特許第6223824号(P6223824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6223824新規な自己反応性アーム及び同物を含むプロドラッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223824
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】新規な自己反応性アーム及び同物を含むプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07C 205/22 20060101AFI20171023BHJP
   C07H 15/252 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 31/704 20060101ALN20171023BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20171023BHJP
   A61K 47/54 20170101ALN20171023BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20171023BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20171023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
   C07C205/22CSP
   C07H15/252
   !A61K31/704
   !A61K45/00
   !A61K47/54
   !A61P35/00
   !A61P35/02
   !A61P43/00 123
【請求項の数】3
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2013-510716(P2013-510716)
(86)(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公表番号】特表2013-532132(P2013-532132A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】IB2011052184
(87)【国際公開番号】WO2011145068
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年5月9日
【審判番号】不服2016-11505(P2016-11505/J1)
【審判請求日】2016年8月1日
(31)【優先権主張番号】1053921
(32)【優先日】2010年5月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】508076602
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド ポワティエ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE POITIERS
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】パポット,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】トマス,ミカエル
【合議体】
【審判長】 中田 とし子
【審判官】 榎本 佳予子
【審判官】 冨永 保
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4379166(US,A)
【文献】 特開平5−117236(JP,A)
【文献】 Angewandte Chemie,International Edition,2003年,Vol.42,No.3,p.327−332
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07H
A61K
REGISTRY(STN)
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
を有する化合物であって、Xが、OH、NH2、NHOH、又はR’NHであり、ここでR’は、線状又は分枝状のC1〜C10アルキル基であり、Yが、NO、CF、又はハロゲンであり、R1及びR2が互に独立に、H又は線状若しくは分枝状のC1C10アルキル基であり、Fが、-C≡CR'''、-N3、-SH、-C=CH2、シクロオクチン、マレイミド、-SO2N3、又は-COSR'''であり、ここでR'''はH又は線状若しくは分枝状のC1C10アルキル基である、前記化合物。
【請求項2】
XがOHであり、Yが、NO2であり且つXに対してオルト位にあり、R1及びR2がHであり、及びFが、-C≡CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式を有する化合物。
または、
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロドラッグの分野及びその調製に関する。より特には、本発明は、新規な自己犠牲的又は自己反応性のアーム及び新規プロドラッグの調製の為のその使用方法に関する。また、本発明は、そのようなアームを含み且つインビボでの活性化合物の特異的なターゲティングに適した新規プロドラッグに関する。本発明はさらに、新規な自己犠牲的又は自己反応性アームを用いて新規プロドラックを調製する為の方法、及び、これらのプロドラッグを含む医薬組成物又は診断組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば治療目的若しくは診断目的の為に、生物に投与される活性化合物は、吸収、分布、代謝、及び排除プロファイルにより特徴付けられる。このプロファイルのパラメータの全てが、そのバイオアベイラビリティの定義及びその治療的効果又は診断的効果の定義に関与する。
【0003】
このプロファイルの特徴に従い、活性化合物は時間にわたって多かれ少なかれ維持された様式で、より激しく又はより激しくなく、治療的又は診断的効果を発揮し得、及び、適用可能な場合には、より顕著な又はより顕著でない副作用に関連付けられうる。この活性化合物が投与される形態は、その活性プロファイル及びその毒性に関して決定的であると分かりうる。
【0004】
多くの活性化合物、例えば抗ガン剤、は健康な組織又は健康な細胞に対して毒性であるとの欠点を有し、それによりそれらの使用を限定する。
【0005】
ガンは、今日、フランスにおける死亡の主要な原因の一つである。種々の実行可能な処置方法のうち、化学療法が、循環系腫瘍、例えばリンパ腫及び白血病など、及び転移に対して使用可能な唯一のものである。しかしながら、臨床的に用いられる該抗ガン剤は、該腫瘍細胞に向けての選択性をほとんど有さず、及び、健康組織も攻撃する。この非選択的破壊が重度の副作用を生成し、及び、多くの場合において、処置の早期中断をもたらす。それ故に、健康な臓器に影響を及ぼすこと無く腫瘍を選択的に破壊するように設計された新規抗ガン剤の開発が、ガンに対する戦いにおける大きな強みを表す。
【0006】
最近の調査は、一方では、より酸性のpH、より高い還元能力、マクロ分子にとってのより大きな透過性によって又はいくつかの酵素(例えばβ−グルクロニダーゼなど)の相対的に高い濃度の存在によって健康組織と区別される腫瘍微小環境に関して、及び、他方では、膜受容体又は抗原、例えば葉酸受容体又はCD33抗原など(これらがそれらを健康細胞と違うものとする)をそれらの表面に過剰発現する悪性細胞に関して、腫瘍組織が健康組織と区別されうることを明らかにした。
【0007】
抗ガン剤などの活性化合物の毒性を減少する為に又はそれらのバイオアベイラビリティーを例えばより良い可溶化により及びそれらの標的組織及び標的細胞へのターゲティングを改善する為に、それらをプロドラッグの形にベクター化することが提案された。すなわち、一般にこれらの化合物は、それらを運ぶことが意図された分子への化学的グラフティングによって、それらが投与される生物体内で、それらが放出される標的組織又は標的細胞まで、不活性にされる。
【0008】
この目的の為に、アーム又はスペーサー、自己犠牲的又は自己反応性官能基を有する多くの分子が、活性化合物を不活性な形に、特異的且つ標的化された様式でベクター化することが提案されている。
【0009】
該自己反応性アームは、一方ではベクター化されるべき該活性化合物に及び他方では細胞特異性又は組織特異性及び/又は生物学的流体中での改善された可溶化を確保する為に従事する不安定基に共有結合される。
【0010】
自己反応性アームは、その投与、例えば経口投与又は全身的な投与など、を許す為に該プロドラッグに十分な安定性を与えなければならず、且つ、それ故に、該不安定基の除去の直後又は実質的に直後に該活性化合物の放出を許す為に十分な反応性を与えられなければならない。
【0011】
Tranoy-Opalinski et al. (Anti-Cancer Agent Med. Chem., 2008, 8:1)は、プロドラッグを調製する為に適した種々の種類の自己反応性アームを記載した。特に、該記載されたプロドラッグは、自己反応性アームとして、フェノール又はアニリンの誘導体を含み、1.6脱離をもたらし、及び、これにおいて該活性化合物は、カルバメート又はカーボネート官能基によって、ベンジル炭素に取り付けられており、及び該フェノール官能基は、β−グルクロニダーゼの作用によって脱離可能なグルクロニル基に結合されている。該グルクロニド基の存在が、β−グルクロニダーゼが強力に発現される腫瘍に対する該プロドラッグの組織特異性を確保する為に従事する。
【0012】
しかしながら、酵素の基質である不安定基によりその組織特異性が確保されるプロドラッグは、この基の加水分解を確保する該酵素が該標的組織又は標的器官に前もってターゲティングされていることを一般に要求するとの欠点を有する。すなわち、国際公開第81/01145号パンフレット、欧州特許出願公開第0642799号明細書、又は欧州特許出願公開第0511917号明細書は、酵素プロドラッグ治療に向けられた抗体(ADEPT)におけるそのようなプロドラッグの使用を記載する。
【0013】
さらに、Jeffrey et al. (Bioorg. Med., Chem., Lett., 2007, 17: 2278)は、フェノールに由来する自己反応性アームを含むプロドラッグを記載し、これにおいてグルクロニル基が該フェノール官能基にグラフトされており、活性化合物が、ベンジル炭素にカルバメート基によりグラフト化されており、且つ、該フェノール基のオルト位において、抗体がアミド官能基によりグラフト化されている。該活性化合物の特異的な方向は、該抗体により確保され、及び、細胞内βグルクロニダーゼの作用による該グルクロニル基の加水分解が、該標的細胞中での該活性化合物の放出を確保する。しかしながら、該抗体は、腫瘍領域には非常に効果的に進入しない巨大分子であり、該有機体によって非常にゆっくりと排除されるだけである。
【0014】
Gopin et al. (Angew. Chem. Inter. Ed., 2003, 42: 327)も言及されることができ、これは4-ヒドロキシマンデル酸に由来する自己反応性アームに結合された活性化合物を含むプロドラッグを記載し、これにおいて、一方では38C2触媒抗体の基質基、及び、標的リガンドHPMAが取り付けられている。しかしながら、該活性化合物は、このプロドラッグから比較的ゆっくりと放出されるだけである。
【0015】
