(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態にかかる冷蔵庫の外観斜視図、
図2はヒンジ装置部分の拡大斜視図である。
冷蔵庫1は前面が開口した本体2内を貯蔵室とし、前面に貯蔵室を閉じるドア3を備える。ドア3は本体2の開口の側部に沿う上下の軸線(回転軸Z)まわりに横方向に回転して開閉可能である。
なお、本実施の形態の説明における上下は、冷蔵庫1の設置状態における上下方向を指す。
本体2の上壁2aとドア3の上端壁3aとの間にドア3を開閉駆動するヒンジ装置10が配置され、とくにヒンジ装置10のモータを備える駆動部20が本体2の上壁2a上に取り付けられるとともに、駆動部20とドア3の上端壁3aに設けた連結軸17との間には駆動部20のレバー13と第1、第2、第3連結部材14、15、16からなるリンク機構12が延びている。なお、駆動部20を本体2に取り付けるボルトは図示省略している。
【0011】
連結軸17はドア3の回転軸Zよりも回転端側へ所定距離離れて設置され、第3連結部材16は連結軸17に回転可能に連結される。ドア3の上端壁3aには第3連結部材16と当接可能の第1係合壁4と第2係合壁5を設けてある。
駆動部20は制御部8に接続され、制御部8はドア閉スイッチ7からの操作信号に基づいて駆動部20のモータを制御する。ドア閉スイッチ7はドア3に配置され、制御部8は本体2側に設置される。
【0012】
以下、まず駆動部20の構成について説明する。
図2に示すように、駆動部20はアッパボディ23とロアボディ24を上下に重ねたケース21の外側でかつケース21の上側の面に、回転するレバー13を配している。ここでの上下も、設置状態の冷蔵庫1の本体2に取り付けられた状態における上下方向を指す。
レバー13の先端は第1連結部材14に連結している。
ケース21の外観は、矩形状部分と、矩形状部分の長い一辺より小さい直径を有して矩形状部分の長い一辺の片側から突出させた略円形状部分とからなり、矩形状部分には駆動系の多くを収容し、略円形状部分には後述する第4ギア93を収容している。必要に応じて略円形状部分を出力室22a、矩形状部分を主室22bと呼ぶが、その境界は厳密なものではない。
なお、以下では出力室22aの突出方向を前方とし、前方は冷蔵庫1の本体2からドア3側に向いている。
【0013】
アッパボディ23は、主室22bの上壁25bに対して出力室22aの上壁25aは段差をもって低くなっている。上壁25bはヒンジ装置10の中で最も上方に位置する。
また、レバー13先端の下面に重ねて連結される第1連結部材14との干渉を避けるため、出力室22aと主室22bとにまたがる一部領域が出力室22aの上壁25aよりさらに所定量低くなった上壁25cをもつ逃げ部22c(
図3参照)となっている。出力室22aの上壁25a上面にはレバー13の回転範囲を規制する第1レバー規制壁36と第2レバー規制壁37を設けてある。
【0014】
図3はロアボディ24の外観を示すため駆動部20を斜め下方から見た斜視図である。
ロアボディ24は底壁28の下面が平坦で、周壁29(前側壁29a、左側壁29b(
図8参照)、右側壁29c、後側壁29d(
図8参照))の高さは全周にわたって一定である。
とくに主室22bの左側壁29bと右側壁29cからは本体2へ固定のための取付けブラケット33が突出し、主室22bの左側壁29bの延長部分に当たる出力室22aの前側壁29aからも取付けブラケット33が突出している。各取付けブラケット33はボルトを貫通させる孔34を有している。
各取付けブラケット33は下面が底壁28と面一である。
【0015】
ロアボディ24の周壁29に沿って、主室22bの左右側壁29b、29cの後端(後側壁29dの両端)2箇所、主室22bの右側壁29cの前方寄り、および主室22bと出力室22aの接続部付近2箇所に、底壁28下面から凹んでネジ貫通孔32(
図8参照)を有するネジ座31が形成され、ネジ35によりアッパボディ23とロアボディ24が結合されている。
アッパボディ23の形状については追って説明する。
【0016】
図4はアッパボディ23を取り外してケース21内部を示す斜視図である。
ケース21内にはモータ70と減速歯車列Gが収容されている。
モータ70の不図示の軸にはウォームギア74が結合され、第1ギア75、第2ギア80、第3ギア83および第4ギア93が順次に噛み合って減速歯車列Gを形成している。第1ギア75、第2ギア80、第3ギア83はそれぞれ大径歯車と小径歯車を備え、小径歯車が次段の大径歯車と噛み合い、各ギアの大径歯車は後段になるほど大径となって歯数が増大して、第4ギア93の歯数が最大となっている。第1ギア75の大径歯車75aはウォームギア74と噛み合うウォームホイールである。ウォームギア74の先端は軸受け69に支持されている。
【0017】
第3ギア83にはトルクリミッタTLが形成されている。これについては後述する。
また、第4ギア93と同軸に相対回転可能な出力軸100が設けられている。
出力軸100はフランジ部100bから上方に突出して対向する平行な2面からなる2面幅部101aを有するレバー取り付け部101を備え、その上端面にはネジ孔101bを有している。フランジ部100bの外周縁の下面には当接部102が形成されている。
そして、ケース21内には第4ギア93と位置スイッチ114を関連させる位置レバー110とスプリング112が配置されている。
【0018】
駆動部20は、各部品をまず上下反転させたアッパボディ23に取り付けてからロアボディ24でカバーして組み立てる。
図5は上下反転させたアッパボディ23の裏面(内側)を示す斜視図、
図6はアッパボディ23に各部品を取り付けた状態を示す斜視図、そして
図7は同じくアッパボディ23に各部品を取り付けた状態をアッパボディ23の裏面(下側)から見た底面図である。
なお、以下の説明においても、上下は駆動部20を前述のように設置状態の冷蔵庫1の本体2に取り付けた状態における上下方向を指す。
【0019】
図5、
図6に示すように、アッパボディ23の周壁26(前側壁26a、左側壁26b、右側壁26c、後側壁26d)の下端縁は壁厚の外面側半部が所定高さだけ切り欠かれて段差部27が形成され、
