(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピストンアセンブリは、前記第1のピストンおよび前記第2のピストンを強固に結合するピストンロッドをさらに含み、前記ピストンロッドは、前記主要シリンダの中に延びており、かつ前記外側シリンダの中に延びており、前記線形電磁機械は、
前記主要シリンダと前記外側シリンダとの間に配置された固定子と、
前記ピストンロッドに取り付けられ、かつ前記固定子内で線形に移動するように構成された変換器と
をさらに含む、請求項1に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記駆動区画は、前記機関の圧縮比および前記機関の膨張比のうちの少なくとも1つを前記駆動ガスの量に基づいて変動させるように調節されるように構成されている、請求項1に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記機関の膨張ストロークの間に、前記ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの一部分は、前記線形電磁機械によって前記電気エネルギーに変換され、前記運動エネルギーの別の部分は、前記外側シリンダの前記駆動区画上で圧縮仕事を行う、請求項1に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記駆動区画は、前記機関の圧縮比および前記機関の膨張比のうちの少なくとも1つを前記駆動ガスの量に基づいて変動させるように調節されるように構成されている、請求項9に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記外側シリンダは、第1の外側シリンダであり、前記駆動区画は、第1の駆動区画であり、前記ピストンアセンブリは、第1のピストンアセンブリであり、前記線形電磁機械は、第1の線形電磁機械であり、前記自由ピストン機関は、
前記第1の外側シリンダに対して前記主要シリンダの反対側にある第2の外側シリンダであって、前記第2の外側シリンダは、第2のピストンアセンブリの圧縮ストロークのための全エネルギーを提供する第2の駆動区画を含む、第2の外側シリンダと、
前記第2のピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように配置され構成された第2の線形電磁機械と
をさらに含む、請求項9に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記機関の膨張ストロークの間に、前記ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの一部分は、前記線形電磁機械によって前記電気エネルギーに変換され、前記運動エネルギーの別の部分は、前記外側シリンダの前記駆動区画上で圧縮仕事を行う、請求項9に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記ピストンアセンブリは、前記第1のピストンおよび前記第2のピストンを強固に結合するピストンロッドをさらに含み、前記ピストンロッドは、前記主要シリンダの中に延びており、かつ前記外側シリンダの中に延びており、前記線形電磁機械は、
前記主要シリンダと前記外側シリンダとの間に配置された固定子と、
前記ピストンロッドに取り付けられ、かつ前記固定子内で線形に移動するように構成された変換器と
をさらに含む、請求項1に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記駆動区画は、前記機関の圧縮比および前記機関の膨張比のうちの少なくとも1つを前記駆動ガスの量に基づいて変動させるように調節されるように構成されている、請求項17に記載の自由ピストン燃焼機関。
前記機関の膨張ストロークの間に、前記ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの一部分は、前記線形電磁機械によって前記電気エネルギーに変換され、前記運動エネルギーの別の部分は、前記外側シリンダの前記駆動区画上で圧縮仕事を行う、請求項17に記載の自由ピストン燃焼機関。
【背景技術】
【0003】
過去30年にわたって、機関出力密度および放出の改良が行われてきた。しかしながら、全体的効率は、比較的に一定のままである。機関の幾何学的圧縮比を増加させることによって、機関の理論的効率限界を増加させることは、機関業界において周知である。加えて、その圧縮比を上回るように、機関の幾何学的膨張比を増加させることによっても、その理論的効率限界をさらに増加させる。便宜上、「圧縮比」および「膨張比」は、それぞれ、「幾何学的圧縮比」および「幾何学的膨張比」を指すために使用される。
【0004】
図1(先行技術)は、内燃機関において一般に使用される2つのサイクルの理論的効率限界(OttoおよびAtkinson)を示す。特に、
図1は、圧縮比の関数としてのOttoおよびAtkinsonサイクルの理想的効率間の比較である。モデル仮定として、(i)下死点(「BDC」)における圧力は、1気圧に等しいことと、(ii)可変特性を含む、予混合された化学量論的な理想的ガスである、メタンおよび空気、解離生成物、ならびに膨張中の平衡が挙げられる。
【0005】
図1に示されるように、両サイクルに対する理論的効率限界は、圧縮比の増加に伴って、有意に増加する。理想的Ottoサイクルは、以下の3つのステップに分類される。1)等エントロピー圧縮、2)断熱的一定容積燃焼、および3)BDCにおける元の容積への等エントロピー膨張。Ottoサイクルに対する膨張比は、その圧縮比に等しい。理想的Atkinsonサイクルはまた、以下の3つのステップに分類される。1)等エントロピー圧縮、2)断熱的一定の容積燃焼、および3)元のBDC圧力(この実施例では、1気圧に等しい)への等エントロピー膨張。Atkinsonサイクルに対する膨張比は、常時、
図1に示されるように、その圧縮比を上回る。Atkinsonサイクルは、所与の圧縮比に対してOttoサイクルより高い理論的効率限界を有するが、有意に低いエネルギー密度(質量あたりの出力)を有する。実際の用途では、効率とエネルギー密度との間にトレードオフが存在する。
【0006】
今日、市場にある優れた設計/工学的機関は、典型的には、その理論的効率限界の70−80%のブレーキ効率を達成する。いくつかの市販の機関の効率は、
図2(先行技術)に示される。具体的には、
図2は、理想的Ottoサイクル効率限界と、今日、市場にあるいくつかの市販の機関との間の比較である。モデル仮定として、可変特性を含む、予混合された化学量論的な理想的ガスである、プロパンおよび空気、解離生成物、ならびに膨張中の平衡が挙げられる。有効圧縮比は、上死点(「TDC」)におけるガスの密度とBDCにおけるガスの密度の比率として定義される。有効圧縮比は、公平な条件下において、ブースト機関と自然吸入機関を比較する手段を提供する。同様に、優れた設計機関が、50%(すなわち、その理論的効率の少なくとも70%)を上回るブレーキ効率を有するために、Ottoサイクル下で動作する機関は、
図1に図示されるように、膨張比54に対応する、102を上回る圧縮を有していなければならず、Atkinsonサイクル下で動作する機関は、14を上回る圧縮比を有していなければならない。
【0007】
そのような機関の固有の構造のため、従来のスライダクランク往復機関(「従来の機関」)において、高圧縮/膨張比(30超)に到達することは困難である。従来の機関の構造と、それらが高圧縮比に到達することを制限する課題とを図示する略図が、
図3(先行技術)に示される。典型的内燃(「IC」)機関は、ボア/ストローク比0.5−1.2および圧縮比8−24を有する。(Heywood,J.(1988).Internal Combustion Engine Fundamentals. McGraw−Hill)。同一ボア/ストローク比を維持しながら、機関の圧縮比が、増加されるのに伴って、上死点(TDC)における表面/容積比が増加し、温度が上昇し、圧力が増加する。これは、以下の3つの主要な結果を有する。1)燃焼チャンバからの熱伝達が増加し、2)燃焼位相調整が困難になり、かつ3)摩擦および機械的損失が増加する。熱伝達は、熱境界層が、全体的容積の大部分となる(すなわち、TDCにおける縦横比が小さくなる)ので、増加する。縦横比は、ボア径と燃焼チャンバの長さの比率として定義される。燃焼位相調整および完全燃焼の達成は、TDCにおける小容積のため、困難である。燃焼チャンバ圧の増加は、直接、力の増加に変換される。これらの大きな力は、機械的連結およびピストンリングの両方に過負荷をかけ得る。
【0008】
自由ピストン内燃機関は、新しくはないが、典型的には、Sandia National Laboratoryにおける研究を除き、30:1を上回る圧縮/膨張比を達成するためには、利用または開発されていない。特許文献1を参照されたい。自由ピストン機関に関わる文献および特許の数は膨大である。しかしながら、文献は、短ストローク長を有する自由ピストン機関を対象とし、したがって、高圧縮/膨張比に到達する場合、往復機関に対する類似課題、すなわち、燃焼制御課題および大きな熱伝達損失を有する。自由ピストン機関構成は、以下の3つのカテゴリに分類することができる。1)2つの対向ピストン、単一燃焼チャンバ、2)単一ピストン、二重燃焼チャンバ、および3)単一ピストン、単一燃焼チャンバ。3つの一般的自由ピストン機関構成の略図が、
図4(先行技術)に示される。単一ピストン、二重燃焼チャンバ、自由ピストン機関構成は、高圧縮比において被る強い力が平衡化されず、機械的不安定性を生じさせ得るので、圧縮比が制限される。
【0009】
前述のように、いくつかの自由ピストン機関が、研究および特許文献において提案されている。多くの提案された自由ピストン機関のうち、物理的に実装されているのは僅かのみである(我々の知る限り)。MikalsenおよびRoskillyによる研究は、West Virginia University、Sandia National
Laboratory、およびRoyal Institute of Technolgoy(Sweden)における自由ピストン機関について説明している(Mikalsen R.,Roskilly A.P.A review of free−piston engine history and applications.Applied Thermal Engineering.2007;27:2339−2352)。他の研究努力も、Czech Technical University(http://www.lceproject.org/en/)、INNAS BV(Netherlands)(http://www.innas.com/)、およびPempek Systems(Australia)(http://www.freepistonpower.com/)において報告が継続されている。公知の物理的に実装された自由ピストン機関はすべて、短ストローク長を有し、したがって、高圧縮/膨張比に到達する場合、往復機関に対する類似課題、すなわち、燃焼制御課題および大きな熱伝達損失を有する。加えて、Sandia National Laboratoryにおけるプロトタイプ(Aichlmayr,H.T.,VanBlarigan,P.Modeling and Experimental Characterization of a Permanent Magnet Linear Alternator for Free−Piston Engine Applications ASME
