(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コア(330)は、前記第1の面シート(320)と前記第2の面シート(310)との間の有孔隔壁(334)、前記隔壁(334)と前記第2の面シート(310)との間の第1の複数のセル(332)、及び、前記隔壁(334)と前記第1の面シート(320)との間の第2の複数のセル(332)を含む、請求項1または2に記載の構造体。
前記コア(330)は複数のセル(332)を含み、前記セル(332)と前記第1の面シート(320)における前記複数の開口(322)とがノイズ減衰共振器を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の構造体。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】タービンエンジンとナセルとを含む推進システムを示す図である。
【
図2】内部壁を含むファンダクトを示す図であり、内部壁は、超塑性成形され拡散接合されたセルを備えたサンドイッチコアを含む。
【
図3】種々のサイズ及び構成のセルを有するSPF/DBサンドイッチコアのうちの1つを示す図である。
【
図4】種々のサイズ及び構成のセルを有するSPF/DBサンドイッチコアのうちの1つを示す図である。
【
図5】種々のサイズ及び構成のセルを有するSPF/DBサンドイッチコアのうちの1つを示す図である。
【
図6】種々のサイズ及び構成のセルを有するSPF/DBサンドイッチコアのうちの1つを示す図である。
【
図7】SPF/DB構造体を製造する方法を示す図である。
【
図8】SPF/DB構造体のコアシートのための溶着パターンを示す図である。
【
図9A】パックが拡張してSPF/DB構造体になることを示す図である。
【
図9B】パックが拡張してSPF/DB構造体になることを示す図である。
【
図9C】パックが拡張してSPF/DB構造体になることを示す図である。
【
図9D】パックが拡張してSPF/DB構造体になることを示す図である。
【
図10】複数のSPF/DB構造体からナセル内部壁を形成する方法を示す図である。
【
図11】複雑な形状を有するSPF/DB構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
航空機の翼100の下方の支柱又はパイロン105に装着された推進システム110を示す、
図1を参照する。推進システム110はタービンジェットエンジンを含む。いくつかの実施形態では、ジェットエンジンはターボファンエンジン120でありうる。典型的なターボファンエンジン120は、ダクテッドファン121、及び、ファン121を駆動するためのエンジンコア(又はガスジェネレータ)122を含む。ファン121は、エンジンコア122を通じて吸気の一部分を動かし(コア流)、エンジンコア122を迂回するファンダクト130を通じて、吸気の別の部分を動かす(バイパス流又はファン流)。コア流は、プラグノズル124のようなノズルによって加速される。低温のバイパス流と高温のコア流との組み合わせを排出することによって、推力が生成される。コア流に対するバイパス流の質量流量比率は、バイパス比と称される。
【0012】
推進システム110は更に、ダクテッドファン及びエンジンコア122をカバーするためのカウリングを含む、ナセル140を含む。カウリングは、カーボンエポキシ又はアルミニウムのような低温可能材料を使用して、軽量構造物で作製されうる。カウリングは、ファンダクト及び関連機構のための空力フェアリングとしての役割を果たす。
図1の実施形態では、カウリングは、エンジン吸気口カウル142、ファンカウル144及びコアカウル146を含む。
【0013】
加えて、
