特許第6223471号(P6223471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223471共振型送信電源装置及び共振型送信電源システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223471
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】共振型送信電源装置及び共振型送信電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20171023BHJP
【FI】
   H02J50/12
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-554397(P2015-554397)
(86)(22)【出願日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】JP2013084836
(87)【国際公開番号】WO2015097807
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(72)【発明者】
【氏名】阿久澤 好幸
(72)【発明者】
【氏名】酒井 清秀
(72)【発明者】
【氏名】江副 俊裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 有基
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−044735(JP,A)
【文献】 特開2012−016171(JP,A)
【文献】 特開2012−175824(JP,A)
【文献】 特開2013−212034(JP,A)
【文献】 特開2013−126307(JP,A)
【文献】 特開2009−033782(JP,A)
【文献】 特開2008−236917(JP,A)
【文献】 特開2008−237007(JP,A)
【文献】 特開2008−237006(JP,A)
【文献】 特開2006−230032(JP,A)
【文献】 特開2009−219177(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080285(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/176751(WO,A1)
【文献】 特開2008−206231(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/061617(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/179394(WO,A1)
【文献】 特開2013−17379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナの送信電力状態を検出する送信電力状態検出回路と、
前記送信電力状態検出回路による検出結果に基づいて、前記送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出する異物検出回路と、
を備え、
前記異物検出回路により異物が検出された場合に、当該異物が誘電体であるか否かを判別する
ことを特徴とする共振型送信電源装置。
【請求項2】
前記送信電力状態検出回路は、前記送信アンテナの前記送信電力状態として前記送信アンテナからの反射電力を検出し、
前記反射電力に基づいて、前記異物が誘電体であるか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1記載の共振型送信電源装置。
【請求項3】
前記異物が誘電体であると判別された場合、前記送信アンテナへの電力の供給を低減又は停止する電力制御回路をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1記載の共振型送信電源装置。
【請求項4】
前記異物検出回路により異物が検出された場合に、当該異物が誘電体であるか否かの判別に加え、磁性体であるか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1記載の共振型送信電源装置。
【請求項5】
前記異物が磁性体であると判定された場合、前記送信アンテナへの電力の供給を低減する電力制御回路をさらに備えた
ことを特徴とする請求項4記載の共振型送信電源装置。
【請求項6】
前記異物が誘電体であると判定された場合は、前記電力制御回路は、前記送信アンテナへの電力の供給を停止する
ことを特徴とする請求項5記載の共振型送信電源装置。
【請求項7】
前記送信電力状態検出回路は、送信電力状態として、前記送信アンテナからの反射電力に加え、当該送信アンテナに入力される電圧と電流との位相差、当該電圧及び当該電流の各振幅のうち少なくとも1つ以上を検出する
ことを特徴とする請求項1記載の共振型送信電源装置。
【請求項8】
複数の送信アンテナに供給する力をそれぞれ制御する共振型送信電源装置を複数系統備え、
それぞれの前記共振型送信電源装置は、
対応する前記送信アンテナの送信電力状態を検出する送信電力状態検出回路を備え、
当該各送信アンテナが同一の周波数により動作する共振型送信電源システムであって
記送信電力状態検出回路による検出結果に基づいて、前記対応する送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出する異物検出回路と、
前記異物検出回路により異物が検出された場合に、前記各系統の前記送信電力状態検出回路による検出結果の違いに基づいて、当該異物の位置を検出する位置検出回路
備え
前記複数の送信アンテナのうち、隣り合う少なくとも2つの前記送信アンテナは、異物の有無を検出できる範囲が重なる位置に配置されている
