(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一対の熱電対素線及び前記熱電対素線を保持するための絶縁粉末をシース内に収容し、前記シースの先端に封止部材を溶接することで前記シースの先端の開口部が封止されたシース熱電対と、
温度測定対象物に溶接され、前記シース熱電対を前記温度測定対象物の表面に保持するパッドと、を備え、
前記一対の熱電対素線で形成された測温接点が前記シース熱電対の先端部のシース側面に露出して設けられ、
前記パッドは、前記温度測定対象物の表面に沿って抜き差し可能に前記シース熱電対の先端部を収容する収容部を備え、
前記収容部は、前記測温接点と前記温度測定対象物の表面とが当接した状態で前記シース熱電対の先端部を収容し、
前記シース熱電対は、一端に前記先端部を有する第1棒状部と、
前記第1棒状部の他端に繋がり、前記温度測定対象物に当接した状態で前記第1棒状部の延長方向に交差する方向に延びている第2棒状部と、を含み、
前記第2棒状部を、前記温度測定対象物の表面に固定することによって、前記第1棒状部が、長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止する固定板をさらに備えている
パッド付き熱電対。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のパッド付き熱電対によれば、熱電対素線を外部環境から保護しつつ、測温接点が、測定対象物に直接接触している。これによって、周囲温度の影響を受け難くなることから、測定対象物の表面温度を精度良く測定することができる。
また、上記特許文献2に記載のパッド付き熱電対によれば、金属製パッドに溶接されたガイドチューブにシース熱電対を挿入する構成となっており、シース熱電対を容易に脱着することができる。
【0005】
一般に、熱電対は長期に亘って高温環境にさらされるため、経年変化による特性の劣化が生じることがある。このような経年変化による特性の劣化が生じた熱電対については、測定精度を維持するために交換する必要がある。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載のパッド付き熱電対では、一対の熱電対素線の先端が、金属製パッド表面に形成された穴を密封するように溶接されて、測温接点となっている。さらに、この金属製パッドは、測温接点が測定対象物の表面に接触するように、測定対象物の表面に溶接固定されている。
このため、シース熱電対が劣化して交換が必要な場合、溶接固定された金属製パッドを測定対象物から取り外した上で、熱電対素線を取り外さなければならず、手間がかかる。
【0007】
さらに、溶接により固定された金属パッドを測定対象物から取り外す場合、測定対象物である配管や容器に対して熱影響を与えたり破損を生じさせたりするおそれがある。
このため、金属製パッドを取り外した後の配管や容器等の性能に問題がないか否かを評価するための試験を行わなければならないことから、実際には金属製パッドを取り外すことは行わず、新しくパッド付き熱電対を取り付けることが一般的である。
【0008】
従って、上記特許文献1に記載のパッド付き熱電対では、シース熱電対が劣化して交換が必要な場合であっても、パッド付き熱電対全体を、交換が必要になるパッド付き熱電対と干渉しない表面位置に作り直さなければならなかった。
【0009】
一方、上記特許文献2に記載のパッド付き熱電対によれば、シース熱電対を容易に脱着することができるため、特許文献1のような問題は生じない。
しかし、特許文献2のシース熱電対は、ガイドチューブに挿入され、当該ガイドチューブと金属製パッドとが測定対象物との間に介在した状態で温度測定を行うように構成されており、上記特許文献1に記載のパッド付き熱電対のように、測温接点が測定対象物に直接接触していないので、周囲温度の影響を受け易く、測定対象物の表面温度の測定精度が低下するおそれがある。
【0010】
このように、従来のパッド付き熱電対によれば、周囲温度の影響を受け難くして、測定対象物の表面温度を精度よく測定することと、容易に熱電対を交換できるという保守性の向上とを両立させることが困難であった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、精度よく温度測定しつつ、保守性を向上させることができるパッド付き熱電
