(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る血糖管理支援方法について、それを実施する血糖管理支援装置、システム及びプログラムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
[血糖管理支援システム10の全体構成図]
図1は、この実施形態に係る血糖管理支援システム10の全体構成図である。血糖管理支援システム10は、基幹のローカルエリアネットワーク(以下、基幹LAN12)と、病棟内に構築された病棟LAN14と、診察棟内に構築された診察棟LAN16とから構成される。基幹LAN12は、レイヤ2スイッチ(以下、単に「スイッチ」18、20)を介して、病棟LAN14と相互に接続されている。また、基幹LAN12は、スイッチ18、22を介して、診察棟LAN16と相互に接続されている。
【0020】
基幹LAN12には、血糖管理に供されるデータを記憶する第1サーバ装置24と、電子カルテの作成に供されるデータを記憶する第2サーバ装置26とがそれぞれ接続されている。
【0021】
第1サーバ装置24内には、血糖値の測定に関する情報(測定データ60;
図2、
図4参照)を蓄積したデータベース(以下、血糖情報DB28)が構築されている。また、第2サーバ装置26内には、患者に関する情報(患者データ62;
図2参照)を蓄積したデータベース(以下、患者DB30)、及び、オーダ情報を蓄積したデータベース(以下、オーダ情報DB32)がそれぞれ構築されている。
【0022】
なお、データベースのアーキテクチャ(例えば、データの構造・種類、サーバ装置の使用数)は本図例に限られず、種々の設計を採用し得る。例えば、第2サーバ装置26内には、患者DB30、オーダ情報DB32の他、食事に関する情報を蓄積したデータベース(食事情報DB)が構築されていてもよい。
【0023】
病棟LAN14には、病棟内のユーザ(例えば、看護師)が利用可能なクライアント装置34が接続されている。クライアント装置34は、携帯型の血糖計36との間での有線又は無線によるデータ通信、バーコードの読み取り動作、又はマニュアル操作を介して、測定データ60(
図4)のうちの全部又は一部のデータを取得する。
【0024】
診察棟LAN16には、診察棟内のユーザ(例えば、医師)が利用可能なクライアント装置38と、該クライアント装置38からの指示に応じて診察情報を印刷するプリンタ40が接続されている。
【0025】
なお、クライアント装置34、38は、患者の血糖管理に関する可視情報を出力することで当該血糖管理を支援する血糖管理支援装置として機能する。具体的には、クライアント装置34、38は、外部装置からのデータを加工して、血糖値の測定に関する「測定記録簿」又はインスリンの投与に関する「指示記録簿」(以下、総称して「記録簿」)を作成・可視表示する。以下、本明細書中において、このペーパーレス化された記録簿のことを「電子記録簿」という。
【0026】
[クライアント装置38の電気ブロック図]
図2は、
図1に示すクライアント装置38の電気的なブロック図である。クライアント装置38は、制御部50と、通信I/F52と、入力部54と、表示部56(表示装置)と、メモリ58(記憶媒体)を備えるコンピュータである。なお、別のクライアント装置34に関しても、
図2に示す装置構成と同一の又は異なる構成を採ってもよい。
【0027】
通信I/F52は、外部装置からの電気信号を送受信するインターフェース(I/F)である。これにより、クライアント装置38は、第1サーバ装置24(
図1)から各種データを取得可能であり、第2サーバ装置26(
図1)に各種データを供給可能である。
【0028】
入力部54は、マウス、トラックボール、キーボード、タッチセンサ等の種々の入力デバイスで構成される。表示部56は、液晶、有機EL(electro-luminescence)、陰極線管(CRT)を含む、種々の方式を採用する出力デバイスで構成される。ここで、入力部54による入力機能及び表示部56による表示機能を組み合わせることで、ユーザ・インターフェースを実現する。
【0029】
メモリ58は、制御部50が各構成要素を制御するのに必要なプログラム及びデータ等を記憶している。本図例では、測定データ60及び患者データ62(詳細は、
図4を参照)がそれぞれ格納されている。
【0030】
