(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223575
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】信号サンプル点データの処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H03M 7/30 20060101AFI20171023BHJP
H04L 27/01 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
H03M7/30 A
H04L27/01
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-536569(P2016-536569)
(86)(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公表番号】特表2016-539582(P2016-539582A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】CN2014078557
(87)【国際公開番号】WO2014183709
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2016年6月3日
(31)【優先権主張番号】201310659571.1
(32)【優先日】2013年12月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509024525
【氏名又は名称】ゼットティーイー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(72)【発明者】
【氏名】ワン,メイイン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウェイ
【審査官】
和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0176966(US,A1)
【文献】
特開平07−005896(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/084058(WO,A1)
【文献】
特開2013−026739(JP,A)
【文献】
特開2007−274048(JP,A)
【文献】
特開2010−166509(JP,A)
【文献】
特表2013−508867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 7/30
H04L 27/01
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号サンプル点データの処理方法であって、
送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することと、
前記周波数領域信号サンプル点データを符号化して送信することと、を含み、
前記送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することの前に、
送信しようとする時間領域信号サンプル点データをキャッシュすることと、
キャッシュした送信しようとする時間領域信号サンプル点データのサンプル点数が閾値に達する際に、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データを入れて再び虚数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データと虚数部データを入れ、或いは
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データを入れて再び実数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データと実数部データを入れる、という方式により、前記時間領域信号サンプル点データを処理することと、を更に含む信号サンプル点データの処理方法。
【請求項2】
前記送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することは、
高速フーリエ変換によって前記時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することと、
実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき前記周波数領域信号サンプル点データの有効サンプル点を抽出して、周波数領域信号サンプル点データ流を生成することと、を含む請求項1に記載の信号サンプル点データの処理方法。
【請求項3】
前記送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換した後に、
前記周波数領域信号サンプル点データを幅圧縮して、幅圧縮因子と圧縮後の信号サンプル点データを生成することを更に含む請求項1に記載の信号サンプル点データの処理方法。
【請求項4】
前記周波数領域信号サンプル点データを符号化することは、
ブロック浮動小数点符号化、ファジーブロック適応量子化符号化、ブロック適応ベクトル量子化符号化及びブロック浮動小数点量子化符号化の中のいずれか1種に従って前記周波数領域信号サンプル点データを符号化することを更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号サンプル点データの処理方法。
【請求項5】
信号サンプル点データの処理装置であって、変換モジュール、符号化モジュール及びバッファモジュールを備え、