最後に、欧州特許出願公開第2098534号明細書が言及されることができ、これは、パラアミノベンジルカルボニルタイプの自己反応性アームに、ベンジル炭素上のカルバメート官能基によって結合されたアントラサイクリン、及び、カルバメート官能基によって該フェニルに結合されたグルクロニル基(又はグルクロニル化トリガー)を含むプロドラッグを記載する。該グルクロニル基はさらに、プロパルギル基によって官能化され、当該プロパルギル基は、クリックケミストリーによって、全体的な水溶性を改善する為にポリエチレングリコール基の取り付けを許す。
【0016】
安定であり特異的な様式で且つ大きな量で不活性な形の活性化合物をベクター化する為に、及び、これらの化合物を迅速且つ局所化された様式で放出する為に適したプロドラッグの開発は、狭い治療域を有する活性化合物、例えば抗ガン剤など、にとって極めて重要であるとわかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
すなわち、非常に高い特異性を有し且つ不活性な形で、狭い治療域を有する活性化合物、特には抗ガン剤、をベクター化することができるプロドラッグを簡潔に及び迅速に得る為に適した自己反応性アームについてのニーズがある。
【0018】
広く種々の活性化合物並びに組織特異性及び細胞特異性及び/又は生物学的流体における改善された可溶化とを確保するのに従事する広く種々の基が、化学的に且つ簡潔に、高い収率で、グラフト化されることができる自己反応性アームについてニーズがある。
【0019】
さらに、経口投与又は血流における投与に適した大きな安定性を授けられており、且つ、組織又は標的細胞における該活性化合物の、即時の又は準即時の、迅速な放出を許すプロドラッグの調製を許す自己反応性アームについてのニーズがある。
【0020】
さらに、活性化合物、特には抗ガン剤、を組織及び細胞の両方に向けるのに従事するプロドラッグを調製するのに適した自己反応性アームについてのニーズがある。
【0021】
標的組織又は標的器官の組織微小環境及び細胞を同時に標的とすることができる新規プロドラッグについてのニーズもある。
【0022】
簡単に且つ産業的製造に適した収量で調製されることができるプロドラッグについてのニーズもある。
【0023】
良い安定性、特には血流中における良い安定性を与えられており、且つ、該活性化合物、特には抗ガン剤、の標的組織における、酵素の作用下での又は環境条件の変化、例えばpHの変化など、の作用下における即時の又は実質的に即時の放出を許すプロドラッグについてのニーズがさらにある。
【0024】
組織環境及び細胞の両方についてのターゲティングパラメーター及び溶解性パラメーターが容易に且つ厳密に調節されることができる新規プロドラッグについてのニーズもある。
【0025】
最後に、治療的使用及び診断的使用に適合する量で投与されることができ且つ標的組織又は標的細胞において有効量の活性化合物を向けるのに従事するプロドラッグについてのニーズもある。
【0026】
これらのニーズを満たすことが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
すなわち、第1の局面に従い、本発明は、一般式(I)
【化1】
を有する化合物に関し、
ここで
- Xは、OH、NH2、NHOH、又はR’NHであってよく、ここでR’は、線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC1〜C10アルキル基であってよく、
- Yは、H又は電子求引性基であり、特にはNO2、CF3、又はハロゲンから選ばれてよく、
- R1及びR2は互に独立に、H又は線状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C10アルキル基であってよく、
- Fは、クリックケミストリーによって活性化可能な反応性官能基であってよく、特には-C≡CR'''、-N3、-SH、-C=CH2、シクロオクチン、マレイミド、-SO2N3、又は-COSR'''から選ばれるものであってよく、ここでR'''はH又は線状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C10アルキル基である。
【発明の効果】
【0028】
予想外に、本発明者らは、フェノールに由来する自己反応性アーム、より特にはパラ−ヒドロキシベンジルカルボニルタイプのものにより出発し、クリックケミストリーに適した反応性官能基、特には該アルキンの官能基、特にはエチニルタイプの官能基、を該ベンジル炭素に導入することが、それがsp3炭素によって直接的に又は間接的に該ベンジル炭素に結合されることを条件として、可能であることを本発明者らは発見した。本発明者らはまた、該活性化合物の放出キネティクスが、調節されることができること、特には該ベンジル炭素に関してそのオルト又はメタ位の一つ、好ましくはメタ位、での置換基の種類を変えることによって加速されることができることを発見した。
【0029】
本発明者らは、すなわち、新規の自己反応性アームであって、簡単な化学反応によって、活性化合物、特には治療的又は診断的化合物、特には抗ガン剤、ターゲティングリガンド、特には葉酸に由来するグループ、及び不安定基、特には酵素加水分解による不安定基、特にはグルクロニル基、がグラフト化されることができる前記アームを開発した。
【0030】
予想外に、本発明の自己反応性アームは、活性化合物、特には抗ガン剤を不活性な様式でベクター化することに従事するプロドラッグを調製する為に、及び、組織環境の特異性及び細胞特異性の両方について向けるために、有利に且つ簡単に用いられることができる。
【0031】
本発明者らはさらに、本発明に従う自己反応性アームを用いて調製されたプロドラッグが、生理学的条件において特に安定であること、及び、それらが有効量の活性化合物を特異的に且つ非常に迅速に放出することができることを、予想外にも発見した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に従うベクター、化合物7、の合成を示す図であり、当該合成は、本発明の自己反応性アーム上の、薬剤D、ドキソルビシン、不安定又はトリガー基E,ガラクトシド、及び、ターゲティングリガンドL、フォレート、の反応による。図1において、a)は1-ブロモ-(2,3,4,6-O-テトラ-O-アセチル)-β-D-ガラクトピラノシド、Ag2CO3、HMTTA、CH3CN、84%; b)はp-ニトロフェニル-クロロホルメート、ピリジン、CH2Cl2、92%; c)はドキソルビシン、Et3N、DMF、65%; d)はNaOMe、MeOH/CH2Cl2、-15°C、80%; e)はCuSO4、アスコルビン酸ナトリウム、DMSO/H2O、75%である。
図2】本発明に従わない化合物(化合物5、DOX-GAL)及びプロドラッグの形にある非ベクター化活性化合物(DOX)との比較における、及び、そのような受容体を発現しない細胞(A549)に関する、ターゲティングリガンドについての受容体を発現する細胞(HeLa、葉酸受容体)中に特異的に内部移行されるべき本発明のプロドラッグ(化合物7、DOX-GAL-AF)の能力を示す図である。細胞培養物培地の葉酸による飽和(+AF)が、化合物DOX-GAL-AFのHeLa細胞への侵入を防ぐ。
図3】ターゲティングリガンドについての受容体を発現する細胞(HeLa、葉酸受容体、図3A)及びそのような受容体を発現しない細胞(A549、図3B)に対する、枯渇培養培地(黒い四角、実線)又はβ−ガラクトシダーゼにより飽和されたもの(黒い四角、点線)における本発明に従わない化合物(化合物5、DOX-GAL)、又は、プロドラッグの形にある非ベクター化活性化合物(DOX、黒い丸)との比較における、本発明のプロドラッグ(化合物7、DOX-GAL-AF)の枯渇培養培地(黒い三角、実線)又はβ−ガラクトシダーゼにより飽和されたもの(黒い三角、点線)における特異的細胞毒性を示す図である。
図4】本発明の自己反応性アーム上での、増幅剤に取り付けられた複数の活性化合物(ドキソルビシン)からなる薬剤D、不安定又はトリガー基E(ガラクトシダーゼ)、及び、ターゲティングリガンドL(フォレート)の反応により、本発明に従うデンドリマー状ベクター(化合物(221))の合成を示す図である。
図5】本発明の自己反応性アーム上での、増幅剤に取り付けられた複数の活性化合物(ドキソルビシン)からなる薬剤D、不安定又はトリガー基E(ガラクトシダーゼ)、及び、ターゲティングリガンドL(フォレート)の反応により、本発明に従うデンドリマー状ベクター(化合物(221))の合成を示す図である。
図6】ガン細胞株LAMタイプKG1に対するドキソルビシン(丸)に関する、本発明の2つのプロドラッグ(化合物(7)、DOX-GAL-AF)(三角)及びデンドリマー状ベクター(221)(四角)の特異的な細胞毒性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のプロドラッグは、4つの異なるユニットを有し、それぞれが特定の機能を発揮するように設計されている。
【0034】
第1のユニットは、活性化合物からなり、特には治療的活性又は診断的活性に関与する活性化合物からなり、例えば抗ガン剤からなる。該活性化合物は、本発明の自己反応性アームに固定されることにより不活性にされ、その結果、その潜在的毒性が有利にマスクされて、健康組織に影響することを回避する。
【0035】
第2のユニットは、不安定基からなり、特には酵素的に加水分解可能な基からなり、トリガーを表し、及び、標的組織微小環境において又は特異的な細胞タイプにおいて選択的に局在化された標的、特には酵素、の認識を確実にし、及び、その加水分解が該活性化合物の放出を引き起こすものである。
【0036】
第3のユニットは、該標的組織の細胞の表面に特異的に発現される膜受容体を認識するターゲティングリガンドからなり、及び、これはエンドサイトーシス機構によって該プロドラッグの内部移行を許すものである。
【0037】
最後に、第4のユニットは、本発明の該自己反応性アームからなり、これは、生理学的条件下での該プロドラッグの結合及び安定性を確保し及び該不安定基の脱離後のみの該活性化合物の排除を確保する。
【0038】
本発明に従う一般式(I)を有する化合物は、反応性の自己反応性アームを構成し、ここで該ベンジル炭素上のF、X、及び-OHは反応性官能基であり、これは簡単に且つ特異的に動員されることができ、且つ、これに、本発明の該反応性自己反応性アームと一緒に、本発明に従うプロドラッグを形成する為に、種々の化合物がグラフト化されうる。
【0039】
すなわち、第二の目的に従い、本発明は、一般式(II)
【化2】
を有する化合物又はその医薬的に許容できる塩の一つに関し、
ここで、
- Y、R1及びR2は、前に定義されたとおりであり、
- X’ は、O、NH、NOH、R’Nであってよく、ここでR’は前に定義されたとおりであり、
- Eは、カルボキシル基又はエーテル結合によってX'に結合された不安定基であってよく、
- Aは、O、S、NH、NR"であってよく、ここでR"は線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC1〜C10アルキル基であり、好ましくはNHであってよく、
- Dは、治療又は診断において使用可能な活性化合物であってよく、
- n = 0又は1であり、且つZは、O又はNから選ばれる1又はそれより多いヘテロ原子により中断されていてもよい、線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC1〜C10アルキレン基、グリコシル基、O-(CHR3-CHR4-O-)m又はN-(CHR3-CHR4-O-)m 基、ここでmは1〜20の自然整数であり、R3及びR4は互に独立に、H又はCH3であり、ただしR3及びR4は同時にはCH3でない、アミノ酸若しくはペプチドに由来する基、又はそれらの組み合わせであってよく、
- Lは、ペプチド、タンパク質、抗体若しくは抗原を認識する抗体断片、細胞受容体のリガンド、バイオポリマー、単糖、オリゴ糖、ホルモン、ビタミン、デンドリマー、ポリアミン、又はナノパーティクルから選ばれるターゲティングリガンドでありうる、
