(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空調料金計算部は、前記室内機毎の運転量の総和にオーバーフローが発生した場合、オーバーフローが発生しなくなるまで所定の期間を分割して計算を行い、分割された期間の按分量の合計を前記所定の期間の前記室内機毎の消費量の総和とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の空調料金計算装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示された発明では、空調機の総消費電力量と実際にテナントに配分される消費電力量との間の計算上の誤差については考慮されておらず、計算誤差が発生した場合にはその誤差分の空調料金についてはオーナーが負担を強いられるという問題があった。また、誤差分の消費電力量を各テナントで等分する方法もあるが、省エネルギーに努めたテナントや、使用が極端に少ないテナントからの理解が得られにくいことが考えられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、使用状況に応じた適切な料金計算が可能な空調料金計算装置およびその制御方法ならびに空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の空調料金計算装置およびその制御方法ならびに空調システムは以下の手段を採用する。
複数の区画の空調を行うために用いられる空調系統の料金を計算する空調料金計算装置であって、前記複数の区画に配置される複数の室内機の各々は、前記空調系統に含まれ、前記空調系統を駆動する動力源のエネルギー消費量を示す消費量信号を送信するメータと、前記消費量信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記消費量信号を用いて前記空調系統の使用料金を算出する空調料金計算部と、を具備し、前記空調料金計算部は、複数の按分方式の中から室内機毎に選択される前記空調系統の按分方式の入力を受け付ける選択部を備え、前記動力源の使用料金を前記選択部に室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算するとともに、按分された室内機毎の消費量の総和と前記動力源のエネルギー消費量との間に誤差がある場合は、誤差の再按分計算を行うことを特徴とする空調料金計算装置を採用する。
【0007】
本発明によれば、室内機毎に、複数の按分方式の中からいずれかの按分方式の入力を受け付けることから、ユーザにとってより分かりやすく、ユーザのニーズに合った按分方式の設定をすることが容易である。また、動力源の使用料金を室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算するため、適切な按分計算を行うことができる。
さらに、按分された室内機毎の消費量の総和と動力源の消費量との間に誤差がある場合は誤差の再按分計算を行うことから、誤差を各空調機に再按分することができ、これによって空調機毎の消費電力量の配分の比率、すなわち配分率を算出する際のオーバーフローや切上げや切捨てなどによる計算誤差を最小にできる。また、待機電力によって生じる按分計算誤差を最小にすることができる。
ここで具体的に、配分率を算出する際のオーバーフローとは、次のような場合である。例えば休日の待機電力などにより消費される電力を、平日の空調機毎の配分率にて配分するためには、休日の待機電力は平日の消費電力量に比べると極小であるため積算が大きくなるよう長期間(例えば1週間を1か月にする等)にて按分計算するのが望ましい。しかし、前述したように期間を長くすると、配分率を算出する際に必要な空調機毎の運転量の総和にオーバーフローが発生する懸念が生じる場合のことを意味する。
また、配分率を算出する際の切上げや切捨てとは、例えば空調機毎の運転量の総和が大きくなると、稼働率が低い空調機および空調能力が小さく消費量算出のためのパルス計数が小さい空調機の配分率が極小となり有効桁数以下となることから、切捨てによる誤差が生じる可能性がある場合のことを意味する。
【0008】
上記発明において、前記誤差は、各前記室内機へ再按分されるか否かを選択可能とされてもよい。
【0009】
