(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の真空断熱パネル1の製造方法及びその製造方法で製造された真空断熱パネル1の好ましい各実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
図1は真空断熱パネル1の断面図である。
図2は真空断熱パネル1の分解図である。
【0021】
(全体構成)
真空断熱パネル1は、断熱性を有する素材からなる芯材10と、この芯材10を挟むように配置される第1金属板20及び第2金属板30と、を備える。
第1金属板20及び第2金属板30は、中央部に膨出部21、31が設けられている。その膨出部21、31の内面側(凹状になっている側)に芯材10を収容した状態で、第1金属板20と第2金属板30とが重ね合わされている。
重ね合わされた第1金属板20及び第2金属板30の周縁部40(4辺)はシーム溶接されている。
【0022】
第2金属板30の中央には円形の開口である排気口32が設けられている。第2金属板30の排気口32が設けられている部分の外側には、円環形状で中央に円形の開口部51が設けられた補強材50が配置され、補強材50の開口部51と、第2金属板30の排気口32の中心部とが一致するようにして、補強材50と第2金属板30とは全周が溶接されている。
補強材50の外側には、円形の封止材60が配置され、封止材60により開口部51が封止されている。補強材50と、封止材60とは、後述するようにレーザ溶接され、パネル1真空断熱パネル1の内部は真空状態に保たれている。
【0023】
(芯材10)
芯材10は、断熱性を有する素材であるガラス繊維やロックウール等の無機繊維や、合成繊維や天然繊維等の有機繊維を用いて、所定の厚みを有するように積層されて構成されている。
【0024】
(金属板20,30)
本実施形態で、第1金属板20及び第2金属板30は、平面視において芯材10よりも一回り大きな矩形形状に形成され、芯材10の上面及び下面を覆うように配置される。
第1金属板20及び第2金属板30の材料としては、アルミニウム合金板及びステンレス鋼板等の各種金属板を用いることができるが、耐変形性や長期に亘っての外観維持の観点から、強度及び耐食性に優れたステンレス鋼板を用いることが好ましい。
第1金属板20及び第2金属板30の厚さは、真空断熱パネル1の内部の真空状態を好適に保ちつつ、真空断熱パネル1を軽量化する観点から、0.1mm〜0.3mmであることが好ましい。
【0025】
(膨出部21,31)
第1金属板20及び第2金属板30には芯材収容用に膨出部21,31が設けられている。膨出部21,31は、第1金属板20及び第2金属板30のそれぞれの内面側が芯材10に対応する形状に凹んで外面側に膨出した形状を有する。
【0026】
(排気口32)
第2金属板30の膨出部31の中央には排気口32が設けられている。
【0027】
(補強材50、封止材60)
補強材50は、円環形状を有し、中央には、第2金属板30に設けた排気口32と同一径の開口部51が設けられている。
封止材60は円板状であり、実施形態では補強材50と同一径である。実施形態では、補強材50及び封止材60として磁性体であるSUS430を用いる。ただし、これに限定されず、補強材50は磁性体に限らず他の金属部材であってもよく、また封止材60は他の磁性体であってもよい。
【0028】
(真空断熱パネル製造装置2)
つぎに、上述の真空断熱パネル1を製造する真空断熱パネル製造装置2について説明する。
図3は、真空断熱パネル製造装置2を示すブロック図である。真空断熱パネル製造装置2は、第1金属板20及び第2金属板30の外周のシーム溶接工程を行うシーム溶接装置100と、シーム溶接が行われて、まだ内部が真空にされていない状態のパネルの内部を真空にして封止する真空装置3とを備える。真空装置3は、真空吸引部200とレーザ溶接部300とを備える。
【0029】
(シーム溶接装置100)
まず、シーム溶接装置100について説明する。
図4はシーム溶接装置100を説明する図、
図5はシーム溶接装置100の概略斜視図である。
シーム溶接装置100は、複数の下側電極130と、複数の上側電極140と、これら複数の上側電極140を支持する複数の上側電極支持部材150と、上側電極移動機構160と、第1電極間距離可変機構170と、第2電極間距離可変機構180と、を備える。
本実施形態では、下側電極130、上側電極140、上側電極支持部材150、上側電極移動機構160、及び第1電極間距離可変機構170は、それぞれ、2つずつ設けられている。
【0030】
下側電極130は、
