特許第6223415号(P6223415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223415ボンディング圧を圧力伝達する圧力伝達プレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223415
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】ボンディング圧を圧力伝達する圧力伝達プレート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/603 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   H01L21/603 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-500777(P2015-500777)
(86)(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公表番号】特表2015-514307(P2015-514307A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2012054808
(87)【国際公開番号】WO2013139366
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2015年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ブルクグラーフ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター−オリヴァー ハングヴァイアー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ペラウ
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0181633(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0070376(US,A1)
【文献】 特公平8−29563(JP,B2)
【文献】 特公昭61−42430(JP,B2)
【文献】 特開2012−4522(JP,A)
【文献】 実開平5−85073(JP,U)
【文献】 特開平11−111777(JP,A)
【文献】 特開2002−59098(JP,A)
【文献】 特開2002−307030(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/104235(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/30
H01L21/52
H01L21/58
H01L21/60−21/607
H01L21/68
H05K3/36
B23K37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱圧着ボンディング時に、加圧装置(1)からウエハ(5)にボンディング圧を圧力伝達する圧力伝達プレート()であって、
前記加圧装置(1)に接触するための第1の圧力面(4d)と、
前記第1の圧力面(4d)とは反対側に位置する第2の圧力面(4o)とを備えていて、前記第2の圧力面(4o)は、前記ウエハ(5)に接触しかつ前記ウエハ(5)を押圧するための有効接触面(4k)を有している、圧力伝達プレート()において、
前記圧力伝達プレート()は、2mm未満の網目幅(M)を備えたグリッドとして形成されており、
少なくとも前記有効接触面(4k)は、前記ウエハ(5)に対して0.1J/m未満の表面エネルギによって確定されている粘着性を有していることを特徴とする、ボンディング圧を圧力伝達する圧力伝達プレート。
【請求項2】
少なくとも前記有効接触面(4k)は、前記ウエハ(5)に対して20°よりも大きい接触角によって確定されている粘着性を有している、請求項1記載の圧力伝達プレート。
【請求項3】
前記グリッドは、1mm未満の網目幅(M)を備えている、請求項1又は2記載の圧力伝達プレート。
【請求項4】
圧力伝達プレート()は、鋼、耐熱金属又はこれらの合金から形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の圧力伝達プレート。
【請求項5】
圧力伝達プレート()は、15mm未満の厚さを有している、請求項1からまでのいずれか1項記載の圧力伝達プレート。
【請求項6】