本発明によれば、各室内機へ誤差を再按分するか否かを選択可能とするため、「誤差が許容範囲内の場合は再按分をしない」などユーザの事情に合致した計算方法を選択できる。また、誤差の再按分をするか否かを選択するための基準となる値をユーザ毎に設定することで、さらに各々のユーザが必要とする運用への適応が可能となる。
【0010】
上記発明において、前記誤差は、前記室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算されるとしてもよい。
【0011】
本発明によれば、誤差が、室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算されることから、空調機の稼働実績に応じて消費量を分担することとなり、ユーザにとって分かりやすく、ユーザのニーズに合った按分方式の設定をすることができる。また、空調機を使用しない未入居テナントへの使用料金配分が回避できるなど、利用状況に即した配分ができ、ユーザの理解を得ることができる。
【0012】
上記発明において、前記空調料金計算部は、前記室内機毎の運転量の総和にオーバーフローが発生した場合、オーバーフローが発生しなくなるまで所定の期間を分割して計算を行い、分割された期間の按分量の合計を前記所定の期間の前記室内機毎の消費量の総和とするとしてもよい。
【0013】
本発明によれば、室内機毎の運転量の総和にオーバーフローが発生した場合、オーバーフローが発生しなくなるまで分割数を増やしながら所定の期間を分割して計算を行い運転量の総和を算出することから、オーバーフローによる計算誤差が発生することを回避できる。また、分割単位を手動で設定することも可能なため、ユーザの事情に応じた運用が可能である。
【0014】
本発明は、複数の区画の空調を行うために用いられる空調系統の料金を計算する空調料金計算装置の制御方法であって、前記複数の区画に配置される複数の室内機の各々は、前記空調系統に含まれ、前記空調系統を駆動する動力源のエネルギー消費量を示す消費量信号を送信するメータと、前記消費量信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記消費量信号を用いて前記空調系統の使用料金を算出する空調料金計算部と、を具備し、前記空調料金計算部は、複数の按分方式の中から室内機毎に選択される前記空調系統の按分方式の入力を受け付ける選択部を備え、前記動力源の使用料金を前記選択部に室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算するステップとともに、按分された室内機毎の消費量の総和と前記動力源のエネルギー消費量との間に誤差がある場合は、誤差の再按分計算を行うステップを有することを特徴とする空調料金計算装置の制御方法を採用する。
【0015】
本発明によれば、室内機毎に、複数の按分方式の中からいずれかの按分方式の入力を受け付けることから、ユーザにとってより分かりやすく、ユーザのニーズに合った按分方式の設定をすることが容易である。また、動力源の使用料金を室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算するため、適切な按分計算を行うことができる。
さらに、按分された室内機毎の消費量の総和と動力源の消費量との間に誤差がある場合は誤差の再按分計算を行うことから、誤差を各空調機に再按分することができ、これによって空調機毎の配分率を算出する際のオーバーフローや切上げや切捨てなどによる計算誤差を最小にできる。また、待機電力によって生じる按分計算誤差を最小にすることができる。
【0016】
本発明は、上述した本発明による空調料金計算装置と、前記空調系統と、を具備することを特徴とする空調システムを採用する。
【0017】
本発明のような空調料金計算装置を備えた空調システムは、按分された室内機毎の消費量の総和と動力源の消費量との間に誤差がある場合は誤差の再按分計算を行うことから、誤差を各空調機に再按分することができ、これによって空調機毎の配分率を算出する際のオーバーフローや切上げや切捨てなどによる計算誤差を最小にできる。また、待機電力によって生じる按分計算誤差を最小にすることができる。
【0018】
