特許第6223519号(P6223519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223519サーバファーム冷却システムのための冷気列封入
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223519
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】サーバファーム冷却システムのための冷気列封入
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20171023BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20171023BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20171023BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G06F1/20 B
   G06F1/20 D
   G06F1/20 C
   H05K7/20 U
   F24F3/044
   F24F7/06 B
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-168179(P2016-168179)
(22)【出願日】2016年8月30日
(62)【分割の表示】特願2015-94195(P2015-94195)の分割
【原出願日】2010年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-219055(P2016-219055A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】12/427,655
(32)【優先日】2009年4月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516193380
【氏名又は名称】エクスカリバー アイピー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ノートブーム スコット
(72)【発明者】
【氏名】ロビソン アルバート デル
(72)【発明者】
【氏名】スアレス ヘスス
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/150566(WO,A1)
【文献】 特開2002−094269(JP,A)
【文献】 特開2002−237690(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0305733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
F24F 3/044
F24F 7/06
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の内部にあるエンクロージャであって、内部空間を定めるとともに、サーバラックが取り付けられる前記エンクロージャ上の開口部である少なくとも1つのラックポートを有し、前記ラックポートは上部ポートクロスバーと、下部ポートクロスバーとを含み、前記サーバラックは、1つ以上のサーバが前記内部空間に隣接するように前記サーバラック内に垂直に積み重ねられるところである、上部ラッククロスバー、下部ラッククロスバー、及び取り付けレールを含み、それぞれのサーバは前記内部空間から前記サーバに空気を引き込むファンを含むものであるエンクロージャと、
前記エンクロージャにより定められる前記内部空間に隣接した、前記部屋の外部の自然な空気に隣接した1つ以上のダンパの第1のセットを含む混合チャンバと、
前記上部ポートクロスバーを前記上部ラッククロスバーに固定する第1の接続クリップと、
前記下部ポートクロスバーを前記下部ラッククロスバーに固定する第2の接続クリップと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記混合チャンバは、前記部屋の中の空気に隣接した1つ以上のダンパの第2のセットを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上のダンパの第1のセットは前記部屋の内部及び外部の温度をモニタする電子装置によって制御される請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上のダンパの第2のセットは前記電子装置によって制御される請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記混合チャンバは1つ以上の加湿器を含む請求項1に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの安定性制御ユニットが前記エンクロージャの底部にある請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の接続クリップは、U字形の断面形状を有するとともに、