熱圧着ボンディング時における、請求項1からまでのいずれか1項記載の圧力伝達プレート()の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載した、特に熱圧着ボンディング時に、加圧装置からウエハにボンディング圧を圧力伝達する圧力伝達プレート、並びに請求項10記載の使用に関する。
【0002】
無数のボンディング方法のうちの1つが、熱圧着ボンディングである。このボンディング法では、2つのウエハが極めて高い圧力と温度において互いに永久的に結合もしくはボンディングされる。可能な限り均一なボンディング境界面を得るために、ボンドチャック及び押圧プレートもしくは押圧ディスクといった工具は、可能な限り僅かな表面粗さをもって製造される。これらの工具はそもそも表面粗さを有さず、完全に平らで、かつ可能な限り欠陥を有しないことが有利である。場合によっては存在する微視的な凹凸及び/又は波立ちを補償するために、押圧プレートの片側又は両側に、例えばグラファイトプレートである補償プレートを固定することができる。このような補償プレートは柔らかく、かつ変形可能である。従って補償プレートは、ボンディングプロセスにおいて、押圧プレートとその後ろに位置する工具及び/又はボンディングされるウエハの表面との間に位置する。
【0003】
大抵のボンディング方法のためには、補償プレートは、凹凸を補償するという課題を解決することができる。この場合補償プレートは、該補償プレートとウエハとの間の空間を効果的に満たすことによって、課題を解決する。しかしながら、熱圧着ボンディングの場合には、この充填による凹凸の補償が高い圧力と温度に基づいて、時間の経過と共にウエハが押圧ディスク又は補償プレートに引っ掛かったままになってしまうという問題がある。これによってボンディングチャンバをボンディング工程後に開放した時に、ウエハが損傷するということが起きる。この損傷は主として、ウエハがボンディングチャンバの開放時に押圧ディスク又は補償プレートの表面に固着し、数ミリ秒〜数秒の間に自然発生的に粘着力が失われることによって生じる。これによってウエハは落下して激突し、損傷してしまう。
【0004】
ゆえに本発明の課題は、ボンディング時における損傷、特にボンディングされたウエハをボンディング装置から取り出す際における損傷を回避することができる、圧力伝達プレートを提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1及び10に記載の特徴によって解決される。本発明の別の好適な態様は、従属請求項に記載されている。明細書、請求項及び/又は図面に記載された特徴のうちの少なくとも2つから成るすべての組合せも、本発明の枠内にある。記載された数値範囲では、記載された限界値内にある値もまた限界値として開示されるべきであり、かつ任意の組合せも請求の範囲に含まれる。
【0006】
本発明の思想は、ウエハに対して粘着性の低い圧力伝達プレートを加圧装置に取り付けることによって、これにより圧力伝達プレートとウエハとの間において、圧力伝達プレートからのウエハの解離を容易にし、ひいては損傷を回避するという思想に基づいている。粘着力を減じることによって、ウエハをボンディング後にそれぞれの押圧プレートから解離することができ、固着に起因した、例えば落下によるウエハの損傷を回避することができる。本発明によれば、その他の好ましい特性を維持しながら、圧力伝達プレートからの確実な解離が保証される。
【0007】
粘着性によって、本発明によれば特にm当たりの特定の保持力が明示され、この保持力は本発明によれば可能な限り小さいことが望ましく、その結果、収容面における基板の固定の大部分は、固定部分における固定手段によって生ぜしめられる。
【0008】
互いに結合された2つの固体の間における粘着力を測定したい場合には、固体を貫く亀裂を生ぜしめるのに必要なエネルギを測定することができる。半導体工業では、いわゆる「ブレード試験」又は「Maszara ブレード試験」がしばしば使用される。この試験は、厳密に言えば、2つの固体の間における結合エネルギを測定するための方法である。多くの場合、両方の固体は互いに溶接されている。可能な限り多くの他の材料に対して低い粘着性を有することが望まれている1つの層の粘着性を測定するために、本発明によれば好ましくは他の測定方法が使用される。最も頻繁に使用される測定方法は、接触角法(Kontaktwinkelmethode)である。
【0009】
この接触角法は、検査液の使用によって固体の表面エネルギに関する情報を得るために、ヤングの等式と一緒に使用される。
【0010】
この接触角法は、特定の検査液、多くの場合は水によって表面の表面エネルギを評価する。当業者には、相応の測定方法及び評価方法が周知である。接触角法によって求められた接触角は、N/m又はJ/mに換算することができる。しかしながら等しい検査液を用いて異なった表面を相対比較するためには、接触角のデータだけで、表面の粘着性の(相対)評価を得るのに十分である。例えば水を検査液として使用することによって、水滴において約30°の接触角を生ぜしめる湿された表面は、水滴において約120°の接触角を有する表面に比べて高い粘着性を(厳密に言えば水に対してだけ)有していると言うことができる。
