(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の各実施形態に適用される送信部20は、送信データ21a(
図2)を蓄積する蓄積部21と、光ケーブル22におけるデータ伝送速度を定める送信クロック23aの発生部23と、送信クロック23aの周期Taに合わせて極性(Low/High)が切り替わるように二値(0/1)で表される送信データ21aが埋め込まれた符号化信号24aを生成しこの送信クロック23aに同期して光ケーブル22に送出する生成部24と、から構成されている。
この送信部20は、所謂エンベディットクロック方式を採用したものであり、数百Kbyteもの連続データを送出する場合であっても、受信側において同期ズレが生じない。
【0011】
第1実施形態で用いられる符号化信号24aは、
図2に示すように、第1状態(Low)又は第2状態(High)の極性のみ(H0,L0)で送信データ21aの第1値("0")が表され、第1状態(Low)及び第2状態(High)の極性の組み合わせ(H1,L1)で送信データの第2値("1")が表されている。
そして、符号化信号24aは、送信クロック23aの立ち上がりで極性が反転するように、送信データ21aの第1値("0")及び第2値("1")が表現される。
【0012】
本発明の実施形態に係る光データ伝送の受信装置10は、送信部20から光ケーブル22を経由して伝送された符号化信号24bを受信する受信部11と、送信クロック23aよりも短い周期Tb(<Ta;
図3)の受信クロックで符号化信号24bをカウントするカウンタ12と、受信クロックのリセット(●)後における符号化信号24bの極性(Low/High)を検出する初期検出部13aと、リセット(●)後の極性が第1状態(Low)である場合(
図3(A)(B))は第1カウント(▲)後の極性を再検出し、リセット(●)後の極性が第2状態(High)である場合(
図3(C)(D))は第2カウント(◆)後の極性を再検出する末期検出部13bと、リセット(●)後及びカウント(▲◆)後のうち少なくともカウント(▲◆)後で検出された極性(Low/High)に基づいて受信データの値を判定する判定部14と、カウント(▲◆)後に極性(Low/High)の反転を検出し受信クロックのカウントをリセットするリセット部15と、を備えている。
【0013】
なお第1実施形態において判定部14は、リセット(●)後及びカウント(▲◆)後で検出された極性(Low/High)に基づいて、受信データの値を判定している。
また、カウント(▲◆)後に、極性(Low/High)の反転が検出されることなく規定時間が経過した時点でタイムアウト信号が発せられる。
換言すると、リセット部15におけるリセットの間隔が規定時間を超えると、タイムアウト信号が発せられてエラー発生又はデータ送信が途切れたとみなされる。
【0014】
受信部11により受信される符号化信号24bは、光ケーブル22を伝送した影響により、
図2に示すように、送信部20から送信された符号化信号24aに対して極性の反転方向に依存した遅延現象による光パルス幅歪を生じている。
詳細には、発光からオンからオフに切り替わるLowからHighへの反転時は、遅延が大きくまた環境にも依存して一定しない。一方、オフからオンに切り替わるHighからLowへの反転時は、遅延が小さくほぼ一定している。
【0015】
カウンタ12は、発生部16で送信クロック23aよりも短い周期Tb(<Ta;
図3)で発振する受信クロックに同期してカウントアップし、リセット部15からの信号を入力するとカウント数を"0"にリセットする。
図3では、送信クロック23aの16倍の周波数で発振する受信クロックによるカウントを示している。なお
図3の斜線で示される領域は、誤差を多く含み、符号化信号24の極性(Low/High)を正確に検出できない領域である。
【0016】
そして、
図3(A)では"19"までカウントアップしたところで"0"にリセットされ、
図3(B)では"16"までカウントアップしたところで"0"にリセットされ、
図3(C)では"13"までカウントアップしたところで"0"にリセットされ、
図3(D)では"16"までカウントアップしたところで"0"にリセットされている。
【0017】
図3(A)のタイミングチャートは、極性がLow状態からスタートし"0"値の送信データ21aを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合、送信側の符号化信号24aから2カウント遅れて送信側の符号化信号24bの極性が反転すると、カウンタはこの時点でリセットされる。
そして、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第1状態(Low)であるために、末期検出部13bは第1カウント(▲;13カウント)後の極性を再検出する。
この場合、初期検出部13a及び末期検出部13bは、ともに符号化信号24bの極性を第1状態(Low)として検出するために、判定部14において"0"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0018】
図3(B)のタイミングチャートは、極性がLow状態からスタートし"1"値の送信データを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合も同様に、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第1状態(Low)であるために、末期検出部13bは第1カウント(▲;13カウント)後の極性を再検出する。
そして、初期検出部13a及び末期検出部13bは、符号化信号24bの極性をそれぞれ第1状態(Low)及び第2状態(High)として検出するために、判定部14において"1"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0019】
図3(C)のタイミングチャートは、極性がHigh状態からスタートし"0"値の送信データを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合も同様に、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第2状態(High)であるために、末期検出部13bは第2カウント(◆;8カウント)後の極性を再検出する。
そして、初期検出部13a及び末期検出部13bは、ともに符号化信号24bの極性を第2状態(High)として検出するために、判定部14において"0"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0020】
図3(D)のタイミングチャートは、極性がHigh状態からスタートし"1"値の送信データを表す、送信側の符号化信号24a及び受信側の符号化信号24bを示す。
この場合も同様に、初期検出部13aはこのリセット(●)後における極性を検出し、この検出が第2状態(High)であるために、末期検出部13bは第2カウント(◆;8カウント)後の極性を再検出する。
