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特許6223716光データ伝送の受信装置、その受信方法及びその受信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223716
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】光データ伝送の受信装置、その受信方法及びその受信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/49 20060101AFI20171023BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H04L25/49 E
   H04L7/00 870
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-115010(P2013-115010)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-236270(P2014-236270A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 順陽
(72)【発明者】
【氏名】有門 慎也
(72)【発明者】
【氏名】浜田 修史
(72)【発明者】
【氏名】鴫原 研二
(72)【発明者】
【氏名】新田 能之
(72)【発明者】
【氏名】児島 敦
【審査官】 森谷 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−157221(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0058477(US,A1)
【文献】 特開平11−330970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/49
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信クロックの周期に合わせて極性が切り替わるように第1値及び第2値の二値で表される送信データを埋め込んだ符号化信号を受信する受信部と、
前記送信クロックよりも短い周期の受信クロックで前記符号化信号をカウントするカウンタと、
前記受信クロックの前記カウントをリセットした後における前記符号化信号の前記極性が、第1状態及び第2状態のいずれであるかを初期検出する初期検出部と、
前記初期検出された前記極性が前記第1状態である場合は前記リセットしてから前記受信クロックを第1カウントした後の極性を再検出し、第2状態である場合は前記第1カウントとは異なる第2カウントした後の極性を再検出する末期検出部と、
前記初期検出が行なわれたリセット後及び前記再検出が行なわれたカウント後のうち少なくとも前記カウント後で検出された前記極性に基づいて前記符号化信号に埋め込まれている受信データの値が前記第1値及び前記第2値のうちいずれを表すかについて判定する判定部と、
前記極性の前記再検出が行なわれたカウント後に前記極性の反転を検出し前記受信クロックの前記カウントを前記リセットするリセット部と、を備えることを特徴とする光データ伝送の受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光データ伝送の受信装置において、
前記符号化信号は、前記第1状態又は前記第2状態の極性のみで前記送信データの前記第1値が表され、前記第1状態及び前記第2状態の極性の組み合わせで前記送信データの前記第2値が表され、
前記受信データの値は、前記初期検出が行なわれたリセット後及び前記再検出が行なわれたカウント後で検出された前記極性に基づいて判定されることを特徴とする光データ伝送の受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光データ伝送の受信装置において、
前記符号化信号は、周期後半の極性のみで前記送信データの前記第1値及び前記第2値が表され、周期前半は、前回の周期後半とは逆極性を示し、
前記受信データの値は、前記再検出が行なわれたカウント後で検出された前記極性に基づいて判定されることを特徴とする光データ伝送の受信装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光データ伝送の受信装置において、
前記初期検出部及び前記末期検出部は、前記第1カウント及び第2カウントのうち前記極性を再検出したいずれか一方のカウント後に前記符号化信号が極性反転した前後の極性をそれぞれ検出することを特徴とする光データ伝送の受信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光データ伝送の受信装置において、
前記極性反転の検出に位相同期回路を用いることを特徴とする光データ伝送の受信装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光データ伝送の受信装置において、
前記カウント後、前記極性の反転が検出されることなく規定時間が経過した時点でタイムアウト信号が発せられることを特徴とする光データ伝送の受信装置。
【請求項7】
送信クロックの周期に合わせて極性が切り替わるように第1値及び第2値の二値で表される送信データを埋め込んだ符号化信号を受信するステップと、
前記送信クロックよりも短い周期の受信クロックで前記符号化信号をカウントするステップと、
