(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
紙片を筐体内へ取り込む取込部と、前記取込部が取り込んだ紙片が紙幣であるかを識別する識別部と、前記識別部の識別結果に応じて紙片を収納する収納部と、前記識別部により紙幣でないとされた紙片を取り除くリジェクト部と、を備える紙幣収納装置が有するコンピュータを、
前記識別部により紙幣でないとされても前記リジェクト部により取り除かない紙片の枚数指定を行う指定手段と、
前記指定手段により指定された枚数分だけ、前記識別部により紙幣でないとされた紙片を、前記収納部に収納させる紙片収納手段と、
して機能させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、釣銭機1およびPOS(Point Of Sale:販売時点管理)端末2の外観を示す斜視図である。釣銭機1は、紙幣釣銭機11および硬貨釣銭機12を有する。紙幣釣銭機(紙幣収納装置)11は、紙幣を識別して収納し、釣銭としての紙幣を出金する。硬貨釣銭機12は、硬貨を識別して収納し、釣銭としての硬貨を出金する。
【0009】
POS端末(販売データ処理装置)2は、一般に、一店舗に複数台備え付けられ、ユニークなレジナンバーを割り振られて精算場所に配設されている。キャッシャーは、売上処理にPOS端末2を用いる。POS端末2は、キーボード21、表示器22、カードリーダ/ライタ23、コードスキャナ(不図示)などを備えている。
【0010】
POS端末2は、店舗内にあるストアコントローラ(不図示)にLAN(Local Area Network)で接続されて用いられる。ストアコントローラは、店舗外の本部にあるサーバ(不図示)と専用回線で接続されて、サーバとデータの送受信(商品情報のダウンロードや販売データのアップロードなど)を行う。
【0011】
POS端末2は、コードスキャナによりバーコードや二次元コード等の形態で各商品に付加された商品コードを読み取ると、この商品コードをストアコントローラに通知することで商品の問い合わせを行う。ストアコントローラは、POS端末2からの問い合わせに応じて商品マスタファイルを検索し、商品コードに対応した商品情報(単価など)を読み出してPOS端末2へ送信する。POS端末2は、ストアコントローラから、商品コードに対応する商品の単価などを取得する。また、POS端末2は、購入対象となった商品の単価および販売個数に基づき、これら商品の総額を算出し精算等の処理を行って売上データを生成した後、当該売上データを所定のタイミングでストアコントローラに送信する。
【0012】
図2は、紙幣釣銭機11の内部を概略的に説明する平面図である。紙幣釣銭機11は、筐体31、取込部32、出金部33、識別部34、収納部35、および搬送部36を備えている。搬送部36は、リジェクト部37を兼ねている。また、収納部35は、千券収納庫41、五千券収納庫42、万券収納庫43、商品券収納庫44、および回収カセット45を備えている。
【0013】
取込部32は、筐体31に形成された入金口32aを有し、入金口32aに差し込まれた紙幣などの紙片を筐体31内へ取り込む。出金部33は、筐体31に形成された出金口33aを有し、出金口33aから釣銭としての紙幣などの紙片を吐き出す。
【0014】
識別部34は、紙片が紙幣であるかを識別する。収納部35は、識別部34の識別結果に応じて紙片を収納する。搬送部36は、取込部32から識別部34を経て収納部35の各収納庫41〜45へと紙片を搬送する。また、搬送部36は、各収納庫41〜44に収納された紙幣や紙片を回収カセット45に回収する場合に、各収納庫41〜44から回収カセット45へ紙幣および紙片を搬送する。
【0015】
リジェクト部37としての搬送部36は、識別部34により紙幣でないとされた紙片を、識別部34から出金部33へと搬送する。これにより、リジェクト部37は、紙片を識別部34から収納部35までの経路から取り除き、収納部35に収納させない。
【0016】
千券収納庫41は、識別部34により千円札であるとされた紙片を収納する。五千券収納庫42は、識別部34により五千円札であるとされた紙片を収納する。万券収納庫43は、識別部34により一万円札であるとされた紙片を収納する。
【0017】
商品券収納庫44は、商品券と推定される紙片を収納する。回収カセット45は、筐体31に着脱自在に収納される容器である。回収カセット45は、千券収納庫41、五千券収納庫42、万券収納庫43、および商品券収納庫44に収納された各種紙片を筐体31外へ持ち出す場合に、各収納庫41〜44から回収した紙片を収める容器である。また、回収カセット45は、二千円札の収納庫としても用いられる。
【0018】
図3は、紙幣釣銭機11の機能構成を示すブロック図である。
図4は、POS端末2の機能構成を示すブロック図である。紙幣釣銭機11は、制御部(CPU:Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、通信I/F(インタフェース)54、およびブザー55をさらに備えている。また、紙幣釣銭機11は、筐体31に、操作キー38および表示器39を備えている。
【0019】
取込部32は、入金口センサ56および入金口モータ57をさらに備えている。出金部33は、出金口モータ58および出金口センサ59をさらに備えている。識別部34は、識別センサ60をさらに備えている。収納部35は、収納庫センサ61、収納庫入口シャッタ62および回収カセットセンサ63をさらに備えている。搬送部36は、搬送モータ64をさらに備えている。