対を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明のパッド付き熱電対は、少なくとも一対の熱電対素線及び前記熱電対素線を保持するための無機絶縁粉末をシース内に収容し、前記シースの先端に封止部材を溶接することで前記シースの先端の開口部が封止されたシース熱電対と、温度測定対象物に溶接され、前記シース熱電対を前記温度測定対象物の表面に保持するパッドと、を備え、前記一対の熱電対素線で形成された測温接点が前記シース熱電対の先端部のシース側面に露出して設けられ、前記パッドは、前記温度測定対象物の表面に沿って抜き差し可能に前記シース熱電対の先端部を収容する収容部を備え、前記収容部は、前記測温接点と前記温度測定対象物の表面とが当接した状態で前記シース熱電対の先端部を収容している。
【0013】
上記のように構成されたパッド付き熱電対によれば、測温接点がシース熱電対の先端部のシース側面から露出して設けられるとともに、測温接点と測定対象物の表面とが当接した状態でシース熱電対の先端部が収容部に収容されるので、周囲温度の影響を受け難くなることから、測定対象物の表面温度を精度良く測定することができる。その上、シース熱電対の先端部はパッドの収容部に抜き差し可能に収容されているので、先端部を収容部から抜けば、パッドからシース熱電対を容易に取り外すことができる。
以上のように、上記構成のパッド付き熱電対によれば、測定対象物の表面温度を精度良く測定しつつも、容易に熱電対を交換することができるため、保守性を向上させることができる。
【0014】
(2)上記パッド付き熱電対において、前記シース熱電対の先端部のシース側面には、前記測温接点を露出させるための孔部が形成され、前記孔部は、前記封止部材が溶接されている前記シース先端の端面から所定の間隔をおいて形成され、前記測温接点は、前記一対の熱電対素線の先端を互いに溶接してなる溶接部により構成され、該溶接部により、前記孔部は封止されていることが好ましい。
この場合、封止部材から離れたところに測温接点を形成することができるので、封止部材をシースの先端面に固定する際に、測温接点に及ぶ熱による変質等の影響を緩和することができる。
【0015】
(3)また、上記パッド付き熱電対において、前記シース熱電対は、一端に前記先端部を有する第1棒状部と、前記第1棒状部の他端に繋がり、前記温度測定対象物に当接した状態で前記第1棒状部の延長方向に交差する方向に延びている第2棒状部と、を含み、シースを固定する固定板で、前記第2棒状部を、前記温度測定対象物の表面に固定していてもよい。
この場合、固定板によって、第1棒状部が当該第1棒状部の長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止することができる。この結果、測温接点を確実に測定対象物の表面に当接させることができる。
【0016】
(4)上記パッド付き熱電対において、前記先端部の外周形状が、円形とは異なる異形形状であり、前記収容部は、内周形状が前記先端部の外周形状に対応する形状とすることで、前記先端部が長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止するように構成してもよい。なお、前記収容部の内周形状とは、該収容部の径方向断面における内周の形状を指す。また、前記先端部の外周形状とは、前記シースの径方向断面における外周の形状を指す。
【0017】
(5)また、上記パッド付き熱電対において、前記収容部の内周形状、及び前記シース熱電対の先端部の外周形状は、楕円などの円形以外の閉曲線形状、半円形、及び多角形のいずれかに形成され、前記収容部の内周面と前記シース熱電対の先端部の外周面との間に間隙ができないように、前記収容部の内周形状と前記シース熱電対の先端部の外周形状を同じくして嵌合するように収容してもよい。
この場合、前記収容部は、前記シース熱電対の先端部が長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止することができる。この結果、測温接点を確実に測定対象物の表面に当接させることができる。
【0018】