本発明は、複数の区画の空調を行うために用いられる空調系統の料金を計算する空調料金計算装置のプログラムであって、前記複数の区画に配置される複数の室内機の各々は、前記空調系統に含まれ、前記空調系統を駆動する動力源のエネルギー消費量を示す消費量信号を送信するメータと、前記消費量信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記消費量信号を用いて前記空調系統の使用料金を算出する空調料金計算部と、を具備し、前記空調料金計算部は、複数の按分方式の中から室内機毎に選択される前記空調系統の按分方式の入力を受け付ける選択部を備え、前記動力源の使用料金を前記選択部に室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算するとともに、按分された室内機毎の消費量の総和と前記動力源のエネルギー消費量との間に誤差がある場合は、誤差の再按分計算を行う処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを採用する。
【0019】
本発明によれば、室内機毎に、複数の按分方式の中からいずれかの按分方式の入力を受け付けることから、ユーザにとってより分かりやすく、ユーザのニーズに合った按分方式の設定をすることが容易である。また、動力源の使用料金を室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算するため、適切な按分計算を行うことができる。
さらに、按分された室内機毎の消費量の総和と動力源の消費量との間に誤差がある場合は誤差の再按分計算を行うことから、誤差を各空調機に再按分することができ、これによって空調機毎の配分率を算出する際のオーバーフローや切上げや切捨てなどによる計算誤差を最小にできる。また、待機電力によって生じる按分計算誤差を最小にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、按分された室内機毎の消費量の総和と動力源の消費量との間の誤差の再按分を行うので、空調機毎の按分消費量の計算誤差を最小にできる効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る空調料金計算装置およびその制御方法ならびに空調システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係る空調料金計算装置およびその制御方法ならびに空調システムの概略構成、空調料金計算装置と、それが適用された空気調和機のシステム(例えば一棟のテナントビル全体の空調を行うシステム)が示されている。
図1に示されるように、本実施形態における空気調和機のシステムは、GHP(Gas Heat Pump)方式を採用するマルチ型空気調和機のGHP2とEHP(Electric Heat Pump)方式を採用するマルチ型空気調和機のEHP4とから構成される。
【0023】
GHP2には、動力源としてガス5と電気7とが供給されている。より詳細には、
図1のようにガス5は室外機10に対して、電気7は室外機10及び室内機12に対してそれぞれ供給されている。GHP2はガス流量メータ6と電力量メータ8とを備えている。ここで、ガス流量メータ6は、ガスが所定量(例えば1m
3)供給される毎にパルス信号を発信し、後述する集中制御装置22に送信する。電力量メータ8は、電力が所定量(例えば1kWh)供給される毎にパルス信号を発信し、集中制御装置22に送信する。
また、GHP2は少なくとも1台(
図1では2台)の室外機10と、各々の室外機10に対応して少なくとも1台(
図1では3台)の室内機12とを備えている。各々の室外機10は、1台以上の室内機12と図示しない冷媒配管により接続された空調系統2−1、2−2を構成する。
【0024】
EHP4には、動力源として三相電気13と単相電気15とが供給されている。より詳細には、
図1のように室外機18に対して三相電気13、室内機20に対して単相電気15という、電気という観点からは同一種類であるが相数の異なる動力が供給される。
EHP4は三相電力量メータ14と単相電力量メータ16とを備えている。ここで、三相電力量メータ14は、三相電気13の電力量が所定量(例えば1kWh)供給される毎にパルス信号を発信し、後述する集中制御装置22に送信する。単相電力量メータ16は、単相電気15の電力量が所定量(例えば1kWh)供給される毎にパルス信号を発信し、後述する集中制御装置22に送信する。
また、EHP4は少なくとも1台(
図1では2台)の室外機18と、各々の室外機18に対応して少なくとも1台(
図1では3台)の室内機20とを備えている。各々の室外機18は、1台以上の室内機20と図示しない冷媒配管により接続された空調系統4−1、4−2を構成する。
