(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223686
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】面実装型コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/06 20060101AFI20171023BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20171023BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20171023BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
H01F15/02 D
H01F15/10 J
H01F15/10 P
H01F17/04 F
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-18749(P2013-18749)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-150189(P2014-150189A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 正樹
(72)【発明者】
【氏名】窪田 道雄
【審査官】
久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−050706(JP,U)
【文献】
特開平07−094342(JP,A)
【文献】
特開平07−220929(JP,A)
【文献】
実公昭49−009547(JP,Y1)
【文献】
特開2006−245271(JP,A)
【文献】
実開平01−163306(JP,U)
【文献】
実公昭48−036571(JP,Y1)
【文献】
実開昭57−183715(JP,U)
【文献】
特開2012−109408(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2009−0054559(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00−19/08、27/00−27/06
H01F 27/28−27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部の両端に上鍔部と下鍔部が設けられたドラム形状のフェライトコアと、前記軸部に巻回された巻線と、複数の端子が設けられた台座とを備え、前記フェライトコアの前記下鍔部の下面中央部に凸部が設けられており、この凸部が前記台座に固定されていると共に、前記巻線が前記端子に接続されている面実装型コイル部品において、
前記台座の上面に前記下鍔部を収納する収納凹所が設けられていると共に、この収納凹所の内底面に前記凸部を面内方向に位置決めする規制突起が設けられており、
前記凸部を前記収納凹所の内底面中央部に接着固定することにより、前記収納凹所の内底面周縁部と前記下鍔部の下面周縁部との間に両者を離反する空間部が画成され、この空間部は前記規制突起の上方に及んでいることを特徴とする面実装型コイル部品。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記規制突起が前記収納凹所の内底面に円環状に形成されていると共に、この規制突起によって区画された内側領域が外側領域に対して段落ち状となっており、前記凸部は前記内側領域に接着固定されていることを特徴とする面実装型コイル部品。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記凸部が逆台形の断面形状を有しており、この凸部の底面外周縁に前記規制突起と係合する微小突起が設けられていることを特徴とする面実装型コイル部品。
【請求項4】
請求項1の記載において、前記下鍔部の外径寸法が前記上鍔部の外径寸法よりも小さく設定されていると共に、前記収納凹所の外周壁が上拡がりのテーパ面になっていることを特徴とする面実装型コイル部品。
【請求項5】