(6)また、上記(1)から(5)に記載のパッド付き熱電対に用いられる前記シース熱電対を製造する製造方法は、少なくとも前記一対の熱電対素線及び前記熱電対素線を保持するための前記無機絶縁粉末を第1シース部材の内部に収容したシース熱電対素材から、第1シース部材の先端部分、及び前記第1シース部材の先端部分内部の前記無機絶縁粉末を除去し、前記一対の熱電対素線の先端部を露出させる工程と、前記第1シース部材に突き合わせて接続される第2シース部材の側面に、前記第2シース部材の内外を連通する孔部を形成する工程と、前記一対の熱電対素線の先端部を前記第2シース部材の内側から前記孔部に挿通する工程と、前記第1シース部材の端面と、前記第2シース部材の一端面とを突き合わせて溶接することで前記シースとし、前記孔部において前記一対の熱電対素線の先端を互いに溶接することで前記孔部を通じて前記第2シース部材の外側に向けて露出した前記測温接点を形成するとともに、溶接によって前記孔部を封止した後、前記シースの先端の開口部から前記第2シース部材の内部に前記無機絶縁粉末を充填する工程と、前記シースの先端の開口部に前記封止部材を溶接することで前記開口部を封止する工程と、を含む。
【0019】
上記のように構成されたシース熱電対の製造方法によれば、一対の熱電対素線の先端部を露出させ、第2シース部材に形成した孔部において一対の熱電対素線を互いに溶接することで孔部から露出した測温接点を形成した後に、第1シース部材と第2シース部材とを溶接するので、例えば、一対の熱電対素線を外部に露出させることなく、シースの内部で一対の熱電対素線を取り扱って作業を行う場合と比較して、シースの側面に露出した測温接点を形成する際の作業性が良いことから、製造効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、精度よく温度測定しつつ、保守性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るパッド付き熱電対を示す図である。
図1中、パッド付き熱電対1は、表面温度の測定対象である温度測定対象物としての円筒状の配管Pに取り付けられている。
【0023】
パッド付き熱電対1は、パッド2と、パッド2から延びているシース熱電対3とを備えている。
パッド2は、ステンレス鋼や、耐熱鋼等によって形成された部材であり、シース熱電対3の先端部4を内部に収容することでシース熱電対3を配管Pの表面p1に保持している。
【0024】
シース熱電対3は、配管Pの表面温度を測定するための温度センサを構成している。シース熱電対3は、一端に先端部4を有しているとともに配管Pの表面p1に沿って配管Pの軸方向に棒状に延びている第1棒状部3aと、一端が第1棒状部3aの他端に繋がり、配管Pの表面p1に沿って第1棒状部3aの延長方向に交差する方向に棒状に延びている第2棒状部3bと、一端が第2棒状部3bの他端に繋がり、配管Pの表面p1に沿って配管Pの軸方向に棒状に延びている第3棒状部3cとを含んで構成されている。
【0025】
各棒状部3a,3b,3cは、一本の棒状のシース熱電対を所定部分で折り曲げることで形成されている。
各棒状部3a,3b,3cは、配管Pの表面p1に接触した状態で配置されている。
【0026】
第1棒状部3aは、先端部4がパッド2に収容されていることで、配管Pの表面p1に保持されている。また、第2棒状部3bは、表面p1に溶接固定された第1シース固定板5により配管Pの表面p1に保持されている。第3棒状部3cは、表面p1に溶接固定された第2シース固定板6により配管Pの表面p1に保持されている。
このように、シース熱電対3は、パッド2の他、両シース固定板5,6によって配管Pの表面p1に保持されている。
こうすることで、シース熱電対3の測温接点が軸心を中心に回転してずれることがないため、測温接点を配管Pの表面p1に確実に接触させることができる。
【0027】
両シース固定板5,6は、ステンレス鋼等によって形成された板材であり、一端が配管Pの表面p1に溶接固定され、第2棒状部3b及び第3棒状部3cを表面p1側に押圧するような形状に形成されている。これにより、両シース固定板5,6は、第2棒状部3b及び第3棒状部3cを表面p1に保持している。
【0028】
なお、両シース固定板5,6の一端には溶接部5a,6aが形成されており、両シース固定板5,6の一端は、表面p1に溶接固定されている。一方、両シース固定板5,6の他端は、表面p1に溶接固定されておらず、自由状態とされている。さらに、両シース固定板5,6は、容易に変形可能な程度の板厚とされている。
これにより、両シース固定板5,6を、外力を加えて開くように変形させて第2棒状部3b及び第3棒状部3cに対する保持を解除し、シース熱電対3をパッド2及び配管Pから容易に取り外すことができる。
再度、シース熱電対3を取り付けるときには、第1棒状部3aの先端部4をパッド2に収容して、配管Pの表面p1に接触させ、第2棒状部3b及び第3棒状部3cを保持するように両シース固定板5,6を、外力によってもとの状態に変形させる。これによって、一度取り外したシース熱電対3を再度取り付けることができる。
