(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持機構は、前記フレームに回転可能に支持される回動軸と、前記回動軸に固定され、前記吊上部材を保持することが可能なフックと、前記回動軸から外側に突出する突出部材と、を備え、
前記突出部材には、紐状操作具が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の膜モジュール取付け装置。
前記第1ガイド棒および前記第2ガイド棒は、前記膜モジュールに配置された膜エレメントに固体が付着することを防止するための洗浄空気の気泡を供給する空気供給配管から構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜モジュール取付け装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、処理槽の一例である活性汚泥槽に設置されたケーシングに膜モジュールを取り付ける膜モジュール取付け装置である。しかしながら、この膜モジュール取付け装置は、ケーシングが設置された全ての処理槽に対して用いることができる。このような処理槽としては、例えば、上水処理や下水の高度処理などに用いられる水処理槽が挙げられる。
【0015】
図1は、膜分離活性汚泥法に使用される活性汚泥槽(処理槽)の一例を示す概略図である。
図1に示される活性汚泥槽1には、有機物を含む廃水が供給される。有機物を含む廃水は、例えば、下水、または食品工場からの廃水などである。有機物を含む廃水は、無機物を含んでいることもある。活性汚泥槽1には、微生物からなる活性汚泥が収容されており、活性汚泥によって、廃水中の有機物が分解される。
【0016】
活性汚泥槽1内には、ろ過ユニット2が配置され、ろ過ユニット2は、活性汚泥槽1内の廃水中に浸漬されている。ろ過ユニット2は、ポンプなどの吸引装置30から延びるポンプ吸引配管27に接続されている。吸引装置30を運転すると、活性汚泥槽1内の廃水がろ過ユニット2によってろ過され、廃水が、活性汚泥、大腸菌などのバクテリア、および懸濁物質などの固体と清澄な水(液体)とに分離される。分離された水は、ろ過ユニット2からポンプ吸引配管27を通って活性汚泥槽1の外部に排出される。
【0017】
図示した例の活性汚泥槽1には、活性汚泥に酸素を供給するとともに、活性汚泥の上昇流を形成するための3つの散気装置16,16,33が設けられている。2つの散気装置16,16は、活性汚泥槽1の底部に配置され、他の散気装置33は、ろ過ユニット2の下部に配置される。活性汚泥槽1の底部に配置される散気装置16の数は、汚濁物質を分解するために活性汚泥が必要とする酸素の供給量に基づいて決定され、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。散気装置16,16,33は、該散気装置16,16,33に空気を供給するコンプレッサやブロワなどの空気供給装置17に接続される。本実施形態では、空気供給装置17から延びる送気配管24が、第1空気供給配管21と第2空気供給配管22と第3空気供給配管31に分岐する。第1空気供給配管21は、一方の散気装置16まで延び、第2空気供給配管22は、他方の散気装置16まで延びる。第3空気供給配管31によって、ろ過ユニット2の下部に配置された散気装置33に空気が供給される。散気装置33および第3空気供給配管31については、後述する。
【0018】
ろ過ユニット2から排出される水は清澄な水であるので、この水を、沈殿槽を通さずに河川などの公共水域に放出することができる。すなわち、膜分離活性汚泥法では、沈殿槽が不要である。さらに、膜分離活性汚泥法では、凝集沈殿および/または砂ろ過などを行う高度処理設備も不要であり、ろ過ユニット2から排出される水を、散水またはトイレのフラッシング液などに再利用することができる。
【0019】
図2は、ろ過ユニット2の縦断面図であり、
図3は、ろ過ユニット2の上面図であり、
図4は、ろ過ユニット2の横断面図である。
図2、
図3、および
