(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223731
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】段ボール製トレイ
(51)【国際特許分類】
B65D 5/22 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
B65D5/22 F
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-138781(P2013-138781)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-9891(P2015-9891A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100151024
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 幸嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】大谷 昌義
(72)【発明者】
【氏名】春田 俊宏
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−111176(JP,A)
【文献】
特開2006−327619(JP,A)
【文献】
特開2001−348025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(1)の周囲にコーナー部を挟んで側壁(2)及び端壁(3)を連設し、端壁(3)を二重の端板(4,5)及び端頂板(6)により形成し、端壁(3)の側端に抱持壁(7)を連設して、抱持壁(7)を端板(4,5)及び端頂板(6)からそれぞれ延びる二重の抱板(8,9)及び抱頂板(10)により形成し、
抱持壁(7)に、内側の抱板(9)及び抱頂板(10)に跨る切込を入れて係止爪(11)を形成し、係止爪(11)が折目に沿って山形に折れ曲がるようにし、側壁(2)に上端を切り欠いて端部側が高くなる係止段部(2a)を形成し、
端壁(3)と抱持壁(7)とを共に巻き込むように折り曲げ、コーナー部を形成するように屈曲させ、抱持壁(7)の抱板(8,9)の間に側壁(2)の端部を挟み込んで、端壁(3)を起立させると、係止爪(11)の端壁(3)側の端縁と係止段部(2a)の端縁とが当接することにより係合して、側壁(2)及び端壁(3)の起立状態が維持される段ボール製トレイにおいて、
前記抱持壁(7)の内側の抱板(9)から抱頂板(10)にかけて、係止爪(11)の端壁(3)側の端縁に臨むように、この端縁と係止段部(2a)の端縁との係合を確認するための確認窓(12)を設け、確認窓(12)は、係止爪(11)を半径の一辺とし、抱頂板(10)を半径の他辺とする扇状に開口したものとしたことを特徴とする段ボール製トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、
段ボールを材料として組み立てられ、物品の運搬や保管に使用されるトレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、農産物の運搬に使用される段ボール製トレイは、偏平なブランクの状態で農産物の集積拠点に納品され、その集積拠点で組み立てられて、農産物が収納された後、市場等へ出荷される。この出荷作業における組立作業の容易化を図ったトレイとして、下記特許文献1においては、
図7に示すようなものが提案されている。
【0003】
このトレイは、底壁51の周囲にコーナー部を挟んで側壁52及び端壁53を連設し、端壁53を二重の端板54,55及び端頂板56により形成し、端壁53の側端に抱持壁57を連設して、抱持壁57を端板54,55及び端頂板56からそれぞれ延びる二重の抱板58,59及び抱頂板60により形成し、端壁53と抱持壁57とを共に巻き込むように折り曲げ、コーナー部を形成するように屈曲させ、抱持壁57の抱板58,59の間に側壁52の端部を挟み込む構成とされている。
【0004】
上記トレイでは、抱持壁57に、抱板58,59及び抱頂板60に跨る切込を入れて係止爪61が形成され、係止爪61には、抱頂板60の幅方向の中間部に対応する位置と抱板59側の端部とに折目が入れられている。また、側壁52には、上端を切り欠いて端部側が高くなる係止段部62aが形成されている。
【0005】
そして、組み立てに際し、抱持壁57を二重構造とするため、巻き込むように折り曲げると、係止爪61が山形に折れ曲がり、次に、端壁53と抱持壁57とを屈曲させ、抱板58,59の間に側壁52の端部を挟み込む過程において、端壁53を起立させると、係止爪61の端壁53側の端縁と係止段部62aの端縁とが当接することにより係合して、側壁52及び端壁53の起立状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−111176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようなトレイでは、係止爪61と係止段部62aとの係合が不十分であった場合、物品を載せて運搬する際、端壁53を握って持ち上げると、端壁53が底壁51に対し外側へ倒れ、物品が落下するおそれがあった。
【0008】
そこで、この発明は、側壁及び端壁の起立状態を、簡単な作業で確実に維持できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、底壁の周囲にコーナー部を挟んで側壁及び端壁を連設し、端壁を二重の端板及び端頂板により形成し、端壁の側端に抱持壁を連設して、抱持壁を端板及び端頂板からそれぞれ延びる二重の抱板及び抱頂板により形成し、抱持壁に、内側の抱板及び抱頂板に跨る切込を入れて係止爪を形成し、係止爪が折目に沿って山形に折れ曲がるようにし、側壁に上端を切り欠いて端部側が高くなる係止段部を形成し、端壁と抱持壁とを共に巻き込むように折り曲げ、コーナー部を形成するように屈曲させ、抱持壁の抱板の間に側壁の端部を挟み込んで、端壁を起立させると、係止爪の端壁側の端縁と係止段部の端縁とが当接することにより係合して、側壁及び端壁の起立状態が維持される
段ボール製トレイにおいて、前記抱持壁の内側の抱板から抱頂板にかけて、係止爪の端壁側の端縁に臨むように、この端縁と係止段部の端縁との係合を確認するための確認窓を設け