【0029】
図2は、パッド付き熱電対1のパッド2近傍の断面図であり、
図3は、
図2中、A−A線矢視断面図である。
【0030】
パッド2には、シース熱電対3の先端部4を覆うように収容している収容部2aが形成されている。
シース熱電対3において、収容部2aに収容されている部分である先端部4は、収容部2aに収容された状態で、配管Pの表面p1に当接している。
【0031】
シース熱電対3は、一対の熱電対素線10a,10bと、これら一対の熱電対素線10a,10bの先端を互いに接続している測温接点10cと、熱電対素線10a,10bを内部に収容するシース11と、シース11内に充填されている無機絶縁粉末12と、シース11の先端の開口部を封止している封止部材13とを備えている。
【0032】
シース11は、例えば、ステンレス鋼や耐熱合金で形成された円筒管状の部材であり、内部に収容している熱電対素線10a,10bを外部環境から保護している。
なお、シース11は、後述するように封止部材13が固定されているスリーブ30(第2シース部材)と、シース21(第1シース部材)とを接続することで構成されている。
【0033】
無機絶縁粉末12としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)や、酸化アルミニウム(Al
2O
3)等の無機材料粉末が用いられる。無機絶縁粉末12は、シース11内部に充填されることで、熱電対素線10a,10bをシース11内部で保持している。
【0034】
このように、シース熱電対3は、熱電対素線10a,10bをシース11内に収容した構成で延びている。よって、シース熱電対3の第2棒状部3bや第3棒状部3cにおいても、同様の構成である。
【0035】
封止部材13は、ステンレス鋼や耐熱合金で形成された円板状の部材であり、シース11の先端面11aに溶接固定されている。これにより封止部材13は、シース11内部の無機絶縁粉末12が外部に漏れ出ないように、シース11の先端面11aの開口部11dを密閉している。
熱電対素線10a,10bは、無機絶縁粉末12と封止部材13によって外部雰囲気から遮断され、機械的な衝撃や腐食性雰囲気の外部環境から保護される。また、外部からの湿気の侵入で、無機絶縁粉末の絶縁が低下することによって測定誤差が生じるのを防止する。
【0036】
また、シース熱電対3の先端部4におけるシース11の側面11cには、孔部11bが形成されている。孔部11bは、封止部材13が溶接されている先端面11aから軸方向に所定の間隔を置いて形成されている。孔部11bは、シース11の内外を連通するように形成されている。孔部11bは、シース11の側面11cの内、配管Pの表面p1に当接している当接面11c1に形成されている。
【0037】
一対の熱電対素線10a,10bは、上述したように、シース11の長手方向に沿ってシース11内部に収容されている。一対の熱電対素線10a,10bの内、例えば、一方の熱電対素線10aがプラス側の熱電対素線を構成する場合、他方の熱電対素線10bがマイナス側の熱電対素線を構成する。
【0038】
測温接点10cは、配管Pの表面p1の温度を検出するための部材で、一対の熱電対素線10a,10bの先端を互いに溶接してなる溶接部により構成されている。また該溶接部は、孔部11bを封止しており、シース11内部の無機絶縁粉末12が漏れ出るのを防止している。
【0039】
このように、測温接点10cは、シース11の内部側から孔部11bを通じてシース11の外部側に向けて露出して設けられている。孔部11bは、上述のように配管Pの表面p1に当接している当接面11c1に形成されている。よって、測温接点10cは、当接面11c1に露出して設けられている。
【0040】
また、測温接点10cは、配管Pの表面p1に当接するように形成されている。
このため、シース熱電対3は、測温接点10cがシース11の当接面11c1に露出して設けられ、配管Pの表面p1に当接しているので、配管Pの表面温度を精度良く測定することができる。
【0041】
パッド2は、内部に収容部2aが形成された中空のほぼ円柱状の部材であり、接触面2bを配管Pの表面p1に接触させた状態で溶接固定されている。
パッド2と配管Pとは、互いの境界部に沿って外側から溶接されている。よって、パッド2の表面と表面p1との間の境界部分には、パッド2の長手方向に沿って溶接ビードBが形成されている。
【0042】
