(54)【発明の名称】(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド及びその製薬上許容しうる塩を用いた認知障害の治療
【文献】
Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,2008年 6月,Vol.18,p.3611-3615
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドの製薬上許容しうる塩が、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩一水和物、又は(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩溶媒和物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬。
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩が、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドの製薬上許容しうる塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬。
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩が、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬。
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩が、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩一水和物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、P50ゲーティングに対する試験化合物の効果の研究の結果を示す。左のパネルは、ベースライン補正された平均P50ゲーティング比(T/C)をグループ割付の関数として示す[F=1.16, P=0.36]。各平均値の標準誤差を凡例に記載する。バー(左から右)は、プラセボ、0.3 mg試験化合物、及び1.0 mg試験化合物を表す。右のパネルは、ベースライン補正された平均P50差(C-T)をグループ割付の関数として示す[F=3.97, P=0.07]。各平均値の標準誤差を凡例に記載する。バーは左から右に、プラセボ、0.3 mg試験化合物、及び1.0 mg試験化合物を表す。
【
図2】
図2は、P100ゲーティングに対する試験化合物の効果の研究の結果を示す。左のパネルは、ベースライン補正された平均N100ゲーティング比(T/C)をグループ割付の関数として示す[F=3.04, P=0.10]。各平均値の標準誤差を凡例に記載する。バーは左から右に、プラセボ、0.3 mg試験化合物、及び1.0 mg試験化合物を表す。右のパネルは、ベースライン補正された平均N100差(C-T)をグループ割付の関数として示す[F=1.02, P=0.38]。各平均値の標準誤差を凡例に記載する。バーは左から右に、プラセボ、0.3 mg試験化合物、及び1.0 mg試験化合物を表す。
【
図3】
図3は、MMN振幅及びP00振幅に対する試験化合物の効果の研究の結果を示す。左のパネルは、MMNをグループ割付の関数として示す[F=4.96, P=0.02]。各平均値の標準誤差を凡例に記載する。バーは左から右に、プラセボ、0.3 mg試験化合物、及び1.0 mg試験化合物を表す。右のパネルは、偏奇であるが注意を向けられていない刺激(rare but unattended stimulus)により誘発される反応中にPz頭皮で測定したP300振幅(刺激前電圧に対するマイクロボルト)を示す。グループ割付効果(Group assignment effect): F=6.88, P=0.008。各平均値の標準誤差を凡例に記載する。バーは左から右に、プラセボ、0.3 mg試験化合物、及び1.0 mg試験化合物を表す。
【0011】
詳細な説明
以下に、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドが、1 mg以下の予想外に低い1日投与量で認知機能に対して陽性効果を誘発することを実証するヒト臨床試験を記載する。陽性効果は、統合失調症に罹患した患者及び正常被験者の両方で観察される。また、((R)−7−クロロ−N−(キヌ
クリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩の)1日1 mg