メモリ58は、非一過性であり、且つ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で構成されてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、フラッシュメモリ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、この記憶媒体は、短時間に且つ動的にプログラムを保持するものであっても、一定時間プログラムを保持するものであってもよい。
【0031】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって構成されている。制御部50は、メモリ58に格納されたプログラムを読み出し実行することで、モード判別部64、投与条件決定部66、及び出力用データ作成部68の各機能を実現可能である。
【0032】
モード判別部64は、電子記録簿を表示させるモードの種類を判別する。モードの種類としては、測定等に関与する看護師の閲覧に供される「ラウンドモード」、診断等に関与する医師の閲覧に供される「カルテモード」を想定する。ここで、「ラウンド」とは、血糖値の測定及び/又はインスリンの投与(処方)からなる作業単位を意味する。
【0033】
投与条件決定部66は、測定データ60及び患者データ62に基づいて、インスリンの投与条件を決定する。具体的には、投与条件決定部66は、インスリンの投与量(「実際投与量」という場合がある)の算出に供される情報(以下、算出情報)を取得する算出情報取得部70、及び、該算出情報に基づいて患者毎・時間区分毎の投与量を算出する投与量算出部72を備える。
【0034】
出力用データ作成部68は、電子記録簿の出力処理に供される出力用データを作成する。具体的には、出力用データ作成部68は、電子記録簿を可視化するための画像(以下、記録簿画像という)を作成する記録簿画像作成部74、及び、フォーム画面100(
図6、
図7)、120(
図8)を含む各種画面を作成する画面作成部76を備える。
【0035】
[血糖管理支援システム10の動作]
この実施形態に係る血糖管理支援システム10は、以上のように構成される。続いて、電子記録簿の作成・表示に関わるクライアント装置34、38の動作について、
図3のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0036】
<基本的な動作:ラウンドモードの例>
最初に、「ラウンドモード」を例に挙げて、病棟LAN14(
図1)に接続されたクライアント装置34の動作を中心に説明する。
【0037】
ステップS1において、制御部50は、電子記録簿を表示する旨の指示を受け付けたか否かを判定する。まだ指示がないと判定された場合(ステップS1:NO)、当該指示を受け付けるまでステップS1に留まる。一方、指示があった場合(ステップS1:YES)、次のステップ(S2)に進む。
【0038】
ステップS2において、モード判別部64は、現時点で選択されている表示モードの種類を判別する。具体的には、モード判別部64は、クライアント装置34にインストールされたアプリケーション・ソフトウェアの起動状態により表示モードを判別する。表示モードが「ラウンドモード」であると判別された場合(ステップS2:ラウンドモード)、ステップS3aに進む。
【0039】
ステップS3aにおいて、クライアント装置34は、特定エリア内の患者に関するデータを取得する。この取得に先立ち、クライアント装置34は、第1サーバ装置24及び第2サーバ装置26に向けてデータの要求信号を送信する。そうすると、第1サーバ装置24は、クライアント装置34の識別情報(例えば、IPアドレス)に基づき管轄エリア及びそのエリアに属する患者を特定し、所在情報(例えば「西病棟4階409号室」)と紐付けた状態下に、患者毎の測定データ60をクライアント装置34に向けて送信する。同様に、第2サーバ装置26は、クライアント装置34の識別情報に基づき管轄エリア及びそのエリアに属する患者を特定し、患者毎の患者データ62をクライアント装置34に向けて送信する。
【0040】
図4は、
図1に示す血糖情報DB28にて定義されるデータ構造を示す概略説明図である。
【0041】