Energy Sustainability Conference San Francisco CA,July 19−232009)およびOPOCによって開発されたプロトタイプ(特許文献2)を除き、機関はすべて、単一ピストン、二重燃焼チャンバ構成を有し、したがって、高圧縮比において被る強い力が平衡化されず、機械的不安定性を生じさせ得るので、圧縮比が制限される。
【0010】
前述の従来の機関の固有の構造的制限を考慮して、いくつかの製造業者は、ターボまたはスーパーチャージャーの使用を通して、高有効圧縮比に到達することによって、機関効率の増加を試み、かつ継続して試みている。ターボまたはスーパーチャージャーを介した機関のブースティングは、同一幾何学的圧縮比を維持しながら、高有効圧縮比を達成するための手段を提供する。機関のブースティングは、TDCおよびその近傍において被る正常を上回る圧力ならびに力によって生じる課題を回避しない。したがって、力は、機械的故障を生じさせる機関内の機械的連結(ピストンピン、ピストンロッド、およびクランクシャフト)よ、摩擦、摩耗、または故障の増加を生じさせる圧力励起リングとの両方に過負荷をかけ得る。機関のブースティングはまた、典型的には、TDCおよびその近傍における(すなわち、温度が最高である時)経過時間が、TDCおよびその近傍において被る正常を上回る温度を考慮するように十分に短縮されないので、大きな熱伝達損失につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の種々の実施形態は、高効率線形燃焼機関を提供する。そのような実施形態は、自由ピストン機関構造を、仕事抽出のための線形電磁機械および革新的燃焼制御方式と共に使用することによって、従来の機関が高圧縮/膨張比に到達するのを妨害する課題に対処する。本明細書に開示される本発明は、分散型発電および/またはハイブリッド自動車に好適な規模(5kW−5MW)において、内燃機関の熱効率を50%を上回るまで増加させるための手段を提供する。
【0013】
本発明の一実施形態は、シリンダ壁および一対の端部を有するシリンダであって、シリンダの中央部分に配置されている燃焼区画を含むシリンダと、シリンダ内を線形に移動するように適合されている一対の対向ピストンアセンブリであって、各ピストンアセンブリは、他方のピストンアセンブリと反対の燃焼区画の片側に配置され、各ピストンアセンブリは、スプリングロッドと、燃焼区画に隣接する中実正面区画、および機関の圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を直接提供するガススプリングを備えている、中空背面区画を備えているピストンとを含む、ピストンアセンブリと、ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するように適合され、かつ、圧縮ストローク中、圧縮仕事を提供するために、電気エネルギーをピストンアセンブリの運動エネルギーに直接変換するように適合されている一対の線形電磁機械とを備え、機関が、50:1を上回る可変膨張比を含む、線形燃焼機関を対象とする。
【0014】
本発明の別の実施形態は、シリンダ壁とシリンダの一端に配置されている燃焼区画とを有するシリンダと、ピストンアセンブリであって、ピストンアセンブリは、スプリングロッドと、燃焼区画に隣接する中実正面区画および機関の圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を直接提供するガススプリングを備えている中空背面区画を備えているピストンとを含み、シリンダ内を線形に移動するように適合されている、ピストンアセンブリと、ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するように適合され、かつ、圧縮ストローク中、圧縮仕事を提供するために、電気エネルギーをピストンアセンブリの運動エネルギーに直接変換するように適合されている線形電磁機械とを備え、機関が、50:1を上回る可変膨張比を含む、線形燃焼機関を対象とする。
【0015】
本発明の他の特徴および側面は、一例として、本発明の実施形態による特徴を図示する、付随の図面と関連して検討される、以下の発明を実施するための形態から明白となるであろう。発明の開示は、本明細書に添付の請求項によってのみ定義される、発明の範囲を制限することを意図するものではない。
本明細書は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
シリンダ壁および一対の端部を有するシリンダであって、上記シリンダは、上記シリンダの中央部分に配置されている燃焼区画を含む、シリンダと、
上記シリンダ内を線形に移動するように適合されている一対の対向ピストンアセンブリであって、各ピストンアセンブリは、他方のピストンアセンブリと反対の上記燃焼区画の片側に配置されている、ピストンアセンブリと、
一対の駆動区画であって、各駆動区画は、上記機関の圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を提供する圧縮機構を備えている、駆動区画と、
一対の線形電磁機械と
を備え、
上記一対の線形電磁機械は、上記ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するように適合され、かつ、上記圧縮ストローク中、電気エネルギーを上記ピストンアセンブリの運動エネルギーに直接変換することにより、圧縮仕事を提供するように適合され、各線形電磁機械は、上記シリンダの端部の遠位に位置している、
線形燃焼機関。
(項目2)
上記機関は、可変膨張比以下の可変圧縮比を含む、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目3)
上死点における上記燃焼区画の長さは、0.2インチから4インチである、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目4)
上記機関は、50:1を上回る可変膨張比を含む、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目5)
上記機関は、75:1を上回る可変膨張比を含む、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目6)
各ピストンアセンブリは、ピストン、ピストンシール、およびピストンロッドを備え、上記ピストンロッドは、軸受に沿って、上記シリンダの内部および外部を線形に移動し、上記シリンダに固定されているガスシールによって密閉されている、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目7)
各ピストンアセンブリは、2つのピストン、2つのピストンシール、および1つのピストンロッドを備え、
各ピストンアセンブリは、上記シリンダによって封入され、上記シリンダ内を線形に移動するように構成されている、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目8)
各線形電磁機械は、固定子と、ピストンアセンブリに取り付けられ、上記固定子内を線形に移動する変換器とを備えている、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目9)
各線形電磁機械は、永久磁石機械、誘導機械、スイッチドリラクタンス機械、またはそれらの組み合わせを備えている、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目10)
上記圧縮機構は、モータとして動作される線形交流発電機またはガススプリングを備え、上記ガススプリングは、上記ピストンアセンブリと連通する上記駆動区画内に位置するある容量のガスを備えている、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目11)
燃料は、燃料注入器を介して上記燃焼区画内に直接注入されるか、または、空気吸入の前または空気吸入中に空気と混合され、上記機関は、液体またはガス状燃料を使用して、希薄、化学量論的、または過濃燃焼による動作が可能である、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目12)
排出ガスおよび流体が上記シリンダに流入し、上記シリンダから流出することを可能にする1つ以上の排出/注入ポートと、
空気、空気/燃料混合物、または、空気/燃料/燃焼生成物混合物の吸入を可能にする1つ以上の吸入ポートと、
駆動ガスの除去を可能にする1つ以上の駆動ガス除去ポートと、
上記駆動区画のための補給ガスの吸収を可能にする1つ以上の駆動ガス補給ポートと
をさらに備えている、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目13)
上記機関は、出力ストロークおよび圧縮ストロークを含む2ストロークピストンサイクルを使用して動作する、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目14)
上記機関は、上記出力ストロークと上記圧縮ストロークとの間の下死点近傍において、燃焼生成物を排出し、空気、空気/燃料混合物、または、空気/燃料/燃焼生成物混合物を吸入する、項目11に記載の線形燃焼機関。
(項目15)
出力ストローク中、上記ピストンアセンブリの運動エネルギーの一部は、上記線形電磁機械によって電気エネルギーに変換され、上記運動エネルギーの別の部分は、上記駆動区画内のガスに対して圧縮仕事を行う、項目11に記載の線形燃焼機関。
(項目16)
上記機関は、吸入ストローク、圧縮ストローク、出力ストローク、および排出ストロークを含む4ストロークピストンサイクルを使用して動作する、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目17)
出力ストローク中、上記ピストンアセンブリの運動エネルギーの一部は、上記線形電磁機械によって電気エネルギーに変換され、上記運動エネルギーの別の部分は、上記駆動区画内のガスに対して圧縮仕事を行う、項目16に記載の線形燃焼機関。
(項目18)
排出ストロークは、全ての排出ポートが閉鎖し、上記ピストンの速度がゼロになるまで継続し、少なくともいくらかの燃焼生成物が上記燃焼区画内に残留する、項目16に記載の線形燃焼機関。
(項目19)
吸入ストロークは、上記ピストンの速度がゼロになり、全ての吸入ポートが閉鎖するまで継続する、項目16に記載の線形燃焼機関。
(項目20)
機関点火は、スパークまたは圧縮点火によって達成され、最適燃焼は、その最適容積において、その自動点火温度に到達するように、上記燃焼区画内のガス温度を適度にすることによって達成される、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目21)
上記シリンダは、上記燃焼区画と一対の外側シリンダ部分とを収容する主要シリンダ部分を備え、上記外側シリンダ部分は、上記主要シリンダのいずれの側にも位置し、各外側シリンダ部分は、駆動区画を収容する、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目22)