投与量でヒトに投与された(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドの遊離濃度は、認知機能に対して陽性効果を発現する、又は統合失調症患者において認知機能及び機能的パフォーマンス(cognitive and functional performance)の改善と相関する感覚電気生理学的反応(sensory electrophysiological responses)を改善しうるために必要と予測されるよりも、少なくとも1オーダー低いことを示す研究を以下に記載する。また、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドが、動物における前臨床試験に基づいて予測される半減期に比べて、ヒトにおいて予想外に長い半減期を有することを実証する研究を以下に記載する。
【0012】
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドは、予想外に低い遊離血漿中濃度で認知機能を改善することができるため、それ自体の有害な副作用を誘発する可能性がより低く、他の薬物との有害な相互作用を誘発する可能性がより低い。予想外に低い必要な遊離血漿中濃度と長い半減期のため、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドは特別な薬物特性を有すると予測される。これらの特性は、広い安全域及び有利な投与計画(例、1日1回投与)を含み、これらは共に認知機能障害(cognitive defects)の患者並びに追加の投薬を必要とする患者の治療に非常に有利である。
【0013】
統合失調症患者における認知機能に対する効果
以下に記載する研究は、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩が、統合失調症患者において認知機能及び機能的パフォーマンスの改善と相関する感覚電気生理学的反応を改善しうることを実証する。これらの効果は、0.3 mgという低い1日投与量で観察された。
【0014】
関連性のない感覚情報(irrelevant sensory information)を抑える中枢神経系の能力の障害は、統合失調症患者に見られる注意欠陥を理解するためのモデルとして長い間使用されている。この能力を測定するための2つのアプローチが一般に使用されている(概説及びメタ解析はHeinrichs, 2004; Potter et al., 2006; Turetsky et al., 2007; Umbricht and Krljes, 2005を参照):(1)1つの刺激の提示が、それに直ちに続く刺激により誘
発される反応を通常は抑制するという感覚ゲーティングパラダイム(sensory gating paradigm)。統合失調症患者は典型的に2回目の反応の抑制(ゲーティング(gating))が弱い
。(2)統合失調症患者において、注意資源(attentional resources)が周囲の環境のより目立たない現象に不適切に集中されるため、稀な又は予期せぬ事象が減弱した反応を誘発するオッドボール又は指向性パラダイム(oddball or orienting paradigm)。
【0015】
2つの反応が脳活動の評価に一般に使用される:(1)1対のクリック音の2回目で誘発
される聴覚P50反応;及び(2)患者には関連性が指示されていない稀に発生する純音により誘発されるミスマッチ陰性電位(mismatch negativity (MMN))又はN2反応。P50ゲーティング及びMMNの両方の異常が統合失調症患者において報告されている。(R)−7−クロロ
−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩(「試験化合物」)で治療された患者におけるこれらの両方の反応を評価する研究を以下に記載する。また、誘発された反応のN100及びP300成分に対する試験化合物の影響を評価する研究を以下に示す。これらの成分は、P50成分の後に出現し、課題関連刺激に対する
注意及びその記憶に関連しているのと同程度に、課題非関連刺激がフィルターされる神経プロセスに関連している(Turetsky et al., 2007; 及び Sandman and Patterson, 2000)
。
【0016】
P50感覚ゲーティングの神経生物学は、ヒト及び動物の対象の研究においてよく報告さ
れている。その制御は、海馬及び海馬への入力を提供する経路の完全性(integrity)に大
きく依存する(Adler et al., 1998)。例えば、内側中隔核由来のコリン作動性経路の損傷は、低親和性ニコチン性受容体のアンタゴニストがするように、ゲーティング反応を中断させる。ニコチン自体を含めてコリン作動性アゴニスト(Adler et al., 1993; Duncan et
al., 2001)がP50ゲーティングを増強することが示されている(Freedman et al., 2001; Olincy et al., 2006)。
【0017】
MMNの神経生物学はより複雑である。イメージング研究は、側頭葉の一次及び二次聴覚
