特許第6223565号(P6223565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223565
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】金属酸化物の製造法
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/02 20060101AFI20171023BHJP
   C01B 13/24 20060101ALI20171023BHJP
   C01G 23/08 20060101ALI20171023BHJP
   C01B 33/113 20060101ALI20171023BHJP
   C01D 1/02 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   C01F7/02 A
   C01B13/24
   C01G23/08
   C01B33/113 Z
   C01D1/02
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-524717(P2016-524717)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-528141(P2016-528141A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014062300
(87)【国際公開番号】WO2015003871
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2016年3月22日
(31)【優先権主張番号】13176126.4
(32)【優先日】2013年7月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュルツェ−イズフォート
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハーゲマン
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−525294(JP,A)
【文献】 特開2003−135945(JP,A)
【文献】 特開平06−191848(JP,A)
【文献】 特表2005−504706(JP,A)
【文献】 特公昭51−005358(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 7/02
C01B 13/24
C01B 33/113
C01D 1/02
C01G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流Iと、
b)酸素を含有する物質流IIと、
c)少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流IIIと
を反応させる、金属酸化物粉末の製造法において、
d)1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入し、かつそれによって物質流IVを形成させ、引き続き
e)1個以上の静的混合エレメントを含む管片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入し、かつそれによって物質流Vを形成させ、
f)前記管片Bを離れる物質流Vを反応室に導入し、そこで点火し、かつ火炎内で反応させ、かつ
g)生じた固体を分離することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
a)少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流Iと、
b)少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流IIと、
c)酸素を含有する物質流IIIと
を反応させる、金属酸化物粉末の製造法において、
d)1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入し、かつそれによって物質流IVを形成させ、引き続き
e)1個以上の静的混合エレメントを含む管片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入し、かつそれによって物質流Vを形成させ、
f)前記管片Bを離れる物質流Vを反応室に導入し、そこで点火し、かつ火炎内で反応させ、かつ
g)生じた固体を分離することを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
a)酸素を含有する物質流Iと、
b)少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流IIと、
c)少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流IIIと
を反応させる、金属酸化物粉末の製造法において、
d)1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入し、かつそれによって物質流IVを形成させ、引き続き
e)1個以上の静的混合エレメントを含む管片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入し、かつそれによって物質流Vを形成させ、