図4に示すように、ロアボディ24の周壁29の上端縁からはアッパボディ23の段差部27に対応するフランジ30が外面に沿って立ち上がっている。これにより、アッパボディ23とロアボディ24は段差部27とフランジ30で位置決めされ、周壁26の外周面と周壁29の外周面が面一となるように設定されている。(後掲の
図9も参照)
【0020】
とくに
図5、
図7に示すように、アッパボディ23の主部22bの天壁(上壁25bの裏面)には、第1モータ支持壁40と、第2モータ支持壁41が形成されている。
第1モータ支持壁40はモータ本体71の軸突出側の端壁71aから突出する突部72aに対応する切り欠き40aを有し、第2モータ支持壁41はモータ本体71の軸突出側と反対側寄りを受けて、それぞれでモータ70の上方および横方向の位置決めを行っている。
なお、天壁は上壁の裏面を指し、以下では上壁と同一参照番号を用いる。
【0021】
さらに、天壁25bにはモータ本体71の軸突出側と反対側の端壁71bから突出する突部72bに軸方向から当接する位置にモータ支持コラム42が形成されている。これにより、モータ70は第1モータ支持壁40とモータ支持コラム42の間に挟まれて軸方向が位置決めされる。
左側壁26bにはウォームギア74の軸受け69を保持する軸受け保持部43が形成されている。軸受け保持部43内の43aは軸受け69の上下方向位置を規制する位置決め壁である。
【0022】
とくに
図6、
図7に示すように、モータ本体71の突部72bが突出する端壁71bには、モータ70への配線が形成されるとともに第4ギア93の回転位置を検出するための位置スイッチ114を備える基板113が取り付けられている。
すなわち、基板113には突部72bに対応する孔113aが形成されており、モータ70の突部72bがこの孔に貫通するとともに、端壁71bから突出している端子73が基板113を貫通して配線に接続することにより、基板113が端壁71bに取り付け状態となっている。
アッパボディ23の右側壁26cのモータ支持コラム42近傍には配線を通過させる切り欠き45を設けてある。
【0023】
図5に示すように、アッパボディ23の主部22bと逃げ部22c間の段差部の内壁には、基板113の位置スイッチ114取り付け位置に近い端辺を挟む基板保持部44が形成されている。
さらに、主部22bと逃げ部22c間の段差部とモータ70との間には下方から見てコ字形のスプリング保持部46が形成され、位置スイッチ114に対向する側が第2モータ支持壁41とほぼ並ぶ位置で開口している。スプリング保持部46内の46aはスプリング112の上下方向位置を規制する位置決め壁である。なお、スプリング保持部46の一辺は位置レバー110との干渉回避のため切り欠かれている。
周壁26に沿ってロアボディ24のネジ貫通孔32に対応するネジ孔38が形成されている。
【0024】
主部22bの天壁25bには、第1ギア75を支持する支持軸50、第2ギア80を支持する支持ボス52、および第3ギア83を支持する支持ボス53が形成されている。
支持ボス52は第2ギア80の軸部81aが挿入される軸穴52aを有する。支持ボス53は第3ギア83の支持軸92の上端が挿入される軸穴53aを有する。
出力室22aの天壁25aには、貫通孔54が形成され、この貫通孔54にレバー取り付け部101を貫通させた出力軸100の下に第4ギア93が重ねられる。貫通孔54はその孔縁にケース21内に突出するリング堤54aを有している。
天壁25aにはさらに、円弧状の周壁(前側壁26a)に沿う所定の角度間隔位置に第1、第2ストッパ壁55、56が下方に向けて形成されている。
アッパボディ23の逃げ部22cの天壁25cには、位置レバー110を支持する支持軸47が形成されている。
【0025】
図6に示すように、第4ギア93はディスク部93aの外周に円筒部93bを有して、円筒部93bの外周面に歯を備え、ディスク部93aの中央には貫通孔93dを有する内筒93cを備える。
下方に開口する円筒部93bの内周面はカム面94とされ、カム面94は第4ギア93の所定の回転角度範囲の両端にドアの開閉に対応する開位置山部95と閉位置山部96を有している。
カム面94の開位置山部95の近傍において、円筒部93bは軸方向下面から周方向所定幅で下方に歯を延ばした突出部97を有している。突出部97の歯幅は第3ギア83の小径歯車83bの歯幅に略対応している。
【0026】
位置レバー110は支持軸47を貫通させる軸穴110aを回転中心として、第4ギア93のカム面94を摺動するピン111を先端に備えたアーム部110bと、基板113の位置スイッチ114に対向する押圧部110cとを有し、押圧部110cはスプリング保持部46に保持されたスプリング112により位置スイッチ114方向に付勢されている。アーム部110bのピン111がカム面の開位置山部95および閉位置山部96に乗り上げた位置では押圧部110cは位置スイッチ114から離間して位置スイッチ114をオフ(OFF)させ、他の位置では押圧部110cが位置スイッチ114を押してオン(ON)させている。
第4ギア93と出力軸100の関係については後述する。
【0027】
図8はロアボディ24の裏面(内側)を示す斜視図である。
ロアボディ24の周壁29に沿って、ネジ座31のネジ貫通孔32が設けられるとともに、底壁28には第1ギア75の軸方向を規制する押えボス60、第2ギア80を支持する支持ボス61、第3ギア83を支持する支持ボス62、および第4ギア93と出力軸100を支持する支持軸63が形成されている。
押えボス60は第1ギア75の下端に対向する上端に小径の球面突起60aを有している。支持ボス61は第2ギア80の軸部81bが挿入される軸穴61aを有し、支持ボス62は第3ギア83の支持軸92の下端が挿入される軸穴62aを有する。支持軸63は中間に隔壁63aを残して上下を肉抜きしてあり、隔壁63aにより剛性を確保している。
【0028】
