特許第6223553号(P6223553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223553ベンゼンの低減されたレディ・トゥ・ドリンク茶飲料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223553
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】ベンゼンの低減されたレディ・トゥ・ドリンク茶飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/20 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   A23F3/20
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-516491(P2016-516491)
(86)(22)【出願日】2013年6月3日
(65)【公表番号】特表2016-519953(P2016-519953A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】US2013043887
(87)【国際公開番号】WO2014196953
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル, チャイデス
(72)【発明者】
【氏名】ジュヌヴィエーヴ, コール
(72)【発明者】
【氏名】シャオピン, フー
(72)【発明者】
【氏名】チン‐ジュン, クオ
(72)【発明者】
【氏名】リーズ, ゼブージュ
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−304323(JP,A)
【文献】 特表2004−532623(JP,A)
【文献】 国際公開第02/070372(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0273281(US,A1)
【文献】 米国特許第04608163(US,A)
【文献】 米国特許第05045215(US,A)
【文献】 米国特許第05518668(US,A)
【文献】 米国特許第04696739(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶抽出物、通気水、及びベンゾエートを含み、少なくとも2.5ppmの酸素分子(O)を含む、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料。
【請求項2】
前記ベンゾエートが、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のレディ・トゥ・ドリンク茶飲料。
【請求項3】
前記ベンゾエートを最大で0.30g/L含む、請求項1に記載のレディ・トゥ・ドリンク茶飲料。
【請求項4】
前記飲料がジメチルジカーボネートを含有しない、請求項1に記載のレディ・トゥ・ドリンク茶飲料。
【請求項5】
前記飲料がアスコルビン酸を含有しない、請求項1に記載のレディ・トゥ・ドリンク茶飲料。
【請求項6】
レディ・トゥ・ドリンク茶飲料の製造方法であって、
ベンゾエートを、前記レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を製造するのに使用される成分に添加する工程と、
前記成分に使用される水を通気してレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を製造する工程と、を含み、
前記水を通気して、少なくとも2.5ppmの酸素分子(O)を含ませる、製造方法。
【請求項7】
前記レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を容器に分注する工程を更に含み、前記水が、前記容器中にある間、Oにより通気される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記水の通気より前に、前記容器から空気を排気する工程を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記水がガスフラッシングにより通気され、前記容器中の空気がOにより置き換えられる、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を容器に分注する工程を更に含み、前記水が、前記容器に分注するより前にOにより通気される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
茶抽出物、通気水、及びベンゾエートを含むレディ・トゥ・ドリンク茶飲料であって、常温保存可能であり、かつ60℃にて7日後に含むベンゼンが0.75ppb未満であり、前記飲料が、Oで68%飽和されている、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料。
【請求項12】
レディ・トゥ・ドリンク茶飲料におけるベンゼンの生成を低減する方法であって、
水を通気して少なくとも2.5ppmの酸素分子(O)を含ませる工程と、
ベンゾエート及び前記通気した水を使用して、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を製造する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本開示は、概して、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料に関する。より詳細には、本開示は、ベンゼンの生成が低減されたレディ・トゥ・ドリンク茶飲料、及びこれを製造する方法に関する。
【0002】