- Gは、F基(前に定義されたとおりのもの)とx-(Z)n-L基との間のクリックケミストリー反応から結果する基であり、ここでZ及びLは上記で定義されたとおりであり、且つ、xは、クリックケミストリーにより活性化可能であり且つFと反応することができる反応性官能基である。
【0040】
さらなる目的に従い、本発明は、プロドラッグ、特には以下で定義された一般式(II)を有する化合物により表されるプロドラッグ、を調製する為の一般式(I)を有する化合物の使用に関する。
【0041】
さらなる目的に従い、本発明は、前に定義されたとおりの一般式(II)を有する化合物又はその医薬的に許容できる塩を調製する為の方法であって、前に定義されたとおりの一般式(I)を有する化合物をD-v、E-w、及びL-(Z)n-xグループと反応させることから成る前記方法に関し、ここでD、E、及びLは前に定義されたとおりであり、且つ、v、w、及びxはそれぞれ、一般式(I)を有する該化合物に関して、vは該ベンジル炭素に結合したOH又は前記前に活性化されたOHと反応し、wはXと反応し、且つ、xはFと反応するような反応性官能基である。
【0042】
該反応性官能基v、w、及びxは、該D、E、及びL-(Z)nグループに天然に存在してよく、又は、該反応工程の前に、該D、E、及びL-(Z)nグループに導入されてもよい。
【0043】
さらなる目的に従い、本発明は、本発明の方法により得られる化合物又はその医薬的に許容できる塩に関する。
【0044】
さらなる局面に従い、本発明は、本発明に従う一般式(II)を有する少なくとも一つの化合物又はその医薬的に許容できる塩の少なくとも有効量を含む医薬又は診断組成物に関する。
【0045】
さらなる目的に従い、本発明は、前に定義されたとおりの一般式(II)を有する化合物又はその医薬的に許容できる塩を調製する為のキットであって、前に定義されたとおりの一般式(I)を有する少なくとも一つの化合物とD-v、E-w、及びL-xから選ばれる少なくとも一つのグループ(これにおいてL、D、及びEは前に定義されたとおりであり、且つ、v、w、及びxは前に定義されたとおりである)とを含む前記キットに関する。
【0046】
一つの実施態様に従い、本発明のキットはさらに、一般式(I)を有する該化合物をD-v、E-w、及びL-xから選ばれる前記グループと一緒に用いるための少なくとも1つの説明書を含みうる。
【0047】
本発明の文脈において、「自己反応性アーム」は、分子内再配置によって、それに前もってグラフト化された基を放出することができる化合物を意味する。
【0048】
本発明の文脈において、「プロドラッグ」は、活性化合物を不活性な形で有機体内に運ぶことができ、且つ、同物を、例えば特異的な酵素又は特定のpH条件の作用の下で器官、組織、又は特異的に標的とされた細胞中に放出することができる分子を意味する。
【0049】
本発明に従う自己反応性アームは有利には、活性化合物と該活性化合物をターゲティングする為に及び/又はその溶解度を生物学的環境において改善する為に意図された2つの基とを簡単に且つ特異的に取り付ける為に従事しうる。
【0050】
他の利点によると、本発明に従う自己反応性アームは、プロドラッグを簡単に且つ大量に得る為に従事する反応性基を授けられる。
【0051】
他の利点によると、本発明に従う自己反応性アームは、ターゲティングされた様式で、活性化合物を不活性な形で運ぶことができ、二重の組織及び細胞特異性を与えられており、且つ、該活性化合物を効果的に且つ迅速に放出するのに適した、安定なプロドラッグの調製を許す。
【0052】
さらなる局面に従い、本発明は、診断又は治療における使用に適しており、及び活性化合物を不活性な形で標的とされた輸送することを許し、及び該組織微小環境に関して及び標的細胞の表面上に存在する受容体又はタンパク質に関してのその特異的な方向付けを許すプロドラッグを有することに役立つ。
【0053】
さらなる利点によると、本発明は、二重の組織及び細胞特異性を与えられており、及び、特異的に標的とされた細胞内において活性化可能である、安定なプロドラッグを有するのに役立つ。
【0054】
さらなる利点によると、本発明は、安定であり、且つ、標的組織の組織環境において該組織内に存在する特異的な酵素又は抗体とのカップリングにより前もって向けられた特異的な酵素により活性化可能であるプロドラッグを有するのに役立つ。
【0055】
さらなる利点に従い、本発明は、その溶解度が容易に制御され且つ改善されることができるプロドラッグを有するのに役立つ。
【0056】
さらなる利点に従い、本発明の自己反応性アームは、抗ガン性化合物をベクター化する為のプロドラッグを調製する為に特に適している。
【0057】
自己反応性アーム
【0058】
本発明に従う自己反応性アームは、以下の一般式(I)により示される:
【化3】
ここで、
- Xは、OH、NH2、NHOH、又はR’NHであってよく、ここでR’は線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC1〜C10アルキル基でありうる、
- Yは、H又は電子求引性基であってよく、特にはNO2、CF3、又はハロゲンから選ばれる、
- R1及びR2は互に独立に、H又は線状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C10アルキル基でありうる、
- Fは、クリックケミストリーにより活性化可能な反応性官能基でありうる。
【0059】
好ましい実施態様に従い、Xは、OH、NH2、NH(OH)、又はR’NHであってよく、ここでR’は線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC2〜C8、好ましくはC3又はC6及び好ましくはC4又はC5アルキル基でありうる。さらにより好ましくは、R'はC1、C2、又はC3アルキル基でありうる。
【0060】
さらにより好ましくは、XはOHでありうる。
【0061】
特に、Yは、NO2、CF3、又はハロゲンから選ばれる電子求引性基でありうる。
【0062】
一つの実施態様に従い、YはNO2、Cl又はBrから選ばれるハロゲン、又はCF3を表しうる。特には、YはNO2又はClを表し、好ましくはNO2でありうる。
【0063】
好ましくは、Yは、Xのオルト位にありうる。
【0064】
さらにより好ましい代替的態様に従い、YはXに対してオルト位にあるNO2を表しうる。
【0065】
一つの実施態様に従い、R1及びR2は互に独立に、H又は線状の若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C10、好ましくはC2〜C8、好ましくはC3又はC6、及び好ましくはC4又はC5のアルキル基でありうる。さらにより好ましくは、R1又はR2はC1、C2、又はC3アルキル基でありうる。
【0066】
代替的な実施態様に従い、R1はアルキル基、特にはメチル、エチル、又はプロピルであり、及び、R2はHでありうる。他の実施態様に従い、R1はHであり、及び、R2はアルキル基、特にはメチル、エチル、又はプロピルでありうる。
【0067】
好ましい代替的実施態様に従い、R1及びR2はそれぞれHを表す。
【0068】
Fはクリックケミストリーにより活性化可能な反応性官能基である。クリックケミストリーは、当技術分野における当業者に知られている反応プロセスである。これに関して、Kolb et al. (Angew. Chem. Int. Ed., 2001, 40: 2004)のレビューが参照されうる。
【0069】
一つの実施態様に従い、Fは、-C≡CR'''、-N3、-SH、-C=CH2、シクロオクチン、マレイミド、-SO2N3、又は -COSR'''を表すFから選ばれるクリックケミストリーにより活性化可能な反応性官能基であり、ここでR'''はH又は線状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C10アルキル基である。
【0070】
好ましい実施態様に従い、Fは、-C≡CH、-N3、-SH、-C=CH2、シクロオクチン、マレイミド、-SO2N3、又は-COSRから選ばれるクリックケミストリーにより活性化可能な反応性官能基である。
【0071】
特に好ましい実施態様に従い、本発明に適した自己反応性アームは以下の式(Ia)を有しうる:
【化4】

ここでX及びFは前に定義されたとおりである。
【0072】
さらにより好ましくは、本発明に適した自己反応性アームは式(Ia)を有してよく、ここでXはOHであり且つFは前に定義されたとおりである。
【0073】
他の特に好ましい実施態様に従い、本発明に適した自己反応性アームは以下の式(Ib)を有しうる:
【化5】
【0074】
本発明に適した自己反応性アームは、例えば、4-ヒドロキシ-3-ニトロベンズアルデヒド又は 4-アミノベンズアルデヒドから、適切な溶媒中で且つ任意的な触媒の存在下で、クリックケミストリーにより次の反応を実施するのに適した該ベンジル炭素上に反応性官能基を導入するのに適した任意の試薬と反応させることから得られうる。
【0075】
特定の実施態様に従い、反応性官能基Fとして-C≡CH基を有し且つX基としてOH基を有する本発明に従う自己反応性アームは、4-ヒドロキシ-3-ニトロベンズアルデヒドを有機アルミニウムプロパルギルブロミドと、適切な溶媒中で反応させる工程を含む方法により得られる。
【0076】
そのような方法に適した溶媒は、例えば、テトロヒドロフランでありうる。
【0077】
そのような方法は触媒の存在下において実施されうる。本発明にとって適した触媒は、例えば、塩化第二水銀(HgCl2)でありうる。
【0078】
代替的な実施態様に従い、そのような方法は、例えば還流下で、4-ヒドロキシ-3-ニトロベンズアルデヒドを該触媒、特には塩化第二水銀(HgCl2)、の存在下で加熱する工程を含みうる。
【0079】
代替的な実施態様に従い、そのような方法は、4-ヒドロキシ-3-ニトロベンズアルデヒドのプロパルギルブロミドとのHClの存在下での反応後に得られる産物を加水分解する工程を含みうる。
【0080】
本発明に従う方法はさらに、得られた該産物を分離し及び/又は精製することからなる工程を含みうる。該分離及び/又は精製工程は、当技術分野の当業者に知られている任意の技術を実施により実施されうる。
【0081】
プロドラッグ
【0082】
本発明に従うプロドラッグは、以下の一般式(II)を有しうる:
【化6】
ここで、
- Y、R1、及びR2は前に定義されたとおりであってよく、
- X’はO、NH、NOH、R’Nであってよく、ここでR’は前に定義されたとおりであり、
- Eはカルボキシル基又はエーテル結合によってX'に結合された不安定基であってよく、
- AはO、S、NH、NR"であってよく、ここでR"は線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC1〜C10アルキル基であり、好ましくはNHでありうる、
- Dは、治療又は診断において使用可能な活性な化合物であってよく、
- n = 0又は1であり、且つ、Zは線状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、O又はNから選択された1又はそれより多くの(1以上の)ヘテロ原子により中断されていてもよい、C1-C10アルキレン基、グリコシル基、O-(CHR3-CHR4-O-)m又はN-(CHR3-CHR4-O-)m基、ここでmは1〜20の自然整数であり、R3及びR4は互いに独立にH又はCH3であり、ただしR3及びR4は同時にはCH3でない、アミノ酸又はペプチドに由来する基、又はそれらの組み合わせでありうる、
- Lは、ペプチド、タンパク質、抗体又は抗原認識性抗体断片、細胞受容体のリガンド、バイオポリマー、単糖、オリゴ糖、ホルモン、ビタミン、デンドリマー、ポリアミン又はナノパーティクルから選ばれるターゲティングリガンドでありうる、