前記受信クロックの前記カウントをリセットした後における前記符号化信号の前記極性が、第1状態及び第2状態のいずれであるかを初期検出するステップと、
前記リセット後の前記極性が第1状態である場合は前記リセットしてから前記受信クロックを第1カウントした後の極性を再検出し、前記リセット後の前記極性が第2状態である場合は前記第1カウントとは異なる第2カウントした後の極性を再検出するステップと、
前記初期検出が行なわれたリセット後及び前記再検出が行なわれたカウント後のうち少なくとも前記カウント後で検出された前記極性に基づいて前記符号化信号に埋め込まれている受信データの値が前記第1値及び前記第2値のうちいずれを表すかについて判定するステップと、
前記極性の前記再検出が行なわれたカウント後に前記極性の反転を検出し前記受信クロックの前記カウントを前記リセットするステップと、を含むことを特徴とする光データ伝送の受信方法。
【請求項8】
コンピュータに、
送信クロックの周期に合わせて極性が切り替わるように第1値及び第2値の二値で表される送信データを埋め込んだ符号化信号を受信するステップ、
前記送信クロックよりも短い周期の受信クロックで前記符号化信号をカウントするステップ、
前記受信クロックの前記カウントをリセットした後における前記符号化信号の前記極性が、第1状態及び第2状態のいずれであるかを初期検出するステップ、
前記リセット後の前記極性が第1状態である場合は前記リセットしてから前記受信クロックを第1カウントした後の極性を再検出し、前記リセット後の前記極性が第2状態である場合は前記第1カウントとは異なる第2カウントした後の極性を再検出するステップ、
前記初期検出が行なわれたリセット後及び前記再検出が行なわれたカウント後のうち少なくとも前記カウント後で検出された前記極性に基づいて前記符号化信号に埋め込まれている受信データの値が前記第1値及び前記第2値のうちいずれを表すかについて判定するステップ、
前記極性の前記再検出が行なわれたカウント後に前記極性の反転を検出し前記受信クロックの前記カウントを前記リセットするステップ、を実行させることを特徴とする光データ伝送の受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC型の光データ伝送の受信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光データ伝送に用いる送受信器は、DC型とAC型とに大きく分類される。
DC型の送受信器は発光のオン/オフでデータを伝送し、AC型の送受信器は常時オン/オフが繰り返される発光の周波数を変えることでデータを伝送する。
【0003】
一般に10Mbpsを超える高速のデータ伝送では、DC型ではパルス周期が短くなるにつれ光パルス幅歪の影響を大きく受けデータ伝送の正確さが低下するために、AC型を採用する場合が多い。
一方、AC型の送受信器は、その主要構成部品がサプライヤ側で一体化されて供給されるものであるために、ユーザ側がその内部構成に踏み込んで設計検証をすることが実質的に不可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−79259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電プラントで実用化されている光データ伝送のうち特に重要な制御データの伝送は、部品改廃、設計透明性及び長期使用の観点から、独自設計が可能なDC型が採用されてきた。
しかし近年、発電制御における伝送データ量が増加しつつあり、従来において1〜2Mbps程度の伝送レートで十分であったが、10Mbpsに近い高速の伝送レートが要求されるようになってきた。
【0006】
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、伝送レートを高速化しても光パルス幅歪の影響を受けずにデータ伝送の正確さが損なわれないDC型の光データ伝送の受信技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における光データ伝送の受信装置において、送信クロックの周期に合わせて極性が切り替わるように第1値及び第2値の二値で表される送信データを埋め込んだ符号化信号を受信する受信部と、前記送信クロックよりも短い周期の受信クロックで前記符号化信号をカウントするカウンタと、前記受信クロックの前記カウントをリセットした後における前記符号化信号の前記極性が、第1状態及び第2状態のいずれであるかを初期検出する初期検出部と、前記初期検出された前記極性が前記第1状態である場合は前記リセットしてから前記受信クロックを第1カウントした後の極性を再検出し、第2状態である場合は前記第1カウントとは異なる第2カウントした後の極性を再検出する末期検出部と、前記初期検出が行なわれたリセット後及び前記再検出が行なわれたカウント後のうち少なくとも前記カウント後で検出された前記極性に基づいて前記符号化信号に埋め込まれている受信データの値が前記第1値及び前記第2値のうちいずれを表すかについて判定する判定部と、前記極性の前記再検出が行なわれたカウント後に前記極性の反転を検出し前記受信クロックの前記カウントを前記リセットするリセット部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態により、伝送レートを高速化しても光パルス幅歪の影響を受けずにデータ伝送の正確さが損なわれないDC型の光データ伝送の受信技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る光データ伝送の受信装置の実施形態を示すブロック図。