図4に示されるように、ろ過ユニット2は、複数の膜モジュール5と、これら膜モジュール5を収容するケーシング6と、を有する。本実施形態では、ろ過ユニット2は、2つの膜モジュール5を備えるが、3つ以上の膜モジュール5を備えてもよく、1つの膜モジュール5のみを備えてもよい。ケーシング6の下部には、4本のケーシング脚部10が設けられ、これらケーシング脚部10によって、ろ過ユニット2が活性汚泥槽1の底面に支持される。4本以上のケーシング脚部10を、ケーシング6に設けてもよい。各膜モジュール5のケーシング6内の位置決めは、ガイドレール71およびストッパ73によってなされている。
【0020】
図5は、膜モジュール5の一例を示す正面図であり、
図6は、
図5に示される膜モジュール5の上面図である。
図5および
図6に示される膜モジュール5は、2つの膜エレメント8と、2つの膜エレメント8の間に配置されるガイド体20とを有する。本実施形態のガイド体20は、中空状に構成されており、ガイド体20の内部空間における上部には、後述する膜モジュール取付け装置の保持機構に保持される吊上部材14が固定されている。本実施形態の吊上部材14は、水平に延びる円筒体または円柱体である。吊上部材14は、多角柱状または多角筒状の形状を有していてもよい。ガイド体20は、
図4に示すガイドレール71およびストッパ73に支持されており、これによって膜モジュール5が位置決めされている。膜エレメント8は、接続配管25に連通しており、この接続配管25は、継手26により、ポンプなどの吸引装置30(
図1参照)から延びるポンプ吸引配管27に接続される。
【0021】
被処理水に含まれる活性汚泥および大腸菌などのバクテリアや、懸濁物質は、膜エレメント8を通過することができない一方で、水や溶解成分は膜エレメント8を通過することができる。したがって、廃水を膜エレメント8でろ過することによって、活性汚泥、バクテリア、および懸濁物質などの固体を水(液体)から分離することができる。吸引装置30(
図1参照)が運転されると、活性汚泥槽1内の水が膜エレメント8に流入し、さらに、接続配管25およびポンプ吸引配管27を通って、活性汚泥槽1から排出される。
【0022】
図2および
図3に示されるように、ろ過ユニット2は、膜エレメント8の表面に空気の気泡を供給する第3空気供給配管31を有する。第3空気供給配管31は、コンプレッサまたはブロワなどの空気供給装置17(
図1参照)から送られた空気をケーシング6の下部まで移送する第1空気配管32と、該第1空気配管32に接続される散気装置33と、該散気装置33に接続される第2空気配管34と、を有する。本実施形態の散気装置33は、空気供給装置17から供給された空気を放出するための複数の開孔(図示せず)が形成された散気管である。以下では、散気装置33を散気管33と称することがある。散気管33は、ケーシング6の下方に配置されており、散気管33に形成された開孔から放出された空気の気泡は、ケーシング6の下面から該ケーシング6の内部に供給され、ケーシング6の内部を通過する。
【0023】
第1空気配管32および第2空気配管34は、ケーシング6の両側に配置されている。より具体的には、第1空気配管32は、ケーシング6の一方の側面に沿って鉛直方向に延びており、第2空気配管34は、ケーシング6の他方の側面に沿って鉛直方向に延びている。散気管33の一方の端部は、第1空気配管32に接続され、散気管33の他方の端部は、第2空気配管34に接続される。第1空気配管32および第2空気配管34は、活性汚泥槽1の液面よりも上方まで延びている(
図1参照)。
【0024】
空気は、第1空気配管32を通じて散気管33に流入し、該散気管33に形成された開孔からケーシング6の内部を通って活性汚泥槽1内に放出される。空気は、上昇する気泡を形成し、この気泡によって、活性汚泥の上昇流が形成されるとともに、膜エレメント8の表面(膜面)に活性汚泥や懸濁物質などの固体が付着することが防止される。このように、空気供給配管31によって、膜エレメント8に固体が付着することを防止するための洗浄空気の気泡が供給され、供給された空気の気泡によって、膜エレメント8の閉塞が防止される。散気管33に送られた空気の一部は、第2空気配管34に送られる。第2空気配管34の末端は、フランジなどの閉止部材で閉止される。