前記変換モジュールは、送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換するように設定され、
前記符号化モジュールは、前記周波数領域信号サンプル点データを符号化して送信するように設定され、
前記バッファモジュールは、送信しようとする時間領域信号サンプル点データをキャッシュし、キャッシュした送信しようとする時間領域信号サンプル点データのサンプル点数が閾値に達する際に、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データを入れて再び虚数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データと虚数部データを入れ、或いは、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データを入れて再び実数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データと実数部データを入れる、という方式により、前記時間領域信号サンプル点データを処理するように設定される信号サンプル点データの処理装置。
【請求項6】
生成モジュールを更に備え、
前記変換モジュールは、高速フーリエ変換によって前記時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換する、という方式により、送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換するように設定され、
前記生成モジュールは、実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき前記周波数領域信号サンプル点データの有効サンプル点を抽出して、周波数領域信号サンプル点データ流を生成するように設定される請求項5に記載の信号サンプル点データの処理装置。
【請求項7】
幅圧縮モジュールを更に備え、
前記幅圧縮モジュールは、前記周波数領域信号サンプル点データを幅圧縮して、幅圧縮因子と圧縮後の周波数領域信号サンプル点データを生成するように設定される請求項5に記載の信号サンプル点データの処理装置。
【請求項8】
前記符号化モジュールは、
ブロック浮動小数点符号化、ファジーブロック適応量子化符号化、ブロック適応ベクトル量子化符号化及びブロック浮動小数点量子化符号化の中のいずれか1種を採用して前記周波数領域信号サンプル点データを符号化する、という方式により、前記周波数領域信号サンプル点データを符号化するように設定される請求項5〜7のいずれか1項に記載の信号サンプル点データの処理装置。
【請求項9】
信号サンプル点データの処理方法であって、
受信した周波数領域信号サンプル点データを復号化することと、
復号化後の周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換することと、を含み、
前記時間領域信号サンプル点データは時間領域IQインターリービングデータであり、前記時間領域IQインターリービングデータは、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データを入れて再び虚数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データと虚数部データを入れ、或いは、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データを入れて再び実数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データと実数部データを入れる、という方式により生成される信号サンプル点データの処理方法。
【請求項10】
前記受信した周波数領域信号サンプル点データを復号化することの後に、
受信した周波数領域信号サンプル点データから抽出した幅圧縮因子に基づき、復号化後の周波数領域信号サンプル点データを幅回復することと、
実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき、幅回復後の周波数領域信号サンプル点データを完全な周波数領域信号サンプル点データに回復することと、を更に含む請求項9に記載の信号サンプル点データの処理方法。
【請求項11】
前記復号化後の周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換することは、
逆高速フーリエ変換によって前記完全な周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換することを含む請求項10に記載の信号サンプル点データの処理方法。
【請求項12】
信号サンプル点データの処理装置であって、復号化モジュールと逆変換モジュールを備え、
前記復号化モジュールは、受信した周波数領域信号サンプル点データを復号化するように設定され、
前記逆変換モジュールは、復号化後の周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換するように設定され、
前記時間領域信号サンプル点データは時間領域IQインターリービングデータであり、前記時間領域IQインターリービングデータは、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データを入れて再び虚数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データと虚数部データを入れ、或いは、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データを入れて再び実数部データを入れ、そして次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データと実数部データを入れる、という方式により生成される信号サンプル点データの処理装置。