[0002]ベンゼンは、ヒトにとって発癌性であることが知られる揮発性有機化合物(VOC)であり、食品及び飲料中に存在し得る。高濃度のベンゼンを含有する食品を摂取することで、嘔吐、胃の炎症、目眩、眠気、痙攣、頻脈又は不整脈、及び死亡などの症状が生じる場合がある。長期の暴露により、血液においては、骨髄が損傷を受けて赤血球細胞数が減少し、結果として貧血症がもたらされるという影響が生じる。同様にして、免疫システムに影響が生じて感染症に感染する可能性も増大し、並びに同様にして、白血病を発症する可能性もある。
【0003】
[0003]食品におけるベンゼン発生には、炭酸飲料に使用される二酸化炭素の汚染、包装材からの溶出、環境及び供給水の汚染、並びに放射線処理又は高温などといった食品加工条件などの複数の供給源が関与する。このような食品加工条件下で、特定のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)及びその他の一般的な食品原材料(カロテンなど)又は香料化合物(例えば、ピネン及びリモネン)の分解によりベンゼンが生成され得る。更に、広範に使用される食品保存料であるベンゾエート(benzoate)の脱カルボキシル化によっても、ベンゼンが生成され得る。
【0004】
[0004]ベンゾエート及びアスコルビン酸は食品に天然に存在し得るものであり、あるいは食品添加物として添加され得る。例えば、安息香酸ナトリウムは一般的に使用される抗菌剤である。アスコルビン酸及び遷移金属イオン(例えば、Cu2+又はFe3+イオン)が存在すると、ヒドロキシルラジカルの生成が促進されることから、ベンゾエートの酸化的脱カルボキシル化は、食品中に存在するヒドロキシルラジカルにより生じ得る。アスコルビン酸は、一般に食品処方において抗酸化剤として使用されるものの、遷移金属イオンの存在下では、アスコルビン酸は金属イオンを還元する酸化促進剤として作用する場合があり、これにより還元された金属イオンはHを還元してヒドロキシルラジカルを生成し得る。同様にして、温度及び紫外線などのその他の因子がベンゾエートの脱カルボキシル化に作用することも報告されている。
【0005】
[0005]飲料は、典型的には保存料として添加されたベンゾエートを含有しており、かつ酸性でもあり得ることから、ベンゾエートからベンゼンが生成されるという発見により、飲料には特に注意が払われるようになった。ベンゼンの生成を低減する既存の解決法としては、安息香酸ナトリウムの量を低減させるもの(これにより微生物による汚染の可能性が生じる)、安息香酸ナトリウムを完全に除去するもの(低温充填手法を、費用のかさむ高温充填又は無菌加工に置き換えることになる)、並びに安息香酸ナトリウムの代わりにジメチルジカーボネートを使用するもの(同様に費用のかさむアプローチである)が挙げられる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用する別の手法では、触媒として機能し得る金属イオンを封鎖することによりベンゼンの生成が低減され得るものの、EDTAの結合に関し触媒金属イオンと競合するカルシウム又はその他のミネラルを含有する製品では、この作用が妨げられる場合がある。
【0006】
[0006]茶は、典型的にはカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)の乾燥葉から製造される浸出液である。カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム及びマンガンはg/kg濃度で茶葉中に存在し、一方、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び亜鉛はmg/kg濃度で存在する。上記の通り、幾種類かの金属イオンは、Hを還元して、ベンゾエートの酸化的脱カルボキシル化を促進するヒドロキシルラジカルを生成し得る。したがって、茶は、金属イオンが天然に存在することから、特にベンゼンの生成の影響を受けやすい。更には、飲料が高温下で長期間保存された場合、ベンゾエートからのベンゼンの生成は増加する。この観点において、製品の保存期間が長くなるほど、前駆体が存在する場合にベンゼンが生成される可能性が増加する。したがって、レディ・トゥ・ドリンク飲料でも望ましくないベンゼン濃度になる場合がある。
【発明の開示】
【0007】
[0007]本開示は、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料におけるベンゼン生成を低減する方法を提供するものであり、ベンゼンの生成が低減されたレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を提供するものであり、並びに同様にこのような飲料の製造方法も提供するものである。この方法及び飲料は、酸素分子(dioxygen)を通気した水などといった通気水(aerated water)を使用して、ベンゼン含量及びベンゼン生成を低減する。
【0008】
[0008]概括的な実施形態において、本開示は、茶抽出物、通気水、及びベンゾエートを含むレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を提供する。
【0009】
[0009]一実施形態において、飲料は、少なくとも2.5ppmの酸素分子(O)を含む。
【0010】
[0010]一実施形態において、ベンゾエートは、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
[0011]一実施形態において、飲料が含むベンゾエートは、最大で0.30g/Lである。
【0012】
[0012]一実施形態において、飲料はジメチルジカーボネートを含有しない。
【0013】
[0013]一実施形態において、飲料はアスコルビン酸を含有しない。
【0014】
[0014]別の実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料の調製方法が提供される。この方法は、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を製造するのに使用する成分にベンゾエートを添加する工程と、成分に使用する水を通気してレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を製造する工程と、を含む。
【0015】