【0025】
図7および
図8を参照して、これまで説明してきた膜モジュール5をケーシング6に取り付ける膜モジュール取付け装置40の一実施形態を説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る膜モジュール取付け装置40の斜視図である。
図8は、
図7に示される膜モジュール取付け装置40の概略正面図である。
図7および
図8では、2つの膜モジュール5をケーシング6に取り付ける膜モジュール取付け装置40が示され、
図8では、フレーム43に収容された膜モジュール5を点線で示している。
【0026】
図7および
図8に示されるように、膜モジュール取付け装置40は、膜モジュール5の吊上部材14を保持および解放することが可能な保持機構41と、保持機構41が取り付けられ、該保持機構41に保持された膜モジュール5を収容するフレーム43と、を有する。
【0027】
本実施形態のフレーム43は、矩形状の上側枠体50と、矩形状の下側枠体51と、上側枠体50の4つの角部を、下側枠体51の4つの角部にそれぞれ接続する4つの支柱52を有する。支柱52は、鉛直方向に延びており、上側枠体50は、下側枠体51の上方に位置する。上側枠体50の上面には、ワイヤまたはチェーンなどの吊り具が固定される4つのアイボルト(リングボルト)57が取り付けられている。アイボルト57に固定されたワイヤまたはチェーンなどの吊り具は、クレーンやウインチなどの吊上装置に接続される。
【0028】
図7および
図9を参照して、本実施形態の保持機構41を説明する。
図9は、保持機構41の断面図である。本実施形態の保持機構41は、フレーム43に回転可能に支持される回動軸67と、該回動軸67に固定されたフック83と、を有する。
図7に示されるように、回動軸67は、フレーム43に取り付けられた支持部材54によって回転可能に支持され、支持部材54は、例えば、フレーム43の上面(すなわち、上側枠体50の上面)に取り付けられる。支持部材54は、例えば、回動軸67の端部を回転可能に支持する軸受である。図示した例のフック83は、回動軸67から下方に延び、略L字状の縦断面形状を有している。
図9に示されるように、回動軸67は円筒形状を有しており、この回動軸67の外面に接続されたフック83が、膜モジュール5の吊上部材14を保持する。回動軸67は、円柱形状を有していてもよい。フック83に吊り下げられた膜モジュール5はフレーム43に収容される(
図8参照)。
【0029】
フック83の数は、膜モジュール取付け装置40がケーシング6に取り付ける膜モジュール5の数に対応する。
図7に示される膜モジュール取付け装置40の保持機構41は、2つのフック83を有するので、この膜モジュール取付け装置40は、2つの膜モジュール5をケーシング6に取り付けることができる。
【0030】
ケーシング6に3つ以上の膜モジュール5を取り付ける場合は、保持機構41は、3つ以上のフック83を備えてもよい。同様に、ケーシング6に1つの膜モジュール5を取り付ける場合は、保持機構41は、1つのフック83を備えてもよい。
【0031】
さらに、保持機構41が複数のフック83を備えている場合、これらフック83から選択されたフック83だけに膜モジュール5を吊り下げてもよい。例えば、4つの膜モジュール5を収容することができるケーシング6に対応して、保持機構41が4つのフック83を有する場合に、膜モジュール取付け装置40は、フック83の配列方向における2番目のフック83だけに膜モジュール5を吊り下げてもよい。この場合、膜モジュール取付け装置40によって、4つの膜モジュール5の配列方向における2番目の膜モジュール5だけがケーシング6に取り付けられる。このように、選択されたフック83だけに膜モジュール5が吊り下げられた膜モジュール取付け装置40を用いれば、特定の膜モジュール5だけを選択的にケーシング6に取り付けることができる。例えば、1つの膜モジュール5だけが破損して、交換する必要が生じた場合、ケーシング6におけるこの破損した膜モジュール5の配置位置だけに新たな膜モジュール5を取り付けることができる。
【0032】