上記シリンダは、上記燃焼区画および上記駆動区画を収容する、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目23)
上記駆動区画は、圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を提供する、項目1に記載の線形燃焼機関。
(項目24)
シリンダ壁および一対の端部を有するシリンダであって、上記シリンダは、上記シリンダの中央部分に配置されている燃焼区画を含む、シリンダと、
上記シリンダ内を線形に移動するように適合されている一対の対向ピストンアセンブリであって、各ピストンアセンブリは、他方のピストンアセンブリと反対の上記燃焼区画の片側に配置され、各ピストンアセンブリは、スプリングロッドと、上記燃焼区画に隣接する中実正面区画および駆動区画を備えているピストンとを含む、ピストンアセンブリと、
一対の線形電磁機械と
を備え、
上記一対の線形電磁機械は、上記ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するように適合され、かつ、上記圧縮ストローク中、電気エネルギーを上記ピストンアセンブリの運動エネルギーに直接変換することにより、圧縮仕事を提供するように適合されている、
線形燃焼機関。
(項目25)
上記駆動区画は、上記機関の圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を直接提供するガススプリングを含む中空背面区画を備えている、項目24に記載の線形燃焼機関
(項目26)
上記ピストンアセンブリは、上記燃焼区画および上記線形電磁機械との間に位置する外部軸受と、上記ピストンの上記中空区画内に位置する内部軸受とをさらに備えている、項目25に記載の線形燃焼機関。
(項目27)
上記スプリングロッドの一端は、上記ガススプリングの1つの面を備えている、項目25に記載の線形燃焼機関。
(項目28)
上記ピストンアセンブリは、上記ピストンに取り付けられた磁石をさらに備え、上記磁石は、上記線形電磁機械の固定子内で上記ピストンとともに線形に移動する、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目29)
上記ピストンアセンブリは、その前端またはその近傍において上記ピストンに固定され、ガスが上記燃焼区画から移動されないようにする正面シールと、吸入ガスまたはブローバイガスが周囲に移動しないようにする背面シールとをさらに備えている、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目30)
上記スプリングロッドは、上記駆動区画から、周囲と連通しているリザーバ区画へと質量が移動されることを可能にする中心管腔を含む、項目25に記載の線形燃焼機関。
(項目31)
上死点における上記燃焼区画の長さは、0.2インチから4インチである、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目32)
上記機関は、可変膨張比以下の可変圧縮比を含む、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目33)
上記機関は、50:1を上回る可変膨張比を含む、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目34)
上記機関は、75:1を上回る可変膨張比を含む、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目35)
各線形電磁機械は、永久磁石機械、誘導機械、スイッチドリラクタンス機械、またはそれらの組み合わせを備えている、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目36)
燃料は、燃料注入器を介して上記燃焼区画内に直接注入されるか、または、空気吸入の前または空気吸入中に空気と混合され、上記機関は、液体またはガス状燃料を使用して、希薄、化学量論的、または過濃燃焼による動作が可能である、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目37)
排出ガスおよび流体が上記シリンダに流入し、上記シリンダから流出することを可能にする1つ以上の排出/注入ポートと、
空気、空気/燃料混合物、または、空気/燃料/燃焼生成物混合物の吸入を可能にする1つ以上の吸入ポートと、
駆動ガスの除去を可能にする1つ以上の駆動ガス除去ポートと、
上記駆動区画のための補給ガスの吸収を可能にする1つ以上の駆動ガス補給ポートと
をさらに備えている、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目38)
上記機関は、出力ストロークおよび圧縮ストロークを含む2ストロークピストンサイクルを使用して動作する、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目39)
上記機関は、上記出力ストロークと上記圧縮ストロークとの間の下死点近傍において、燃焼生成物を排出し、空気、空気/燃料混合物、または、空気/燃料/燃焼生成物混合物を吸入する、項目36に記載の線形燃焼機関。
(項目40)
出力ストローク中、上記ピストンアセンブリの運動エネルギーの一部は、上記線形電磁機械によって電気エネルギーに変換され、上記運動エネルギーの別の部分は、上記駆動区画内のガスに対して圧縮仕事を行う、項目36に記載の線形燃焼機関。
(項目41)
上記機関は、吸入ストローク、圧縮ストローク、出力ストローク、および排出ストロークを含む4ストロークピストンサイクルを使用して動作する、項目24に記載の線形燃焼機関。
(項目42)
出力ストローク中、上記ピストンアセンブリの運動エネルギーの一部は、上記線形電磁機械によって電気エネルギーに変換され、上記運動エネルギーの別の部分は、上記駆動区画内のガスに対して圧縮仕事を行う、項目41に記載の線形燃焼機関。
(項目43)
排出ストロークは、全ての排出ポートが閉鎖し、上記ピストンの速度がゼロになるまで継続し、少なくともいくらかの燃焼生成物が上記燃焼区画内に残留する、項目41に記載の線形燃焼機関。
(項目44)
吸入ストロークは、上記ピストンの速度がゼロになり、全ての吸入ポートが閉鎖するまで継続する、項目41に記載の線形燃焼機関。
(項目45)
機関点火は、スパークまたは圧縮点火によって達成され、最適燃焼は、その最適容積において、その自動点火温度に到達するように、上記燃焼区画内のガス温度を適度にすることによって達成される、項目24に記載の線形燃焼機関。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図は、包括的であること、または本発明を開示される精密な形態に制限することを意図するものではない。本発明は、修正および変更を伴って実践することができ、本発明は、請求項およびその均等物によってのみ制限されることを理解されたい。
【0018】
本発明は、概して、自由ピストン機関構造を仕事抽出のための線形電磁機械および革新的燃焼制御方式と共に使用することによって、高圧縮/膨張比に到達可能な高効率線形燃焼機関を対象とする。
【0019】
単発、単一ピストン、プロトタイプが、Stanford Universityにおいて構築および動作されている。このプロトタイプは、概念上の実行可能性を実証しており、60%の指示された仕事効率を達成する。ある実験結果のプロットが、
図5に示される。特に、
図5は、Stanford Universityにおけるプロトタイプからの実験データと理想的Ottoサイクル効率限界との間の比較を図示する、チャートである。モデル仮定は、以下の通りである。0.3等量比、可変特性を含む、ディーゼル#2および空気、解離生成物、ならびに膨張中の平衡が挙げられる。
【0020】
本発明の種々の実施形態は、50%を上回る熱効率を特徴とする、自由ピストン、線形燃焼機関を対象とする。少なくとも一実施形態では、機関は、(i)少なくとも1つのシリンダと、(ii)シリンダ内の線形変位のために配列される、シリンダあたり少なくとも1つのピストンアセンブリと、(iii)直接、ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する、少なくとも1つの線形電磁機械と、(iv)圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を提供する、少なくとも1つのガス区画とを備えている。加えて、いくつかの構成では、内燃機関は、以下の物理的特性を有する。(i)50:1を上回る可変膨張比、(ii)膨張比以下の可変圧縮比、および(iii)0.2から4インチのTDCにおける燃焼区画長。しかしながら、さらなる実施形態は、前述の識別された特徴および物理的特性の種々の組み合わせを含み得ることに留意されたい。
【0021】
図6は、内燃機関100の2ピストン2ストローク、統合されたガススプリング実施形態を図示する断面図である。この自由ピストン、内燃機関100は、一対の線形電磁機械200を介して、燃料中の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する。本明細書で使用される場合、用語「燃料」は、酸化剤と反応する物質を指す。そのような燃料として、(i)天然ガス、バイオガス、ガソリン、ディーゼル、およびバイオディーゼル等の炭化水素燃料、(ii)エタノール、メタノール、およびブタノール等のアルコール燃料、ならびに(iii)前述のいずれかの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に説明される機関は、定常式発電および可搬式発電(例えば、車両内で使用するため)の両方に好適である。
【0022】
図6は、2ピストン2ストローク、統合されたガススプリング機関100の一実施形態を図示する。特に、機関100は、シリンダ105の中央における燃焼区画130(または、燃焼チャンバ)で交わる、2つの対向ピストンアセンブリ120を伴う1つのシリンダ105を備えている。機関100の中心における燃焼区画130の設置は、燃焼力を平衡化する。各ピストンアセンブリ120は、ピストン125と、ピストンシール135と、ピストンロッド145とを備えている。ピストンアセンブリ120は、シリンダ105内を自由に線形に移動する。ピストンロッド145は、軸受に沿って移動し、シリンダ105に固定されているガスシール150によって密閉される。図示される実施形態では、ガスシール150は、ピストンロッドシールである。本明細書で使用される場合、用語「軸受」は、その上を別の部品が移動、摺動、または回転する、任意の部品を指し、スライド軸受、撓み軸受、ボール軸受、ローラ軸受、ガス軸受、および/または磁気軸受を含むが、それらに限定されない。加えて、用語「周囲」は、シリンダ105の外側の領域を指し、直接環境、補助配管、および/または補助機器を含むが、それらに限定されない。
【0023】
さらに