図4及び
図5に示すように、レール状(ブロック状)に形成され、床面101に配置されている。複数の下側電極130は、互いに平行に延びる。本実施形態では、2つの下側電極130が配置されている。本実施形態では、下側電極130は、床面101に配置された後述の第2電極間距離可変機構180を介して床面101に配置されている。
【0031】
上側電極140は、下側電極130それぞれの上方に配置されている。上側電極140は、円盤状に形成され、円盤の周方向(回転方向)が下側電極130の延びる方向に沿うように配置される。
上側電極支持部材150は、上側電極140を、下側電極130の延びる方向に回転可能に支持する。本実施形態では、上側電極支持部材150は、上側電極140の側方にそれぞれ配置され、上側電極140の回転中心に連結され水平方向に延びる軸部材151と、この軸部材151を回転可能に支持する本体部152と、を備える。
【0032】
上側電極移動機構160は、上側電極支持部材150を下側電極130の延びる方向に移動させる。上側電極移動機構160は、例えば、上側電極支持部材150の上方に配置されて下側電極130の延びる方向と同じ方向に延びると共に上側電極支持部材150を支持するレール部材により構成される。
【0033】
第1電極間距離可変機構170は、下側電極130と上側電極140との間の距離を可変させる。第1電極間距離可変機構170は、例えば、下端側が上側電極支持部材150に連結され上端側が上側電極移動機構160に連結されるピストンロッド171と、このピストンロッド171を上下方向に進退させるシリンダ(図示せず)と、により構成される。
【0034】
第2電極間距離可変機構180は、下側電極130と底面との間に介在して配置され、複数の下側電極130の間の距離W及び複数の上側電極140の間の距離Wを可変させる。第2電極間距離可変機構180は、床面101に設置される基台181と、この基台181の上面に配置される固定テーブル182及び可動テーブル183と、を備える。
【0035】
基台181は、床面101に固定される。固定テーブル182は、基台181の上面に固定される。可動テーブル183は、基台181に対してスライド移動可能に設置される。
本実施形態では、上述の2つの下側電極130のうちの一方は、固定テーブル182の上面に固定され、他方は可動テーブル183の上面に固定される。また、2つの上側電極移動機構160及び第1電極間距離可変機構170のうちの一方は、支持フレーム190を介して固定テーブル182の上面に固定され、他方は支持フレーム190を介して可動テーブル183の上面に固定される。
可動テーブル183は、下側電極130の延びる方向に直交する方向Xにスライド移動する。これにより、2つの下側電極130の間の距離W及び2つの上側電極の間の距離Wを変更させられる。
【0036】
(真空装置3)
次に、真空断熱パネル製造装置2の真空装置3について説明する。
図6は、真空断熱パネル製造装置2の真空装置3を説明する図である。真空装置3は、真空吸引部200と、レーザ溶接部300とを備える。図中、わかりやすいように一部断面で示すが、必ずしも全体を断面で示すわけではない。
【0037】
(真空吸引部200)
真空吸引部200は、底部が開口しているチャンバ210と、チャンバ210内に設けられた封止材昇降機構250とを備える。
【0038】
(チャンバ210)
チャンバ210は底部が開口(開口部211)している。その開口部211の外周には、パッキン217が円周方向の全周に亘り配置されている、このパッキン217と第2金属板30の表面とが密着することでシール性が保たれ、真空引きが可能となっている。
【0039】
チャンバ210の底部の外周には、外径側に延びるフランジ部212が設けられている。フランジ部212の外周には、上方に延びる柱部材218が固定されている。柱部材218は、
図6においては左右対称に2本取り付けられているように示すが、実施形態では周方向に均等に3か所に取り付けられている。
柱部材218の上端は、封止材昇降機構250を保持する上板219に固定されている。上板219は、円環状で中央部に円形の上板開口部220が設けられている。
【0040】
チャンバ210の上部の中央には窓213が設けられ、窓213には、石英ガラス214が取り付けられている。チャンバ210の側部にはチャンバ排気穴215が設けられている。チャンバ排気穴215には配管216が接続され、配管216には図示しない真空ポンプが接続されている。
【0041】