本実施形態の保持機構41は、さらに、回動軸67の外面から外側に突出する突出部材68を有する。突出部材68には、紐状操作具としてのワイヤ80が接続されている。
図9に示されるワイヤ80は、突出部材68の先端に接続されている。フック83が膜モジュール5の吊上部材14を保持することにより、膜モジュール5が保持機構41に保持される。紐状操作具としては、ワイヤ80以外にも、ロープやチェーンなどの長尺の部材を使用してもよい。
【0033】
本実施形態の突出部材68は、フック83が吊上部材14を保持する方向に回転する方向のモーメントを回動軸67に作用させるための錘として機能する。すなわち、突出部材68は、フック83が吊上部材14から離れる方向に回転することを防止する錘として機能する。したがって、突出部材68によって、保持機構41のフック83に保持された膜モジュール5が意図しないタイミングで該フック83から解放されることが防止される。突出部材68は、円筒形状または円柱形状を有しているが、その形状は本実施形態に限定されない。
図7および
図9に示される突出部材68の断面積は、該突出部材68の全体に亘って同一であるが、回動軸68から離れるにしたがって徐々に大きくなってもよいし、小さくなってもよい。あるいは、突出部材68の一部に(例えば、先端部に)、その断面積が他の部分よりも大きい拡大部を設けてもよい。突出部材68の数は、1つでもよいし、複数でもよい。複数の突出部材68が設けられる場合、突出部材68は、回動軸67が延びる方向に沿って等間隔で配列されるのが好ましい。突出部材68は、回動軸67の軸方向に対して垂直に延びている。
図9に示される突出部材68は、回動軸67から水平方向に延びているが、回動軸67から水平方向に対して斜め方向に延びてもよい。
【0034】
図7に示されるように、膜モジュール取付け装置40は、さらに、膜モジュール5が有するガイド体20(
図5および
図6参照)をガイドするガイドレール45を有する。本実施形態のガイドレール45は、鉛直方向に延びており、フレーム43に取り付けられたガイドパネル44上に形成される。
図10は、ガイドレール45が形成されたガイドパネル44を示す模式図である。
図10では、膜モジュール5のガイド体20を点線で示し、ガイドレール45にはハッチングを付している。ガイドパネル44は、上側枠体50から下側枠体51まで延びる。ガイドレール45は、このガイドパネル上を鉛直方向に直線状に延び、ガイドレール45の下端は、下側枠体51の下面に達する。
【0035】
ガイドレール45の間の距離W2は、膜モジュール5のガイド体20の幅W1よりも大きく、膜モジュール5のガイド体20をガイドレール45の間に挿入することができる。フレーム43に収容される膜モジュール5を確実に鉛直方向に案内するために、2つのガイドパネル44が1つの膜モジュール5に対して設けられる。本実施形態の膜モジュール取付け装置40は、2つの膜モジュール5を収容することができるため、4つのガイドパネル44がフレーム43に取り付けられ、各ガイドパネル44上に形成されたガイドレール45の間に、ガイド体20が挿入される。後述するように、保持機構41のフック83から膜モジュール5を解放したときは、対向するガイドパネル44にそれぞれ形成されたガイドレール45によって、降下する膜モジュール5のガイド体20がガイドされる。
【0036】
図7に示されるように、本実施形態の膜モジュール取付け装置40は、さらに、フレーム43に固定された第1ガイド受け部材60、第2ガイド受け部材61、第3ガイド受け部材62、および第4ガイド受け部材63を有する。より具体的には、上側枠体50の短辺側の一方の側面から下側枠体51の短辺側の一方の側面まで延びる第1取付プレート55がフレーム43に固定され、第1取付プレート55に第1ガイド受け部材60および第3ガイド受け部材62が取り付けられる。さらに、上側枠体50の短辺側の他方の側面から下側枠体51の短辺側の他方の側面まで延びる第2取付プレート56がフレーム43に固定され、第2取付プレート56に第2ガイド受け部材61および第4ガイド受け部材63が取り付けられる。
【0037】