患者データ62には、患者を識別するための患者ID80、読み仮名で表記された患者氏名81、インスリン療法区分82、測定の予定時刻である血糖値測定予定時刻83、スライディングスケール情報84、患者の測定履歴を示す患者測定履歴データ85、患者の食事量情報(図示しない)が含まれる。
【0042】
ここで、インスリン療法区分82は、血糖値の測定作業及びインスリンの投与作業の組み合わせ属性を示すパラメータである。これにより、[1]測定作業及び投与作業の両方を実行、[2]測定作業のみを実行、[3]投与作業のみを実行、のうちいずれか1つを選択可能である。
【0043】
また、スライディングスケール情報84は、血糖管理の一手法であるスライディングスケール法(以下「SS」と略記する場合がある)に関する情報である。この情報の詳細については後述する。
【0044】
測定データ60には、患者を識別するための患者ID86、血糖計36の使用者(オペレータ)を識別するための使用者ID87、血糖値の測定日時88、測定により得られた血糖値データ89、及び、図示しないチップの製造ロットを特定するチップ製造ロット番号90が含まれる。
【0045】
本図から理解されるように、測定データ60は、患者ID86と一致する患者ID80を含む患者データ62に対応付けられる。クライアント装置34が測定データ60及び患者データ62を取得した後、次のステップ(S4)に進む。
【0046】
ステップS4において、算出情報取得部70は、ステップS3aにより取得された測定データ60及び患者データ62のうち、インスリンの投与量の算出に供される算出情報を取得する。算出情報取得部70は、例えば、患者データ62の一部であるスライディングスケール情報84を、算出情報として取得する。
【0047】
図4に示すように、スライディングスケール情報84は、指示投与量91、血糖値を考慮した第1計算情報92、及び、食事量を考慮した第2計算情報93から構成される。ここで、第1計算情報92は、血糖値ベースのスライディングスケール法の名称である方法名称94と、血糖値との対応関係を示すテーブル値(以下、血糖値SSテーブル95)を含む。また、第2計算情報93は、食事量ベースのスライディングスケールの実施要否を示す食事量SSフラグ96と、食事量との対応関係を示すテーブル値(以下、食事量SSテーブル97)を含む。
【0048】
ステップS5において、投与量算出部72は、ステップS4で取得された算出情報に基づいて、患者毎・時間区分毎のインスリンの投与量を算出する。以下、具体的な算出方法について
図5を参照しながら説明する。
【0049】
図5は、
図4の第1計算情報92の一形態であるテーブルデータを示す図である。本図に示す3種類のテーブルは、上から順に、「A1法」、「A2法」、「A3法」(いずれも「A法」に属する)において使用される。ここで、「A法」とは、指示投与量及び血糖値SSを組み合わせた演算式、具体的には「(実際投与量)=(指示投与量)+(血糖値SS)」に従って、実際投与量(インスリン注射量)を決定する方法である。
【0050】
なお、上記した演算式は、実際投与量を算出する根拠を示す情報(以下、根拠情報という)であり、エビデンスに基づく医療(EBM;Evidenced Based Medicine)を遂行する医療従事者にとって有用である点に留意する。
【0051】
ステップS6において、記録簿画像作成部74は、ステップS5で算出された投与量に関する情報(以下、投与量情報)を含む記録簿を示す記録簿画像102(第1画像)を作成する。なお、現時点で選択されている表示モードの種類に応じて、フォームが異なる画像を作成する点に留意する。
【0052】
作成された記録簿画像102(及び、後述する
図8の記録簿画像122)は、投与量情報及び投与量の根拠情報を情報単位として、1日の時間区分毎に並べて配置した記録簿を示す画像である。この実施形態では、記録簿画像102は、情報単位として更に患者の血糖値を含む画像である。
【0053】
ステップS7において、制御部50は、ステップS6で作成された記録簿画像102を表示するための表示処理を実行する。この表示に先立ち、画面作成部76は、フォーム画面100(記録簿画像102を含む)の表示用データを作成した後、該表示用データを表示部56に向けて出力する。これにより、表示部56には、フォーム画面100を含むウィンドウW1が表示される。
【0054】