【0020】
POS端末2は、制御部71、ROM72、RAM73、および通信I/F(インタフェース)74を備えている。
【0021】
通信I/F54は、POS端末2の通信I/F74と接続し、相互なデータの送受信を可能とする。ブザー55は、音声でオペレータにエラーなどを知らせる。表示器39は、文字などでオペレータにエラーなどを知らせる。操作キー38は、オペレータによる操作を受け付ける。
【0022】
入金口センサ56は、入金口32aに設けられ、入金口32aに差し込まれた紙片を検知する。入金口モータ57は、入金口センサ56が紙片を検知すると動作し、紙片を取り込む。出金口モータ58は、出金口33aまで紙片を押し上げる。出金口センサ59は、出金口33aに設けられ、出金口33aに押し出された紙片を検知する。
【0023】
識別センサ60は、紙片が紙幣であるかと、紙幣であればどの券種であるかを識別する。収納庫センサ61は、各収納庫41〜44に設けられ、各収納庫41〜44に差し込まれた紙片を計数する。収納庫入口シャッタ62は、各収納庫41〜44に設けられ、各収納庫41〜44の入口を開閉する。回収カセットセンサ63は、回収カセット45の有無を識別する。搬送モータ64は、搬送部36で紙片を移動させる。
【0024】
ROM52は、制御部51が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAM53は、制御部51が各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。制御部51は、ROM52に記憶されたプログラムをRAM53に読み出して実行することにより、紙幣釣銭機11の各部を統括的に制御する。
【0025】
同様に、POS端末2のROM72は、制御部71が実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAM73は、制御部71が各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。制御部71は、ROM72に記憶されたプログラムをRAM73に読み出して実行することにより、POS端末2の各部を統括的に制御する。
【0026】
紙幣釣銭機11の制御部51は、プログラムを実行することにより、指定手段81および紙片収納手段82として機能する。
【0027】
指定手段81は、取込部32による取り込み動作にかかる枚数指定であって、識別部34により紙幣でないとされてもリジェクト部37により取り除かない紙片の枚数指定を行う。より詳細には、指定手段81は、POS端末2から通信I/F54,74を介して紙幣釣銭機11の制御部51が受け取る商品券の枚数情報を利用して、枚数指定を行う。
【0028】
紙片収納手段82は、取込部32による取り込み動作について、指定手段により指定された枚数分だけ、識別部34により紙幣でないとされた紙片を、リジェクト部37により取り除かせずに収納部35に収納させる。
【0029】
このような構成の釣銭機1およびPOS端末2の動作について説明する。まず、客がレジカウンターに商品を持ってくると、オペレータは、商品に付されたバーコードなどのコードシンボルをコードスキャナに読み取らせる。オペレータは、客が持ち込んだ全ての商品について同じ作業を行うと、キーボード21が備える「小計」キーを操作して商品が以上である旨をPOS端末2に伝える。
【0030】
POS端末2の制御部71は、コードシンボルを復号して情報を得、該情報に基づいて商品情報をストアコントローラに問い合わせて、商品情報すなわち商品名や価格を得る。そして、「小計」キーが操作されると、商品の価格を合計して小計額を得る。
【0031】
ここで、客が支払いに商品券を用いる場合、オペレータは、キーボード21を介して、商品券の種類や枚数を入力する。すると、POS端末2の制御部71は、商品券の金額および枚数から合計額を算出し、該合計額を小計額から減額する。また、POS端末2の制御部71は、通信I/F54,74を介して、紙幣釣銭機11の制御部51へ、商品券の枚数情報を連絡する。
【0032】
次に、オペレータは、減額された小計額に見合う現金を客から受け取るか、もしくは残額のクレジット決済を行う。現金を受け取った場合には、オペレータは、現金を釣銭機1に収納する。このとき、現金に紙幣が含まれていれば、オペレータは、紙幣釣銭機11に、紙幣とともに商品券をも収納させる。また、現金に紙幣が含まれなかった場合および商品券併用のクレジット決済の場合には、オペレータは、紙幣釣銭機11に、商品券のみを収納させる。
【0033】
図5は、紙幣釣銭機11の制御部51の紙片収納手段82が行う紙片収納処理の流れを示すフローチャートである。制御部51は、POS端末2から商品券の枚数情報を受信すると、指定手段81により、識別部34により紙幣でないとされてもリジェクト部37により取り除かない紙片の枚数指定を行う。具体的には、制御部51は、紙片収納処理で参照する「指定枚数」として、POS端末2から受信した枚数情報に基づく数値すなわち商品券の枚数を、RAM53などのメモリに保存する。
【0034】
紙片収納処理は、入金口センサ56が紙片を検知すると動作する。制御部51は、紙片収納手段82を、ステップS2〜ステップS5で実現する。
【0035】
制御部51は、識別部34による紙幣以外の紙片の検知を待機する(ステップS1のNo)。識別部34が紙幣でない紙片を検知すると(ステップS1のYes)、制御部51は、枚数指定通知の有無を判断する(ステップS2)。