図7に示されるように、第1ガイド受け部材60および第3ガイド受け部材62は、ケーシング6の外側に配置された、活性汚泥槽1の液面よりも上方まで延びる第1ガイド棒65(
図8参照)の外面に接触する支持面60a,62aをそれぞれ有する。第2ガイド受け部材61および第4ガイド受け部材63は、ケーシング6の外側に配置された、活性汚泥槽1の液面よりも上方まで延びる第2ガイド棒66(
図8参照)の外面に接触する支持面61a,63aをそれぞれ有する。本実施形態では、ガイド受け部材60〜63の支持面は、第1ガイド棒65および第2ガイド棒66の外面に接触可能な半円筒形状の面である。
【0038】
第1ガイド受け部材60および第3ガイド受け部材62は、第1ガイド棒65上を上下方向に移動可能であり、第2ガイド受け部材61および第4ガイド受け部材63は、第2ガイド棒66上を上下方向に移動可能である。第1ガイド受け部材60の支持面60aおよび第3ガイド受け部材62の支持面62aを第1ガイド棒65の外面に接触させつつ、第2ガイド受け部材61の支持面61aおよび第4ガイド受け部材63の支持面63aを第2ガイド棒66の外面に接触させると、膜モジュール取付け装置40の全体は、第1ガイド棒65および第2ガイド棒66に沿って上下方向に移動することのみが許容され、横方向への移動が制限される。すなわち、膜モジュール取付け装置40の動きは、第1ガイド棒65および第2ガイド棒66によってガイドされる。さらに、第1ガイド受け部材60および第3ガイド受け部材62の支持面を第1ガイド棒65の外面に接触させつつ、第2ガイド受け部材61および第4ガイド受け部材63の支持面を第2ガイド棒66の外面に接触させると、膜モジュール取付け装置40のフレーム43が斜めに傾くことが防止される。すなわち、膜モジュール取付け装置40は、その鉛直姿勢を維持しながら上下方向に移動することができる。
【0039】
図2および
図3に示される第3空気供給配管31の一部である第1空気配管32を、第1ガイド棒65として利用してもよい。同様に、第3空気供給配管31の一部である第2空気配管34を、第2ガイド棒66として利用してもよい。
【0040】
図11は、
図7に示される膜モジュール取付け装置40で膜モジュール5をケーシング6に取り付ける様子を示す概略図である。
図11では、第1ガイド棒65として、第1空気配管32が使用され、第2ガイド棒66として、第2空気配管34が使用されている。
【0041】
次に、膜モジュール5をケーシング6に取り付ける工程について説明する。まず、膜モジュール5の吊上部材14が保持機構41のフック83に吊り下げられる。このとき、膜モジュール5のガイド体20は、ガイドレール45の間に挿入される。膜モジュール5を収容した膜モジュール取付け装置40が活性汚泥槽1の液面よりも上方に位置している状態で、第1ガイド受け部材60の支持面60aおよび第3ガイド受け部材62の支持面62aを第1ガイド棒65(第1空気配管32)の外面に接触させ、第2ガイド受け部材61の支持面61aおよび第4ガイド受け部材63の支持面63aを第2ガイド棒66(第2空気配管34)の外面に接触させる。この状態で、膜モジュール取付け装置40を活性汚泥槽1内の廃水に向けて降下させる。すなわち、膜モジュール取付け装置40が第1ガイド棒65および第2ガイド棒66により案内されながら、膜モジュール取付け装置40が降下する。なお、第1ガイド棒65に接触する第1ガイド受け部材60および第3ガイド受け部材62と、第2ガイド棒66に接触する第2ガイド受け部材61および第4ガイド受け部材63により、膜モジュール取付け装置40のフレーム43が傾くことが防止されるので、膜モジュール取付け装置40を円滑に降下させることができる。これにより、膜モジュール取付け装置40のフレーム43の下端(下側枠体51の下面)は、活性汚泥槽1内に配置されたケーシング6の上端に接触することができる。したがって、活性汚泥槽1の液面を低下させなくても、フレーム43をケーシング6上に配置することができる。
図11は、フレーム43がケーシング6上に置かれた状態を示している。
【0042】
次に、保持機構41のフック83から膜モジュール5の吊上部材14を解放する。
図12(a)、
図12(b)、および
図12(c)は、