【0011】
本発明による実施形態は好ましくは、シリコンウエハに対する押圧荷重のために使用される。ゆえにシリコンに対する、本発明において使用される任意の低粘着性層の表面エネルギを求めることが望ましい。シリコンは室温では液状ではないので、上において述べたように、1つの検査液が、この検査液に関して本発明による低粘着性層を特徴付けるために使用される。従って以下に挙げるすべての接触角値及び/又は表面エネルギは、本発明による低粘着性層を1つの検査液に関して評価した値であって、他の物体、好ましくは固体、さらに好ましくはシリコンに対する、粘着性に関する少なくとも1つの相対的な表現を可能にする値である。
【0012】
本発明の好適な態様では、粘着性は、0.1J/m未満、特に0.01J/m未満、好ましくは0.001J/m未満、さらに好ましくは0.0001J/m未満、理想的には0.00001J/m未満の表面エネルギによって、確定されている。
【0013】
択一的に又は追加的に、本発明の好適な態様では、接触面の粘着性は、20°よりも大きい、特に50°よりも大きい、好ましくは90°よりも大きい、さらに好ましくは150°よりも大きい接触角によって確定されている。他の材料に対する表面の粘着性は、上に述べた接触角法を用いて測定することができる。この場合、好ましくは水(本発明における値は水に関する)(択一的にグリセリン又はヘキサデカン)である公知の液体の液滴が、測定すべき表面において分離される。顕微鏡を用いて、辺の角度、つまり液滴における接線と測定すべき表面との間の角度が正確に測定される。
【0014】
本発明の別の好適な態様では、圧力伝達プレートは、グリッドとして、特に2mm未満、好ましくは1mm未満、さらに好ましくは0.5mm未満、さらに好ましくは0.1mm未満、最も好ましくは0.01mmのメッシュサイズMを備えた、グリッドとして形成されている。最適なメッシュサイズがウエハの直径及び厚さにも関連し得ること及び特に実験によって経験的に求められることは、当該分野における当業者にとって明らかである。非粘着作用は、極めて小さな、しかしながら有限のメッシュサイズMによって引き起こされる。このメッシュサイズMは本発明によれば、圧力伝達装置の均一な圧力分布を可能な限りウエハの表面に伝達するのに十分ではなく、同時に絶対的な接触面を、圧力伝達装置、特に上側の工具におけるウエハの粘着がもはや不可能であるかもしくは少なくともウエハの重量よりも僅かであるように減じる。
【0015】
択一的に又はこれに加えて、本発明の別の態様では、少なくとも第2の圧力面の接触面は、特にショットピーニング、サンドブラスト、研削、エッチング及び/又は研磨によって生ぜしめられた、100nm〜100μmの間、特に1μm〜10μm、さらに好ましくは3μm〜5μmの間の表面粗さを有している。このような表面粗さは、特に、ウエハ厚さ及び/又はウエハ直径にも関連することができる。ある特定のウエハ直径及び/又はある特定のウエハ厚さに対して最適な粗さが存在するということが判明している。このことは本発明によれば相応に経験的に求められる。本発明の好適な態様では、表面粗さはウエットケミカル式に製造される。酸の使用によって、表面は所望のように腐食される。相応のサイズの粒子を有するショットピーニング、サンドブラスト、研削及び/又は研磨のような上に述べた方法によって、相応の粗さを有する表面が製造される。これによって生じる非粘着性作用の効果は、グリッドの効果に似ており、ただこの場合には規則的なメッシュ構造ではなく、不規則な表面が、非粘着性の所望の効果を生ぜしめる。
【0016】
ナノ技術から公知のように、まさにマイクロ範囲及び/又はナノ範囲における低い粘着性表面は極端な凹凸を有しており、このような凹凸の形態は、まさに低粘着性のために寄与するか又は低粘着性を惹起する。当業者に公知の1例としては、いわゆる「ロータス効果」がある。
【0017】
圧力伝達プレートは、少なくとも400℃まで、特に少なくとも800℃まで、好ましくは少なくとも1200℃まで、さらに好ましくは少なくとも2000℃まで、さらに好ましくは少なくとも3000℃まで、熱力学的に安定した材料から形成されていると、圧力伝達プレートを熱圧着ボンディングの場合に好適に使用することができる。
【0018】
