特許第6223768号(P6223768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223768
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】減容可能な食品包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/355 20060101AFI20171023BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20171023BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20171023BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B65D5/355
   B65D5/54 F
   B65D5/42 C
   B65D77/04 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-206668(P2013-206668)
(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-71428(P2015-71428A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品グループ本社株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100085707
【弁理士】
【氏名又は名称】神津 堯子
(72)【発明者】
【氏名】福森 直仁
(72)【発明者】
【氏名】槻舘 慎也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 政明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健吾
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−213425(JP,A)
【文献】 特開2008−155938(JP,A)
【文献】 特開2009−161200(JP,A)
【文献】 特開2012−126427(JP,A)
【文献】 特開2009−073561(JP,A)
【文献】 特開2004−042953(JP,A)
【文献】 実開昭52−104733(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/76
B65D77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つに小分け可能な内容物を格納できる直方体の形状を有し且つ周方向に延びる2本の弱化線で規定される切り離し可能なベルトを有し、
該ベルトを切り離すことにより減容可能な食品包装箱であって、
前記内容物が、ルウを収容した2つの切り離し可能なトレーブロックを備えたトレーであり、
前記ベルトが前記食品包装箱の長手方向の中心線からオフセットされて、該ベルトを切り離すことにより形成される2つのハーフ包装箱のうち一方のハーフ包装箱が他方のハーフ包装箱よりも相対的に大きな長さ寸法を有し、
該一方のハーフ包装箱が減容包装箱本体として使用可能であり、
前記他方のハーフ包装箱が前記減容包装箱本体に対する蓋体として使用可能であり、
前記減容包装箱本体に一つの小分けした前記トレーブロックを入れたときに、該減容包装箱本体の開口部分において小分けした前記トレーブロックから突出する余裕代部分が、これを扁平に押し潰す潰し代として、その長さ寸法が設定され、
前記減容包装箱本体に前記蓋体を嵌装することで、一つの小分けした前記トレーブロックを格納する減容包装箱として使用可能であり、
前記食品包装箱の前記蓋体の裏面の前記ベルトに干渉しない部分に、前記減容包装箱の減容化の手順がイラストで表示され、
前記食品包装箱の前記減容包装箱本体の裏面の前記ベルトに干渉しない部分に、前記内容物の使い方の手順がイラストで表示されていることを特徴とする減容可能な食品包装箱。
【請求項2】
2つに小分け可能な内容物を格納できる直方体の形状を有し且つ周方向に延びる2本の弱化線で規定される切り離し可能なベルトを有し、
該ベルトを切り離すことにより減容可能な食品包装箱であって、