、確認窓は、係止爪を半径の一辺とし、抱頂板を半径の他辺とする扇状に開口したものとしたのである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る
段ボール製トレイでは、組み立てに際し、確認窓を介して、係止爪の端壁側の端縁と係止段部の端縁とが係合しているかを一目で確認することができるので、係合が不十分な場合、抱持壁を押し下げることにより、確実に係合させることができ、運搬時における端壁の倒れを防止し、堅固に保形された状態で、物品を運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施形態に係る
段ボール製トレイのブランクを示す図
【
図4】同上の側壁と端壁のロック部分を示す拡大斜視図
【
図7】従来の
段ボール製トレイの組立状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
このトレイは、
図1に示すような段ボールのブランクから形成される。このブランクでは、長方形状の底壁1の周囲各辺のうち、一対の長辺には側壁2が、他対の短辺には端壁3がそれぞれ連設され、端壁3は、底壁1側から順次配置された端板4,5及びその間に挟まれた端頂板6により形成されている。
【0014】
端壁3の側端には、抱持壁7が連設され、抱持壁7は、各端板4,5及び端頂板6からそれぞれ延びて互いに繋がった抱板8,9及び抱頂板10により形成されている。抱板9の組立時に下側となる角部端縁は、組立時に側壁2の端部との干渉を回避するため、弧状に切断されている。
【0015】
抱持壁7には、抱板9及び抱頂板10に跨る切込を入れて係止爪11が形成され、係止爪11には、抱頂板10の幅方向の中間部に対応する位置及び抱板9側の端部に折目が入れられている。
【0016】
係止爪11の端壁3側の端縁は、抱頂板10側が端壁3から離れる方向へ傾斜し、この端縁に臨むように、抱板9から抱頂板10にかけて、扇状に開口した確認窓12が設けられている。
【0017】
側壁2には、組立時に上端となる端縁の両側部分を切り欠いて、端部側が高くなる係止段部2aが形成され、係止段部2aの端縁は、組立時の上端側が迫り出すように傾斜している。側壁2の両側端縁は、組立時に抱板9との干渉を回避するため、弧状に切断され、側壁2の上端となる端縁の中間部分には、凸部2bが設けられている。
【0018】
端板5と抱板9の境界部には、谷折りされる折目線を挟んで、その両側に山折りされる折目線が入れられると共に、端壁3から抱持壁7を屈曲させる際、折曲抵抗を軽減するため、逃穴13が設けられている。
【0019】
また、抱板8の先端部の組立時に下端となる端縁には、先端側から基部側へテーパー状に幅が広がり、基部両側に凹部を有する差込片14が設けられ、底壁1と側壁2の稜部には、差込片14に対応して、差込穴15が設けられている。
【0020】
このようなブランクを組み立てるには、
図2に示すように、底壁1から側壁2を起立させ、端壁3を、端板4が外側となり、端板5が内側となる方向へ巻き込むように折り曲げると共に、抱持壁7を、抱板8が外側となり、抱板9が内側となる方向へ巻き込むように折り曲げる。
【0021】
このように折り曲げて、二重構造の端壁3及び抱持壁7を形成する際、抱頂板10と抱板8,9の境界の折目と、抱頂板10の幅方向の中間部に位置する係止爪11の折目とのずれにより、係止爪11が山形に折れ曲がる。
【0022】
次に、端壁3と抱持壁7とを、コーナー部を形成するように屈曲させ、底壁1から端壁3を起立させて、抱持壁7の抱板8,9の間に側壁2の端部を挟み込む。
【0023】
そして、
図3乃至
図5に示すように、端壁3を直立させると、係止爪11の端壁3側の端縁と係止段部2aの端縁とが当接することにより係合し、また、これらの端縁の傾斜により、端縁同士が食い込むように噛み合って、側壁2と端壁3とがロックされ、側壁2及び端壁3の起立状態が維持される。
【0024】
このとき、確認窓12に係止爪11の端壁3側の端縁が臨み、係止段部2aの端縁が確認窓12から見えることから、係止爪11と係止段部2aの係合状態を、確認窓12を介して確認することができ、係合が不十分な場合、抱持壁7を押し下げることにより、確実に係合させることができる。
【0025】
その後、側壁2及び端壁3の起立状態の安定性を高めるため、差込片14を差込穴15に押し込み、差込片14の基部両側を差込穴15に係合させる。
【0026】
上記のような段ボール製トレイでは、組立作業を容易かつ確実に行うことができ、物品の運搬に際し、端壁3を握って持ち上げたとき、端壁3が外側へ倒れる現象が防止され、側壁2及び端壁3の起立状態が確実に維持されるので、堅固に保形された状態で、物品を落下させることなく、安全に運ぶことができる。
【0027】
また、
図6に示すように、段積みする場合、下段側となるトレイの対向する側壁2の凸部2bの間に、上段側となるトレイの側壁2の下部を嵌め込むと、上下のトレイの幅方向への移動が凸部2bで規制され、長さ方向への移動が凸部2bと抱板8の端縁同士の当接により規制されるので、積みずれによる荷崩れが防止される。
【0028】
なお、上記実施形態では、保形性に万全を期すため、係止爪11と係止段部2aの係合によるロック機構に加えて、差込片14を差込穴15に押し込むロック機構を設けているが、組立時の作業性を優先する場合には、差込片14を差込穴15に押し込むロック機構を省略してもよい。
【0029】
また、段積みに際し、下段側となるトレイの対向する側壁2の凸部2bの間に、上段側となるトレイの下部を挟み込むことにより、積みずれを防止することとしたが、端壁3の頂部に切り起こしによる係合突起を設け、底壁1の端壁3との稜部に係合穴を形成しておき、この係合突起と係合穴の係合により、積みずれを防止するようにしてもよい。
【0030】
そのほか、周壁が四角筒状をなすトレイについて例示したが、コーナー部に面取り状の傾斜部分を有するトレイにおいても、同様の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 底壁
2 側壁
2a 係止段部
2b 凸部
3 端壁
4,5 端板
6 端頂板
7 抱持壁
8,9 抱板
10 抱頂板
11 係止爪
12 確認窓
13 逃穴
14 差込片
15 差込穴