特許第6223580号(P6223580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223580一体型カメラモジュール及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223580
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】一体型カメラモジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/335 20110101AFI20171023BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H04N5/335
   H04N5/225 100
【請求項の数】34
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-538978(P2016-538978)
(86)(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公表番号】特表2016-535533(P2016-535533A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】US2014052000
(87)【国際公開番号】WO2015031145
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】14/463,896
(32)【優先日】2014年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/870,084
(32)【優先日】2013年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515084100
【氏名又は名称】オプティツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】オガネシアン ヴァーゲ
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジェンフア
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3172667(JP,U)
【文献】 特開2005−203741(JP,A)
【文献】 特開2012−182309(JP,A)
【文献】 特開2015−060998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/335
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面及び底面を有する導電性シリコンの基板であって、
基板の底面に形成され且つ上面を有する第1キャビティ、
前記第1キャビティの上面から基板の頂面へと延びるアパーチャー、及び
基板の頂面に形成され且つ下面を有する第3キャビティ、
を含むような基板と;
少なくとも1つの光検出器を含み、前記第1キャビティに少なくとも部分的に配置されそして前記第1キャビティの上面にマウントされるセンサ装置と;
少なくとも1つの発光ダイオードを含み、前記第3キャビティに少なくとも部分的に配置されそして前記第3キャビティの下面にマウントされるLED装置と;
を備えたカメラモジュール。
【請求項2】
前記基板は、更に、
前記センサ装置に各々電気的に接続され且つ前記基板の底面に接触パッドを含む第1の複数の導電性リード、及び
前記基板を貫通して延び且つそこから絶縁された第2の複数の導電性リード、を備え、前記第2の複数の導電性リードの各々は、前記頂面の第1接触パッドと前記底面の第2接触パッドとの間に延びる、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記第1の複数の導電性リードの各々は、前記第1キャビティの上面、前記第1キャビティの側壁、及び前記基板の底面の上に延びそしてそこから絶縁される、請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記第1の複数の導電性リードの接触パッドの1つに各々電気的に接続された第1の複数の電気的相互接続部と;
前記第2の複数の導電性リードの第2接触パッドの1つに各々電気的に接続された第2の複数の電気的相互接続部と;