f)前記管片Bを離れる物質流Vを反応室に導入し、そこで点火し、かつ火炎内で反応させ、かつ
g)生じた固体を分離することを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
前記静的混合エレメントを含む管片は、フランジミキサーとして設計されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記フランジミキサーは、一点のみの供給箇所を有することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
物質流IIIが物質流IVに導入される速度VBは、物質流IIIの導入時点で物質流IVの速度VAよりも高く、ただしその際、物質流Iが含有している金属化合物は、ケイ素化合物のみではない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
物質流IIIが物質流IVに導入される速度VBは、物質流IIIの導入時点で物質流IVの速度VAよりも高く、ただしその際、物質流IIIが含有している金属化合物は、ケイ素化合物のみではない、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
VAは、少なくとも5Nm/sであることを特徴とする、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
VBは、50Nm/s以上であることを特徴とする、請求項6または7記載の方法。
【請求項10】
A/DAは、2〜20(LAは管片Aの長さであり、かつDAは管片Aの内径である)であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
B/DBは、2〜20(LBは管片Bの長さであり、かつDBは管片Bの内径である)であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
酸素の量は、少なくとも、金属化合物と燃焼ガスとを反応させるのに十分であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
使用される、加水分解可能な蒸気状の金属化合物の金属成分は、Al、Be、Ce、Fe、Ge、In、Nb、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、ZnおよびZrからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
使用される、加水分解可能な蒸気状の金属化合物は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、アルコラート、炭酸塩、カルボン酸塩、アセチルアセトネートまたはカルボニルであることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
金属化合物のエーロゾルを含む物質流VIIIを物質流Vに導入することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
酸素および/または水蒸気を含有する物質流VIを反応室に案内することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
さらなる反応工程として、反応混合物の冷却および水蒸気での処理を含むことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料を反応室へ導入する前に静的混合エレメントを用いて混合させる、金属酸化物を製造するための熱分解法に関する。
【0002】
火炎加水分解法は、久しく金属酸化物の大工業的製造に利用されている。火炎加水分解の場合には通常、加水分解可能な蒸気状の金属化合物は、水素および酸素含有ガスを燃焼させることによって形成されている火炎によって反応にもたらされる。この場合、燃焼火炎は、金属化合物の加水分解のための水と、加水分解反応のために十分な熱を提供する。こうして製造された金属酸化物は、熱分解法金属酸化物と呼ばれる。
【0003】
熱分解法金属酸化物を火炎加水分解により製造する場合、反応ガスの混合は重要である。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第1293728号明細書には、供給される全てのガスを反応帯域内へ導入する前に混合させる方法が開示されており、この場合、ガス混合物は、円錐台形の反応室の狭い端部内に導入される。シラン/空気混合物および水素を接線方向に円筒状バーナーヘッド内に導入する実施態様も開示されている。この流れのインパルスは、回転を発生させ、この回転は、反応ガスの乱流混合をもたらす。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3115002号明細書には、乱流を発生させる混合室が開示されている。この場合、反応ガスは、2本の導管を介して混合室内に導かれる。バーナー管は、滞りない燃焼を保証する流れ修正薄板を装備している。
【0006】
米国特許第3363980号明細書には同様に、反応ガスを機械的に作動する攪拌パドルにより乱流混合させる方法が開示されている。
【0007】
米国特許第2990249号明細書には、反応ガスとともに、加水分解に対して不活性なガス流を使用することが開示されている。このために、バーナー開口部に配置され、かつ当該バーナー開口部を全体的に包囲する環状スリットを通して不活性ガスが吹き込まれる。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2702896号明細書には、多孔質拡散構造部材をバーナーヘッド内に挿入することが開示されている。このバーナーの幾何学的形状の場合、多数の小さな火炎が形成される。