封止材昇降機構250は、封止材60を保持する保持プレート251と、保持プレート251を下端で支持する支持棒253と、支持棒253の上端が固定された昇降プレート255と、昇降プレート255と螺合された昇降棒258と、昇降棒を回転する鎖歯車260,鎖261,回転ノブ262と、を備える。
【0042】
(保持プレート251)
保持プレート251は、中央に穴252の開いた円環状で、磁石が内部に取り付けられている。上述のように封止材60は磁性体で製造されているので、保持プレート251は封止材60を磁力で保持することができる。
なお、保持プレート251の磁力は、作業者が手で簡単に保持プレート251から封止材60を脱着可能な程度である。
【0043】
保持プレート251には、円周に沿った3か所に支持棒253が取り付けられている。支持棒253は、
図6においては左右対称に2本取り付けられているように示すが、実施形態では周方向に均等に3か所に取り付けられている。支持棒253は、上方に延び、上端は昇降プレート255に取り付けられている。
支持棒253は、チャンバ210の上面の石英ガラス214の周囲の3か所を、チャンバ210の気密状態を保持しつつ上下動可能に挿通されている。
【0044】
(昇降プレート255)
昇降プレート255は、中央に穴256の開いた円環状で、保持プレート251を支持する支持棒253が固定されている個所の外周側には、ねじ穴257が設けられている。
図6においては左右対称に2か所にねじ穴257が設けられているように示すが、実施形態では周方向に均等に3か所に取り付けられている。
【0045】
昇降プレートのねじ穴257には、外周がねじ切りされた昇降棒258が螺合している。昇降棒258も、
図6においては左右対称に2か所に設けられているように示すが、実施形態では周方向に均等に3か所に設けられている。
【0046】
昇降棒258は、上板219に設けられた孔259を貫通し、上板219に対して、回転可能且つ上下動不能に保持されている。
昇降棒258の上端には、鎖歯車260が取り付けられている。3本の昇降棒258の鎖歯車260の間には鎖261が架け渡されている。鎖261は、鎖歯車260との歯車と噛み合っている。昇降棒258のうちの1つの、鎖歯車260の上部には、回転ノブ262が取り付けられている。
【0047】
(レーザ溶接部300)
上述した真空吸引部200の外側を覆うような形で、枠部材301が配置されている。枠部材301は、ベース部材302と、ベース部材302の外周部より上方に延びる柱部材303と、柱部材303の上端に固定された上枠部304とを備え、連結棒306で真空吸引部200と固定されている。
上枠部304と柱部材303を固定しているナット307とバネ308の作用により、ナット307を時計方向または反時計方向に回すと上枠部304が上下に移動し、封止前の真空断熱パネル1の固定ならびに封止後の真空断熱パネル1の開放が可能な構造となっている。上枠部304の中央には円形の穴305が設けられている。
上枠部304の上部には、レーザ溶接部300が配置されている。レーザ溶接部300はレーザ照射部310を備える。レーザ照射部310は、真空装置3の軸線Aを中心として回転可能である。すなわち、軸線Aを中心とした所定径の円周に沿って移動可能である。
【0048】
上述した上板開口部220、窓213、穴252、及び石英ガラス214は、軸線Aを中心として配置されており、軸線Aを中心として回転可能なレーザ照射部310から発射されたレーザ光は、上板開口部220を通って石英ガラス214を透過し、穴252を通過し、封止材60と補強材50とを溶接する。
【0049】
なお、上板開口部220、窓213、穴252、及び石英ガラス214の径は、排気口32の径より、一定の幅大きく、例えば補強材50の外径程度で、後述するように、封止材60と補強材50とをレーザ溶接する際に、レーザ光の光路を邪魔することがない。
【0050】
(真空断熱パネル1の製造方法)
次に、真空断熱パネル製造装置2を用いた真空断熱パネル1の製造方法について説明する。
図7は、真空断熱パネル製造装置2を用いた真空断熱パネル1の製造方法を説明する図である。
真空断熱パネル1の製造方法は、補強材50と第2金属板30との溶接を含んだ重ね合わせ工程と、シーム溶接工程と、真空引き工程と、レーザ溶接工程と、切断工程と、を備える。
【0051】
(重ね合わせ工程)
図7(a)は、重ね合わせ工程を説明する図である。
まず、膨出部21が形成された第1金属板20を膨出部21が下方を向くように配置し、その第1金属板20の上面の凹部に芯材10を収容する。
