特許第6223701号(P6223701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223701
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】重量物の吊り上げ治具
(51)【国際特許分類】
   B66C 19/02 20060101AFI20171023BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20171023BHJP
   B66C 7/06 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
   B66C19/02
   E04G21/16
   !B66C7/06
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-68177(P2013-68177)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189383(P2014-189383A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 樹彦
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−126854(JP,A)
【文献】 特開2002−090091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00 − 19/02
E04G 21/16
B66C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、当該本体の長手方向の左右の外側に夫々立設される仮設柱とから成り、
前記本体は、互いに平行で左右一対の、段階的に伸縮可能な縦杆と、当該縦杆の上端を連結する横杆とから略逆凹形に構成され、
前記横杆には当該横杆上を摺動自在なチェーンブロックが設けられ、
前記仮設柱の上端に滑車が夫々設けられ、また、当該各仮設柱の下部一側には、前記滑車を経由して一端が前記横杆の両側の各上端に接続されるワイヤロープの繰り出し及び巻き上げを行うウインチが夫々設けられ、
前記ウインチの操作により前記各縦杆を伸縮させて前記横杆の高さを調整し、前記横杆を前記仮設柱の上端の略滑車の高さまで引き上げ可能な構成としたことを特徴とする、重量物の吊り上げ治具。
【請求項2】
前記縦杆は、段階的に伸縮可能な構成として、複数の部材から成り、順次に細径となる各部材は太径側に細径側を挿嵌して連結しており、
縦杆を一番長く伸ばした状態で、縦杆の一側面の、太径側の部材と細径側の部材とが重複する箇所には、貫通孔が設けられ、
作業員等のユーザによって前記貫通孔にピンが挿入されると、前記細径側の部材の伸びた状態が維持されることを特徴とする、請求項1に記載の重量物の吊り上げ治具。
【請求項3】
張出し骨組を縦杆の下部に夫々設置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の重量物の吊り上げ治具。
【請求項4】
作業員等のユーザは、
所定の場所に、重量物の吊り上げ治具に係る各部材を運び込み、
前記本体を配置し、
当該本体の長手方向の左右の外側に仮設柱を夫々立設し、
前記ウインチを操作して、前記ワイヤロープを巻き上げて、本体を引き上げ、前記縦杆を伸ばし、前記仮設柱の上端の略滑車の高さまで前記本体の横杆を引き上げることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の重量物の吊り上げ治具の設置方法。
【請求項5】
前記縦杆は、段階的に伸縮可能な構成として、複数の部材から成り、順次に細径となる各部材は太径側に細径側を挿嵌して連結しており、
縦杆を伸長した状態で、縦杆の一側面の、太径側の部材と細径側の部材とが重複する箇所には、貫通孔が設けられ
前記貫通孔に前記ピンを挿入し、前記細径側の部材の伸びた状態を維持させることを特徴とする、請求項に記載の重量物の吊り上げ治具の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下式変電所内等の上空制限のある、狭隘な場所で、かつ充電部が接近する個所において重量物を吊り上げるための重量物の吊り上げ治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発電所・変電所では、遮断機や変圧器といった機器の設置・取替・撤去の際等に、当該機器を吊り上げる必要が生じた場合には、クレーン車を用いていた。
【0003】
例えば、特許文献1の従来技術では、機器の設置・取替・撤去工事の際に、機器にワイヤロープ6bをセットしクレーン6aにより吊り上げる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9ー163527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機器の吊り上げにクレーン車を用いる場合、その前にクレーン車を発電所・変電所内に搬入あるいは設置し、作業終了後当該クレーン車を撤去あるいは搬出する必要がある。また、クレーン車を使用する場合は、搬入出路と据付場所のスペース確保ならびにブームを伸長するための上空空間等が必要となる。従って、機器の吊り上げ準備に手間がかかると共に、機器の吊り上げに伴う作業時間、ならびに充電部接近個所では作業に伴う停電も長時間必要となる。