図9に示される保持機構41のフック83を吊上部材14から解放する様子を段階的に示した模式図である。より具体的には、
図12(a)は、フック83が吊上部材14を保持している様子を示した模式図であり、
図12(b)は、フック83を回転させた様子を示した模式図であり、
図12(c)は、フック83から吊上部材14が解放された様子を示した模式図である。
【0043】
図12(a)に示されるように、フック83は吊上部材14を保持している。上述したように、突出部材68は、フック83が吊上部材14を保持する方向に回転する方向のモーメントを回動軸67に作用させるための錘として機能する。すなわち、突出部材68は、フック83が吊上部材14から離れる方向に回転することを防止する錘として機能する。これにより、予期しないタイミングで、膜モジュール5の吊上部材14がフック83から外れることが防止される。次に、
図12(b)に示されるように、保持機構41の突出部材68に接続されたワイヤ80を上方に引っ張ることにより、保持機構41の回動軸67を回転させる。回動軸67の回転により、該回動軸67に接続されたフック83が回転するが、膜モジュール5の水平方向の移動は、ガイドプレート44によって阻止されるため、膜モジュール5の吊上部材14をフック83から解放することができる。
図12(c)に示されるように、フック83から吊上部材14が解放されると、膜モジュール5は、自重によりケーシング6内に降下する。このとき、膜モジュール5のガイド体20がガイドレール45(
図10参照)にガイドされながら、膜モジュール5が降下するので、活性汚泥槽1の液面を低下させなくても、膜モジュール5をケーシング6内の適切な位置に配置することができる。
【0044】
図13は、別の保持機構41の例を説明するための膜モジュール取付け装置40の斜視図であり、
図14は、
図13に示される保持機構41の断面図である。
図13に示される保持機構41は、回動軸67の外面から外側に突出する2つの突出部材77,78を有する。一方の突出部材77には、紐状操作具としてのワイヤ81が接続され、他方の突出部材78にも、紐状操作具としてのワイヤ82が接続されている。本実施形態では、ワイヤ81は、突出部材77の先端に接続され、ワイヤ82は、突出部材78の先端に接続されている。以下の説明では、突出部材77を「第1突出部材77」と称し、突出部材78を「第2突出部材78」と称する。さらに、第1突出部材77に取り付けられるワイヤ81を「第1ワイヤ81」と称し、第2突出部材78に取り付けられるワイヤ82を「第2ワイヤ82」と称する。特に説明しない保持機構41の構成は、
図7および
図9に示された保持機構41の構成と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0045】
第1突出部材77および第1ワイヤ81は、フック73から吊上部材14を解放するために回動軸67を回転させるフック回動機構を構成する。第2突出部材78および第2ワイヤ82は、フック83が吊上部材14から離れる方向に回動することを防止するフック回動防止機構を構成する。第1突出部材77および第2突出部材78は、回動軸67の軸方向に対して垂直に延びている。図示した例の第1突出部材77は、回動軸67の外面から水平方向に延びているが、水平方向に対して斜め方向に延びてもよい。図示した例の第2突出部材78は、第1突出部材77が延びる方向とは逆向きに、回動軸67の外面から水平方向に延びているが、水平方向に対して斜め方向に延びてもよい。第1突出部材77が延びる方向は、第2突出部材78が延びる方向と同一直線上にあってもよいし、異なっていてもよい。第1突出部材77および第2突出部材78の形状は特に限定されない。例えば、第1突出部材77および第2突出部材78は、円筒体または円柱体であってもよいし、多角柱状または多角筒状の形状を有していてもよい。
【0046】
図15(a)、
図15(b)、および
図15(c)は、
図14に示される保持機構41のフック83を吊上部材14から解放する様子を段階的に示した模式図である。より具体的には、
図15(a)は、フック83が吊上部材14を保持している様子を示した模式図であり、