【0025】
GHP2とEHP4とはビルの複数の区画(テナント)の空調を行うために用いられる。テナントは、例えばGHP2に属する室内機12を3台、EHP4に属する室内機20を1台、というように異なる方式の室外機に属する室内機12、20を混在して用いていることがある。
【0026】
集中制御装置22は、記憶装置28を備えている。集中制御装置22は更に、図示しない演算制御装置、入力装置、出力装置、及び通信装置を備えるものであり、例えば、パーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムにより実現可能である。
記憶装置28には、処理の全て或いは一部を実現させるためのプログラムが記録され、コンピュータ読み取り可能な状態で格納されており、演算制御装置が記憶装置28からプログラムを読み出し、実行することにより種々の処理を実現させるとしてもよい。
集中制御装置22は、ガス流量メータ6、電力量メータ8、三相電力量メータ14、及び単相電力量メータ16からのパルス信号を受信する。集中制御装置22は、受信したパルス信号の所定時間毎(例:10分毎、1時間毎、1日毎)の数を積算して(足し上げて)記憶する。
【0027】
また、本実施形態に係る集中制御装置22は、USB(Universal Serial Bus)コネクタを備えている。選択された按分方式にもとづいて計算された室内機毎の運転量、及びパルス信号の所定時間毎の積算値は、USBコネクタに接続されるUSBメモリ24に保存される。
【0028】
集中制御装置22は、室内機12、20の各々を制御する制御装置と情報通信可能に接続されている。これにより集中制御装置22は、空調機毎運転量(各々の室内機12、20の運転に関する情報)を収集し記憶することができる。具体的には、収集される情報としては、所定時間(例えば一日)内における、各々の室内機12、20の運転時間、冷媒流量(室内機電子膨張弁開度に応じた数値)、サーモON(冷暖房運転時)の時間、が例示される。
【0029】
空調料金計算機26は、記憶装置27を備えている。空調料金計算機26は更に、図示しない演算制御装置、入力装置、出力装置、及び通信装置を備えるものであり、例えば、パーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムにより実現可能である。記憶装置27には、処理の全て或いは一部を実現させるためのプログラムが記録され、コンピュータ読み取り可能な状態で格納されており、演算制御装置が記憶装置27からプログラムを読み出し、実行することにより種々の処理を実現させるとしてもよい。
空調料金計算機26はUSBコネクタを備えている。空調料金計算機26は、空調機毎運転量、及びパルス信号の所定時間毎の積算値等のデータを、USBメモリ24を介して集中制御装置22から受け取り記憶する。
【0030】
図2に、空調料金計算機26の記憶装置27に格納されているテーブルを示す。より詳細には、記憶装置27は、系統定義テーブル30と、パルス定義テーブル32と、基本料金テーブル34と、単価テーブル35と、テナント構成テーブル36とを格納している。これらのテーブルに格納されているデータは、空調料金計算機26が備える表示装置により参照可能であり、入力装置により書き換え可能である。
【0031】
系統定義テーブル30は、各々の室内機を特定する識別子である空調機IDと、各々の室内機がどのメータに接続されているかを示す系統選択とを対応付けて格納している。
パルス定義テーブル32は、メータを識別する識別子であるパルス系統と、各々のメータが1つのパルスを発信する単位であるパルス定数と、電力/ガス区分とを対応付けて格納している。
基本料金テーブル34は、テナントを個別に特定するテナントIDと、各々のテナントの電気またはガスの基本料金を対応付けて格納している。
単価テーブル35は、パルス系統と、時間内単価と、時間外単価とを対応付けて格納している。時間内単価は、後述する課金時間帯テーブル61において時間内であると設定された時間内における電気またはガスの単価、時間外単価は、時間内であると設定された時間以外の時間における電気またはガスの単価を示す。
テナント構成テーブル36は、テナントIDと、テナントIDにより特定されるテナントに使用されている室内機を特定する構成空調機IDとを対応付けて格納している。
【0032】