1つ以上のピン部材と、
前記ピン部材を受け入れるための1つ以上のソケットを含む留め具部材と、
を含み、前記留め具部材が、前記ソケットの前記ピン部材を通じて前記上部ポートクロスバーを前記上部ラッククロスバーに固定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の接続クリップは、U字形の断面形状を有するとともに、
1つ以上のピン部材と、
前記ピン部材を受け入れるための1つ以上のソケットを含む留め具部材と、
を含み、前記留め具部材が、前記ソケットの前記ピン部材を通じて前記下部ポートクロスバーを前記下部ラッククロスバーに固定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
自然な空気への1つ以上の開口部を有する部屋と、
前記部屋の内部にあるエンクロージャであって、内部空間を定めるとともに、サーバラックが取り付けられる前記エンクロージャ上の開口部である少なくとも1つのラックポートを有し、前記ラックポートは上部ポートクロスバーと、下部ポートクロスバーとを含み、前記サーバラックは、1つ以上のサーバが前記内部空間に隣接するように前記サーバラック内に垂直に積み重ねられるところである、上部ラッククロスバー、下部ラッククロスバー、及び1つ以上の取り付けレールを含み、それぞれのサーバは前記内部空間から前記サーバに空気を引き込むファンを含むものであるエンクロージャと、
前記エンクロージャにより定められる前記内部空間に隣接した、前記部屋の外部の自然な空気に隣接した1つ以上のダンパの第1のセットを含む混合チャンバと、
前記上部ポートクロスバーを前記上部ラッククロスバーに固定する第1の接続クリップと、
前記下部ポートクロスバーを前記下部ラッククロスバーに固定する第2の接続クリップと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記混合チャンバは、前記部屋の中の空気に隣接した1つ以上のダンパの第2のセットを含む請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上のダンパの第1のセットは前記部屋の内部及び外部の温度をモニタする電子装置によって制御される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ以上のダンパの第2のセットは前記電子装置によって制御される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記混合チャンバは1つ以上の加湿器を含む請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの安定性制御ユニットが前記エンクロージャの底部にある請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の接続クリップは、U字形の断面形状を有するとともに、
1つ以上のピン部材と、
前記ピン部材を受け入れるための1つ以上のソケットを含む留め具部材と、
を含み、前記留め具部材が、前記ソケットの前記ピン部材を通じて前記上部ポートクロスバーを前記上部ラッククロスバーに固定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の接続クリップは、U字形の断面形状を有するとともに、
1つ以上のピン部材と、
前記ピン部材を受け入れるための1つ以上のソケットを含む留め具部材と、
を含み、前記留め具部材が、前記ソケットの前記ピン部材を通じて前記下部ポートクロスバーを前記下部ラッククロスバーに固定する、
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
部屋の内部にあるエンクロージャであって、内部空間を定めるとともに、サーバラックが取り付けられる前記エンクロージャ上の開口部である少なくとも1つのラックポートを有し、前記ラックポートは上部ポートクロスバーと、下部ポートクロスバーとを含み、前記サーバラックは、1つ以上のサーバが前記内部空間に隣接するように前記サーバラック内に垂直に積み重ねられるところである、上部ラッククロスバー、下部ラッククロスバー、及び1つ以上の取り付けレールを含み、それぞれのサーバは前記内部空間から前記サーバに空気を引き込むファンを含むものであるエンクロージャを定めるステップと、
前記エンクロージャにより定められる前記内部空間に隣接した、前記部屋の外部の自然な空気に隣接した1つ以上のダンパの第1のセットを含む混合チャンバを設置するステップと、
前記上部ポートクロスバーを前記上部ラッククロスバーに第1の接続クリップで固定し、