ことを特徴とする共振型送信電源システム。
【請求項9】
複数の送信アンテナに供給する力をそれぞれ制御する共振型送信電源装置を複数系統備え、
それぞれの前記共振型送信電源装置は、
対応する前記送信アンテナの送信電力状態を検出する送信電力状態検出回路を備え、
当該各送信アンテナが各々異なる共振周波数により動作する共振型送信電源システムであって
記送信電力状態検出回路による検出結果に基づいて、前記対応する送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出する異物検出回路と、
前記異物検出回路により異物が検出された場合に、異なる共振周波数でそれぞれ動作する前記送信アンテナの前記送信電力状態の違いに基づいて異物の種別を判別する電力制御回路と
を備え
前記複数の送信アンテナのうち、隣り合う少なくとも2つの前記送信アンテナは、異物の有無を検出できる範囲が重なる位置に配置されている
ことを特徴とする共振型送信電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出し、異物を検出した場合に電力伝送の低減又は停止を行う共振型送信電源装置及び共振型送信電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、従来の電源装置において、異物の有無を検出する機能を有するものが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に開示された電源装置では、送信アンテナ101に対し、巻き軸が直交するセンサコイル102を複数設け(図6では1つのみ図示)、当該センサコイル102の周囲103に存在する異物を検出している。受信アンテナ(不図示)側についても同様に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−215073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成では、異物検出用のセンサコイル102を、送信アンテナ101、受信アンテナとは別に設ける構成であるため、以下のような課題がある。まず、装置全体がセンサコイル102分大型化してしまうという課題がある。すなわち、送信アンテナ101、受信アンテナ上にセンサコイル102を配置するため、特に高さ(厚み)が増加し、また、質量も増加してしまう。また、送信アンテナ101から発生される電磁界の範囲内であっても、送信アンテナ101、受信アンテナから離れた遠方に存在する異物、又は送信アンテナ101と受信アンテナとの間の中心付近に存在する異物を検出することが困難であるという課題がある。また、異物検出用のセンサコイル102を多数必要とするため、コスト増加の原因となるという課題がある。また、異物検出用のセンサコイル102を多数駆動する必要があるため、消費電力増加の原因となるという課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出することができ、異物を検出した場合に電力伝送の低減又は停止を行うことができる共振型送信電源装置及び共振型送信電源システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る共振型送信電源装置は、送信アンテナの送信電力状態を検出する送信電力状態検出回路と、送信電力状態検出回路による検出結果に基づいて、送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出する異物検出回路と、を備え、異物検出回路により異物が検出された場合に、異物が誘電体であるか否かを判別するものである
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出することができ、異物を検出した場合に電力伝送の低減又は停止を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係る共振型送信電源装置を備えた共振型電力伝送システムの構成を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る共振型送信電源装置により検出される反射電力、電圧と電流との位相差、電圧及び電流の各振幅を示す図であり、(a)異物がない場合を示す図であり、(b)誘電体系の異物がある場合を示す図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る共振型送信電源装置により検出される反射電力、電圧と電流との位相差、電圧及び電流の各振幅を示す図であり、(a)異物がない場合を示す図であり、(b)磁性体系の異物がある場合の図である。
図4】この発明の実施の形態2に係る共振型送信電源システムを備えた共振型電力伝送システムの構成を示す図である。
図5】この発明の実施の形態3に係る共振型送信電源システムを備えた共振型電力伝送システムの構成を示す図である。
図6】従来の電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る共振型送信電源装置1を備えた共振型電力伝送システムの構成を示す図である。
共振型電力伝送システムは、電気信号を含む電力を伝送するものである。この共振型電力伝送システムは、図1に示すように、共振型送信電源装置1、送信アンテナ2、受信アンテナ3及び受信電源装置4から構成されている。
【0010】
共振型送信電源装置1は、送信アンテナ2の前段に配置され、送信アンテナ2への電力の供給を制御するものである。また、共振型送信電源装置1は、図1に破線で示す送信アンテナ2から発生される電磁界(送受信アンテナ2,3間の電力伝送空間及びその近傍を含む空間)における異物の有無を検出する機能と、異物を検出した場合に送信アンテナ2への電力の供給を低減又は停止する機能も有している。異物には、誘電体系の異物(人の手、動物等)と、磁性体系の異物(金属等)が含まれる。この共振型送信電源装置1の詳細については後述する。