【0009】
国際公開第WO2003/078321号には、さらなるマルチバーナータイプが開示されている。この場合には、バーナーノズル内で金属塩化物の蒸気と酸素とが混合され、かつ水素が単独でここからバーナー開口部に導かれる。
【0010】
従来技術は、火炎加水分解の際に原料を混合することが極めて重要であることを示している。しかし、提案された解決策は、装置的に費用が掛かり、固定された内部構造物の場合にほとんど融通が利かず、可動部材を有する内部構造物の場合に支障を生じやすい。
【0011】
したがって本発明の技術的課題は、原料を常に均一に混合することができ、装置的にほとんど費用が掛からず、かつほとんど支障を生じない、熱分解法金属酸化物を製造する方法を提供することであった。
【0012】
本発明の対象は、
a)少なくとも1つの、加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流Iと、
b)酸素を含有する物質流IIと、
c)少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流IIIと
を反応させ、その際に、
d)管片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入し、この場合、前記管片Aは、1個以上の静的混合エレメントを含むものとし、かつそれによって物質流IVを形成させ、引き続き
e)管片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IIIを物質流IVに導入し、この場合、前記管片Bは、1個以上の静的混合エレメントを含むものとし、かつそれによって物質流Vを形成させ、
f)前記管片Bを離れる物質流Vを反応室に導入し、そこで点火し、かつ火炎内で反応させ、および
g)生じた固体を分離する、
金属酸化物粉末の製造法である。
【0013】
図1は、本発明の前記実施態様を略示する。この場合、以下が該当する:
A、Bは、それぞれ長さLおよび内径Dを有する管片Aもしくは管片Bであり;
Cは、反応室であり;
I〜VIIIは、物質流であり;
少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流I、
酸素を含有する物質流II、
少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流III、
1個以上の静的混合エレメントを含む管状断片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入することにより、形成された物質流IV、
1個以上の静的混合エレメントを含む管状断片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入することにより形成された物質流V、
酸素および/または水蒸気を含有する物質流VI、
少なくとも、金属酸化物と水と、任意に二酸化炭素と塩酸との反応生成物を含有する物質流VII、
金属化合物の溶液を噴霧することにより得られたエーロゾルを含有する物質流VIII。
【0014】
図1Aおよび1Bは、物質流I〜IIIに関連する、本発明による方法の考えられうる実施態様を示す。図1Aは、金属化合物、例えばSiCl4を含有する物質流Iを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に供給することを示す。図1Bは、酸素を含有する物質流IIを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に供給することを示す。いずれの場合でも、1個以上の静的混合エレメントを含む管片B内への物質流IIIの供給が行なわれる。
【0015】
さらに、本発明の対象は、
a)少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流Iと、
b)少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流IIと、
c)酸素を含有する物質流IIIと
を反応させ、その際に、
d)管片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入し、この場合、前記管片Aは、1個以上の静的混合エレメントを含むものとし、かつそれによって物質流IVを形成させ、引き続き
e)管片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入し、この場合、前記管片Bは、1個以上の静的混合エレメントを含むものとし、かつそれによって物質流Vを形成させ、
f)前記管片Bを離れる物質流Vを反応室内に導入し、そこで点火し、かつ火炎内で反応させ、および
g)生じた固体を分離する、
金属酸化物粉末の製造法である。
【0016】
図1は、本発明の前記実施態様を略示する。この場合、以下が該当する:
A、Bは、それぞれ長さLおよび内径Dを有する、管片Aもしくは管片Bであり;
Cは、反応室であり;
I〜VIIIは、物質流であり;
少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流I、
少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流II、
酸素を含有する物質流III、
