図１８（ｂ）に示されるように、係合機構４４のフック７０を吊上部材１４に下向きに押し付ける。このとき、フック７０の最下端部７０ａよりも先端側の領域Ｒ（図１７参照）が吊上部材１４に押し付けられ、フック７０は、該フック７０の先端がブラケット７６から離れる方向に回動軸７３を支点にして回動する。同時に、フック７０に接続されたばね部材７８が伸ばされる。フック７０の先端が吊上部材１４の中心よりも下方に移動すると、フック７０は、伸びたばね部材７８の復元力により下方に回動する。その結果、図１８（ｃ）に示されるように、フック７０が吊上部材１４に係合する。

【0050】

係合機構４４は、上述した実施例に限定されない。係合機構４４は、吊上部材１４に係合可能であれば様々な態様を有することができる。

【0051】

図９（ａ）および図９（ｂ）に示されるように、膜モジュール取外し装置４０は、さらに、フレーム４１に固定された第１ガイド受け部材６０、第２ガイド受け部材６１、第３ガイド受け部材６２、および第４ガイド受け部材６３を有する。本実施形態の第１ガイド受け部材６０、第２ガイド受け部材６１、第３ガイド受け部材６２、および第４ガイド受け部材６３は、フレーム４１の両端に固定されている。より具体的には、第１ガイド受け部材６０は、上側フレーム部材５０の一方の側端に取り付けられ、第２ガイド受け部材６１は、上側フレーム部材５０の他方の側端に取り付けられる。第３ガイド受け部材６２は、下側フレーム部材５１の一方の側端に取り付けられ、第４ガイド受け部材６３は、下側フレーム部材５１の他方の側端に取り付けられる。

【0052】

第１ガイド受け部材６０および第３ガイド受け部材６２は、ケーシング６の外側に配置された、活性汚泥槽１の液面よりも上方まで延びる第１ガイド棒６５の外面に接触する支持面をそれぞれ有する。第２ガイド受け部材６１および第４ガイド受け部材６３は、ケーシング６の外側に配置された、活性汚泥槽１の液面よりも上方まで延びる第２ガイド棒６６の外面に接触する支持面をそれぞれ有する。図９（ｂ）に示すように、第１ガイド受け部材６０の支持面６０ａおよび第２ガイド受け部材６１の支持面６１ａのみが記載されているが、第３ガイド受け部材６２および第４ガイド受け部材６３も、同様の形状の支持面を有している。本実施形態では、ガイド受け部材６０〜６３の支持面は、第１ガイド棒６５および第２ガイド棒６６の外面に接触可能な半円筒形状の面である。

【0053】

第１ガイド受け部材６０および第３ガイド受け部材６２は、第１ガイド棒６５上を上下方向に移動可能であり、第２ガイド受け部材６１および第４ガイド受け部材６３は、第２ガイド棒６６上を上下方向に移動可能である。第１ガイド受け部材６０および第３ガイド受け部材６２の支持面を第１ガイド棒６５の外面に接触させつつ、第２ガイド受け部材６１および第４ガイド受け部材６３の支持面を第２ガイド棒６６の外面に接触させると、膜モジュール取外し装置４０の全体は、第１ガイド棒６５および第２ガイド棒６６に沿って上下方向に移動することのみが許容され、横方向への移動が制限される。すなわち、膜モジュール取外し装置４０の動きは、第１ガイド棒６５および第２ガイド棒６６によってガイドされる。さらに、第１ガイド受け部材６０および第３ガイド受け部材６２の支持面を第１ガイド棒６５の外面に接触させつつ、第２ガイド受け部材６１および第４ガイド受け部材６３の支持面を第２ガイド棒６６の外面に接触させると、膜モジュール取外し装置４０のフレーム４１が斜めに傾くことが防止される。すなわち、本実施形態の膜モジュール取外し装置４０は、その鉛直姿勢を維持しながら上下方向に移動することができる。

【0054】

図２および図３に示される第３空気供給配管３１の一部である第１空気配管３２を、第１ガイド棒６５として利用してもよい。同様に、第３空気供給配管３１の一部である第２空気配管３４を、第２ガイド棒６６として利用してもよい。

【0055】

図１９は、図９（ａ）および図９（ｂ）に示される膜モジュール取外し装置４０で膜モジュール５をケーシング６から取り外す様子を示す概略図である。図１９では、第１ガイド棒６５として、第１空気配管３２が使用され、第２ガイド棒６６として、第２空気配管３４が使用されている。