前記下部ポートクロスバーを前記下部ラッククロスバーに第2の接続クリップで固定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
それぞれの接続クリップは、U字形の断面形状を有するとともに、
1つ以上のピン部材と、
前記ピン部材を受け入れるための1つ以上のソケットを含む留め具部材と、
を含み、前記留め具部材が、前記ソケットの前記ピン部材を通じて前記上部ポートクロスバーを前記上部ラッククロスバーに固定する、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
それぞれの接続クリップは、U字形の断面形状を有するとともに、
1つ以上のピン部材と、
前記ピン部材を受け入れるための1つ以上のソケットを含む留め具部材と、
を含み、前記留め具部材が、前記ソケットの前記ピン部材を通じて前記下部ポートクロスバーを前記下部ラッククロスバーに固定する、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの安定性制御ユニットが前記エンクロージャの底部にある請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にデータセンタのための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブ電子メール、ウェブ検索、ウェブサイトホスティング、及びウェブビデオ共有などのインターネットサービスの急速な成長により、データセンタ内のサーバからの計算及び記憶能力に対する需要がますます高くなっている。サーバの性能が向上する一方で、集積回路の低電力設計における努力にもかかわらず、サーバの電力消費量も上昇している。例えば、最も広く使用されているサーバプロセッサの1つであるAMD社のOpteronプロセッサは、最高95ワットで作動する。Intel社のXeonサーバプロセッサは、110ワットから165ワットの間で作動する。プロセッサはサーバの一部にすぎないが、冷却ファン及び記憶装置などのサーバの他の部分がさらなる電力を消費する。
【0003】
通常、サーバは、データセンタのラック内に配置される。ラックの物理的構成は様々である。典型的なラック構成は取り付けレールを含み、この上にサーバブレードなどの複数のユニットの機材が取り付けられ、ラック内で縦に積み重ねられる。最も広く使用されている19インチラックの1つが、1U又は2Uサーバなどの機材を取り付けるための標準化システムである。通常、この種のラック上にある1つのラックユニットは、高さが1.75インチで幅が19インチである。1つのラックユニット内に設置できるサーバは、一般に1Uサーバとして指定される。データセンタでは、通常、標準的なラックに、サーバ、記憶装置、スイッチ、及び/又は通信機材が密に装着される。
【0004】
データセンタ室は、信頼できるサーバの動作にかなった温度及び湿度に保持すべきであり、通常は、冷却用シャーシを通じて空気を吸い込む冷却ファンを有する。Opteron又はXeonプロセッサを備えたサーバを密に積み重ねたラックの電力消費は、7,000ワットから15,000ワットの間になることがある。この結果、サーバラックは、非常に集中した熱負荷を生じることがある。ラック内のサーバが発散した熱は、データセンタ室に排気される。ラックは、周囲空気に依存して冷却を行うので、高密度のラックが集まって生成される熱は、ラック内の機材の性能及び信頼性に悪影響を及ぼすことがある。従って、暖房、換気、空調(HAVC)システムが、効率的なデータセンタ設計の重要部分となることが多い。
【0005】
典型的なデータセンタは、10メガワット〜40メガワットの電力を消費する。エネルギー消費の大部分は、サーバの動作とHVACシステムに大別される。HVACシステムは、データセンタ内の電力使用量の25〜40パーセントを占めると推定されてきた。40メガワットの電力を消費するデータセンタでは、HAVCシステムが、10〜16メガワットの電力を消費すると考えられる。エネルギー使用量を低減する効率的な冷却システム及び方法を利用することにより、大幅なコスト削減を達成することができる。例えば、HVACシステムの電力消費量を、データセンタで使用される電力の25パーセントから10パーセントに低減することは、何千軒もの住宅に給電するのに十分な6メガワットの電力を削減することに相当する。
【0006】
データセンタ室では、通常、サーバラックが、間に冷気通路と暖気通路を交互に置いた列の形でレイアウトされる。全てのサーバをラック内に設置して、ラックの前部に位置する冷気列から調整空気を引き込み、ラックの背後にある暖気列を通じて熱を放出する前後エアフローパターンを実現する。通常は、上げ床ルーム設計を使用して床下空気分配システムを収容し、冷却した空気を、上げ床内の通気孔を通じて冷気通路に沿って供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