芯材10の上に、予め溶接により補強材50が取付けられた第2金属板30を膨出部31が上側を向くように重ね合わせて積層体1Aを形成する。この際、補強材50は第2金属板30の膨出部側(外面)に取付けられており、且つ補強材50の開口部51と第2金属板30の排気口32とは穴と中心の位置がほぼ一致するように円周溶接されている。このため、パネル1真空断熱パネル1の製造における真空引き工程では、補強材50の開口部51より真空引きを行う。
尚、本実施形態においては、第2金属板30と補強材50がレーザ溶接により溶接されているので、重ね合わせ工程において排気口32と開口部51の位置ズレなどの発生が防止でき、最終レーザ封止工程において位置合せの必要がなくなる。
【0052】
(シーム溶接工程)
図7(b)はシーム溶接工程を説明する図である。シーム溶接工程では、重ね合わせ工程で製造された積層体1Aにおける、第1金属板20及び第2金属板30の縁部(4辺)をシーム溶接する。縁部は、膨出部21,31よりも外側で、内部に芯材10が含まれていない部分である。このシーム溶接工程は、大気中で行われる。
【0053】
シーム溶接は、
図4及び
図5に示すシーム溶接装置100により行われる。
まず、重ね合わせ工程で製造された積層体1Aをシーム溶接装置100にセットする。
具体的には、
図4においての可動テーブル183をスライド移動させて、2つの下側電極130の間の距離を、シーム溶接する2つの辺L1(
図5に図示)の間の距離に一致させておく。
そして、積層体1Aをシーム溶接する2つの辺L1が下側電極130の上面に位置するように配置する。
【0054】
次いで、シーム溶接装置100により2つの辺L1をシーム溶接する。
具体的には、まず、第1電極間距離可変機構170により2つの上側電極140を下降させてそれぞれ下側電極130との間に第1金属板20及び第2金属板30を挟み込む。
上側電極移動機構160により2つの上側電極140をそれぞれ下側電極130の延びる方向に同時に回転移動させつつ、第1金属板20と第2金属板30とをシーム溶接する。
これにより、第1金属板20及び第2金属板30の互いに対向する2つの辺L1が同時にシーム溶接される。
【0055】
次いで、シーム溶接装置100により、辺L1と直交する2つの辺L2を、上記L1と同様にシーム溶接する。このとき、辺L1の溶接ラインと、辺L2の溶接ラインとが交差するようにする。
これにより、第1金属板20及び第2金属板30の互いに対向する2つの辺L1と、それと直交し且つ互いに対向する辺L2とがシーム溶接される。
以上のシーム溶接工程により、内部が真空にされていないパネル1Bが製造される。
【0056】
(真空引き工程)
図7(c)は真空引き工程を説明する図である。
まず、保持プレート251に封止材60を装着する。このとき、保持プレート251はチャンバ210の開口部211よりも上方に位置している。また、封止材60の中心が軸線Aに来るようにする。このとき、封止材60は磁性体で製造されており、保持プレート251の磁力により、容易に着脱可能である。
【0057】
シーム溶接工程により製造された、内部が真空にされていないパネル1Bを、枠部材301のベース部材302の上におけるチャンバ210の下に配置する。そして、ナット307を締めることにより枠部材301を使って固定する。このとき、パネル1Bの排気口32の中心が、装置の軸線A上に来るようセットし、均一にパネル1Bを圧下するように固定する。
この際、チャンバ210の底部には、パッキン217が取り付けられているので、パネル1Bの第2金属板30の上面との密閉性がよい。
チャンバ210のチャンバ排気穴215に接続された図示しない真空ポンプを作動させ。チャンバ210内が目標真空度以下になるまで真空引きを行う。
【0058】
なお、この真空引きを行う際に、一旦真空ポンプのバルブを絞って吸気量を減らすと共に、封止材60を一旦下降させて補強材50の開口部51に近接させ、その状態で真空引きを開始するようにしてもよい。
真空引きの初期は急激な圧力変化により乱気流が発生し、芯材10の例えばグラスウール等が飛び散る可能性があるが、このように、乱気流が発生する可能性のある真空引きの初期において、吸気量を減らし急激な圧力低下を防止しつつ封止材60と開口部51との距離を近接させることにより気流が安定するので、このような内容物の飛び散り等の可能性が低減される。気流が安定した後、真空引きに支障がないように真空ポンプのバルブを完全に開き、また、封止材60を上昇させる。
真空引き初期の開口部51と封止材60との間の距離(近接させた状態の距離)は、乱気流によるグラスウールの飛散を防止する観点から、0.5mm〜3.0mmであることが好ましい。
【0059】
目標真空度到達後、
図7(d)に示すように、封止材60を降下させて開口部51を塞ぐ。ここで、封止材60の降下は以下のように行う。