野がその発生に重要であることを示唆する(Naatanen and Alho, 1995)。背外側前頭前皮
質も寄与する(Schall et al., 2003)。MMNの基礎をなす神経伝達物質系は研究中であり多くは知られていない。しかし、P50の場合と同様に、ニコチン性コリン作動系が重要と思
われる(Baldeweg et al., 2006; Dunbar et al, 2007)。
【0018】
コリン作動性化合物に対するP300及びN100の感受性は長年にわたり知られている(Dierks et al, 1994; Kaga et al., 1992)。種々のコリン作動性アンタゴニスト(スコポラミ
ンのような)がこれらの成分の振幅を大きく減少させる。一方、これらの成分は、コリンエステラーゼ阻害剤(Katada et al., 2003; Werber et al., 2001)及びコリン作動性活性を増強する他の化合物(Easton and Bauer, 1997)により振幅が顕著に改善される。
上記の試験は、統合失調症に罹患した患者における認知機能に対する試験化合物の効果を研究するために使用された。試験の前に、患者は、試験化合物を1日1 mg、試験化合物を1日0.3 mg又はプラセボを20日間投与された。以下に記載するように被験者を試験した。
【0019】
P50波は、標準的なS1-S2刺激の連続において対にグループ化され、耳道に挿入したイヤピースを通して提示されたクリック音(持続時間1ミリ秒)により誘発された。クリック
音強度は、それぞれ聴力閾値50 dBより大きく調整された。S1からS2までのオフセット−
オンセット時間(offset-to-onset time)は500ミリ秒に固定した。対のクリック音の間の
オフセット−オンセット時間は7-11秒に変化させた。各5回以上のトライアルブロック中
に全部で30対のクリック音を提示し、各ブロック間に1分間の休憩時間をはさんだ。
【0020】
クリック音に対するEEG反応は10K増大するまで増幅し、フィルターをかけた(バンドパ
ス=3-30 Hz, 12 db ロールオフ)。EEG反応は、電極キャップ(Compumedics Neuroscan, Inc.)により配置された63個のスズ電極から集められた。同じタイプの追加の電極を前頭部
中央(表面)及び左眼の垂直方向上下につけた。電極間のインピーダンスは10 kOhm未満
に維持した。全ての記録は、まっすぐな姿勢で座り、リラックスしているが目が覚めている被験者で行った。
【0021】
EEG及び眼球運動信号は、クリック音のオンセット後325ミリ秒の50ミリ秒前からEEG活
動を維持するようにプログラムされたアナログ変換器によりサンプリングされた。サンプリングレートは1000 Hzであった。デジタル化された信号は、その後の分析のためにデー
タベースに保存された。
【0022】
S1及びS2反応の150掃引(sweep)をスクリーンし、眼球運動チャンネル(eye movement channels)で100マイクロボルトより大きい電圧偏移の掃引を除外した。残りの許容される掃引からタイムポイント平均(time point averages)を求めた。盲検法によりグループ割付
し、検査員はFCz電極部位で誘発した電位波形を視覚的に検査した。可能なときは、検査
員は、P50の直前の陰性トラフ(negative trough)、P50自体、及び次のN100成分を同定し
た。確かに、全ての患者の全てのタイムポイントにおいて、明確なP50成分を視覚的に同
定することができたわけではなかった。これらのケースでは、データは欠落(missing)と
コードされた。
【0023】
P50反応の振幅は、P50ピークとそれに先立つ陰性トラフの間の電位差として算出した。P50ゲーティング比は、後で(Olincy et al., 2006)、2回目の(テスト)刺激に対するP50反応の振幅を1回目の(条件づけ)刺激に対するP50反応の振幅で割ることにより算出した。小さなゲーティング比は、正常又は最適と考えられる。P50振幅差(Fuerst et al., 2007)も測定した。これは条件づけ刺激P50反応の振幅から試験刺激P50反応の振幅を引いたものであった。大きなP50振幅差は正常なゲーティングを示す。
【0024】
N100振幅は、N100のピーク電位から刺激前50ミリ秒の短い時間の平均電位を引いたものとして算出した。P50の場合のように、条件づけ刺激及び試験刺激に対するN100反応を比
及び差として算出した。
【0025】
MMN及びP300成分は、いわゆるオッドボールシーケンス(oddball sequence)中に誘発さ
れた。刺激シーケンスは、連続した低ピッチ(500 Hz)及び高ピッチ(1000 Hz)の純音を0.6秒当たり1音の速度で提示した。音は持続時間50ミリ秒であり、聴力レベル50 dBより大
きく、かつ無作為に分散させた。高ピッチ音がオッドボール事象であった。600音のシリ