を更に備えた請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記LED装置と前記第1接触パッドの1つとの間に各々電気的に接続された複数のワイヤを更に備えた、請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記第3キャビティ内、前記LED装置の上、前記複数のワイヤの上、及び前記基板の頂面の少なくとも一部分の上に形成されたカプセル材料を更に備えた、請求項5に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記頂面にマウントされ、そして前記第3キャビティ、前記LED装置、及び前記複数のワイヤの上に配置されたカーブした部材を更に備えた、請求項5に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光検出器は、前記アパーチャーを通過する光を受け取る向きとされ、前記少なくとも1つの発光ダイオードは、前記第3キャビティに配置されそして前記基板の頂面において前記第3キャビティの開口を向いている、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
レンズモジュールを更に備え、このレンズモジュールは、
前記アパーチャーの上で前記頂面にマウントされたハウジング、及び
前記ハウジングに固定され且つ前記アパーチャーを通して前記頂面に及び前記少なくとも1つの光ダイオードに当たる光を収束するよう配置された少なくとも1つのレンズ、を含む請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記第3キャビティの側壁は、テーパー付けされ、そして反射材料で覆われる、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記基板は、更に、前記基板の底面から前記第3キャビティの下面へ延びる第2キャビティを更に含む、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
前記第2キャビティに配置され且つ前記LED装置にマウントされたヒートシンクを更に備えた、請求項11に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
前記第2キャビティに配置された論理装置を更に備え、前記基板は、該論理装置に各々電気的に接続され且つ前記基板の底面に接触パッドを含む第3の複数の導電性リードを更に含み、その第2の複数の導電性リード各々は、前記第2キャビティの側壁及び前記基板の底面の上に延び且つそこから絶縁される、請求項11に記載のカメラモジュール。
【請求項14】
前記論理装置にマウントされたヒートシンクを更に備えた、請求項13に記載のカメラモジュール。
【請求項15】
前記基板は、更に、
前記基板の底面に形成され且つ上面を有する第2キャビティ、及び
前記第2キャビティの上面から前記基板の頂面へと延びる第2アパーチャー、を含み、そして前記カメラモジュールは、更に、
少なくとも1つの光検出器を含み、前記第2キャビティに少なくとも部分的に配置されそして前記第2キャビティの上面にマウントされた第2のセンサ装置、
を備えた請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項16】
前記センサ装置は、前記第2のセンサ装置とは異なる光学的感知特性を有する、請求項15に記載のカメラモジュール。
【請求項17】
第1のレンズモジュールを更に備え、これは、
前記アパーチャーの上で前記頂面にマウントされたハウジング、及び
前記ハウジングに固定され且つ前記アパーチャーを通して前記頂面に及び前記センサ装置の少なくとも1つの光検出器に当たる光を収束するよう配置された少なくとも1つのレンズ、
を含むものであり、更に、
第2のレンズモジュールを備え、これは、
前記第2アパーチャーの上で前記頂面にマウントされた第2ハウジング、及び
前記ハウジングに固定され且つ前記第2アパーチャーを通して前記頂面に及び前記第2センサ装置の少なくとも1つの光検出器に当たる光を収束するよう配置された少なくとも1つの第2レンズ、
を含むものであり、前記第1のレンズモジュールは、前記第2のレンズモジュールとは異なる少なくとも1つの収束特性を有する、請求項15に記載のカメラモジュール。
【請求項18】
カメラモジュールを製造する方法において、
頂面及び底面を有する導電性シリコンの基板を準備し;
上面を有する第1キャビティを前記基板の底面に形成し;
前記第1キャビティの上面から前記基板の頂面へと延びるアパーチャーを形成し;
下面を有する第3キャビティを前記基板の頂面に形成し;
少なくとも1つの光検出器を含むセンサ装置を前記第1キャビティの上面にマウントし;及び
少なくとも1つの発光ダイオードを含むLED装置を前記第3キャビティの下面にマウントする;
ことを含む、方法。
【請求項19】
前記センサ装置に各々電気的に接続され且つ前記基板の底面に接触パッドを含む第1の複数の導電性リードを形成し、及び