- Gは、F基(前に定義されたとおりのもの)とx-(Z)n-L基(ここでZ及びLは上で定義されたとおりであり且つxはクリックケミストリーにより活性化可能であり且つFと反応することができる反応性官能基である)との間のクリックケミストリー反応から結果する基である、
又はその医薬的に許容できる塩でありうる。
【0083】
好ましい実施態様に従い、本発明のプロドラッグは、一般式(II)を有してよく、ここで、YはX'のオルト位にあるNO2であり、且つ、R1及びR2はHでありうる。
【0084】
本発明に従う一般式(II)を有する化合物の医薬的に許容できる塩は、一般式(II)を有する化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムとの塩であってよく、有機アンモニウム塩基により得られる塩を含み、又は一般式(II)を有する化合物と有機若しくは無機酸との塩でありうる。
【0085】
本発明により特に適した塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、第4級アンモニウムの塩、例えばテトラメチルアンモニウム又はテトラエチルアンモニウムなど、であってよく、及びアンモニア及び医薬的に許容できる有機アミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、及びトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンなど、との付加塩でありうる。
【0086】
一般式(II)を有する化合物と本発明に適した無機酸との塩は、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、又はリン酸により得られうる。
【0087】
一般式(II)を有する化合物と本発明に適した有機酸との塩は、カルボン酸及びスルホン酸、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、又はp-トルエンスルホン酸など、により得られうる。
【0088】
本発明に従うプロドラッグは、該不安定基Eを開裂することができる細胞内酵素の過剰発現又は放出を含む疾患又は障害の処置及び/又は予防にとって特に適している。
【0089】
本発明により考慮されうる疾患として、特に、ガン、自己免疫疾患又は炎症性疾患、免疫学的疾患又は代謝性疾患、又は関節症が言及されうる。
【0090】
好ましくは、本発明のプロドラッグは、ガン、炎症性疾患、及び関節症の処置及び/又は予防にとって特に適している。
【0091】
さらにより好ましくは、本発明のプロドラッグは、肺ガン、乳ガン、結腸ガン、腎臓ガン、脳腫瘍、及び白血病から選択されるガンの処置及び/又は予防の為に特に適している。
【0092】
一つの実施態様に従い、本発明は、前に定義されたとおりの一般式(II)を有する少なくとも一つの化合物又はその医薬的に許容できる塩の少なくとも有効量を含む医薬的又は診断的組成物に関する。
【0093】
本発明に従う組成物は、少なくとも一つの医薬的に許容できる添加物、例えば当技術分野で通常に採用される添加剤、結合剤、膨張剤若しくは平滑剤、又は可溶化剤など、を含みうる。
【0094】
本発明にとって適した医薬的に許容できる添加物として、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及び他の糖、タルク、ラクトプロテイン、ゼラチン、デンプン、セルロース及びその誘導体、動物油又は植物油、例えばタラ肝油、ヒマワリ油、クルミ油、若しくはゴマ油など、ポリエチレングリコール、及び溶媒、例えば水及びモノアルコール若しくはポリアルコール、例えばグリセロールなど、が言及されうる。
【0095】
適用可能ならば、本発明の組成物は他の適切な活性化合物を含みうる。
【0096】
本発明に従う組成物は、任意のガレヌス形態(galenic form)、例えば注入可能な溶液、錠剤、カプセル、又は経皮パッチなど、に処方されうる。
【0097】
用いられるべきガレヌス形態及び医薬的に許容できる添加物、並びに適用可能ならば他の活性名化合物、の選択は、考慮される投与の方法及び処置されるべき又は予防されるべき病理に特に依存し、当技術分野の当業者の一般的知識及び常套手段に属する。
【0098】
本発明の文脈において、「有効量」は、本発明に従う所望の効果、すなわち本発明に従うプロドラッグの投与後の該活性化合物Dの薬理学的、治療的、又は診断的活性、を得る為に必要であり及び十分な量を意味する。好ましい実施態様に従い、所望の薬理学的効果は、ガンに関する予防及び/又は処置の効果でありうる。
【0099】
有効量は、活性化合物Dの種類、所望の薬理学的効果、本発明のプロドラッグが投与される個体、及び当該個体の生理病理学的状態に依存する。
【0100】
有効量は、当技術分野の当業者に既知の任意の方法により、特には例えば臨床試験によって、容易に決定されうる。
【0101】
本発明の文脈において、疾患、及び特にはガン、に関する「予防」又は「予防する」は、この疾患の発生のリスクを減少することを意味する。
【0102】
一つの実施態様に従い、本発明の医薬組成物は、一般式(II)を有する化合物又はその医薬的に許容できる塩を含んでよく、ここで該活性化合物Dは抗ガン剤、特には以下に定義されるとおりのもの、であり、且つ、該組成物はガンの予防及び/又は処置のためのものである。
【0103】
活性化合物D
【0104】
本発明に適した活性化合物Dは、治療的活性及び/又は診断的活性を有する化合物から選ばれうる。
【0105】
より特には、本発明に従う活性化合物Dは、胃腸管の疾患、心臓血管系の疾患、中枢神経系の疾患、痛み、気分障害、眼系の疾患、口腔咽頭管の疾患、呼吸器管の疾患、内分泌及び代謝の疾患、生殖及び泌尿器系の疾患、ウィルス、バクテリア、若しくは寄生生物の感染症、免疫系の疾患、アレルギー性疾患、又はガンに対して治療的に活性である化合物から選択されてよく、又は、皮膚の、産科及び婦人科における剤であってよく、又は避妊目的のための化合物から選択されうる。
【0106】
一つの実施態様に従い、本発明に従う活性化合物Dは、ホルモン、ホルモンのアゴニスト若しくはアンタゴニスト、例えばプロゲステロン、ブセレリン、タモキシフェン、ミフェプリストン、若しくはオナプリストンなど、から、抗炎症剤、例えば非ステロイド抗炎症剤、ステロイド化合物、鎮痛剤、解熱剤、局所的麻酔剤、抗不整脈剤、例えばカルシウムチャンネルのアンタゴニストなど、抗ヒスタミン剤、交感神経様作用剤、ウロキナーゼインヒビター、抗うつ剤、抗高血圧剤、抗ガン剤、細胞増殖抑制剤への細胞抵抗性を減少する化合物、例えばカルモジュリンインヒビター、プロテインキナーゼCインヒビター、グリコプロテインPインヒビター、ミトコンドリアに結合されたヘキソキナーゼモジュレーター、g−グルタミルシステインシンセターゼ若しくはグルタチオン−S−トランスフェラーゼのインヒビター、スーパーオキシドジスムターゼのインヒビターなど、から、又は免疫抑制化合物、例えばマクロライド、シクロスポリンA、ラパマイシン、FK 506、アゾチオプリン、メトトレキセート、シクロホスファミド、又はクロラムブシルなど、から選ばれうる。
【0107】
さらにより特には、本発明に従う活性化合物Dは、細胞増殖抑制剤、抗代謝剤、DNAインターカレーティング物質、トポイソメラーゼI及びIIインヒビター、チューブリンインヒビター、アルキル化剤、ネオカルチノスタチン、カリケアマイシン、ダイネマイシン(dynemicin)又はエスペラミシンA、リボソームインヒビター、チロシンホスホキナーゼインヒビター、細胞分化誘発性化合物、又はヒストンジアセチラーゼインヒビターから選ばれる抗ガン剤でありうる。
【0108】
さらにより特には、本発明に従う活性化合物Dは、細胞増殖抑制剤及び抗代謝剤、例えば5-フルオロウラシル、5-フルオロシチジン、5-フルオロウリジン、シトシンアラビノシド又はメトトレキセートなど、から、DNAインターカレーティング物質、例えばドキソルビシン、ダウノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、又はミトキサントロンなど、から、トポイソメラーゼI及びIIインヒビター、例えばカンプトテシン、エトポシド、又はm-AMSAなど、から、チューブリンインヒビター、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、タキソール、ノコダゾール、又はコルヒチンなど、から、アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、マイトマイシンC、ラケルマイシン、シスプラチン、マスタードガスホスホラミド、メルファラン、ブレオマイシン、N-ビス(2-クロロエチル)-4-ヒドロキシアニリンなど、から、又はネオカルチノスタチン、カリケアマイシン、ダイネマイシン又はエスペラミシンAから、又はリボソームインヒビター、例えばベルカリンAなど、から、チロシンホスホキナーゼインヒビター、例えばクエルセチン、ゲニステイン、エルブスタチン(erbstatin)、チルホスチン、又はロヒツキン及びそれらの誘導体など、から、細胞分化を誘発する化合物、例えばレチノイン酸、酪酸、ホルボールエステル、又はアクラシノマイシンなど、から、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えばCI-994又はMS275など、から選ばれる抗ガン剤でありうる。
【0109】
本発明の特に好ましい実施態様に従い、本発明に適した活性化合物Dは、CI-994及びドキソルビシン、及びMS275から選ばれる診断化合物でありうる。
【0110】
他の実施態様に従い、本発明に適した活性化合物Dは、診断的化合物であってよく、特には放射性リガンドから選ばれる診断的化合物でありうる。
【0111】
本発明に適した放射性リガンドは、放射性基、特には3H、14C、35S、131I、125I、又は18Fから選ばれる放射性基、を有する化合物でありうる。
【0112】
一つの実施態様に従い、Dは、1つの活性化合物又は代わりに複数の活性化合物からなってよい。有利には、Dが複数の活性化合物からなる場合、それらは自己犠牲的化学的増幅剤(a self-immolable chemical amplifier)によって相互に関係付けられる。複数の活性化合物が存在する場合、それらは同一であってよく又は異なっていてよい。
【0113】
本発明の為に適した増幅剤は、複数の反応性官能基を含み、好ましくは少なくとも3つの反応性官能基を含み、本発明の反応性アーム及び少なくとも2つの活性化合物へのその結合を許す為である。それはさらに、本発明の反応性アームからのその放出後に、該活性化合物の放出の為の自発的分解を受ける為の能力を授けられる。さらにより好ましくは、本発明に適した自己犠牲的増幅剤は、少なくとも3つの、あるいは少なくとも4つさえの、反応性官能基を含みうる。
【0114】
本発明にとって適した増幅剤の例として、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)アニリン、2,4,6-ターシャリー(ヒドロキシメチル)アニリン、2,4 ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、又は2,4,6-ターシャリー(ヒドロキシメチル)フェノールが言及されうる。これらの自己犠牲的増幅剤は、本発明の該反応性アームに、該フェノール又はアニリン官能基を介して結合される。
【0115】
好ましくは、本発明に適した自己犠牲的官能基は、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)アニリンでありうる。
【0116】