集中制御装置22と空調料金計算機26との間のデータ転送がUSBメモリ24で行われることにより、集中制御装置22と空調料金計算機26との間の配線工事が不要となり、装置の設置が容易となる。
【0033】
図3に、集中制御装置22の記憶装置28に格納されているテーブルを示す。記憶装置28は、按分方式・機種能力テーブル60と、課金時間帯テーブル61とを格納している。これらのテーブルに格納されているデータは、集中制御装置22が備える表示装置により参照可能であり、入力装置により書き換え可能である。
按分方式・機種能力テーブル60は、空調機IDと、空調機IDにより特定される室内機の使用料金を計算するために無次元量化された運転量を算出する方式の種別である按分方式と、空調機IDにより特定される室内機の能力である機種能力とを対応付けて格納している。
課金時間帯テーブル61は、一日の所定の時間内とそれ以外の時間帯とで、電気および/またはガスの単価が異なる場合、前述した所定の時間の開始時刻と終了時刻とを格納している。この所定の時間を時間内、それ以外の時間を時間外とする。
【0034】
図4に、本発明の実施形態における空調料金計算装置の計算フローを示す。
【0035】
ステップS2:集中制御装置22は、室内機毎運転量を計算するための運転データを受信する。集中制御装置22は、按分方式・機種能力テーブル60(
図3参照)を参照して各々の室内機に対して設定された按分方式と機種能力とを読み出す。集中制御装置22は、読み出された按分方式に基づいて、空調機毎運転量(各々の室内機の運転量)を計算する。空調機毎運転量は、予め設定され記憶装置28に記憶された定数を掛けられることにより、無次元量化されている。
【0036】
集中制御装置22は、課金時間帯テーブル61(
図3参照)を参照して、設定された時間内における空調機毎運転量の積算値と、時間外における空調機毎運転量の積算値とを算出する。
【0037】
按分方式は、(1)各々の室内機の運転時間×機種能力、(2)各々の室内機の空調負荷(冷媒流量;室内機電子膨張弁開度に応じた数値)、(3)サーモON(冷暖房運転時)の時間×機種能力、などの方式から選択される。
【0038】
按分方式・機種能力テーブル60(
図3参照)のデータ構成によれば、按分方式は各々の室内機毎に設定される。そのため、例えばGHP2の室内機12の場合、ガスと電気に対して共通の按分方式が設定される。EHP4の室内機20の場合、三相電気13と単相電気15とに対して共通の按分方式が設定される。
【0039】
室内機に対応して按分方式を設定する方式は、動力源(ガス、三相電気、単相電気など)毎に按分方式を設定する方式に比べ、ユーザ(ビル管理者、テナントの利用者など)がより分かりやすく、ユーザのニーズに合った按分方式の設定をすることが容易である。
【0040】
ステップS4:各々のメータ(ガス流量メータ6、電力量メータ8、三相電力量メータ14、単相電力量メータ16を含む)は、各動力源の使用量に応じてパルス信号を発信し、集中制御装置22に発信する。集中制御装置22はパルス信号を受信する。
【0041】
集中制御装置22は、課金時間帯テーブル61(
図3参照)を参照して、設定された時間内において受信したパルス信号の積算値と、時間外において受信したパルス信号の積算値とを算出する。
【0042】
ステップS6:集中制御装置22は、ステップS2において算出した空調機毎運転量とステップS4において算出したパルス信号の積算値(双方とも時間内と時間外とに分けて算出されている)とを記憶する。記憶された空調機毎運転量とパルス信号の積算値とは、所定時間毎(例えば一日毎)に、USBメモリ24を介して空調料金計算機26に転送される。
【0043】
ステップS8:空調料金計算機26は、パルス定義テーブル32(
図2参照)を参照して、各々のパルス系統に関して、ステップS6において記録されたパルス信号の積算値にパルス定数を掛ける。これにより、各々のパルス系統に属する空調機(より正確には、系統定義テーブル30(
図2参照)において各々のパルス系統に対応する系統選択が設定された空調機IDにより特定される室内機)の総消費量が得られる。この総消費量は、時間内と時間外とに分けて算出される。
【0044】
ステップS10:空調料金計算機26は、室内機毎の消費量を、次式により算出する。室内機毎の消費量は、時間内と時間外とに分けて算出される。
空調機毎消費量=総消費量×該当空調機の運転量÷該当メータに所属する空調機の運転量の総量
【0045】