図6を参照すると、ピストン125の背面、ピストンロッド145、およびシリンダ105の間の容積は、本明細書では、駆動区画160と称される。駆動区画160はまた、本明細書では、「ガス区画」、「ガススプリング」、または「ガススプリング区画」とも称され得る。各駆動区画160は、ピストンロッドシール150およびピストンシール135によって、周囲および燃焼区画130から密閉される。図示される実施形態では、駆動区画160内のガスは、圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を提供するためのサイクル中、フライホイール(すなわち、ガススプリング)として作用する。故に、本発明のいくつかの実施形態は、仕事を提供するためのガススプリングを特徴とする。他の実施形態は、モータとして動作される高効率的線形交流発電機を含み、圧縮仕事を生成するためのガススプリングを必要としない。
【0024】
いくつかの実施形態では、高熱効率を得るために、機関100は、50:1を上回る可変膨張比を有する。追加の実施形態では、可変膨張比は、75:1を上回る。さらなる実施形態では、可変膨張比は、100:1を上回る。加えて、いくつかの実施形態は、膨張比以下の圧縮比、および0.2−4インチのTDCにおける燃焼区画長を特徴とする。本明細書で使用される場合、「TDCにおける燃焼区画長」は、TDCにおける2つのピストン125の正面の間の距離である。
【0025】
前述の仕様は、機関100が、従来の機関におけるより有意に長いストローク長を有することを示し、用語「ストローク長」は、TDCとBDCとの間を各ピストン125によって移動される距離を指す。燃焼点火は、圧縮点火および/またはスパーク点火を介して達成することができる。燃料は、燃料注入器を介して燃焼チャンバ130内に直接的に注入されること(「直接注入」)、および/または空気吸入に先立って、および/またはその間、空気と混合される(「予混合注入」)ことができる。機関100は、液体および/またはガス状燃料を使用して、希薄、化学量論的、または過濃燃焼により動作することができる。
【0026】
図6を継続して参照すると、シリンダ105は、物質(固体、液体、ガス、またはプラズマ)を周囲と交換するために、排出/注入ポート170と、吸入ポート180と、駆動ガス除去ポート185と、駆動ガス補給ポート190とを含む。本明細書で使用される場合、用語「ポート」は、シリンダ105の内側とその周囲との間の物質の交換を可能にする、任意の開口部または一式の開口部(例えば、多孔性材料)を含む。いくつかの実施形態は、
図6に描写されるポートの全部を必要とするわけではない。ポートの数およびタイプは、機関構成、注入方式、およびピストンサイクル(例えば、2または4ストロークピストンサイクル)に依存する。この2ピストン2ストローク実施形態の場合、排出/注入ポート170は、排出ガスおよび流体をシリンダ内外に流入流出させ、吸入ポート180は、空気および/または空気/燃料混合物の吸入のためのものであり、駆動ガス除去ポート185は、駆動ガスの除去のためのものであり、駆動ガス補給ポート190は、駆動区画160のための補給ガスの吸入のためのものである。種々のポートの場所は、必ずしも、固定されない。例えば、図示される実施形態では、排出/注入ポート170は、実質的に、シリンダの中点に位置する。しかしながら、これらのポートは、代替として、吸入ポート180に隣接し、中点から離れて位置し得る。
【0027】
前述のポートは、弁を介して、または、弁を介さず開放および閉鎖され得る。用語「弁」は、物質を開口部に選択的に通過させるための任意の作動型流量コントローラまたは他の作動型機構を指し、ボール弁、プラグ弁、バタフライ弁、チョーク弁、逆止弁、ゲート弁、リーフ弁、ピストン弁、ポペット弁、回転弁、スライド弁、ソレノイド弁、2方弁、または3方弁を含み得るが、それらに限定されない。弁は、任意の手段によって作動され、機械的、電気、磁気、カムシャフト駆動、油圧、または空気圧手段を含み得るが、それらに限定されない。ほとんどの場合、ポートは、排出、駆動ガス除去、および駆動ガス補給のために必要とされる。直接注入が所望の点火方式である実施形態では、注入ポートおよび空気吸入ポートも必要とされる。予混合圧縮点火または予混合スパーク点火が、所望の燃焼方式である実施形態では、空気/燃料吸入ポートも必要とされ得る。圧縮点火および/またはスパーク点火を伴うハイブリッド予混合/直接注入方式が、所望の燃焼方式である実施形態では、注入ポートおよび空気/燃料吸入ポートも必要とされ得る。全機関構成において、前のサイクルからの排出ガスは、続くサイクルのための吸入空気または空気/燃料混合物と混合することができる。このプロセスは、排出ガス再循環(EGR)と呼ばれ、燃焼タイミングおよびピーク温度を適度にするために利用することができる。
【0028】
さらに
図6を参照すると、機関100はさらに、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するための一対の線形電磁機械(LEM)200を備えている。各LEM200はまた、圧縮ストローク中、圧縮仕事を提供するために、電気エネルギーをピストンアセンブリ120の運動エネルギーに直接変換可能である。図示されるように、LEM200は、固定子210および変換器220を備えている。具体的には、変換器220は、ピストンロッド145に取り付けられ、静止した固定子210内を線形に移動する。変換器220と固定子210との間の容積は、空気間隙と呼ばれる。LEM200は、任意の数の構成を含み得る。
図6は、変換器220が、固定子210より短い、一構成を示す。しかしながら、変換器220は、固定子210より長くあり得る、または実質的に、同一長であり得る。加えて、LEM200は、永久磁石機械、誘導機械、スイッチドリラクタンス機械、または3つのいくつかの組み合わせであり得る。固定子210および変換器220は、各々、磁石、コイル、鉄、またはいくつかのそれらの組み合わせを含むことができる。LEM200は、ピストンの運動エネルギーを電気エネルギーへおよびそれから直接変換する(すなわち、機械的連結が存在しない)ので、機械的および摩擦損失は、従来の機関−発電機構成と比較して最小限である。
【0029】
図6に示される実施形態は、2ストロークピストンサイクルを使用して動作する。
図6の2ピストン統合されたガススプリング機関100の2ストロークピストンサイクル250を図示する略図は、
図7に図示される。本明細書で使用される場合、用語「ピストンサイクル」は、実質的に同一構成において、ピストン125によって開始および終了し得る、任意の一連のピストン移動を指す。一般的実施例の1つは、4ストロークピストンサイクルであり、吸入ストローク、圧縮ストローク、出力(膨張)ストローク、および排出ストロークを備えている。追加の代替ストロークは、本開示全体を通して説明されるように、ピストンサイクルの一部を形成し得る。2ストロークピストンサイクルは、出力(膨張)ストロークおよび圧縮ストロークを有するものとして特徴付けられる。
【0030】
図7に図示されるように、出力と圧縮ストロークとの間のBDC近傍において、機関は、燃焼生成物を排出し(排出ポート170を通して)、空気、空気/燃料混合物、または、空気/燃料/燃焼生成物混合物を吸入する(吸入ポート180を通して)。このプロセスは、本明細書では、「ブリージング」あるいは「BDCまたはその近傍におけるブリージング」と称され得る。多くの他のタイプのポートおよびブリージング構成が、本発明の範囲から逸脱することなく、可能であることは、当業者によって理解されるであろう。BDCまたはその近傍にある場合、かつ駆動区画が、圧縮仕事を提供するために使用されるべき場合、駆動区画160内のガスの圧力は、燃焼区画130の圧力を上回り、ピストン125を相互に向かって内向きに付勢する。駆動区画160内のガスは、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供するために使用することができる。LEM200もまた、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの一部を提供し得る。
【0031】
圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの量は、所望の圧縮比、圧縮ストローク開始時の燃焼区画130の圧力、およびピストンアセンブリ120の質量に依存する。圧縮ストロークは、ピストン125の速度がゼロまたはほぼゼロである時である、燃焼が生じるまで継続する。ピストン125の速度がゼロに等しい点は、そのサイクルに対するピストンのTDC位置を示す。燃焼は、燃焼区画130内の温度および圧力の増加を生じさせ、ピストン125をLEM200に向かって外向きに付勢する。出力ストローク中、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーの一部は、LEM200によって、電気エネルギーに変換され、運動エネルギーの別の部分は、駆動区画160内のガスに対して圧縮仕事を行う。出力ストロークは、ピストン125の速度がゼロになるまで継続し、そのサイクルに対するピストンのBDC位置を示す。
【0032】
図7は、ブリージングのための一ポート構成を図示しており、吸入ポート180は、BDC近傍の両ピストンの前にあり、排出ポート170は、TDC近傍にある。種々の可能な代替ポート構成が存在し、例えば、限定されないが、排出ポート170をBDC近傍の一方のピストン125の前に位置付け、BDC近傍の他方のピストン125の正面に吸入ポート180を位置付け、ユニフロー掃気、またはユニフローブリージングと呼ばれるものを可能にする。排出ポート170および吸入ポート180の開放ならびに閉鎖は、独立して、制御される。排出ポート170および吸入ポート180の場所は、ある範囲の圧縮比および/または膨張比が可能であるように選択することができる。排出ポート170および吸入ポート180が、起動(開放および閉鎖)される時のサイクル中の時間は、サイクル中および/またはサイクルの間において調節され、圧縮比および/または膨張比ならびに/あるいは圧縮ストローク開始時の燃焼区画130内に保持される燃焼生成物の量を変動させることができる。燃焼区画130内に燃焼ガスを保持することは、残留ガストラッピング(RGT)と呼ばれ、燃焼タイミングおよびピーク温度を適度にするために利用することができる。
【0033】
ピストンサイクル中、ガスは、潜在的に、燃焼区画130と駆動区画160との間のピストンシール135を越えて移動し得る。このガスの移動は、「ブローバイ」と称される。ブローバイガスは、空気、および/または燃料、および/または燃焼生成物を含有し得る。機関100は、各駆動区画160内に少なくとも2つのポートを有することによって、ブローバイガスを管理するように設計されており、一方のポート185は、駆動ガスを除去するためのものであり、別のポート190は、補給駆動ガスを提供するためのものである。駆動ガスの除去および補給駆動ガスの吸入は、独立して、制御され、損失を最小限にし、効率を最大限にするように生じる。
【0034】
図7は、駆動ガスを交換するための一方式を示しており、駆動ガスの除去は、膨張ストローク中のある時点において生じ、補給駆動ガスの吸入は、圧縮ストローク中のある時点において生じる。駆動ガスの除去および吸入はまた、ストロークの逆の順序において、または同一ストローク中に生じ得る。除去される駆動ガスは、続く燃焼サイクル中、燃焼区画130のための吸入の一部として使用することができる。駆動区画160内のガスの量は、圧縮比および/または膨張比を変動させることによって調節することができる。膨張比は、ピストン125が、出力ストローク後、ゼロ速度を有する時の燃焼区画130の容積と、ピストン125が、圧縮ストローク後、ゼロ速度を有する時の燃焼区画130の容積との比率として定義される。圧縮比は、燃焼区画130内の圧力が、ピストン125の内方運動のため、増加し始める時の燃焼区画130の容積の比率と、ピストン125が、圧縮ストローク後、ゼロ速度を有する時の燃焼区画130の容積の比率として定義される。