底壁28にはまた、位置レバー110を支持する支持軸47の下端が挿入される軸穴64aを有する支持ボス64と、スプリング保持部に保持されるスプリング112の上下位置を規制する縦壁状のスプリング押え65、軸受け保持部43に保持される軸受け69の上下位置を規制するブロック状の軸受け押え66、およびモータ70の上下変位を抑える突起状のモータ押さえ67が形成されている。
右側壁29cにはアッパボディ23の切り欠き45に嵌る配線受け68が端縁より所定量上方に突出して設けられ、最小限の配線通過口を形成するようになっている。
【0029】
図9は上述した各ギアからなる減速歯車列Gの展開図である。
第1ギア75を支持するアッパボディ23の支持軸50は、天壁(上壁25b)から延びる基部50aの下端面からさらに先細の円錐部50bを経て、先端に小径部50cを有している。小径部50cの下端面には球面突起50dを備えている。支持軸50には軸方向適宜の深さまで上壁25b外面に開口する肉抜き穴を形成可能である。
第1ギア75は、支持軸50の基部50aに嵌合する円筒基部76に接続して当該円筒基部76を囲むリング部77の外周面に歯を形成して大径歯車75aとし、円筒基部76の底壁76aから小径歯車75bを軸方向に延ばしている。
【0030】
そして、第1ギア75は円筒基部76の中心軸と同軸に底壁76aから小径歯車75bにわたって支持軸50の円錐部50bおよび小径部50cに対応する断面の有底穴78を有する。
有底穴78の底壁78aが支持軸50の球面突起50dと当接するようになっており、これにより、第1ギア75は支持軸50の球面突起50dとロアボディ24の押えボス60の球面突起60aとの間で軸方向位置が規制される。
押えボス60にも軸方向適宜の深さまでロアボディ24の底壁28外面に開口する肉抜き穴を形成可能である。
【0031】
第2ギア80は、大径歯車80aの軸方向上側に小径歯車80bを延ばして形成され、両端に軸部81a、81bを有している。
第2ギア80の上端の軸部81aはアッパボディ23の支持ボス52の軸穴52aに支持され、下端の軸部81bはロアボディ24の支持ボス61の軸穴61aに支持されて、大径歯車80aが第1ギア75の小径歯車75bと噛み合う。
軸部81a、81bの各端面からは軸方向適宜の深さまで肉抜き穴が形成されている。
第2ギア80は軸部81aの上端面が支持ボス52の軸穴52aの天面と対向し、大径歯車80aの下端面が支持ボス61の上端面と対向して軸方向位置が規制される。
支持ボス52には軸方向適宜の深さまで上壁25b外面に開口する肉抜き穴を形成可能である。
【0032】
第3ギア83は、大径歯車83aと小径歯車83bの間にトルクリミッタTLを形成している。
小径歯車83bからは軸方向上方に、別体の大径歯車83aを支持する大径歯車支持部84と、アダプタ90を支持するアダプタ支持部85とが順次に延びており、小径歯車83bからアダプタ支持部85にわたる貫通孔86に支持軸92が貫通している。
【0033】
図10は第3ギア83を分解して示す斜視図である。なお、
図10には支持軸92を省略している。
大径歯車支持部84は軸線と直交する横断面が円形で、アダプタ支持部85は大径歯車支持部84と同径であるが軸方向全長にわたって2面幅部85aを有している。
大径歯車83aはディスク部87の外周縁から軸方向に延びる円筒部88の外周面に歯を有し、大径歯車支持部84に対応する貫通孔87aをディスク部87の中央に有して、小径歯車83bに対し相対回転可能になっている。円筒部88の内側には溝を形成して、後述のコイルスプリング89の一端を保持するコイル係止部88aとしている。
【0034】
アダプタ90は、外形が円筒状のスプリング嵌合部90aの上端にフランジ90bを有し、軸心に2面幅をもった貫通孔90cを有してアダプタ支持部85に嵌り、小径歯車83bと一体に回転する。
アダプタ90のスプリング嵌合部90aには所定の締め代をもってコイルスプリング89が巻き付けられ、コイルスプリング89の下端はコイルの径方向外方に曲げられて大径歯車83aのコイル係止部88aに係止する。コイルスプリング89の上端は自由状態である。アダプタ90のフランジ90bはコイルスプリング89の上方変位を規制して、コイル係止部88aからの抜けを防止する。
【0035】
アダプタ支持部85の上端部にはリング溝85bが形成されており、リング溝85bにクリップ91を組み付けることによりアダプタ90および大径歯車83aが抜け止めされる。
アダプタ90のフランジ90b上面には貫通孔90cの2面幅の開口縁(直線部)に沿って突起90dが形成され、リング溝85bへのクリップ91の差込み方向を規制して、クリップ91とアダプタ支持部85との十分な係り代が確保されるようになっている。
【0036】
以上の構成により、通常はアダプタ90に巻き付けられたコイルスプリング89を介して小径歯車83bと大径歯車83aは一体回転するが、例えば小径歯車83bが停止しているのに大径歯車83aが上方から見て反時計方向に回転する外力が加えられると、コイルスプリング89は拡径方向に緩む結果、コイルスプリング89の内周とスプリング嵌合部90aの外周の間に働く摩擦力が低下し、大径歯車83aと小径歯車83bは相対回転する。すなわち、大径歯車83aと、コイルスプリング89と、小径歯車83bに結合されたアダプタ90とでトルクリミッタTLが形成されている。
【0037】
図9に戻って、第3ギア83の大径歯車83aは第2ギア80の小径歯車80bと噛み合う。
第3ギア83の支持軸92の上端はアッパボディ23の支持ボス53の軸穴53aに支持され、下端はロアボディ24の支持ボス62の軸穴62aに支持される。
アダプタ支持部85の上端面は支持ボス53の下端面に対向している。
小径歯車83bはロアボディ24の底壁28近傍まで延びるとともに下端面に凹部86aが開口して支持ボス62を受容することにより歯の軸方向幅を確保している。小径歯車83bの歯幅は第4ギア93の前述した突出部97の歯幅に対応している。
第3ギア83は支持ボス53の下端面と、凹部86aの天面が対向する支持ボス62の上端面との間で軸方向位置が規制される。
【0038】
第4ギア93は、内筒93cを出力軸100の後述の第1円筒部100aの外周に相対回転可能に嵌合させてロアボディ24の底壁28に着座させている。
