(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第1の光散乱手段の複数の散乱ドットは同じサイズを有し、上記第2の光散乱手段の複数の散乱ドットは上記第1の光散乱手段の複数の散乱ドットより小さい同じサイズを有する、
請求項6の導光板。
【背景技術】
【0002】
従来、面で発光する面発光装置として、透明な導光板を用いた装置が知られている。透明な導光板をそのまま面発光装置として用いれば、消灯時に透明になるため、例えば、部屋の窓に適用することもできる。このように、窓に透明な導光板を用いれば、壁面に照明機能を持たせることができることに加え、部屋の閉塞感を低減でき、且つ採光が叶うという利点がある。
【0003】
この種の導光板を発光させるため、導光板のエッジにLEDを配置するものが知られている。導光板は、射出面と背面を持ち、背面に光を反射するための白色ドットパターンを設ける構成が一般的である。このような構成により、導光板のエッジから入射された光が白色ドットパターンによって反射され、射出面から射出(片面発光)される。
【0004】
しかし、導光板の背面に白色ドットパターンを設けた片面発光タイプの面発光装置において、射出面からの射出光を増やそうとすると、白色ドットパターンの密度を濃くして反射率を高めざるを得ない。すると、導光板の透明度が低下してしまう。また、一方で、従来の導光板方式では、背面からも光が射出されるため、器具効率が悪い(おおよそ70%から80%)ことも知られている。
【0005】
特許文献1には、基材層と出射層を積層した導光板を用いたバックライトユニットについて開示されている。基材層の第1の主面上には、基材層内を導光されてきた光の光路を変換する第1の微細構造パターンが形成されている。出射層の第2の主面上には、第1の微細構造パターンにより光路変換された光を第2の主面から出射させるための第2の微細構造パターンが形成されている。
【0006】
しかし、この導光板の背面側には、反射フィルムが配置されている。反射フィルムは不透明であるため、バックライトユニットの背面側に光が透過することはない。言い換えると、このバックライトユニットは、それ自体が透過性を必要とする適用を考慮したものではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る導光板10を用いた面発光装置100の外観斜視図である。本実施形態の面発光装置100は、透明な導光板10および3つの光源20を有する。この面発光装置100は、各光源20からの光を導光板10の1つの端面16aを介して受け入れて、導光板10の内部を通して反射を繰り返しながら端面16aと直交する一方の面、すなわち射出面12に光を導いて、この射出面12から面状の光を射出する、いわゆる片面発光タイプの照明装置として用いることができる。
【0014】
例えば、この面発光装置100を部屋の窓に取り付けると、昼間の明るい時間帯では非発光状態にして透明な窓として機能させることができ、且つ、夜間の暗い時間帯では発光状態にして壁面に設けた照明装置として機能させることができる。或いは、射出面12を部屋の外側に向ける姿勢でこの面発光装置100を窓に取り付けると、発光させた状態で外部から部屋の中が見えないような目隠し板として機能させることもできる。
また、この面発光装置100は、例えば、液晶テレビやパソコンモニターのバックライトとして用いることもでき、照明装置以外の用途に用いることもできる。
【0015】
導光板10は、射出面12、射出面12に対向した反射面14(背面)、および射出面12の4つの端辺と反射面14の4つの端辺をそれぞれつなぐ4つの端面16(16a)を有する。本実施形態の導光板10は、厚さ5mm程度の矩形の板状体である。このため、全ての面12、14、16は矩形且つ平らである。しかし、導光板の形状は矩形ブロック状に限らず、互いに対向する射出面12および反射面14、および両者をつなぐ少なくとも1つの端面16があればいかなる形状であっても良い。例えば、射出面12および反射面14は互いに平行でなくても良く、これらの面12、14は必ずしも平らである必要もない。つまり、
図2に示す変形例の面発光装置200のように、導光板10’は湾曲していても良い。なお、本実施形態の導光板10および変形例の導光板10’は、アクリルなどの透明な樹脂材料によって形成されているが、透明な材料であればいかなる材料で形成しても良い。
【0016】