【0035】
燃焼は、燃焼に先立って、燃焼区画130内のガスの温度を緩和(例えば、冷却)することによって、最適に制御される。温度制御は、燃焼区画吸入ガスを事前に冷却すること、および/または圧縮ストローク中、燃焼区画130内のガスを冷却することによって、達成することができる。最適燃焼は、燃焼区画130が、機関100の熱効率が最大限にされる容積に達すると生じる。この容積は、最適容積と称され、TDC前後に生じることができる。燃焼方式(点火および注入方式)に応じて、燃焼区画吸入ガスは、空気、空気/燃料混合物、または空気/燃料/燃焼生成物混合物(燃焼生成物は、EGRおよび/または再利用駆動ガスから生じる)であり、燃焼区画130内のガスは、空気、空気/燃料混合物、または空気/燃料/燃焼生成物混合物(燃焼生成物は、EGRおよび/またはRGTおよび/または再利用駆動ガスから生じる)であり得る。
【0036】
圧縮点火が、所望の点火方式である場合、最適燃焼は、最適容積において、その自動点火温度に到達するように、燃焼区画130内のガスの温度を適度にすることによって達成される。スパーク点火が、所望の点火方式である場合、最適燃焼は、最適容積において、スパークが着火する前に、その自動点火温度を下回ったままであるように、燃焼区画130内のガスの温度を適度にすることによって達成される。スパークは、最適容積において、着火するように外部から制御される。燃焼区画吸入ガスは、冷却サイクルによって、事前に冷却することができる。燃焼区画130内のガスは、圧縮ストローク中、液体を燃焼区画130内に注入し、次いで、蒸発させることによって、冷却することができる。液体は、水、および/または、限定されないが、燃料または冷却剤等の別の液体であることができる。液体は、燃焼区画130内への注入に先立って、冷却することができる。
【0037】
所与の機関幾何学形状および排出および吸入ポート場所に対して、機関100からの動力出力は、燃焼前の空気/燃料比、および/または、燃焼区画130内の燃焼生成物の量、ならびに/あるいは、圧縮比および/または膨張比を変動させることによって、サイクル毎に変動させることができる。サイクル内の所与の空気/燃料比に対してピーク燃焼温度は、燃焼に先立って、燃焼区画ガス中に存在する以前のサイクルからの燃焼生成物の量を変動させることによって制御することができる。燃焼前の燃焼区画ガス内の燃焼生成物は、EGRおよび/またはRGTおよび/または再利用駆動ガスから生じ得る。ピストン同期は、ピストン位置、ピストン速度、燃焼区画構造、およびシリンダ圧力に関する情報を使用して、LEMおよび駆動区画の動作特性を調節する、制御方式を通して達成される。
【0038】
図6および7の構成は、機関100と称され、シリンダ105、ピストンアセンブリ120、およびLEM200によって規定される、単一ユニットを含む。しかしながら、多くのユニットは、並列に設置することができ、集合的に、「機関」と称され得る。本発明のいくつかの実施形態は、エンドユーザによって、必要に応じて、機関の規模を増加させることを可能にするように、並列で動作するように配列され得るようにモジュール式である。加えて、全ユニットが、同一サイズであることも、同一条件(例えば、周波数、化学量論、またはブリージング)下で動作することも必要ではない。ユニットが、並列で動作される場合、限定されないが、ユニット間のガス交換および/またはユニットのLEM200間のフィードバック等、機関間の統合の潜在性が存在する。
【0039】
自由ピストン構造は、大規模かつ可変の圧縮および膨張比を可能にする一方、TDCにおいて、十分に大きな容積を維持し、熱伝達を最小限にし、適度な燃焼を達成する。加えて、ピストンは、クランクシャフトに機械的に連結される場合より、TDCおよびその近傍において費やす時間が少ない。これは、最高温度で費やされる時間が少ないので、熱伝達を最小限(および、効率を最大限)にするのに有用である。さらに、自由ピストン構造が、機械的連結を有していないので、機械的および摩擦損失は、従来の機関と比較して最小限である。大規模かつ可変の圧縮および膨張比、TDCにおける十分に大きな容積、LEM200による運動エネルギーの電気エネルギーへの直接変換、TDCおよびその近傍における本質的に短い時間、ならびに燃焼を制御する能力は、一緒になって、機関100が、50%を上回る熱効率を達成することを可能にする。
【0040】
動作中、機関100内の損失は、燃焼損失、熱伝達損失、電気変換損失、摩擦損失、およびブローバイ損失を含む。本発明のいくつかの実施形態では、燃焼損失は、燃焼区画温度を緩和しながら高圧縮比に到達する能力を有することによって達成される、高内部エネルギー状態において、燃焼を行うことによって、最小限にされる。熱伝達損失は、熱境界層が、容積のごく一部であるように、燃焼が生じる時およびその近傍において、十分に大きな容積を有することによって最小限にされる。熱伝達損失はまた、スライダクランクプロファイルではなく、自由ピストンプロファイルを使用して、高温時に少ない時間をかけることによっても最小限にされる。摩擦損失は、機械的連結が存在しないので、最小限にされる。ブローバイ損失は、優れた設計のピストンシールを有し、次の燃焼サイクルのための吸入の一部として、未燃燃料を含有する、駆動ガスを使用することによって、最小限にされる。
【0041】
記載されるように、
図6および7に関して前述の実施形態は、2ピストン、単一燃焼区画、2ストローク内燃機関100を備えている。以下に説明され、かつ対応する図に図示されるのは、いくつかの代替実施形態である。これらの実施形態は、制限であることを意味しない。当業者によって理解されるであろうように、種々の修正および代替構成が、本発明の範囲から逸脱することなく、利用され得、他の変更が行われ得る。別様に記載されない限り、以下に説明される実施形態の物理的および動作特性は、
図6および7の実施形態に説明されるものに類似し、同一要素は、適宜、標識されている。さらに、全実施形態は、前述のように、並列に(すなわち、規模拡大のために、複数のユニット構成において)構成され得る。
【0042】
図8は、2ピストン、4ストローク、統合されたガススプリング機関300を備えている、本発明の4ストローク実施形態を図示する。
図8の4ストローク機関300と
図6の2ストローク機関100との間の主要な物理的差異は、ポートの場所に関する。特に、4ストローク機関300では、排出、注入器、および吸入のポート370は、2つのピストン125間のシリンダ105の中点および/またはその近傍に位置する。
【0043】
図9は、
図8の2ピストン統合されたガススプリング機関300のための4ストロークピストンサイクル400を図示する。4ストロークピストンサイクルは、出力(膨張)ストローク、排出ストローク、吸入ストローク、および圧縮ストロークを有するものとして特徴付けられる。出力ストロークは、最適容積時に生じる燃焼後に開始し、ピストン125の速度がゼロになり、そのサイクルに対するピストンの出力ストロークBDC位置にくるまで継続する。
【0044】
出力ストローク中、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーの一部は、LEM200によって、電気エネルギーに変換され、運動エネルギーの別の部分は、駆動区画160内のガスに対して圧縮仕事を行う。出力ストロークBDCおよびその近傍にある場合、かつ駆動区画が、少なくともある程度の圧縮仕事を提供しようとする場合、駆動区画160内のガスの圧力は、燃焼区画130内のガスの圧力を上回り、ピストン125をシリンダ105の中点に向かって内向きに付勢する。図示される実施形態では、駆動区画160内のガスは、排出ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供するために使用することができる。ある場合には、LEM200もまた、排出ストロークを行うために必要とされるエネルギーの一部を提供し得る。排出ポート370は、排出ストローク開始前後であり得る、出力ストロークBDCまたはその近傍のある時点において開放する。排出ストロークは、ピストン125の速度がゼロになり、そのサイクルに対するピストンの排出ストロークTDC位置を示すまで継続する。排出ポート370は、ピストン125が、その排出ストロークTDC位置に到達する前のある時点において閉鎖する。したがって、少なくともいくらかの燃焼生成物は、燃焼区画130内に残留する。このプロセスは、残留ガストラッピングと称される。
【0045】
さらに
図9を参照すると、排出ストロークTDCおよびその近傍において、燃焼区画130の圧力は、駆動区画160の圧力を上回り、ピストン125を外向きに付勢する。捕捉された残留ガスは、ガススプリングとして作用し、吸入ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供する。LEM200もまた、吸入ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供し得る。吸入ポート370は、燃焼区画130内の圧力が、吸入ガスの圧力を下回った後の吸入ストローク中のある時点において開放する。吸入ストロークは、ピストン125の速度がゼロになり、そのサイクルに対するピストンの吸入ストロークBDC位置にくるまで継続する。所与のサイクルに対する吸入ストロークBDC位置は、必ずしも、出力ストロークBDC位置と同一である必要はない。吸入ポート370は、吸入ストロークBDCまたはその近傍のある時点において、閉鎖する。圧縮ストロークは、ピストン125の速度がゼロまたはその近傍にある時である、燃焼が生じるまで継続する。その速度がゼロに等しい、ピストン125の位置は、そのサイクルに対するピストンの圧縮ストロークTDC位置を示す。圧縮ストロークTDCおよびその近傍において、駆動区画160内のガスの圧力は、燃焼区画130内のガスの圧力を上回り、ピストン125を内向きに付勢する。駆動区画160内のガスは、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供するために使用される。LEM200もまた、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの一部を提供し得る。
【0046】
図9は、駆動ガスを交換するための一方式を示しており、駆動ガスの除去は、膨張ストローク中のある時点において生じ、補給駆動ガスの吸入は、圧縮ストローク中のある時点において生じる。2ストローク実施形態におけるように、駆動ガスの除去および吸入はまた、ストロークの逆の順序において、または同一ストローク中に生じ得る。しかしながら、4ストローク実施形態は、圧縮ストロークを行うより少ないエネルギーを必要とする別個の排出ストロークを有するので、駆動区画160内の空気の量の調整は、LEM200が、4つのストローク中、エネルギーを提供および抽出するために使用される程度に応じて、異なるアプローチを要求し得る。
【0047】
図10は、内燃機関500の第2の2ピストン2ストローク、完全ガススプリングおよび統合された線形電磁機械実施形態を図示する。