【0056】

膜モジュール５をケーシング６から取り外す場合、膜モジュール取外し装置４０が活性汚泥槽１の液面よりも上方に位置している状態で、第１ガイド受け部材６０および第３ガイド受け部材６２の支持面を第１ガイド棒６５（第１空気配管３２）の外周面に接触させ、第２ガイド受け部材６１および第４ガイド受け部材６３の支持面を第２ガイド棒６６（第２空気配管３４）の外周面に接触させる。この状態で、膜モジュール取外し装置４０を活性汚泥槽１内の廃水に向けて降下させる。すなわち、膜モジュール取外し装置４０が第１ガイド棒６５および第２ガイド棒６６により案内されながら、膜モジュール取外し装置４０が降下する。なお、第１ガイド棒６５に接触する第１ガイド受け部材６０および第３ガイド受け部材６２と、第２ガイド棒６６に接触する第２ガイド受け部材６１および第４ガイド受け部材６３により、膜モジュール取外し装置４０のフレーム４１が傾くことが防止されるので、膜モジュール取外し装置４０を円滑に降下させることができる。これにより、フレーム４１に連結された係合機構４４は、活性汚泥槽１内に配置されたケーシング６内の膜モジュール５の吊上部材１４に近づき、吊上部材１４に係合することができる。したがって、活性汚泥槽１の液面を低下させなくても、係合機構４４を確実に膜モジュール５の吊上部材１４に係合させることができる。図１９は、係合機構４４が吊上部材１４に係合した状態を示している。

【0057】

図１９に示されるように、膜モジュール取外し装置４０のフレーム４１の下端（下側フレーム部材５１の下面）が活性汚泥槽１内に配置されたケーシング６の上端に接触したときに、係合機構４４が吊上部材１４に係合することが好ましい。フレーム４１の下端がケーシング６の上端に接触したときに、係合機構４４が吊上部材１４に係合するように、吊下部材４３の鉛直方向の長さおよび／または係合機構４４の鉛直方向の長さを設定してもよい。これにより、膜モジュール取外し装置４０の過度な降下を防止することができる。

【0058】

図示はしないが、膜モジュール取外し装置４０のフレーム４１の下端（下側フレーム部材５１の下面）に降下ストッパを取り付けて、降下ストッパの下面がケーシング６の上端に接触したときに、係合機構４４が吊上部材１４に係合するようにしてもよい。降下ストッパは、例えば、ブロック体から構成される。

【0059】

膜モジュール５をケーシング６から取り外す（すなわち、膜モジュール５を上昇させる）ときも、フレーム４１および吊上部材１４の上方への移動は、第１ガイド棒６５および第２ガイド棒６６により案内される。このとき、上述したように、フレーム４１が傾くことがない。したがって、膜モジュール５がケーシング６に引っ掛かることなく膜モジュール５を引き上げることができる。このように、膜モジュール５の移動がケーシング６によって阻止されないので、活性汚泥槽１の液面を低下させなくても、膜モジュール５をケーシング６から取り外すことができる。

【0060】

本実施形態では、第１ガイド受け部材６０は、第３ガイド受け部材６２の上方に位置し、これら２つのガイド受け部材６０，６２は第１ガイド棒６５に接触可能となっている。同様に、第２ガイド受け部材６１は、第４ガイド受け部材６３の上方に位置し、これら２つのガイド受け部材６１，６３は第２ガイド棒６６に接触可能となっている。このような配置により、膜モジュール取付け装置４０がケーシング６に向かって降下するとき、および膜モジュール５をケーシング６から取り外す（すなわち、膜モジュール５を上昇させる）ときに、フレーム４１の姿勢が安定する。

【0061】

図２０は、第３ガイド受け部材６２および第４ガイド受け部材６３が省略された膜モジュール取外し装置４０の一例を示す正面図である。図２０に示されるように、第１ガイド受け部材６０および第２ガイド受け部材６１の支持面６０ａ，６１ａが上下方向にある程度の長さを持っている場合には、第３ガイド受け部材６２および第４ガイド受け部材６３は省略してもよい。この場合、膜モジュール取外し装置４０の動きは、第１ガイド棒６５に接触する第１ガイド受け部材６０と、第２ガイド棒６６に接触する第２ガイド受け部材６１だけでガイドされる。図２０に示される第１ガイド受け部材６０および第２ガイド受け部材６１は、フレーム４１の上端から下端まで延びている。

【0062】

膜モジュール５が上下方向に複数段配置されたろ過ユニット２のケーシング６から膜モジュール５を取り外すときは、図２１に示される膜モジュール取外し装置４０が用いられる。図２１は、膜モジュール取外し装置４０の別の実施形態を示す正面図である。図２１に示される実施形態の膜モジュール取外し装置４０は、吊下部材４３と係合機構４４との間に着脱可能に取り付けられる延長部材４９を有する。延長部材４９は、例えば、ねじやフランジによって吊下部材４３および係合機構４４に着脱可能に接続される。延長部材４９は、フレーム４１と係合機構４４との間の距離を延長することができる。延長部材４９以外の本実施形態の構成は、図９（ａ）および図９（ｂ）に示された実施形態の構成と同一であるため、重複する説明を省略する。

【0063】

図２２（ａ）は、上段に配置された膜モジュール５をケーシング６から取り外す様子を示す概略図であり、図２２（ｂ）は、下段に配置された膜モジュール５をケーシング６から取り外す様子を示す概略図である。図２２（ａ）および図２２（ｂ）では、第１ガイド棒６５として、第１空気配管３２が使用され、第２ガイド棒６６として、第２空気配管３３が使用されている。

