特許第6223809号(P6223809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223809
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20171023BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
   G02F1/1337
   G02F1/1339 500
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-261062(P2013-261062)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-118216(P2015-118216A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 祥史
(72)【発明者】
【氏名】觀田 康克
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−066467(JP,A)
【文献】 特開2007−199341(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/175709(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/058796(WO,A1)
【文献】 特開2006−184903(JP,A)
【文献】 特開2007−178726(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0185128(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0129946(US,A1)
【文献】 特開2007−304452(JP,A)
【文献】 特開2007−256415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133,1333,1334,1339−1341
G02F 1/1347,1335,13363,1337
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
示装置
第1の配向膜を有するアレイ基板と、
第2の配向膜を有する対向基板と、
前記第1の配向膜と第2の配向膜に接する液晶層と、
前記第1の配向膜と第2の配向膜を貼り合わせるシール材と、
を備え、
前記シール材が密着する部分の面積を増やす手段を設け、
前記アレイ基板は第1の配向膜の下に平坦化膜を有し、
前記手段は前記平坦化膜に設けられる第1の溝であり、
前記第1の溝の下部には溝の側面方向にさらに第2の溝を有し、
前記第2の溝の側面および底面に遮光膜を有する。
【請求項2】
請求項の表示装置において、
前記第2の溝の側面の遮光膜はAlであり、
前記第2の溝の底面に遮光膜はTiである。
【請求項3】
請求項の表示装置において、
前記第1の配向膜はラビング配向処理される。
【請求項4】
請求項の表示装置において、
前記第1の溝は複数のスリット形状の溝で構成される。
【請求項5】
示装置
第1の配向膜を有するアレイ基板と、
第2の配向膜を有する対向基板と、
前記第1の配向膜と第2の配向膜に接する液晶層と、
前記第1の配向膜と第2の配向膜を貼り合わせるシール材と、
を備え、
前記アレイ基板は第1の配向膜の下に平坦化膜を有し、
前記平坦化膜は、第1の溝と、前記第1の溝の下部に位置し溝の側面方向への第2の溝と、を有し、
前記シール材は前記第1および第2の溝に充填され、
前記第2の溝の側面および底面に遮光膜を有する。
【請求項6】
請求項の表示装置において、
前記第2の溝の側面の遮光膜はAlであり、
前記第2の溝の底面に遮光膜はTiである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は表示装置に関し、例えば配向膜を有する表示装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板(アレイ基板)と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成されたCF基板(対向基板)が設置され、アレイ基板と対向基板の間に液晶層が挟持され、液晶層はシール材によってシールされる。アレイ基板および対向基板が液晶層と接する部分には、それぞれ配向膜が形成される。
アレイ基板と対向基板をシール材で貼り合せるシール領域において、シール材と配向膜との密着性が悪い、という問題がある。これに対して、シール領域に配向膜を形成しない液晶表示装置が、特開2008−15254号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−15254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、配向膜を基板全面に塗布した構成とすることができず、額縁領域の狭小化に伴い、設計/プロセス制御が難くなる。配向膜を基板全面に塗布した構成にすると、シール材と配向膜との密着強度が更に低下してしまう。
本開示の課題は、シール材と配向膜との密着強度を増加させる表示装置を提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本開示の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、表示装置は、第1の配向膜を有するアレイ基板と、第2の配向膜を有する対向基板と、前記第1の配向膜と第2の配向膜に接する液晶層と、前記第1の配向膜と第2の配向膜を貼り合わせるシール材と、を備え、前記シール材が密着する部分の面積を増やす手段を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】実施の形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