送信アンテナ2は、共振型送信電源装置1からの電力を、受信アンテナ3に伝送するものである(非接触に限定されない)。
【0011】
受信アンテナ3は、送信アンテナ2からの電力を受信するものである(非接触に限定されない)。この受信アンテナ3により受信された電力は受信電源装置4を介して負荷機器等(不図示)に供給される。
受信電源装置4は、受信アンテナ3と負荷機器等間に配置され、受信アンテナ3により受信された電力(交流出力)を整流するものである。この受信電源装置4は、AC入力−DC出力型又はAC入力−AC出力型の電源回路である。
なお、無線電力伝送の場合における共振型電力伝送システムの伝送方式は特に限定されるものではなく、磁界共鳴による方式、電界共鳴による方式、電磁誘導による方式のいずれであってもよい。
【0012】
次に、共振型送信電源装置1の構成について説明する。
共振型送信電源装置1は、送信電力状態検出回路11及び電源制御回路12から構成されている。
【0013】
送信電力状態検出回路11は、送信アンテナ2の送信電力状態を検出するものである。この送信電力状態検出回路11は、反射電力検出回路111、電圧検出回路112、電流検出回路113及び位相/振幅検出回路114から構成されている。
【0014】
反射電力検出回路111は、送信アンテナ2から電力伝送できずに戻ってくる電力(反射電力)を検出するものである。
電圧検出回路112は、送信アンテナ2に入力される電圧を検出するものである。
電流検出回路113は、送信アンテナ2に入力される電流を検出するものである。
位相/振幅検出回路114は、電圧検出回路112により検出された電圧と電流検出回路113により検出された電流との位相差、電圧及び電流の各振幅を検出するものである。
【0015】
電源制御回路12は、送信電力状態検出回路11による検出結果に基づいて送信アンテナ2から発生される電磁界における異物の有無を検出し、異物を検出した場合に送信アンテナ2への電力の供給を低減又は停止するものである。この電源制御回路12は、高周波の交流出力をするインバータ回路121と、その出力を制御する制御回路122とから構成されている。インバータ回路121は、AC入力−AC出力型又はDC入力−AC出力型のインバータ電源回路である。制御回路122は、制御パターン記憶回路123、異物検出回路124及び電力制御回路125から構成されている。
【0016】
制御パターン記憶回路123は、異物検出及び電力制御に関する情報を記憶するメモリである。この制御パターン記憶回路123に記憶される情報には、異物検出回路124で異物検出を行う際に用いる送信電力状態(反射電力、電圧と電流との位相差、電圧及び電流の各振幅)に対する閾値を示す情報、当該送信電力状態を用いて検出可能な異物の種別(誘電体系、磁性体系)を示す情報、異物の種別に応じた電力制御回路125での制御内容(誘電体系の異物の場合には電力供給停止、磁性体系の異物の場合には電力供給低減等)を示す情報が含まれる。
【0017】
異物検出回路124は、制御パターン記憶回路123に記憶された情報に従い、送信電力状態検出回路11による検出結果に基づいて、送信アンテナ2から発生される電磁界における異物の有無を検出するものである。
電力制御回路125は、異物検出回路124により異物が検出された場合に、制御パターン記憶回路123に記憶された情報に従い、送信アンテナ2への電力の供給を低減又は停止するものである。
【0018】
次に、上記のように構成された共振型送信電源装置1の動作について、図2,3を参照しながら説明する。
共振型電力伝送システムでは、AC又はDC電力が共振型送信電源装置1の電源制御回路12に供給され、電源制御回路12のインバータ回路121は高周波の交流出力を送信アンテナ2へ供給する。送信アンテナ2へ供給された電力は、その交流周波数に共振して、送信アンテナ2から受信アンテナ3へ伝送される。受信アンテナ3で受信された電力は、受信電源装置4へ交流出力される。そして、受信電源装置4は、その電力を整流して、DC又はAC出力する。
一方、共振型送信電源装置1では、送信アンテナ2の送信電力状態を、送信電力状態検出回路11により検出し、電源制御回路12へその状態を示す信号を送っている。そして、電源制御回路12の制御回路122では、その信号に基づいて、送信アンテナ2から発生される電磁界における異物の有無を検出することで、送信アンテナ2への交流出力を制御している。
【0019】
ここで、送信アンテナ2から発生される電磁界に異物が存在しない場合には、送信アンテナ2からの反射電力、送信アンテナ2へ入力される電圧と電流との位相差、電圧及び電流の各振幅は、図2(a),図3(a)に示すようになる。
【0020】
一方、送信アンテナ2から発生される電磁界に誘電体系の異物(人の手、動物等)が存在する場合には、図2(b)に示すような波形となる。すなわち、図2の上段に示すように、異物により電力伝送が遮られるため、異物がない場合に対して反射電力が増加する。また、図2の下段に示すように、電圧と電流との位相差は大きくなり、電圧及び電流の各振幅は変化する。そして、電源制御回路12は、誘電体系の異物を検出した場合には、例えば送信アンテナ2への電力の供給を停止する。
また、送信アンテナ2から発生される電磁界に磁性体系の異物(金属等)が存在する場合には、図3(b)に示すような波形となる。すなわち、図3の上段に示すように、異物により電力伝送が遮られるため、異物がない場合に対して反射電力が増加する。また、図3の下段に示すように、電圧と電流との位相差が変化し、電圧の振幅が増加し、電流の振幅が減少する。そして、電源制御回路12は、磁性体系の異物を検出した場合には、例えば送信アンテナ2への電力の供給を低減する。
【0021】
以上のように、この実施の形態1によれば、送信アンテナ2の送信電力状態の変化を監視するように構成したので、送信アンテナ2から発生される電磁界における異物の有無を検出することができ、異物を検出した場合に送信アンテナ2への電力の供給を低減又は停止することができる。