図15(b)は、フック83を回転させた様子を示した模式図であり、
図15(c)は、フック83から吊上部材14が解放された様子を示した模式図である。
【0047】
図15(a)に示されるように、フック83は吊上部材14を保持している。フック83が吊上部材14から離れる方向に回転しないように、第2突出部材78の先端に取り付けられた第2ワイヤ82は、弱い力で上方に引っ張られる。これにより、予期しないタイミングで、膜モジュール5の吊上部材14がフック83から外れることが防止される。次に、
図15(b)に示されるように、保持機構41の第1突出部材77の先端に取り付けられた第1ワイヤ81を、第2ワイヤ82を上方に引っ張る力よりも強い力で上方に引っ張ることにより、保持機構41の回動軸67を回転させる。回動軸67の回転により、該回動軸67に接続されたフック83が回転するが、膜モジュール5の水平方向の移動は、ガイドプレート44によって阻止されるため、膜モジュール5の吊上部材14をフック83から解放することができる。このように、フック83の回転を許容しながら、第2突出部材78の先端に取り付けられた第2ワイヤ82を引っ張ることにより、フック83が過度におよび/または急速に回転することが防止される。
図15(c)に示されるように、フック83から吊上部材14が解放されると、膜モジュール5は、自重によりケーシング6内に降下する。このとき、膜モジュール5のガイド体20がガイドレール45(
図10参照)にガイドされながら、膜モジュール5が降下するので、活性汚泥槽1の液面を低下させなくても、膜モジュール5をケーシング6内の適切な位置に配置することができる。
【0048】
図16は、第3ガイド受け部材62および第4ガイド受け部材63が省略された膜モジュール取付け装置40の一例を示す斜視図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図7に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図16に示されるように、第1ガイド受け部材60および第2ガイド受け部材61の支持面60a,61aが上下方向にある程度の長さを持っている場合には、第3ガイド受け部材62および第4ガイド受け部材63は省略してもよい。この場合、膜モジュール取付け装置40の動きは、第1ガイド棒65に接触する第1ガイド受け部材60と、第2ガイド棒66に接触する第2ガイド受け部材61だけでガイドされる。
図16に示される第1ガイド受け部材60および第2ガイド受け部材61は、フレーム43の上端から下端まで延びている。
【0049】
図17は、別の実施形態に係る膜モジュール取付け装置40の斜視図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図7に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図17に示される膜モジュール取付け装置40は、フレーム43の4つの側面を覆うカバーパネル75を有する。カバーパネル75以外の本実施形態の構成は、
図7に示された実施形態の構成と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0050】
図17に示されるように、フレーム43の側面を覆うカバーパネル75により、膜モジュール取付け装置40の強度を高めることができる。すなわち、カバーパネル75は、フレーム43の補強部材として機能する。その結果、フレーム43の撓みを防止することができるので、より正確な位置に膜モジュール取付け装置40を降下させることができる。
図17に示した実施形態では、第1ガイド受け部材60、第2ガイド受け部材61、第3ガイド受け部材62、および第4ガイド受け部材63は、カバーパネル75の外面に取り付けられ、ガイドレール45は、カバーパネル75の内面に形成される。
【0051】
図18は、ケーシング6の内壁面6aに形成されたガイドレール71の一例を示す模式図である。
図18では、ケーシング6の上面に載った膜モジュール取付け装置40のフレーム43の一部が描かれている。さらに、