1個以上の静的混合エレメントを含む管状断片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入することにより形成された物質流IV、
1個以上の静的混合エレメントを含む管状断片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入することにより形成された物質流V、
酸素および/または水蒸気を含有する物質流VI、
少なくとも、金属酸化物と水と、任意に二酸化炭素と塩酸との反応生成物を含有する物質流VII、
金属化合物の溶液を噴霧することにより得られたエーロゾルを含有する物質流VIII。
【0017】
図2Aおよび2Bは、物質流I〜IIIに関連する、前記方法の考えられうる実施態様を示す。図2Aは、金属化合物、例えばSiCl4を含有する物質流Iを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に供給することを示す。図2Bは、燃焼ガスを含有する物質流IIを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に供給することを示す。いずれの場合でも、1個以上の静的混合エレメントを含む管片B内への物質流IIIの供給が行なわれる。
【0018】
金属酸化物粉末の製造法であって、この場合には、
a)酸素を含有する物質流Iと、
b)少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流IIと、
c)少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流IIIとを反応させ、その際に、
d)管片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入し、この場合、前記管片Aは、1個以上の静的混合エレメントを含むものとし、かつそれによって物質流IVを形成させ、引き続き
e)管片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入し、この場合、前記管片Bは、1個以上の静的混合エレメントを含むものとし、かつそれによって物質流Vを形成させ、
f)前記管片Bを離れる物質流Vを反応室内に導入し、そこで点火し、かつ火炎内で反応させ、および
g)生じた固体を分離する。
【0019】
図1は、本発明の前記実施態様を略示する。この場合、以下が該当する:
A、Bは、それぞれ長さLおよび内径Dを有する、管片Aもしくは管片Bであり;
Cは、反応室であり;
I〜VIIIは、物質流であり;
酸素を含有する物質流I、
少なくとも1つの燃焼ガスを含有する物質流II、
少なくとも1つの加水分解可能な蒸気状の金属化合物を含有する物質流III、
1個以上の静的混合エレメントを含む管状断片A内に設けられた供給箇所を介して、物質流Iを物質流IIに導入するか、または物質流IIを物質流Iに導入することにより形成された物質流IV、
1個以上の静的混合エレメントを含む管状断片B内に設けられた供給箇所を介して、物質流IVに物質流IIIを導入することにより形成された物質流V、
酸素および/または水蒸気を含有する物質流VI、
少なくとも、金属酸化物と水と、任意に二酸化炭素と塩酸との反応生成物を含有する物質流VII、
金属化合物の溶液を噴霧することにより得られたエーロゾルを含有する物質流VIII。
【0020】
図3Aおよび3Bは、物質流I〜IIIに関連する、前記方法の考えられうる実施態様を示す。図3Aは、空気を含有する物質流Iを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に供給することを示す。図3Bは、燃焼ガスを含有する物質流IIを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A内に供給することを示す。いずれの場合でも、1個以上の静的混合エレメントを含む管片B内への物質流IIIの供給が行なわれる。
【0021】
前記静的混合エレメントを含む管片Aおよび/またはBは、混合すべき物質流によって貫流される、いわゆる静的混合装置またはスタティックミキサーである。これらの静的混合装置またはスタティックミキサーは、より広い範囲に及ぶ、二次流の形成を引き起こすことによって卓越している。さらに、より微細な混合がもたらされる乱流範囲が形成される。原則的に、静的混合装置の選択は、制限されるものではない。本発明により使用可能な静的混合装置の例は、例えば米国特許第4758098号明細書または米国特許第5522661号明細書中に見出せる。この場合、静的混合エレメントを含む管片AおよびBは、当該混合装置の寸法および種類の点で同一でも異なっていてもよい。
【0022】
しかし本発明による方法において好ましくは、前記静的混合エレメントの下流で混合工程が行なわれるフランジミキサー(Flanschmischer)を使用することができる。当該フランジミキサーは、例えば米国特許第5839828号明細書中に開示されており、このフランジミキサーの場合、供給すべき反応流は、1個以上の開口部を介して供給される。欧州特許出願公開第1153650号明細書において、供給すべき反応流は、特別な羽根装置(Fluegelanordnung)を有する管状計量供給装置を介して導入される。
【0023】
特に好ましくは、管片Aおよび/またはBは、フランジミキサーとして、欧州特許出願公開第1302236号明細書中の開示内容と同様に形成されていてよい。前記管片Aおよび/またはBは、欧州特許出願公開第1153650号明細書中に開示された羽根装置を有するが、しかし、管状計量供給装置ではなくて一点のみの供給箇所が設けられている。