さらなる実施態様に従い、本発明に適した増幅剤は、一連の少なくとも2つの、又は3つさえの、又は4つさえの自己犠牲的増幅性ユニット、例えば上記で定義されたとおりのもの、を含みうる。そのような一連の各自己犠牲的増幅性ユニットは、少なくとも一つの他の自己犠牲的増幅性ユニットに及び少なくとも一つの活性化合物に結合される。該活性化合物は、各増幅性ユニットの自発的な分解の後に、カスケードで開放され、これはまた、本発明の反応性アームに結合された該ユニットの開放の後に、カスケードで開放される。
【0117】
本発明の増幅剤は、以下の一般式(III)を有しうる:
【化7】

ここで
- pは 0〜3、好ましくは1〜2、の自然整数であってよく、さらにより好ましくはpは0、1、又は2である、
- Qは、-NH2又は-OHであってよく、好ましくは-NH2である、
- 各Q’は、互に独立に、NH又はOであってよく、好ましくはNHである、
- R5及びR6は、互に独立に、H又は-CH2OR9であってよく、ここでR9は、以下で定義されるとおりのR7又はR8でありうる、
- R7及びR8は、互に独立に、H又は以下の一般式(IV)を有するサブユニットであってよく:
【化8】
ここで
- #は、ベンジル酸素との結合を表し、
- qは、0〜3、好ましくは1〜2、の自然整数であってよく、さらにより好ましくはqは0、1、又は2である、
- Q’は、上記で定義されたとおりであり、
- R10は、上記で定義されたとおりのR5又はR6であってよく、且つ
- R11は、上記で定義されたとおりのR7又はR8でありうる。
【0118】
好ましくは、R5及びR6の少なくとも一つがHであってよく、且つ、R5又はR6の少なくとも一つが-CH2OR9であってよく、ここでR9は上記で定義されたとおりである。
【0119】
好ましくは、R7又はR8の少なくとも一つがHであり、且つ、R7又はR8の少なくとも一つが、上記で定義されたとおりの一般式(IV)を有するサブユニットでありうる。
【0120】
有利には、本発明に適した自己犠牲的増幅剤は、少なくとも2つの、又は3若しくは4さえの世代を有するデンドリマー状構造を規定する。
【0121】
一つの実施態様に従い、上記で定義されたとおりの一般式(II)を有する化合物において、Dは一般式(V):
【化9】
を有する化合物を表してよく、
ここで、
- Q’及びpは上記で定義されたとおりであり、
- *は、一般式(II)に関して定義されたとおりのAとの結合を表し、
- R12及びR13は、互に独立に、H又は-CH2OD’であってよく、ここでD’は以下で定義されたとおりのものであり、且つ
- D’は、上記で定義されたとおりの活性化合物又は以下の一般式(VI)を有する化合物を表してよく、
【化10】
ここで
- #、Q’、D’、及びqは、上記で定義されたとおりであり、
- R14は、H又は-CH2OD’であってよく、D’は上記で定義されたとおりである。
【0122】
有利には、本発明の化合物Dは、少なくとも2つ、又は3若しくは4さえの世代を有するデンドリマー状構造を有しうる。
【0123】
不安定基E
【0124】
一つの実施態様に従い、本発明に適した不安定基Eは、特には、酵素的に加水分解可能な基質でありうる。
【0125】
本発明に適した不安定基Eは、例えば酵素的方法により又はpH変化後の、その除去が該自己反応性アームの分子内転位によって該活性化合物Dの放出を確保するものである。
【0126】
特には酵素的に加水分解可能な、本発明に従う不安定基Eは、より特には、本発明に従う該プロドラッグに組織及び/又は細胞特異性を与える為に選択されうる。
【0127】
好ましい実施態様に従い、本発明に適した不安定基Eは、酵素的に加水分解可能でありうる。
【0128】
一つの実施態様に従い、本発明に従う酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、その発現が標的組織又は標的細胞に特異的に付随する1又はそれより多くの酵素により加水分解されるように選択されうる。
【0129】
本発明に適した酵素のうち、特に、カルボキシルエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、グルクロニダーゼ、特にはβグルクロニダーゼ、グリコシダーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、又はメタロプロテアーゼが言及されうる。
【0130】
上記で定義されたグループに属する酵素の適切な基質である不安定基Eの選択は、当技術分野の当業者の一般的知識に属する。
【0131】
好ましい実施態様に従い、不安定基Eは、グルクロニダーゼ、特にはβ−グルクロニダーゼ、グリコシダーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、及びメタロプロテアーゼから選ばれる酵素の基質でありうる。
【0132】
好ましい代替的実施態様に従い、本発明に適した酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、ガラクトシダーゼ、特にはβ−ガラクトシダーゼ、インズロニダーゼ(induronidase)、グルコシダーゼ、N-アセチル-D-グルコサミニダーゼ、N-アセチル-D-ガラクトサミニダーゼ、マンノシダーゼ、フコシダーゼ、又はグルクロニダーゼ、特にはβ−グルクロニダーゼ、の基質、カテプシンの基質、又はメタロプロテアーゼ、特にはPSMA (Prostate Specific Membrane Antigen)、の基質から選択される基質でありうる。
【0133】
本発明のさらにより好ましい代替に従い、本発明にとって適した酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、β−グルクロニダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、カテプシン、又はメタロプロテアーゼから選択される酵素の基質、特にはPSMAの基質でありうる。
【0134】
一つの実施態様に従い、本発明にとって適した酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、特には、グリコシル基又はペプチド基から選択されうる。
【0135】
代替的な実施態様に従い、本発明に適した酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、特には、グリコシル基、特にはD−グルクロニル基、L−イズロニル基、D−グルコピラノシル基、D−ガラクトピラノシル基、N-アセチル-D-グルコサミニル基、N-アセチル-D-ガラクトサミニル基、D-マンノピラノシル基、L-フコピラノシル基から選択されうる。
【0136】
他の代替的な実施態様に従い、本発明に適した酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、特には、上記で定義された糖群から選ばれる2〜20、特には3〜10、より特には4〜6の糖単位を含む多糖でありうる。
【0137】
他の好ましい代替的な実施態様に従い、本発明にとって適した酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、D-グルクロニル基、D-ガラクトピラノシル基、D-グルコピラノシル基、又はマンノピラノシル基から選択される基でありうる。
【0138】
さらにより好ましくは、本発明に適した酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、D-グルクロニル基でありうる。
【0139】
β−グルクロニダーゼは、多くの腫瘍の付近に高濃度で自然に存在する酵素である。それ故に、不安定基Eとしてグルクロニル基を含む本発明のプロドラッグは、プロドラッグ単剤治療(Prodrug Mono-Therapy (PMT))の経過で、細胞外レベルで有利に活性化されることができる。さらに、β−グルクロニダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼは、多くの悪性細胞に存在する2つのリソソーム酵素である。すなわち、対応する酵素による該グルクロニル化又はガラクトシル化プロドラッグの活性化が、エンドサイトーシスによるそれらの内部移行後に細胞内媒体内で実施されることができる。
【0140】
他の実施態様に従い、酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、プロテアーゼ又はペプチダーゼの基質、特にはカテプシン又はメタロプロテアーゼ、特にはPSMA、の基質でありうる。
【0141】
他の実施態様に従い、酵素的に加水分解可能な不安定基Eによる該組織及び/又は細胞特異性は、該基Eを加水分解する為に適した酵素を、例えば抗体により、標的組織又は細胞に向けた後に与えられることができる。
【0142】
この実施態様において、該酵素は、該標的とされた組織又は細胞の特異的な抗体に前もって取り付けられ、そして、このようにして得られた複合体が、本発明のプロドラッグの投与の前に投与される。
【0143】
この種類の方法は、当技術分野の当業者に知られており、そして、抗体指向性酵素プロドラッグ治療(Antibody Directed Enzyme Prodrug Therapy (ADEPT))と呼ばれる。
【0144】
該不安定基Eの排除をもたらさなければならない該酵素反応の官能基として、及びそれ故に酵素の官能基として、一般式(I)又は(Ia)によりあらわされる本発明に従う自己反応性アームの基Xの種類を選択することは、当技術分野の当業者の技術に属する。
【0145】
エステラーゼの場合、Xは、E及びX'が一緒にエステル又はカーボネート官能基を形成するように選択される。
【0146】
グリコシダーゼの場合、Xは、E及びX'が一緒にグリコシド結合を形成するように選択される。
【0147】
ペプチダーゼ及びプロテアーゼの場合、Xは、E及びX'が一緒にアミド官能基を形成するように選択される。
【0148】
一つの実施態様に従い、該不安定基Eがグリコシル基、例えばD-ガラクトピラノシル基又はD-グルクロニル基など、である場合、Xは好ましくはOH基でありうる。
【0149】
すなわち、好ましい実施態様に従い、本発明に適する一般式(II)を有する化合物は、X’がOであり且つEがグリコシル基、好ましくはD-ガラクトピラノシル基、D-グルクロニル基、D-グルコピラノシル基、又はマンノピラノシル基から選択されるグリコシル基、であるようなものでありうる。
【0150】
他の実施態様に従い、該不安定基Eがペプチド又はプロテインのタイプのものである場合、Xは好ましくはNH2基でありうる。
【0151】
すなわち、一つの実施態様に従い、本発明に適する一般式(II)を有する化合物は、X’がNHであり且つEが、カテプシン又はプロテアーゼの基質、特にはカテプシンの基質、例えばAla-Leu-Ala-Leuなど、であるペプチド基であるようなものでありうる。
【0152】
他の好ましい実施多様に従い、Eは、PSMA基質であるペプチド基でありうる。
【0153】
ターゲティングリガンドL
【0154】
本発明に適したターゲティングリガンドは本発明のプロドラッグを器官、組織、又は特異的な細胞に向けるのに有利に役立つ。
【0155】
より特には、本発明に適したターゲティングリガンドLは、本発明のプロドラッグを腫瘍又は悪性細胞に向けるのに有利に役立つ。
【0156】
一つの実施態様に従い、ターゲティングリガンドLはさらに、本発明のプロドラッグの溶解度を調節すること、特には生物学的流体中での溶解度を改善すること、を意図された基Zを含みうる。
【0157】
一つの実施態様に従い、本発明に適したターゲティングリガンドは、L-(Z)n-の形を有してよく、ここで、nは0又は1に等しくてよく、且つ、L及びZは特には以下で定義されたとおりである。
【0158】
ターゲティングリガンドLは、ペプチド、プロテイン、抗体又は抗原を認識する抗体断片、細胞受容体のリガンド、バイオポリマー、単糖、オリゴ糖、ホルモン、ビタミン、デンドリマー、ポリアミン、又はナノ粒子(金属性であってよく又は金属性でなくてもよい)から選択されてよい。