図18では、ガイドレール71の間に挿入された膜モジュール5のガイド体20を点線で示し、ガイドレール71には、ハッチングを付している。
図18に示されるように、ガイドレール71は、ケーシング6の内壁面6aの下端から上端まで鉛直方向に直線状に延びている。ガイドレール71の下部には、ストッパ73が設けられる。以下の説明では、ガイドプレート44に形成されたガイドレール45を「第1ガイドレール45」と称し、ケーシング6の内壁面6aに形成されたガイドレール71を「第2ガイドレール71」と称する。
【0052】
第2ガイドレール71の間の距離W3は、膜モジュール5のガイド体20の幅W1よりも大きく、ガイド体20を第2ガイドレール71の間に挿入することができる。第2ガイドレール71の間の距離W3は、第1ガイドレール45の間の距離W2よりも大きいかまたは等しい。
図18に示されるように、第2ガイドレール71は、膜モジュール取付け装置40のフレーム43がケーシング6上に載ったときに、第1ガイドレール45に接続される。これにより、膜モジュール5をケーシング6に取り付ける際に、ガイド体20が第1ガイドレール45および第2ガイドレール71に沿ってガイドされながら、膜モジュール5をケーシング6に収容することができる。さらに、ガイド体20がストッパ73に接触することにより、膜モジュール5の鉛直方向の移動が阻止される。このように、第1ガイドレール45に接続される第2ガイドレール71によって、ケーシング6内の膜モジュール5が確実に位置決めされる。
【0053】
図18に示されるように、第2ガイドレール71の上端に、第2ガイドレール71の間の距離を広げる方向に傾斜する傾斜面71aを形成してもよい。これら傾斜面71aを形成することにより、活性汚泥槽1内の廃水中を降下していくガイド体20が、容易に第2ガイドレール71に進入することができる。
【0054】
図19は、ガイド体20の別の例を説明するための膜モジュール5の上面図である。
図19では、ガイドパネル44上に形成されたガイドレール45も描かれている。
図19に示されるガイド体20は、ガイド体20の側面から外側に突出する突出部20aを有する。突出部20a以外の構成は、
図5および
図6に示されるガイド体20の構成と同一であるため、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0055】
図19に示される例では、ガイドパネル44上に形成されたガイドレール45は、ガイド体20の突出部20aを挟むように配置されている。これらガイドレール45によって、降下する膜モジュール5のガイド体20がガイドされる。
図19に示される突出部20aは、ガイド体20と一体に構成されているが、別体として構成された突出部20aをガイド体20の側面に取り付けてもよい。
図19に示されるように、ガイド体20は、該ガイド体20の側面から突出する突出部20aを有していてもよい。
【0056】
図20は、ガイド体20のさらに別の例を説明するための膜モジュール5の上面図である。
図20では、ガイドパネル44上に形成されたガイドレール45も描かれている。
図20に示されるガイド体20は、ガイド体20の側面から内側に向かって凹んだ凹部20bを有する。凹部20b以外の構成は、
図5および
図6に示されるガイド体20の構成と同一であるため、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0057】
図20に示される例では、ガイドパネル44上に形成されたガイドレール45は、ガイド体20の凹部20bに挿入される。この凹部20bに挿入されたガイドレール45によって、膜モジュール5のガイド体20がガイドされながら、膜モジュール5は降下する。
図20に示されるように、ガイド体20は、該ガイド体20の側面から内側に向かって凹んだ凹部20bを有していてもよい。
【0058】
ガイド体20および該ガイド体20をガイドするガイドレール45の構造は、上述した実施例に限定されず、様々な態様を有することができる。
【0059】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。