光源20は、導光板10の1つの端面16aに対向して配置されている。本実施形態では、3つの光源20を等間隔に一直線状に並べて設けたが、光源20の数は、少なくとも1つあれば良く、複数でも良く、面発光装置10に必要とされる光の強さに応じて任意に設定可能である。また、本実施形態では3つの光源20を導光板10の1つの端面16aに設けた場合について説明するが、任意の数の光源20を他の端面16に追加して設けても良い。なお、光源20は、例えば、発光ダイオード(LED)のベアチップであり、その光軸が端面16aと垂直な姿勢で端面16aに固着される。しかし、光源20は、LEDのベアチップに限定されるものではなく、他の複数の点状光源、或いは線状光源であっても良く、光源20の発光色も任意に選択可能である。
【0017】
導光板10の反射面14には、同じサイズの円形の多数の白色ドット2(散乱ドット、第1の光散乱手段)が所定の密度分布(レイアウト)で設けられている。この多数の白色ドット2は、反射面14を透過する光や反射面14で反射される光の一部を拡散して、反射面14を透過する光(照明光として使わない無駄になる光)の透過率を低くするとともに、反射面14で反射される光の反射率を高くするように設けられたものであり、非透過性の光散乱手段として機能する。つまり、反射面14の多数の白色ドット2は、導光板10の端面16aから入射した光のうちできるだけ多くの光を射出面12に向けて反射するよう機能する。
【0018】
しかし、導光板10を非発光状態で透明にするため、反射面14には一定の光透過率を持たせる必要がある。このため、反射面14における光の透過率および反射率は、白色ドット2のバインダ内に封止されている白色粒子(例えば酸化チタンを材料とする粒子)あるいは透明ビーズ(例えばガラスを材料とする粒子)あるいは中空粒子(例えばアクリル系の樹脂を材料とする中空粒子)などの散乱粒子(散乱体)の大きさや濃度、白色ドット2の直径や膜厚、および/或いは白色ドット2の密度やレイアウト等を調整することで、適当な値に設定する必要がある。本実施形態の白色ドット2は、この白色ドット2を透過する光の透過率が25%程度となり、この白色ドット2で反射される光の反射率が75%程度となるように、その膜厚が調整されている。
【0019】
また、本実施形態では、この多数の白色ドット2を白色シルク印刷で反射面14の外側に形成した。このように反射面14に設けた各白色ドット2の直径は約0.3mmであり、各白色ドット2の膜厚は数10μmから数100μm程度である。白色ドット2の最適なレイアウトについては後に詳述するが、白色ドット2同士の間隔は平均で約0.2mm程度である。なお、この白色ドット2を有する反射面14の光の反射率は、70%から80%程度であり、光の透過率は20%から30%程度である。これら反射率および透過率は、白色ドット2の密度に応じて変化する。なお、
図1および
図2では、見やすくするため、白色ドット2を実際のものより拡大して部分的に図示してあるが、白色ドット2は反射面14の略全面に分布しており、実際には目視できない程に小さなものである。
【0020】
一方、導光板10の射出面12には、白色ドット2よりサイズの小さい同じサイズの円形の多数の透明ドット4(散乱ドット、第2の光散乱手段、光散乱手段)が所定の密度分布(レイアウト)で設けられている。この多数の透明ドット4は、射出面12を透過する光や射出面12で反射される光を拡散して、射出面12を透過する光の透過率をできるだけ高くするとともに、射出面12を透過しないで反射されて導光板10の内部に戻る光の割合をできるだけ低くするように設けられたものであり、透過性の光散乱手段として機能する。
【0021】
つまり、射出面12の多数の透明ドット4は、導光板10の端面16aから入射した光のうち、射出面12で全反射される角度で射出面12に入射した光の少なくとも一部を、全反射させずに、射出面12を介して導光板10の外へ透過させるように機能する。このような透明ドット4を有する射出面12の作用については後に詳述するが、これら多数の透明ドット4は、できるだけ多くの光を射出面12から透過させるよう機能するものである。
【0022】
なお、射出面12における光の透過率および反射率も、透明ドット4のバインダ内に封止されている白色粒子あるいは透明ビーズあるいは中空粒子などの散乱粒子(散乱体)の大きさや濃度、透明ドット4の直径や膜厚、および/或いは透明ドット4の密度やレイアウト等を調整することで、所望する値に設定することができる。本実施形態の透明ドット4は、この透明ドット4を透過する光の透過率が60%程度となり、この透明ドット4で反射される光の反射率が40%程度となるように、その膜厚が調整されている。