前記内容物が、ルウを収容した2つの切り離し可能なトレーブロックを備えたトレーであり、
前記ベルトが前記食品包装箱の長手方向の中心線からオフセットされて、該ベルトを切り離すことにより形成される2つのハーフ包装箱のうち一方のハーフ包装箱が他方のハーフ包装箱よりも相対的に大きな長さ寸法を有し、
該一方のハーフ包装箱が減容包装箱本体として使用可能であり、
前記他方のハーフ包装箱が前記減容包装箱本体に対する蓋体として使用可能であり、
前記減容包装箱本体に一つの小分けした前記トレーブロックを入れたときに、該減容包装箱本体の開口部分において小分けした前記トレーブロックから突出する余裕代部分が、これを扁平に押し潰す潰し代として、その長さ寸法が設定され、
前記減容包装箱本体に前記蓋体を嵌装することで、一つの小分けした前記トレーブロックを格納する減容包装箱として使用可能であり、
前記食品包装箱の側面と前面又は裏面との間の折り目からオフセットした位置に前記ベルトの始端が配置されている食品包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減容可能な食品包装箱に関し、より詳しくは、2つの小分け可能な内容物を格納する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカレーやシチューなどの固形ルウは「トレー」と呼ばれる樹脂成型品に収容され、そして後に説明する包装箱に入れた状態で販売される。特許文献1、2は4つの同じ大きさのルウピースに小分け可能なブロックを2つ備えたトレーを開示している。この2つのトレーブロックは切り離し可能である。消費者は、包装箱からトレーを取り出し、そして、トレーから必要とする数のルウピースを取り出して調理に使う。トレーブロックは、1回の調理に用いられる平均的な数のルウピースを収容するように設計される。特許文献1、2は、各トレーブロックが4つの同じ大きさのルウピースを収容するように構成されたトレーを開示しているが、6つのルウピースを収容するように各トレーブロックを構成するトレーも知られており、各トレーブロックに含まれるルウピースの数は任意である。
【0003】
特許文献3は減容可能な食品包装箱を開示している。具体的には、特許文献3は、第1、第2の2種類の食品包装箱を開示している。第1の食品包装箱は、その長手方向に半分に切り分けることができる。この第1の食品包装箱は2つの同じ大きさのトレーブロックを備えたトレーに対して適用される。第1の食品包装箱は、消費者が、食品包装箱を真っ二つに切り離すことで開封することができる。また、トレーは2つのトレーブロックに切り離すことができる。一つのトレーブロックに収容されているルウピースを使い切り、他のトレーブロックに収容されているルウピースを保存するときには、第1の包装箱を開封することにより作られる2つのハーフ包装箱を使って当該他のトレーブロックを格納する箱を作ることができる。すなわち、一方のハーフ包装箱の中にトレーブロックを挿入し、次いで、この一方のハーフ包装箱に対して他方のハーフ包装箱を嵌装することで減容化した蓋付きの格納箱になる。
【0004】
第2の食品包装箱は、3つのトレーブロックを備えたトレーに適用される。この第2の包装箱は、その長手方向に3つに均等に分けたときに、2/3の長さの長尺のハーフと、1/3の長さの短尺のハーフとに切り離して開封することができる。消費者がトレーから1つのトレーブロックを切り離して当該トレーブロックのルウを使い切ったときに、残る2つの互いに連続したトレーブロックを、長尺のハーフ包装箱と短尺のハーフ包装箱とで構成される蓋付きの格納箱に格納することができる。すなわち長尺のハーフ包装箱の中に、2つの互いに連続したトレーブロックを挿入し、この長尺のハーフ包装箱に対して短尺のハーフ包装箱を嵌装することで減容化した蓋付きの格納箱になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−100040号公報
【特許文献2】特開2011−246141号公報
【特許文献3】特開2008−290769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に開示の減容可能な食品包装箱は、消費者が開封し、そしてトレーを切り分けた後も、残るトレーブロックの大きさに適合した包装箱として使用することができる。また、食品包装箱を開封した結果出来る2つのハーフ包装箱を使って、これを残るトレーブロックの格納箱として利用できるため、食品包装箱に記載されている製品名、商品名、賞味期限、材料、添加物、調理方法などの文字やイラストなどは、例えば2つのハーフ包装箱を隣り合わせにすることで元の包装箱と同じ表示状態にすることができる。