パッド2の内部に形成されている収容部2aは、シース11の径方向断面における外周の形状(以降、外周形状と称す)に対応する形状とされており、収容部2aの径方向断面における内周の形状(以降、内周形状と称す)がほぼ円形で、孔状に形成されている。また、収容部2aの内周形状とシース11の外周形状は、軸方向に渡って同じ形状であり、さらに、収容部2aの内径寸法Dは、シース11との間で抜き差し可能な程度のクリアランスが形成される寸法に設定されている。これによって、収容部2aは、シース熱電対3の先端部4を配管Pの表面p1に沿って抜き差し可能に収容している。
【0043】
また、パッド2の接触面2b側には、シース11の長手方向に沿って開口している露出開口部2cがスリット状に形成されている。
この露出開口部2cによって、収容部2aは、シース11の側面11cを配管Pに対して露出させ、シース11から露出している測温接点10cと配管Pの表面p1とが当接した状態でシース熱電対3の先端部4を収容している。
【0044】
ここで、露出開口部2cの幅寸法W(
図3)は、収容部2aの内径寸法Dよりも小さい寸法に設定されている。これにより、例えば、露出開口部2cの幅寸法Wが内径寸法D以上の場合と比較して、収容部2aの内周形状は、シース11の外周形状に対応した形状となり、収容部2aは、シース11の当接面11c1により近い位置まで側面11cを保持することができる。この結果、収容部2aは、シース11の側面11cをより広い範囲で保持することができ、より安定してシース11(シース熱電対3)を保持することができる。
【0045】
上記構成のパッド付き熱電対1によれば、測温接点10cがシース熱電対3の先端部4の側面11c(当接面11c1)に露出して設けられるとともに、測温接点10cと配管Pの表面p1とが当接した状態でシース熱電対3の先端部4が収容部2aに収容されるので、周囲温度の影響を受け難くなることから、配管Pの表面温度を精度良く測定することができる。その上、シース熱電対3の先端部4がパッド2の収容部2aに抜き差し可能に収容されているので、先端部4を収容部2aから引き抜くことで、パッド2からシース熱電対3を容易に取り外すことができる。
さらに、第1シース固定板5及び第2シース固定板6を、外力によってもとの状態に変形させて第2棒状部3b及び第3棒状部3cを配管Pから解放することで、シース熱電対3を配管Pから容易に取り外すことができる。
【0046】
以上のように、上記構成のパッド付き熱電対1によれば、配管Pの表面温度を精度良く測定しつつも、容易にシース熱電対3を交換することができ、保守性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、孔部11bが、シース11の先端面11aから所定の間隔をおいて形成されているので、封止部材13から離れたところに測温接点10cを形成することができる。これにより、封止部材13をシース11の先端面11aに溶接する際に測温接点10cに及ぶ熱による変質等の影響を緩和することができる。
【0048】
また、本実施形態では、シース熱電対3を、一端にシース熱電対3の先端部4を有する第1棒状部3aと、第1棒状部3aの他端に繋がり、配管Pに当接した状態で第1棒状部3aの延長方向に交差する方向に延びている第2棒状部3bとを含んで構成したので、第2棒状部3bによって、第1棒状部3aが第1棒状部3aの長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止することができる。この結果、測温接点10cを確実に配管Pの表面p1に当接させることができる。
【0049】
図4及び
図5は、本実施形態のシース熱電対3を製造する方法を示す図である。なお、
図4及び
図5では、スリーブ30の内部空間における熱電対素線10a、10b、測温接点10c、及び孔部11bの配置状態が分かるように、スリーブ30、及び無機絶縁粉末12を透明視して示している。
上述のように、シース熱電対3は、シース11の側面11c(当接面11c1)から測温接点10cが露出して設けられている。このようなシース熱電対3を製造するために、一対の熱電対素線10a,10bを互いに接続する測温接点10cが未だ設けられていない状態のシース熱電対(以下、シース熱電対素材ともいう)を用いる。
【0050】
図4の(a)は、シース熱電対素材を示す斜視図である。
図4の(a)中、シース熱電対素材20は、一対の熱電対素線10a,10b及びこれら熱電対素線10a,10bを保持するための無機絶縁粉末12をシース21(第1シース部材)の内部に収容して構成されている。
【0051】
