【実施例】
【0025】
[実施例1]
以下に示す材料を用いて表1に示す配合割合のポリマーセメントグラウトモルタルを、グラウトミキサを用い2分間混合することで12種類(実施品1〜7及び参考品1〜5)作製した。
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント,太平洋セメント社製,密度 3.16 g/cm
3
減水剤1: ポリカルボン酸系粉末高性能減水剤,太平洋マテリアル社製,NF-200(商品名)
減水剤2: ナフタレンスルホン酸系粉末高性能減水剤,花王社製,マイティ100(商品名)
高炉スラグ微粉末: 新日鉄住金社製,スピリッツ4000(商品名),ブレーン比表面積 4000 cm
2/g
フライアッシュ: 常磐火力産業社製,JIS II種
メタカオリン: BASF社製,MetaMax HRM(商品名),平均粒径 1.2μm
シリカフューム: チェルヤビンスク製,フェロシリコン副生シリカフューム,BET比表面積 19 m
2/g
膨張材1:低ブレーンタイプ 太平洋マテリアル製石灰系膨張材,ブレーン比表面積 2300 cm
2/g
膨張材2:高ブレーンタイプ 太平洋マテリアル製石灰系膨張材,ブレーン比表面積 4600 cm
2/g
無水石膏:フッ酸副生II型無水石膏,ブレーン比表面積 7000 cm
2/g
無水硫酸ナトリウム: 一級試薬
ギ酸カルシウム:一級試薬
酢酸カルシウム:一級試薬
乳酸カルシウム:一級試薬
尿素:一級試薬
細骨材1(≦2.5mm):愛知県三河産珪砂,絶乾砂,F.M.;2.5
准粗骨材(2.5〜5.0mm):茨城県鹿島産珪石,絶乾砂
粗骨材1,2:茨城県桜川産砕石,表乾密度 2.64 g/cm
3
増粘剤1:セルロースエーテル,松本油脂社製,マーポローズ90MP-4T(商品名)
増粘剤2:スターチエーテル BASF社製,Starvis SE25F (商品名)
繊維: 東和織物社製,タフバインダー(商品名)5mm
セルロース微粉末:レッテンマイヤー社製,Arbocel PWC500 (商品名)
ポリマーディスパージョン1:スチレンアクリル系再乳化型ポリマーディスパージョン,BASF社製,Acronal S430P(商品名)
ポリマーディスパージョン2:SBR系ポリマーエマルション,太平洋マテリアル製,太平洋CX-B(商品名),不揮発成分45質量%
減水剤3:ポリカルボン酸系高性能減水剤(液体),太平洋マテリアル製,コアフローNF-200L(商品名)
【0026】
【表1】
【0027】
作製したポリマーセメントグラウトモルタルについて、以下に示す品質評価試験を行った。その結果を表2に示した。
<品質試験方法>
・流動性試験
JIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準じて、スランプフローを測定した。
・准粗骨材の分布(骨材沈降の有無確認、材料の不分離性の確認)
練上り直後に土木学会規準JSCE-F 522に定めるブリーディング測定用のポリエチレン袋に20cm高さまで断面修復材(ポリマーセメントグラウトモルタル)を流し込む。30分間静置の後、10cm高さにて袋を捻じり上下を分ける。袋を切り出しそれぞれの中身を取り出し重量を測定する。水篩いにて粒径2.5〜5.0mmの骨材を洗い出し、含有量の差を評価した。上下の差が5%以上を以って骨材の分布に均一性が欠如していると判定した。
・密実性評価、着試験用試験体の作製
下面をサンドブラストしたコンクリート板(長さ500×幅300×幅100mm)に下方に、注入箇所が100mm厚となるよう塗装合板による型枠を設置、注入孔を下方の一角にとり、空気抜き孔をその対角となる界面にとる。断面修復材を充填し、施工後3日で型枠を除去する。その後屋外にて材齢28日まで置いた後、φ50mmのコアドリルにてコアリングし、密実性評価と付着試験に供した。
・密実性評価
上述のコア試験体を顔料で青く着色した水に24時間浸漬する。その後割裂し、付着界面部分に着色した隙間幅をクラックゲージにて読み取る。0.05mm以上を以って一体に施工されていると評価した。
・付着試験
上記のコア試験体に鋼製治具を取り付けてアムスラー型万能試験機にて付着強度を測定。付着強度は1.5 N/mm
2以上を以って合格とし、その際の破断箇所の評価は、躯体コンクリート/断面修復材界面の破断を非とする。
・負荷試験体
厚さ200mm,幅300mm,長さ2200mm,使用鉄筋D10 SD345,鉄筋比0.5とした鉄筋コンクリート製模擬スラブを基材とする。長さ方向の中央部800mmの下面厚さ100mmを切欠き、表面をサンドブラスト処理を行う。同箇所にそれぞれの断面修復材にて断面修復を行う。屋外にて材齢3か月まで置いた後、試験に供した。
・負荷試験
同試験体を断面修復部を下側とし、支店間距離2000mmとして設置する。その中央部に振幅0.3mm,振動周波数4Hzで下向きに振動負荷を与える。期間は7日間とした。
・負荷後の付着試験
断面修復部について上述と同様の方法にて試験を実施。評価も同様とする。
・吸水によるひび割れ幅の確認
断面修復部を付着試験同様にコアリングし、顔料で青く着色した水に24時間浸漬する。その後割裂し、付着界面部分に着色したひび割れ幅をクラックゲージにて読み取る。0.05mm以上を以って一体性が低下していると評価した。
【0028】
【表2】
【0029】
本発明の実施例に当たるポリマーセメントグラウトモルタル(本発明品1〜6)を用い混練することで作製したグラウト材(グラウトモルタル)は、何れもスランプフロー値がスランプフローの値は32〜46cmであった。また、本発明の実施例に当たるポリマーセメントグラウトモルタル(本発明品1〜6)を用い混練することで作製したグラウト材(グラウトモルタル)は、何れも付着試験(材齢28日、負荷後ともに)2N/mm
2以上と値が高く、且つコンクリートとグラウト材の界面での破断は見られず、優れた結果であった。