前記基板を貫通して延び且つそこから絶縁された第2の複数の導電性リードを形成し、前記第2の複数の導電性リードの各々は、前記頂面の第1接触パッドと前記底面の第2接触パッドとの間に延びる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の複数の導電性リードの各々は、前記第1キャビティの上面、前記第1キャビティの側壁、及び前記基板の底面の上に延び且つそこから絶縁される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の複数の導電性リードの接触パッドの1つに各々電気的に接続された第1の複数の電気的相互接続部を形成し;及び
前記第2の複数の導電性リードの第2接触パッドの1つに各々電気的に接続された第2の複数の電気的相互接続部を形成する;
ことを更に含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記LED装置と前記第1接触パッドとの間に複数のワイヤを接続することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第3キャビティ内、前記LED装置の上、前記複数のワイヤの上、及び前記基板の頂面の少なくとも一部分の上に配置されるカプセル材料を形成することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記頂面にカーブした部材をマウントすることを更に含み、そのカーブした部材は、前記第3キャビティ、前記LED装置、及び前記複数のワイヤの上に配置される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光検出器は、前記アパーチャーを通過する光を受け取る向きとされ、前記少なくとも1つの発光ダイオードは、前記第3キャビティに配置されそして前記基板の頂面において前記第3キャビティの開口を向いている、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記アパーチャーの上で前記頂面にレンズモジュールをマウントすることを更に含み、そのレンズモジュールは、前記アパーチャーを通して前記基板の頂面に及び前記少なくとも1つの光検出器に当たる光を収束するように配置された少なくとも1つのレンズを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記第3キャビティを形成することは、
テーパー付けされた第3キャビティの側壁を形成し;及び
前記第3キャビティのテーパー付けされた側壁を反射材料で覆う;
ことを含む請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記基板の底面から前記第3キャビティの下面へと延びる第3キャビティを前記基板に形成することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記LED装置にヒートシンクをマウントすることを更に含み、そのヒートシンクは、前記第2キャビティに配置される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2キャビティに論理装置をマウントし、及び
前記論理装置に各々電気的に接続され且つ前記基板の底面に接触パッドを含む第3の複数の導電性リードを形成する、
ことを更に含み、前記第3の複数の導電性リード各々は、前記第2キャビティの側壁及び前記基板の底面の上に延び且つそこから絶縁される、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
前記論理装置にヒートシンクをマウントすることを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上面を有する第2キャビティを前記基板の底面に形成し;
前記第2キャビティの上面から前記基板の頂面へと延びる第2アパーチャーを形成し;
少なくとも1つの光検出器を含む第2のセンサ装置を前記第2キャビティの上面にマウントする;
ことを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
前記センサ装置は、前記第2のセンサ装置とは異なる光学的感知特性を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アパーチャーの上で前記頂面に第1のレンズモジュールをマウントし、この第1のレンズモジュールは、前記アパーチャーを通して前記基板の頂面に及び前記第1レンズモジュールの少なくとも1つの光検出器に当たる光を収束するように配置された少なくとも1つのレンズを備え、及び
前記アパーチャーの上で前記頂面に第2のレンズモジュールをマウントし、この第2のレンズモジュールは、前記第2のアパーチャーを通して前記基板の頂面に及び前記第2レンズモジュールの少なくとも1つの光検出器に当たる光を収束するように配置された少なくとも1つの第2レンズを備え、