シース熱電対素材20を用いてシース熱電対3を製造するには、まず、シース熱電対素材20から、シース21の先端部分22、及び先端部分22内部の無機絶縁粉末12を除去し、一対の熱電対素線10a,10bの先端部を露出させる。
なお、
図4の(a)では、先端部分22を破線で示しており、先端部分22及びその内部の無機絶縁粉末12を除去し一対の熱電対素線10a,10bを露出させた状態を示している。このとき、シース21の内部には、無機絶縁粉末12が充填されている。
【0052】
次いで、シース21に突き合わせて接続されるスリーブ30(第2シース部材)の側面に、当該スリーブ30の内外を連通する孔部11bを形成する。
図4の(b)は、スリーブ30を示す斜視図である。スリーブ30は、シース21とほぼ同じ外径及び内径とされた円筒状の部材である。
スリーブ30は、シース21に突き合わされて接続されることで、シース21とともにシース11を構成する。
【0053】
図4の(c)に示すように、スリーブ30と、シース21とを接続する前に、シース21の一端面21aと、スリーブ30の一端面30aとを接近させ、一対の熱電対素線10a,10bの先端部をスリーブ30の内側から孔部11bに挿通する。
【0054】
そして、
図5の(a)に示すように、先端部分22を除去した後のシース21の一端面21aと、スリーブ30の一端面30aとを突き合わせ、全周溶接することによりシース21とスリーブ30とを接続する。これによって、シース11を得ることができる。
【0055】
次いで、孔部11bに挿通された一対の熱電対素線10a,10bの先端を互いに溶接して溶接部が形成され、測温接点10cは、この溶接部によって構成される。また、この溶接部により、孔部11bを封止する。
なお、測温接点10cは、スリーブ30の側面30bに露出されて形成されるとともに、一対の熱電対素線10a,10bの先端が、スリーブ30の側面30bから突出している部分、及び溶接の余盛を切除し、シース熱電対3とされパッド2に収容されたときに配管Pの表面p1に当接する形状に形成される。
【0056】
さらに、スリーブ30の他端面30cからスリーブ30の内部に無機絶縁粉末12を充填する。
なお、スリーブ30の他端面30cは、シース11の先端面11aを構成している。
【0057】
次いで、
図5の(b)に示すように、スリーブ30の他端面30cを封止するための封止部材13を他端面30cとの間で全周溶接し、スリーブ30(シース11)に固定する。
【0058】
以上のようにして、シース11の側面11cから測温接点10cが露出して設けられているシース熱電対3を製造することができる。
上記のように構成されたシース熱電対3の製造方法によれば、一対の熱電対素線10a,10bの先端部を露出させ、スリーブ30(第2シース部材)に形成した孔部11bに、一対の熱電対素線10a,10bをスリーブ30の内側から挿通した後、シース21(第1シース部材)とスリーブ30とを溶接する。その後、一対の熱電対素線10a,10bの先端が、スリーブ30の孔部11bを密封するように溶接され、測温接点が形成されるので、例えば、一対の熱電対素線10a,10bを外部に露出させることなく、シース11の内部で一対の熱電対素線10a,10bを取り扱って作業を行う場合と比較して、シース11の側面11cから露出した測温接点10cを形成する際の作業性がよいことから、製造効率を向上させることができる。
【0059】
図6(a)は、第2実施形態に係るパッド付き熱電対が有するシース熱電対3の先端部4を示す斜視図、
図6(b)は、第2実施形態の第1変形例に係るパッド付き熱電対が有するシース熱電対3の先端部4を示す斜視図、
図6(c)は、第2実施形態の第2変形例に係るパッド付き熱電対が有するシース熱電対3の先端部4を示す斜視図である。
【0060】
また、
図7(a)は、
図6(a)における
図2中A−A線矢視部に相当する箇所の断面図、
図7(b)は、
図6(b)における
図2中A−A線矢視部に相当する箇所の断面図、
図7(c)は、
図6(c)における
図2中A−A線矢視部に相当する箇所の断面図である。
【0061】
第2実施形態のパッド付き熱電対1は、シース熱電対3の先端部4を構成するスリーブ30の外周形状を円形とは異なる異形形状とし、収容部2aの内周形状をスリーブ30に対応して異形形状とした点において、第1実施形態と相違している。
図6(a)に示すように、第2実施形態のスリーブ30は、その外周形状がほぼ正方形状に形成されている。
スリーブ30には、長手方向に沿って貫通している貫通孔31が形成されている。貫通孔31の内径は、シース21の内径とほぼ同じ寸法とされている。