ステップS2において空調機毎運転量が無次元量化されているために、同一のパルス系統に属する複数の室内機が異なる按分方式に設定されている場合であっても、上式のように、パルス定数から計算される各動力源の総消費量を空調機毎運転量の比によって各室内機に按分することが可能となっている。
【0046】
ステップS12:空調料金計算機26は系統定義テーブル30(
図2参照)を参照して、各々の室内機がどのパルス系統に属するかを検索する。空調料金計算機26は、単価テーブル35(
図2参照)を参照して、検索されたパルス系統に対応する時間内単価と時間外単価とを検索する。空調料金計算機26は、各々の室内機毎に、次式により使用料金を算出する。
空調機毎使用料金=空調機毎消費量(時間内)×時間内単価+空調機毎消費量(時間外)×時間外単価
【0047】
ステップS14:空調料金計算機26は、基本料金テーブル34(
図2参照)を参照し、各々のテナントIDに対応する電気の基本料金とガスの使用料金とを検索する。空調料金計算機26は、テナント構成テーブル36(
図2参照)を参照し、各々のテナントIDに対応する構成空調機を参照する。
具体的には、空調料金計算機26は、以下の式によって、テナント毎空調料金を算出する処理を行う。
【0048】
まず、動力源が電気である場合を説明する。
テナント毎空調料金(電気)=基本料金(電気)+Σ(テナントを構成する空調機の空調機毎使用料金)
空調料金計算機26は、各種テーブルを参照しつつ、これらの式に基づく算出処理を時間内、時間外それぞれ計算し合算する。算出処理にあたり、該当室内機が系統定義テーブル30(
図2参照)にて登録されていないパルス系統の消費量は0となる。また、パルス定義テーブル32(
図2参照)の電力/ガス区分がガスの場合も消費量は0となり加算されない。
【0049】
次に、動力源にガスを用いる場合を説明する。
テナント毎空調料金(ガス)=基本料金(ガス)+Σ(テナントを構成する空調機の空調機毎使用料金)
空調料金計算機26は、各種テーブルを参照しつつ、これらの式に基づく算出処理を時間内、時間外それぞれ計算し合算する。算出処理にあたり、該当室内機が系統定義テーブル30(
図2参照)にて登録されていないパルス系統の消費量は0となる。また、パルス定義テーブル32(
図2参照)の電力/ガス区分が電気の場合も消費量は0となり加算されない。
また、単価テーブル35(
図2参照)をパルス系統毎に設定するのではなく、ガス、電気の時間内・時間外単価設定のみとすることで、計算を簡単にすることが可能である。
【0050】
以上のフローによって算出される料金は、以下の特徴を持っている。
【0051】
GHP2におけるガス流量計と電力量計は同じ按分方式が取られる。GHP2における電力量計とEHP4における電力量計とは独立した按分方式が取られる。すなわち、複数系統、本実施の形態ではGHP2とEHP4とは、それぞれに異なる按分方式を設定することができる。かつ、同一系統内の複数動力、本実施の形態ではGHP2の電力系とガス系とは同一の按分方式にセットされる。例えばGHP2は冷媒流量(空調負荷)による按分方式、EHP4は運転時間による按分方式を選択することができる。
【0052】
本実施の形態の変形例として、集中制御装置22と空調料金計算機26とをLANにより接続し、USBメモリ24に代えてLANによりデータ転送を行う構成が可能である。その場合、LANには各々が独立に料金計算式を選択可能な複数の空調料金計算機26を備える構成が可能である。こうした構成の空調料金計算装置によれば、目的に応じたエネルギー計算が容易となり、より利便性高くエネルギー管理が可能となる。
【0053】
更に、按分方式の他の例として、「室内機12の主エネルギー消費元である室内ファンモータの運転時間×ファンモータ回転数×機種能力」に比例して料金を按分する方式を採用することも好ましい。こうした按分方式を用いることにより、より精度の高い消費エネルギー量の算出が可能となる。
【0054】
図4のステップS10において、空調機毎運転量の比、すなわち配分率の計算時にオーバーフローや切上げや切捨てなどによる計算誤差が発生した場合、この計算誤差を再按分するための計算が必要となる。
【0055】
図5に、本発明の実施形態における誤差の再按分計算のフローチャートを示す。
【0056】