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示の食品包装箱は、これを開封した後の2つのハーフ包装箱の一方を蓋として使用する際に、蓋となるハーフ包装箱を嵌装し難いという問題がある。すなわち、特許文献3に開示の食品包装箱は、直方体の包装箱の長手方向中間部分又は1/3の部分に配置され且つ周方向に延びる弱化線を切断することで2つのハーフ包装箱ができ、一方を減容包装箱本体として使用し、他方を蓋として使用することを提案するものであるが、減容包装箱本体として使用するハーフ包装箱の開口部の矩形形状及び面積は、蓋として使用するハーフ包装箱と同じである。このことが、特許文献3が提案する格納箱は蓋をし難いという問題を招いている。
【0008】
トレーブロックは、典型的な一回の調理に使用する数のルウを収容するように設計されている。特許文献1、2に開示のトレーは、各トレーブロックに4つのルウピースが収容されているが、このトレーは、4つのルウピースの量が、一回の典型的な調理で丁度良い分量となるように設計される。
【0009】
本発明は、特許文献3に開示の食品包装箱の問題点及び上述したルウを収容したトレーのように小分け可能な内容物が一回の調理に丁度良い分量のルウを収容するように設計されるという実情を鑑みて案出されたものである。
【0010】
本発明の目的は、特許文献3との対比で言えば、食品包装箱を開封することによって出来る2つのハーフ包装箱を使って、減容した蓋付きの格納箱を作るという発想に立脚しつつ、減容化した格納箱の蓋のし難さを改善することのできる減容可能な食品包装箱を提供することにある。
【0011】
本発明の更なる目的は、消費者が優先的に必要とする情報の表示が、切り離したハーフ包装箱の夫々で完結する表示態様を設定することができる減容可能な食品包装箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
2つに小分け可能な内容物を格納できる直方体の形状を有し且つ周方向に延びる2本の弱化線で規定される切り離し可能なベルトを有し、
該ベルトを切り離すことにより減容可能な食品包装箱であって、
前記内容物が、ルウを収容した2つの切り離し可能なトレーブロックを備えたトレーであり、
前記ベルトが前記食品包装箱の長手方向の中心線からオフセットされて、該ベルトを切り離すことにより形成される2つのハーフ包装箱のうち一方のハーフ包装箱が他方のハーフ包装箱よりも相対的に大きな長さ寸法を有し、
該一方のハーフ包装箱が減容包装箱本体として使用可能であり、
前記他方のハーフ包装箱が前記減容包装箱本体に対する蓋体として使用可能であり、
前記減容包装箱本体に一つの小分けした前記トレーブロックを入れたときに、該減容包装箱本体の開口部分において小分けした前記トレーブロックから突出する余裕代部分が、これを扁平に押し潰す潰し代として、その長さ寸法が設定され、
前記減容包装箱本体に前記蓋体を嵌装することで、一つの小分けした前記トレーブロックを格納する減容包装箱として使用可能であり、
前記食品包装箱の前記蓋体の裏面の前記ベルトに干渉しない部分に、前記減容包装箱の減容化の手順がイラストで表示され、
前記食品包装箱の前記減容包装箱本体の裏面の前記ベルトに干渉しない部分に、前記内容物の使い方の手順がイラストで表示されていることを特徴とする減容可能な食品包装箱を提供することにより達成される。
【0013】
本発明によれば、一方のハーフ包装箱を減容包装箱本体として使用し、他方のハーフ包装箱を減容包装箱本体に対する蓋体として使用して減容包装箱を作ることから、全ての内容物が空になるまで全てのハーフ包装箱を有効活用することができる。したがって、全ての内容物が空になるまで食品包装箱に記載の表示を消費者が確認することができる。
【0014】
また、減容包装箱本体の開口部分において前記内容物から突出する余裕代部分が、これを扁平に押し潰す潰し代として、その長さ寸法が設定されていることから、蓋体として使用するハーフ包装箱の長さ寸法は前記内容物の長さ寸法よりも僅かに小さいだけであり、したがって、この蓋体として使用するハーフ包装箱の部分を、消費者が優先的に必要とする情報を表示する領域として使用することができる。