この場合さらに、圧力伝達プレートが、特に大きな温度範囲にわたって、不変で高い圧縮強さ、特に400℃を越える温度において100MPaよりも大きな、特に500MPaよりも大きな、好ましくは1000MPaよりも大きな、さらに好ましくは2000MPaよりも大きな、不変で高い圧縮強さを有する材料から形成されていると好適である。圧縮強さは特に、押圧ディスクの周囲における制限手段によって高めることができる(少なくとも2軸方向の圧縮強さ)。
【0019】
考えられる材料クラスとしては特に下記のものが挙げられる。すなわち、
高温プラスチック、
セラミック、炭化ケイ素、窒化ケイ素など、
金属、
耐熱金属、
耐熱鋼、
一般的な工具鋼
又は上記の材料の任意の組合せ。
【0020】
本発明によれば圧力伝達プレートは好ましくは、ある程度の弾性/変形可能性を有しており、このようになっていると、押圧時におけるウエハ及び/又は圧力伝達装置の凹凸又は波立ちを補償することができる。
【0021】
本発明の別の好適な態様では、圧力伝達プレートは、15mm未満の厚さd、有利には10mm未満、好ましくは5mm未満、さらに好ましくは1mm未満、極めて好ましくは0.1mm、最も好ましくは0.05mm未満の厚さdを有している。
【0022】
本発明のさらに別の好適な態様では、少なくとも第2の圧力面、好ましくは圧力伝達プレート全体は、ウエハに対して所定の条件時に不活性である、及び/又はウエハ材料と反応しない及び/又はウエハ材料に対して可溶性でない、材料から形成されている。特に、金属の汚染に対して極めて敏感なロジックファミリを有するウエハでは、少なくとも第2の圧力面、好ましくは圧力伝達プレート全体における相応の化学的なエレメントの集中は、本発明によれば設定された限界値の下にある。CMOS互換性(Kompatibilitaet)の特殊例において、圧力伝達プレートの材料は好ましくは、合金エレメントAu,Cu,Agを有していない。
【0023】
粘着性の低下及び/又は僅かな粘着性の発生は、本発明によれば、特に本発明による他の手段との組合せにおいて、表面に沿って空気通路を所望のように形成することによっても得られる。これによって接触面における真空の形成は、最小化される、又は阻止される。
【0024】
本発明によるさらに別の態様では、補償プレートは、ウエハと補償プレートとの間におけるガス分子アクセスのために荒い表面を有している。本発明によればこれによって、上に述べた方法によって粗い表面を生ぜしめることによって、ウエハと補償プレートとの間における真空が阻止される。
【0025】
圧力伝達プレートについて記載した特徴は、記載した使用の特徴としても開示されていると見なすべきであり、また逆に、使用について記載した特徴は、圧力伝達プレートの特徴としても開示されていると見なすべきである。
【0026】
ボンディングのため、特に熱圧着ボンディングのための上に述べた圧力伝達プレートの使用もまた、独立した発明として開示される。
【0027】
本発明のその他の利点、特徴及び詳細については、以下において図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態において詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による圧力伝達プレートを使用したボンディング装置を概略的に示す横断面図である。
図2a】本発明による圧力伝達プレートの第1実施形態を示す平面図である。
図2b】本発明による圧力伝達プレートの第1実施形態を示す横断面図である。
図3a】本発明による圧力伝達プレートの第2実施形態を示す平面図である。
図3b】本発明による圧力伝達プレートの第2実施形態を示す横断面図である。
【0029】
図面には本発明の利点及び特徴が、それらの利点及び特徴をそれぞれ示す符号を用いて本発明の実施の形態によって示されており、この場合同じ又は同じ機能を有する構成部材もしくは特徴は、同一符号で示されている。
【0030】
図面において本発明による特徴は、個々の特徴の機能を示すことができるようにするために、正確な縮尺では示されてはいない。また個々の構成部材の関係も部分的に極端である。
【0031】
図1には、第1のウエハ5を第2のウエハ6とボンディングするボンディング装置が示されており、両ウエハ5,6はそのために、収容装置、ここではチャック7に収容され、かつ特に真空路やクランプ等によって固定されている。
【0032】
ボンディング装置は特にボンディング室をも有することができ、このボンディング室内に、図1に示した部材が収容されているか又は収容可能であり、該ボンディング室内において、確定された雰囲気、特に高温及び高圧又は低圧(真空)を発生させることができる。
【0033】
第1のウエハ5と第2のウエハ6とから成るウエハ対の上には、加圧装置1が配置されている。この加圧装置1は、ウエハ対に対向させて方向付けることができ、この加圧装置1を用いてボンディング圧又はボンディング力をウエハ対に加えることができる。向かい合って位置する方向付け及び均一な加圧のための相応の制御装置は、当業者にとって周知である。