図6に示す回転ノブ262を回転する。そうすると、鎖261により回転力が伝達され、鎖歯車260がそれぞれ回転する。鎖歯車260が回転すると、鎖歯車260に連結した昇降棒258も回転し、昇降棒258のねじ部と螺合している昇降プレート255が上下動する。昇降プレート255が下降すると、昇降プレート255に支持された支持棒253及び支持棒253の下端に支持された保持プレート251が降下し、保持プレート251に保持された封止材60も降下する。そして、降下した封止材60を補強材50側に押圧する。この押圧により、降下した封止材60と、補強材50と第2金属板30とが重ねられた部分とは、隙間なく押さえられた状態になる。
【0060】
(レーザ溶接工程)
その後、レーザ溶接部300のレーザ照射部310より、封止材60と、補強材50とにレーザを照射する。レーザの照射は、レーザ照射部310を回転させることにより、排気口32の周囲に全周に亘って行う。
ここで、降下した封止材60と、補強材50との他に、第2金属板30が配置されているが、本工程においては封止材60と補強材50のみを接合し、第2金属板が溶融しない条件でレーザ溶接する。
先述したように予め重ね合わせ工程で、第2金属板30と補強材50は接合されているので、本工程においては封止材60で補強材50の開口部51を封止するだけでよい。
封止材60と補強材50と第2金属板30の3枚を重ねて溶接する事も可能であるが、この場合、第2金属板30は薄いので、貫通しやすく、レーザがパネル内部の芯材10まで到達し焼き付きダメージを与える可能性もあり好ましくない。本実施形態であれば最終封止が封止材60と補強材50の2枚重ね溶接で済み、板厚も厚めのためレーザ溶接で安定して封止が可能となる。
レーザ照射部310より照射されたレーザ光により、封止材60と、補強材50とが重ねられた部分は、円周溶接され、第1金属板20及び第2金属板30により挟まれて芯材10が配置されている内部空間を完全封止することが可能であり、これにより真空断熱パネル1が完成する。
【0061】
降下した封止材60と、補強材50をレーザ溶接した後、真空を解除し、回転ノブ262を下降時と逆回転することで保持プレート251を上昇させる。
【0062】
(切断工程)
切断工程では、レーザ溶接工程を経て内部空間が封止された真空断熱パネル1を、枠部材301のナット307を緩めて真空装置3から取り外し、真空断熱パネル1の外周部における余剰部分を切断し、真空断熱パネル1が完成する。
【0063】
(実施例)
以下の条件の下、上述の製造方法により、実際に900mm×900mm×厚さ5.0mmの真空断熱パネル1を製造した。芯材10として、約1200g/m
2の目付のグラスウールを用い、第1金属板20及び第2金属板30を重ね合わせた際に、後述の膨出部の内面側をすき間なく充填できる寸法の物を使用した。
第1金属板20及び第2金属板30として、SUS304の鋼板を用いた。寸法は920mm×920mm×0.1mmである。そして、第1金属板20及び第2金属板30に、890mm×890mm×5.0mmの膨出部21,31をそれぞれプレス成形により作製した。
第2金属板30の膨出部31の中央の排気口32は、直径20mmとした。
補強材50及び封止材60としては、磁性体であるSUS430を用いた。寸法は、補強材50が厚さ0.3mm、外径寸法120mm、封止材60は厚さ0.3mm、外径寸法60mmのものを用いた。補強材50の開口部51は、第2金属板30に設けた排気口32と同一となる直径20mmとした。
【0064】
シーム溶接装置100としては単相交流式を用いた。上側電極は、直径100mmで厚さ4mmの電極先端部がフラットの円盤状である。下側電極は、厚さ4mm、高さ50mm、長さ250mmで電極先端部の曲率が20Rの円盤状のものである。溶接条件は、加圧力250N、溶接速度1m/min、溶接電流1.6kA、通電時間のON/OFF比は、3ms/2msである。
【0065】
チャンバ210の開口部211の外径は100mm程度であり、パッキン217は厚さ20mmのシリコンゴム製である。
石英ガラス214は、波長1μmのレーザ光が透過可能な外径40mmの円形の石英ガラスを用いた。
【0066】
レーザ溶接部300は、IPG社製のファイバーレーザ溶接機を用い、溶接条件は、溶接速度:10m/min、出力:1kW、レーザスポット径:φ0.2mm、レーザ発振方式は連続発振方式とした。
【0067】
上述の条件の下、真空断熱パネル1を製造し、その性能評価を実施した。