出力軸100は、下から上へ第1円筒部100a、フランジ部100b、および第2円筒部100cを有し、第1円筒部100aを支持軸63の外周に嵌合させて、下端をロアボディ24の底壁28に着座させている。第2円筒部100cは第1円筒部100aの板厚分だけ小径でアッパボディ23の貫通孔54を貫通している。
第2円筒部100cのケース21外部、すなわちアッパボディ23の上面上に露出する部分は2面幅部101a(
図11参照)を有するレバー取り付け部101となっている。レバー取り付け部101の上端にはネジ孔101bが開口している。
【0039】
出力軸100はそのフランジ部100bが第4ギア93の内筒93cの上端と貫通孔54のリング堤54aの間に規制され、上方への抜け止めとなっている。そして、第4ギア93は軸方向をロアボディ24の底壁28と出力軸100のフランジ部100bの間に規制されている。
【0040】
図11はレバー13、出力軸100および第4ギア93を分離して示す斜視図、
図12はレバー13の裏面を示す斜視図である。
レバー13は、出力軸100に連結される側を基部として、先端に第1連結部材14の後述するピン軸115が挿入連結される貫通孔106を有する。レバー13は先細の板状であるが、適宜に肉抜きされている。
とくに
図12に示すように、基部には、レバー取り付け部101に対応する2面幅をもって下方に開口する嵌合穴105aを備えてその上壁にネジ貫通孔105bを形成した出力軸結合部105を有する。そして、ネジ109をネジ貫通孔105bを通してレバー取り付け部101のネジ孔101bにねじ込むことにより、レバー13が出力軸100に結合される。
【0041】
つぎに第4ギア93まわりには回転を制御する機構が設けられている。
図11に示すように、第4ギア93のディスク部93aの上面からは、突壁98が軸方向上方に立ち上がるとともに円筒部93bから内径方向に延びている。(
図4も参照)
この突壁98がアッパボディ23の第1、第2ストッパ壁55、56に当接することにより、第4ギア93の回転範囲が2つのストッパ壁間の角度α(
図13参照)に規制される。
また第4ギア93のディスク部93aの上面には内筒93cから外径方向にプッシャ99が延びるとともに、出力軸100のフランジ部100bの下面には第1円筒部100aから外径方向に当接部102が突出してプッシャ99と当接可能となっている。
プッシャ99(第4ギア93)は突壁98が第1ストッパ壁55に当接する位置を待機位置とする。
【0042】
図13は回転制御の動作を上方から透視して示す説明図である。
(a)は第4ギア93の待機位置を示し、位置レバー110のピン111はカム面94の開位置山部95に乗り上がっている。
この待機位置において、第4ギア93の歯は突出部97で第3ギア83と噛み合う。なお明確化のため突出部97にはハッチングを施している。
そして、ドア3が全開している状態において出力軸100の当接部102が第4ギア93のプッシャ99に当接状態にある。
ドア3の全開状態において、使用者がドア閉スイッチ7を操作すると制御部8がモータ70を駆動させ、第3ギア83を介して第4ギア93が図中時計方向に回転を開始する。
【0043】
第4ギア93のプッシャ99が出力軸100の当接部102を押すので、
図13の(b)に示すように、出力軸100も時計方向に回転する。
位置レバー110はピン111がカム面94の開位置山部95を降りて位置スイッチ114をオンするので、これにより位置レバー110のピン111がカム面94の閉位置山部96に達するまでモータ駆動が継続する。第4ギア93の突壁98はアッパボディ23の第1ストッパ壁55を離れる。
【0044】
図13の(c)に示すように、位置レバー110のピン111がカム面94の閉位置山部96に乗り上げるまで第4ギア93が回転すると位置スイッチ114はオフとなるが、その後制御部8が所定時間だけモータ駆動を継続することによりドア3が完全に閉じられるとともに、第4ギア93は突壁98がアッパボディ23の第2ストッパ壁56に当接して回転を停止する。
【0045】
このあと引き続いて、制御部8はモータ70を逆回転させ、
図13の(d)に示すように、第4ギア93を待機位置まで戻してドア3の閉じ制御を終了する。第4ギア93を戻す場合も位置レバー110のピン111がカム面94の閉位置山部96を降りると位置スイッチ114がオンするので、ピン111がカム面94の開位置山部95に乗り上げるまでモータ駆動が継続される。
この際、第4ギア93のプッシャ99は出力軸100の当接部102から離間していくだけで、出力軸100は閉じ位置に残される。
【0046】
これにより、プッシャ99と当接部102の離間の結果、出力軸100に連なるドア3が減速歯車列Gおよびモータ70から自由となるので、ドア3を手動あるいは別途のモータアクチュエータなどで開く場合に、必要とする力が極めて小さくて済むことになる。
また、開いているドア3を手動で閉じた場合、
図13の(a)に示す状態から出力軸100(当接部102)のみが時計方向に回転して
図13の(d)に示す状態になる。この移動の間も当接部102がプッシャ99から離間して減速歯車列Gおよびモータ70から自由となっているので、極めて小さな力でドア3が閉じられる。
【0047】
なお、第4ギア93の閉じ方向については第3ギア83のトルクリミッタTLにより減速歯車列Gおよびモータ70に所定以上の力が及ばないようになっているが、開き方向についても、第4ギア93に設けた歯幅の長い突出部97が待機位置で第3ギア83と噛み合うように設定してあるので、第4ギア93が待機位置(全開位置)まで回転して突壁98が第1ストッパ壁55に当接し、それ以上回転できないにもかかわらず、何らかの障害で位置スイッチ114がオフとならずモータ70が回転し続けようとして減速歯車列Gおよびモータ70に大きな負荷がかかる場合でも破損を確実に免れる。
【0048】
ところで、位置スイッチ114は第4ギア93が待機位置でも全閉位置でもオフとなるので、冷蔵庫1の電源が切断されるなどした後は第4ギア93の状態が不明となる。このため、冷蔵庫1の電源が再投入された際、制御部8はイニシャライズを行う。