【0034】
加圧装置1の、ウエハ対に向いた側の面1oには、固定装置2によって、特にグラファイトプレートとして形成された補償プレート3が加圧装置1に固定されている。補償プレート3は、ウエハ5,6もしくはウエハ対の凹凸を補償するために役立つ。補償プレート3の、加圧装置1とは反対側の面3oには、特に同様に固定手段2によって、本発明による圧力伝達プレート4が固定されている。この圧力伝達プレート4は、第1の圧力面4dを有していて、この第1の圧力面4dで補償プレート3の面3oに接触している。さらに圧力伝達プレート4は、第1の圧力面4dとは反対側の第2の圧力面4oを、ウエハ対、ここではウエハ5の表面5oとの接触のために有している。
【0035】
図示の実施形態では、補償プレート3及び圧力伝達プレート4は、その周面においてほぼ同じ寸法を有しており、これらの寸法は、ウエハ5,6の寸法ともほぼ同じであり、まったく同じでないとしても、ウエハ5,6の寸法を僅かに上回っているか又は下回っているだけである。
【0036】
固定手段2は、補償プレート3及び圧力伝達プレート4をそれらの周面を介して固定しており、この場合第2の圧力面4oの側縁におけるクランプも可能である。
【0037】
第2の圧力面4oの、ウエハ5と接触する領域は、図示の実施形態ではほぼ第2の圧力面4oと合致する有効接触面4kである。
【0038】
本発明による圧力伝達プレート4,4′は好ましくは、4インチ、6インチ、8インチ、12インチ又は18インチの直径を有しており、これによって本発明による圧力伝達プレート4,4′は、ウエハの通常の工業寸法に対応している。また任意の他の直径も可能である。
【0039】
図2bには、図1の領域Aが拡大して横断面図で示されており、図2aに示した圧力伝達プレート4の実施形態では、圧力伝達プレート4は格子もしくはグリッドネットとして形成されている。固着防止作用もしくは低い粘着力は、極めて小さな、しかしながら有限の網目幅もしくはメッシュサイズMによって生ぜしめられる。メッシュサイズMは、補償プレート3の均一な圧力分布を可能な限りウエハ5の表面5oに伝達するのに十分な小さいサイズを有している。図示の実施形態によって、圧力伝達プレート4とウエハ5との間における絶対的な接触面もしくは有効接触面4kは減じられ、その結果ウエハ5に対する圧力伝達プレート4の粘着作用は最小になり、かつ相応な材料選択によって、圧力伝達プレート4におけるウエハ対の固着がもはや生じないほど、小さくなる。
【0040】
図3a及び図3bに示した、特に金属薄板又はシートとして形成された圧力伝達プレート4′の実施形態では、第2の圧力面4o′が大きな表面粗さを有している。この表面粗さは特にウエットケミカル式に製造することができる。目的に合わせて酸を使用することによって、表面4o′は侵食される。特に次いで又はもっぱら、相応に大きな粒子を用いたショットピーニング、サンドブラスト、研削及び/又は研磨によって、決定された表面粗さを与えることができる。
【0041】
それにもかかわらず圧力伝達プレート4′と補償プレート3との共働において、良好な圧力分布が可能になり、かつ均一なボンディング力を加えることができる。
【0042】
この場合圧力伝達プレート4′は、その上に位置する補償プレート3及び/又はボンディング力を加えられるウエハ5の凹凸に適合するのに十分な弾性を有している。
【0043】
本発明による圧力伝達プレート4,4′のための材料としては、特に鋼及び/又は耐熱金属、特にこれらの合金が使用される。好ましくは耐熱鋼が使用される。
【0044】
圧力伝達プレート4,4′は厚さdを有しており、これによって、該圧力伝達プレートの側から、つまり固定手段2を介して固定するのに十分な曲げ強さを得ることができる。固定手段2は、特に、圧力伝達プレート4,4′の周囲に分配配置された固定エレメントを有している。
【0045】
固定手段としては、特に、高温接着剤及び/又は、補償プレート3のグラファイトマトリックス内への圧力伝達プレート4,4′の材料の埋込みによる、補償プレート3との直接的な結合形態も挙げることができる。別の実施形態によれば、図2a,図2bの実施形態によるメッシュもしくはグリッドとグラファイト層3とが、特に、より軟らかいグラファイト層3への特に金属製のグリッドの埋込みによって、圧力方向で見て直列結合部を成している。
【符号の説明】
【0046】
1 加圧装置
1o 面
2 固定手段
3 補償プレート
3o 面
4,4′ 圧力伝達プレート
4o,4o′ 第2の圧力面
4d 第1の圧力面
4k 有効接触面
5 第1のウエハ
5o 表面
6 第2のウエハ
7 チャック
d 厚さ
M メッシュサイズ
M′ 表面粗さ
図1
図2a
図2b
図3a
図3b