[0015]一実施形態において、水は通気により少なくとも2.5ppmの酸素分子(O)を含む。
【0016】
[0016]一実施形態において、この方法は、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を容器に分注する工程を更に含み、容器内にある間、水はOにより通気される。
【0017】
[0017]一実施形態において、この方法は、水の通気前に容器から空気を排気する工程を更に含む。
【0018】
[0018]一実施形態において、水をガスフラッシングにより通気し、容器内の空気をOにより置き換える。
【0019】
[0019]一実施形態において、この方法は、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を容器に分注する工程を更に含み、容器への分注前に、Oにより水を通気する。
【0020】
[0020]別の実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料が提供される。この飲料は茶抽出物、通気水、及びベンゾエートを含む。このレディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、常温保存が可能であり、60℃にて7日後に含むベンゼンは0.75ppb未満である。
【0021】
[0021]一実施形態において、飲料はOで68%飽和している。
【0022】
[0022]別の実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料におけるベンゼン生成を低減する方法が提供される。この方法は、少なくとも2.5ppmの酸素分子(O)を含むよう水を通気する工程と、ベンゾエートと通気水とを使用してレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を製造する工程と、を含む。
【0023】
[0023]本開示の利点は、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料におけるベンゼン生成を低減又は防止するための方法を提供するというものである。
【0024】
[0024]本開示の別の利点は、ベンゼン生成の低減された、及び/又はベンゼン含量の低減されたレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を提供するというものである。
【0025】
[0025]本開示の更に別の利点は、アスコルビン酸を含まず、かつベンゼン生成の低減された、及び/又はベンゼン含量の低減されたレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を提供するものである。
【0026】
[0026]本開示の尚更に別の利点は、溶存酸素分子(O)を使用して、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料におけるベンゼン生成を低減させる及び/又はベンゼン含量を低減させるというものである。
【0027】
[0027]本開示の追加の利点は、ベンゾエートの量を低減させずに、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料におけるベンゼン生成を低減させる及び/又はベンゼン含量を低減させるというものである。
【0028】
[0028]本開示の別の利点は、ベンゾエートの代わりにジメチルジカーボネートを使用せずに、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料におけるベンゼン生成を低減させる及び/又はベンゼン含量を低減させるというものである。
【0029】
[0029]本開示の更に別の利点は、ベンゼンの生成を促進せずに、長期間にわたって常温保存が可能である茶飲料を提供するというものである。
【0030】
[0030]本開示の尚更に別の利点は、60℃にて7日後に含むベンゼンが0.75ppb未満であるレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を提供するというものである。
【0031】
[0031]追加の特徴及び利点を本明細書に記載する。これらは、以降の発明の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1において試験した試料及び結果の表を示す。
図2】実施例1における試験結果のパレート図を示す。
図3】実施例1における試験結果の統計分析を示す。
図4】実施例1における初回試験及び確認試験より得られた試験結果の表を示す。
図5】実施例1における初回試験及び確認試験より得られた試験結果の棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0037]本明細書に記載の全ての百分率は、別途記載のない限り組成物の合計重量に基づくものである。pHについての参照がなされるとき、値は標準的な装置により25℃にて測定されるpHに相当する。本開示及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」には、文脈において明記されている場合を除き複数形を包含する。本明細書で使用するとき、「約」は、数値範囲に含まれる複数の数を指すものと理解される。更に、本明細書に記載のすべての数値範囲は、範囲内のすべての自然数、整数又は小数を包含するものと理解されたい。本明細書でおいて使用するとき、「含む(comprising)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は概括的な用語であり、すなわち非限定的な用語であり、その他の未記載の要素又は方法工程を除外するものではない。しかしながら、本開示により提供される茶飲料は、本明細書において具体的に開示されていない要素を何ら含まなくても良い。したがって、本明細書において使用するとき、「含む(comprising)」には、「から本質的に構成される(consisting essentially of)」及び「から構成される(consisting of)」が含有される。