図2を参照する。ナセル140は更に、逆推力装置(thrust reverser)としても知られているファンダクト130を含む。ファンダクト130は、エンジンコア122からバイパス流を分離する、内部壁132を有する。内部壁132は、流れ圧力負荷並びに他のナセル負荷に反応するための構造能力を包含する。内部壁132はまた、コア流のためのコアダクトとして、及びエンジンコア122のためのカウリングとして、機能しうる。エンジンコアのカウリングとしては、内部壁132は、重要な構造能力と、耐熱性及びとそれに関連した温度勾配と、ノイズ減衰と、エンジン防火と、エンジンとそのシステム及び構成要素へのアクセスとの、組み合わせを提供する。内部壁132は、熱を、バイパス流へと導くことによってエンジンコア122から逸らす。
【0014】
分岐器135によって、内部壁132はコアカウル146に取り付けられる。いくつかの実施形態では、分岐器134は内部壁132と一体化されうる。他の実施形態では、分岐器134は内部壁132に結合され(例えば機械的に固定され)うる。いくつかの実施形態では、コアカウル146はファンダクト130と一体化されてよく、他の実施形態では、コアカウル146はファンダクト130から分離されうる。
【0015】
ナセル130は更に、航空機の前進運動とは逆の推力を提供するために、バイパス流の一部分または大部分の方向を外向きかつ前方へと変える、逆推力装置デフレクタ(thrust reverser deflector)136を含む。デフレクタ136の一部分は、バイパス流を遮断するドアとの連結によって、内部壁132に取り付けられうる。
【0016】
上記の機能に加え、内部壁132は、エンジンコア122のタービン構成要素によって生成されうるエンジンノイズ、並びに、バイパス気流の中に入り込むファンノイズを抑制する。長尺ダクト(つまり、ファン流ノズルの出口面を越えて延在する部分を有するファンダクト)を有するナセルについては、ファン流ノズルの出口面を越えて延在する部分に関してのノイズ抑制は任意である。
【0017】
ナセル130の内部壁132は、ノイズを抑制するよう設計されている一又は複数のSPF/DB構造体を含む。いくつかの実施形態では、内部壁132は、単一のモノリス型SPF/DB構造体によって形成されうる。他の実施形態では、内部壁は、溶接されているか、別の方法で結合されている、複数のモノリス型SPF/DB構造体を含みうる。
【0018】
超塑性成形(SPF)とは概して、材料がその通常のプラスチック変形の限界を超えて超塑性変形されるプロセスを表す。超塑性成形は、限定された温度及びひずみ速度の範囲内で超塑性特性を示す決まった材料を用いて、実行することが可能である。
【0019】
拡散接合(DB)とは概して、熱及び圧力を使用して部材を結合し、結合された部材の材料間に固体合着を形成するプロセスを表す。拡散接合による結合は、結合されつつある母材の融点を下回る温度で生じる。個々の母材間の合着は、完全に結合されるまで互いの間で金属微小構造を完全に融合及び拡散させるに十分な圧力負荷を用いて、生成される。
【0020】
各SPD/DB構造体は、拡散接合可能かつ超塑性成形可能な材料で作製される。かかる材料の例は、チタニウム、チタニウムアルミナイド、セラミック、ガラス、セラミック金属複合材、ステンレス鋼、アルミニウム、インコネル、及び他の超合金のグレード及び合金を含むが、それらだけに限定されるわけではない。
【0021】
加えて、
図3を参照する。内部壁132の各SPF/DB構造体300は、エンジンコア122に当接した高温側の面シート310、ファンダクトの内表面を形成する低温側の面シート320、及び、面シート310と320との間のサンドイッチコア330を有する。高温側の面シート310は、低温側の面シート320よりも良好な耐熱性を有する材料で作製される。コア330は、面シート310と320との間の空洞を形成する複数のセル332を含む。コア330は、面シート310及び320におけるマークオフ(mark−off)を低減するために、高温側の面シート310及び低温側の面シート320の形成に使用される材料と比較して、より卓越した超塑性特性を有する材料で作製されうる。
【0022】