【0159】
本発明に適したターゲティングリガンドLは、例えばインテグリン、ヌクレオリン、N-アミノペプチダーゼ、エンドグリン、血管内皮成長因子受容体、低密度リポタンパク質(LDL)受容体、トランスフェリン受容体、ソマトスタチン受容体、ボンベシン、ニューロペプチドY、黄体形成ホルモン放出ホルモン受容体、葉酸受容体、上皮成長因子(EGF)受容体、形質転換成長因子(TGF)受容体、線維芽細胞成長因子(FGF)受容体、アシアログリコプロテイン受容体、ガレクチン受容体、セレクチン受容体、又はヒアルロン酸受容体を標的とするのに適したリガンドから選択されうる。
【0160】
本発明に適したターゲティングリガンドLは特には、Krat et al. (Chem. Med. Chem., 2008,3:20)に記載されたリガンドでありうる。
【0161】
「バイオポリマー」は生体適合性ポリマーを意味する。本発明に適したバイオポリマーは、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマーでありうる。そのようなポリマーは、本発明のプロドラッグの腫瘍に向けたターゲティングを、該腫瘍の特異的な血管新生に付随する血管透過性・滞留性亢進効果(enhanced permeability and retention effect (EPR))によって確保にすることができる。
【0162】
本発明に適した単糖は例えば、グルコース、ガラクトース、又はマンノースでありうる。
【0163】
本発明に適したオリゴ糖は例えばラクトースでありうる。
【0164】
本発明に適したペプチドは例えば、RGDペプチド、動脈壁に結合するペプチド、EGFに由来するペプチド、又はNGFに由来するペプチドでありうる。
【0165】
本発明に適したタンパク質は例えば、レクチン、例えばコンカナリンA(concanaline A)又はマンナン結合性レクチンなど、セレクチン、ガレクチン、成長因子、例えばVEGF、FGF、又はNGFなど、サーファクタントA及びBのタンパク質、アシアログリコプロテイン、マラリアスポロゾイト周囲タンパク質、又はRapタンパク質でありうる。
【0166】
本発明に適した抗体又は抗原を認識する抗体断片は、例えば、抗CD3抗体、抗CD5抗体、抗CD117抗体、抗ErbB2抗体、IgG、抗HER2抗体、ChCE7抗体、OV-TL16 Fab'抗体、抗PECAM抗体、抗トロンボモジュリン抗体、又は抗Tn抗体、抗CD20抗体、抗CD33抗体、抗CEA抗体、ムチン型(MUC-1、CanAg、Lewis Y、Lewis X)の抗糖タンパク質抗体、抗CT7抗体、抗MAGE抗体、又は抗PSMA抗体でありうる。
【0167】
本発明に適した細胞受容体のリガンドは、例えば、葉酸、ニューロペプチドY、レプチン、EGF、FGF、TGF、若しくはNGFの受容体リガンド、インスリン、合成マンノシル化リガンド、トランスフェリン、又はカテコールアミンでありうる。
【0168】
本発明に適したホルモンは例えば、プロゲステロン、エストロゲン、テストステロン、抗利尿ホルモン、成長ホルモン、又は甲状腺ホルモンでありうる。
【0169】
本発明に適したポリアミンは例えばポリリジンでありうる。
【0170】
本発明に適したナノパーティクルは、例えば、金属ナノパーティクル又は非金属ナノパーティクルでありうる。
【0171】
好ましい実施態様に従い、ターゲティングリガンドLは、細胞受容体のリガンドであってよく、好ましくは葉酸である。
【0172】
実際に、該葉酸受容体は、多くの腫瘍、例えば卵巣、乳房、腎臓、脳、子宮内膜、結腸の腫瘍など、において、又は、白血病において、過剰発現される。しかしながら、それは、健康細胞の表面では、仮にあったとしても、非常にわずかにしか存在しない。
【0173】
一つの実施態様に従い、本発明に適したターゲティングリガンドは、L-(Z)n-の形を有してよく、ここでn=0又は1である。Zは、本発明のプロドラッグの溶解度を調節すること、特には生物学的流体中での溶解度を改善すること、が意図されうる。
【0174】
Z基の種類の選択は、一方では、本発明の自己反応性アームに取り付けられる活性化合物D、不安定基E、及びターゲティングリガンドLの種類により、及び、他方では、調節されるべき該プロドラッグの溶解度パラメータにより、決定される。
【0175】
一つの実施態様に従い、nは0又は1に等しくてよく、且つ、Zは、O又はNから選択された1又はそれより多くのヘテロ原子により中断されていてもよい、線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC1-C10アルキレン基、グリコシル基、O-(CHR3-CHR4-O-)m又はN-(CHR3-CHR4-O-)m基、ここでmは1〜20の自然整数を表し、R3及びR4は互いに独立にH又はCH3を表してよく、ただしR3及びR4は同時にはCH3を表さない、アミノ酸若しくはペプチド由来の基、又はそれらの組み合わせでありうる。
【0176】
一つの実施態様に従い、nは1に等しくてよく、且つ、ZはC1-C5、好ましくはC1-C3のアルキレン基、より好ましくはメチレンでありうる。
【0177】
他の実施態様に従い、nは1に等しくてよく、且つ、Zはグルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、ラクトシル基から選ばれるグリコシル基でありうる。
【0178】
一つの実施態様に従い、Zは上記で定義されたとおりのグリコシル基でありうる。
【0179】
他の実施態様に従い、nは1に等しくてよく、且つ、ZはO-(CHR3-CHR4-O-)m又はN-(CHR3-CHR4-O-)m基であってよく、ここでmは2〜18、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、の自然整数を表す。
【0180】
他の実施態様に従い、nは1に等してよく、且つ、Zはアミノ酸又はペプチドに由来する基でありうる。本発明に適したアミノ酸の例として、チロシンが特に言及されうる。
【0181】
他の実施態様に従い、nは1に等しくてよく、且つ、Zは前に定義された基の組み合わせでありうる。特には、Zは、上記で定義されたとおりのグリコシル基とO-(CHR3-CHR4-O-)m又はN-(CHR3-CHR4-O-)m基との組み合わせでありうる。
【0182】
他の好ましい実施態様に従い、nは0に等しくてよい。
【0183】
プロドラッグの調製
【0184】
一般式(II)を有する化合物は、一般式(I)を有する化合物及び、特には以下で定義されたとおりの、D-v、E-w、及びL-(Z)n-xグループから、当技術分野の当業者に知られている任意の方法によって調製されることができる。
【0185】
特には、一般式(II)を有する化合物は、上記で定義されたとおりの一般式(I)又は(Ia)を有する化合物をD-v、E-w、及びL-(Z)n-xグループと反応させることからなる調製方法によって得られることができ、ここでD、E、及びL並びにZは上記で定義されたとおりであり、且つ、v、w、及びxのそれぞれは、一般式(I)を有する化合物に関して、vが該ベンジル炭素に結合したOH又は該前もって活性化されたOHと反応し、wはXと反応し、且つxがFと反応するように反応性官能基を表す。
【0186】
反応性官能基v、w、及びxは、該D、E、及びL-(Z)nグループに自然に存在してよく、又は、該反応工程の前に、該D、E、及びL-(Z)n基に導入されてもよい。
【0187】
該D、E、及びL-(Z)n基に本発明とって適切な該反応性官能基v、w、及びxを導入する為に、該D、E、及びL-(Z)n基を修飾することは、当技術分野の当業者の技術に属する。
【0188】
特には、v、w、及びxは以下で定義されたとおりである。
【0189】
本発明に従うプロドラッグを調製する為の方法は、
a-一般式(I)又は(Ia)を有する化合物を化合物E-wと反応させること、
b- 工程a-の反応産物を化合物D-vと反応させること、そして
c- 工程b-の反応産物を化合物L-(Z)n-と反応させること、
からなる工程を少なくとも含んでよく、
ここで、一般式(I)又は(Ia)を有する化合物、E-w、D-v、及びL-(Z)n-は、特には以下で定義されたとおりでる。
【0190】
本発明の方法は、各工程a-、b-、及びc-の完了に際して、得られた反応産物の精製工程をさらに含みうる。
【0191】
より特には、本発明の方法の工程a-、b-、及びc-は、特には、以下で定義されるようなものでありうる。
【0192】
一つの実施態様に従い、本発明に従う自己反応性アームは、一般式(I)により表される本発明の化合物をD-vグループと化学的に反応させることからなる少なくとも一つの工程を含む方法により得られることができ、ここでDは前に定義されたとおりのものであり、且つ、vは、一般式(I)を有する化合物に関して、vが該ベンジル基に結合したOHと反応するような反応性官能基である。
【0193】
代替的な実施態様に従い、一般式(I)を有する本発明の化合物のベンジル炭素のOH基への活性化合物Dの化学的な取り付けは、該OH基の活性化の先立つ工程、続いて、D-vグループの該活性化されたOH基との反応の工程を含みうる。
【0194】
一つの実施態様に従い、一般式(I)を有する本発明の化合物のベンジル炭素に結合したOH基は、該化合物の、フェニルクロロホルメート及びその誘導体から選択される化合物、例えばパラ−ニトロフェニルクロロホルメート、ジニトロフェニルクロロホルメート、フルオロフェニルクロロホルメート、又はジイミダゾールのカルボニルなど、との反応により活性化されることができる。
【0195】
一つの実施態様に従い、vは、D-vグループの、一般式(I)を有する化合物のベンジル炭素に結合したOH基又は該予め活性化されたOH基との化学的反応が、該基Dを該ベンジル炭素に結合する-A(CO)O-基の形成をもたらすように選択され、ここでAはOを表してよく、該基はカーボネート官能基であり、又はAはNHを表してよく、且つ該基はカルバメート官能基である。
【0196】
好ましい実施態様に従い、本発明の反応性アームは、上記で示された通りの、該前もって活性化されたベンジル炭素に結合されたOH基と一緒に用いられる。
【0197】
さらに好ましい実施態様に従い、D-vグループは、上記で示されたとおりの、フェニルクロロホルメート又はその誘導体との反応により活性化されたベンジル炭素に結合したOH官能基と反応させられる。
【0198】
好ましくは、vは、該-A(CO)O-基において、AがNHを表すように選択される。
【0199】
該化学的反応が該OH官能基により又は一般式(I)を有する化合物の該ベンジル炭素の活性化されたOH官能基により実施されるかどうかに従い、v基の種類を選択することは、当技術分野の当業者の技術に属する。
【0200】
Dが、上記で定義されたとおりの増幅剤に結合した複数の活性化合物を表す場合、式D-v中のvは該増幅剤のアニリン又はフェノール官能基を表す。
【0201】
一つの実施態様に従い、vはNH2、NHR"、OH、又はSHから選ばれてよく、ここでR"は前に定義されたとおりである。反応性官能基vは、官能性基、例えば-CONHOH、-CONR"OH、-CONH2、-CONHR"、又は-NHOHに存在してよく、ここでR"は上記で定義されたとおりである。
【0202】
他の好ましい実施態様に従い、該活性化合物Dは、フェニルカーボネート及びその誘導体、例えばp-ニトロフェニルカーボネート、ジニトロフェニルカーボネート、フルオロフェニルカーボネート、又はジイミダゾールカーボネートなど、の形にある前もって活性化された本発明の自己反応性アームのベンジルアルコールとカップリングされうる。
【0203】
一つの実施態様に従い、本発明に従う自己反応性アームは、一般式(I)により表される本発明の化合物をE-wグループと化学的に反応させることからなる少なくとも一つの工程を含む方法により得られてよく、ここでEは、前に定義されたとおりであり、且つ、wは、一般式(I)を有する化合物に関して、wがXと反応するような反応性官能基である。