【0024】
欧州特許出願公開第1493485号明細書中に開示された静的混合装置を使用する実施態様が特に好ましい。この静的混合装置は、平坦であるか、折り畳まれているか、または湾曲した流れバッフルプレートならびにその間にある狭隘部を含む、管片内に配置された内部構造物を有する静的混合装置であり、その際に、一次流れバッフルプレートは、当該一次流れバッフルプレートの表面上および/または当該流れバッフルプレートの縁部で幾何学的に変更されており、この変更によって第1の物質流中で二次的な局所的流れを誘発することができ、この二次的な局所的流れの上部を一次的な流れが覆い、こうして混合品質が改善される、すなわち流体中の半径方向と軸方向との不均一性が一次的な流れによるよりも良好に均一化されるよう改善される。前記静的混合装置は、さらなる物質流のための供給箇所を含み、この供給箇所は、第1の物質流の混合範囲の帯域へと開口し、この帯域内で前記流れの影響は、幾何学的変更によって特に強く現れている。このことは、欧州特許出願公開第1493485号明細書中の図1に明示されている。
【0025】
本発明の特別な実施態様において、LA/DAは2〜20であり、その際に、LAは、管片Aの長さであり、およびDAは、管片Aの内径である。LA/DAは3〜6である実施態様が特に好ましい。
【0026】
本発明のさらなる特別な実施態様において、LB/DBは2〜20であり、その際に、LBは、管片Bの長さであり、およびDBは、管片Bの内径である。LB/DBは3〜6である実施態様が特に好ましい。
【0027】
本発明による方法の特別な実施態様において、物質流IIIが物質流IVに導入される速度VBは、物質流IIIの導入時点で物質流IVの速度VAよりも高い。VB/VAが4以上である実施態様が特に好ましい。
【0028】
このことは、物質流Iがケイ素化合物を唯一の金属化合物として含有しているわけではないという条件付きで当てはまる。すなわち、ケイ素化合物は、VB>VAの条件下で、例えば混合酸化物の製造の際に使用することができる。物質流Iおよび物質流IIの速度は、物質流Iが蒸気状の状態で残留することが考慮される限り、重要ではない。このための手段は、当業者に公知である。本発明に関する一般的な法則として、管片Aの供給箇所を介して導入される物質流の速度が、別の物質流の速度の2倍の高さであるべきである。
【0029】
VAは、特に少なくとも5Nm/sである。5〜100Nm/sの範囲が特に適していることが判明した。VBは、有利に少なくとも50Nm/sである。100≦VB≦1500Nm/sであるのが特に好ましい。速度に関する記載は、規格化された速度である。VAは、単位Nm3/hにより記載される体積流量を管片Aの横断面積で除することによって得られる。VBは、単位Nm3/hにより記載される体積流量を供給箇所の横断面積で除することによって得られる。
【0030】
本発明の範囲内で、体積および速度は、規格化されて記載されている。この場合、Nm3は、1.01325バールの圧力および0℃の温度での体積を表わす。Nm/sは、体積と横断面積から計算された、規格化された速度を表わす。
【0031】
本発明による方法は通常、酸素の量が少なくとも、金属化合物と燃焼ガスとを反応させるのに十分であるように実施される。この場合、λは1以上である。λは、化学量論的に必要とされる酸素に対する供給された酸素の割合を説明する。
酸素の化学量論的に必要とされる量は、四塩化ケイ素と燃焼ガスとしての水素との反応の例で反応方程式2H2 + O2 → 2H2OおよびSiCl4 + 2H2O → SiO2 + 4HClに基づく。他の燃焼ガスおよび金属化合物が使用される場合には、相応する方程式が確立されるべきである。γは、化学量論的に必要とされる水素に対する供給された水素の割合を記載するものである。本発明による物質流は、少なくとも1つの蒸気状の、加水分解可能な金属化合物を含む。さらに、前記物質流は通常、キャリヤーガス、例えば空気または不活性ガス、例えば窒素を含む。
【0032】
さらなる物質流は、酸素を含む。たいてい、これは、空気または酸素含量が増加された空気である。
【0033】
さらなる物質流は、本質的に1つ以上の燃焼ガスを含むか、または本質的に1つ以上の燃焼ガスからなる。前記燃焼ガスは、有利に、水素、メタン、エタンおよび/またはプロパンからなる群から選択される。水素が特に好ましい。
【0034】
酸素および/または水蒸気は、任意の物質流VIを用いて反応室に導入することができる。それによって、火炎は、影響を及ぼされ、および必要な場合には、安定化されうる。
【0035】
物質流VIIは、少なくとも、金属酸化物と水との反応生成物を含む。使用された金属化合物および燃焼ガスに応じて、二酸化炭素および塩酸が添加されうる。
【0036】
使用された加水分解可能な蒸気状の金属化合物の金属成分は、有利に、Al、Be、Ce、Fe、Ge、In、Nb、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、ZnおよびZrからなる群から選択されている。本発明の範囲内で、半金属SiおよびGeは、明らかに金属に含めて計算されるべきである。特に好ましい金属成分は、Al、SiおよびTiである。
【0037】
使用された加水分解可能な蒸気状の金属化合物は、有利に、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、アルコラート、炭酸塩、カルボン酸塩、アセチルアセトネートまたはカルボニルである。金属塩化物が特に好ましい。