また、測温接点10cにより塞がれている孔部11bは、配管Pの表面p1に当接する側面30bに形成されている。
【0062】
スリーブ30は、貫通孔31と、シース21の内周面とが繋がるように突き合わされて接続されている。これによりスリーブ30とシース21とは、互いの内部空間が接続され、その内部空間に無機絶縁粉末12が充填されたシース11を構成している。
つまり、第2実施形態のシース熱電対3は、シース熱電対3の先端部4を構成するスリーブ30の外周形状を円形とは異なる異形形状(正方形状)とし、このスリーブ30と円形であるシース21とを溶接することでシース11とし、孔部11bからシース表面に露出した測温接点10cを形成することで製造される。
【0063】
図7(a)に示すように、第2実施形態のパッド2の収容部2aは、シース11の長手方向に沿った断面凹型の溝状に形成されている。この溝状の収容部2aは、接触面2bから凹むように形成されている。
パッド2は、接触面2bを配管Pの表面p1に当接した状態で溶接固定されている。よって、収容部2aは、接触面2b側を配管Pの表面p1で塞がれ、内周形状がほぼ正方形の孔状とされている。これにより、収容部2aの内周形状は、シース熱電対3の先端部4を構成するスリーブ30の外周形状に対応した形状とされている。
【0064】
収容部2aの内周面と、先端部4におけるスリーブ30の外周面との間には、シース熱電対3を配管Pの表面p1に沿って抜き差し可能な程度にクリアランスが設けられている。よって、収容部2aは、シース熱電対3を保持しつつ、当該シース熱電対3の先端部4が長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止する。
【0065】
第2実施形態の収容部2aは、溝状に形成されているので、露出開口部2cからスリーブ30の側面30bを配管Pの表面p1に対して露出させ、測温接点10cが配管Pの表面p1に当接した状態でスリーブ30を保持している。
【0066】
第2実施形態では、シース熱電対3の先端部4を構成するスリーブ30の外周形状を正方形状とし、収容部2aの内周形状を、先端部4が長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止可能な形状としてスリーブ30に対応した正方形状とされているので、測温接点10cを確実に配管Pの表面p1に当接させることができる。この結果、配管Pの表面温度をより精度よく測定することができる。
【0067】
また、第2実施形態では、シース熱電対3を製造する際に、該シース熱電対3が収容部2aに収容されたときに回り止めとなる正方形状のスリーブ30と、円形であるシース21とを溶接しシース11を形成するので、シース熱電対3を、配管Pの表面p1に当接させて、長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止するように設置するために必要な作業工数を減少させることができる。
【0068】
なお、第2実施形態のスリーブ30の外周形状はほぼ正方形状であるが、配管Pの表面p1側に向く側面30bは、配管Pの表面p1に対応して僅かに凹状に窪んだ湾曲面となるように形成してもよい。
これにより、スリーブ30の側面30bのほぼ全面を配管Pの表面p1に当接させることができ、より確実に測温接点10cを配管Pの表面p1に当接させることができる。
【0069】
第2実施形態では、スリーブ30の外周形状をほぼ正方形状に形成した場合を例示したが、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、スリーブ30の外周形状を楕円状としてもよい。この第1変形例の場合も、収容部2aの内周形状をスリーブ30の外周形状に対応する形状とすることで、先端部4が長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止することができる。
【0070】
また、
図6(c)及び
図7(c)に示すように、スリーブ30の外周形状を半円形と矩形とを組み合わせた形状としてもよい。この第2変形例の場合も、収容部2aの内周形状をスリーブ30の外周形状に対応する形状とすることで、先端部4が長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止することができる。
また、この変形例では、第2実施形態と同様、スリーブ30の側面30bを平面状に形成したが、配管Pの表面p1に対応して僅かに凹状に窪んだ湾曲面となるように形成してもよい。これにより、より確実に測温接点10cを配管Pの表面p1に当接させることができる。