前記第1のレンズモジュールは、前記第2のレンズモジュールとは異なる少なくとも1つの収束特性を有する、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願:本出願は、2013年8月26日に出願された米国プロビジョナル特許出願第61/870,084の利益を主張するもので、この出願は、参考としてここに援用される。
【0002】
本発明は、セルラーホンのような移動装置に使用されるカメラモジュールに関する。
【0003】
本発明は、全体的サイズを減少することで移動カメラシステムをコンパクト化する方法に関する。より詳細には、移動カメラ装置に関連して使用される時代遅れのLEDパッケージング技術を改善することにより広い占有面積を得ることができる。
【背景技術】
【0004】
数年にわたり、画像センサダイのサイズ及びそのパッケージングサイズを減少するために多大な調査及び研究がなされてきた。進歩型ウェハレベル技術を使用して、製造者は、今や、チップスケールのパッケージを得ることができ、これは、完全なパッケージの占有面積がダイ自身より小さいことを意味する。
【0005】
一方、カメラユニットのフラッシュソースとして使用される(且つフラッシュライトモードでフラッシュライトとして通常使用される)LED(発光ダイオード)ユニットは、昔の時代遅れの非常に原始的なパッケージ技術を依然使用しており、今日の移動装置にはふさわしくない。典型的に、LEDユニットは、カメラユニットとは個別のコンポーネントで、フレックスPCB又は他のコネクタを使用してそれに接続される。この構成は、過剰なスペースを使用するだけでなく、それら2つの個別コンポーネントを互いに隣接して固定してそれらを互いに電気的に接続できるような個別のマウンティング構造体も必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、カメラユニットと、カメラユニットの光源として使用されるLEDユニットの両方に対して完全な解決策が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の問題及び要望は、頂面及び底面を有する導電性シリコンの基板、センサ装置及びLED装置を備えたカメラモジュールにより対処される。基板は、基板の底面に形成され且つ上面を有する第1キャビティ、該第1キャビティの上面から基板の頂面へと延びるアパーチャー、及び基板の頂面に形成され且つ下面を有する第2キャビティを含む。センサ装置は、少なくとも1つの光検出器を含み、第1キャビティに少なくとも部分的に配置され、そして第1キャビティの上面にマウントされる。LED装置は、少なくとも1つの発光ダイオードを含み、第2キャビティに少なくとも部分的に配置され、そして第2キャビティの下面にマウントされる。
【0008】
カメラモジュールを製造する方法は、頂面及び底面を有する導電性シリコンの基板を準備し;基板の底面に、上面を有する第1キャビティを形成し;第1キャビティの上面から基板の頂面へ延びるアパーチャーを形成し;基板の頂面に、下面を有する第2キャビティを形成し;第1キャビティの上面に、少なくとも1つの光検出器を含むセンサ装置をマウントし;及び第2キャビティの下面に、少なくとも1つの発光ダイオードを含むLED装置をマウントする;ことを含む。
【0009】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲及び添付図面を検討することにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図2】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図3】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図4】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図5】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図6】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図7】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図8】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図9】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図10】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図11】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図12】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図13】本発明のカメラモジュールを形成する際の逐次ステップを示す基板ハンドラーの側面断面図である。