ーズのうち、高ピッチ音は0.2の確率で発生した。もう一方の音は相補的な0.8の確率で発生した。患者は音を無視し、代わりに膝にのせた雑誌に注意を払うよう指示された。
【0026】
課題の間、EEG及びEOG活動を、刺激オンセットの50ミリ秒前及び500ミリ秒後に1チャ
ンネル当たり500 Hzの速度でデジタル化した。まばたき又は眼球運動が混入した試験は除外した。偏奇及び頻回事象(rare and frequent events)に対する反応に、オフラインプログラムでデジタル的にフィルターをかけ(バンドパス=0.1-30 Hz, 12 db ロールオフ)、各電極について平均事象関連反応を構築した。FCz電極において、偏奇(オッドボール)及
び頻回音のオンセットに続く100-200ミリ秒の時間幅にわたって、刺激前のベースライン
に対する振幅の合計をコンピュータで計算する自動化アルゴリズムにより、MMNを測定し
た。MMNは次いで、これらの反応間の電位差として再計算された。P300振幅は、Pz電極部
位で、刺激オンセットに続く250及び500ミリ秒の間のピーク振幅として測定された。
【0027】
割付を明らかにする前にEEG測定値を分析する計画が立てられた。これは3つのグルー
プ(n=8 高投与量、n=8 中投与量、n=4 プラセボ)及び4つのタイムポイント(投与前1回+投与後3回)を含む試験計画に基づいていた。この計画は、記録の完全性及び品質に基づいて、幾つかの選択肢の戦略を提供した。残念ながら、P50/N100ゲーティング試験の場合、数人の患者と治療後の割り付けタイムポイントを分析から捨てなければならなかった。なぜなら、これらのケースでは、P50波形が識別不能であり、そのため測定できなかっ
たからである。この問題は文献で確認されていたが、懐疑的な科学者が望むほどオープンにかつ頻繁に議論されたことはなかった。P50及びN100の分析のために、我々は、戦略1b
を採用した:「多くの投与後データポイントが欠落/エラー(missing/corrupted)の場合
、残りの投与後データポイントをまとめて平均化して単一の投与後データポイントを作る。」残念ながら、相当数の欠落又は測定不能なP50によって、ベースラインで最も弱い感
覚ゲーティングを示し、治療後にゲーティングの最も強い改善を示したかもしれない患者のサブグループに焦点を合わせることを我々が希望した、もう一つの我々の分析オプションが除外された。有効かつ測定可能なP50反応を示した12名の患者のうち、2名はプラ
セボグループにいて、5名は2つの活性医薬投与グループの各グループにいた。
【0028】
図1は、有効なデータを有する治療期間の全てのタイムポイントをまとめて平均化して単一の値にした、共分散の単純分析(simple analyses)の結果を示す。この値は次いで、
ベースライン値に対して回帰させ、全ての患者が同じベースラインを有するように新しい値を推定することにより補正した。次いで、単純なF検定(simple F test)を行った。ベースライン(すなわち、治療前)では治療グループ間に有意な差はないという仮定のもとで、我々は、ここで検討する全ての誘発された電位成分に対する治療の効果を評価するsimple ANOVAを行った。治療がベースライン値に有意な影響を与えたケースはなかった。
図1の左のパネルは、試験化合物1.0 mgを投与した患者での有意でない[F=1.16, P=0.36]P50
ゲーティング比の減少(すなわち、正常化)を示す。一方、
図1の右のパネルは、P50振
幅差スコア−優れた信頼性を有する計量(metric)−を示す。同様に、高投与量で正常化を示す。しかしながら、このケースでは、変化は統計的有意性に近づいている[F=3.97, P=0.07]。
【0029】
図2は、N100ゲーティング比及び振幅差の同一の分析を示す。ここでは、振幅差[F=1.02, P=0.38]よりも、ゲーティング比のほうが投薬のより確実な効果を実証する[F=3.04, P=0.10]。
図2の左のパネルでは、低いスコアにより正常化が示唆される。
図2の右のパネルでは、反対方向の変化により正常化が示される。
【0030】
MMN及びP300振幅は、新奇刺激、短期記憶、及び注意に感受性の高い複数の前皮質及び
皮質経路(multiple precortical and cortical pathways)の活性化を反映する。MMNは、
偏奇及び頻回刺激(rare and frequent stimuli)に対する反応間の刺激オンセット後100-200ミリ秒にわたる電位差として算出した。より陰性のMMNは、正常認知機能を示唆する。P300はMMNに完全には依存しない。P300は、刺激前50ミリ秒の間の波形の平均電位に対するピーク振幅として算出される。より陽性のP300反応は、改善された認知機能を示す。P300は、誘発する刺激が偏奇及び課題関連(rare and task relevant)(すなわち、注意が向けられた(attended))の両方であるとき、振幅が最大である。本研究において、偏奇刺激は課題関連ではなかった。実際、患者は課題を行うよう指示されておらず、刺激を無視するよう指示されていた。したがって、本研究において、P300振幅は、アクティブタスク条件下で記録された振幅と比較して非常に小さい。このP300成分は、統合失調症における注意障害の多くの研究で記載された頭頂部で発生する大きなP300bよりも、Knightとその同僚