図2】本発明の第1実施形態に係る光データ伝送の受信装置で受信される符号化信号の説明図。
図3】(A)第1実施形態において、極性がLow状態からスタートし"0"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート、(B)極性がLow状態からスタートし"1"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート、(C)極性がHigh状態からスタートし"0"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート、(D)極性がHigh状態からスタートし"1"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート。
図4】第1実施形態に係る光データ伝送の受信装置の動作を説明するフローチャート。
図5】本発明の第2実施形態に係る光データ伝送の受信装置で受信される符号化信号の説明図。
図6】(A)第2実施形態において、極性がLow状態からスタートし"0"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート、(B)極性がLow状態からスタートし"1"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート、(C)極性がHigh状態からスタートし"0"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート、(D)極性がHigh状態からスタートし"1"値の送信データを表す符号化信号の送信側及び受信側の波形を示すタイミングチャート。
図7】第2実施形態に係る光データ伝送の受信装置の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の各実施形態に適用される送信部20は、送信データ21a(図2)を蓄積する蓄積部21と、光ケーブル22におけるデータ伝送速度を定める送信クロック23aの発生部23と、送信クロック23aの周期Taに合わせて極性(Low/High)が切り替わるように二値(0/1)で表される送信データ21aが埋め込まれた符号化信号24aを生成しこの送信クロック23aに同期して光ケーブル22に送出する生成部24と、から構成されている。
この送信部20は、所謂エンベディットクロック方式を採用したものであり、数百Kbyteもの連続データを送出する場合であっても、受信側において同期ズレが生じない。
【0011】
第1実施形態で用いられる符号化信号24aは、図2に示すように、第1状態(Low)又は第2状態(High)の極性のみ(H0,L0)で送信データ21aの第1値("0")が表され、第1状態(Low)及び第2状態(High)の極性の組み合わせ(H1,L1)で送信データの第2値("1")が表されている。
そして、符号化信号24aは、送信クロック23aの立ち上がりで極性が反転するように、送信データ21aの第1値("0")及び第2値("1")が表現される。
【0012】
本発明の実施形態に係る光データ伝送の受信装置10は、送信部20から光ケーブル22を経由して伝送された符号化信号24bを受信する受信部11と、送信クロック23aよりも短い周期Tb(<Ta;図3)の受信クロックで符号化信号24bをカウントするカウンタ12と、受信クロックのリセット(●)後における符号化信号24bの極性(Low/High)を検出する初期検出部13aと、リセット(●)後の極性が第1状態(Low)である場合(図3(A)(B))は第1カウント(▲)後の極性を再検出し、リセット(●)後の極性が第2状態(High)である場合(図3(C)(D))は第2カウント(◆)後の極性を再検出する末期検出部13bと、リセット(●)後及びカウント(▲◆)後のうち少なくともカウント(▲◆)後で検出された極性(Low/High)に基づいて受信データの値を判定する判定部14と、カウント(▲◆)後に極性(Low/High)の反転を検出し受信クロックのカウントをリセットするリセット部15と、を備えている。
【0013】
なお第1実施形態において判定部14は、リセット(●)後及びカウント(▲◆)後で検出された極性(Low/High)に基づいて、受信データの値を判定している。
また、カウント(▲◆)後に、極性(Low/High)の反転が検出されることなく規定時間が経過した時点でタイムアウト信号が発せられる。
換言すると、リセット部15におけるリセットの間隔が規定時間を超えると、タイムアウト信号が発せられてエラー発生又はデータ送信が途切れたとみなされる。
【0014】
受信部11により受信される符号化信号24bは、光ケーブル22を伝送した影響により、図2に示すように、送信部20から送信された符号化信号24aに対して極性の反転方向に依存した遅延現象による光パルス幅歪を生じている。
詳細には、発光からオンからオフに切り替わるLowからHighへの反転時は、遅延が大きくまた環境にも依存して一定しない。一方、オフからオンに切り替わるHighからLowへの反転時は、遅延が小さくほぼ一定している。
【0015】
カウンタ12は、発生部16で送信クロック23aよりも短い周期Tb(<Ta;図3)で発振する受信クロックに同期してカウントアップし、リセット部15からの信号を入力するとカウント数を"0"にリセットする。
図3では、送信クロック23aの16倍の周波数で発振する受信クロックによるカウントを示している。なお図3の斜線で示される領域は、誤差を多く含み、符号化信号24の極性(Low/High)を正確に検出できない領域である。