また、異物検出において従来構成のような異物検出用のセンサコイル102等が不要なため、送受信アンテナ2,3を小型・軽量に構成することができる。また、送信アンテナ2から発生される電磁界における送信アンテナ2から離れた遠方、又は送受信アンテナ2,3の中心付近に存在する異物も検出することができる。また、センサコイル102等の追加装置が不要なため、低コスト化を図ることができる。また、センサコイル102等の追加装置を駆動する必要もないため、低消費電力化を図ることができる。
【0022】
なお図1に示す送信電力状態検出回路11では、送信電力状態として、反射電力、電圧と電流との位相差、電圧及び電流の各振幅を全て検出する場合について示したが、これに限るものではなく、異物の検出精度は低下するが検出項目を削除しても構わない。
【0023】
また図1に示す送信電力状態検出回路11は、受信アンテナ3の入力インピーダンスの変化に応じて送受信アンテナ2,3の共振結合インピーダンスを調整する際の検出回路として共通化が可能であり、低コスト化を図ることができる。この場合には、送信電力状態検出回路11による検出結果に基づいて、送信アンテナ2の共振インピーダンスを調整する(送受信アンテナ2,3間の共振条件を合わせる)共振インピーダンス調整回路が別途設けられる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態2では、送受信系(共振型送信電源装置1、送信アンテナ2及び受信アンテナ3)を複数系統設け、各々逆位相かつ同一の固定周波数で電力伝送を行う場合について示す。なおこの場合、複数系統の共振型送信電源装置1は本発明の共振型送信電源システムを構成する。図4はこの発明の実施の形態2に係る共振型送信電源システムを備えた共振型電力伝送システムの構成を示す図である。図4に示す実施の形態2に係る共振型電力伝送システムは、図1に示す実施の形態1に係る共振型電力伝送システムの送受信系を2系統設け、共振型送信電源装置1の電源制御回路12に位置検出回路126を追加したものである。また、各系統の電源制御回路12は接続線で接続されており、各送信電力状態検出回路11による検出結果を共有することができる。その他の構成は同様であり、同一の符号を付して異なる部分についてのみ説明を行う。
【0025】
位置検出回路126は、異物検出回路124により異物が検出された場合に、各系統の送信電力状態検出回路11による検出結果(波形の違い)に基づいて、当該異物の位置を検出するものである。
また、電力制御回路125は、位置検出回路126により検出された異物の位置に基づいて、対応する送信アンテナ2への電力の供給を低減又は停止する。
【0026】
これにより、異物がいずれの送受信系側に位置しているのかがわかる。また、異物が送受信アンテナ2,3の直近に位置するのか、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間の中心付近に位置するのかがわかる。そして、異物が送受信アンテナ2,3の直近に存在する場合には、その異物はゴミであると判断でき、異物が中心付近に位置する場合には、その異物は人の手や動物等であると判断できる。また、異物が移動物体であるかも判断することができる。よって、異物の検出精度が向上する。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3では、送受信系を複数系統設け、異なる固定周波数で電力伝送を行う場合について示す。図5はこの発明の実施の形態3に係る共振型送信電源システムを備えた共振型電力伝送システムの構成を示す図である。図5に示す実施の形態3に係る共振型電力伝送システムは、図4に示す実施の形態2に係る共振型電力伝送システムと基本構成は同様であり、同一の符号を付して異なる部分についてのみ説明を行う。
【0028】
なお図5に示す例では、上段の共振型送信電源装置1は伝送周波数として6.78MHz帯を用いて電力伝送を行い、下段の共振型送信電源装置1は伝送周波数として13.56MHz帯を用いて電力伝送を行う場合を示しているが、これに限るものではない。なお、上記各周波数帯は商用電源で用いられる周波数帯である。
【0029】
また、電力制御回路125は、異物検出回路124により異物が検出された場合に、各系統の送信アンテナ2の固定周波数、及び各系統の送信電力状態検出回路11による検出結果(波形の違い)に基づいて異物の種別を判別し、対応する送信アンテナ2への電力の供給を低減又は停止する。
ここで、特定の伝送周波数で伝送される電力に対する反射率は、異物の種別(誘電体系、磁性体系)により異なる。よって、この特性を利用することで、異物が誘電体系であるか磁性体系であるかをより正確に判別することができ、検出精度が向上する。
【0030】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明に係る共振型送信電源装置は、送信アンテナから発生される電磁界における異物の有無を検出することができ、異物を検出した場合に電力伝送の低減又は停止を行うことができ、送信アンテナへの電力の供給を制御する共振型送信電源装置等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0032】
1 共振型送信電源装置、2 送信アンテナ、3 受信アンテナ、4 受信電源装置、11 送信電力状態検出回路、12 電源制御回路、111 反射電力検出回路、112 電圧検出回路、113 電流検出回路、114 位相/振幅検出回路、121 インバータ回路、122 制御回路、123 制御パターン記憶回路、124 異物検出回路、125 電力制御回路、126 位置検出回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6