図10の機関100と同様に、機関500は、シリンダ105と、2つの対向ピストンアセンブリ520と、シリンダ105の中央に位置する、燃焼区画130とを備えている。図示される構成では、各ピストンアセンブリ520は、2つのピストン525と、ピストンシール535と、ピストンロッド545とを備えている。前述の実施形態と異なり、ピストンアセンブリ520および変換器620は、シリンダ内に完全に位置し、LEM600(固定子610を含む)は、シリンダ105の外側周縁の周囲に配置される。ピストンアセンブリ520は、シリンダ105内を自由に線形に移動する。シリンダ105はさらに、排出/注入ポート170と、吸入ポート180と、駆動ガス除去ポート185と、駆動ガス補給ポート190とを含む。さらに
図10を参照すると、この実施形態は、
図7および9を参照して前述と同一方法論を使用する、2または4ストロークピストンサイクルを使用して動作することができる。
【0048】
図11は、内燃機関700の第3の2ピストン2ストローク、単一燃焼区画、分離されたガススプリング実施形態を図示する。
図6の機関100と同様に、機関700は、主要シリンダ105と、2つの対向ピストンアセンブリ120と、シリンダ705の中央に位置する燃焼区画130とを備えている。しかしながら、図示される機関700は、機関100と比較してある物理的差異を有する。具体的には、機関700は、追加のピストン135を含む一対の外側シリンダ705を含み、LEM200は、主要シリンダ105と外側シリンダ705との間に配置される。各外側シリンダ705は、ピストン125とシリンダ705の遠位端との間に位置する、駆動区画710と、ピストン125とシリンダ705の近位端との間に位置する、駆動背面区画720とを含む。加えて、シリンダ105は、ピストン125とシリンダ105の遠位端との間に配置されている、一対の燃焼背面区画730を含む。駆動背面区画720および燃焼背面区画730は、大気圧またはその近傍に維持される。したがって、駆動背面区画720は、密閉されない(すなわち、線形軸受740は、ガスシールを具備しない)一方、燃焼背面区画730は、密閉される(すなわち、シール150を介して)が、ブローバイガスの除去のため(すなわち、ブローバイ除去ポート750)および補給ガスのため(すなわち、補給空気ポート760)のポートを有する。図示される構成では、各ピストンアセンブリ120は、2つのピストン125と、ピストンシール135と、ピストンロッド145とを備えている。ピストンアセンブリ120は、
図11に描写されるように、主要シリンダ105と外側シリンダ705との間を自由に線形に移動する。ピストンロッド145は、軸受に沿って移動し、主要シリンダ105に固定されているガスシール150によって密閉される。シリンダ105はさらに、排出/注入ポート170および吸入ポート180を含む。しかしながら、駆動ガス除去ポート185および駆動ガス補給ポート190は、各ピストンアセンブリ120の2つのピストン125のうちの一方を含む一対の外側シリンダ705上に位置する。さらに
図11を参照すると、この実施形態は、
図7および9を参照して前述の同一方法論を使用する、2または4ストロークピストンサイクルを使用して動作することができる。
【0049】
図12は、単一ピストン、2ストローク、統合されたガススプリング機関1000の一実施形態を図示する。特に、機関1000は、シリンダ105の底部端近傍において、燃焼区画130(または、燃焼チャンバ)内の反応に応答して、シリンダ105内を移動するように定寸される、ピストンアセンブリ120を伴う垂直に配置されるシリンダ105を備えている。衝突板230が、燃焼中、安定性および衝突抵抗を提供するように、垂直に配置されるシリンダの底部端に提供される。ピストンアセンブリ120は、ピストン125と、ピストンシール135と、ピストンロッド145とを備えている。ピストンアセンブリ120は、シリンダ105内を自由に線形に移動する。ピストンロッド145は、軸受に沿って移動し、シリンダ105に固定されているガスシール150によって密閉される。図示される実施形態では、ガスシール150は、ピストンロッドシールである。
【0050】
さらに
図12を参照すると、ピストン125の背面、ピストンロッド145、およびシリンダ105の間の容積は、本明細書では、駆動区画160と称される。駆動区画160はまた、本明細書では、「ガススプリング」または「ガススプリング区画」と称され得る。駆動区画160は、ピストンロッドシール150およびピストンシール135によって、周囲および燃焼区画130から密閉される図示される実施形態では、駆動区画160内のガスは、圧縮ストローク中に少なくともいくらかの圧縮仕事を提供するためのサイクルの間、フライホイール(すなわち、ガススプリング)として作用する。故に、本発明のいくつかの実施形態は、仕事を提供するためのガススプリングを特徴とする。他の実施形態は、モータとして動作される、高効率的線形交流発電機を含み、圧縮仕事を生成するために、ガススプリングを必要としない。
【0051】
いくつかの実施形態では、高熱効率を得るために、機関1000は、50:1を上回る可変膨張比を有する。追加の実施形態では、可変膨張比は、75:1を上回る。さらなる実施形態では、可変膨張比は、100:1を上回る。加えて、いくつかの実施形態は、膨張比以下の圧縮比、および0.1−2インチのTDCにおける燃焼区画長を特徴とする。本明細書で使用される場合、「TDCにおける燃焼区画長」は、燃焼区画の先端(head)とピストン125の正面との間の距離である。
【0052】
前述の仕様は、機関1000が、従来の機関におけるより有意に長い、ストローク長を有することを示し、用語「ストローク長」は、TDCとBDCとの間をピストン125によって移動される距離を指す。ストロークは、TDCとBDCとの間をピストンによって移動される距離である。燃焼点火は、圧縮点火および/またはスパーク点火を介して達成することができる。燃料は、直接、燃料注入器を介して燃焼チャンバ130内に注入される(「直接注入」)、および/または空気吸入に先立って、および/またはその間、空気と混合される(「予混合注入」)ことができる。機関1000は、液体および/またはガス状燃料を使用して、希薄、化学量論的、または過濃燃焼によって動作することができる。
【0053】
図12を継続して参照すると、シリンダ105は、物質(固体、液体、ガス、またはプラズマ)を周囲と交換するために、排出/注入ポート170と、吸入ポート180と、駆動ガス除去ポート185と、駆動ガス補給ポート190とを含む。本明細書で使用される場合、用語「ポート」は、シリンダ105の内側とその周囲との間の物質の交換を可能にする、任意の開口部または一式の開口部(例えば、多孔性材料)を含む。いくつかの実施形態は、
図12に描写されるポートの全部を必要とするわけではない。ポートの数およびタイプは、機関構成、注入方式、およびピストンサイクル(例えば、2または4ストロークピストンサイクル)に依存する。この単一ピストン、2ストローク実施形態の場合、排出/注入ポート170は、排出ガスおよび流体をシリンダ内外に流入流出させ、吸入ポート180は、空気および/または空気/燃料混合物の吸入のためのものであり、駆動ガス除去ポート185は、駆動ガスの除去のためのものであり、駆動ガス補給ポート190は、駆動区画160のための補給ガスの吸入のためのものである。種々のポートの場所は、必ずしも、固定されない。例えば、図示される実施形態では、排出/注入ポート170は、実質的に、シリンダの中点に位置する。しかしながら、これらのポートは、代替として、吸入ポート180に隣接し、中点から離れて位置し得る。
【0054】
さらに
図12を参照すると、機関1000はさらに、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するための線形電磁機械(LEM)200を備えている。LEM200はまた、圧縮ストローク中、圧縮仕事を提供するために、電気エネルギーをピストンアセンブリ120の運動エネルギーに直接変換可能である。図示されるように、LEM200は、固定子210および変換器220を備えている。具体的には、変換器220は、ピストンロッド145に取り付けられ、静止した固定子210内を線形に移動する。変換器220と固定子210との間の容積は、空気間隙と呼ばれる。LEM200は、任意の数の構成を含み得る。
図6は、変換器220が、固定子210より短い、一構成を示す。しかしながら、変換器220は、固定子210より長くあり得る、または実質的に、同一長さであり得る。加えて、LEM200は、永久磁石機械、誘導機械、スイッチドリラクタンス機械、または3つのいくつかの組み合わせであり得る。固定子210および変換器220は、各々、磁石、コイル、鉄、またはいくつかのそれらの組み合わせを含むことができる。LEM200は、ピストンの運動エネルギーを電気エネルギーへおよびそれから直接変換する(すなわち、機械的連結が存在しない)ので、機械的および摩擦損失は、従来の機関−発電機構成と比較して最小限である。
【0055】
図12に示される実施形態は、2ストロークピストンサイクルを使用して動作する。
図12の単一ピストン統合されたガススプリング機関1000の2ストロークピストンサイクル1250を図示する略図は、
図13に図示される。機関は、燃焼生成物を排出し(排出ポート170を通して)、出力と圧縮ストロークとの間のBDC近傍において、空気、空気/燃料混合物、または、空気/燃料/燃焼生成物混合物を吸入する(吸入ポート180を通して)。このプロセスは、本明細書では、「ブリージング」あるいは「BDCまたはその近傍におけるブリージング」と称され得る。多くの他のタイプのポートおよびブリージング構成が、本発明の範囲から逸脱することなく、可能であることは、当業者によって理解されるであろう。BDCまたはその近傍にある場合、かつ駆動区画が、圧縮仕事を提供するために使用されるべき場合、駆動区画160内のガスの圧力は、燃焼区画130の圧力を上回り、ピストン125を相互に向かって内向きに付勢する。駆動区画160内のガスは、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供するために使用することができる。LEM200もまた、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの一部を提供し得る。
【0056】
圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの量は、所望の圧縮比、圧縮ストローク開始時の燃焼区画130の圧力、およびピストンアセンブリ120の質量に依存する。圧縮ストロークは、ピストン125の速度がゼロまたはその近傍にある時である、燃焼が生じるまで継続する。ピストン125の速度がゼロに等しい時、そのサイクルに対するピストンのTDC位置を示す。燃焼は、燃焼区画130内の温度および圧力の増加を生じさせ、ピストン125をLEM200に向かって外向きに付勢する。出力ストローク中、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーの一部は、LEM200によって、電気エネルギーに変換され、運動エネルギーの別の部分は、駆動区画160内のガスに対して圧縮仕事を行う。出力ストロークは、ピストン125の速度がゼロになり、そのサイクルに対するピストンのBDC位置にくるまで継続する。