【0016】
そして、図3(A)では"19"までカウントアップしたところで"0"にリセットされ、図3(B)では"16"までカウントアップしたところで"0"にリセットされ、図3(C)では"13"までカウントアップしたところで"0"にリセットされ、図3(D)では"16"までカウントアップしたところで"0"にリセットされている。
【0017】
図3(A)のタイミングチャートは、極性がLow状態からスタートし"0"値の送信データ21aを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合、送信側の符号化信号24aから2カウント遅れて送信側の符号化信号24bの極性が反転すると、カウンタはこの時点でリセットされる。
そして、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第1状態(Low)であるために、末期検出部13bは第1カウント(▲;13カウント)後の極性を再検出する。
この場合、初期検出部13a及び末期検出部13bは、ともに符号化信号24bの極性を第1状態(Low)として検出するために、判定部14において"0"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0018】
図3(B)のタイミングチャートは、極性がLow状態からスタートし"1"値の送信データを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合も同様に、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第1状態(Low)であるために、末期検出部13bは第1カウント(▲;13カウント)後の極性を再検出する。
そして、初期検出部13a及び末期検出部13bは、符号化信号24bの極性をそれぞれ第1状態(Low)及び第2状態(High)として検出するために、判定部14において"1"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0019】
図3(C)のタイミングチャートは、極性がHigh状態からスタートし"0"値の送信データを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合も同様に、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第2状態(High)であるために、末期検出部13bは第2カウント(◆;8カウント)後の極性を再検出する。
そして、初期検出部13a及び末期検出部13bは、ともに符号化信号24bの極性を第2状態(High)として検出するために、判定部14において"0"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0020】
図3(D)のタイミングチャートは、極性がHigh状態からスタートし"1"値の送信データを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合も同様に、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第2状態(High)であるために、末期検出部13bは第2カウント(◆;8カウント)後の極性を再検出する。
そして、初期検出部13a及び末期検出部13bは、符号化信号24bの極性をそれぞれ第2状態(High)及び第1状態(Low)として検出するために、判定部14において"1"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0021】
このように、受信クロックのリセット(●)後に、符号化信号24bの極性(Low/High)を再検出するタイミングを、第1状態(Low)スタート及び第2状態(High)スタートの場合に分けて、それぞれ第1カウント(13カウント)及び第2カウント(8カウント)としている。
これにより、判定部14における受信データの値判定において、符号化信号24aの極性の反転方向に依存した伝送遅延の影響を排除することができる。
【0022】
具体的に説明すると、それぞれ第1カウント及び第2カウントが共に8カウントであるとすると、図3(A)(B)は、カウント後(◇;8カウント)に極性の再検出がなされる。この場合、図3(A)は、受信データは"0"と判定されて問題ないが、図3(B)は、本来"1"である受信データが"0"と判定されて問題となる。
また、それぞれ第1カウント及び第2カウントが共に13カウントであるとすると、図3(C)(D)は、カウント後(△;13カウント)に極性の再検出がなされる。この場合、図3(D)は、受信データは"1"と判定されて問題ないが、図3(C)は、本来"0"である受信データが"1"と判定されて問題となる。
【0023】
リセット部15(図1)は、カウント(▲◆)後に極性(Low/High)の反転を検出し受信クロックのカウントをリセットし、カウンタ12に対し、続いて受信される符号化信号24bのカウントアップを促す。
【0024】
次に図4のフローチャートに基づいて第1実施形態に係る光データ伝送の受信装置の動作を説明する(適宜、図1参照)。
受信装置10において受信クロックを発生させている状態で(S11)、送信データ21aの送信開始の合図として送信部20から初期データを受信すると(S12)、カウンタ12がリセットされて(S13)、符号化信号24bの受信が開始される(S14)。