により記載された前方で発生する小さなP300aにより類似している。
【0031】
P50及びN100の分析において、ベースライン値は共変数(covariate)であり、治療期間中に得た全ての値をまとめて平均化した。識別不能なMMN及びP300成分からのデータロスは
最小限であった。これらの分析は、プラセボで処置したn=4の患者、試験化合物0.3 mgで
処置したn=7の患者、及び試験化合物1.0 mgで処置したn=8の患者から得たデータを用いて行った。
【0032】
図3は、オッドボール課題(oddball task)中のMMN及びP300振幅の分析の結果を示す。
誘発された電位成分は共に、試験化合物に対して予測された方向に感受性であった:MMN [F=4.96, P=0.02]; P300 [F=6.88, P=0.008]。用量依存的に、試験化合物はMMN及びP300
振幅を増大させた。
【0033】
少人数の患者がこの試験に参加したにもかかわらず、この分析は幾つかの有意な又はわずかに有意な結果を示した。試験化合物の0.3 mg及び1.0 mg投与量は共に、プラセボ条件下で見られるより有意に(p<.05)大きなP300及びMMN成分を誘発した。誘発された反応成分のより早い成分(すなわち、P50)に対する試験化合物の効果は、最も高い投与量(1.0 mg)に限定され、技術的には有意性がなかった(p=0.1)。これらの結果から、試験化合物の0.3 mg投与量及び1.0 mg投与量は共に、統合失調症の治療に効果的であると予測される。
【0034】
種々の誘発された反応成分の試験化合物に対する相対的な感受性又は非感受性は、それらのサイズと測定の信頼性に関連しているかもしれない。また、感受性の違いは、それらの神経発生源(neural generators)及びコリン作動性求心性神経による神経支配の成分間
の違いに関係するかもしれない。実際、試験化合物に最も感受性であった2つの成分(MMN及びP300)は、脳幹コリン作動性線維からの入力を受け取る前頭皮質経路により発生し調
節される。これに対して、P50は皮質下で発生する。
【0035】
正常被験者における認知機能に対する効果
正常被験者における認知機能に対する試験化合物の影響を以下に記載するように評価した。これらの試験被験者は、クランベリージュースに溶解した試験化合物で処置した。
【0036】
正常被験者における認知機能に対する試験化合物の影響を、Digit Symbol Substitution Test (DSST)を用いる単回投与用量漸増試験(SAD (Single Ascending Dose) study)で評価した。このテストを利用して、試験化合物が1 mgという低い1日投与量で認知機能促進(pro-cognitive)効果を有することが示された。これは予想外である。なぜなら、アセチ
ルコリンレベルを高めることによりアルファ7受容体を間接的に活性化するアセチルコリ
ンエステラーゼ阻害剤が、正常被験者に対して認知機能促進効果を示すことはわかっていないし、認知機能障害の患者においても、単回投与後に認知機能促進効果を示すことはわかっていないからである。DSSTにおける試験化合物の陽性効果は、作業記憶及び実行機能に対する有益な効果を示す。
【0037】
反復投与用量漸増試験(MAD (Multiple Ascending Dose) studies)において、CogState
バッテリー(cogstate.com)からのテストを使用して認知機能を評価した。このテストを利用して、試験化合物が1 mgという低い1日投与量で認知機能促進効果を有することが示された。CogStateバッテリーは、注意、識別能力、作業記憶、視覚記憶、及び実行機能を含む種々の認知ドメインを測定する、著作権を有するコンピュータ化された認知機能バッテリー(cognitive battery)である。これらの試験において、試験化合物は視覚運動スキル
、学習、実行機能、及び遅延記憶に対して陽性の効果を有することが見出された。反応のプロファイルは、試験化合物が非言語学習及び記憶並びに実行機能に対して陽性効果を有し、注意に対して刺激効果を有していない点で独特であった。効果の大きさは、多くのケースにおいて、効果量(effect size)が> 0.4(臨床的に有意性を有すると通常認められている効果量の閾値)であり有意であった。この治療プロファイル(非言語学習及び記憶並びに実行機能に対して認知機能促進効果を有し、中枢刺激効果を有していない)は、患者の状態の特徴として、不安又は興奮(agitation)の症状を有する患者を治療するのに、こ
の薬物が非常に有益となり得ることを示す。
【0038】