【0015】
本発明の他の目的及び作用効果は、後の本発明の実施例の詳しい説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】包装箱の一部を切り欠いた斜視図である。
図2】実施例の包装箱の展開図である。
図3】裏面側から見た実施例の包装箱の斜視図である。
図4図1のIV−IV線に沿って切断した断面図である。
図5】実施例の包装箱のベルトを取り去ることで形成される2つのハーフ包装箱のうち一方を減容包装箱本体として使用し、他方を蓋体として使用して減容包装箱を作ることを説明するための図である。
図6】減容包装箱本体の中に一つのトレーブロックを収納し、そして、蓋体で蓋をしてトレーブロックを格納した状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。図1図6は実施例の減容可能な包装箱を示す。図1は包装箱の一部を切り欠いた斜視図である。図2は包装箱の展開図である。図3は裏面側から見た包装箱の斜視図である。図4は、図1のIV−IV線に沿って切断した断面図である。図5は、包装箱のベルトを取り去ることで形成される2つのハーフ包装箱のうち一方を減容包装箱本体として使用し、他方を蓋体として使用して減容包装箱を作ることを説明するための図である。図6は、減容包装箱本体の中にトレーブロックを収納し、そして、蓋体で蓋をした状態を説明するための図である。
【0018】
図1図3を参照して、実施例の包装箱100はカレー又はシチューの固形ルウを収容したトレーの外装箱である。この包装箱100は、これを開封すると、図5から最もよく分かるように、2つのハーフ包装箱が形成されるが、その一方を減容包装箱本体2として使用し、他方は蓋体4として使用される。この減容包装箱本体2と蓋体4は減容包装箱5(図6)を構成する。
【0019】
図5を引き続き参照して、減容包装箱本体2の中には、固形ルウを収容したトレーブロック6が収納される。このトレーブロック6は、2つの等しい大きさのトレーブロック6を備えたトレー(図示せず)を2つに切り離すことにより作られる。すなわち、包装箱100は、切り離し可能な2つのトレーブロック6を備えたトレーを収納するように設計されている。
【0020】
減容包装箱本体2と蓋体4とを対比すると、減容包装箱本体2の方が長尺であり、蓋体4は短尺である。減容包装箱本体2はトレーブロック6よりも長い。すなわち、図5図6を参照して、減容包装箱本体2にトレーブロック6を入れたときに、トレーブロック6の上端から上方に延びる余裕代部分8(図5)を有する。この余裕代部分8は、消費者の手で前後方向に押し潰すことのできる潰し代としてその長さ寸法が設定され、この減容包装箱本体2の上端部分を扁平にすることで蓋体4を嵌装し易くなる。
【0021】
図1図3を参照して、包装箱100は、前面100a、裏面100b、一側面100c、他側面100d、一端面100e、他端面100fを有する直方体の形状を有する。包装箱100は、一枚の紙を主体とした複合材料を組み立てることにより形作られる。包装箱100の展開図である図2には、折り目10によって区画された各部位に、包装箱100の各部位100a〜100fの参照符号を付してある。図2の参照符号12は側部糊代を示す。参照符号14は端部糊代を示す。参照符号16は側面折り代を示す。
【0022】
図2に図示の展開した状態の包装箱100は、包材メーカで側部糊代12を接着する作業を行うのが通例である。包材メーカから食品製造メーカには、両端が開放した筒状の包装箱100を扁平にした状態で納品される。
【0023】
食品製造メーカでは、両端が開口した扁平状態の包装箱100を広げ、そして、包装箱100の一方の端部からトレーを挿入する。次いで、包装箱100の両端を糊付けすることで箱詰めが完了する。
【0024】
包装箱100は、これを横断する方向に且つ全周に亘って延びるベルト20を有し、このベルト20は2本の互いに平行に延びる第1、第2の弱化線22、24によって規定される幅Wを有している。ベルト20の始端20aは、展開図において前面100aと裏面100bとの間の折り目10、10で挟まれた一側面100cに位置している。すなわち、側部糊代12が接着される他側面100d(図1)と対抗する位置にベルト始端20aが位置決めされている。このベルト始端20aは、折り目10に隣接して且つ折り目10と平行に延びる切れ目28(図2)によって形成されている。