【0023】
本実施形態では、この多数の透明ドット4をインクジェット印刷で射出面12の外側に形成した。このように射出面12に設けた各透明ドット4の直径は約0.02mmであり、各透明ドット4の膜厚は1μmから5μm程度である。透明ドット4の最適なレイアウトについては後に詳述するが、透明ドット4同士の間隔は平均で0.05mm程度である。なお、この透明ドット4を有する射出面12の光の透過率は、約50%から80%程度であり、光の反射率は20%から50%程度である。これら反射率および透過率は、透明ドット4の密度に応じて変化する。なお、
図1および
図2では、見やすくするため、透明ドット4を実際のものより拡大して部分的に図示してあるが、透明ドット4は射出面12の略全面に分布しており、実際には目視できない程の大きさを有する。
【0024】
なお、透明ドット4の膜厚は、光源20から射出される光の波長の2倍から10倍程度(10倍以下)に設定してある。光源20からの光が可視光である場合、550μm程度の波長と考えられる。この場合、透明ドット4の膜厚は、1μmから5μm程度となる。言い換えると、透明ドット4の膜厚をこの程度に薄くすることで、光を十分に透過させることができる。
【0025】
反射面14に設けた白色ドット2および射出面12に設けた透明ドット4は、いずれも、バインダ内に上述した散乱粒子を封止したものである。散乱粒子は、0.1〜10μm程度の直径を有する。白色ドット2と透明ドット4に明確な違いを示す基準は無いが、白色ドット2は透明ドット4より光の拡散性が高く、より白く見えるものである。例えば、バインダの膜厚と散乱粒子の種類が同じである場合、散乱粒子のバインダ内における濃度が高い方が光の拡散性が高くより白く見える。なお、ここで言う散乱粒子の濃度とは、バインダの単位体積当りに含まれる散乱粒子の個数で表わすことができる。或いは、散乱粒子の種類および濃度が同じである場合には、バインダの膜厚を厚くすることで光の拡散性を高めることができ、より白く見えるドットを形成できる。本実施形態では、バインダの膜厚を変えて光の拡散性を調整しているが、散乱粒子の濃度を変えても良い。
【0026】
本実施形態の導光板10の反射面14の中央の直径10mmの円形領域に光を垂直に入射して当該導光板10を透過する光の量を調べたところ、光の透過率は71.8%であった。つまり、本実施形態の面発光装置100の導光板10は、十分な透明度を有することが分かった。
【0027】
導光板10の反射面14に設けた多数の白色ドット2の直径は一定(約0.3mm)であり、射出面12に設けた透明ドット4の直径も一定(0.02mm程度)であり、各ドットは大きくても0.3mm程度の直径しか持たないため、肉眼で見ることは難しい。言い換えると、導光板10の各面12、14に設ける散乱ドット2、4の直径をこの程度にすることで、導光板10の透明度を維持できる。
【0028】
ここで、上述した多数の透明ドット4の機能について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3は、本実施形態の面発光装置100を光源20を設けた端面16aと直交する面で切断した断面概略図であり、実際の構成を簡略化して図示するとともに、目に見えない大きさの白色ドット2や透明ドット4を拡大して図示してある。また、
図4は、
図3と比較して、射出面12に透明ドット4を備えていない従来の面発光装置300を示す断面概略図である。
【0029】
光源20から射出された光は、導光板10の射出面12、反射面14、4つの端面16(16a)でそれぞれ反射されながら導光板10の内部を伝達される。このとき、導光板10を介して伝達される光の一部は、導光板10の射出面12のみならず反射面14や端面16(16a)からも射出される。しかし、本実施形態のような片面発光タイプの面発光装置100では、導光板10の射出面12から最も多くの光を取り出すことが重要である。
【0030】
特に、反射面14の白色ドット2で反射されて射出面12に向かう光に着目すると、
図4に示す従来の装置では、射出面12で全反射する角度θで射出面12に入射した光Lは、射出面12で全反射して導光板10の内部に戻される。これに対し、
図3に示す本実施形態の装置では、この全反射するであろう光Lが射出面12に入射する位置に透明ドット4が存在すると、この光Lが透明ドット4で拡散されてその一部が射出面12を透過して導光板10の外部に取り出される。