【請求項13】
回復モジュールを更に備え、
前記回復モジュールは、受信した周波数領域信号サンプル点データから抽出した幅圧縮因子に基づき、復号化後の周波数領域信号サンプル点データを幅回復し、実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき、幅回復後の周波数領域信号サンプル点データを完全な周波数領域信号サンプル点データに回復するように設定される請求項12に記載の信号サンプル点データの処理装置。
【請求項14】
前記逆変換モジュールは、逆高速フーリエ変換によって前記完全な周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換するように設定される請求項13に記載の信号サンプル点データの処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロングタームエボリューション(LTE)基地局システム汎用公共ラジオインタフェース(CPRI、Common Public Radio Interface)の信号サンプル点データ(IQデータと略称され、それと同時にIデータとは信号サンプル点データの実数部データを指し、Qデータとは信号サンプル点データの虚数部データを指す)の処理技術分野に関し、特にLTE基地局システムCPRIのIQデータの処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE基地局装置は分布式基地局であり、進化したベースバンド処理ユニット(eBBU、Evolved Building Base band Unit)と進化した無線リモートユニット(eRRU、Evolved Radio Remote Unit)からなり、eBBUとeRRUとの間は光ファイバ或いはケーブルによって接続され、汎用公共ラジオインタフェースプロトコルによってデータ交換を行う。LTEシステムにおいてBBUと複数のRRUとの間のネットワーク化ネットワーキング接続を実現するには大量の伝送帯域幅を占め、従来の伝送アクセスネットワークの伝送帯域幅が満たし難く、汎用公共ラジオインタフェース(CPRI)のIQデータに対して圧縮することは、非常に研究する価値があるインターフェース帯域幅を低下させる方法である。
【0003】
LTEシステムは、直交周波数分割多重技術(OFDM、Orthogonal Frequency Division Multiplexing)と多重入出力(MIMO、Multiple Input Multiple Output)技術を核心とすることをサポートするワイヤレスネットワーク技術である。OFDM信号はランダム幅と位相信号の重畳であり、一般的に高いピーク対平均電力比(PAPR)を有し、大部分の信号ピーク値が小さい範囲内で、少ない信号ピーク値だけは波動が大きい。
【0004】
LTEシステムCPRIインターフェースのIQデータの周波数領域特性は、
図1に示すように、類似の特性が存在し、大部分の信号ピーク値が小さい範囲内で、いくつかの信号ピーク値だけは波動(波の起伏)が大きく、通常の場合と同じ桁数(ビット数)で符号化すると、信号の最大値が符号化の桁数を決め、その他の小幅値の信号を符号化する際に高い桁がいずれも0である。このように符号化効率が極めて低く、且つ伝送負担を増加する。
【0005】
ブロック浮動小数点符号化アルゴリズムの基本原理は、データブロックに対して対応的なスケール調整を行い、計算が終わった後に再びスケール回復を行う。長さがNであるデータブロックに対してブロック指数調整を行い、仮数における無効の高い符号拡張ビットを除去し、データブロックに1つの同じ指数をシェアさせる。このように、データブロックに対して加算と乗算を実行する際に、付加の指数操作を行う必要がなく、仮数のみに対して加算と乗算を行えばよく、固定小数点演算のように便利である。データブロックに対してブロック指数調整を行う際に一桁の符号ビットのみを保留するため、十分に有限ビット長を利用でき、精度を向上させる。それと同時に、シェア指数の導入は固定小数点方法より大きい動的範囲を得、データブロックにおける絶対値が最大の高い符号拡張ビットの桁より決められる。
【0006】
ブロック浮動小数点符号化は、信号サンプルをグループに分け(或いはブロックと呼ばれる)、次に、各グループのサンプルに対して指数を解き、且つ仮数を符号化することによって、1つの圧縮配列を構成する。仮数と指数をそれぞれ符号化することは付加の圧縮を増加するが、圧縮による誤差を低下させる。指数符号化に対して、2つ或いはより多くの指数差で共同符号化する方式を採用してもよく、各指数符号化が用いたビット数を低下させることによって、より良い圧縮効果を達成する。大量の統計データ分析によって、ブロック浮動小数点符号化に対して、連続的な2つのサンプルグループに対応する出力指数値は、それらの差の90%が{−1、0、1}の範囲にあり、98%が{−2、1、0、1、2}の範囲内にある。この情報を利用して、指数符号化を修正することができる。
【0007】
ブロック浮動小数点符号化はすべてのデータを固定の桁数で表すことを避けることができ、非常にLTEシステムIQ周波数領域データの符号化に適し、関連技術にはLTEワイヤレス基地局システムCPRIインターフェースデータの時間領域と周波数領域の共同特性を圧縮する手段がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施例が解決しようとする技術的課題は、伝送帯域幅を削減するとともに伝送装置のコストを低減させるIQデータの処理方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するために、以下のような技術的解決手段を採用し、