【0204】
一つの実施態様に従い、XがOHを表す場合、wはハライド基、特にはCl又はBr、特にはBrでありうる。
【0205】
他の実施態様に従い、XがNH2を表す場合、wは-COOH又は-OC(O)Cl基でありうる。
【0206】
特定の実施態様に従い、該グリコシル基タイプの該酵素的に加水分解可能な不安定基Eは、本発明の自己反応性アームのフェノール官能基に、化学選択的グリコシル化反応によって、導入されうる。
【0207】
一つの実施態様に従い、本発明に従う自己反応性アームは、一般式(I)により表される本発明の化合物をL-(Z)n-xグループと化学的に反応させることからなる少なくとも一つの工程を含む方法により得られてよく、ここでL、Z、及びnは前に定義されたとおりであり、且つ、xは、一般式(I)を有する化合物に関して、xがFとクリックケミストリー反応によって反応するような反応性官能基である。
【0208】
反応性官能基F及びXの間の該クリックケミストリー反応は、上記で定義された一般式(II)を有する基Gを生じる。基Gの種類は、出発の反応性官能基F及びXの種類に当然に依存する。
【0209】
該クリックケミストリー反応及び反応性官能基F及びXの対は、当技術分野の当業者に知られている。これに関して、Kolb et al. (Angew. Chem. Int. Ed., 2001, 40: 2004)のレビューが参照されうる。
【0210】
一つの実施態様に従い、Fは、-C≡CR'''、-N3、-SH、-C=CH2、シクロオクシチン、マレイミド、-SO2N3、又は-COSR'''から選ばれるクリックケミストリーにより活性化可能な反応性官能基であり、ここでR'''は線状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC1〜C10、特にはC2〜C6、又はC3若しくはC4のアルキル基である。
【0211】
一般式(I)を有する化合物の基Fの種類に従い、基xの種類を選択することは、当技術分野の当業者の技術に属する。
【0212】
一つの実施態様に従い、x及びFは、クリックケミストリーにより活性化可能な反応性官能基の以下の対から選ばれうる、 (-N3, -C≡CR''')、(-SH, -C=CH2)、(-N3, シクロオクチン)、(-SH, マレイミド)、(-SO2N3, -COSR''')、ここでR'''はH又は線状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC1〜C10、特にはC2〜C6、又はC3若しくはC4のアルキル基である。
【0213】
他の特定の実施態様に従い、ターゲティングリガンドL-(Z)n-xは、E基/自己反応性アーム/活性化合物の組み合わせに、クリックケミストリー反応によって、アルキン官能基により、取り付けられうる。
【0214】
出願全体において、すなわち上記で提示された説明及び以下で提示される実施例において、値の範囲に関する表現「・・・〜・・・」は、この範囲の境界を含むと理解されなければならない。
【0215】
以下に与えられる実施例は、本発明の主題を説明する為に与えられ、及び、その範囲を限定すると解釈されてはならない。
【0216】
実施例
【実施例1】
【0217】
1−一般的な合成方法
【0218】
すべての反応は、窒素N2雰囲気において行われた。他に示されない限り、用いられた溶媒は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードである。
【0219】
用いられた化学的試薬は、分析グレードであり、市販の源から得られ、及び、追加的な精製無く用いられる。
【0220】
該反応の進行は、シリカゲルMACHEREY-NAGEL ALUGRAM(商標) SILG/UV254 (0.2 mmのシリカゲル60)により予め覆われたプレートを用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)により監視された。染色は、該プレートの紫外光(254 nm)への暴露後に及び/又は該TLCプレートの100mlエタノール中に3gのリンモリブデン酸を有する溶液中に浸した後にヘアドライヤーにより乾燥することによって可視化された。
【0221】
カラムフラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルMACHEREY-NAGEL 60 (15-40 μm)を固定相として用いて実施された。
【0222】
1H及び13Cの NMRスペクトルは、400 MHzでBRUKER 400 AVANCE III装置で記録された。化学シフト(δ)はテトラメチルシランを内部参照として用いて百万分の一で報告される。結合定数(J)はヘルツ(Hz)で報告される。
【0223】
多重度を示す標準的な省略は以下のとおりに示される:b = ブロード、s = シングレット、d = ダブレット、t = トリプレット、m = マルチプレット。
【0224】
融点は、Buchi Melting Point b-545装置で測定され、及び、補正されていない。
【0225】
ESIマススペクトロメトリーは、レンヌ第一大学のCentre Regional des Mesures Physiques de l’Ouest (CRNPO)により実施された。
【0226】
分析的逆相HPLC(RP-HPLC)は、UV/可視光可変波長検出器及び逆相クロマトグラフィーカラムACCLAIM(商標)(120、C18、251X4.6 mm、5 μm、120 Å)を備えられたDionex Ultimate 3000で、30°C及び1 ml・分-1で、実施された。溶出勾配は、A(水中の0.2% TFA)及びB(CH3CN)から構成された。
【0227】
連結された液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリー(LCMS)分析は、3100マス検出器、WATERS 2695 Separatorモジュール及びWATERS 2489 UV/可視光可変波長検出器、を備えられたWATERS装置により実施された。用いられた逆相クロマトグラフィーの為のカラムは、30°C及び1 ml・分-1での、ACCLAIM(商標)(120、C18、251x4.6 mm、5 μm、120 Å)カラムであった。溶出勾配は、A(水中の0.2% TFA)及びB(CH3CN)から構成された。
【0228】
分取逆相HPLCは、VARIAN PREPSTAR装置により実施された。20ml・分-1の溶媒流速が、VARIAN Dynamax semi-preparative カラム(250x21.4 mm Microsorb 100-5 C18)に適用された。溶出勾配は、A(水中の0.2% TFA)及びB(CH3CN)から構成された。
【0229】
方法1 (HPLC及びLCMS分析について): A/B = 80/20 V/Vで出発し、A/B = 70/30 V/Vに20分で到達する直線勾配、及び、次に、20分間、一定に保たれた。
【0230】
方法2 (分取HPLCについて):A/B = 80/20,V/Vで出発し、A/B = 70/30, V/Vに20分で達する直線勾配。
【0231】
2- 化合物(7)DOX-GAL-AFの合成
【0232】
2a- 化合物(1)の調製
【化11】
【0233】
250 mLの三つ首丸底フラスコ中に、648mg (24 mmol、1当量)のアルミニウム及び触媒量のHgCl2が、前もって蒸留されたTHF (10 mL)により覆われる。2.6 mL (24 mmol、1当量)の純粋なプロパルギルブロミドが、反応が始まるまで添加される(該フラスコ中における沸騰の様子及び該溶液の暗色化)。該添加が完了したら、それは還流で6時間おかれる。次に、該溶液は、0°Cに冷却され、そして、5mLの蒸留されたTHF中の650 mg (3.84 mmol)の4-ヒドロキシ-3-ニトロベンズアルデヒドから構成される溶液が一滴ずつ添加される。30分の攪拌後、出発物が完全に消失し、次に、反応物が10 mLのHCl (1N)により加水分解され、そして次に、EtOAcにより3回抽出される。有機相が、MgSO4で乾燥され、そして次に、蒸発乾燥されて、茶色の油を生じ、これがフラッシュクロマトグラフィー(70/30, EP/EtOAc)により精製され、黄色い油を与え、これが30 mLのジクロロメタン中に薄められる。この有機相がNaOH (1N)により3回洗浄される。水性相が、濃厚HClにより酸性化され、そして、クロロホルムにより3回抽出されて、蒸発後に、化合物1を、茶色の油の形で、94%の収率で生じる(754 mg, 3.6 mmol)。
【0234】
【0235】
2b- 化合物(2)の調製
【化12】
【0236】
200 μL (0.7 mmol)のHMTTA及び1.0 gの Ag2CO3 (3.7 mmol)が、1.5 mLのアセトニトリル中に溶解された。この溶液が、2時間攪拌され、そして次に、209 mg (1 mmol)の1及び830mgの臭素化ガラクトース (2 mmol)が連続して添加される。4時間の攪拌後、蒸留水が添加され、その後、EtOAcにより抽出が3回行われる。有機相があわせられ、そしてHCl溶液(1N)により洗浄される。MgSO4での乾燥及び蒸発乾燥後、産物がフラッシュクロマトグラフィー(60/40%, 50/50及び40/60 EP/EtOAc)により精製されて、453 mgの産物2を、黄色い油の形で(0.84 mmol)、収率84%で与える。
【0237】
【0238】
2c-化合物(3)の調製
【化13】
【0239】
453 mg (0.84 mmol, 1当量)のベンジルアルコール2及び339 mg (1.68 mmol, 2当量)のパラ-ニトロフェノールクロロホルメートが、10 mLのDCMに溶解される。該溶液が、0°Cに冷却され、そして次に、230 μLのピリジン(2.1 mmol, 2,5当量)が添加される。出発物の完全な消失後、蒸留水が該媒体に添加され、次に、ジクロロメタンによる抽出が3回行なわれる。有機相が、MgSO4で乾燥され及び蒸発乾燥される。フラッシュクロマトグラフィー(60/40及び50/50 EP/EtOAc)が行なわれて、384 mgの化合物3(0.55 mmol)を、黄色い固形物の形で、収率65%で、分離する。
【0240】
【0241】
2d- 化合物(4)の調製
【化14】
【0242】
702 mg (1 mmol)のニトロフェノール3及び580 mg (1 mmol)のドキソルビシン塩酸塩が15 mLのDMF中に溶解される。350μLのトリエチルアミン(2.5 mmol)が、該媒体に添加される。該溶液が一晩攪拌され、次に、25 mLの飽和したNaCl溶液が添加され、そして、該混合物がジクロロメタンにより3回抽出される。有機相が、MgSO4で乾燥され及び蒸発される。産物が、フラッシュクロマトグラフィー(1.5/98.5, 3/97及び4/96 MeOH/DCM)によりシリカゲル上で精製される。化合物4が、赤い固形物の形で、収率50%で分離される(554 mg, 0.50 mmol)。
【0243】

【0244】
2e- 化合物(5)DOX-GALの調製
【化15】
【0245】
104 mg (94μmol, 1当量)のプロドラッグ4が、34 mLのMeOH及び6 mLのDCM中に薄められる。該溶液が、クライオスタットを用いて-15°Cに冷却される。79 mg(1.5 mmol, 16当量)のMeONaが該媒体に添加される。該溶液が、2時間15分〜2時間30 分の間、-15°Cで攪拌され、そして次に、出発物の完全な消失後、該媒体が、酸性樹脂(IRC 50)により20分間中和される。該混合物が、コットンでろ過され、MeOHでリンスされ、次に蒸発乾燥される。フラッシュクロマトグラフィー(6/94, 10/90 及び15/85 MeOH/DCM)により精製が行なわれて、71mgの産物5 (75 μmol)を赤い固形物の形で、収率80%で分離する。