【0057】
図13は、ブリージングのための一ポート構成1300を図示しており、吸入ポート180は、BDC近傍のピストンの前にあって、排出ポート170は、TDC近傍にある。排出ポート170および吸入ポート180の開放ならびに閉鎖は、独立して、制御される。排出ポート170および吸入ポート180の場所は、ある範囲の圧縮比および/または膨張比が可能であるように選択することができる。排出ポート170および吸入ポート180が、起動(開放および閉鎖)される時のサイクル中の時間は、サイクル中および/またはサイクル間において調節され、圧縮比および/または膨張比ならびに/あるいは圧縮ストローク開始時の燃焼区画130内に保持される燃焼生成物の量を変動させることができる。燃焼区画130内に燃焼ガスを保持することは、残留ガストラッピング(RGT)と呼ばれ、燃焼タイミングおよびピーク温度を適度にするために利用することができる。
【0058】
ピストンサイクル中、ガスは、潜在的に、燃焼区画130と駆動区画160との間のピストンシール135を越えて、移動し得る。このガスの移動は、「ブローバイ」と称される。ブローバイガスは、空気、および/または燃料、および/または燃焼生成物を含有し得る。機関1000は、駆動区画160内に少なくとも2つのポートを有することによって、ブローバイガスを管理するように設計されており、一方のポート185は、駆動ガスを除去するためのものであり、別のポート190は、補給駆動ガスを提供するためのものである。駆動ガスの除去および補給駆動ガスの吸入は、独立して、制御され、損失を最小限にし、効率を最大限にするように生じる。
【0059】
図13は、駆動ガスを交換するための一方式を示しており、駆動ガスの除去は、膨張ストローク中のある時点において生じ、補給駆動ガスの吸入は、圧縮ストローク中のある時点において生じる。駆動ガスの除去および吸入はまた、ストロークの逆の順序において、または同一ストローク中に生じ得る。除去された駆動ガスは、続く燃焼サイクル中、燃焼区画130のための吸入の一部として使用することができる。駆動区画160内のガスの量は、圧縮比および/または膨張比を変動させることによって調節することができる。膨張比は、ピストン125が、出力ストローク後、ゼロ速度を有する時の燃焼区画130の容積と、ピストン125が、圧縮ストローク後、ゼロ速度を有する時の燃焼区画130の容積との比率として定義される。圧縮比は、燃焼区画130内の圧力が、ピストン125の内方運動により増加し始める時の燃焼区画130の容積の比率と、ピストン125が、圧縮ストローク後、ゼロ速度を有する時の燃焼区画130の容積の比率として定義される。
【0060】
図12および13の構成は、機関1000と称され、シリンダ105、ピストンアセンブリ120、およびLEM200によって規定される、単一ユニットを含む。しかしながら、多くのユニットは、並列に設置することができ、集合的に、「機関」と称され得る。本発明のいくつかの実施形態は、エンドユーザによって、必要に応じて、機関の規模を増加させることを可能にするように、並列で動作するように配列され得るようにモジュール式である。加えて、全ユニットが、同一サイズであることも、同一条件(例えば、周波数、化学量論、またはブリージング)下で動作することも必要ではない。ユニットが、並列で動作される場合、限定されないが、ユニット間のガス交換および/またはユニットのLEM200間のフィードバック等、機関間の統合の潜在性が存在する。
【0061】
記載されるように、
図12および13に関して前述の実施形態は、単一ピストン、単一燃焼区画、2ストローク内燃機関1000を備えている。以下に説明され、かつ対応する図に図示されるのは、いくつかの代替実施形態である。これらの実施形態は、制限であることを意味しない。当業者によって理解されるであろうように、種々の修正および代替構成が、本発明の範囲から逸脱することなく、利用され得、他の変更が、行われ得る。別様に記載されない限り、以下に説明される実施形態の物理的および動作特性は、
図12および13の実施形態に説明されるものに類似し、同一要素は、適宜、標識されている。さらに、全実施形態は、前述のように、並列に(すなわち、規模拡大のために、複数のユニット構成において)構成され得る。
【0062】
図14は、単一ピストン、4ストローク、統合されたガススプリング機関1400を備えている、本発明の4ストローク実施形態を図示する。
図14の4ストローク機関1400と
図12の2ストローク機関1000との間の主要な物理的差異は、ポートの場所に関する。特に、4ストローク機関1400では、排出、注入、および吸入のポート370は、衝突板230に隣接するシリンダ105の底部および/またはその近傍に位置する。
【0063】
図15は、
図14の単一ピストン統合されたガススプリング機関1400のための4ストロークピストンサイクル1500を図示する。4ストロークピストンサイクルは、出力(膨張)ストローク、排出ストローク、吸入ストローク、および圧縮ストロークを有するものとして特徴付けられる。出力ストロークは、最適容積時に生じる燃焼後に開始し、ピストン125の速度がゼロになり、そのサイクルに対するピストンの出力ストロークBDC位置にくるまで継続する。
【0064】
出力ストローク中、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーの一部は、LEM200によって、電気エネルギーに変換され、運動エネルギーの別の部分は、駆動区画160内のガスに対して圧縮仕事を行う。出力ストロークBDCおよびその近傍にある場合、かつ駆動区画が、少なくともある程度の圧縮仕事を提供しようとする場合、駆動区画160内のガスの圧力は、燃焼区画130内のガスの圧力を上回り、ピストン125をシリンダ105の中点に向かって内向きに付勢する。図示される実施形態では、駆動区画160内のガスは、排出ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供するために使用することができる。ある場合には、LEM200もまた、排出ストロークを行うために必要とされるエネルギーの一部を提供し得る。排出ポート370は、排出ストローク開始前後であり得る、出力ストロークBDCまたはその近傍のある時点において開放する。排出ストロークは、ピストン125の速度がゼロになり、そのサイクルに対するピストンの排出ストロークTDC位置を示すまで継続する。排出ポート370は、ピストン125が、その排出ストロークTDC位置に到達する前のある時点において閉鎖する。したがって、少なくともいくらかの燃焼生成物は、燃焼区画130内に残留する。このプロセスは、残留ガストラッピングと称される。
【0065】
さらに
図15を参照すると、排出ストロークTDCおよびその近傍において、燃焼区画130の圧力は、駆動区画160の圧力を上回り、ピストン125を上向きに付勢する。捕捉された残留ガスは、ガススプリングとして作用し、吸入ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供する。LEM200もまた、吸入ストロークを行うために必要とされるエネルギーの一部を提供し得る。吸入ポート370は、燃焼区画130内の圧力が、吸入ガスの圧力を下回った後の吸入ストローク中のある時点において開放する。吸入ストロークは、ピストン125の速度がゼロになり、そのサイクルに対するピストンの吸入ストロークBDC位置にくるまで継続する。所与のサイクルに対する吸入ストロークBDC位置は、必ずしも、出力ストロークBDC位置と同一である必要はない。吸入ポート370は、吸入ストロークBDCまたはその近傍のある時点において、閉鎖する。圧縮ストロークは、ピストン125の速度がゼロまたはその近傍にある時である、燃焼が生じるまで継続する。その速度がゼロに等しい、ピストン125の位置は、そのサイクルに対するピストンの圧縮ストロークTDC位置を示す。圧縮ストロークTDCおよびその近傍において、駆動区画160内のガスの圧力は、燃焼区画130内のガスの圧力を上回り、ピストン125を下向きに付勢する。駆動区画160内のガスは、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの少なくとも一部を提供するために使用される。LEM200もまた、圧縮ストロークを行うために必要とされるエネルギーの一部を提供し得る。
【0066】
図15は、駆動ガスを交換するための一方式を示しており、駆動ガスの除去は、膨張ストローク中のある時点において生じ、補給駆動ガスの吸入は、圧縮ストローク中のある時点において生じる。2ストローク実施形態におけるように、駆動ガスの除去および吸入はまた、ストロークの逆の順序において、または同一ストローク中に生じ得る。しかしながら、4ストローク実施形態は、圧縮ストロークを行うより少ないエネルギーを必要とする、別個の排出ストロークを有するので、駆動区画160内の空気の量の調整LEM200が、4つのストローク中、エネルギーを提供および抽出するために使用される程度に応じて、異なるアプローチを要求し得る。
【0067】
図16は、内燃機関1600の第2の単一ピストン、2ストローク、完全ガススプリングおよび統合された線形電磁機械実施形態を図示する。機関1600は、シリンダ105と、ピストンアセンブリ520と、燃焼区画130とを備えている。図示される構成では、ピストンアセンブリ520は、2つのピストン525と、ピストンシール535と、ピストンロッド545とを備えている。前述の実施形態と異なり、ピストンアセンブリ120および変換器620は、シリンダ内に完全に位置し、LEM600(固定子610を含む)は、シリンダ105の外側周縁の周囲に配置される。ピストンアセンブリ520は、シリンダ105内を自由に線形に移動する。シリンダ105はさらに、排出/注入ポート170と、吸入ポート180と、駆動ガス除去ポート185と、駆動ガス補給ポート190とを含む。さらに
図16を参照すると、この実施形態は、前述と同一方法論を使用する、2または4ストロークピストンサイクルを使用して動作することができる。
【0068】
図17は、内燃機関1700の第3の2ピストン2ストローク、単一燃焼区画、分離されたガススプリング実施形態を図示する。機関1000と同様に、機関1700は、主要シリンダ105と、ピストンアセンブリ120と、燃焼区画130とを備えている。しかしながら、図示される機関1700は、機関1000と比較してある物理的差異を有する。具体的には、機関1700は、追加のピストン125を含む外側シリンダ705を含み、LEM200は、主要シリンダ105と外側シリンダ705との間に配置される。外側シリンダ705は、ピストン125とシリンダ705の遠位端との間に位置する、駆動区画710と、ピストン135とシリンダ705の近位端との間に配置されている、駆動背面区画720とを含む。加えて、シリンダ105は、ピストン135とシリンダ105の遠位端との間に配置されている、燃焼背面区画730を含む。駆動背面区画720および燃焼背面区画730は、大気圧またはその近傍に維持される。したがって、駆動背面区画720は、密閉されない(すなわち、線形軸受740は、ガスシールを具備しない)一方、燃焼背面区画730は、密閉される(すなわち、シール150を介して)が、ブローバイガスの除去のため(すなわち、ブローバイ除去ポート750)および補給ガスのため(すなわち、補給空気ポート760)のポートを有する。図示される構成では、各ピストンアセンブリ120は、2つのピストン125と、ピストンシール135と、ピストンロッド145とを備えている。ピストンアセンブリ120は、主要シリンダ105と外側シリンダ705との間を自由に線形に移動する。ピストンロッド145は、軸受に沿って移動し、主要シリンダ105に固定されているガスシール150によって密閉される。シリンダ105はさらに、排出/注入ポート170および吸入ポート180を含む。しかしながら、駆動ガス除去ポート185および駆動ガス補給ポート190は、ピストンアセンブリ120の2つのピストン125のうちの一方を含む外側シリンダ705上に位置する。この実施形態は、前述の同一方法論を使用する、2または4ストロークピストンサイクルを使用して動作することができる。