信号サンプル点データの処理方法であって、
送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することと、
前記周波数領域信号サンプル点データを符号化して送信することと、を含む。
【0010】
選択的に、前記送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することの前に、該方法は、
送信しようとする時間領域信号サンプル点データをキャッシュすることと、
キャッシュした送信しようとする時間領域信号サンプル点データのサンプル点数が閾値に達する際に、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データを入れて再び虚数部データを入れ、次に次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データと虚数部データを入れ、或いは
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データを入れて再び実数部データを入れ、次に次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データと実数部データを入れる、という方式により、前記時間領域信号サンプル点データを処理することと、を更に含む。
【0011】
選択的に、前記送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することは、
高速フーリエ変換によって前記時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換することと、
実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき前記周波数領域信号サンプル点データの有効サンプル点を抽出して、周波数領域信号サンプル点データ流を生成することと、を含む。
【0012】
選択的に、前記送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換した後に、該方法は、
前記周波数領域信号サンプル点データを幅圧縮して、幅圧縮因子と圧縮後の信号サンプル点データを生成することを更に含む。
【0013】
選択的に、前記周波数領域信号サンプル点データを符号化することは、
ブロック浮動小数点符号化、ファジーブロック適応量子化符号化、ブロック適応ベクトル量子化符号化及びブロック浮動小数点量子化符号化のいずれか1種に従って前記周波数領域信号サンプル点データを符号化することを更に含む。
【0014】
信号サンプル点データの処理装置であって、変換モジュールと符号化モジュールを備え、
前記変換モジュールは、送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換するように設定され、
前記符号化モジュールは、前記周波数領域信号サンプル点データを符号化して送信するように設定される。
【0015】
選択的に、バッファモジュールを更に備え、
前記バッファモジュールは、送信しようとする時間領域信号サンプル点データをキャッシュし、キャッシュした送信しようとする時間領域信号サンプル点データのサンプル点数が閾値に達する際に、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データを入れて再び虚数部データを入れ、次に次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの実数部データと虚数部データを入れ、或いは、
まず1つのサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データを入れて再び実数部データを入れ、次に次のサンプル点の時間領域信号サンプル点データの虚数部データと実数部データを入れる、という方式により、前記時間領域信号サンプル点データを処理するように設定される。
【0016】
選択的に、生成モジュールを更に備え、
前記変換モジュールは、高速フーリエ変換によって前記時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換する、という方式により、送信しようとする時間領域信号サンプル点データを周波数領域信号サンプル点データに変換するように設定され、
前記生成モジュールは、実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき前記周波数領域信号サンプル点データの有効サンプル点を抽出して、周波数領域信号サンプル点データ流を生成するように設定される。
【0017】
選択的に、幅圧縮モジュールを更に備え、
前記幅圧縮モジュールは、前記周波数領域信号サンプル点データを幅圧縮して、幅圧縮因子と圧縮後の周波数領域信号サンプル点データを生成するように設定される。
【0018】
選択的に、前記符号化モジュールは、
ブロック浮動小数点符号化、ファジーブロック適応量子化符号化、ブロック適応ベクトル量子化符号化及びブロック浮動小数点量子化符号化のいずれか1種に従って前記周波数領域信号サンプル点データを符号化する、という方式により、前記周波数領域信号サンプル点データを符号化するように設定される。
【0019】
信号サンプル点データの処理方法であって、
受信した周波数領域信号サンプル点データを復号化することと、
復号化後の周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換することと、を含む。
【0020】