すなわち、位置スイッチ114がオフの場合、所定時間モータ70を開方向に駆動し、その間に位置スイッチ114がオンになったら、引き続き位置スイッチ114がオフになるまで開方向に駆動することにより第4ギア93を待機位置にする。一方、所定時間モータ70を開方向に駆動しても位置スイッチ114がオンにならないときは、第4ギア93はすでに待機位置にあるものと判断してモータ70を停止させる。
また、位置スイッチ114がオンの場合は、第4ギア93が待機位置と全閉位置の間にあることになるので、位置スイッチ114がオフになるまで開方向に駆動することにより第4ギア93を待機位置にする。
以上のイニシャライズ動作は第4ギア93を待機位置へ移動させる方向であるので、これによってドア3が開閉されることはない。
【0049】
次に駆動部20とドア3を結ぶリンク機構について説明する。
まず駆動部20側のレバー13について説明しておく。
先の
図11、
図12にも示すように、基部の端縁は回転中心(ネジ貫通孔105b)を中心とする円弧、先端も貫通孔106を中心とする円弧である。
一方の側縁のストッパ片107は先端方向に向いた面を第1連結部材14の後述するストッパ突部121との当り面としている。他方の側縁の張出し部108は基部の回転中心を中心とする円弧面108aを有して略扇状をなすとともに、その側辺は基部の円弧への接線状に直線となっている。
レバー13もリンク機構12の一部を構成している。
【0050】
図14はレバー13、および第1〜第3連結部材14〜16を分離して示す斜視図である。
第1連結部材14は、上方から見てアッパボディ23の前側壁26aに沿って曲がった一定幅の板状で、両端に板面より上方に延びるピン軸115、118を有している。
第1連結部材14は一端にピン軸115を備えてピン軸118近傍まで延びる領域を主部14aとし、ピン軸118を備える端部をオフセット部14bとしている。
第1連結部材14の両端縁は上方から見てそれぞれピン軸115、118を中心とする円弧である。
【0051】
図15はピン軸115を示す拡大図で、(a)は上面図、(b)は(a)におけるA‐A部断面図、(c)は(a)におけるB‐B部断面図である。
(a)に示すように、ピン軸115は筒状で、直径線上に切割り115aを有し、各切割り115a内に、残部と同径の弧状断面を有する係止片116を立ち上げている。ピン軸115は(b)、(c)に示すように、上面に開口して形成した凹部117の底部から立ち上げ、切割り115aはピン軸115の上端から凹部117の底面近傍まで延びて、係止片116が撓み易くなっている。
係止片116はその先端に径方向外方を向いた爪116aを備えている。
ピン軸118、および後述の第3連結部材16のピン軸126も同様の構成である。
【0052】
図14に戻って、第1連結部材14は、一端のピン軸115がレバー13先端の下面側から貫通孔106に嵌合して係止片116の爪116aで抜け止めされ、レバー13に連結される。同様に、第1連結部材14の他端はピン軸118によって第2連結部材15と連結される。
ピン軸118が形成されているオフセット部14bの上面は主部14aの上面よりも所定量下方にオフセットしており、オフセット量は第2連結部材15の板厚と同等とし、これにより、第1連結部材14の主部14aの上面と第2連結部材15の上面とが同レベルとなる。
【0053】
主部14aとオフセット部14bの上面における境界はピン軸118を中心とする円弧壁119をなしている。
第1連結部材14の曲がり部内側の側縁には、レバー13の張出し部108の円弧面108aに倣う弧状部120を有し、弧状部120は上方に所定量延びて、張出し部108の円弧面108aと対向するようになっている。
レバー13連結側のピン軸115近傍には、弧状部120を設けた側と反対側の側縁に、先端方向に向いた面をレバー13のストッパ片107との当り面とするストッパ突部121が突出している。
なお、レバー13と同じく第1連結部材14も適宜肉抜きを施してよい。第2、第3連結部材15、16も同様である。
【0054】
第2連結部材15は、一定幅直線の板状で、両端に貫通孔122、123を有している。
一端の貫通孔122には下面側から第1連結部材14のピン軸118が嵌合して連結され、他端の貫通孔123には上面側から第3連結部材16のピン軸126が嵌合して連結される。
第2連結部材15の第1連結部材14との連結側の端縁は、上方から見て、当該連結側に向かって右から左途中まで貫通孔122を中心として第1連結部材14の円弧壁119に対応する円弧をなすとともに、それより左方は所定角度の接線となって、左側縁と直線同士で交差して角部124を形成している。
【0055】
これにより、第1連結部材14と第2連結部材15が相対回転してその連結点が、レバー13の回転中心方向に変位し、レバー13と第1連結部材14の連結点と第2連結部材15と第3連結部材16の連結点とを結ぶ直線に所定距離まで接近すると、角部124と円弧壁119とが当接してそれ以上の相対回転を規制するようになっている。
第2連結部材15における第3連結部材16との連結側の端縁は貫通孔123を中心とする円弧である。
第2連結部材15は、上方から見て、第3連結部材16との連結側に向かって右側の側縁にストッパ突部125を有し、ストッパ突部125は第3連結部材16との連結側に向いた面を第3連結部材16の後述する係合片128との当り面としている。
【0056】
第3連結部材16は一端に第2連結部材15の貫通孔123に嵌合して連結するピン軸126を有し、他端にドア3の回転軸Zから所定距離離れて設置された連結軸17が嵌合する貫通孔127を有する板状である。
第3連結部材16は先端に貫通孔127を有してピン軸126近傍まで延びる領域を主部16aとし、ピン軸126を有する端部をオフセット部16bとしている。
オフセット部16bの下面は主部16aの下面から第2連結部材15の板厚と同等だけ上方にオフセットしている。これにより第3連結部材16の主部16aの下面と第2連結部材15の下面とがほぼ面一の同レベルとなる。