図6に示すように、フォーム画面100上には、テーブル形式で表記された記録簿画像102が配置されている。記録簿画像102は、病棟の部屋番号を示す欄104、患者氏名81(
図4)を示す欄105、上段(インスリン)及び下段(血糖値)の項目を示す欄106、1日分の投与条件及び測定結果を示す欄107からなる。
【0055】
欄107は、時間区分毎の小欄108a〜108g、より詳細には、「朝/食前」の小欄108a、「朝/食後」の小欄108b、「昼/食前」の小欄108c、「昼/食後」の小欄108d、「夜/食前」の小欄108e、「夜/食後」の小欄108f、及び「就寝前」の小欄108gにより構成される。
【0056】
ステップS8において、制御部50は、ステップS7にて実行されている表示処理を終了する旨の指示を受け付けたか否かを判定する。まだ指示がないと判定された場合(ステップS8:NO)、次のステップ(S9)に進む。
【0057】
ステップS9において、制御部50は、測定データ60及び患者データ62を更新するか否かを判定する。データの更新条件は、例えば、前回のデータ更新時から所定時間が経過した場合、或いは、第1サーバ装置24(又は第2サーバ装置26)からデータ更新があった旨の通知を受けた場合でもよい。
【0058】
まだ更新しないと判定された場合(ステップS9:NO)、ステップS7に戻って、以下、ステップS7〜S9を順次繰り返す。一方、更新する場合(ステップS9:YES)、ステップS2に戻って、以下、ステップS2〜S9を順次繰り返す。ここで、患者「○○太郎」に対する「朝/食前」の測定作業及び投与作業が完了し、血糖情報DB28及び患者DB30(いずれも
図1参照)が更新されたことを想定する。
【0059】
この場合、算出情報取得部70は更新された算出情報を取得し(ステップS4)、投与量算出部72は投与量を新たに算出し(ステップS5)、その後、記録簿画像作成部74は記録簿画像102を新たな作成する(ステップS6)。これにより、表示されたフォーム画面100(
図6)は、
図7のフォーム画面100に遷移される。
【0060】
図7に示すように、記録簿画像102の二段セル110の上段には、薬剤の種類(本図例では「薬剤D」)を示す文字情報111、インスリンの実際投与量(本図例では「8」)を示す投与量情報112、及び根拠情報113(本図例では「8=6+2」)が新たに表記される。また、二段セル110の下段には、実際に測定された血糖値(本図例では「180」)を示す測定情報114が表記される。
【0061】
このように、記録簿画像102は、所定の管轄下にある各患者及び1日の各時間区分を行列状に配置したフォームを有する。これにより、作業者(例えば、看護師)は、記録簿画像102の内容を視認することで、担当する患者毎の作業進捗を一見して把握できる。
【0062】
なお、記録簿画像作成部74は、血糖値の測定結果及び/又はインスリンの実際投与量に応じて、二段セル110の上段及び/又は下段の各種情報の表示形態を異ならせた記録簿画像102を作成・更新してもよい。例えば、過去の平均データに対して統計的に有意差がある実際投与量、或いは、予め設定された管理範囲から逸脱した血糖値を表示する場合、他の表示形態と比較して相対的に強調された投与量情報112等を表示してもよい。
【0063】
この表示形態には、線幅、フォントを含む形状的特徴の変更、色の変更や、視覚効果(例えば、点滅表示、揺動表示等)の付与が含まれてもよく、両者の画像に対して相対的に視認差を設けることができれば手段は問わない。
【0064】
図3のステップS8に戻って、制御部50は、表示処理を終了する旨の指示を受け付けたと判定した場合(ステップS8:YES)、ラウンドモードにおける血糖管理支援システム10の動作が終了する。
【0065】
<カルテモードの例>
続いて、「カルテモード」を例に挙げて、診察棟LAN16(
図1)に接続されたクライアント装置38の動作を中心に説明する。
【0066】
図3のステップS1に関しては、上述した動作と同様であるため説明を省略する。ステップS2において、モード判別部64は、現時点で選択されている表示モードが「カルテモード」であると判別し(ステップS2:カルテモード)、ステップS3bに進む。
【0067】