【0006】
特に、地下に変電所の主要機器を全て収納した地下式変電所で、クレーン車の搬入出あるいは設置・撤去を行う際には、変電所の入口であるハッチを通じて行う必要がある。そのハッチ周辺のスペースは、建設当時は確保されていたものの、現状では、例えば、ハッチ部が別の用途に使用されていたり、あるいは、ハッチ周辺のスペースが公道であったり、多くの人、車が往来する通路であったりして、ハッチを開けることができない等、不便があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に対処するため、上空制限のある、狭隘な場所で、かつ充電部が接近する個所において重量物を吊り上げることができ、その場所で治具の設置及び撤去が容易にできる、重量物を吊上げることができる重量物の吊り上げ治具とその作業方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、本体と、当該本体の長手方向の左右の外側に夫々立設される仮設柱とから成り、前記本体は、互いに平行で左右一対の、段階的に伸縮可能な縦杆と、当該縦杆の上端を連結する横杆とから略逆凹形に構成され、前記横杆には当該横杆上を摺動自在なチェーンブロックが設けられ、前記仮設柱の上端に滑車が夫々設けられ、また、当該各仮設柱の下部一側には、前記滑車を経由して一端が前記横杆の両側の各上端に接続されるワイヤロープの繰り出し及び巻き上げを行うウインチが夫々設けられ、前記ウインチの操作により前記各縦杆を伸縮させて前記横杆の高さを調整し、前記横杆を前記仮設柱の上端の略滑車の高さまで引き上げ可能な構成とした、重量物の吊り上げ治具とした。
【0009】
請求項2の発明では、
前記縦杆は、段階的に伸縮可能な構成として、複数の部材から成り、順次に細径となる各部材は太径側に細径側を挿嵌して連結しており、
縦杆を一番長く伸ばした状態で、縦杆の一側面の、太径側の部材と細径側の部材とが重複する箇所には、貫通孔が設けられ、
作業員等のユーザによって前記貫通孔にピンが挿入されると、前記細径側の部材の伸びた状態が維持される、請求項1に記載の重量物の吊り上げ治具とした。
【0010】
請求項3の発明では、
張出し骨組を縦杆の下部に夫々設置する、請求項1又は2に記載の重量物の吊り上げ治具とした。
【0011】
請求項4の発明は、作業員等のユーザは、所定の場所に、重量物の吊り上げ治具に係る各部材を運び込み、前記本体を配置し、当該本体の長手方向の左右の外側に仮設柱を夫々立設し、前記ウインチを操作して、前記ワイヤロープを巻き上げて、本体を引き上げ、前記縦杆を伸ばし、前記仮設柱の上端の略滑車の高さまで前記本体の横杆を引き上げる、請求項1〜3のいずれかに記載の重量物の吊り上げ治具の設置方法とした。
【0012】
請求項5の発明は、前記縦杆は、段階的に伸縮可能な構成として、複数の部材から成り、順次に細径となる各部材は太径側に細径側を挿嵌して連結しており、縦杆を伸長した状態で、縦杆の一側面の、太径側の部材と細径側の部材とが重複する箇所には、貫通孔が設けられ、前記貫通孔に前記ピンを挿入し、前記細径側の部材の伸びた状態を維持させる、請求項に記載の重量物の吊り上げ治具の設置方法とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、地下式変電所等の上空制限のある、狭隘な場所で、かつ充電部が接近する個所において吊り上げ治具の組立・解体が特別な工具を必要とせずにできるように、単体重量・長さを人力または簡易な台車で運搬できる部品の構成とした。
【0014】
その結果、重量物の吊り上げ治具を、充電部接近個所であっても短時間で設置できると共に、重量物の吊り上げに伴う時間が短縮され、作業に必要な停電時間も短縮される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、本体と、当該本体の左右に夫々立設される仮設柱とからなり、前記本体は、互いに平行で左右一対の、段階的に伸縮可能な縦杆と、当該縦杆の上部を連結する横杆とから略逆凹形に構成され、前記仮設柱には、一端が前記横杆に接続されているワイヤロープの繰り出し及び巻き上げを行うウインチが設けられており、作業員等のユーザによって前記ウインチが操作されると、前記縦杆が伸縮する構成とすることにより、地下式変電所等の上空制限のある、狭隘な場所で重量物を吊り上げることができ、設置及び撤去も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の全体的な構成を例示的に示す正面図である。
図2】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の本体の全体的な構成を例示的に示す正面図である。