【0031】
これに対し、透明ドット4が存在しない位置では、従来と同様、全反射する角度で入射した光Lは、射出面12で反射されて導光板10の中に戻される。また、全反射する角度θに満たない角度で射出面12に入射した光は、射出面12で屈折されて射出面12を通過して導光板10の外部に取り出される。すなわち、透明ドット4が存在する射出面12の部位だけ、光Lの挙動が異なることになる。
【0032】
つまり、射出面12に透明ドット4を設けることで、このように、本来、全反射して導光板10の内部へ戻されるはずの光Lの一部を射出面12を介して外部へ取り出すことができ、その分、射出面12を透過する光の透過率を高めることができる。その結果、射出面12から射出される光の照度を反射面14から射出される光の照度よりさらに大きくでき、反射面14から射出される光の全光束に対する、射出面12から射出される光の全光束の比(以下、光量比と称する)を、より高くすることができる。本実施形態では、射出面12に透明ドット4を設けることで、この光量比を略2:1にすることができた。
【0033】
これに対し、射出面12に透明ドット4を設けない従来の導光板の射出側の反射側に対する光量比を測定したところ、1.12:1であった。このことから、本実施形態のように射出面12に多数の透明ドット4を設けることで、導光板10の射出側の反射側に対する光量比を高めることができることが分かった。つまり、本実施形態によると、片面発光タイプの面発光装置100を提供できる。
【0034】
具体的には、従来の透明ドットを持たない導光板の射出面から射出される光の照度が413ルーメンであったのに対し、透明ドット4を有する本実施形態の導光板10の射出面12から射出される光の照度は564ルーメンであり、従来より約37%増加した。一方、従来の導光板の反射面から射出される光の照度が366ルーメンであったのに対し、本実施形態の導光板10の反射面14から射出される光の照度は290ルーメンであり、従来より約21%減少した。また、反射面14から射出される光の光量と射出面12から射出される光の光量を足した全体的な光量で比較すると、従来の導光板で779ルーメンであったのに対し、本実施形態の導光板10では約854ルーメンであり、約10%増加した。このことから、導光板10の射出面12に透明ドット4を設けることで、器具効率も改善されたのが分かる。
【0035】
図5には、一定条件の下で、透明ドット4を備えた本実施形態の面発光装置100を点灯させた場合に、射出面12から射出される光の軌跡を演算したシミュレーション結果を示してある。また、
図6には、比較のため、同じ条件で、透明ドット4を持たない従来の面発光装置300の射出面12から射出される光の軌跡を演算したシミュレーション結果を示してある。これによると、透明ドット4を有する本実施形態の面発光装置100の方が、透明ドット4を持たない従来の面発光装置300より、射出面12を介して取り出すことのできる面状光の光量が多くなっているのが分かる。
【0036】
次に、上述した面発光装置100における輝度ムラを抑制するための白色ドット2および透明ドット4の最適なレイアウトについて、
図7を参照して説明する。
本実施形態の面発光装置100は、1つの端面16aを介して光源20からの光を導光板10に受け入れるため、基本的に、光源20(端面16a)に近い側の輝度が高く、光源20から遠い側の輝度が低くなる。特に、光源20から最も遠い反対側の端面16の両端近くで輝度が最も低くなる2つの暗部のピークが存在する。つまり、単に、導光板10を光らせただけでは、射出される面状光に輝度ムラを生じてしまうことになる。
【0037】
このため、本実施形態では、導光板10の反射面14に設けた白色ドット2を
図7の下側の図のようにレイアウトし、導光板10の射出面12に設けた透明ドット4を
図7の上側の図のようにレイアウトすることで、上述した輝度ムラを抑制するようにした。
図7では、白色ドット2や透明ドット4を実際の大きさで図示することができないため、グレースケールで白色に近い部分をドットの密度が濃い部分として示し、黒色に近い部分をドットの密度が薄い部分として示してある。
【0038】
つまり、反射面14側の多数の白色ドット2は、光源20を設けた端面16aから垂直に離れる方向(第1の方向;図示上方)に沿って徐々に密度が濃くなるように、反射面14にレイアウトされている。また、射出面12の多数の透明ドット4は、端面16aから離れる第1の方向に沿って徐々に密度が濃くなるとともに、第1の方向と交差する第2の方向(図示左右方向)に沿った両端近くで密度がピークになるように、射出面12にレイアウトされている。