ステップS3bにおいて、クライアント装置38は、特定患者に関するデータを取得する。この取得に先立ち、クライアント装置38は、第1サーバ装置24及び第2サーバ装置26に向けてデータの要求信号を送信する。そうすると、第1サーバ装置24は、クライアント装置38を介して指示された特定患者の測定データ60をクライアント装置38に向けて送信する。同様に、第2サーバ装置26は、クライアント装置38を介して指示された特定患者の患者データ62及びオーダ情報をクライアント装置38に向けて送信する。
【0068】
算出情報取得部70は、測定データ60及び患者データ62のうち、インスリンの投与量の算出に供される算出情報を取得する(ステップS4)。投与量算出部72は、取得された算出情報に基づいて、時間区分毎のインスリンの投与量を算出する(ステップS5)。記録簿画像作成部74は、算出された投与量を含む記録簿画像122(第2画像)を作成する(ステップS6)。
【0069】
ステップS7において、制御部50は、ステップS6で作成された記録簿画像122を表示するための表示処理を実行する。この表示に先立ち、画面作成部76は、フォーム画面120(記録簿画像122を含む)の表示用データを作成した後、該表示用データを表示部56に向けて出力する。これにより、表示部56には、フォーム画面120を含むウィンドウW2が表示される。
【0070】
図8に示すように、フォーム画面120上には、複数種類の書式が組み合わされた記録簿画像122が配置されている。記録簿画像122は、患者氏名81(
図4)を示す欄124、実際投与量の演算式を示す欄125、インスリンの指示記録簿を示す欄126、食前での投与の有無に関するチェック欄127、血糖値の測定指示簿を示す欄128からなる。
【0071】
このように、記録簿画像122は、各時間区分及び各日付を行列状に配置したフォーム(具体的には、欄126)を有する。これにより、作業者(例えば、医師)は、記録簿画像122の内容を視認することで、特定患者の処方スケジュールを一見して把握できる。
【0072】
なお、記録簿画像作成部74は、各作業の進捗に応じて、欄126内の各種情報の表示形態を異ならせた記録簿画像122を作成・更新してもよい。例えば、血糖値測定予定時刻83(
図4)から一定時間経過した後に測定がまだ完了していない場合、他の表示形態と比較して相対的に強調された警告表示を行ってもよい。
【0073】
ところで、記録簿画像122の右上方には、[プリント]と表記されたボタン130が配置されている。入力部54(
図2)を介したクリック操作に応じて、記録簿画像122を印刷可能に構成されている。より詳細には、出力用データ作成部68は、記録簿画像122の印刷用データを作成した後、該印刷用データをプリンタ40(
図1)に向けて出力する。これにより、プリンタ40は、診察棟LAN16を介して受け付けた印刷用データに基づいて、記録簿画像122が印刷されたハードコピーを出力する。
【0074】
記録簿画像122の各欄125〜127には、内容を変更するための図示しないユーザコントロール(プルダウンメニュー・コンボボックス等)が配置されている。例えば、欄125内での所定の操作に応じて、患者データ62のうちスライディングスケール情報84(
図4)が変更される。
【0075】
図9Aは、
図5における第1計算情報92の別形態を示す図である。本図に示す3種類のテーブルは、上から順に、「B1法」、「B2法」、「B3法」(いずれも「B法」に属する)において使用される。ここで、「B法」とは、指示投与量を使用しない演算式、具体的には「(実際投与量)=(血糖値SS)」に従って、実際投与量(インスリン注射量)を決定する方法である。なお、方法名称94(
図4)はこれらに限られず、「X法」(2回投与)を含む種々の手法を採用できる。
【0076】
図9Bは、
図4の第2計算情報93の一形態であるテーブルデータを示す図である。食事量がゼロの場合に「0%」(乗数は0.0)、食事量が半量の場合に「50%」(乗数は0.5)、食事量が全量の場合に「100%」(乗数は1.0)がそれぞれ割り当てられている。食事量ベースのスライディングスケールを「A法」に適用した場合、指示投与量、血糖値SS及び食事量SSを組み合わせた演算式は、「(実際投与量)=(指示投与量)+(血糖値SS)×(食事量SS)」となる。
【0077】
図3のステップS8に戻って、制御部50は、表示処理を終了する旨の指示を受け付けたと判定した場合(ステップS8:YES)、カルテモードにおける血糖管理支援システム10の動作が終了する。
【0078】
[血糖管理支援システム10の具体的な運用例]