低温側の面シート320は、ノイズ減衰開口322を有する。ノイズ減衰開口322は、パイパス空気がコア330のセル332に流入することを可能にするよう配設される。開口322及びセル332は、エンジンノイズを減衰させる共振器を形成する。
【0023】
エンジンノイズの減衰は、セルの高さ、長さ及び幅、シートの厚み、開口のサイズ、形状及び間隔、並びに低温側の面シート320の特定の開放区域パーセント(POA)の選択によって、調整されうる。周波数減衰は、開口322のサイズと、開口322を有する面シート320の厚みと、開口下の空洞の深さとの間の機能的関連性に基づく。減衰はまた、開口322のパターンに基づく。これらの変数の相違が、構造体300のノイズ減衰の効率に影響を与えることになる。SPF/DB構造体300は、可能な限り広範なジェットエンジンノイズ周波数を減衰するよう調整されうる。
【0024】
ノイズ減衰は受動的である。受動的な減衰は、異相音を創出して所望の周波数をキャンセルするために、能動的なモニタリング/フィードバックシステムを必要としない。ゆえに、SPF/DB内部壁132は、ノイズ減衰システムの重量及び整備なくしてノイズ減衰を実行しつつ、構造強度と耐熱性とを提供する。
【0025】
SPF/DB内部壁132は、ハニカム構造体よりも良好な耐食性及び熱的保護を提供する。SPF/DB内部壁は、そのずっと優れた高温性能により、ハニカム構造体よりも良好な構造強度及び疲労性能を有し、損傷に対する耐性も勝っている。
【0026】
SPF/DB内部壁132は、エンジン熱からの保護のための断熱ブランケットを必要としない。断熱ブランケットがなくなることによって、ナセル130は、ハニカム構造体よりも軽量になり、少ない抗力で空気が通過するためのより滑らかな表面を有する。
【0027】
断熱ブランケットがなくなることによって、ナセル130は、従来型のナセルよりも小型化する。この小型化したナセルは、地上高(及び着陸ギア長さ)を増大させることなく、(より少ない燃料燃焼で)より高いバイパス比を有する大型のエンジンの使用を可能にし、及び/又は、より多くの設備及び付属品をナセル130内に詰め込むことを可能にする。
【0028】
SPF/DB構造体のモノリス型構造体は、結果として、ハニカム熱シールド構造体よりも長い耐用年数をもたらす。ハニカム熱シールドの耐用期間は、その断熱ブランケットの完全性に依拠する。ブランケットが損傷するか、又は適切に位置付けられていない場合、耐用年数は短くなりうる。本書のモノリス型SPF/DB構造体は、これらの問題に直面することがない。本書のSPF/DB構造体の耐用期間は、航空機の耐用期間に近づくか、又はそれを超過することが予期される。
【0029】
更に、本書のモノリス型SPF/DB構造体は、ハニカム熱シールドと同じ整備を必要としない。結果として、整備コストが実質的に低減される。
【0030】
本書のSPF/DB構造体は、複雑な形状に形成されうる。例えば、SPF/DB構造体は、周縁複合物の、円錐形の、円筒形の、単一次元の又は複数次元の湾曲を、有する形状に形成されうる。加えて、分岐器が一体的に形成されうる。複雑な形状を有するSPF/DB構造体1110の一例を、
図11に示している。
【0031】
ノイズ減衰開口322は、いかなる特定の幾何形状にも限定されない。開口の幾何形状の例は、孔、長円孔、楕円孔、溝及び切り欠きを含む。
【0032】
コア330のセル332は、いかなる特定の幾何形状にも限定されない。いくつかの異なる幾何形状について、以後の段落で説明する。
【0033】
加えて、
図4を参照する。いくつかの実施形態では、コア330は、面シート310と320との間に有孔隔壁(septum)334も含みうる。複数の高温側セル332が隔壁334と高温側の面シート310との間にあり、複数の低温側セル332が隔壁334と低温側の面シート320との間にある。
【0034】
有孔隔壁334は、鉛直直立壁構造体に対して90度面外である、半透過性の表面を提供する。隔壁334は、ノイズキャンセル方式で、音波を反射し、かつ選択的に透過させる。
【0035】