データセンタを効率的に冷却する上で重要な要素は、データセンタ内の空気の流れ及び循環を管理することである。電算室空調(CRAC)ユニットが、ラック間の通気孔を含む床タイルを通じて冷気を供給する。サーバに加え、CRACユニットも同様にかなりの量の電力を消費する。1つのCRACユニットは、最大3つの5馬力モータを有することができ、データセンタを冷却するには、最大150個のCRACユニットが必要となり得る。CRACユニットが集まると、データセンタ内のかなりの量の電力を消費する。例えば、暖気及び冷気列構成のデータセンタ室では、暖気列からの熱気が暖気列から出てCRACユニットへ循環する。CRACユニットが空気を冷却する。CRACユニットのモータで動くファンが、高くした下地床により定められる床下プレナムに冷却した空気を供給する。冷却した空気を床下プレナム内に誘導することによって生じる圧力が、この冷却した空気を、下地床の通気孔を通じて上方へ導き、これをサーバラックが面する冷気通路に供給する。十分な空気流量を実現するために、典型的なデータセンタ室全体には、数百もの強力なCRACユニットが設置される場合がある。しかしながら、一般に、CRACユニットはデータセンタ室の角に設置されるので、これらの空気流量を効率的に高める能力は悪影響を受ける。一般に上げ床を建設するコストは高く、また一般に、データセンタ室内の空気の動きが不十分なことに起因して冷却効率は低い。また、データセンタの設計及び構造全体を通じ、供給空気の短絡を防ぐために、床の通気孔の位置には注意深い計画を必要とする。ホットスポットを固定するためにタイルを取り除けば、システム全体に問題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、データセンタを効率的に冷却するためのシステム及び方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は冷気列封入構造(cold row encapsulation structure)を提供し、この構造は、1又はそれ以上のサーバラックに連結するように構成された少なくとも1つのサーバラックポートと、冷気列封入構造の上面に接続された冷却モジュールとを含む。サーバラックポートは、サーバラックの前面が、冷気列封入構造により定められる内部空間(interior space)に連結するようにして、サーバラックに係合するように構成される。いくつかの実施形態では、サーバラックポートとサーバラックを1又はそれ以上の接続クリップで接続してサーバラックとポートの係合を容易にし、冷気列封入構造への及びこの構造からの空気の漏れを低減する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、ラック上に設置されたサーバの冷却ファンを利用して、冷気列封入構造からの冷気をサーバラックの前面から引き込み、サーバラックの背面から熱気を放出する。本発明のいくつかの実施形態は、高くした下地床、及び冷却した空気を床下プレナム内に強制するためのファン及びその他の機材の必要性を無くす。冷気列封入構造の上部に設置した冷却モジュールが、冷却モジュール内に設置した冷却コイルを通じて熱気を冷却する。いくつかの実施形態では、冷却した液体をコイル内で使用して、冷却モジュール内の熱気と熱を交換する。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、システム及び方法が、データセンタサーバ冷却室内の熱気を、外気を導入せずに冷却することに関する。サーバファンにより放出された熱気が、冷気列封入構造の上部に位置することができる冷却モジュールに入り込む。この熱気が、冷却モジュール内の水性冷却コイルによって冷却され、この冷却した空気が、重力及び冷気列封入構造の内部空間内に生じた低圧によって冷気列封入構造に入り込む。サーバファンが、冷気列封入構造に接続されたサーバラックポートから冷気を引き込んでサーバを冷却し、サーバラックの背面から熱気を放出する。
【0011】
本発明の他の実施形態では、システム及び方法が、外部冷気を混合してサーバを冷却することに関する。1つの実施形態では、データセンタ内の天井ダンパを温度制御ユニットによって制御し、外部温度がある閾値に達したときにこれを開くことができる。外気がデータセンタに入り込み、冷気列封入構造の上部に設置された冷却モジュールを通過する。サーバファンが、冷気列封入構造から冷気を引き込む。天井排気ファンによって熱気が外部に排気される。いくつかの実施形態では、データセンタサーバ冷却室内の空気中の湿気を制御するために、特に外気がサーバ及びその他の機材の動作要件を満たさない場合、加湿機を使用して外気を調整することができる。しかしながら、近年では技術の進歩に起因して、サーバ設備のメーカーが湿度要件を大幅に緩めている。
【0012】