選択的に、前記受信した周波数領域信号サンプル点データを復号化することの後に、該方法は、
受信した周波数領域信号サンプル点データから抽出した幅圧縮因子に基づき、復号化後の周波数領域信号サンプル点データを幅回復することと、
実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき、幅回復後の周波数領域信号サンプル点データを完全な周波数領域信号サンプル点データに回復することを更に含む。
【0021】
選択的に、前記復号化後の周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換することは、
逆高速フーリエ変換によって前記完全な周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換することを含む。
【0022】
信号サンプル点データの処理装置であって、復号化モジュールと逆変換モジュールを備え、
前記復号化モジュールは、受信した周波数領域信号サンプル点データを復号化するように設定され、
前記逆変換モジュールは、復号化後の周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換するように設定される。
【0023】
選択的に、回復モジュールを更に備え、
前記回復モジュールは、受信した周波数領域信号サンプル点データから抽出した幅圧縮因子に基づき、復号化後の周波数領域信号サンプル点データを幅回復し、実数部データと虚数部データのそれぞれの対称特性に基づき、幅回復後の周波数領域信号サンプル点データを完全な周波数領域信号サンプル点データに回復するように設定される。
【0024】
選択的に、前記逆変換モジュールは、
逆高速フーリエ変換によって前記完全な周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換する、という方式により、復号化後の周波数領域信号サンプル点データを時間領域信号サンプル点データに変換するように設定される。
【発明の効果】
【0025】
上記技術的解決手段のIQデータの処理方法及び装置は、LTEシステムIQデータの周波数領域特徴を利用して、送信側において、まず時間領域IQデータを周波数領域IQデータに変換して、冗長情報を除去し、次に再び符号化し、符号化点数を減少し、LTEシステムCPRIインターフェースデータをより効果的に圧縮して、従来の伝送アクセスネットワーク伝送帯域幅の要求を満たし、LTEワイヤレス基地局システムCPRIインターフェースデータの高速、制御可能なモードの効率的な圧縮及び解凍機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで説明する図面は、本発明をさらに理解するためのものであり、本発明の一部となり、本発明の模式的実施例及びその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を不適切に制限しない。
【
図1】
図1は、LTEシステムIQデータの周波数領域特性を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例における送信側がIQデータを処理する方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の実施例における受信側がIQデータを処理する方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施例におけるIQデータの処理システムを示す原理ブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例における送信側がIQデータを処理する装置を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例における受信側がIQデータを処理する装置を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例におけるIQインターリービングを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお、矛盾が生じない場合には、本願における実施例及び実施例における特徴を互いに任意に組み合わせることができる。
【0028】
図2は、本発明の実施例における送信側がIQデータを処理する方法を示すフローチャートであり、
図2に示すように、
S11、送信しようとする時間領域IQデータを周波数領域IQデータに変換する、
S12、前記周波数領域IQデータを符号化して送信する、
ことを含む。
【0029】
図3は、本発明の実施例における受信側がIQデータを処理する方法を示すフローチャートであり、
図3に示すように、
S21、受信した周波数領域IQデータを復号化する、
S22、復号化後の周波数領域IQデータを時間領域IQデータに変換する、
ことを含む。
【0030】
図4は、本発明の実施例におけるIQデータの処理システムを示す原理ブロック図であり、
図4に示すように、本実施例において、送信側装置は、
送信しようとする時間領域IQデータを周波数領域IQデータに変換するように設定される変換モジュール401と、
前記周波数領域IQデータを符号化して送信するように設定される符号化モジュール402と、
を備えてもよい。
【0031】
受信側装置は、
受信した周波数領域IQデータを復号化するように設定される復号化モジュール403と、
復号化後の周波数領域IQデータを時間領域IQデータに変換するように設定される逆変換モジュール404と、
を備えてもよい。
【0032】