請求項1の記載において、前記巻線の両端部が前記端子に形成された一対の中継端子部に熱圧着されており、これら中継端子部を前記台座の上面2箇所に露出させると共に、前記下鍔部の上面と前記中継端子部の上面とが略同じ高さ位置に設定されていることを特徴とする面実装型コイル部品。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記巻線の巻回部分から前記中継端子部に至る引き出し部分のうち、巻き始め側の引き出し部分と巻き終わり側の引き出し部分とが略同じ長さに設定されていることを特徴とする面実装型コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路の配線基板上に表面実装される面実装型コイル部品に係り、特に、低背化に好適な面実装型コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に面実装型コイル部品は、角柱状または円柱状の軸部の両端に上鍔部と下鍔部を一体形成したドラム形状のフェライトコアと、フェライトコアの軸部に巻回された巻線と、複数の端子が設けられた台座とによって構成されており、巻線が施されたフェライトコアの下鍔部を台座に接着固定すると共に、巻線の両端部を台座の端子に熱圧着や半田付け等の手段を用いて接続するようにしている。このように概略構成された面実装型コイル部品は、電子回路の配線基板上に台座を搭載した状態で、配線基板に設けられたランドと台座の端子とを半田付けすることにより、配線基板上に表面実装されるようになっている。
【0003】
近年、電子機器類に対する小型化や低背化の要望が強くなっており、このような要望に応えるために、フェライトコアと台座を総和した全体の高さ寸法を短縮した面実装型コイル部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来の面実装型コイル部品では、台座の上面に中央部を深くした段付き状の凹部を設けると共に、フェライトコアに下鍔部の下面中央部から突出する凸部を設けてあり、下鍔部を凹部内に収納した状態で凸部が凹部の内底面に接着固定されているため、凹部の深さ相当分だけ全体の高さ寸法が短縮(低背化)されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3312137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フェライトコアの材料であるフェライトは、鉄やニッケル等の酸化物の粉末を加圧成型し、焼結することによって得られる金属酸化物の強磁性体であり、機械的強度が低くて割れやすい性質を有しているため、面実装型コイル部品の低背化(薄型化)に伴って部品の肉厚が薄くなってくると、フェライトコアにクラック(ひび割れ)を生じる虞がある。しかしながら、前述した従来の面実装型コイル部品では、フェライトコアの下鍔部が凹部内に収納されて台座と接触しているため、配線基板に反りや落下衝撃等の外部応力が作用すると、その力を配線基板上に搭載された台座がダイレクトに受けて撓み変形することにより、台座の変形が凹部の内底面に接触する下鍔部に伝播してしまい、機械的強度の低い下鍔部にクラックが発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、低背化を図りつつフェライトコアの割れを防止できる面実装型コイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、軸部の両端に上鍔部と下鍔部が設けられたドラム形状のフェライトコアと、前記軸部に巻回された巻線と、複数の端子が設けられた台座とを備え、前記フェライトコアの前記下鍔部
の下面中央部に凸部が設けられており、この凸部が前記台座に固定されていると共に、前記巻線が前記端子に接続されている面実装型コイル部品において、前記台座の上面に前記下鍔部を収納する収納凹所が設けられて
いると共に、この収納凹所の内底面に前記凸部を面内方向に位置決めする規制突起が設けられており、前記凸部を前記収納凹所の内底面中央部に接着固定することにより、前記収納凹所の内底面周縁部と前記下鍔部の下面周縁部との間に両者を離反する空間部が画成され
、この空間部は前記規制突起の上方に及んでいる構成とした。
【0008】
このように構成された面実装型コイル部品では、フェライトコアの下鍔部を台座の収納凹所内に収納することで低背化が実現されており、しかも、
収納凹所の内底面にフェライトコアの下鍔部の下面中央部に設けられた凸部を面内方向に位置決めする規制突起が設けられており、凸部を収納凹所の内底面中央部に接着固定することにより、収納凹所の内底面周縁部と下鍔部の下面周縁部との間に両者を離反する空間部が画成され
ると共に、この空間部が規制突起の上方に及んでいるため、落下衝撃等の外部応力によって台座が撓み変形したとしても、その撓み変形は空間部で吸収されて下鍔部まで伝わらず、フェライトコアの下鍔部に割れが発生することを防止できる。
【0009】