【0038】
また、本発明による方法は、混合酸化物、特に有利に二成分系混合酸化物の製造を提供する。このために、金属化合物の混合物は、製造すべき混合酸化物中の所望の割合に相応して使用される。混合酸化物とは、原子レベルでの成分の緊密な混合物が存在している粉末であると解釈されるべきである。
【0039】
さらに、本発明による方法において、蒸気状の、加水分解可能な金属化合物、酸素および燃焼ガスを含む物質流V中に、金属化合物の溶液の噴霧によって得られるエーロゾルを含む物質流VIIIを導入することが設けられている。前記金属化合物および当該金属化合物の濃度に依存して、金属成分が可能な限り均一に分配されているかまたはエーロゾルにより導入された金属成分が、物質流Vからもたらされる金属酸化物の表面上に可能な限り存在するようにして混合酸化物が得られる。混合酸化物中の、エーロゾルにより導入された金属成分の濃度は、有利に0.01〜20質量%である。前記金属成分は、有利に、K、Al、Si、P、Cu、Ag、Zn、Y、La、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ru、Ce、ErおよびYbからなる群から選択されている。KおよびAlが殊に好ましい。
【0040】
図1Cは、酸素を含有する物質流IIを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A中に供給することを示す。例えばSiCl4とTiCl4との混合物は、金属化合物を含有する物質流Iを表わす。生成物として、ケイ素−チタン混合酸化物が得られる。
【0041】
図1Dは、物質流VIIIを、AlCl3を含有するエーロゾルの形で供給することを示す。生成物として、ケイ素−アルミニウム混合酸化物が得られる。
【0042】
さらに、本発明による方法は、酸素および/または水蒸気を含有する物質流VIを反応室に導入するように構成されていてよい。
【0043】
さらに、本発明による方法は、反応混合物が反応室を離れた後および固体を分離する前に、当該反応混合物をとりわけ80〜250℃の温度に冷却し、および次に、水蒸気を用いて、特に350〜750℃の温度で処理するように実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の1つの実施態様を示す略図。
図1A】物質流I〜IIIに関連する、本発明による方法の考えられうる実施態様を示す略図。
図1B】物質流I〜IIIに関連する、本発明による方法の考えられうる実施態様を示す略図。
図1C】酸素を含有する物質流IIを、1個以上の静的混合エレメントを含む管片A中に供給することを示す略図。
図1D】物質流IIIを、AlCl3を含有するエーロゾルの形で供給することを示す略図。
図2A】物質流I〜IIIに関連する、前記方法の考えられうる実施態様を示す略図。
図2B】物質流I〜IIIに関連する、前記方法の考えられうる実施態様を示す略図。
図3A】物質流I〜IIIに関連する、前記方法の考えられうる実施態様を示す略図。
図3B】物質流I〜IIIに関連する、前記方法の考えられうる実施態様を示す略図。
【実施例】
【0045】

静的混合エレメントを含む管片AおよびBとして、Sulzer社のCompaXミキサーが使用される。
【0046】
例1:1.6Nm/sの速度vIを有する蒸気状塩化アルミニウム5.4kg/hからなる物質流Iを、LA/DA=5を有するCompaXミキサーAの3mmの直径を有する点状の供給箇所を介して、314.4Nm/sの速度vIIを有する、空気8.0Nm3/hからなる物質流II中に混合させる。速度VAは、16.1Nm/sである。その点状の供給箇所が1mmの直径を有する、LB/DB=5を有するCompaXミキサーBを用いて、この物質流IVに水素2.50Nm3/hの形の物質流IIIを導入する。物質流IIIが点状の供給箇所を離れる速度VBは、884.2Nm/sである。生じる物質流Vを、ノズルにより反応室内に導入し、かつそこで点火する。さらに、なお空気22Nm3/hからなる物質流VIを、反応室内に導入する。さらに、酸化アルミニウム粒子、塩酸、水蒸気および空気を含有する、生じる物質流VIIを、最初に120〜150℃の温度へ冷却する。次に、フィルターを用いて、ケイ酸を分離し、およびこのケイ酸を400〜500℃の温度で水蒸気により処理する。
酸化アルミニウム粉末は、128m2/gのBET表面積を有する。
【0047】
例2を同様に実施する。
【0048】
例3〜5は、混合酸化物の製造を示す。例3および4において、金属化合物を混合物として使用する。
【0049】
例5において、方法を、物質流VIIIとして塩化カリウム溶液のエーロゾルを使用するようにして実施する。エーロゾルを、5%の塩化カリウム水溶液から、エーロゾル200g/hの噴霧能力を有する超音波噴霧化により製造する。エーロゾルを、塩化カリウム溶液の容器のガス室中に導入される、キャリヤーガスとしての空気3.5Nm3/hにより容器から排出し、かつ外部加熱された導管に導通して160℃へ加熱し、かつ物質流V中に導入する。
【0050】
そのつどの運転の設定は、表から確認することができる。
【0051】
本発明による方法は、原料の極めて均一な混合を行ない、かつ製品パラメーターにおける逸脱が極めて僅かである、安定した方法手段を可能にする。
【0052】
【表1】
【符号の説明】
【0053】
A 長さLおよび内径Dを有する管片、 B 長さLおよび内径Dを有する管片、 C 反応室、 I〜VIII 物質流
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B