以下の詳細な説明を添付図面とともに読むことにより、本発明の様々な実施形態の本質及び利点がより良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】冷気列封入構造例及び冷却モジュール例を示す図である。
図2】一体型サーバラックを備えた冷気列封入構造例及び冷却モジュール例を示す図である。
図3】一体型サーバラックを備えた冷気列封入構造例、サーバラックの1つの上に設置されたサーバ例、及び冷却モジュール例を示す図である。
図4】冷却モジュール例により調整された冷気を引き込むサーバファンを備えたサーバ例を示す図である。
図5】冷気列封入構造、冷却モジュール、屋上排気ファン、及び室内外の空気の循環を制御するダンパを有する混合チャンバを備えたデータセンタサーバ冷却室例を示す図である。
図6】接続クリップを使用して、冷気列封入構造の上部及び下部クロスバーと、1又はそれ以上のサーバラックの上部及び下部クロスバーとを固定した冷気列封入構造例を示す図である。
図7】2つの上部クロスバーを固定する接続クリップ例を示す図である。
図8】2つの下部クロスバーを固定する接続クリップ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施形態例及びこれらの態様は、範囲を限定するのではなく説明例であることを意図する装置、方法、及びシステムとの関連で説明し図示するものである。
【0015】
図1に、冷却モジュール例100及び冷気列封入構造例106を示す。冷気列封入構造106は、フレーム、パネル、ドア、及びサーバラックポートを有することができる。サーバラックポートは、冷気列封入構造106上の開口部であり、サーバラックに接続することができる。冷気列封入構造106は、鋼鉄、複合材料、又は炭素材などの様々な材料で作成することができ、これらの材料が、ラックマウント式ユニットを内部空間と連結できるようにする少なくとも1つのサーバラックポートを含む内部空間を定めるハウジングを形成する。いくつかの実施形態では、冷気列封入構造106を床面に直接設置することができ、データセンタ冷却室内に、冷却した空気のための上げ床が不要となる。他の実施形態では、高くした下地床を使用することができる。
【0016】
冷気列封入構造106の上部には、冷却モジュール100を配置して位置付け、冷気列封入構造106の上面に接続することができる。冷却モジュール100は、1又はそれ以上の冷却コイル102を含む。冷却コイル102内を通る流体を使用して、冷却モジュール100を通過する相対的に熱い空気との間で熱を交換し、これにより空気を冷却する。1つの実施形態では、冷却モジュール100が、内部に冷却コイル102を配置したエンクロージャをさらに含むことができる。冷却モジュールエンクロージャは、空気がエンクロージャに入るときに通過する1又はそれ以上の開口部104を有することができる。いくつかの実施形態では、開口部104が空気フィルタを含むことができる。冷却モジュールのエンクロージャは、冷気列封入構造106の上面に接続された1又はそれ以上の開口部を有することができ、ここを通って冷気が冷却モジュールから出て、冷気列封入構造により定められる内部空間に入り込む。
【0017】
いくつかの実施形態では、冷却コイル102内で、水を熱交換器として使用する。水ポンプ、水冷設備、及び付随する配管設備(図示せず)が、冷却した水を冷却コイル102に供給する。他の実施形態では、冷却コイル102内で、水グリコール水溶液、蒸気、又は冷却剤などの他の種類の液体又は流体を熱交換器として使用することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、冷却コイル102を、蛇行形状の管路とすることができる。他の実施形態では、冷却コイル102を、直線の管路などの他の形状とすることができる。冷気列封入構造106のサイズ、冷却要件、気流の速度、及び冷却コイル102の物理的特性に応じ、冷却モジュール100の冷却コイル数を変更することができる。1つの実施形態では、冷却モジュール100内で2つの冷却コイルが使用される。
【0019】
一般に、冷気は熱気よりも重いので、一般に、冷却コイル102により冷却された冷気は、冷却モジュール100の下側に位置してこれに接続することができる冷気列封入構造106により定められた内部空間内へ下向きに移動する。冷気列封入構造106は、内部空間を定めるエンクロージャを含む。このエンクロージャは、複数のサーバラックに連結するように構成された少なくとも1つのサーバラックポート110を含む。サーバラックポート110は、サーバラックの前面が、冷気列封入構造106の内部空間と交わるようにしてサーバラックに連結するように構成される。1つの実施形態では、サーバラックポート110に6つの標準的サーバラックを接続することができる。別の実施形態では、サーバラックポート110に12個の標準的サーバラックを接続することができる。ラック内にサーバを設置して、冷気列封入構造106からの調整空気を前面において引き込み、ラックの背後において熱を放出する前後気流パターンを実現する。