【0025】
ベルト始端20aは折り目10から内方にΔL、オフセットして位置決めされている点に注目して欲しい。このΔLは、包装箱100の材料つまり紙を主体とした複合材料の厚みに相当する寸法である。包装箱100の折り目10に隣接して、この折り目10から内方にオフセット(ΔL)した位置に、切れ目28(図2)によって形成されたベルト始端20aを配置することにより、消費者が手にする前段階で、このベルト始端20aに不用意に外力が加わってベルト始端20aが捲れ上がってしまうのを抑制することができる。
【0026】
特に図2を参照して、包装箱100を横断して全周に亘って延びるベルト20の中心線BCが、包装箱100を長手方向に二分する中心線CLからオフセットOfしている点に注目されたい。包装箱100の中心線CLは、包装箱100に収納されるトレー(図示せず)の2つのトレーブロック6の境界線(切断線)に相当する。
【0027】
引き続き図2を参照して、包装箱100の一側面100c、他側面100dには、ベルト20を規定する第1、第2の2本の弱化線22、24のうち、包装箱100の中心線CLに近い側に位置する第1の弱化線22から他端面100fに向けて折り目誘導線30が延びている。この折り目誘導線30は、減容包装箱本体2の開口部をその前後方向に押し潰すときに谷折りの状態となる(図5)。この点については後に詳しく説明する。
【0028】
包装箱100は、これを消費者が開封するにはベルト20をそのベルト始端20aから引っ張り上げて、ベルト20を切り取ることにより行われる。これにより、包装箱100は、比較的大きな減容包装箱本体2と比較的小さな蓋体4に変化する。包装箱100を図示する図1図3において、減容包装箱本体2に相当する部位に参照符号「2」を付記し、蓋体4に相当する部位に参照符号「4」を付記してある。
【0029】
実施例の包装箱100は、幅Wを備えたベルト20を備え、このベルト20は包装箱100を開封した時点で廃棄される。消費者は、包装箱100から取り出したトレーから必要量のルウピースを取り出して調理する。標準世帯では、一つのトレーブロック6に含まれるルウピースを1回の調理で使い切る。残ったトレーブロック6を保存するのに、次の手順に従って減容化した包装箱を作ることができる。
【0030】
図5を参照して、包装箱100の減容化の手順を説明する。先ず、残ったトレーブロック6を減容包装箱本体2に入れる。次に、減容包装箱本体2の上端開口部を押し潰す。減容包装箱本体2の左右の側面100c、100dには、前述したように、その開口縁から下方に延びる折り目誘導線30が形成されている。減容包装箱本体2の高さ寸法は、前述したようにトレーブロック6よりも大きい。減容包装箱本体2のトレーブロック6と干渉しない上端開口部(特に減容包装箱本体2の左右の側面100c、100dの近傍)を図5に矢印で示すように押し潰す。
【0031】
この操作によって、左右の側面100c、100dは、折り目誘導線30が谷折りの状態となって、減容包装箱本体2の上端開口部は扁平に押し潰した状態となる。次いで、蓋体4を減容包装箱本体2の上端開口部に嵌装する。減容包装箱本体2の上端開口部が潰れた状態になっているため、減容包装箱本体2の上端開口部に蓋体4を装着する作業は容易である。蓋体4で減容包装箱本体2の上端部を覆う減容化した状態を図6に示す。減容包装箱本体2に蓋体4を装着することで、減容包装箱本体2と蓋体4とで構成された減容包装箱5でトレーブロック6を格納することができる。
【0032】
ところで、消費者が商品を購入するときの一般的な行動を観察すると、消費者は、主要な面である前面100a、裏面100bの表示を先ず確認する。そして、必要に応じてその他の面の表示を確認する。一般的な消費者が確認する事項の優先順序は次の通りである。
【0033】
(1)商品のブランド名やキャッチフレーズ、商品のイメージ絵や写真。
(2)商品を使った調理方法や喫食の仕方。
(3)製造販売元。
(4)商品の特徴(例えば調理の手順)。
(5)商品の保存方法(例えば包装箱の減容化の手順)。
(6)賞味期限。
(7)商品の種別(カレールウであれば辛さのレベル)。
(8)商品の種別の一覧及びその説明(カレールウであれば「辛口」、「中辛」、「普通」、「甘口」の説明)。
(9)原材料表示。
(10)アレルギー表示。