【0064】

図２２（ａ）に示されるように、上段に配置された膜モジュール５の下部には、膜モジュール脚部１１が取り付けられている。膜モジュール脚部１１により、上段に配置された膜モジュール５が、下段に配置された膜モジュール５から離間される。

【0065】

上段に配置された膜モジュール５をケーシング６から取り外すときは、図９（ａ）および図９（ｂ）に示される膜モジュール取外し装置４０を用い、下段に配置された膜モジュール５をケーシング６から取り外すときは、図２２（ｂ）に示されるように、図２１に示される膜モジュール取外し装置４０が用いられる。延長部材４９の鉛直方向の長さは、フレーム４１の下端（下側フレーム部材５１の下面）が活性汚泥槽１内に配置されたケーシング６の上端に接触したときに、係合機構４４が下段に配置された膜モジュール５の吊上部材１４に係合するように設定されているのが好ましい。これにより、膜モジュール取外し装置４０の過度な降下を防止することができる。

【0066】

図２３（ａ）は、膜モジュール取外し装置４０のさらに別の実施形態を示す正面図であり、図２３（ｂ）は、図２３（ａ）に示される膜モジュール取外し装置４０に、下側フレーム延長部材５９が取り付けられた様子を示す正面図である。図２３（ｂ）に示される膜モジュール取外し装置４０を用いて、下段に配置された膜モジュール５をケーシング６から取り外してもよい。特に説明しない本実施形態の構成は、図１６で説明された実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。

【0067】

図２３（ａ）に示されるように、本実施形態の下側フレーム部材５１は、吊下部材４３が接続される下側フレーム基体５１ａと、該下側フレーム部材５１ａと着脱可能であり、サイドフレーム部材５３に接続される下側フレーム側体５１ｂとを有する。本実施形態の下側フレーム側体５１ｂは、下側フレーム基体５１ａの両端部に接続されている。本実施形態の下側フレーム基体５１ａは、鉛直方向に延びる補強フレーム５４に着脱自在に接続されているが、鉛直方向に延びる補強フレーム５４は省略してもよい。図示される膜モジュール取外し装置４０の係合機構４４は、下側フレーム基体５１ａに接続された３つの吊下部材４３により、共通回動軸７３を回動可能に支持しているが、吊下部材４３の数は、２つでもよいし、４つ以上であってもよい。さらに、図示された膜モジュール取外し装置４０は、図１７を参照して説明された係合機構４４を有しているが、図１２、図１４、および図１５を参照して説明された係合機構４４を有していてもよい。

【0068】

図２３（ｂ）に示されるように、本実施形態の膜モジュール取外し装置４０は、下側フレーム基体５１ａと、下側フレーム側体５１ｂとの間に着脱可能に取り付けられる下側フレーム延長部材５９を有している。下側フレーム延長部材５９は、例えば、ねじやフランジによって下側フレーム基体５１ａおよび下側フレーム側体５１ｂに着脱可能に接続される。下側フレーム延長部材５９は、下側フレーム側体５１ｂと係合機構４４との間の距離を延長することができる。したがって、上段に配置された膜モジュール５をケーシング６から取り外すときは、図２３（ａ）に示される膜モジュール取外し装置４０を用い、下段に配置された膜モジュール５をケーシング６から取り外すときは、図２３（ｂ）に示される膜モジュール取外し装置が用いられる。下側フレーム延長部材５９の鉛直方向の長さは、下側フレーム側体５１ｂの下面が活性汚泥槽１内に配置されたケーシング６の上端に接触したときに、係合機構４４が下段に配置された膜モジュール５の吊上部材１４に係合するように設定されているのが好ましい。これにより、膜モジュール取外し装置４０の過度な降下を防止することができる。

【0069】

上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。

【符号の説明】

【0070】

１ 活性汚泥槽（処理槽）
２ ろ過ユニット
５ 膜モジュール
６ ケーシング
８ 膜エレメント
１０ ケーシング脚部
１１ 膜モジュール脚部
１４ 吊上部材
１６ 散気装置
１７ 空気供給装置
２０ ガイド体
２１ （第１）空気供給配管
２２ （第２）空気供給配管
２４ 送気配管
２５ 接続配管
２６ 継手
２７ ポンプ吸引配管
３０ 吸引装置
３１ （第３）空気供給配管
３２ 第１空気配管
３３ 散気装置（散気管）
３４ 第２空気配管
４０ 膜モジュール取外し装置
４１ フレーム
４３ 吊下部材
４４ 係合機構
４７，４８ 回動爪
４９ 延長部材
５０ 上側フレーム部材
５１ 下側フレーム部材
５３ サイドフレーム部材
５４ 補強フレーム
５７ アイボルト
５９ 下側フレーム延長部材
６０ 第１ガイド受け部材
６１ 第２ガイド受け部材
６２ 第３ガイド受け部材
６３ 第４ガイド受け部材
６５ 第１ガイド棒
６６ 第２ガイド棒
７０ フック
７１ 回動軸
７３ （共通）回動軸
７６ ブラケット
７８ ばね部材
７９ 突出部材

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】