本発明の実施例において、主にLTEシステムIQデータの周波数領域特徴を利用して、送信側においてまず時間領域IQデータを周波数領域IQデータに変換して、冗長情報を除去して、次に符号化して、符号化点数を減少して、より効果的な圧縮を実現する。このため、受信側において対応的に復号化後の周波数領域IQデータを時間領域IQデータに逆変換する。
【0033】
図5は、本発明の実施例における送信側がIQデータを処理する装置を示す模式図であり、
図5に示すように、該装置は、バッファモジュール501、変換モジュール502、生成モジュール503、幅圧縮モジュール又は圧縮モジュール504、符号化モジュール505、送信モジュール506、を備える。
【0034】
前記バッファモジュール501は、送信しようとする時間領域IQデータをバッファ処理するように設定され、
本実施例において、DSP(Digital Signal Processing、デジタル信号処理)チップの数を減少させることを考えて、I(実数部)チャンネルとQ(虚数部)チャンネルデータをそれぞれ圧縮することなく、IチャンネルデータとQチャンネルデータをインターリービングして、I_1,Q_1、I_2,Q_2、…、I_64,Q_64のような1つのバッファデータブロックを得、すなわち、送信する必要がある時間領域IQサンプル点データを記憶し、記憶したIQサンプル点数がバッファ領域の大きさ(又は閾値、仮にBとする)に達する際に、
図7に示すように、まず1つのサンプル点のI(Q)データを入れて再びQ(I)データを入れ、次に次のサンプル点のI(Q)とQ(I)データを入れるという方式により、バッファ領域データをインターリービングして、一列の長さが2*Bであるインターリービング後のデータを得、インターリービング後のデータを変換モジュールに送る。
【0035】
前記変換モジュール502は、インターリービング後の時間領域IQデータを周波数領域IQデータに変換するように設定され、
本実施例において、変換モジュールは入ったインターリービング後のIQ時間領域データに対してFFT(Fast Fourier Transformation、高速フーリエ変換)を行ってよく、周波数領域IQデータを得る。
【0036】
前記生成モジュール503は、IデータとQデータのそれぞれの対称特性に基づき前記周波数領域IQデータの有効サンプル点を抽出して、周波数領域IQデータ流を生成するように設定され、
本実施例において、周波数領域IとQデータから有効点数を抽出し、出力したIとQデータの長さがいずれもB+1である。
【0037】
IデータではI
1とI
B+1を除いて、(I
2 、…、I
B )と(I
B+2 、…、I
2*B )はI
B+1軸に関して対称し(即ちI
2 =I
2*B 、…、I
B =I
B+2 )、QデータではQ
1とQ
B+1を除いて、(Q
2 、…、Q
B )と(Q
B+2 、…、Q
2*B )は、Q
B+1点に関して対称する(すなわち、Q
2 =−Q
2*B 、…、Q
B =−Q
B+2 )ため、第1、第B+1のみを取る必要があり、I有効点数が(I
1 、…、I
B+1 )又は(I
1 、I
B+1 、…、I
2*B )であり、Q有効点数が(Q
1 、…、Q
B+1 )又は(Q
1 、Q
B+1 、…、Q
2*B )である。Q
1は0に固定される定数である。
【0038】
前記幅圧縮モジュール又は圧縮モジュール504は、前記周波数領域IQデータ流を幅圧縮して、幅圧縮因子Fと圧縮後のIQデータを生成するように設定される。
【0039】
前記符号化モジュール505は、前記圧縮後のIQデータを符号化するように設定され、
本実施例において、幅圧縮したIとQデータに対して、第1のデータを除去し、それぞれブロック浮動小数点符号化を行い、符号化後のデータと第1の入力データを出力する。
【0040】
前記送信モジュール506は、前記幅圧縮因子Fと前記符号化後のIQデータを送信するように設定される。
【0041】
図6は、本発明の実施例における受信側がIQデータを処理する装置を示す模式図であり、
図6に示すように、該装置は、受信モジュール601、復号化モジュール602、回復モジュール603、逆変換モジュール604、バッファモジュール605、を備える。
【0042】
前記受信モジュール601は、データを受信して幅圧縮因子Fと符号化後のIQデータを抽出するように設定される。
【0043】
前記復号化モジュール602は、前記IQデータを復号化処理するように設定される。
【0044】
前記回復モジュール603は、前記幅圧縮因子Fに基づき復号化後のIQデータを幅回復して、
図3における生成モジュールが出力したものに対応する周波数領域IQデータを得、IとQデータのそれぞれの対称性に基づき、
図3における変換モジュールが出力したものに対応する完全なIQ周波数領域データを回復して得るように設定される。
【0045】
前記逆変換モジュール604は、前記周波数領域IQデータを処理して、時間領域IQデータを得るように設定され、
本実施例において、完全な周波数領域IQデータに対してIFFT(Inverse FFT)を行って、時間領域IQインターリービングデータを得ることができる。次に、
図7に示すようなIQインターリービング方式に基づき、時間領域IQサンプル点データを回復する。
【0046】
前記バッファモジュール605は、前記時間領域IQデータをIとQの2パスのデータに処理した後に、バッファして、後続の信号処理に用いられるように設定される。
【0047】
本発明の実施例はIQデータの処理システムを更に提供し、該システムは上記送信側がIQデータを処理する装置及び受信側がIQデータを処理する装置を備える。
【0048】
以下、具体的な実施例によって説明する。
【0049】
本実施例において、IQデータを16ビットで記憶し、B=64、