【0034】
上記(9)及び(10)は、原材料にこだわりのある消費者やアレルギー体質の消費者が注目する表示であり、これに注目する消費者は仮に比較的小さな文字であっても注意深く読む。
【0035】
包装箱100の主要な面である前面100aには、従来と同様に、商品のブランド名やキャッチフレーズ、商品のイメージ絵や写真が印刷されている。また、商品の種別(カレーの辛さの程度)も包装箱100の前面100aに比較的目立つように印刷されている。
【0036】
包装箱100の他の主要な面である裏面100bの表示に関し、ベルト20を挟んで減容包装箱本体2の部分と蓋体4の部分とに分けて説明する。減容包装箱本体2の部分の記載について説明すると、この減容包装箱本体2の部分は、ベルト20の近傍部分が上述した潰し代であり、この潰し代の分だけ一つのトレーブロック6よりも大きい。この減容包装箱本体2の部分には、ルウを使った調理の方法(手順)が好ましくはイラストで横並びに(包装箱100の長手方向に)時系列で表示される。この表示部分を参照符号32で示す(図3
【0037】
蓋体4の部分には、上述した包装箱100の減容化の手順が好ましくはイラストで横並びに(包装箱100の長手方向に)時系列で表示される。この表示部分を参照符号34で示す(図3)。
【0038】
包装箱100の側面100c、100dには、次の項目が表示される。先ず、一側面100cについて説明すると、減容包装箱本体2の部分に原材料の表示36が印刷される(図1図3)。他方、蓋体4の部分にアレルギー表示38が印刷されている(図1図3)。
【0039】
包装箱100の他側面100dには、商品の種別の一覧(カレールウであれば例えば「辛口」、「中辛」、「普通」、「甘口」の文字とその説明)が表示される。この表示部分を図2に参照符号40で示す。
【0040】
減容包装箱本体2の閉塞した端面を構成する包装箱100の一端面100fには賞味期限が印刷される。この表示部分を図2に参照符号42で示す。
【0041】
上述した実施例の包装箱100によれば、2つのトレーブロック6に分割可能なトレーを格納する包装箱100を開封した後で、この包装箱100を減容化したハーフ包装箱として使うことができる。また、ベルト20を取り去って、包装箱100を開封しても、このベルト20に干渉しない部分に表示されている調理方法や減容化した包装箱(減容包装箱5)の組立方法を参照することができる。減容包装箱5の組立方法の表示に関連して、減容包装箱本体2が、その上端開口部の潰し代(余裕代部分8)だけトレーブロック6よりも大きく、換言すれば、その分だけ蓋体4が小さいだけであることから、包装箱100の主要な面である裏面100bにおいて蓋体4の部分に、減容包装箱5の組立方法をイラストで時系列に横並びで表示できる。したがって、消費者は一見して理解できる。
【0042】
勿論、包装箱100の主要な面である裏面100bにおいて減容包装箱本体2の部分は、調理方法をイラストで時系列に横並びで表示できる。
【0043】
また、包装箱100の折り目10に隣接して、この折り目10から内方にオフセット(ΔL)した位置に、切れ目28(図2)によって形成されたベルト始端20aを配置することにより、消費者が手にする前段階で、このベルト始端20aに不用意に外力が加わってベルト始端20aが捲れ上がってしまうのを抑制することができる。
【0044】
上記の実施例では、包装箱100の開封手段として、幅Wを有するベルト20を採用したが、これに代えて、一本の弱化線を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は食品の包装箱に適用できる。典型的には内容物としてカレーやシチューの固形ルウの外装に適用されるが、例えばお菓子を2つの小袋に入れた包装にも適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
100 実施例の減容可能な食品包装箱
100a 食品包装箱の前面
100b 食品包装箱の裏面
2 減容包装箱本体
4 蓋体
5 減容包装箱
6 トレーブロック
8 余裕代部分(潰し代)
10 折り目
20 ベルト
20a ベルトの始端
22 第1の弱化線(ベルトを規定)
24 第2の弱化線(ベルトを規定)
28 ベルト始端を作るための切れ目
CL 包装箱の中心線
BC ベルトの中心線
ΔL 折り目からのベルトのオフセット量
図1
図2
図3
図4
図5
図6