図14A】センサパッケージの種々の構成を示す側面断面図である。
図14B】センサパッケージの種々の構成を示す側面断面図である。
図14C】センサパッケージの種々の構成を示す側面断面図である。
図15A】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図15B】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図15C】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図15D】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図15E】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図15F】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図15G】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図15H】本発明のカメラモジュールの種々の実施形態を示す側面断面図である。
図16】2つの画像センサからの異なる画像(一方は低解像度、一方は高解像度)を処理及び合成して高品質の最終画像を形成するステップを示すフローチャートである。
図17】2つの画像センサからの異なる画像を処理及び合成して三次元の最終画像を形成するステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、カメラモジュールサイズ減少解決策である。LEDユニットにおいてウェハレベル技術を使用し、そしてLEDユニットと画像センサダイを単一のハンドラーへ合体することにより、顕著なスペース節約及び電気的接続性、密接な接近性、並びに画像センサとLEDユニットとの間の整列を達成することができる。
【0012】
カメラモジュール1の製造は、ハンドラーとも称される導電性シリコン基板(ウェハ)10で始まる。この基板10は、LEDダイ及び画像センサダイのためのホスト基板へと整形される。ホトレジスト層12がシリコン基板10(少なくともその頂面及び底面)に堆積される。ホトレジスト堆積方法は、スプレーコーティング又は別の適当な堆積方法である。ホトレジスト12は、この技術で良く知られた適当なホトリソグラフィープロセスを使用して露出され、エッチングされて、ホトレジスト12の一部分だけを選択的に除去し、基板10の底面の選択された部分が露出状態のままとなる。シリコン基板の露出部分に非等方性乾式エッチングを適用して、シリコン基板10の底面に第1キャビティ14を形成し、図1の構造が生じる。エッチング剤は、CF4、SF6、NF3、Cl2、CCl22、又は他の適当なエッチング剤である。第1キャビティは、傾斜/テーパー側壁か、又は図1に示す垂直側壁を有する。
【0013】
ホトレジスト12が除去された後に(例えば、この分野で良く知られた硫酸、アセトン又は他のホトレジスト剥離方法を使用することにより)、別のホトレジスト層16がシリコン基板10に(少なくとも、第1キャビティ14内の面を含めて頂面及び底面に)堆積される。ホトレジスト堆積方法は、スプレーコーティング、又は他の適当な堆積方法である。ホトレジスト16は、この技術で良く知られた適当なホトリソグラフィープロセスを使用して露出され、エッチングされて、ホトレジスト16の各部分を選択的に除去し、第1キャビティ14の上の基板10の頂面の一部分、及び第1キャビティ14の上面の対応部分を露出状態のままにする。シリコン基板10の露出部分に非等方性乾式エッチングを適用して、アパーチャー18を形成し、これは、図2に示すように、基板10を貫通して(キャビティの上面から基板の頂面へ)延びる。エッチング剤は、CF4、SF6、NF3、Cl2、CCl22、又は他の適当なエッチング剤である。好ましくは、アパーチャー18の横方向寸法は、第1キャビティ14の横方向寸法より小さく、第1キャビティ14及びアパーチャー18の境界に基板10の肩部20を残す(即ち、第1キャビティ14の上面の一部分が肩部20を形成する)。
【0014】
ホトレジスト16が除去された後に、別のホトレジスト層22が、シリコン基板10に(少なくとも、基板の頂面及び底面、第1キャビティ14の内部及びアパーチャー18の内部に)堆積される。ホトレジスト22は、この技術で良く知られた適当なホトリソグラフィープロセスを使用して露出され、エッチングされて、ホトレジスト22の一部分を選択的に除去し、基板10の底面の一部分を露出状態のままにする。非等方性乾式エッチングをシリコン基板10の露出部分に適用して、図3に示すように、基板10の底面に形成された第2キャビティ24を残す。この第2キャビティ24は、傾斜/テーパー側壁を有するか、又は図3に示す垂直側壁を有する。
【0015】