【0020】
1つの実施形態では、冷気列封入構造106が、複数のサーバラックポート110を含むことができる。サーバラックポート110は、サーバの前面、又はサーバ内に設置された他の装置が、冷気列封入構造106により定められる内部空間に連結されるようにしてサーバラックに係合することができる。この構成により前後気流パターンが実現され、図4に示すように、サーバ又はその他のラックマウント式ユニットの冷却ファンが内部空間から空気を引き込み、(単複の)プロセッサ及びその他の構成部品により加熱された空気を後部パネルから排気する。いくつかの実施形態では、サーバラック及び冷気列封入構造を、図6に示すように1又はそれ以上の接続クリップによって接続し、冷気列封入構造106の内部空間内の調整された冷気が、サーバ内のサーバファンによって引き込まれてサーバを冷却するようにすることができる。他の実施形態では、冷気列封入構造106の内部空間内の調整された冷気を、サーバ内のサーバファンによってサーバに引き込むことができるように、サーバラック及び冷気列封入構造106が隣同士に配置される。冷気列封入構造106の上部にある冷却モジュール100に相対的に熱い空気が循環され、冷却コイル102との間で熱を交換する。冷却モジュール100からの冷気が冷気列封入構造106に沈み込み、サーバ内のサーバファンによってサーバの後部に引き込まれる。いくつかの実施形態では、サーバ及びその他の機材がサーバラックにまばらに装着される。サーバ及びその他の設備は、ラック内で縦に積み重ねられるので、まばらにすることで、冷気列封入構造の内部空間に対して開いた隙間が形成され得る。冷気列封入構造106の内部空間から冷気が漏出し、熱気が循環して内部空間に戻ることにより、冷却効率が低下する恐れがある。空気の漏れを防ぐために、冷気列封入構造から隙間を通じて空気が逃げたり入ったりするのを防ぐ、サーバラックに取り付けたパネルによって隙間を塞ぐことができる。
【0021】
1つの実施形態では、冷気列封入構造106が、底部に安定性制御ユニット114をさらに含むことができる。安定性制御ユニット114は、地震などの自然災害中の地震動に耐える構造の構成部品を含むことができる。いくつかの実施形態では、安定性制御ユニット114が、冷気列封入構造106を容易に動かすために素早く解放できるスクロール用装置を有することができる。安定性制御ユニット114を使用した場合、冷気列封入構造106が地面から持ち上がることがある。この結果、冷気が漏れて、冷気列封入構造106の底部側から熱気が入り込む可能性がある。空気の漏れを防ぐために、1つの実施形態では、底面をシールするパネルによって冷気列封入構造106の底部側を取り囲み、このパネル上に安定性制御ユニット114を取り付けることができる。
【0022】
1つの実施形態では、冷気列封入構造106のエンクロージャに1又はそれ以上のドア108を設置することができる。データセンタの職員が、サーバのメンテナンスなどの様々な任務で冷気列封入構造に入ることができるように、ドア108を開閉することができる。ドア108は、冷気列封入構造106から冷気が漏れるのを防ぐように保護することができる。
【0023】
冷気列封入構造106の寸法は、所望の数のサーバラック及びサーバの冷却要件などに応じて大きく変更することができる。1つの実施形態では、冷気列封入構造106のそれぞれのサーバラックポート110に6個〜12個の標準的サーバラックを接続することができる。冷気列封入構造の反対側のサーバラックポートには、別の6個〜12個の標準的サーバラックを接続することができる。対向するサーバラックポート間の距離は、4フィートとすることができる。冷気列封入構造106の高さは12フィートとすることができ、深さも12フィートとすることができる。
【0024】
図2に、冷却モジュール例200、冷気列封入構造206、及びサーバラック208及び210を示す。この例におけるシステムは、冷気列封入構造206のサーバラックポートに嵌め込まれた形でサーバラックを示している点を除き、図1に示すものに類似する。この一体型サーバラック208及び210内にサーバを設置して、前後気流パターンを実現することができる。一体型サーバラック208及び210の前面は、冷気列封入構造206の内部空間と交わる。サーバ内のサーバファンが、冷気列封入構造206から冷気を引き込んでサーバを冷却し、サーバラックの後部から相対的に熱い空気を吐き出す。熱気は、次に1又はそれ以上の開口部204を通じて冷却モジュール200に循環し、1又はそれ以上の冷却コイル202との間で熱を交換する。冷却モジュール200は、冷気列封入構造206の上部に位置することができ、冷気列封入構造206の上部側及び冷却モジュール200の底部側にある開口部を通じて冷気列封入構造206の上面に接続することができる。一般に冷気は、特にサーバファンが冷気列封入構造から冷気を引き込んで、冷気列封入構造206の内部空間内に低い気圧を生じた場合、下方へ動く。