ステップS501:所定の期間の消費電力量の配分率は、所定の期間の室内機の運転量の総和を分母として算出する。その際、配分率計算時にオーバーフローや切上げや切捨てによる計算誤差が発生する場合がある。この分母である運転量の総和にオーバーフローが発生した場合、オーバーフローが発生しなくなるまで所定の期間を順次分割して(2分割、3分割、・・・)計算し、分割された期間の各按分電力量の合計を所定の期間の消費電力量とする。ここで、最大分割数は1日単位までとする。分割単位(例えば、1週間毎、10日毎等)をオペレータの手動操作としてもよい。
【0057】
ステップS502:ステップS8(
図4参照)において算出された各々のパルス系統に属する空調機(より正確には、系統定義テーブル30(
図2参照)において各々のパルス系統に対応する系統選択が設定された空調機IDにより特定される室内機)の総消費量と、ステップS501において算出された按分後の空調機毎消費量Dの総和との差、すなわち誤差を算出する。
分割計算による休日の配分漏れや配分率の切上げや切捨てにより、計算上の誤差を生じる場合がある。この誤差を再按分をするか否かは、ユーザ毎に所定の範囲を設定し、誤差がこの所定の範囲内か否かにて判定を行う。
【0058】
ステップS503:ステップS502にて算出された誤差が、所定の範囲か否かを判定する。所定の範囲内であれば、誤差を按分する必要がないと判断し、フローを終了する。所定の範囲を超過している場合は、ステップS504へ遷移する。
【0059】
ステップS504:ステップS502にて算出された誤差を、所定の期間の空調機毎運転量の比、すなわち配分率で按分する。算出された按分誤差をEとする。
【0060】
ステップS505:空調料金計算機26は、空調機毎消費量を次式により算出する。:
空調機毎消費量=Σ(空調機毎消費量D)+按分誤差E
空調機毎消費量が算出されると、按分計算は終了し、ステップS12(
図4参照)へ遷移する。
【0061】
このように、計算時に発生した計算誤差をも各空調機において配分率にて按分するため、使用実態に基づいた按分が行えるとともに、オーナーによる負担を軽減することができる。
【0062】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る空調料金計算装置およびその制御方法ならびに空調システムによれば、室内機毎に、複数の按分方式の中からいずれかの按分方式の入力を受け付けることから、ユーザにとってより分かりやすく、ユーザのニーズに合った按分方式の設定をすることが容易である。また、動力源の使用料金を室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算するため、適切な按分計算を行うことができる。
さらに、按分された室内機毎の消費量の総和と動力源の消費量との間に誤差がある場合は誤差の再按分計算を行うことから、誤差を各空調機に再按分することができ、これによって空調機毎の消費電力量の配分の比率、すなわち配分率を算出する際のオーバーフローや切上げや切捨てなどによる計算誤差を最小にできる。また、待機電力によって生じる按分計算誤差を最小にすることができる。
【0063】
また、各室内機へ誤差を再按分するか否かを選択可能とするため、「誤差が許容範囲内の場合は再按分をしない」などユーザの事情に合致した計算方法を選択できる。また、誤差の再按分をするか否かを選択するための基準となる値をユーザ毎に設定することで、さらに各々のユーザが必要とする運用への適応が可能となる。
【0064】
また、誤差が、室内機毎に入力された共通の按分方式により室内機毎に計算されることから、空調機の稼働実績に応じて消費量を分担することとなり、ユーザにとって分かりやすく、ユーザのニーズに合った按分方式の設定をすることができる。また、空調機を使用しない未入居テナントへの使用料金配分が回避できるなど、利用状況に即した配分ができ、ユーザの理解を得ることができる。
【0065】
また、室内機毎の運転量の総和にオーバーフローが発生した場合、オーバーフローが発生しなくなるまで所定の期間を分割して計算を行い運転量の総和を算出するため、オーバーフローによる計算誤差が発生することを回避できる。また、分割単位を手動で設定することも可能なため、ユーザの事情に応じた運用が可能である。
【0066】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。
【0067】
本実施形態では動力源が異なる動力であるとしたが、全ての動力源が電気またはガスのみなど同一の動力でもよい。また、いくつかの動力源が同一の動力であってもよく、動力の種類は問わない。