【0039】
反射面14側で白色ドット2を図示のようにレイアウトすると、光源20に近い側より光源20から遠い側で光の反射能力を高めることができる。これにより、光源20から離れるに連れて導光板10を伝達される光量が低下しても、射出面12から射出される面状光の光量を光源20からの距離に係らず略均一に補正できる。特に、ここでは、光源20から射出された光をできるだけ多く射出面12に向かわせることが重要であるため、上述した2つの暗部のピークを無くすためのレイアウトの工夫はしていない。
【0040】
上述した反射面14側の白色ドット2のレイアウトを採用した上で、射出面12側で透明ドット4を図示のようにレイアウトすると、射出面12の全面で均一な面状光を射出することができる。つまり、射出面12側では、反射面14側で補正しきれなかった輝度ムラを補正でき、且つ上述した2つの暗部のピークも無くすことができる。特に、射出面12の透明ドット4は、光源20と反対側の端面16の図示左右両端近くで最も密度が高くなるようにレイアウトされているため、この部位における光の透過率を高くでき、その分、暗部を目立たなくすることができる。
【0041】
つまり、反射面14に白色ドット2を設けただけの従来の導光板と比較して、白色ドット2とはレイアウトの異なる透明ドット4を射出面12に設けることで、導光板10から射出される面状光をより均一にでき、モアレを低減できる。すなわち、本実施形態によると、反射面14の白色ドット2で補正しきれなかった輝度ムラを、射出面12の透明ドット2によって補正することができ、輝度ムラをより確実に抑制することができる。
【0042】
次に、
図8を参照して、導光板10の射出面12を介して射出される面状光と反射面14を介して射出される光の光量比について考察する。なお、ここでいう光量比とは、反射面14を介して射出される光の全光束に対する、射出面12を介して射出される光の全光束の比を指す。
【0043】
ここでは、反射面14に設ける白色ドット2の反射率Rおよび透過率Tを種々変更し、射出面12に設ける透明ドット4の反射率Rおよび透過率Tを種々変更した場合における光量比を計算した。その結果を
図8に示す。また、射出面12に透明ドット4を設けない従来の導光板の光量比のレベル(1.12)を比較のため図示した。なお、従来の導光板の反射面には、上述したように、光の反射率が75%で透過率が25%の白色ドット2を設けてある。
【0044】
具体的には、反射率が50%で透過率が50%の透明ドット4を射出面12に設け、且つ反射率が50%で透過率が50%の白色ドット2(実質的には透明ドット4と同じもの)を反射面14に設けた導光板10(R50T50/R50T50)の光量比を計算したところ当該導光板10の光量比は当然のことながら1であった。また、反射率が40%で透過率が60%の透明ドット4を射出面12に設け、且つ反射率が60%で透過率が40%の白色ドット2を反射面14に設けた導光板10(R40T60/R60T40)の光量比を計算したところ当該導光板10の光量比は約1.5であった。また、反射率が30%で透過率が70%の透明ドット4を射出面12に設け、且つ反射率が70%で透過率が30%の白色ドット2を反射面14に設けた導光板10(R30T70/R70T30)の光量比を計算したところ当該導光板10の光量比は約2.2であった。また、反射率が20%で透過率が80%の透明ドット4を射出面12に設け、且つ反射率が80%で透過率が20%の白色ドット2を反射面14に設けた導光板10(R20T80/R80T20)の光量比を計算したところ当該導光板10の光量比は約3.9であった。さらに、反射率が10%で透過率が90%の透明ドット4を射出面12に設け、且つ反射率が90%で透過率が10%の白色ドット2を反射面14に設けた導光板10(R10T90/R90T10)の光量比を計算したところ当該導光板10の光量比は約8.0であった。
【0045】
これによると、反射面14の白色ドット2の反射率が高く、且つ射出面12の透明ドット4の透過率が高いものほど光量比が大きくなっているのが分かる。しかし、反射面14の白色ドット2の反射率を高くし過ぎると透過率が極めて低くなり、導光板10の透明度が損なわれてしまう。このため、導光板10の透明度を維持するためには、射出面12および反射面14における光の透過率はある程度高く維持する必要がある。導光板10の透明度を維持するのに必要とされる各面の最低透過率は、1〜10cm