【0025】
図3に、冷却モジュール例300、冷気列封入構造302、サーバラック304、及びサーバラック上に配置されたサーバ例306を示す。このシステム例は、図2に示すものに類似する。冷気列封入構造302の上部に配置された冷却モジュール300を通じて、調整冷気が冷気列封入構造302に入り込む。サーバ306内のサーバファンが、冷気列封入構造302の内部空間から調整冷気を引き込んでサーバ306を冷却する。
【0026】
図4には、冷却モジュール例400、冷却コイル402、サーバ404及びサーバ404内のサーバファン406を示す。冷却モジュール400及び冷却コイル402からの調整冷気がサーバファン406によって引き込まれ、サーバ404を通過してサーバを冷却する。その後、サーバファン406により、相対的に熱い空気がサーバ404から吐き出される。
【0027】
上記で開示したように、図1及び図2に示す冷却システムは、データセンタサーバ冷却室により定められる内部空間内で動作して、データセンタサーバ冷却室の内部空間から空気を引き込み、冷却した空気を冷気列封入構造106の内部に与えることができる。しかしながら、いくつかの実施構成では、冷却システムが、外気の使用を可能にする気流制御を含むデータセンタサーバ冷却室に関連して動作することもできる。図5に、1又はそれ以上の天井排気ファン516と、外気の吸気を制御する天井ダンパ514と、混合チャンバ518と、混合チャンバ518に入る空気の循環を制御するダンパ512とを有するデータセンタサーバ冷却室例500を示す。冷却モジュール502が、1又はそれ以上の冷却コイル504を含み、混合チャンバ518に接続される。冷気列封入構造506の上面が、冷却モジュール502に接続される。冷気列封入構造506のエンクロージャ上のサーバラックポート508が、サーバラック510に接続される。このサーバラック内にサーバを設置して、前後気流パターンを実現することができる。サーバラックの前面は、冷気列封入構造506の内部空間と交わる。サーバ内のサーバファンが、冷気列封入構造506から冷気を引き込んでサーバを冷却し、サーバラックから熱気を放出する。
【0028】
サーバ冷却室500は、2つのモードで動作することができる。1つのモードでは、サーバ冷却室500に外気が導入されず、サーバから放出された熱気が、混合チャンバ518及び冷却モジュール502に循環して戻される。別のモードでは、サーバ冷却室500に外部冷気が導入される。混合チャンバ上のダンパ512が閉じている間、天井ダンパ514が開く。外部冷気が、冷却モジュール502を通過して冷気列封入構造506に入る。
【0029】
1つの実施形態では、天井ダンパ514が閉じて、混合チャンバ上のダンパ512が開く。サーバにより放出された熱気の一部は、1又はそれ以上の天井排気ファン516を通じてサーバ冷却室500の外部に排気され、熱気の一部は、開いたダンパ512を通じて混合チャンバ518に入り込む。混合チャンバ内の熱気が冷却モジュール502に引き込まれ、冷却コイル504との間で熱を交換する。その後、重力及び冷気列封入構造506の内部空間内の低い気圧によって、冷気が冷気列封入構造506に入り込む。
【0030】
別の実施形態では、天井ダンパ514が開いて、混合チャンバのダンパ512が閉じる。外部冷気が、開いたダンパ514を通じて混合チャンバ518に入り込み、冷却モジュール504を通過して、冷気列封入構造506の内部空間に沈み込む。
【0031】
いくつかの実施形態では、ダンパ512及び514の開閉を、温度制御ユニットによって制御することができる。外部温度が適当なレベルに達すると、温度制御ユニットが天井ダンパ514を開いて室内に外気が入るようにし、混合チャンバ上のダンパ512を閉じて、サーバから放出された熱気が混合チャンバに入り込まないようにする。外部温度がサーバ冷却室500にとって熱すぎる場合、温度制御ユニットが天井ダンパ514を閉じて、熱い外気が室内に導入されるのを防ぎ、ダンパ512を開いて、サーバから熱気が放出されて混合チャンバに戻るようにする。外部の自然な冷気を利用することで、データセンタのエネルギー消費量が大幅に削減され、冷却モジュール100を通じて循環する液体を冷却する必要性が減少する。いくつかの実施形態では、ダンパ512及び514の開閉、及び天井排気ファン516の動作が全て、サーバ冷却室の内部及び外部の温度をモニタし、部屋を冷却する上で最適な効率を達成するようにダンパ及びファンを動作させる温度制御ユニットなどの電子機器によって制御される。
【0032】