【0036】
ステップS2で、枚数指定の通知があったとき(ステップS2のYes)、つまり、POS端末2から受信した商品券枚数が保存されていた場合に、制御部51は、紙幣でない紙片のカウント数が上記指定枚数よりも少ないかを判断する(ステップS3)。ここで、上記カウント数は、当該処理の開始時点では「0」である。
【0037】
ステップS3で、カウント数が指定枚数よりも少ない場合(ステップS3のYes)、制御部51は、紙片の枚数をカウントする、つまり、カウント数を1だけ増やす(ステップS4)。そして、制御部51は、紙片を商品券収納庫44に収納して(ステップS5)、処理を終了する。
【0038】
ステップS2で、枚数指定通知がなかったとき(ステップS2のNo)、つまり、POS端末2から商品券枚数を受信していなく、商品券枚数が保存されていなかった場合に、制御部51は、リジェクト部37に、紙片をリジェクトさせる(ステップS6)。また、ステップS3で、カウント数が指定枚数以上であった場合(ステップS3のNo)にも、制御部51は、リジェクト部37に、紙片をリジェクトさせる(ステップS6)。
【0039】
このように、本実施形態によれば、紙幣釣銭機11は、POS端末2にから商品券の枚数の情報を貰うことにより、識別部34が紙幣でないとした紙片のうち、商品券と推定される紙片を、紙幣とともに保管する。これにより、商品券を紙幣と同等の管理下に置くことができる。
【0040】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。本変形例において言及しない部分は上記実施形態と同様とする。
上記実施形態では、商品券であると推定される紙片の保管先を商品券収納庫44としているが、この保管先を、例えば万券収納庫43としてもよい。この場合、万券収納庫43内で、一万円札の中に商品券が混在することになるが、一万円札は釣銭に利用されないので、後に仕分け作業を要する以外の不都合はなく、商品券収納庫44を設けなくてもよくなる利点があり、各収納庫41〜43の占めるスペースをこれまで通りにすることができる。
【0041】
次に、上記実施形態の別の変形例について説明する。本変形例において言及しない部分は上記実施形態と同様とする。
上記実施形態では、商品券であると推定される紙片の保管先を商品券収納庫44としているが、この保管先を、例えば回収カセット45としてもよい。ただし、回収カセット45が、上記実施形態のように、筐体31に内蔵されるタイプの紙幣釣銭機11であることが必要である。このように構成しても、商品券は釣銭に利用されないので不都合はなく、商品券収納庫44を設けなくてもよくなる利点があり、各収納庫41〜43の占めるスペースをこれまで通りにすることができる。
【0042】
次に、上記実施形態のさらに別の変形例について説明する。本変形例において言及しない部分は上記実施形態と同様とする。
上記実施形態では、POS端末2から紙幣釣銭機11に提供される要保管紙片についての情報は「枚数」だけであるが、実施にあたっては、枚数とともに、金額をも、POS端末2から紙幣釣銭機11に提供してもよい。このようにすると、紙幣釣銭機11は、保管中の商品券の総額を記録することができ、紙幣釣銭機11の有り高管理を行うことができる。
【0043】
なお、上記実施形態およびその変形例では、POS端末2が取得した商品券の枚数を紙幣釣銭機11が取得することで枚数指定を実現しているが、実施にあたっては、枚数指定の手法はこれに限らない。例えば、紙幣釣銭機11に、オペレータによる操作を受け付ける操作部をさらに備え、指定手段81は、操作部への操作に基づいて枚数指定を行うようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態およびその変形例では、リジェクト部37は、識別部34により紙幣でないとされた紙片を識別部34から出金部33へと搬送するが、実施にあたっては、収納部35にリジェクト対象紙片を収納するための収納庫を設け、該収納庫に保管するようにしてもよい。
【0045】
そして、上記実施形態およびその変形例では、保管すべき紙片が商品券である場合について説明したが、実施にあたっては、保管すべき紙片が商品券に限らないことは言うまでもなく、例えば、何らかの金券、あるいは、値引や割引など各種サービスを約束するクーポンであってもよい。
【0046】
なお、上記実施形態の紙幣釣銭機11およびPOS端末2で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
上記実施形態の紙幣釣銭機11およびPOS端末2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上記実施形態の紙幣釣銭機11およびPOS端末2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施形態の紙幣釣銭機11およびPOS端末2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
上記実施形態の紙幣釣銭機11で実行されるプログラムは、上述した各部(指定手段、紙片収納手段)を含むモジュール構成となっている。CPU(プロセッサ)は、上記ROMからプログラムを読み出して、上記各手段を主記憶装置上にロードする。これにより、指定手段、紙片収納手段が、主記憶装置上に生成される。
【0047】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。