続いて、血糖管理支援システム10の具体的な運用例について、
図10A〜
図13Dを参照しながら詳細に説明する。ここでは、病室とナースステーションが地理的に離れている場合を想定する。
【0079】
<ラウンドモードにおける作業形態の一例>
ラウンドモードに関わる看護師150の作業形態の一例について、
図10A〜
図11Bを参照しながら説明する。インスリンの投与作業は、多くの場合、患者が食事を採取する前に行われる。そこで、ユーザとしての看護師150は、作業に先立ち、クライアント装置34が設置された場所(例えば、ナースステーション)にて前準備を行う。
【0080】
図10Aに示すように、看護師150は、クライアント装置34と電気的に接続された非接触リーダライタ152に血糖計36を近接又は接触させる。そうすると、クライアント装置34及び血糖計36は、ケーブル154を介したデータの送受信動作を自動的に行う。
【0081】
看護師150は、このクライアント装置34と血糖計36を含む各種器具を、患者156の待機場所(例えば、病室)に搬入する。
【0082】
図10Bに示すように、看護師150は、血糖計36が備える読み取り機能を用いて、患者156に付されたバーコード158及び看護師150に付されたバーコード160を順次読み取る。その後、看護師150は、血糖計36を非接触リーダライタ152に近接又は接触させる。
【0083】
ところで、チップケース162には、病室の人数分以上のチップ164が収納されている。看護師150は、血糖計36を用いて、チップケース162の外側に形成されたバーコード166を読み取る。その後、看護師150は、血糖計36を非接触リーダライタ152に近接又は接触させる。
【0084】
そして、看護師150は、1つのチップ164が装着された血糖計36を用いて、食事前における患者156の血糖値を測定し、血糖計36を非接触リーダライタ152に近接又は接触させる。
【0085】
図11Aに示すように、看護師150は、インスリン注射器168を用いて、患者156の体内にインスリンを順次投与する。看護師150は、クライアント装置34が備える表示画面に表示されるスライディングスケール情報84を見ることで、患者156の投与条件を確認できる。
【0086】
複数の患者156、157が病室にいる場合、看護師150は、バーコード158の読み取り操作、チップ164の交換作業、血糖値の測定作業、及びインスリンの投与作業を順次行う。
【0087】
図11Bに示すように、クライアント装置34及び血糖計36は、ケーブル154を介したデータの送受信動作を自動的に行う。具体的には、クライアント装置34は、血糖計36から測定データ60を取得した後、該測定データ60を第1サーバ装置24側に供給する。これにより、患者156等の血糖情報が血糖情報DB28に蓄積される。
【0088】
患者156等が食事を摂取した後、看護師150は、食事前(
図10B参照)と同様に、患者156等の血糖値を順次測定することで、1回分のラウンドが終了する。
図11Bの場合と同様に、クライアント装置34は、血糖計36からの測定データ60を第1サーバ装置24側に供給する。
【0089】
<記録簿画像102の遷移例>
ところで、看護師150は、上記した作業を行う際に、クライアント装置34にインストールされたアプリケーションを起動し、「ラウンドモード」を選択しておく。この実施形態では、インスリン療法区分82に応じて、記録簿画像102の表示形態を異ならせる。
【0090】
図12A〜
図12Dは、測定作業及び投与作業の両方を実行する場合における画像遷移図である。これらの図は、記録簿画像102のうち二段セル110の部分拡大図に相当し、後述する
図13A〜
図13Dについても同様である。
【0091】
図12Aに示すように、初期状態にて、二段セル110の上段には、文字情報111、及び基準となる投与量情報112が表記される。その後、看護師150は、食事前における患者156の血糖値を測定し、インスリンの投与作業に先立ち、患者156に付されたバーコード158を読み取ったとする。
【0092】
投与量算出部72は、読み取り動作に応じて、測定時点(
図4の測定日時88)と読み取り時点(現在時点)を比較し、読み取り時点から遡って所定の時間範囲内に測定された血糖値データ89(
図4)を取得し、この血糖値を用いてインスリンの投与量を算出する。