そして、初期検出部13a及び末期検出部13bは、符号化信号24bの極性をそれぞれ第2状態(High)及び第1状態(Low)として検出するために、判定部14において"1"値と判定された受信データが蓄積部17に蓄積される。
【0021】
このように、受信クロックのリセット(●)後に、符号化信号24bの極性(Low/High)を再検出するタイミングを、第1状態(Low)スタート及び第2状態(High)スタートの場合に分けて、それぞれ第1カウント(13カウント)及び第2カウント(8カウント)としている。
これにより、判定部14における受信データの値判定において、符号化信号24aの極性の反転方向に依存した伝送遅延の影響を排除することができる。
【0022】
具体的に説明すると、それぞれ第1カウント及び第2カウントが共に8カウントであるとすると、
図3(A)(B)は、カウント後(◇;8カウント)に極性の再検出がなされる。この場合、
図3(A)は、受信データは"0"と判定されて問題ないが、
図3(B)は、本来"1"である受信データが"0"と判定されて問題となる。
また、それぞれ第1カウント及び第2カウントが共に13カウントであるとすると、
図3(C)(D)は、カウント後(△;13カウント)に極性の再検出がなされる。この場合、
図3(D)は、受信データは"1"と判定されて問題ないが、
図3(C)は、本来"0"である受信データが"1"と判定されて問題となる。
【0023】
リセット部15(
図1)は、カウント(▲◆)後に極性(Low/High)の反転を検出し受信クロックのカウントをリセットし、カウンタ12に対し、続いて受信される符号化信号24bのカウントアップを促す。
【0024】
次に
図4のフローチャートに基づいて第1実施形態に係る光データ伝送の受信装置の動作を説明する(適宜、
図1参照)。
受信装置10において受信クロックを発生させている状態で(S11)、送信データ21aの送信開始の合図として送信部20から初期データを受信すると(S12)、カウンタ12がリセットされて(S13)、符号化信号24bの受信が開始される(S14)。
【0025】
受信クロックのリセット後に検出された符号化信号24bの極性が第1状態(Low)である場合に(S15a)、第1カウント後に再検出された極性が第1状態(Low)であれば(S16a、S17a Yes)受信データの値を"0"と判定し、第2状態(High)であれば(S17a No)受信データの値を"1"と判定する(S18)。
【0026】
一方、受信クロックのリセット後に検出された符号化信号24bの極性が第2状態(High)である場合に(S15b)、第2カウント後に再検出された極性が第2状態(High)であれば(S16b、S17b Yes)受信データの値を"0"と判定し、第1状態(Low)であれば(S17b No)受信データの値を"1"と判定する(S18)。
【0027】
そして、カウント後は、極性の反転を検出したところで(S19 Yes)、受信クロックのカウントをリセットし(S13)、前記した(S14)以降の工程を繰り返す。
そして、極性の反転を検出せずに(S19 No)、規定時間が経過した時点で、データ送信が途切れたと見なされてタイムアウトとなる(S20:END)。
【0028】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る光データ伝送の受信装置10は、
図1で示されるものと共通の構成又は機能を有しており、重複説明を省略する。
同様に、本発明の第2実施形態を表す
図5から
図7も、第1実施形態を表す
図2から
図4のそれぞれに対応しているので、第2実施形態における相違点のみを記載し、第1実施形態の説明を準用して重複記載を省略する。
【0029】
第2実施形態で用いられる符号化信号24aは、
図5に示すように、周期Taの後半の極性のみで送信データの第1値("0")及び第2値("1")が表され、周期Taの前半は前回の周期後半に対し逆極性を示す。
つまり、周期Taの後半の極性が第1状態(Low)であれば第2値("1")と判定され、第2状態(High)であれば第1値("0")と判定される。そして、周期の後半が第1状態(Low)であれば次回周期の前半は第2状態(High)となり、周期の後半が第2状態(High)であれば次回周期の前半は第1状態(Low)となる。
【0030】
また第2実施形態において判定部14は、
図6に示すカウント(▲◆)後で検出された極性(Low/High)のみに基づいて、受信データの値を判定することができる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る光データ伝送の受信装置は、
図1で示されるものと共通の構成又は機能を有しており、重複説明を省略する。
上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、初期検出部13a及び末期検出部13bが、判定部14における処理のためにサンプリングのタイミングをそれぞれリセット後及びカウント後として特に限定していなかった。
この場合、極性反転を検出することも含めると、受信データの各周期当たり最大で三回のタイミングでサンプリングすることもあり、制御回路が複雑になることが懸念される。
【0032】
そこで、第3実施形態において、初期検出部13a及び末期検出部13bは、前記カウント後で符号化信号24bの極性反転の前後の極性をそれぞれ検出することとした。
これにより、受信データの各周期当たりのサンプリングは一回のタイミングですむことになる。
【0033】
また上述した第1実施形態及び第2実施形態において、カウンタ12は、送信クロック23aの周期Taの1/16倍の短い周期Tbの受信クロックで符号化信号24bをカウントしていた。
この場合では伝送レートが高速化するにつれ、送信クロック23aの周期Taが短くなるために、さらに周期の短い受信クロックを用いる必要が生じ、サンプリング間隔が限界に達してしまう。
【0034】
そこで、極性反転の検出には、位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)を用いることとした。
PLLは、設定した角度でサンプリングを実施するが、受信クロックのリセット後の極性(Low/High)に応じてこの角度を分けて設定することにより、光パルス幅歪の影響を抑えて正確なデータ伝送を実現することができる。
【0035】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の光データ伝送の受信装置によれば、符号化信号の各周期の前半の極性に応じて、後半の極性を検出するタイミングを変えることにより、光パルス幅歪の影響を抑えて正確なデータ伝送を実現することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
また、光データ伝送の受信装置の構成要素は、コンピュータのプロセッサで実現することも可能であり、光データ伝送の受信プログラムにより動作させることが可能である。