【0034】
[0038]「レディ・トゥ・ドリンク飲料」は、液体を更に追加せずとも摂食することのできる液体形態の飲料を意味する。「茶」は、すべての種類の茶葉、例えば、緑茶、黒茶、白茶、烏龍茶、ルイボス茶、チャイ茶、着香茶、香草茶、果実茶、及びこれらの組み合わせなどを包含する。「茶葉」は、淹茶(brewable tea)、並びに場合により、まるごとの、切りだされた、又は細かく刻まれた(chiseled)葉;葉の小片;粉末;極細片;及びこれらの組み合わせなどのその他の任意の形態の原材料を指す。茶は、単一種の茶、又は一種以上の茶の混合物を包含し得る。茶にはカフェインが添加されていても、又は脱カフェイン処理されていてもよい。
【0035】
[0039]本開示は、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を提供する。これらの飲料には、例えば、茶葉の熱水抽出などの一般的な方法により得ることのできる茶抽出物を含有させることができる。水抽出の温度は、室温から、最高で180℃、又は高圧によりそれ以上に変化させることができる。一実施形態において、食品等級の染料、緩衝塩、安定化剤、保存料、着香量、甘味料、及び同様物を茶抽出物に添加してもよい。緩衝塩は、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸カリウム及びクエン酸二カリウムなどの任意の好適な塩とすることができる。甘味料は、例えば、スクロース、転化糖、フルクトースシロップ、様々なDEのグルコースシロップ、様々なDEのマルトデキストリン、及びこれらの組み合わせなどの糖系のものであってよい。シュガーレス甘味料としては、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、マンニトール、イソマルト及びラクチトールなどの糖アルコール、加水分解水添デンプン、サッカリン、シクラマート、アセトスルファム、L−アスパルチル系甘味料、又はこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を、好ましくは約0.03g/Lの量で含む。
【0036】
[0040]更に、茶抽出物は、ビタミン類、ミネラル類、抗酸化剤類、プロバイオティクス類、及び/又はプレバイオティクス類により強化することができる。安定化剤の非限定例としては、ゼラチン、デンプン、ガム、乳化剤、緩衝剤、炭酸塩、及び同様物などが挙げられる。任意選択的に存在させるミネラル類、ビタミン類、及びその他の微量栄養素の非限定例としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩化物、カリウム、ナトリウム、セレン、クロム、モリブデン、タウリン、及びL−カルニチンが挙げられる。
【0037】
[0041]得られるレディ・トゥ・ドリンク茶飲料はろ過してもよく、あるいは自然沈殿物を含有していてもよい。一実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、好適な風味を含有する。このような風味としては、果実風味、モカ、チョコレート、チャイ、キャラメル、バニラ、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。一実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料はジメチルジカーボネートを含有しない。一実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料はアスコルビン酸を含有しない。
【0038】
[0042]レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、酸素分子(O)で通気した水などの通気水、及び安息香酸塩などのベンゾエートを含む。好適な安息香酸塩の非現定例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料が含むベンゾエートは、最大で0.30g/Lである。非限定例として、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、0.28g/Lのベンゾエート、0.30g/Lのベンゾエート、及びその他の濃度のベンゾエートを含んでよい。
【0039】
[0043]レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、好ましくは飲料中の唯一の水として通気水を含み、飲料は非通気水を含有しない。例えば、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、好ましくは茶抽出物、通気水、及びベンゾエートを含む。一実施形態において、茶飲料及び/又は茶飲料中の水は、少なくとも2.5ppmの酸素分子(O)、好ましくは3.5ppmの酸素分子O、より好ましくは5.0ppmの酸素分子(O)、及び更により好ましくは少なくとも約6.0ppmのOを有する。一実施形態において、茶飲料及び/又は茶飲料中の水は、酸素分子(O)で、68%飽和しており、好ましくはOが少なくとも72%溶存している。レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は常温保存が可能であり、60℃にて7日過後に含むベンゼンは0.75ppb未満である。
【0040】
[0044]レディ・トゥ・ドリンク茶飲料は、例えば、低温充填により、缶又はその他の好適な容器に分注することができる。一実施形態において、水にOを通気してからレディ・トゥ・ドリンク茶飲料を容器に充填することができる。一実施形態において、レディ・トゥ・ドリンク茶飲料を充填した後に、缶又はその他の容器のヘッドスペースにOを導入することができ、例えば、容器から空気(例えば、窒素ガス)を排気した後にOを導入することができる。容器からの空気の排気は、減圧により達成することができる。あるいは又は更に、Oは、容器内の空気をOにより置き換えるガスフラッシングにより導入することができる。一実施形態において、飲料を缶に分注する前に水を通気することができる。例えば、茶抽出物を調製する前、間、及び/又は後、並びにレディ・トゥ・ドリンクを調製する前、間、及び/又は後に、Oにより水を通気することができる。一実施形態において、水の通気後に加熱することにより、あるいは接触系(contacting system)により水を真空と接触させることにより、必要濃度のOが飲料中に溶存することになる。