図3】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の本体の全体的な構成を例示的に示す側面図である。
図4】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の本体の縦杆に張出し骨組を設置した構成を例示的に示す側面図である。
図5】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の本体の縦杆に張出し骨組を設置した構成を例示的に示す平面図である。
図6】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の本体の縦杆の貫通孔にピンを挿入した状態を例示的に示す説明図である。
図7】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の仮設柱の全体的な構成を例示的に示す側面図である。
図8】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の本体の第3部材が伸びた状態を例示的に示す正面図である。
図9】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の本体の第3部材及び第2部材が伸びた状態を例示的に示す正面図である。
図10】本発明の実施例に係る重量物の吊り上げ治具の設置の流れを示す流れ図である。
【実施例1】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
<吊り上げ治具1の構成>
図1は、本実施例に係る吊り上げ治具1の全体的な構成を例示的に示した図である。吊り上げ治具1は、重量のある対象物を吊り上げるものである。ここで例えば、重量のある対象物とは、変圧器、遮断機といった変電所に係る機器である。なお、吊り上げ治具1は、約2トンまで吊り上げ可能な構成が望ましい。吊り上げ治具1は、主として、本体2と、本体の左右に夫々立設される2本の仮設柱7とから構成されている。
【0019】
<本体2の構成>
本体2は、図2に示すように、互いに平行で左右一対の縦杆3と、縦杆の上部を連結する横杆4とから略逆凹形に構成されている。
【0020】
<縦杆3の構成>
縦杆3の下部には、縦杆3を支えて安定を保つために、図3に示すように支持脚として、縦杆3の下端に、縦杆3と直角に角柱状の横杆6が設けられている。なお、本実施例においては、支持脚として、縦杆3の下端に横杆6を設ける構成を示したが、支持脚は縦杆3を支えて安定を保つ構成であれば良く、例えば、縦杆3の下端に、コンクリート製の重しを設ける構成としても良い。
【0021】
また例えば、図4及び図5に示すように、縦杆3を支えて重量物吊り上げ時の治具の安定性を保つため、アウトリガー(=張出し骨組)62を縦杆3の下部に夫々設置する構成としても良い。
【0022】
また、縦杆3は、3段伸縮式の構成になっており、3段階に長さを変えることができる。詳しくは、縦杆3は、各々丸筒状で地面側から順次に細径となる第1部材31、第2部材32、第3部材33の複数の部材が太径側に細径側を挿嵌して連結し、3段階に伸縮可能な構造となっている。また、図3に示すように、縦杆3を3段階中一番長く伸ばした状態で、縦杆3の一側面の、第1部材31(太径側の部材)と第2部材32(細径側の部材)とが重複する箇所には、第1貫通孔34が設けられ、第2部材32(太径側の部材)と第3部材33(細径側の部材)とが重複する箇所には、第2貫通孔35が設けられている。そして、縦杆3に伸びた状態を維持させる場合には、図6に示すように、作業員等のユーザは、第1貫通孔34等にピン36を挿入する。なお、図6では、第1貫通孔34及び第2貫通孔35にピン36を挿入した状態が示されている。なお、本実施例においては、縦杆3は、3段伸縮式の構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、縦杆3は、段階的に伸縮可能な構成であれば良く、例えば、2段伸縮式の構成であっても、4段伸縮式の構成であっても良い。また、本実施例では、縦杆3の各部材が丸筒状の構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、四角柱や六角柱といった角柱状の形状であっても良い。更に、吊り上げ治具1を使用予定の地下式変電所等の天井の高さに合わせて、縦杆3の長さを設計すれば、実際の重量物の吊り上げ作業を安全に行うことができる。
【0023】
<横杆4の構成>
横杆4は、チェーンブロック5をX方向、つまり水平方向に案内する横行用の案内レールの役割を果たすものであり、例えば、I型鋼(=アイビーム)を用いることができる。横杆4上には、チェーンブロック5が取り付けられており、チェーンブロック5は横杆4の長手方向に沿って摺動自在である。チェーンブロック5は、先端に重量物吊り下げ用フック51を備えたチェーン52を鎖車53に巻き掛けた簡便な重量物吊り上げ装置であり、手動のものであっても、電動のものであっても良い。
【0024】