上記の構成において、規制突起が収納凹所の内底面に円環状に形成されていると共に、この規制突起によって区画された内側領域が外側領域に対して段落ち状となっており、凸部が
内側領域に接着固定されていると、規制突起の位置決め機能が高められると共に低背化にも有利となる。
【0011】
また、上記の構成において、凸部が逆台形の断面形状を有しており、この凸部の底面外周縁に規制突起と係合する微小突起が設けられていると、凸部の外周縁に欠けが発生しにくくなって好ましい。
【0013】
また、上記の構成において、下鍔部の外径寸法が上鍔部の外径寸法よりも小さく設定されていると共に、収納凹所の外周壁が上拡がりのテーパ面になっていると、下鍔部の外縁部と台座との衝突を回避しつつ低背化を実現することができる。
【0014】
また、上記の構成において、巻線の両端部が前記端子に形成された一対の中継端子部に熱圧着されており、これら中継端子部を台座の上面2箇所に露出させると共に、下鍔部の上面と中継端子部の上面とが略同じ高さ位置に設定されていると、巻線の両端の引き出し部分と下鍔部のエッジや台座のエッジとの接触が回避されるため、衝撃等の外部応力に起因する巻線の断線を防止することができて好ましい。
【0015】
この場合において、巻線の巻回部分から中継端子部に至る引き出し部分のうち、巻き始め側の引き出し部分と巻き終わり側の引き出し部分とが略同じ長さに設定されていると、巻線の巻き始め側の引き出し部分に巻き終わり側と同程度の自由度が付与されるため、衝撃等の外部応力によって台座の中継端子部とフェライトコア間の距離が変動したとしても、その変動に引き出し部分を追従させて巻線の断線を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の面実装型コイル部品は、台座の上面に設けられた収納凹所内にフェライトコアの下鍔部を収納することによって低背化が実現されており、しかも、
収納凹所の内底面にフェライトコアの下鍔部の下面中央部に設けられた凸部を面内方向に位置決めする規制突起が設けられており、凸部を収納凹所の内底面中央部に接着固定することにより、収納凹所の内底面周縁部と下鍔部の下面周縁部との間に両者を離反する空間部が画成され
ると共に、この空間部が規制突起の上方に及んでいるため、落下衝撃等の外部応力によって台座が撓み変形したとしても、その撓み変形は空間部で吸収されて下鍔部まで伝わらず、フェライトコアの下鍔部に割れが発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態例に係る面実装型コイル部品の斜視図である。
【
図7】該面実装型コイル部品に備えられるフェライトコアの底面図である。
【
図9】該面実装型コイル部品に備えられる台座の平面図である。
【
図10】該フェライトコアに施された巻線の巻回方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、
図1〜
図9に示すように、本発明の実施形態例に係る面実装型コイル部品1は、端子2を有する平面視矩形状の台座3と、台座3に固定されたドラム形状のフェライトコア4とで構成されており、フェライトコア4には巻線5が巻回されている。
【0019】
台座3は合成樹脂の成形品からなり、
図5や
図6に明示されるように、この台座3の四隅を除いた部分は上面に対して窪んだ収納凹所3aとなっている。収納凹所3aの内底面中央部には円環状の規制突起3bが形成されており、収納凹所3aの内底面は規制突起3bで囲まれた内側領域S1が外側領域S2よりも低い段落ち状になっている。台座3の四隅は収納凹所3aの内底面よりも厚肉の突出部3cとなっており、これら突出部3cの上面と外側領域S2とが連続する部分、すなわち、収納凹所3aの外周壁には上拡がりのテーパ面3dが付けられている。
【0020】
台座3には端子2の材料である一対の金属板がインサート成形されており、これら金属板にはSn−PbやSn等からなる半田メッキ層が施されている。
図9に示すように、一対の端子2は収納凹所3aの内底面に露出して平行に延びており、これら端子2の端部に合計で4つの外部端子部2aと2つの中継端子部2bが形成されている。外部端子部2aは突出部3cの外側面途中から台座3の下面に沿ってL字状に露出しており、これら外部端子部2aを図示せぬ配線基板のランドに半田付けすることにより、面実装型コイル部品1は配線基板上に表面実装されるようになっている。中継端子部2bは隣接する一対の突出部3cの上面に沿って外方へ延びており、後述するように、これら中継端子部2bに巻線5の両端部が熱圧着されるようになっている。
【0021】