図14では隠れているが、主部16aとオフセット部16bの下面における境界はピン軸126を中心として、第2連結部材15の他端(貫通孔123側)の端縁に対応する円弧壁をなしている。
【0057】
第3連結部材16のピン軸126近傍には、上方から見て、ピン軸126に向いて左側の側縁に、貫通孔127とピン軸126を結ぶ中心線に平行な面をもって下方に延びる係合片128が突出している。
係合片128の第2連結部材15との連結側を向いた面を第2連結部材15のストッパ突部125との当り面とし、下方に延びて右方に向いた面をドア3上の第1係合壁4との当り面、左方に向いた面を第2係合壁5との当り面としている。
第1、第2係合壁4、5の高さは連結軸17に連結した第3連結部材16の主部16aの下面よりも低くなるように設定してある。
【0058】
つぎに、ドア3の開閉にかかるリンク機構12の動きについて説明する。
図16はモータ駆動によるドア3の90°を越える全開位置から全閉位置までのリンク機構12の変化を示す。
ドア3の閉状態において駆動部20の第4ギア93は待機位置(全開位置)にあり、リンク機構12に連なる出力軸100の当接部102はプッシャ99と離間して第4ギア93から自由であるため、手でドア3を引くと抵抗なく第1〜第3連結部材14〜16がドア3に引っ張られ、レバー13も回転して軽い力で開くことができる。
ドア開きの過程の途中から、第3連結部材16はその係合片128をドア3の第1係合壁4に押されてドア3とともに回転軸Zまわりに回転する。
【0059】
図16の(a)はドア3が全開位置にある状態を示し、第3連結部材16の係合片128が開き過程のままドア3の第1係合壁4に当接している。なお、第1係合壁4は第3連結部材16の下に位置するが、簡単のため透視して実線で示している。
また、第1連結部材14が連結するレバー13は張出し部108の側縁がケース21(アッパボディ23)上面の第1レバー規制壁36に当接している。
第1連結部材14と第2連結部材15は先のドア開き過程時に第3連結部材16に引っ張られて直線状態になろうとし、角部124と円弧壁119(
図14参照)とが当接して第1連結部材14と第2連結部材15の連結点P2がレバー13と第1連結部材14の連結点P1と第2連結部材15と第3連結部材16の連結点P3とを結ぶ直線に最接近した最直伸状態となって、それ以上第1連結部材14と第2連結部材15が相対回転しないようにロックされる。
なお、レバー13が結合された出力軸100は全開位置でその当接部102を第4ギア93のプッシャ99と当接させている(
図13参照)。
【0060】
モータ70が駆動されると、第4ギア93のプッシャ99が当接部102を押して出力軸100、したがってレバー13を回転開始させる。
レバー13に引っ張られる第1連結部材14と第2連結部材15は最直伸状態のまま第3連結部材16を回転させるので、
図16の(b)に示すように、第3連結部材16の係合片128が当接している第1係合壁4を押して、ドア3を回転軸Zまわりに回転させる。
ドア3の開きが90°以下の所定角度になるまで、
図16の(c)、(d)に示すように、第1連結部材14と第2連結部材15が最直伸状態で、第3連結部材16の係合片128が第1係合壁4を押す状態が継続する。
【0061】
そして、
図16の(e)に示すように、第1連結部材14がレバー13の張出し部108に接触する直前には、第2連結部材15と第3連結部材16が一直線状態となるとともに、このあと第3連結部材16の係合片128は第1係合壁4から離れはじめる。
図16の(f)に示すように、第1連結部材14がレバー13の張出し部108に接触するようになったあとは、第1連結部材14と第2連結部材15の最直伸状態が崩れ、第1連結部材14は弧状部120(
図14参照)を張出し部108の円弧面108aにスライドさせながら、周方向に移動する。係合片128が第1係合壁4から離れた第3連結部材16は、第2連結部材15と一直線を保持したまま、貫通孔127(
図14参照)において連結軸17を直接引っ張ることによりドア3を回転軸Zまわりに回転させる。
【0062】
このあと、第3連結部材16による連結軸17の引っ張りが継続して、ドア3が回転軸Zまわりに回転し、最終的に
図16の(g)に示すように、ドア3の全閉位置となる。
第2連結部材15と第3連結部材16が一直線になっているので、第2連結部材のストッパ突部125と第3連結部材の係合片128とが当接している。
第1連結部材14の経路が張出し部108に沿って規制されるので、ドアの全閉位置近傍でレバー13と第1連結部材14の連結点が、レバー13の回転中心と、連結軸17とを結ぶ直線の延長上に接近・位置しても、第1連結部材14と第2連結部材15の連結点P2は上記直線上のデッドポイントから十分に離間し、効率よくドア3が全閉位置まで回転させる。
レバー13は張出し部108と反対側の側縁がケース21(アッパボディ23)上面の第2レバー規制壁37に当接して停止する。
前述のとおり、第4ギア93が閉位置に到達するとモータ70が逆転され、第4ギア93は待機位置へ戻される。
【0063】
また、第3連結部材16の主部16aの下面と第2連結部材15の下面が同レベルとなっているので、ドア3の上端面3aに第3連結部材16と近接する部材が配置される場合でも第2連結部材15が当該部材と干渉する恐れがない。
減速歯車列Gの第3ギア83にはトルクリミッタTLが形成されているので、モータ駆動によってドア3が閉じられる途中で物や手が挟まれても損傷を受けることが防止される。また、ドア3が閉じられる途中でドア3を手で開いても減速歯車列Gおよびモータ70の破損を防止できる。
【0064】
次に
図17は、ドア閉スイッチ7を操作しないでドア3を手で閉める場合の全開位置から全閉位置までのリンク機構12の変化を示す。
図17の(a)はドア3が全開位置にある状態を示し、
図16の(a)と同じである。ドア3の第1係合壁4が第3連結部材16の係合片128に当接している。
この状態からドア3を閉方向に回転させると、ドア3の第1係合壁4が係合片128から離れ、
図17の(b)に示すように、ドア3の第2係合壁5が係合片128に当接する。
【0065】