なお、本実施例では、1個のチェーンブロック5用いる構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、吊り上げ対象の重量物の容積や重量が大きい場合には、例えば、2個のチェーンブロック5を用いる、あるいは、横杆4のチェーンブロック5の左右から、ひも付きロープ及び金車(図示省略)を介して、仮設柱7のワイヤロープ8でも吊り上げる構成とすれば、重量物のバランスを損なうことなく、容易に吊り上げることが出来る。
【0025】
<仮設柱7の構成>
本体の左右に夫々立設される仮設柱7は、ワイヤロープ8を用いて、本体2の縦杆3を伸縮させる際に、ワイヤロープ8を支持するためのものである。
【0026】
仮設柱7は、図7に示すように、下部の一側面には、ワイヤロープ8の繰り出し及び巻き上げを行うウインチ72が設けられており、上部に回転自在に滑車71が設けられている。従って、図1に示すように、ウインチ72から上部方向に繰り出されたワイヤロープ8は、滑車71によって、下部方向(=本体2の方向)に向きを変えられる。また、ワイヤロープ8の先端には、本体吊り上げ用フック81が設けられ、当該本体吊り上げ用フック81は、本体2の横杆4の両端部に夫々設置された受け具41に接続されている。なお、ウインチ72は、手動のものであっても、電動のものであっても良い。また、本実施例では、本体2を引き上げるためにワイヤロープ8を用いる構成を示したが、ワイヤロープを用いる構成に限定されるわけではなく、本体2及び重量物に係る耐荷重を満たすことができれば、例えばナイロンロープを用いる構成であっても良い。
【0027】
<吊り上げ治具1の設置の流れ>
次に、本実施例に係る吊り上げ治具1の設置の流れについて、図10に沿って、図1図8、及び図9を用いて説明する。
【0028】
図1に示すように、作業員等のユーザは、地下変電所等の上空に制限がある、上空に樹木等の弊害がある、又は通路幅に制限がある等の狭隘な所定の場所に、仮設柱7、縦杆3、横杆4等の各部材を分けて運び込んだ後、縦杆3が3段階中一番縮んだ状態の本体2を、吊り上げ対象の重量物(図示省略)が略中心となるように、配置する(ステップS1001)。本体2の左右に仮設柱7を夫々設置し(ステップS1002)、各仮設柱7のウインチ72から繰り出したワイヤロープ8の本体吊り上げ用フック81を本体2の横杆4の両端部に夫々設置された受け具41に接続する(ステップS1003)。次に、図8に示すように、作業員等のユーザは、仮設柱7のウインチ72を同期させて操作し、ワイヤロープ8を巻き上げて、本体2を垂直に引き上げる(ステップS1004)。すると、第3部材33が伸び、第2部材32と第3部材33とが重複する箇所に第2貫通孔35が現れる。作業員等のユーザは、当該第2貫通孔35にピン36を貫通させ(ステップS1005)、第3部材33(細径側の部材)が伸びた状態を維持させる。更に、吊り上げ対象の重量物を高く吊り上げたい場合には、図9に示すように、作業員等のユーザは、仮設柱7のウインチ72を同期させて操作し、ワイヤロープ8を巻き上げて、本体2を垂直に引き上げる(ステップS1006)。すると、第2部材32が伸び、第1部材31と第2部材32とが重複する箇所に第1貫通孔34が現れる。作業員等のユーザは、当該第1貫通孔34にピン36を貫通させ(ステップS1007)、第2部材32(細径側の部材)が伸びた状態を維持させる。これで、吊り上げ治具1の設置は完了する。
【0029】
一方、設置した吊り上げ治具1を撤去する場合には、作業員等のユーザは、各第2貫通孔35に貫通したピン36を抜き、仮設柱7のウインチ72を同期させて操作し、ワイヤロープ8を繰り出して、本体2を垂直に引き下げる。次に、作業員等のユーザは、各第1貫通孔34に貫通したピン36を抜き、仮設柱7のウインチ72を同期させて操作し、ワイヤロープ8を繰り出して、本体2を垂直に引き下げる。次に、本体吊り上げ用フック81を、縦杆3が3段階中一番縮んだ状態の本体2の各受け具41から取り外す。そして、作業員等のユーザは、各仮設柱7を撤去すると共に、本体2を撤去する。
【0030】
このように、吊り上げ治具1を用いることによって、地下式変電所等の上空に制限がある、上空に樹木等の弊害がある、又は通路幅に制限がある等の狭隘な場所において、周りの備品、装置等を損傷することなく、重量物を吊り上げることができ、重量物の吊り上げ治具の設置及び撤去も容易に行うことができる。そのため、重量物の吊り上げにかかる手間を軽減することができると共に、重量物の吊り上げに伴う時間が短縮され、作業に必要な停電時間も短縮される。
【符号の説明】
【0031】
1:吊り上げ治具、2:本体、3:縦杆、31:第1部材、32:第2部材、33:第3部材、34:第1貫通孔、35:第2貫通孔、36:ピン、4:横杆、41:受け具、5:チェーンブロック、51:重量物吊り下げ用フック、52:チェーン、53:鎖車、6:横杆、62:アウトリガー、7:仮設柱、71:滑車、72:ウインチ、8:ワイヤロープ、81:本体吊り上げ用フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10