【0025】
受信クロックのリセット後に検出された符号化信号24bの極性が第1状態(Low)である場合に(S15a)、第1カウント後に再検出された極性が第1状態(Low)であれば(S16a、S17a Yes)受信データの値を"0"と判定し、第2状態(High)であれば(S17a No)受信データの値を"1"と判定する(S18)。
【0026】
一方、受信クロックのリセット後に検出された符号化信号24bの極性が第2状態(High)である場合に(S15b)、第2カウント後に再検出された極性が第2状態(High)であれば(S16b、S17b Yes)受信データの値を"0"と判定し、第1状態(Low)であれば(S17b No)受信データの値を"1"と判定する(S18)。
【0027】
そして、カウント後は、極性の反転を検出したところで(S19 Yes)、受信クロックのカウントをリセットし(S13)、前記した(S14)以降の工程を繰り返す。
そして、極性の反転を検出せずに(S19 No)、規定時間が経過した時点で、データ送信が途切れたと見なされてタイムアウトとなる(S20:END)。
【0028】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る光データ伝送の受信装置10は、図1で示されるものと共通の構成又は機能を有しており、重複説明を省略する。
同様に、本発明の第2実施形態を表す図5から図7も、第1実施形態を表す図2から図4のそれぞれに対応しているので、第2実施形態における相違点のみを記載し、第1実施形態の説明を準用して重複記載を省略する。
【0029】
第2実施形態で用いられる符号化信号24aは、図5に示すように、周期Taの後半の極性のみで送信データの第1値("0")及び第2値("1")が表され、周期Taの前半は前回の周期後半に対し逆極性を示す。
つまり、周期Taの後半の極性が第1状態(Low)であれば第2値("1")と判定され、第2状態(High)であれば第1値("0")と判定される。そして、周期の後半が第1状態(Low)であれば次回周期の前半は第2状態(High)となり、周期の後半が第2状態(High)であれば次回周期の前半は第1状態(Low)となる。
【0030】
また第2実施形態において判定部14は、図6に示すカウント(▲◆)後で検出された極性(Low/High)のみに基づいて、受信データの値を判定することができる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る光データ伝送の受信装置は、図1で示されるものと共通の構成又は機能を有しており、重複説明を省略する。
上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、初期検出部13a及び末期検出部13bが、判定部14における処理のためにサンプリングのタイミングをそれぞれリセット後及びカウント後として特に限定していなかった。
この場合、極性反転を検出することも含めると、受信データの各周期当たり最大で三回のタイミングでサンプリングすることもあり、制御回路が複雑になることが懸念される。
【0032】
そこで、第3実施形態において、初期検出部13a及び末期検出部13bは、前記カウント後で符号化信号24bの極性反転の前後の極性をそれぞれ検出することとした。
これにより、受信データの各周期当たりのサンプリングは一回のタイミングですむことになる。
【0033】
また上述した第1実施形態及び第2実施形態において、カウンタ12は、送信クロック23aの周期Taの1/16倍の短い周期Tbの受信クロックで符号化信号24bをカウントしていた。
この場合では伝送レートが高速化するにつれ、送信クロック23aの周期Taが短くなるために、さらに周期の短い受信クロックを用いる必要が生じ、サンプリング間隔が限界に達してしまう。
【0034】
そこで、極性反転の検出には、位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)を用いることとした。
PLLは、設定した角度でサンプリングを実施するが、受信クロックのリセット後の極性(Low/High)に応じてこの角度を分けて設定することにより、光パルス幅歪の影響を抑えて正確なデータ伝送を実現することができる。
【0035】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の光データ伝送の受信装置によれば、符号化信号の各周期の前半の極性に応じて、後半の極性を検出するタイミングを変えることにより、光パルス幅歪の影響を抑えて正確なデータ伝送を実現することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
また、光データ伝送の受信装置の構成要素は、コンピュータのプロセッサで実現することも可能であり、光データ伝送の受信プログラムにより動作させることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
10…受信装置、11…受信部、12…カウンタ、13…検出部、13a…初期検出部、13b…末期検出部、14…判定部、15…リセット部、16…受信クロック発生部、17…受信データ蓄積部、20…送信部、21…送信データ蓄積部、21a…送信データ、22…光ケーブル、23…送信クロック発生部、23a…送信クロック、24…符号化信号生成部、24a…送信側の符号化信号、24b…受信側の符号化信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7