【0069】
前述に開示される実施形態は、(i)分離された線形電磁機械を伴う統合されたガススプリング(
図6−9および12−15)、(ii)完全統合されたガススプリングおよび線形電磁機械(
図10および16)、ならびに(iii)分離されたガススプリングおよび線形電磁機械(
図11および17)を含む、単一ピストンおよび2ピストン構成を備えている。
図18−20は、統合された内部ガススプリングを特徴とする、本発明のさらなる実施形態を図示しており、ガススプリングが、ピストンの内側に統合され、および線形電磁(LEM)が、燃焼シリンダから分離される。表1は、本明細書に説明される4つの構造間の重要な差異を要約する。
【0070】
【表1】
(統合された内部ガススプリング)
図18−20に図示され、表1に要約されるように、統合された内部ガススプリング(IIGS)構造は、
図6−9および12−15に図示される分離されたLEM構造を伴う統合されたガススプリングに長さが類似する。しかしながら、IIGS構造は、完全統合されたガススプリングおよびLEM構造内でも生じる、ガススプリングに流入する燃焼区画からのブローバイガスに関する課題を排除する。
【0071】
図18は、本発明のある実施形態による、IIGS構造の単一ピストン、2ストロークバージョンを図示する断面図である。燃焼区画130等の多くの構成要素は、前述の実施形態(例えば、
図12)における構成要素に類似し、適宜、標識される。機関1800は、シリンダ105の底部端近傍において、燃焼区画130内の反応に応答して、シリンダ105内を移動するように定寸される、ピストンアセンブリ1820を伴う垂直に配置されるシリンダ105を備えている。衝突板が、燃焼中、安定性および衝突抵抗を提供するために、垂直に配置されるシリンダの底部端に提供され得る。ピストンアセンブリ1820は、ピストン1830と、ピストンシール1835と、スプリングロッド1845とを備えている。ピストンアセンブリ1820は、シリンダ105内を自由に線形に移動する。ピストンロッド1845は、軸受に沿って移動し、シリンダ105に固定されているガスシール150によって密閉される。図示される実施形態では、ガスシール150は、ピストンロッドシールである。シリンダ105は、空気、燃料、排出ガス、空気/燃料混合物、および/または空気/排出ガス/燃料混合物の吸入、燃焼生成物の排出のための排出/注入ポート1870、1880、ならびに/あるいは注入器を含む。いくつかの実施形態は、
図18に描写されるポート全部を必要としない。ポートの数およびタイプは、機関構成、注入方式、およびピストンサイクル(例えば、2または4ストロークピストンサイクル)に依存する。
【0072】
図示される実施形態では、機関1800はさらに、ピストンアセンブリ1820の運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するために、LEM1850(固定子210および磁石1825を含む)を備えている。LEM1850もまた、圧縮ストローク中、圧縮仕事を提供するために、電気エネルギーをピストンアセンブリ1820の運動エネルギーに直接変換可能である。LEM1850は、永久磁石機械、誘導機械、スイッチドリラクタンス機械、または3つのいくつかの組み合わせであることができる。固定子210は、磁石、コイル、熱、またはいくつかのそれらの組み合わせを含むことができる。LEM1850は、ピストンの運動エネルギーを電気エネルギーへおよびそれから直接変換する(すなわち、機械的連結が存在しない)ので、機械的および摩擦損失は、従来の機関−発電機構成と比較して最小限である。
【0073】
さらに
図18を参照すると、ピストン1830は、中実正面区画(燃焼側)および中空背面区画(ガススプリング側)を備えている。ピストンの正面とスプリングロッド1845との間のピストン1830の中空区画内側の領域は、ガススプリング160としての役割を果たし、圧縮ストロークを行うために必要とされる仕事の少なくとも一部を提供する、ガスを備えている。ピストン1830は、燃焼区画130およびLEM1850の固定子210内を線形に移動する。ピストンの運動は、一体軸受、油圧軸受、および/または空気軸受であり得る、軸受1860、1865によって誘導される。図示される実施形態では、機関1800は、外部軸受1860および内部軸受1865の両方を含む。特に、外部軸受1860は、燃焼区画130とLEM1850との間に位置し、内部軸受1865は、ピストン1830の中空区画内側に位置する。外部軸受1860は、外部から固定され、ピストン1830と共に移動しない。内部軸受1865は、ピストン1830に固定され、スプリングロッド1845に対してピストン1830と共に移動する。
【0074】
図18を継続して参照すると、スプリングロッド1845は、ガススプリング160の1面としての役割を果たし、外部から固定される。スプリングロッド1845は、ガススプリング区画160内にガスを維持する目的を果たす、その端部またはその近傍に位置する少なくとも1つのシール1885を有する。磁石1825は、ピストン1830の背面に取り付けられ、LEM1850の固定子210内において、ピストン1830とともに線形に移動する。ピストン1830は、シール1835を有し、シール1835は、ガスをそれぞれの区画内に維持する。図示される実施形態は、(i)ガスが燃焼区画130から移動しないように、その前端またはその近傍において、ピストン1830に固定されている正面シールと、(ii)シリンダ105に固定され、吸入ガスおよび/またはブローバイガスが、周囲に移動しないように、防止する、背面シールとを含む。
【0075】
図19は、本発明の原理による、ガススプリングロッド1845の実施形態1900を図示する断面図である。具体的には、スプリングロッド1845は、ガススプリング区画160と、周囲と連通しているリザーバ区画1920との間で質量移動可能にする、中心管腔1910を含む。周囲との連通は、弁1930を通して制御される。ガススプリング1845内の質量の量は、十分な圧縮仕事が、次のピストンサイクルのために利用可能であるように、ガススプリング1845内の圧力を制御するように調整される。
【0076】
図20は、本発明のある実施形態による、IIGS機関2000の2ピストン2ストロークバージョンを図示する断面図である。2ピストン実施形態の要素のほとんどは、
図18の単一ピストン実施形態のものと類似し、同一要素は、適宜、標識される。加えて、単一および2ピストン実施形態の動作特性は、線形交流発電機、ブリージング、燃焼方式等、全側面を含め、前述の実施形態に説明されるものに類似する。
【0077】
本発明の種々の実施形態が、前述されたが、それらは、一例として、提示されたにすぎず、限定ではないことを理解されたい。同様に、種々の略図は、本発明のための例示的構造または他の構成を描写しており、これは、本発明に含まれ得る特徴および機能性の理解を支援するために行われ得る。本発明は、図示される例示的構造または構成に制限されず、所望の特徴は、種々の代替構造および構成を使用して実装することができる。実際、代替の機能的、論理的、または物理的分割および構成が、どのように本発明の所望の特徴を実装するために実装することができるかは、当業者に明白であろう。また、本明細書に描写されたもの以外の多数の異なる成分モジュール名を種々の分割に適用することができる。加えて、流れ図、動作説明、および方法請求項に関して、ステップが、本明細書に提示される順序は、文脈によって、別様に指示されない限り、種々の実施形態が、同一順序で列挙された機能性を果たすように実装されるべきであると義務付けるものではない。
【0078】
本発明は、種々の例示的実施形態および実装の観点から前述されるが、個々の実施形態のうちの1つ以上に説明される種々の特徴、側面、および機能性は、それによって説明される特定の実施形態へのその可用性に制限されず、代わりに、そのような実施形態が、説明されるかどうかにかかわらず、かつそのような特徴が、説明される実施形態の一部として提示されるかどうかにかかわらず、単独または種々の組み合わせにおいて、本発明の他の実施形態のうちの1つ以上に適用することができることを理解されたい。したがって、本発明の広がりおよび範囲は、前述の例示的実施形態のいずれかによって制限されるべきではない。
【0079】
本書で使用される用語および語句ならびにその変形例は、明示的に別様に記載されない限り、制限とは対照的に、非制限的であるとして解釈されるべきである。前述の実施例として、用語「含む」は、「含むが、限定ではない」または同等物の意味として読まれるべきであり、用語「実施例」は、議論における項目の例示的事例を提供するために使用され、その包括的または制限リストではなく、用語「a」または「an」は、「少なくとも1つ」、「1つ以上」、または同等物の意味として読まれるべきであり、「従来の」、「伝統的」、「通常の」、「標準的」、「公知の」、および類似意味の用語等の形容詞は、説明される項目を所与の時間周期に、または所与の時間の時点で利用可能な項目に制限するものとして解釈されるべきではなく、代わりに、現在または将来の任意の時点において利用可能または公知であり得る、従来の、伝統的、通常の、または標準的技術を包含するものと読まれるべきである。同様に、本書が、当業者に明白または公知であろう技術を指す場合、そのような技術は、現在または将来の任意の時点において当業者当業者に明白または公知であるものを包含する。
【0080】
いくつかの事例における、「1つ以上」、「少なくとも」、「限定されないが」、または他の類似語句等の広がりのある単語および語句の存在は、より狭義の場合が、そのような広がりのある語句が不在であり得る場合の事例において、意図または必要とされることを意味するものと読まれるわけではない。用語「モジュール」の使用は、モジュールの一部として、説明されるまたは請求される構成要素または機能性がすべて、共通パッケージ内に構成されることを含意するわけではない。実際、モジュールの種々の構成要素の一部または全部は、制御論理または他の構成要素かどうかにかかわらず、単一パッケージ内に組み合わせられる、または別個に維持されることができ、さらに、複数の群またはパッケージ内、あるいは複数の場所にわたって、分散されることができる。
【0081】
加えて、本明細書に記載される種々の実施形態は、例示的ブロック図、流れ図、および他の例証の観点から説明される。本書を熟読後、当業者に明白となるであろうように、図示される実施形態およびその種々の代替は、図示される実施例に制限されることなく、実装することができる。例えば、ブロック図およびその付随の説明は、特定の構造または構成を義務づけるものとして解釈されるべきではない。