この間、第2連結部材15と第3連結部材16の連結点P3は回転軸Zに対する連結軸17の回転により移動するが、その変位はレバー13と第1連結部材14の連結点P1を支点として、当該連結点P1と第2連結部材15と第3連結部材16の連結点P3とを結ぶ直線を第1連結部材14と第2連結部材15の連結点P2に近づける方向となる一方、第1連結部材14と第2連結部材15は互いの連結点P2がそれ以上当該直線に接近できない最直伸状態にあるので、その最直伸状態を保持したままレバー13を閉方向に付勢することになる。
【0066】
その後、
図17の(c)に示すように、第2係合壁5が係合片128を押し続けて第3連結部材16がドア3と一体に回転して、第1連結部材14と第2連結部材15の最直伸状態が崩れなければ、レバー13の回転が継続する。
そして、
図17の(c)から(e)に示されるように、第2連結部材15と第3連結部材16の連結点P3がレバー13の回転中心へ接近し、かつ第1連結部材14と第2連結部材15の連結点P2と連結軸17とを結ぶ直線に接近する方向(換言すれば、第2連結部材15と第3連結部材16を伸ばす方向)に変位するので、これにより第1連結部材14がレバー13を押して、ドア3が全閉となった時にはレバー13も全閉位置となる。
【0067】
なお、例えば
図17の(b)以降、各連結点の回転に対する抵抗の相違等により、(c’)に示すように、第1連結部材14と第2連結部材15の最直伸状態が崩れて第1連結部材14と第2連結部材15の連結点P2がレバー13と第1連結部材14の連結点P1と第2連結部材15と第3連結部材16の連結点P3を結ぶ直線から遠のいていく場合には、レバー13は当座滑らかな回転を継続しないが、ドア3の回転に伴っていずれは
図17の(d’)に示す状態となる。
【0068】
図17の(d’)では、ストッパ突部125と係合片128とが当接して、第2連結部材15と第3連結部材16が相対回転を規制されて一直線状にロックされ、一体となってドア3の回転とともに第1連結部材14を押しレバー13を回転させるので、最終的にドア3が全閉となったときには先の
図17の(e)の状態となる。
【0069】
また、
図17の(d’)に代わって、ストッパ突部125と係合片128とが当接する前に、ストッパ片107とストッパ突部121とが当接してレバー13と第1連結部材14が一直線状にロックされる場合があっても、第2連結部材15が第1連結部材14と第2連結部材15の連結点P2を押すことにより、第1連結部材14と一体となったレバー13が回転することにより、同様に先の(e)の状態となる。
【0070】
以上のように、レバー13と第1連結部材14の間、第1連結部材14と第2連結部材15の間、および第2連結部材15と第3連結部材16の間の相対的な回転角度がそれぞれ規制されているので、リンク機構12が種々の変化形態をとり得るけれども、全開のドア3を手動で閉じることができ、しかも途中でいずれかの連結部材がドア3の前面より突出することもなく、ドア3が全閉したとき駆動部20のレバー13も全閉位置に戻っている。
この間、レバー13が結合している出力軸100の当接部102は第4ギア93のプッシャ99から単に離れていくだけなので、第4ギア93に連結した減速歯車列Gやモータ70の抵抗を受けず、軽い力で閉じることができる。
【0071】
上述の構成により、モータ駆動によりドアを全閉する冷蔵庫において、手動で容易に全開および全閉も可能となり、しかもヒンジ装置10のモータや大サイズの部品がドア手前に突出しない。
また電気的には、ドア3にはドア閉スイッチ7を配置するだけであり、モータ70を駆動する電力線を相対回転する本体2とドア3間に張り渡す必要もない。なお、ドア閉スイッチも設けず、ドア3が開かれてから所定時間経過すると自動的にモータ70を駆動してドア3を閉じるようにすることも可能である。
【0072】
本実施の形態では、第4ギア93のプッシャ99が発明における駆動側当接部に該当し、出力軸100の当接部102がドア側当接部に該当する。制御部8が制御手段に該当する。
第4ギア93が最終段ギアに該当し、その突出部97が歯幅増大領域に、そして第3ギア83が前段ギアに該当する。
第4ギア93の突壁98とケース21の第1、第2ストッパ壁55、56とで発明におけるストッパ機構を構成している。
第1〜第3連結部材14〜16が複数の連結部材に該当し、とくに第1連結部材14が初段連結部材に、第3連結部材16が最終段連結部材に該当する。そして、第2連結部材15が初段連結部材に対する次段連結部材、および最終段連結部材に対する前段連結部材に該当している。
【0073】
連結点P1がレバーと初段連結部材の連結点に該当し、連結点P2が初段連結部材とその次段連結部材の連結点に、連結点P3が最終段連結部材とその前段連結部材の連結点に該当する。また、連結軸17が最終段連結部材とドアの連結点に該当する。
第1係合壁4が第1の規制部に該当し、レバー13の張出し部108が第2の規制部に、第2係合壁5が第3の規制部に該当する。
そして、ストッパ片107とストッパ突部121とが当接してレバー13と第1連結部材14の相対回転をロックする構成、角部124と円弧壁119とが当接して第1連結部材14と第2連結部材15の相対回転をロックする構成、およびストッパ突部125と係合片128とが当接して第2連結部材15と第3連結部材16の相対回転をロックする構成が第4の規制部に該当する。
【0074】
実施の形態は以上のように構成され、駆動部20が、互いに当接可能でモータ70に連結されたプッシャ99とドア3側に連結された当接部102とを有して、モータ70をドア閉方向に駆動するときプッシャ99と当接部102とを当接させてモータ70の回転をドア3側に伝達し、モータ70を駆動しないでドア3を開状態から閉方向へ移動させるとき当接部102がプッシャ99から離間するものとしたので、冷蔵庫1のドア3をモータ駆動によって閉じることができる一方、手動でも当接部102がプッシャ99から離れるためドアがモータと連結されず、軽い力で容易に閉じることができる。(請求項1に対応する効果)