フェライトコア4は酸化鉄を主成分とするセラミックの焼結体であり、このフェライトコア4は、円柱状の軸部4aと、軸部4aの両端に形成された上鍔部4bおよび下鍔部4cとを有している。上鍔部4bと下鍔部4cは軸部4aの直径よりも大径の円形薄板状に形成されているが、上鍔部4bの径寸法に対して下鍔部4cの径寸法は幾分小さめに設定されている。フェライトコア4の軸部4aには巻線5が複数ターン巻回されており、巻線5の巻回部5aは上鍔部4bと下鍔部4cで挟まれた溝部内に収納されている。台座3との装着面側である下鍔部4cの下面中央部には逆台形の断面形状を有する凸部4dが形成されており、この凸部4dはスペーサとして機能するものであって、凸部4dと軸部4aの直径は略同じ寸法に設定されている。
図7と
図8に示すように、凸部4dの底面外周縁には3つの微小突起4eが周方向に等間隔を保って形成されており、これら微小突起4eは凸部4dの外周側のテーパ面とフラットな底面とを略直角に繋いでいる。
【0022】
図6に示すように、フェライトコア4の凸部4dの底面は接着剤6を用いて台座3の収納凹所3aの内底面中央部(内側領域S1)に固定されており、凸部4dを含む下鍔部4cの全体を収納凹所3a内に収納することにより、面実装型コイル部品1の全体高さ寸法が小型化(低背化)されている。その際、下鍔部4cの下面と収納凹所3aの内底面は凸部4dの接着箇所で固定されているが、収納凹所3aの内底面周縁部(外側領域S2)と下鍔部4cの下面周縁部との間に両者を離反する空間部Sが画成されるため、フェライトコア4は下鍔部4cの下面周縁部を非接触状態に保ったまま台座3に支持されている。また、収納凹所3aの内底面に凸部4dを面内方向に位置決めする規制突起3bが形成されているため、凸部4dを収納凹所3aの所定位置に簡単かつ確実に接着固定することができる。しかも、規制突起3bによって区画された内側領域S1が外側領域S2よりも低い段落ち状に形成されているため、その分だけ面実装型コイル部品1の低背化が促進されていると共に、規制突起3bによる凸部4dの位置決め機能が高められている。
【0023】
台座3に固定されたフェライトコア4の軸部4aには巻線5が巻回されており、この巻線5の巻回部5aから引き出された両端部は台座3の突出部3cの上面に露出する一対の中継端子部2bにそれぞれ熱圧着されている。ここで、巻線5の巻き始め側と巻き終わり側の両引き出し部分5b,5cは下鍔部4cの上面と略同一平面内を通って対応する中継端子部2bへ向かっているが、下鍔部4cの上面と中継端子部2bの上面とが略同じ高さ位置になるように設定されているため、巻線5の引き出し部分5b,5cと下鍔部4cのエッジや台座3のエッジとの接触が回避されている。また、
図10に示すように、巻線5は巻き始め側の引き出し部分の上に複数ターン巻回されて巻回部5aを形成するため、巻き始め側の巻線5は巻回部5aの内部で固定された状態で引き出されることになるが(同図の破線参照)、本実施形態例では、巻き始め側の引き出し部分5bを巻回部5aの外周に約1/4ターンだけ余分に巻回することにより、巻き始め側の引き出し部分5bと巻き終わり側の引き出し部分5cとに対称性を持たせてある。その結果、巻線5の巻回部5aから中継端子部2bに至る巻き始め側と巻き終わり側の両引き出し部分5b,5cの長さがほぼ同じになり、巻き始め側の引き出し部分5bに巻き終わり側の引き出し部分5cと同程度の自由度が付与されている。
【0024】
このように構成された面実装型コイル部品1は、台座3の各外部端子部2aを図示せぬ配線基板のランドに半田付けすることにより、配線基板上に表面実装されて使用されるようになっている。かかる実装状態において配線基板に反りや落下衝撃等の外部応力が作用すると、その力を配線基板上に搭載された台座3がダイレクトに受けて撓み変形することになるが、前述したように、収納凹所3aの内底面周縁部と下鍔部4cの下面周縁部との間に両者を離反する空間部Sが画成されているため、台座3の撓み変形は空間部Sで吸収されて下鍔部4cまで伝わらず、機械的強度の低いフェライトコア4の下鍔部4cに割れは発生しなくなる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態例に係る面実装型コイル部品1は、台座3の上面に設けられた収納凹所3a内にフェライトコア4の下鍔部4cを収納することによって低背化が実現されており、しかも、収納凹所3aの内底面周縁部と下鍔部4cの下面周縁部との間に両者を離反する空間部Sが画成されているため、落下衝撃等の外部応力によって台座3が撓み変形したとしても、その撓み変形は空間部Sで吸収されて下鍔部4cまで伝わらず、フェライトコア4の下鍔部4cに割れが発生することを防止できる。