ホトレジスト22が除去された後に、別のホトレジスト層26がシリコン基板10に(少なくとも基板の頂面及び底面、第1及び第2のキャビティ14及び24の内部、並びにアパーチャー18の内部に)堆積される。ホトレジスト26は、この技術で良く知られた適当なホトリソグラフィープロセスを使用して露出されエッチングされて、ホトレジスト26の一部分を選択的に除去し、(第2キャビティ24とは反対の)基板10の頂面の一部分が露出状態のままとなる。シリコン基板10の露出部分に非等方性乾式エッチングを適用して、図4に示すように、基板10の頂面に形成された第3キャビティ28を残す。この第3キャビティは、垂直側壁、又は図4に示す傾斜/テーパー側壁を有する。
【0016】
ホトレジスト26が除去された後に、別のホトレジスト層30がシリコン基板10に(少なくとも基板の頂面及び底面、キャビティ14、24、28の内部、並びにアパーチャー18の内部に)堆積される。ホトレジスト30は、この技術で良く知られた適当なホトリソグラフィープロセスを使用して露出されエッチングされて、ホトレジスト26の一部分を選択的に除去し、第3キャビティ28の底面の一部分を露出状態のままにする。シリコン基板の露出部分に非等方性乾式エッチングを適用し、これは、第3キャビティ28を下方に延びて、やがて、図5に示すように、第2キャビティ24に合流する(第2及び第3キャビティ24、28が合流する第2肩部34を生じ、即ち第3キャビティ28の下面の一部分が肩部34を形成する)。
【0017】
ホトレジスト30が除去された後に、複数のVIAホール36が次いで形成され、これは、基板10を貫通して延びる(即ち、基板10の頂面から底面へ延びる)。VIAホール36は、レーザ、乾式エッチング、湿式エッチング、又はこの技術で良く知られた適当な別のVIAホール形成方法によって形成される。好ましくは、乾式プラズマエッチングを使用して、VIAホール36を形成する。VIAホール36は、テーパー側壁(即ち、漏斗状のホール)、又は図6に示す垂直側壁を有する。VIAホール36の個数及び位置は、モジュールのレイアウトに基づいて変化し、図6に示す4つの規範的なVIAホール36に限定されない。
【0018】
誘電体材料層38が、シリコン基板10の種々の面(ホール36及びキャビティ14、24、28を含む)に形成される。例えば、誘電体層38は、スプレー被覆ポリマー又は他の適当な誘電体材料(例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、等)である。誘電体層38の上には導電性材料層40が形成される。導電性層40は、銅、アルミニウム、導電性ポリマー及び/又は他の適当な導電性材料である。導電性層は、物理的蒸着(PVD)、化学的蒸着(CVD)、メッキ、又は他の適当な堆積方法により堆積される。好ましくは、導電性層40は、チタンの第1層及びアルミニウムの第2層であり、これらは、両方とも、物理的蒸着(PVD)により堆積される。VIAホール36は、導電性材料40が被覆されるか、又は図7に示すように導電性材料40で完全に充填されて、基板10を貫通して延びる導電性リードが形成される。任意であるが、第3キャビティ28の傾斜側壁反射部分は、導電性層40のその部分に銀又は他の適当な反射材料の追加層を堆積することによりその反射指数を増加させることができる。
【0019】
ホトレジスト層42が導電性層40に堆積される。ホトレジストは、この技術で良く知られた適当なホトリソグラフィープロセスを使用して露出されエッチングされて、ホトレジスト42を選択的に除去し、導電性材料の各部分を露出状態のままにする。乾式又は湿式エッチング方法を使用して、導電性材料40の露出部分が除去される。導電性材料40の残りの部分は、導電性リード44(VIAホール36及び第1キャビティ14の導電性材料40を含む)及び反射部分28a(第3キャビティ28の)を構成する。好ましくは、このエッチングステップに対して適当な湿式エッチング化学物質が使用される。それにより生じる構造が図8に示されている。
【0020】
ホトレジスト42が除去された後に、導電性リード44の上を含めて、シリコン基板10の底面に、絶縁材料のカプセル材層46が堆積される。カプセル材層46は、ポリイミド、セラミック、ポリマー、複合ポリマー、金属酸化物、二酸化シリコン、エポキシ、シリコーン、磁器、窒化物、ガラス、イオン結晶、樹脂、又は前記材料の組み合わせ、或いは他の適当な誘電体材料である。カプセル材層46は、好ましくは、厚みが1から3μmであり、そして好ましい材料は、スプレーコーティングにより堆積できる半田マスクのような液体ホトリソグラフィーポリマーである。VIAホール36が導電性材料40で被覆されるが、充填はされない場合には、任意であるが、VIAホール36にカプセル材料46を充填することもできる。カプセル層46の部分を(例えば、良く知られたリソグラフィープロセスを使用して)選択的に除去して、その下の導電性層40の選択された部分を露出させ、これは、接触パッド48及びリルート接触パッド50を構成する。又、基板の頂面及び反射部分にも接触パッド48がある。それにより生じる構造が図9に示されている。