【実施例】
【0041】
[0045]例示を目的として、かつ制限しないことを目的として、以下の非限定例により、本開示により提供される多様な実施形態を例示する。
【0042】
実施例1
[0046]茶原材料及び加工条件の差異がベンゼン含量の低減に与える影響を評価するため試験を実施した。20ミリリットル(mL)のバイアル瓶に各茶試料を調製し、0.03g/mL EDTAを含有させた。試験パラメーターは、安息香酸ナトリウム濃度、スクラロースの有無、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)濃度、リン酸レベルを変更することにより得られるpH、水の通気(脱気又は非脱気)、及び水の逆浸透処理の種類(ヘリウムパージ又は膜)とした。図1を参照されたい。
【0043】
[0047]茶はラズベリーの着香をした黒茶とし、各試料について、茶試料における試験パラメーター以外のその他のすべての要素は同じとした。具体的には、茶には、甘味料(砂糖及び/又は代替物など);黒茶粉末;酸;保存料;ラズベリー着香料;及び水を含有させた。
【0044】
[0048]人工甘味料はベンゼンの生成を遅らせると考えられることから、スクラロースの有無を試験パラメーターとした。HFCSはベンゼンの生成を加速させると考えられることから、HFCS濃度を評価した。酸性になるとベンゼンの生成が促進されると考えられることから、pHを変化させた。Oはベンゼンの生成に機能し得ることから、水の通気を試験パラメーターとした。イオンはベンゼンの生成に機能し得ることから、水の逆浸透処理の種類を試験した。「同時製造(Co−manufacturer)」は、ヘリウムパージにより逆浸透処理が実施されたことを意味し、「PTC」は、逆浸透処理が膜により実施されたことを意味する。
【0045】
[0049]試料を60℃にて7日間維持し、効果がある場合には、これらのパラメーターについて効果を評価した。この期間中、脱気水を使用する試料は、脱気を維持するよう設計された密閉容器(「グローブボックス」)に維持した。次に、当業界で公知の「パージ及びトラップ」分析を使用し、ベンゼン濃度を測定した。具体的には、非反応性パージガスにより試料をバブリングして、蒸気としてベンゼンを抽出した。その蒸気を活性炭などの高表面積物質に通すと、ベンゼンがそれに吸着し、そして液体に再凝縮する。活性炭に吸着したベンゼン及びその他の揮発性化合物は、加熱して再蒸発させることで分離可能であり、かつガスクロマトグラフィーにより分析することができる。
【0046】
[0050]図1に示す通り、脱気水を用いる(それぞれO濃度1.0ppm未満)試料3〜6ではベンゼンが生成された(それぞれ3.32、4.26、3.40及び3.46)。対照的に、通気水を用いる試料1、2、7及び8(それぞれO濃度5.90、6.39、6.28及び5.89ppm)ではベンゼンの生成が防止された。したがって、この初期実験において、ベンゼン生成は水の脱気に関係した。
【0047】
[0051]図2に示す通り、パレート図を作成して、初期実験において試験した各パラメーターの統計的有意性を求めた。水の通気に加え、その他の因子はベンゼン生成に影響をおよぼすものの、その他の因子による影響は統計的に有意なものではなかった。図3に示す通り、更なる統計分析により、結果の妥当性が実証された。
【0048】
[0052]このような次第ではあるが、ベンゼン生成及び水の脱気の関係性を確認するため、確認試験で試料1、2、3及び6を繰り返し試験した。逆浸透による水処理の種類はベンゼン生成に関与する因子ではなかったことから、試料4、5、7及び8については繰り返さなかった。確認試験及び初期試験は、確認試験では安息香酸ナトリウムを加えた(「新規較正調製(new calib prep)」)後に較正のためプレート上で5分間撹拌し、初期試験ではこの撹拌を包含させなかった(「そのままの較正調製(old calib prep)」)という点のみが異なった。
【0049】
[0053]図4及び5に示す通り、第2試験により、第1試験において示されたベンゼン生成と水の脱気との間の関係性を確認した。第2試験によると、通気水を用いる試料1及び2では、脱気水を用いる試料3及び6よりも大幅にベンゼンが少なかった。検出可能なベンゼン量は0.75ppbであったものの、図4における丸括弧中の数字により特定される通り、幾つかの試料では、この閾値未満のピークが生成された。
【0050】
[0054]図5は、左から右に、試料3の3回分の試行、試料6の3回分の試行、試料1の3回分の試行、試料2の3回分の試行についての結果の棒グラフを示す。各試行について、左側の棒グラフは初期試験で生成されたベンゼンの量であり、右側の棒グラフは確認試験で生成されたベンゼンの量である。図に示す通り、初期試験では、試料1及び2について、結果としてベンゼンは検出されなかった(ベンゼンは0.75ppb未満であった)。
【0051】
[0055]理論により束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、ベンゾエートは、茶ポリフェノールとの反応により、ベンゼン生成に向かう活性化エネルギーの低いエステルを生成する場合があり、酸素は、この茶ポリフェノール中に含有されるヒドロキシルを還元して、エステル化を制限し得るものと考える。
【0052】
[0056]本明細書に記載の本発明の好ましい実施形態に対する各種変更及び改変は、当業者には明らかであることは理解されたい。このような変更及び改変は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を消失させることなくなすことができる。したがって、このような変更及び改変は、添付の特許請求の範囲により包含されるものと意図される。
図1
図2
図3
図4
図5