【0093】
図12Bに示すように、二段セル110の上段の投与量情報112は、スライディングスケール情報84、血糖値等を更に考慮した情報に変更される。また、二段セル110の下段には、食事前に測定された血糖値(180)を示す測定情報114が新たに表記される。その後、看護師150は、患者156の体内にインスリンを投与したとする。
【0094】
図12Cに示すように、二段セル110の上段には、看護師150がインスリンを投与した旨の確認印を示す投与確認マーク115が新たに表記される。投与確認マーク115は、本図例ではチェックマークであるがこの形態に限られず、看護師150の識別情報(氏名、苗字、ニックネーム、使用者ID87)であってもよい。また、マークの表示に代わって、投与の有無によって相対的に視認差を設けるようにしてもよい。
【0095】
図12Dに示すように、食事後の測定があった場合、二段セル110の下段には、食事後に測定された血糖値(210)を示す測定情報116が新たに表記される。
【0096】
図13A及び
図13Bは、測定作業のみを実行する場合における画像遷移図である。
図13Aに示すように、初期状態にて、二段セル110の上段には斜線が付されており、この部位に何らの文字情報を表示しない。その後、
図13Bに示すように、測定作業の進捗に応じて測定情報114、116が順次表記される。
【0097】
図13C及び
図13Dは、投与作業のみを実行する場合における画像遷移図である。
図13Cに示すように、初期状態にて、二段セル110の上段には、文字情報111、投与量情報112、及び根拠情報113が表記される。なお、二段セル110の下段には斜線が付されており、この部位に何らの文字情報を表示しない。その後、
図13Dに示すように、投与作業の進捗に応じて投与確認マーク115が表記される。
【0098】
[この実施形態の効果]
以上のように、クライアント装置34、38は、患者156、157の血糖管理に関する可視情報を出力することで血糖管理を支援する血糖管理支援装置である。そして、インスリンの投与量の算出に供される算出情報(スライディングスケール情報84)を取得する算出情報取得部70と、算出情報に基づいて投与量を算出する投与量算出部72と、投与量に関する投与量情報112、及び該投与量を算出する根拠を示す根拠情報113を情報単位として、1日の時間区分毎に並べて配置した記録簿を示す記録簿画像102、122を作成する記録簿画像作成部74と、記録簿画像102、122を表示する表示部56を備える。
【0099】
また、血糖管理支援システム10は、上記したクライアント装置34、38の他、患者156、157の血糖値を測定する血糖計36と、血糖計36を用いて測定された血糖値を患者156、157と対応付けて蓄積する血糖情報DB28を備える。
【0100】
このように構成したので、作業者は、インスリンの投与量を算出する根拠を時間区分毎に一見して把握できる。これにより、患者に対してインスリン療法を遂行する際に、きわめて有用な情報を作業者に提示可能であり、その結果、エビデンスに基づく医療を実践できる。
【0101】
[補足]
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0102】
この実施形態では、「ラウンドモード」及び「カルテモード」を独立して取り扱ったが、これらを相互に連携(リンク)させてもよい。例えば、表示部56は、記録簿画像102(
図7)を介した所定の入力操作、例えば、カーソル118が欄105を指示した状態でのクリック操作に応じて、記録簿画像122(
図8)を表示してもよい。これと併せて又はこれとは別に、表示部56は、記録簿画像122(
図8)を介した所定の入力操作に応じて記録簿画像102(
図7)を表示してもよい。
【0103】
この実施形態では、根拠情報113を演算式で表現しているが、表現形態はこれに限られず、例えば、図表、グラフ、その他の表現手法を種々採用できる。
【0104】
この実施形態では、スライディングスケール法に関して説明したが、算出方法はこれに限られず、例えばアルゴリズム法(責任インスリン方式)にも適用できる。
【0105】
この実施形態では、クライアント装置34及び血糖計36は別個の装置であるが、これらを一体にしたコンパクトな装置であってもよい。これにより、病院内の作業性をより向上させることができる。