【0021】
LED装置(例えば、ダイ)56が取り上げられて、第2キャビティ24と第3キャビティ28との間で肩部34に配置され、そしてそこに貼付される。LEDダイ56は、基板60上又はその中に形成されてダイ基板60上のボンドパッド62に電気的接続された1つ以上の発光ダイオード58を含む。LEDダイ56は、この分野で良く知られているので、ここでは詳細に説明しない。センサ装置(例えば、CMOSセンサパッケージ)64が、例えば、各接触パッド間の電気的コネクタ(例えば、ボールグリッドコネクタ)により、第1キャビティ14内の肩部20にマウントされる。CMOSセンサパッケージ64は、基板68上又はその中に形成されて基板68上の接触パッド70に電気的に接続された複数の光検出器を含む。CMOSセンサパッケージ64は、この分野で良く知られており、それ故、ここでは詳細に説明しない。任意の電力キャパシタ60は、標準的な取り上げ・配置SMT技術により接触パッド48の1つにマウントされる。任意のヒートシンク74は、ハンドラーの第2キャビティ24内においてLEDダイ56の背面にマウントされる。それにより生じる構造が図10に示されている。
【0022】
従来のワイヤボンディング技術を使用して、LEDボンドパッド62を、VIAホール36内の導電性材料40上の又はそれに接続された接触パッド48に、ボンディングワイヤ76で接続する。次いで、レンズ/カプセル材78がLEDダイ56及びそのワイヤボンド76上に堆積され、これは、図11に示すように、ワイヤボンド76を保護し、そしてLED58から放射される光に対してレンズとして働く。レンズ/カプセル材は、アクリル系プラスチック、エポキシ又は他の適当な材料で作られる。或いは又、レンズ/カプセル材は、前成形されたガラス、プラスチック、又は他の適当な、レンズにふさわしい材料のカーブした部材80として作られる。カーブした部材80は、ハーメチックシールされ、そして図12に示すように、LEDダイ56及びそのワイヤボンド76を収容して保護するキャビティ82を形成する。キャビティ82は、適当なガスや液体が充填されるか、又は排気される(即ち、真空)。
【0023】
ボールグリッドアレイ(BGA)、ランドグリッドアレイ(LGA)、バンプ、銅ピラー、又は他の適当な相互接続部のような相互接続部84は、基板10の底面上の接触パッド48、50との電気的接続部上及びその中に形成される。ボールグリッドアレイは、好ましい相互接続方法の1つであり、これは、スクリーン印刷の後にリフロープロセスを行うことで堆積することができる。任意の選択されたレンズ又はレンズモジュールが基板10に接合され且つ画像センサ64の活性エリアに配置され、従って、光検出器66を収容するセンサ64の側部をカプセル化する。好ましくは、レンズ90が固定されるハウジング88を有するレンズモジュール86が、アパーチャー18の上で、且つ基板10の上面にマウントされる。カメラモジュール1の最終的な構造が図13に示されている。
【0024】
カメラモジュール1は、画像センサパッケージ64及びLED光源56の両方をコンパクトに一体的にパッケージしたものである。基板10は、画像センサ64及びLED光源56をしっかりマウントする位置を与えると共に、基板10の底面にある両装置56、64の全ての電気的接触部で両装置の電気的接続を与える。ハンドラー10は、画像センサパッケージ64及びLED光源56のための電気的接続を与えるだけでなく、それら装置の機械的な保護も与える。というのは、両装置は、ハンドラー10の頂面と底面との間に凹設されるからである(これらコンポーネントの相対的な高さは異なるが)。
【0025】
図14Aから14Cは、画像センサ64の種々の実施形態を示す。図14Aに示すように、保護基板92は、スペーサ材料94を使用して光検出器66上にマウントされる。リルート接触パッド98を伴うリード96が基板68の上面に形成される。図14Aの画像センサは、図10から13のカメラモジュール1に使用される画像センサ64として示されている。図14Bに示すように、リード96(接触パッド70に電気的に接続された)及びリルート接触パッド98は、基板68の頂面に形成された溝又はくぼみへと下方に形成される。図14Cに示すように、保護基板92は、センサの活性エリアをシールするために中央アパーチャー(他の実施形態で示される)なしに形成される。更に、スペーサ材料94を貫通して電気的接触部100(接触パッド70に電気的に接続された)が形成される。
【0026】