【0071】
なお、スリーブ30の外周形状、及びこれに対応する収容部2aの内周形状は、円形とは異なる異形形状であればよく、楕円等の円形以外の閉曲線形状の他、円形の一部を切除した形状や、3角形や5角形等の多角形形状、凸型、凹型、さらにこれらを組み合わせた形状であってもよい。さらに、回り止めとなる凸部や凹部を形成した形状であってもよい。
また、上記第2実施形態では、スリーブ30の外周形状を異形形状とすることでシース熱電対3先端部4の一部を異形形状とした場合を例示したが、先端部4の全部を異形形状としてもよいし、シース熱電対3の長手方向全域に亘って異形形状としてもよい。
【0072】
以上、上記第1実施形態では、シース熱電対3の先端部を構成するスリーブ30とシース21は、同じ外径及び内径の円筒状の部材を示したが、
図6の(a)に示すような、スリーブ30の外周形状を多角形とし、
図7の(a)に示すように、パッド2の収容部2aの内周形状を、当該スリーブ30の外周形状に対応した多角形としたもの(第2実施形態)、
図6の(b)に示すような、スリーブ30の外周形状を楕円形とし、
図7の(b)に示すように、パッド2の収容部2aの内周形状を、当該スリーブ30の外周形状に対応した楕円形としたもの(第2実施形態の第1変形例)、及び
図6の(c)に示すような、スリーブ30の外周形状を半円形とし、
図7の(c)に示すように、パッド2の収容部2aの内周形状を、当該スリーブ30の外周形状に対応した半円形としたもの(第2実施形態の第2変形例)としてもよい。このようにして、パッド2の収容部2aに収容されたシース熱電対3が、当該スリーブ30の長手方向に沿う軸回りに回転するのを阻止することができ、測温接点10cを確実に配管Pの表面p1に当接させることができる。なお、パッド2の外周形状については、略扇型に限定するものではなく、多角形、半円形としてもよい。加えて、パッド2の外側に断熱材を設けて外部からの入熱を制限してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では円筒状のスリーブ30の他端面30cを封止するための略半球状の封止部材13を他端面30cとの間で全周溶接し、スリーブ30に固定する方法を示したが、封止部材13として、
図6の(a)、(b)、(c)に示すような、スリーブ30の他端面30cの開口部を閉塞する円盤状の封止部材13の外周部を1周するように溶接してスリーブ30に固定してもよく、さらには溶かした溶接棒で他端面30cを封止してもよい。
なお、
図6では、スリーブ30の内部空間における熱電対素線10a、10b、及び測温接点10cの配置状態が分かるように、スリーブ30、及び無機絶縁粉末12を透明視して示している。
【0074】
本発明は第1実施形態及び第2実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態では、シース熱電対3の先端部4を含む第1棒状部3aが配管Pの軸方向に沿って棒状に延びており、パッド2が先端部4に応じて配管Pの軸方向に沿った形状とされている場合を例示したが、例えば、
図8に示すように、第1棒状部3aを、配管Pの周方向に沿って棒状に延びる形状とし、パッド2も第1棒状部3aに応じて配管Pの周方向に沿った形状としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、シース熱電対3に一対の熱電対素線10a,10bを収容した場合を例示したが、シース熱電対3に複数対の熱電対素線を収容してもよい。
また、上記実施形態では、測温対象物として円筒状の配管Pの表面p1にパッド付き熱電対1を取り付けた場合を例示したが、パッド付き熱電対1は、球状の構造物の球状面部分に取り付けることもできるし、箱形の構造物の平面部分に取り付けることもできる。
一対の熱電対素線10a,10b及び熱電対素線10a,10bを保持するための無機絶縁粉末12をシース11内に収容し、封止部材13によってシース11の開口部11dが封止されたシース熱電対3と、配管Pに溶接され、シース熱電対3を配管Pの表面p1に保持するパッド2と、を備えている。一対の熱電対素線10a,10bで形成された測温接点10cが先端部4におけるシース11の側面11cに露出して設けられ、パッド2は、配管Pの表面p1に沿って抜き差し可能に先端部4を収容している収容部2aを備え、収容部2aは、測温接点10cと配管Pの表面p1とが当接した状態で先端部4を収容している。