図1B】実施の形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
図2】比較例に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図3】実施例に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図4A】実施例に係る表示パネルの製造する方法を示す断面図である。
図4B】実施例に係る表示パネルの製造する方法を示す断面図である。
図4C】実施例に係る表示パネルの製造する方法を示す断面図である。
図4D図4Cを拡大した断面図である。
図5】変形例1に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
図6】変形例2に係る表示パネルの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施の形態、実施例および変形例について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
実施の形態に係る表示装置の構成について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。
図1Aは実施の形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。図1B図1AのA−A’線における断面図である。図1Bに示すように、表示装置10は、表示パネルPNLと、半導体集積回路DRVと、バックライトBKLと、を有する。表示パネルPNLは、TFT基板(アレイ基板)11と、液晶層20と、CF基板(対向基板)12と、偏光板POL1、POL2と、を有する。アレイ基板11のアクティブ領域19には、半導体集積回路DRVにより駆動される映像信号線や走査線、画素電極、薄膜トランジスタ(TFT)等が形成される。対向基板12には、TFT基板11の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成される。図1Aに示すように、アレイ基板11と対向基板12を貼り合せるシール材15は、アクティブ領域19の外側に位置する。
図1Aおよび図1Bに示す表示装置10の平面構成および断面構成は、後述する比較例、実施例、変形例1および変形例2に適用される。
【0009】
<比較例>
図2は比較例に係る表示パネルの、図1に示されるA−A’線に対応するシール領域の断面図である。
比較例に係る表示パネルPNLRは、アレイ基板11と対向基板12を備える。アレイ基板11の上に平坦化膜13と配向膜14aが形成されている。また、対向基板12の上に樹脂で形成される遮光層(BM)16と配向膜14bと柱状スペーサ17が形成されている。柱状スペーサ17は、フォトスペーサとも呼ばれ断面が台形形状であり、シール材15の内側に隣接して配置される。アレイ基板11および対向基板12のそれぞれの配向膜14a、14bは、液晶層20を挟持するため、シール材15で貼り合わされている。シール材15を仮硬化するための紫外線をアレイ基板11側から照射するときは、アレイ基板11側の配向膜14aの方が脆弱になりやすい。配向膜14a、14bとシール材15が完全に重なっているときは、表示パネルの強度が低下する。
【0010】
そこで、実施の形態に係る表示装置は、第1の配向膜を有するアレイ基板と、第2の配向膜を有する対向基板と、前記第1の配向膜と第2の配向膜に接する液晶層と、前記第1の配向膜と第2の配向膜を貼り合わせるシール材と、を備え、前記シール材が密着する部分の面積を増やす手段を設ける。
【実施例】
【0011】
実施例に係る表示パネルについて、図3を用いて説明する。
図3は実施例に係る表示パネルの、図1に示されるB−B’線に対応するシール領域の断面図である。
実施例に係る表示パネルPNLAは、シール材15の下に位置するアレイ基板11側の構造を除き、比較例と同様な構造となっている。すなわち、アレイ基板11の上に平坦化膜13と配向膜(第1の配向膜)14aが形成されている。また、対向基板12の上に樹脂で形成される遮光層(BM)16と配向膜(第2の配向膜)14bと柱状スペーサ17が形成されている。配向膜14aおよび配向膜14bは、ラビング処理または光配向処理される。柱状スペーサ17は、断面が台形形状であり、シール材15の内側に隣接して配置される。アレイ基板11および対向基板12のそれぞれの配向膜14a、14bは、液晶層20を挟持するため、シール材15で貼り合わされている。平坦化膜13は、例えば有機絶縁層で形成される。
【0012】
図3に示すように、シール材15の下に位置するアレイ基板11の平坦化膜13に逆L字型(鉤型)の溝を形成し対向配置することにより門状を形成し、内部を凸状にする。平坦化膜13に形成した溝(第1の溝)の側面の下部にも溝(第2の溝)が形成される。平坦化膜13の上および平坦化膜13の溝の中に配向膜14aが形成されている。この溝の中にシール材15を充填し硬化すれば、シール材15が凸状となり、シール材15を配向膜14aが形成された平坦化膜13と噛み合わせることで、シール材15とアレイ基板側の配向膜14aとの密着面積の増加及び、剥離強度を向上させることができる。
【0013】
次に実施例に係る表示パネルの製造方法について、図4A図4Dを参照して説明する。
図4Aから図4Cは実施例に係る表示パネルの製造方法を示す断面図である。図4D図4Cを拡大した断面図である。
図4Aに示すように、ガラス基板41の上にシリコン窒化膜(SiN)42とシリコン酸化膜(SiO)43が形成される。シリコン酸化膜(SiO)43の上にTAT(Ti/TiN/Al/Ti)膜18をパターン形成する。TAT膜18はAl膜18aとTi膜18bとTi/TiN膜18cで構成される。TAT膜18はソース線の形成と同時に行うことができる。