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩は予想外の低投与量及び遊離血漿中濃度で効果を示す
上記の研究は、1.0 mg又は0.3 mgの1日投与量で投与された(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩が統合失調症に罹患した患者及び正常被験者における認知機能を改善しうることを実証する。
【0039】
0.3 mg又は1.0 mg投与量の(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩が認知機能の種々の測定に効果を及ぼしうるという事実は驚くべきことである。なぜなら、これらの投与量では遊離型薬物の濃度は、アルファ7受容体に結合する化合物のKiより十分低いからである。
【0040】
低分子がその標的(多くは細胞受容体)に作用を及ぼすためには、その標的に結合しなければならない。したがって、一般に、低分子薬物は、標的における遊離薬物濃度(すなわち、遊離型であり標的に結合できる薬物の濃度)が標的に対する薬物のKiに近い又は
それを超えるときに活性を示すと予測される。研究により、多くの場合、特定の組織中の遊離薬物濃度は遊離薬物血漿中濃度にほぼ等しいことが示されている(Mauer et al. 2005及びTrainor 2007)。脳の場合、遊離血漿中濃度は通常、最大限可能な遊離薬物濃度を示
すと考えられる。遊離薬物血漿中濃度([free drug]
plasma)は、総薬物血漿中濃度([total
drug]
plasma)及び薬物の遊離型の割合、すなわち、血漿蛋白に結合していない薬物の割
合(fu
plasma)を測定することにより決定される:[free drug]
plasma = [total drug]
plasma x fu
plasma。総薬物血漿中濃度及び血漿蛋白に結合している割合は共に、当業者に公
知の手法を用いて測定することができる。
【0041】
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドの研究により、ヒトアルファ7受容体に対するEC
refが約0.158 μMであり、Ki(ラット膜)が約10 nMであると決定された。さらなる研究により、薬物の遊
離型割合の以下の値が見出された:ラットfu
plasma = 0.112、イヌfu
plasma= 0.107、ヒ
トfu
plasma = 0.129。
【0042】
反復投与用量漸増(Multiple ascending dose (MAD))ヒト臨床試験を行った。最大血漿
中濃度を測定して、最大遊離薬物濃度を算出するために用い、これを用いて、最大遊離薬物濃度をヒトアルファ7受容体に対する薬物のEC
refの割合として、及び最大遊離薬
物濃度をラット脳アルファ7受容体に対する薬物のKiの割合として決定した。EC
re
f、クローン化されたヒトアルファ7受容体をトランスフェクションした卵母細胞におい
て50 μMアセチルコリン(内因性受容体リガンド)と同等の反応を誘発する薬物の濃度は、0.158 μMと決定された。ラット脳アルファ7受容体に対するKiは10 nMと決定された
。
【0043】
【表1】
【0044】
健常者及び統合失調症患者の両方のヒト単回投与及び反復投与用量漸増臨床試験において、1日投与量0.3 mg及び1日投与量1.0 mgが認知機能又は認知機能の相関現象を改善することが示された。表1からわかるように、0.3 mg投与量の(R)−7−クロロ−N−(
キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩の遊離薬物濃度の分析は、最大遊離血漿中濃度0.073-0.283 nMを示し、これは、α7 EC
refの0.005から0.0018、およびα7 Kiの0.0073から0.0283である。これらの値は、遊離血漿
中濃度がKi又はEC
ref濃度に達するときに薬効が得られると予測される値よりも35-2000倍低い。1.0 mg投与量(遊離血漿0.237-1.06 nM)で同様の計算を行ったとき、これらのKi及びEC
ref濃度の割合の値は、0.0015から0.0067 (EC
ref)、0.0237か
ら0.106 (Ki)である。これらの値は、予測される値よりも9.4-667倍低い。
【0045】
(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドのヒトにおける半減期
表2は、(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミドの前臨床種から得た半減期(t
1/2)のデータ及び臨床試験で測定されたヒトにおける半減期を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