隔壁334は、中央平面に、又は一方の面シートの方に他方の面シートよりも近くなるように若干ずれて、位置付けられる。一例ではあるが、隔壁334は中心から20%ずらされうる。隔壁334をずらすことにより、隔壁334の一方の側のセルが隔壁334の他方の側のセルとは異なるサイズを有することから、ノイズ減衰のための追加的な自由度が提供される。
【0036】
隔壁334は別の利点も提供する。それは、張力ダイヤフラムを提供して、内部壁132の構造強度及び剛性を増大させる。
【0037】
セル332は、いかなる特定の形状にも限定されない。いくつかの実施形態では、セル332は、
図3に示すように三角形でありうる。
図4は、隔壁420及び四角形又は長方形のセル430を含むコア410を示している。
【0038】
図5及び
図6は、隔壁520及びピラミッド型のセル530を含むコア510を示している。ピラミッド型のセル530の基部は、隔壁520に接して形成される。各四面体がセルを画定する。
【0039】
ピラミッド型のセル530の壁は、ノイズ減衰のための2つの追加的な自由度を提供するために、開口532が穿孔されうる。ゆえに、ピラミッド型のセル530を有するSPF/DB構造体510は、4つの異なる周波数帯域を抑制するよう調整されうる。追加的な自由度に加えて、ピラミッド型のセル530は、例えば四角形のセル430よりも大きな剛性を提供する。
【0040】
図5及び
図6に示すセル530は、3つの面を有する。しかし、他の実施形態では、ピラミッド型のセルは、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つの面を有しうる。
【0041】
いくつかの実施形態では、セルは細長いチャネルに置き換えられうる。いくつかの実施形態では、セルは、特定の周波数を減衰させるために、種々のサイズ及び構成に形成されうる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ノイズ減衰特性を更に向上させるために、追加的なノイズ減衰材料がセル内に取り付けられるか、又は注入されうる。例えば、軽量泡状物質がセル内に注入されうる。
【0043】
SPF/DB構造体を製造する方法を示す、
図7を参照する。この特定の例では、SPF/DB構造体のコアは、隔壁及びピラミッド型のセルを有することになる。
【0044】
ブロック710において、チタニウムシートが適当なサイズに切断される。ピラミッド型のセルについて、第1シートが低温側の面シート用に切断され、第2シートが高温側の面シート用に切断され、5つの追加的なシートがコア用に切断される。コアは、隔壁、高温側コア、低温側コア、高温側ピラミッドセル、及び低温側ピラミッドセル用のシートを含む。
【0045】
ベータ合金は作動液のような腐食を促進する汚染物質に対する高温耐酸化性を提供することから、いくつかの実施形態では、低温側の面シート用にチタニウムのベータ合金が使用されうる。チタニウムのアルファベータ合金が、コアシート用に使用されうる。細粒アルファベータ合金は、低温において、標準粒合金よりも良好なSPF特性及び拡散接合特性を有する。いくつかの実施形態では、隔壁は、細粒アルファベータ合金の代わりに、市販の純チタニウムで作製されうる。6−2−4−2のようなアルファベータチタニウム合金は、高温強度がより良好であり、エンジンコアに隣接して使用されるに好適であることから、高温側の面シート用に使用されうる。
【0046】
ブロック720において、隔壁及びセルのシートが穿孔される。低温側の面シートに開口が形成される。
【0047】
ブロック730において、コア、隔壁及びセルのシートが溶着されて、コアアセンブリを形成する。例えば、
図8に示すグリッドパターンが使用されうる。ピラミッド型のセルの基部は、コアにおける全てのシートを通じて延在する、離間した第1溶着ナゲット810の組によって形成され、ピラミッド型のセルの頂上部は、セルシートとそれに隣り合ったコアシートとの間に延在する第2溶着ナゲット820の組によって形成されることになる。
【0048】