図15Aから15Hは、カメラモジュール1の別の実施形態を示す。より詳細には、図15Aは、図14Bの画像センサ64を伴うカメラモジュール1を示す。図15Bは、図14Cの画像センサ64を伴うカメラモジュール1を示す。図15Cは、第3キャビティに対する垂直側壁102の使用を示す。図15Dは、(第2キャビティ24において)LEDダイ56の下で電気的リード106にマウントされた論理チップ104が含まれたことを示す。図15Eは、図15Dの論理チップ104にマウントされたヒートシンク108を示す。図15Fは、第2キャビティ24において)LEDダイ56の下で電気的リード106にマウントされた電力キャパシタ110が含まれたことを示す。図15Gは、基板10の頂面にマウントされた電力キャパシタ110が含まれたことを示し、その電気的接続部は、ビアホールの電気コネクタ114を通して基板10の底面へリルートされる。
【0027】
図15Hは、同じ基板10上の2つのCMOSセンサパッケージ64間に配置されたLEDダイ56を示す。2つのCMOSセンサ64は、1つ以上の異なる光学的感知特性(例えば、異なる画像解像度、例えば、異なるピクセル数、異なるピクセルサイズ、異なる活性エリアサイズ、及び/又は異なるレンズ収束特性のレンズモジュール86、等);異なるスペクトル特性(例えば、異なる波長又は波長範囲に対する感度変化);等を有し、これにより、2つの光学的センサは、単一画像センサだけより大きな画像形成能力を発揮する。例えば、2つの光学的センサは、より高い単一画像品質を与えるのにも使用できるし、又は三次元画像を生成するのにも使用できる。図16は、2つの画像センサからの異なる画像(一方は低解像度、もう一方は高解像度)を処理し及び合成して、高品質の最終的画像を形成するための1つの規範的技術を示す。図17は、2つの画像センサからの異なる画像を処理し及び合成して三次元の最終的画像を形成するための別の規範的技術を示す。
【0028】
本発明は、図示して上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に入る全ての変更を網羅することを理解されたい。例えば、本発明を参照することは、請求項又は請求項の用語の範囲を限定することを意図しておらず、むしろ、1つ以上の請求項によりカバーされる1つ以上の特徴を単に参照するものである。上述した材料、プロセス及び数値の例は、規範的なものに過ぎず、請求項を限定するものと考えてはならない。更に、請求項及び明細書から明らかなように、全ての方法ステップが、図示され又は請求項に記載された厳密な順序で遂行される必要はなく、むしろ、本発明のカメラモジュールを適切に形成できる任意の順序でよい。最後に、材料の単一層は、そのような材料又は同様の材料の複数層として形成することができ、そしてその逆のことも言える。
【0029】
ここで使用する用語「〜の上(over)」及び「上(on)」は、両方とも、「直接的に上」(中間材料、素子又はスペースが間に配置されない)、及び「間接的に上」(中間材料、素子又はスペースが間に配置される)を包括的に含むことに注意されたい。同様に、用語「隣接(adjacent)」は、「直接的に隣接」(中間材料、素子又はスペースが間に配置されない)、及び「間接的に隣接」(中間材料、素子又はスペースが間に配置される)を含み;「〜にマウントされる(mounted to)」は、「直接的にマウントされる」(中間材料、素子又はスペースが間に配置されない)、及び「間接的にマウントされる」(中間材料、素子又はスペースが間に配置される)を含み;そして「〜に電気的に結合される(electrically coupled)」は、「直接的に電気的に結合される」(素子を一緒に電気的接続する中間材料又は素子が間にない)、及び「間接的に電気的に結合される」(素子を一緒に電気的接続する中間材料又は素子が間にある)を含む。例えば、「基板の上」又は「基板上」に素子を形成することは、中間材料/素子を間に伴わずに基板上に素子を直接的に形成すること、及び1つ以上の中間材料/素子を間に伴って基板上に素子を間接的に形成することを含む。
【符号の説明】
【0030】
1:カメラモジュール
10:基板(ハンドラー)
12:ホトレジスト
14:第1キャビティ
16:ホトレジスト
18:アパーチャー
20:肩部
22:ホトレジスト
24:第2キャビティ
26:ホトレジスト
28:第3キャビティ
30:ホトレジスト
36:VIAホール
38:誘電体材料
40:導電性材料
42:ホトレジスト
44:導電性リード
46:カプセル材層
48:接触パッド
50:リルート接触パッド
56:LED装置
58:発光ダイオード
60:基板
62:LEDボンドパッド
64:CMOSセンサパッケージ
68:基板
70:接触パッド
74:ヒートシンク
76:ボンディングワイヤ
80:カーブ部材
82:キャビティ
84:相互接続部
86:レンズモジュール
88:ハウジング
90:レンズ
92:保護基板
94:スペーサ材料
98:リルート接触パッド
100:電気的接触部
104:論理チップ
110:電力キャパシタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図15H
図16
図17