ラット及びイヌで測定した半減期は、ヒトの半減期が、測定された半減期60時間よりずっと短いことを示唆した(最初のアロメトリックスケーリング(allometric scaling)は約8時間の半減期を示唆した)。ヒトにおける予想外に長い半減期は幾つかの有利な点を有
する。それは1日1回投与を可能にする。薬物はまた、1日のうちに非常に小さな変動の血漿範囲を示すだろう(約15-20%)。したがって、患者が1日投与を抜かした場合でも、血漿レベルそして結果として生じる脳内レベルが大きく変化することはない。これは、薬物の有益な効果が、特定の投与計画を注意深く守ることへの依存度が少ないことを意味する。第三に、長い半減期と遅い排出はまた、最終的な投与量が予想されるよりも低いことを意味する。これは、1日目と21日目のC
max値を見ることにより容易に観察された。21日目のC
max値は1日目の値よりも約3.6 - 4.2倍高い。この比は、有利な蓄積
により、通常予測されるよりも3.6 - 4.2倍低い投与量に換算される。
【0048】
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【0049】
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本発明によれば、以下の態様が提供される。
[1] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、認知機能を改善する方法。
[2] 1日投与量が1 mg以下である[1]記載の方法。
[3] 1日投与量が0.3 mg以下である[2]記載の方法。
[4] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、認知障害の治療方法。
[5] 1日投与量が1 mg以下である[4]記載の方法。
[6] 1日投与量が0.3 mg以下である[5]記載の方法。
[7] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、及び妄想性障害から選択される障害の治療方法。
[8] 1日投与量が1 mg以下である[7]記載の方法。
[9] 1日投与量が0.3 mg以下である[8]記載の方法。
[10] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、学習、遅延記憶、作業記憶、視覚学習、処理速度、ビジランス、言語学習、視覚運動機能、社会的認知、長期記憶又は実行機能の1つ以上を改善する方法。
[11] 1日投与量が1 mg以下である[10]記載の方法。
[12] 1日投与量が0.3 mg以下である[11]記載の方法。
[13] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、実行機能を改善する方法。
[14] 1日投与量が1 mg以下である[13]記載の方法。
[15] 1日投与量が0.3 mg以下である[14]記載の方法。
[16] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、アルツハイマー病の1以上の症状を治療する方法。
[17] 1日投与量が1 mg以下である[16]記載の方法。
[18] 1日投与量が0.3 mg以下である[17]記載の方法。
[19] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、視覚運動スキル、学習、実行機能、及び遅延記憶の1つ以上を改善する方法。
[20] 1日投与量が1 mg以下である[19]記載の方法。
[21] 1日投与量が0.3 mg以下である[20]記載の方法。
[22] (R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩を3 mg未満の1日投与量で対象に投与することからなる、注意、学習、遅延記憶、作業記憶、視覚学習、処理速度、ビジランス、言語学習、視覚運動機能、社会的認知、長期記憶又は実行機能の1つ以上を改善する方法。
[23] 1日投与量が1 mg以下である[10]記載の方法。
[24] 1日投与量が0.3 mg以下である[11]記載の方法。
[25] 対象が不安又は興奮の症状を有する前記のいずれか1項に記載の方法。
[26] 0.3乃至3.0 mgの(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩、及び製薬上許容しうる担体を含有する単位投与量医薬組成物。
[27] 0.3乃至1.5 mgの(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩、及び製薬上許容しうる担体を含有する単位投与量医薬組成物。
[28] 1 mgの(R)−7−クロロ−N−(キヌクリジン−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド又はその製薬上許容しうる塩、及び製薬上許容しうる担体を含有する単位投与量医薬組成物。