シートの隣り合った表面が部分的に接合されることを防止するために、溶着に加えて、又は溶着の代わりに、絶縁材料がシート間に選択的に提供されうる。
【0049】
ブロック740において、コアアセンブリ上に面シートが組み付けられるブロック750において、面シートは溶着され、全てのコア及び面シートの外縁部が密閉されて、パックを形成する。パックの外縁部の近辺に連続的な溶着が形成されうる。
【0050】
ブロック760において、パック上に面シート及びコアシートのガスラインが取り付けられる。これらのコアシートガスラインは、SPF/DB成形中にコアの内側に第1圧力P1が印加されることを可能にし、面シートガスラインは、SPF/DB成形中にコアの外側に第2圧力P2が印加されることを可能にする。
【0051】
ブロック770において、パックが成形デバイスに搬入される。例えば、
図9Aは、油圧拘束プレス機の高温成形型910及び920を示している。型910及び920は型空洞930を画定する。パック940は型空洞930内に配置される。パック940は、低温側と高温側の面シート941及び947、低温側と高温側のコアシート942及び946、低温側と高温側のセルシート943及び945、並びに、隔壁シート944を含む。
【0052】
図9Aは、コアにおける全てのシート942から946を通じて延在している第1溶着ナゲット810の各々も示している。第2溶着ナゲット820の各々は、セルシートとそれに隣り合ったコアシートとの間に延在する。
【0053】
ブロック780において、SPF/DB成形が実行される。絶縁材料で処理されていない、シートの隣り合った部分が拡散接合によって結合されるように、パックは加熱され、圧縮される。その後、パックを膨張させるためにシート間に加圧ガスが注入され、それによって、パックを超塑性成形して型空洞の表面により画定された構成にする。
【0054】
図9Bに示すように、コア内側の圧力P1はコア外側の圧力よりも大きい。面シート941及び947は、型910及び920に押しつけられ、それによって、構造体の外郭を形成する。セルシート943及び945は、第1溶着ナゲット810以外において、超塑性的に拡張を開始する。溶着された材料の微小構造は、それが非超塑性になるまでに変化する。第1溶着ナゲット810の間の隙間は、成形プロセスにおいてコア構造体のセル間でガス圧の均衡を保つための換気孔を提供する。
【0055】
図9Cに示すように、コアの中の圧力P1は、P1>>P2となるように増大する。コアシート942及び946は、面シート941及び947に押しつけられ、面シート941及び947に拡散接合される。コアシート942及び946はまた、それら自体に重なり、拡散接合して、長方形の壁を形成する。セルシート943及び945は、外向きに拡張し続ける。隔壁シート944の位置は、合金の相対的超塑性、並びにコアシート942及び946の厚みによって制御される。例えば、コアシート942と946との間の厚みの相違により、薄いコアシート942は、厚いコアシート946よりも迅速に成形されることになる。結果として、隔壁シート944は中央平面位置からずれる。
【0056】
図9Dに示すように、SPF/DB構造体は、完全に成形され、全ての内表面に拡散接合される。コアシート942及び946は長方形のセルを形成し、セルシート943及び945はピラミッド型のセルを形成する。溶着ナゲット810及び820は、SPF/DB成形後にも、それらの成形前形状を保持する。
【0057】
パックは、冷却された後に成形デバイスから除去される。隔壁シート944の同一の側の近接したセルと、隔壁シート944の反対側のセルとは、溶着ナゲット間の材料の拡張によって創出された開口か、又はシート943から945における穿孔のいずれかによって、流体接続される。この流体接続は、SPF/DB成形中のガス膨張を可能にする。加えて、これらの開口及び穿孔は、低温側の面シートの開口に同様の機能を実行する。つまり、低温側の面シートの開口は、セルがノイズ減衰共振器として機能することを可能にする。ゆえに、これらの開口及び穿孔は、ノイズ減衰を向上させる追加的な自由度を提供する。