真空断熱パネル1の性能は、英弘精機社製の熱伝導率測定装置(型式:FOX200)を用い、真空断熱パネル1の中央部の平均温度が25℃となる条件で熱伝導率を測定し評価した。
同様の条件で3体の真空断熱パネル1を試作し、熱伝導率を測定した結果、いずれのサンプルも熱伝導率は2.5〜3.0mW/m・Kの範囲に収まっており、断熱性能に優れ耐熱性にも優れたステンレス製の真空断熱パネル1を試作可能な事が確認できた。
【0068】
(効果)
(1)本実施形態で封止材60と補強材50とは、レーザ溶接するので、ロウ付けのような溶接個所の加熱が必要なく、石英ガラス214を通してチャンバ210の外部より照射可能である。したがって、チャンバ210内に、加熱部等を配置する必要がなく、チャンバ210の小型化が可能であり、真空断熱パネル1の製造コストを削減することができる。このため、安価に且つ性能を落とすことなく高性能な真空断熱パネルを製造することができる。
【0069】
(2)このようにチャンバ210は小型化が可能であるので、パネル1Bの排気口32を含む一部分を被せるように配置するコンパクトな形状にすることができ、排気が容易で手間がかからず、コスト削減と共に、操作時間の短縮も可能である。
【0070】
(3)例えば、補強材50が第2金属板30の内側にあり、補強材50と第2金属板30とが溶接されていない場合、開口部51と排気口32との位置がずれる可能性がある。位置ずれの程度によっては、排気口32が塞がれてしまうため、真空引き工程において真空排気の所要時間が長時間化することがある。そのため、真空引き工程の直前に、補強材50の位置を確認する作業が必要である。また、実際に位置ずれを起こしていると、製造工程を中断して第2金属板30の内側にある補強材50の位置を手作業で修正することになり、手間と時間が掛かかる。
しかし、本実施形態では、補強材50の開口部51と、第2金属板30の排気口32の中心部とが一致するようにして、補強材50と第2金属板30との円周が溶接されている。このため、重ね合わせ工程の過程で補強材50が位置ずれを起こしてしまうことがない。
ゆえに、真空引き工程における真空排気の所要時間が長時間化する可能性がない。真空引き工程の直前の、補強材50の位置の確認作業が不要である。さらに位置ずれの可能性がないので、製造工程を中断して第2金属板30の内側にある補強材50の位置の修正という手作業が発生しない。
なお、補強材50と第2金属板30とを溶接していない場合であっても、本実施形態では、補強材50が第2金属板30の外側に出ている。このため、補強材50が位置ずれを起こしていても、補強材50の位置確認は容易であり、位置の修正作業も簡単である。
【0071】
(4)本実施形態の真空断熱パネル1の製造方法によると、本実施形態では、予め、重ね合わせ工程で、第2金属板30と補強材50は接合されているので、レーザ溶接工程においては、封止材60と補強材50の2枚を溶接して排気口を塞げばよいことになる。
補強材50は第2金属板30よりも厚いので、封止材60を降下させて押圧する相手の部材は、第2金属板30よりも板厚が大きい補強材50であったほうが隙間なく密着させることができ、レーザ溶接による封止がやりやすい。
さらに、第2金属板30がレーザにより貫通してしまう可能性も少ない。
【0072】
(5)第1金属板20と第2金属板30との間に芯材10が配置されている部分より真空引きを行う。したがって、真空引きにより第1金属板20と第2金属板30とが接触して排気通路が塞がれることがない。
【0073】
(6)封止材60を磁性体で製造し、磁石を含む保持プレート251によって保持するので着脱が容易である。
【0074】
(7)レーザ照射部310は、軸線Aを中心として回転させる。すなわち、軸線Aを中心とした所定径の円周に沿って移動させので、排気口32の外周を円形溶接することができる。
【0075】
(8)チャンバ210の底部には、パッキン217を取り付けるので、パネル1Bの第2金属板30の上面との密閉性がよい。
【解決手段】本発明の真空断熱パネル1の製造方法は、断熱性を有する芯材10の一面側に第1金属板20を重ね、芯材10の他面側に、芯材10から順に、排気口32が設けられた第2金属板30と、開口部51が設けられた補強材50とを、排気口32と開口部51とが重なるように重ね合わせと、第1金属板20及び第2金属板30における芯材10よりも外周側を溶接し、排気口32及び開口部51を通じて、第1金属板20及び第2金属板30により挟まれて芯材10が配置されている内部を真空引きし、真空引き工程により内部が真空引きされた状態で、排気口32及び開口部51を封止材60により塞ぎ、封止材60と補強材50と、又は封止材60と補強材50と第2金属板30と、をレーザ溶接する。