図4Bに示すように、平坦化膜13をTAT膜18の上にパターン形成する。
図4Cおよび図4Dに示すように、TAT膜18をウエットエッチングでAl膜18aを剥離する。平坦化膜13の下にTi膜18bとTi/TiN膜18cに挟まれた溝44が形成される。溝44の横方向に長さをd、溝44の高さをhとすると、dはh/2〜h程度である。hはAl膜18aの厚さ(数百nm)程度である。
【0014】
なお、図4A図4B図4Cおよび図4Dに示すプロセスは、比較例に係る表示パネルの製造プロセスを用いることができるので、プロセスを増加する必要がない。
また、溝44は、遮光膜であるTi膜18bとTi/TiN膜18cとAl膜18aに囲まれているので、溝44内に充填される配向膜14aには、シール材15の仮硬化の際の紫外線(UV光)が当たらないので、配向膜の強度を保つことができる。
さらに、配向膜14aをアレイ基板11の全面に塗布することができるので、シール材15の領域の全部または一部に配向膜14aを形成しないようにする必要がなくなるので、製造が容易になり、額縁の狭小化に対応することができる。
【0015】
<変形例1>
実施例に係る表示パネルの変形例(変形例1)について、図5を用いて説明する。
図5は変形例1に係る表示パネルの、図1に示されるB−B’線に対応するシール領域の断面図である。
変形例1に係る表示パネルPNLBは、シール材15の下に位置するアレイ基板11側の構造を除き、実施例と同様な構造となっている。すなわち、アレイ基板11の上に平坦化膜13と配向膜14aが形成されている。また、対向基板12の上に樹脂で形成される遮光層(BM)16と配向膜14bと柱状スペーサ17が形成されている。柱状スペーサ17は、断面が台形形状であり、シール材15の内側に隣接して配置される。アレイ基板11および対向基板12のそれぞれの配向膜14a、14bは、液晶層20を挟持するため、シール材15で貼り合わされている。平坦化膜13は、例えば有機絶縁膜である。
【0016】
図5に示すように、シール材15の下に位置するアレイ基板11の平坦化膜13に複数のスリット状の溝(第3の溝、第4の溝)を形成する。なお、平坦化膜13に形成するスリット状の溝(第1の溝)は1つであってもよい。平坦化膜13の上および平坦化膜13の溝の中に配向膜14aが形成されている。この溝の中にシール材15を充填し硬化すれば、シール材15とアレイ基板側の配向膜14aとの密着面積の増加及び、剥離強度を向上させることができる。
【0017】
平坦化膜13をパターン形成するだけであるので、実施例と同様に、プロセスを増加する必要がない。また、スリット状溝に充填される配向膜14aの側面には、シール材15の仮硬化の際の紫外線(UV光)が当たらないので、配向膜の強度を保つことができる。さらに、実施例と同様に、配向膜14aをアレイ基板11の全面に塗布することができるので、シール材15の領域の全部または一部に配向膜14aを形成しないようにする必要がなくなるので、製造が容易になり、額縁の狭小化に対応することができる。
【0018】
<変形例2>
実施例に係る表示パネルの変形例(変形例2)について、図6を用いて説明する。
図6は変形例2に係る液晶表示パネルの、図1に示されるB−B’線に対応するシール領域の断面図である。
変形例2に係る表示パネルPNLCは、シール材15が位置する対向基板12側の構造を除き、比較例と同様な構造となっている。すなわち、アレイ基板11の上に平坦化膜13と配向膜14aが形成されている。また、対向基板12の上に樹脂で形成される遮光層(BM)16と配向膜14bと柱状スペーサ17が形成されている。柱状スペーサ17は、断面が台形形状であり、シール材15の内側に隣接して配置される。アレイ基板11および対向基板12のそれぞれの配向膜14a、14bは、液晶層20を挟持するため、シール材15で貼り合わされている。平坦化膜13は、例えば有機絶縁膜である。
【0019】
図6に示すように、シール材15が位置する対向基板12に断面が逆台形形状の柱状スペーサ17aを配置して、シール材15の密着面積を増やし、柱状スペーサ17aとシール材15が噛み合うことで剥がれ難くすることが可能になる。すなわち、実施例や変形例1と異なり、対向基板12側の配向膜14bとシール材15の剥離強度を向上させることができる。なお、柱状スペーサ17aは、図6のような断面が逆台形形状である必要はなく、アレイ基板11側のスペーサの断面の幅が対向基板12側の断面の幅がよりも広い部分が存在し、シール材15の密着面積を増やし、スペーサとシール材15が噛み合う部分があればよい。さらに、配向膜14bを対向基板12の全面に塗布することができるので、シール材15の領域の全部または一部に配向膜14bを形成しないようにする必要がなくなるので、製造が容易になり、額縁の狭小化に対応することができる。
【0020】
変形例2を実施例または変形例1と組み合わせることにより、アレイ基板11側の配向膜14aおよび対向基板12側の配向膜14bの両方と、シール材15との密着面積の増加及び、剥離強度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0021】
10・・・表示装置
11・・・TFT基板(アレイ基板)
12・・・CF基板(対向基板)
13・・・平坦化膜(有機絶縁膜)
14a、14b・・・配向膜
15・・・シール材
16・・・遮光層(ブラックマトリクス)
17、17a・・・柱状スペーサ
18・・・TAT(Ti/TiN/Al/Ti)膜
19・・・アクティブ領域
20・・・液晶層
41・・・ガラス基板(アレイ基板)
42・・・シリコン窒化膜(SiN)
43・・・シリコン酸化膜(SiO
BKL・・・バックライト
DRV・・・半導体集積駆動回路
PNL、PNLA、PNLB、PNLC、PNLR・・・表示パネル
POL1、POL2・・・偏光板
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6