データセンタの所在位置によっては、外部冷気の湿度が異なる場合がある。外部冷気の湿度が低い場合には、湿度レベルが信頼できるサーバ動作のための要件を満たすように外部空気を調整する必要があり得る。サーバメーカーは、信頼できるサーバ設備の動作のための湿度要件を大幅に緩和しているが、データセンタ内の設備の性能及び信頼性にとって、データセンタサーバ冷却室内の適切な外気湿度は依然として重要である。いくつかの実施形態では、混合チャンバ518内に1又はそれ以上の加湿機を設置して、混合チャンバを通過する空気中の湿気を調整することができる。
【0033】
図6に、サーバラックポートの上端を横切って、及びこれに近接して水平に延びる上部クロスバーとサーバラックの上部クロスバーとを接続する1又はそれ以上の接続クリップ606を有する冷却システム例を示す。図6では、ラックに係合するように構成されたサーバラックポートを含む冷気列封入構造612の上部に冷却モジュール600が配置される。1又はそれ以上のサーバラック614がサーバラックポートに嵌め込まれた場合、冷気列封入構造の上部クロスバー602が、サーバラック614の1又はそれ以上の上部クロスバー604に係合する。1又はそれ以上の接続クリップ606を使用して、1又はそれ以上のサーバラック614の上部クロスバーを、冷気列封入構造612の上部クロスバーに素早く固定する。同様に、冷気列封入構造の下部クロスバー618を、サーバラックの下部クロスバー620に係合させることもできる。1又はそれ以上の接続クリップ616を使用して、1又はそれ以上のサーバラック614の下部クロスバーを、冷気列封入構造612の下部クロスバーに素早く固定する。
【0034】
いくつかの実施形態では、接続クリップがU字形の断面形状を有することができる。このU字形接続クリップを、2つのクロスバーを固定するための留め具として使用することができる。U字形接続クリップの一方の側に1又はそれ以上のピン部材608を締め付け、この接続クリップを締め付けて接続を固定することができる。ピン部材608は、金属ボルトとすることができる。接続クリップ606は、鋼鉄などの金属で作成することができる。接続クリップの幅は、冷気列封入構造の上部又は下部クロスバーと、サーバラックの上部又は下部クロスバーとを組み合わせた幅に見合うものにすることができる。接続クリップは、サーバラックを冷気列封入構造に固定するための迅速かつ容易な機構を提供する。
【0035】
図7に、2つのクロスバーを固定する接続クリップ例を示す。U字形接続クリップ704を使用して、クロスバー700とクロスバー702を固定する。いくつかの実施形態では、クロスバー700を、冷気列封入構造の上部クロスバーとし、クロスバー702を、冷気列封入構造のサーバラックポートに嵌め込まれたサーバラックの上部クロスバーとすることができる。クロスバー700及び702は、鋼鉄などの金属で作成することができる。接続クリップ704の幅は、クロスバー700とクロスバー702を組み合わせた幅に見合うものにすることができる。接続クリップ上の2つのピン部材706は、クロスバー700及び702の接続を固定するために2つのソケットを通じて締め付けることができる金属ボルトを含むことができる。いくつかの実施形態では、接続クリップ上に2つよりも多くのピン部材を使用することができる。
【0036】
図8に、2つのクロスバーを固定する接続クリップ例を示す。U字形接続クリップ804を使用して、クロスバー800とクロスバー802を固定する。いくつかの実施形態では、クロスバー800を、冷気列封入構造の下部クロスバーとし、クロスバー802を、冷気列封入構造のサーバラックポートに嵌め込まれたサーバラックの下部クロスバーとすることができる。クロスバー800及び802は、鋼鉄などの金属で作成することができる。接続クリップ804の幅は、クロスバー800とクロスバー802を組み合わせた幅に見合うものにすることができる。接続クリップの2つのピン部材806は、クロスバー800及び802の接続を固定するために2つのソケットを通じて締め付けることができる金属ボルトを含むことができる。いくつかの実施形態では、接続クリップ上に2つよりも多くのピン部材を使用することができる。
【0037】
特定の実施形態を参照しながら本発明について説明した。例えば、特定の構成部品及び構成を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、当業者であれば、異なる組み合わせの構成部品及び構成も使用できることを理解するであろう。当業者には他の実施形態が明白であろう。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲によって示すもの以外に限定されることは意図していない。
【符号の説明】
【0038】
500 データセンタサーバ冷却室
502 冷却モジュール
504 冷却コイル
506 冷気列封入構造
508 サーバラックポート
510 サーバラック
512 ダンパ
514 天井ダンパ
516 天井排気ファン
518 混合チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8