また、ドア3を全閉後は制御部8がモータ70をドア開方向に駆動してプッシャ99をドア全開に対応する待機位置に位置させるので、開き方向にはドアがモータと連結されず、手動や他のモータアクチュエータでドアを開く場合に軽い力で容易に全開まで開くことができる。(請求項3に対応する効果)
【0075】
駆動部20は減速歯車列Gを有して、その最終段の第4ギア93に上記のプッシャ99を設け、ドア3側に連結して第4ギア93と同軸に配置した出力軸100に当接部102を設けて、モータ70をドア閉方向に駆動するときにプッシャ99が当接部102を周方向に押してモータの回転を伝達するものとしたので、ドア開方向ではモータを逆転するだけで自動的にプッシャ99が当接部102から離れ、モータ79とドア3間の連動が遮断される。なお、第4ギア93および出力軸100の回転範囲は360°より小さく設定されているので、逆転時にプッシャ99が逆方向から当接部102に当接することはない。
(請求項2に対応する効果)
【0076】
制御部8は、第4ギア93に形成したカム面94と連動する位置スイッチ114に基づいてモータ70の駆動切り替えを制御するので、高い位置精度で第4ギア93および出力軸100を回転させることができる。
(請求項4に対応する効果)
【0077】
駆動部20では、第4ギア93の突壁98とケース21側の第1、第2ストッパ壁55、56とでドア3の全開位置から全閉位置に対応して第4ギア93の回転範囲を規制するとともに、第4ギア93は、その待機位置にあるときに減速歯車列Gにおける第3ギア83と噛み合う周方向所定範囲を歯幅の大きい突出部97としているので、回転範囲が規制されているにもかかわらず何らかの障害で待機位置に達してもモータ70が回転し続けようとして大きな負荷がかかる場合でも第4ギア93の歯の破損を免れる。
(請求項5に対応する効果)
【0078】
第4ギア93のカム面94は円筒部93bの内面に形成され、カム面94と位置スイッチ114を連動させる位置レバー110が円筒部93bの開口端を横切って通過し、第4ギア93の突出部97は上記開口端から軸方向に突出するとともに位置レバー110が開口端を通過する範囲から周方向にずれており、径方向から見て位置レバー110と突出部97が重なっているので、駆動部20の軸方向(上下方向)サイズが小さくなっている。
(請求項6に対応する効果)
【0079】
駆動部20は本体2に取り付けられ、出力軸100がリンク機構12を介してドア3に連結されているので、従来例のようにモータやギア等がドア手前に突出するようなことはない。そして、モータ70を駆動する電力線を相対回転する本体2とドア3間に張り渡す必要もない。(請求項7に対応する効果)
とくにリンク機構12は、出力軸100に結合されたレバー13と、これに順次連結されて両端に回転可能な連結点を有する第1〜第3連結部材14〜16を含むので、90°を越えた全開位置からドアをモータ駆動によって閉じることができる。(請求項8に対応する効果)
【0080】
ドア3には、第2連結部材15と第3連結部材16の連結点P3が、レバー13と第1連結部材14の連結点P1とドア3の回転軸Zとを結ぶ直線から離間するように、第3連結部材16の回転範囲を規制する第1係合壁4を設けてあるので、複数の連結部材を用いてドア3の全開角度を大きくした場合でも、リンク機構12でドア3を引っ張る際の力のドア3側の作用点が直線上のデッドポイントにくるのを避けることができる。
(請求項9に対応する効果)
【0081】
レバー13と第1連結部材14の間には、レバー13の回転中心を挟んで当該レバー13と第1連結部材14の連結点P1がドア3の連結軸17と反対側にあるとき、連結点P1をレバー13の回転中心と連結軸17とを結ぶ直線の延長から離間させる張出し部108を設けてあるので、ドア3が全閉位置に近くなっても連結点P1が上記直線の延長上のデッドポイントから離間しているので、確実にドア3を全閉させることができる。
(請求項10に対応する効果)
【0082】
ドア3には、モータ駆動なしに当該ドア3を閉方向に回転させるときに第3連結部材16に当接して第3連結部材16をドア3と一体に回転させる第2係合壁5を設けるとともに、連結点P1、P2、P3がそれぞれの両側の連結点を結ぶ直線を横切らないように、レバー13と第1連結部材14間には互いに当接可能なストッパ片107とストッパ突部121、第1連結部材14と第2連結部材15間には互いに当接可能な角部124と円弧壁119、第2連結部材15と第3連結部材16間には互いに当接可能なストッパ突部125と係合片128を設けて、互いの相対回転を規制するようにしているので、手動でもドア3を全閉まで閉じることができ、その間、リンク機構12の各連結部材がドア3よりも手前に突出することもない。
(請求項11に対応する効果)
【0083】
駆動部20は、モータ70のドア閉方向駆動時の回転伝達トルクを所定値に制限するトルクリミッタTLを備えているので、モータ駆動によってドア3が閉じられる途中で物や手が挟まれても損傷を受けることが防止される。また、ドア3が閉じられる途中でドア3を手で開いても減速歯車列Gおよびモータ70の破損を防止できる。
(請求項12に対応する効果)
【0084】
なお、実施の形態ではレバー13の張出し部108が円弧面108aを有するものとしたが、これに限定されず、弧状部120が接触してスライドし第1連結部材14と第2連結部材15の連結点P2をレバー13の回転中心と連結軸17とを結ぶ直線から離間させることができれば、張出し部108は簡単な突起部を有するものでもよい。
【0085】
実施の形態におけるリンク機構12は、ドア3の全閉から全開までの開き角度が90°を越える場合について3本の連結部材(第1連結部材14〜第3連結部材16)を用いた例を示したが、変形例として、例えば
図18に示すように、1本の連結部材14’を用いて開き角度を例えば90°とすることもできる。
図18の(a)〜(d)は90°の全開位置からモータ駆動で閉じる過程を示している。
この場合は、レバー13の必要回転角度に応じて、ケース21上面の第1レバー規制壁36と第2レバー規制壁37間や、ケース21内部における第1ストッパ壁55と第2ストッパ壁56間、およびカム面の開位置山部95と閉位置山部96間の各配置角度を設定すればよい。