2あたりの平均透過率が50%程度と考えられる。
【0046】
また、
図8の計算結果から分かるように、射出面12に透過率が60%以上の透明ドット4を設ければ、透明ドット4を持たない従来の導光板と比較して、例え反射面14の白色ドット2の反射率が従来のもの(75%)より低いもの(60%や70%のもの)であっても、光量比が従来の導光板より高くなる。つまり、射出面12に透過率が60%以上の透明ドット4を設けることで、透明ドット4を持たない従来の導光板より光量比を大きくできることが分かる。
【0047】
以上述べた実施形態の導光板10および面発光装置100によれば、射出面12に多数の透明ドット4を設けたため、導光板10の所望する透明度を維持した上で、射出面12の全面で均一且つ十分な光強度を有する面状光を射出することのできる片面発光を実現でき、器具効率を高めることもできる。
【0048】
また、例えば、
図2の変形例のように、導光板10’の射出面12および反射面14を所望する形状に湾曲させることで、面発光装置200の設置場所に合わせて導光板10’を最適な形状にすることができ、設置場所の自由度が高いよりコンパクトな照明装置を提供できる。
【0049】
また、白色ドット2の反射率をさらに高めるため、白色ドット2の背面に金属を蒸着してもよい。このような金属として、たとえばアルミの蒸着が考えられる。このとき、白色ドット2の反射率は約92%程度になり、透過率はほぼ0%にできる。このような構成とすれば、射出面12から射出される光量をさらに増やすことができ、器具効率をさらに高めることができる。
【0050】
上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、白色ドット2や透明ドット4を円形とした場合について説明したが、これに限らず、楕円形や長円形など他の形状にすることもできる。
【0052】
また、面発光装置100に光量センサを設けて、ある程度暗くなったら自動で点灯させる機能を持たせても良い。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
光を射出する射出面、この射出面に対向した背面、および上記射出面と上記背面をつなぐ端面を有する透明な導光板であって、
上記端面から入射した光を上記背面で反射するため上記背面に設けた第1の光散乱手段と、
この第1の光散乱手段より多くの光を透過する上記射出面に設けた第2の光散乱手段と、
を有する導光板。
[2]
上記第1および第2の光散乱手段は、それぞれ、散乱体が封止された複数の散乱ドットを含む、
[1]の導光板。
[3]
上記第2の光散乱手段の各散乱ドットに含まれる散乱体の濃度は、上記第1の光散乱手段の各散乱ドットに含まれる散乱体の濃度より低い、
[2]の導光板。
[4]
上記第2の光散乱手段の複数の散乱ドットのサイズは、上記第1の光散乱手段の複数の散乱ドットのサイズより小さい、
[2]の導光板。
[5]
上記第2の光散乱手段の複数の散乱ドットの膜厚は、上記第1の光散乱手段の複数の散乱ドットの膜厚より薄い、
[2]の導光板。
[6]
上記第1の光散乱手段の複数の散乱ドットは、上記端面から第1の方向に沿って離れるに連れて密度が濃くなるようにレイアウトされ、
上記第2の光散乱手段の複数の散乱ドットは、上記第1の方向に沿って上記端面から離れるに連れて密度が濃くなるとともに、上記第1の方向と交差する第2の方向に沿った両側で密度がピークになるようにレイアウトされている、
[2]の導光板。
[7]
上記第1の光散乱手段の複数の散乱ドットは同じサイズを有し、上記第2の光散乱手段の複数の散乱ドットは上記第1の光散乱手段の複数の散乱ドットより小さい同じサイズを有する、
[6]の導光板。
[8]
上記第2の光散乱手段の複数の散乱ドットの膜厚は、可視光の波長の10倍以下である、
[5]の導光板。
[9]
上記第2の光散乱手段を設けた上記射出面を透過する光の透過率は、60%以上である、
[1]の導光板。
[10]
光を射出する射出面、この射出面に対向した反射面、および上記射出面と上記反射面をつなぐ端面を有する透明な導光板であって、
上記端面から当該導光板に入射した光のうち上記射出面で全反射する角度で該射出面に入射した光を少なくとも部分的に透過させるように上記射出面に設けた光散乱手段を有する導光板。
[11]
[1]乃至[10]のいずれかの導光板と、
当該導光板の上記端面に対向して配置した光源と、
を有する面発光装置。