【0026】
また、本実施形態例では、フェライトコア4の下鍔部4cの下面中央部にスペーサである凸部4dを設け、この凸部4dを台座3の収納凹所3aの内底面中央部に接着固定することにより、収納凹所3aの内底面と下鍔部4cとの間に上記空間部Sが画成されているが、収納凹所3aの内底面に凸部4dを面内方向に位置決めする規制突起3bが形成されているため、台座3とフェライトコア4を一体化する組立作業時に、凸部4dを収納凹所3aの所定位置に簡単かつ確実に接着固定することができる。しかも、この規制突起3bが収納凹所3aの内底面に円環状に形成され、規制突起3bによって区画された内側領域S1が外側領域S2よりも低い段落ち状に形成されているため、その分だけ面実装型コイル部品1の低背化が促進されていると共に、規制突起3bによる凸部4dの位置決め機能が高めるられている。
【0027】
また、本実施形態例では、下鍔部4cの下面中央部に設けた凸部4dが逆台形の断面形状を有しており、この凸部4dの底面外周縁に収納凹所3a側の規制突起3bと係合する微小突起4eを設けてあるため、凸部4dの外周縁に発生する欠けを防止しつつ、凸部4dを収納凹所3aの所定位置に確実に接着固定することができる。
【0028】
また、本実施形態例では、下鍔部4cの外径寸法が上鍔部4bの外径寸法よりも小さく設定されていると共に、収納凹所3aの外周壁が上拡がりのテーパ面3dになっているため、下鍔部4cの外縁部と台座3との衝突を回避しつつ低背化を実現することができる。
【0029】
また、本実施形態例では、収納凹所3aを包囲する台座3の突出部3cの上面に一対の中継端子部2bを露出させ、フェライトコア4の軸部4aに巻回された巻線5の両端部を対応する中継端子部2bに熱圧着すると共に、下鍔部4cの上面と中継端子部2bの上面が略同じ高さ位置になるように設定されているため、巻線5の両端の引き出し部分5b,5cと下鍔部4cのエッジや台座3のエッジとの接触が回避され、落下衝撃等の外部応力に起因する巻線5の断線を防止することができる。
【0030】
また、本実施形態例では、巻線5の巻回部5aから中継端子部2bに至る両引き出し部分5b,5cのうち、巻き始め側の引き出し部分5bを巻回部5aの外周に約1/4ターンだけ余分に巻回することにより、巻き始め側の引き出し部分5bと巻き終わり側の引き出し部分5cとが左右対称になるようにしている。その結果、巻線5の巻回部5aから中継端子部2bに至る巻き始め側と巻き終わり側の両引き出し部分5b,5cの長さがほぼ同じになり、巻き始め側の引き出し部分5bに巻き終わり側の引き出し部分5cと同程度の自由度が付与されるため、落下衝撃等の外部応力によって台座3側の中継端子部2bとフェライトコア4間の距離が変動したとしても、その変動に両引き出し部分5b,5cを追従させて巻線5の断線を防止することができる。
【0031】
なお、上記実施形態例では、フェライトコア4の下鍔部4cの下面中央部に凸部4dを設け、この凸部4dを台座3の収納凹所3aの内底面中央部に固定するようにしているが、収納凹所3aの内底面に設けた凸部を下鍔部4cの下面に固定したり、収納凹所3aの内底面と下鍔部4cの下面の両方に設けた凸部どうしを固定することも可能である。あるいは、収納凹所3aの内底面中央部と下鍔部4cの下面中央部とを別部材であるスペーサを挟んで接合することも可能であり、要は、収納凹所3aの内底面中央部と下鍔部4cの下面中央部とを凸部等のスペーサを介して接合することにより、収納凹所3aの内底面周縁部と下鍔部4cの下面周縁部との間に両者を離反する空間部Sが画成されていれば良い。
【0032】
また、上記実施形態例では、下鍔部4cの凸部4dを接着剤6によって収納凹所3aの内底面中央部に固定するようにしているが、接着以外の手段によって凸部を所定箇所に固定することも可能である。例えば、下鍔部4cの凸部4dを接着剤6によって収納凹所3aの内底面に固定する場合、収納凹所3aの内底面に有底状の孔部を設け、この孔部に凸部を嵌挿して固定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 面実装型コイル部品
2 端子
2a 外部端子部
2b 中継端子部
3 台座
3a 収納凹所
3b 規制突起
3c 突出部
3d テーパ面
4 フェライトコア
4a 軸部
4b 上鍔部
4c 下鍔部
4d 凸部(スペーサ)
4e 微小突起
5 巻線
5a 巻回部
5b 巻き始め側の引き出し部分
5c 巻き終わり側の引き出し部分
6 接着剤
S 空間部
S1 内側領域
S2 外側領域