図7のようにIQインターリービングを行い、FFT後のIQデータI、Qの2パスはそれぞれの対称性特徴を有する。実数部と虚数部の(66: 128)のこの63個の点はいずれも冗長情報であり、符号化に参加する必要がなく、前の65個のデータを使用すれば完全に復号化側においてIFFT(逆FFT)によって最初の時間領域信号を回復することができる。幅圧縮に対して、異なる圧縮因子1、2、4、〜256を選択して、異なる周波数領域の幅圧縮を得ることができる。
【0050】
例えば、64個のサンプルの大きさを1つの基本的な処理データブロックとし、DSP(Digital Signal Processing、デジタル信号処理)チップの数を減少させることを考えて、IチャンネルとQチャンネルデータをそれぞれ圧縮することなく、IチャンネルデータとQチャンネルデータをインターリービングして、I_1,Q_1、I_2,Q_2、…、I_64,Q_64のような1つのバッファデータブロックを得る。得られた128点の実信号に対してFFT変換を行って、変換後に第1個から第65個の点までの実数部と虚数部に対してそれぞれブロック浮動小数点符号化を行う。
【0051】
FFT後のI有効信号とQ有効信号に対してそれぞれブロック浮動小数点符号化を行う。I又はQに対して、本実施例において、B=64であるため、IとQから第1のデータを除去した後に得られたバッファ領域の大きさが64であり、一回で64個のサンプル値を読み込んでブロック浮動小数点符号化を行う。本実施例において、64次元データは、4つで1つのグループとし、16グループのデータブロックに分ける。次に、それぞれ16ブロックデータの最大値Block_maxを確定する。再び式(1)、(2)によって各ブロックの指数を確定し、
計算によって16グループのデータのブロック指数n_expを得、データに正と負があるため、更に1ビットの符号ビットを加える必要があり、最終的に得られたブロック指数はn_exp=n_exp+1である。最後に、得られたブロック指数n_expに基づき、それぞれ入力した16グループのサンプルを符号化し、各グループのサンプルが所要するビット数は対応的なブロック指数n_expであり、対応的なブロック仮数を得る。
【0052】
符号化した信号が、受信側に到達した後に復号化、幅向上、逆FFT変換を行い、更に時間領域信号を得る。幅向上は幅圧縮の「逆」であり、逆FFTはFFTの「逆」であり、ここで説明しない。復号化は符号化の「逆」であり、復号化後に得られたデータは第1点〜第65点であり、実数部に対して、第2点〜第64点を第65点に関して反転すれば第66点〜第128点を得ることができ、即ち第66点が第64点に等しく、第67点が第63点に等しく、第68点が第62点に等しく、虚数部に対して、第2点〜第64点を第65点に関して反転して符号反転すれば第66点〜第128点を得ることができ、即ち第66点と第64点は大きさが等しく符号が逆であり、第67点と第63点は大きさが等しく符号が逆であり、第68点と第62点は大きさが等しく符号が逆である。
【0053】
幅圧縮因子が1を取る際に、I、Qインターリービングの圧縮状況を表1に示す。
【0055】
実験結果から分かるように、I、Qインターリービングのデータブロックは依然として良くほぼ無損失で10bit程度に圧縮できるため、これによるEVM(Error Vector Magnitude、誤差ベクトル幅)が0.044207%である。
【0056】
実験によって測定した異なる幅圧縮因子FでのEVM値を、表2に示す。
【0058】
本発明の実施例はFFT変換とブロック浮動小数点符号化を結合して、且つデータの周波数領域特徴を結合して、冗長情報を除去し、符号化点数を減少し、より効果的に圧縮する。従来の圧縮技術と比べて、本発明の実施例における圧縮効果が顕著であり、且つこのハードウェアの発展に伴って、改善空間が大きい。
【0059】
本発明の実施例は、LTEシステムIQデータの周波数領域統計特性に基づき、更にその他の符号化手段、例えばファジーブロック適応量子化符号化(FBAQ)、ブロック適応ベクトル量子化符号化(BAVQ)及びブロック浮動小数点量子化符号化(BFPQ)などを採用することができ、圧縮性能を更に向上させることが望ましい。
【0060】
当業者は、上記方法における全部又は一部のステップは、プログラムが関連のハードウェアに指令することにより完成することができ、前記プログラムはコンピュータ可読記憶媒体、例えば読み出し専用メモリ、ディスク又はCDなどに記憶することができることを理解することができる。選択的に、上記実施例の全部又は一部のステップは、1つ又は複数の集積回路を採用して達成することもできる。対応的に、上記実施例における各モジュール/ユニットはハードウェアの形式で達成してよく、ソフトウェア機能モジュールの形式で達成してもよい。本発明はいずれの特定形式のハードウェアとソフトウェアの組み合わせに限定されるものではない。
【0061】
以上のものは本発明の好ましい実施例に過ぎず、勿論、本発明はまたその他の様々な実施例を有するものであり、本発明の趣旨及びその本質を逸脱しない限り、当業者は本発明に基づき各種の対応的な変更と変形を行うことができるが、これらの対応的な変更と変形はいずれも本発明の添付請求項の保護範囲に属すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
上記技術的解決手段のIQデータの処理方法及び装置は、LTEシステムIQデータの周波数領域特徴を利用して、送信側においてまず時間領域IQデータを周波数領域IQデータに変換して、冗長情報を除去して、次に再び符号化し、符号化点数を減少し、LTEシステムCPRIインターフェースデータをより効果的に圧縮し、従来の伝送アクセスネットワーク伝送帯域幅の要求を満たし、LTEワイヤレス基地局システムCPRIインターフェースデータの高速、制御可能なモードの効率的な圧縮及び解凍機能を実現することができる。このため、本発明は強い産業上の利用可能性を有する。