【0058】
複数のSPF/DB構造体からナセル内部壁を形成する方法を示す、
図10を参照する。ブロック1010において、複数のSPF/DB構造体が成形される。ブロック1020において、SPF/DB構造体は、結合されて(溶着される、固定される等)、内部壁の完全な断面を形成する。結合された構造体の長さは、エンジンコアをカバーしうるか、又は、エンジンコアを超えて延在しうる。
さらに、本開示は、次の条項による実施形態を含んでいる。
(条項1)
タービンジェットエンジンと、
前記エンジンのコアに接触した高温側の面シートおよびノイズ減衰開口を有する低温側の面シートを有するSPF/DB内部壁を含むエンジンナセルと、を備える推進システム。
(条項2)
前記エンジンは、タービンエンジンである、条項1のシステム。
(条項3)
前記高温側の面シートは、低温側の面シートより良い耐熱性を有する材料により作製される、条項1のシステム。
(条項4)
前記内部壁は、湾曲を有する、条項1のシステム。
(条項5)
前記内部壁は、結合された複数のモノリス型SPF/DB構造体を含む、条項1のシステム。
(条項6)
前記内部壁は、前記面シートの間のサンドイッチコアをさらに有し、前記ノイズ減衰開口は、空気がコアに流入することを可能にするように配置される、条項1のシステム。
(条項7)
前記コアは、複数のセルを含み、前記セルと前記面シートの前記開口はノイズ減衰共振器を形成する、条項6のシステム。
(条項8)
前記高温側の面シートと前記低温側の面シートは、前記面シートにおけるマークオフを低減するために、前記コアの形成に使用される材料と比較して低減された超塑性特性を有する、条項6のシステム。
(条項9)
前記コアは、前記高温側の面シートと前記低温側の面シートとの間の有孔隔壁と、前記隔壁と前記高温側の面シートの間の第1の複数のセルと、前記隔壁と前記低温側の間の第2の複数のセルと、を含む、条項6のシステム。
(条項10)
前記隔壁は、複数の周波数におけるノイズ減衰のための追加的な自由度を提供するために、前記面シートに対してずれている、条項9のシステム。
(条項11)
前記セルは、ピラミッド型である、条項9のシステム。
(条項12)
ノイズ減衰のための2つの追加的な自由度を提供するために、前記セルの壁は、穿孔されている、条項11のシステム。
(条項13)
内部壁を形成し、ノイズを抑制するように構成された複数の開口を有する面シートを含む、SPF/DBサンドイッチ構造体を備えるファンダクト。
(条項14)
条項13のダクトを備えたエンジンナセル。
(条項15)
第1および第2の面シートの間にサンドイッチされたコアを備え、前記コアは、複数のセルを含み、前記第1の面シートは、ノイズおよび空気が前記セルに流入することを可能にする複数の開口を有する、モノリス型SPF/DBサンドイッチ構造体。
(条項16)
前記コアは、有孔隔壁を含む、条項15の構造体。
(条項17)
前記隔壁は、前記面シートの一つに向けてずれている、条項16の構造体。
(条項18)
前記セルは、ピラミッド型である、条項15の構造体。
(条項19)
前記サンドイッチ構造体は、エンジンナセル内部壁として構成されている、条項15の構造体。
(条項20)
前記サンドイッチ構造体は、プラグノズルとして構成されている、条項15の構造体。
【0059】
本書のSPF/DB構造体は、エンジンナセルに限定されない。他の航空宇宙応用は、ジェットエンジンのノズルプラグ及び予備動力源(Auxiliary Power Unit)の尾管を含むが、それらだけに限定されるわけではない。
【0060】
本書のSPF/DB構造体は、航空宇宙応用に限定されない。例えば、SPF/DB構造体は、自動車、列車、トラック、高性能排気のオートバイ、レーシングカー、ボート、船舶、発電タービン、ロケットエンジンノズルのための、熱シールド及びノイズ減衰器として使用されうる。面シートにおける開口は概して、減衰されるべき音の主たる発生源に向けて配向される。