【0246】
【0247】
2f- 化合物(6)の調製
【化16】
【0248】
2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタンアミン(0.3 ml,1.2, 当量) (市販入手可能であるか又はSchwabacher et al., J. Org Chem. 1998, 63: 1727により記載されたとおりに調製される)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) (650 mg, 2.5 当量)が、 DMSO (20 ml)及びピリジン(10 ml)中の葉酸無水物(600 mg, 1.26 mmol)の溶液に添加された。該反応混合物が一晩、暗所で、環境温度で攪拌され、ジシクロヘキシルウレア(DCU)の沈殿の形成を生じた。該沈殿の除去後、ろ液が、0°Cに冷却された無水エーテル(400 ml)の溶液中に注がれた。このよう得られた黄色い沈殿物が、ろ過により回収され、そしてEt2Oにより洗浄されて、微量のDMSOを除去した。該沈殿物のHPLC分析(方法1)が、2つの異性体6a及び6bが7 / 3の割合で得られることを示した。該固形物(812 mg)が、 溶液 (8 ml)、 8:2:0.3:0.3の H2O/ACN/DMSO/Et3N、中に溶解され、そして逆相分取HPLC (方法2)により精製された。分離不可の異性体6a及び6bを含む画分が、減圧下で濃縮された。次に、残留物が、還流下でメタノール中に溶解され、そして、0°Cに冷却されたEt2Oの溶液に注がれた。該沈殿物がろ過により回収され、そして、Et2Oにより洗浄されて、黄色い粉末を生じた(240 mg,30%)。
【0249】
【0250】
2g- 化合物(7)(DOX-GAL-AF)の調製
【化17】
【0251】
アスコルビン酸ナトリウム(10.5 mg, 2当量)及びCuSO4 (4 mg, 0.6当量)が、10%の水を含むDMSO (1.5ml)中の化合物(5) (25 mg, 26 μmol)及び化合物(6) (16 mg, 0.95 当量)の溶液に添加された。該溶液が環境温度で攪拌され、そして、反応が、HPLC(方法1)により追われた。次に、CuSO4(2 mg, 0.3 当量)の3つのフラクションが定期的に、化合物(6)の消失まで添加された。6時間後、該反応混合物が、MeOH (2 ml)により希釈され、そして、0°Cに冷却されたエーテル溶液中に注がれた。このようにして得られた沈殿物がろ過され、そして、MeOH及びEt2Oにより洗浄されて、紫色の粉末を生じた(40mg)。この固形物が、0°CでDMSO (1 ml)中に溶解され、及び、ホスフェートバッファー(1 ml, 0.2 M, pH 7)中のEDTA. 2Na.2H2O(56 mg, 6当量)の溶液に溶解された。該溶液が環境温度で5時間攪拌された。次に、色が赤に変わった。該溶液がろ過され、そしてろ液が、MeOHにより希釈され、そして0Cのエーテルに注がれた。次に、得られた沈殿がろ過され、そして、MeOH及びEt2Oにより洗浄されて、化合物(7) (30 mg, 75%)を赤い粉末の形で生じた。HPLC分析(方法1)が、化合物(7)(DOX-GAL-AF)の4つの異性体に対応する4つのピーク(保持時間: 23.7分、24.4分、25.3分、及び26.1分)を明らかにした。
【0252】
【実施例2】
【0253】
化合物(7) DOX-GAL-AFの選択性
【0254】
化合物(7)が、2つの細胞株、HeLa細胞(葉酸受容体(FR)を発現する)及び、これらの受容体をほとんど又は全く発現しないA549細胞、に対して試験された。
【0255】
HeLa及びA549細胞は、10%ウシ胎仔血清(InVitrogen)を補われたRPMI 1640培地中で、37 °Cで、5% CO2を含む雰囲気で培養された。
【0256】
共焦点顕微鏡実験の為に、該細胞は、ガラス底のボウル中で培養された。
【0257】
細胞は、1 μmの葉酸の存在下又は不在下で1時間インキュベートされ、その後、バッファー溶液(対照)、又は10 μMのドキソルビシン、又はドキソルビシン-ガラクトース(DOX-GAL)複合体(化合物(5)、10 μMの濃度で)、又は化合物(7)(DOX-GAL-AF)(10 μMの濃度で)、又は葉酸の存在下における化合物(7)(それぞれの濃度10 μMで)により処理された。
【0258】
処理後、細胞はPBSによりリンスされ、そして、PBS-3.7%ホルムアルデヒド溶液により20分間、室温で固定された。
【0259】
該固定された細胞が、PBSによりリンスされ、次に、DAPI(Victor Laboratories Inc., Abcys, パリ、フランス)の存在下のVectashield Mediumを堆積され、次に共焦点顕微鏡(FV 1000, Olympus IX-81, 東京, 日本)下の観察が行なわれた。励起波長405 nm及び488 nmが、DAPI について青(450nm)で及びドキソルビシンについて赤(590 nm)で像を得る為に、それぞれ用いられた。
【0260】
化合物(5)及び(7)並びに葉酸(AF)の存在下の化合物(7)のドキソルビシンのエンドサイトーシスによる内部移行が、共焦点顕微鏡により、Hela細胞及びA549細胞においてドキソルビシンの蛍光を用いて、監視された。
【0261】
この研究において得られた結果が図9に与えられる。
【0262】
該結果は、化合物(7) DOX-GAL-AFがHela細胞に内部移行されるだけである一方で、ドキソルビシン(DOX)が該2つの細胞株の膜を通って非特異的に進入すること、及び化合物(5) DOX-GALが細胞株のいずれにも内部移行されないことを示す。
【0263】
さらに、培養培地が前もって葉酸により飽和された場合、化合物(7) DOX-GAL-AFの存在下でインキュベートされたHela細胞中のドキソルビシンの細胞内蛍光が、明らかに減衰される。
【0264】
全体の結果は、化合物(7) DOX-GAL-AFが、葉酸受容体を発現する標的細胞におけるドキソルビシンの選択的且つ特異的な内部移行を許すことを実証する。
【実施例3】
【0265】
化合物(7) DOX-GAL-AFの毒性
【0266】
化合物(7) DOX-GAL-AFのエンドサイトーシスの後に細胞内媒体中で該薬剤の放出が行なわれることを確認する為に、増殖試験が、増大する濃度(0〜1000 nM)のドキソルビシン(DOX)、化合物(5) (DOX-GAL)、及び化合物(7) (DOX-GAL-AF)の存在下で4日間インキュベートされたHela及びA549細胞に対して行なわれた。
【0267】
細胞増殖キットII (XTT; Roche)が、細胞増殖を評価する為に用いられた。該キットは、製造者の推奨に従い用いられた。
【0268】
簡潔に言うと、3x103細胞/ウェルが、96培養プレート上で、そして次に、100 μlの培地中に置かれた。
【0269】
細胞が、前に示されたとおりに培養された。
【0270】
細胞は、該示された濃度で試験された化合物の添加前に、24時間培養された。
【0271】
4日の処理後、50 μlのXTTマーキング混合物がウェルに添加された。次に、細胞が4時間37°Cでインキュベートされ、その後、吸収が480 nmで決定された。
【0272】
図3(A及びB)に示された結果は、化合物(7) DOX-GAL-AF(黒い三角、実線)がHela細胞の増殖を抑制し(0.1 μM < IC50 < 0.2 μM) (図3A)、一方でそれは、A549細胞に対する毒性を有さない(図3B)ことを示す。
【0273】
対照的に、化合物(5) (DOX-GAL)(黒い四角、実線)は、該2つの細胞株に対して効果が無く、及び、ドキソルビシン(黒い丸)は、これら2つの細胞株の増殖を抑制する。
【0274】
化合物(7) DOX-GAF-AFの酵素活性化が細胞環境において有効に起こることができることを確認する為に、細胞毒性試験が、前もってβ-ガラクトシダーゼ(E. coli) (40 U.mL-1) を補われた培養培地中で、繰り返された(点線の曲線)。
【0275】
この場合に、化合物(7)は、同様の抗増殖活性を、該二つの細胞株(葉酸受容体を発現するHeLa及びこの受容体を発現しないA589)に対して、同じ抗増殖活性を発揮する。
【0276】
それ故に、本発明は特に、新規の自己反応性アーム、該標的組織を選択的に処置するように設計されたそのようなアームを含む新規プロドラッグに関する。特に、本発明は、健康な器官に影響すること無く、腫瘍を選択的に破壊するように設計された新規抗ガン剤に関する。
【0277】
本発明は有利には、標的細胞に及び標的細胞の微小環境に特異的に向けられることができるプロドラッグの使用により、治療的ターゲティング及び改善され及びより有効な診断を許す。
【0278】
より特には、本発明は、一方で腫瘍細胞を標的とすることができ、及び、他方で該腫瘍細胞の微小環境を標的することができる新規の抗ガンプロドラッグに関する。
【0279】
本発明はまた、本発明の自己反応性アームの特異的な反応性により新規プロドラッグを合成するための方法に関する。本発明の該合成方法は、本発明に従うプロドラッグの広い範囲への簡単且つ効果的なアクセスを許す。
【0280】
本発明のプロドラッグは有利には、標的とされたいない細胞又は組織に対して何も効果を有さない。
【実施例4】
【0281】
デンドリマー状ベクター(221)の合成
【0282】
化合物227の調製
【化18】
【0283】
混合されたカーボネート222(100 mg, 0.142 mmol)及びアニリン117(43.6 mg, 0.285 mmol, 2 当量)が、2 mLのDMF中に希釈される。HOBt(19.2 mg, 0.142 mmol, 1当量)が、該媒体に添加される。該溶液が、3時間50°Cで攪拌される。次に、該DMFが、減圧下で蒸発される。フラッシュクロマトグラフィー(50/50, 75/25EtOAc/EP)による精製が行なわれて、産物227を白い泡の形で、98%の収率で分離する (100 mg, 0.139 mmol)。
【0284】
【0285】
化合物228の調製
【化19】
【0286】
ジアルコール227(335 mg 0.47 mmol)(3 mLのDCM中の溶液における)が、0°Cで6 mLのDCM中のパラ-ニトロフェニルクロロホルメート(376 mg, 1.87 mmol, 4当量)及びピリジン(151.3 μL, 1.87 mmol, 4 当量)の溶液に添加される。1時間の攪拌後、反応混合物が、飽和したNaCl溶液により加水分解され、そして次に、DCMにより3回抽出される。次に、該反応混合物が、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液: MeOH/DCM: 0/1及び1/99)により精製されて、化合物228を白い泡の形で、89%の収率で生じる(441 mg, 0.42 mmol)。
【0287】
【0288】
化合物229の調製
【化20】
【0289】
ドキソルビシン塩酸塩(119.7 mg, 0.206 mmol, 2当量)が、1 mLのDMF中に溶解される。トリエチルアミン(28.7 μL, 0.206 mmol, 2 当量)が添加され、そして、該混合物が環境温度で20分間攪拌される。HOBt (27.8 mg, 0.206 mmol, 2当量)が次に添加され、1 mLの DMF 中のカーボネート228 (108 mg, 0.103 mmol)の溶液が続いて添加される。環境温度での3時間の攪拌後、反応混合物が飽和したNaCl溶液により加水分解され、そして次に、DCMにより4回及びEtOAcにより1回抽出される。フラッシュクロマトグラフィー(0/1, 1/24: MeOH/DCM)による精製が行なわれて、産物229を赤い粉末の形で、収率62%で分離する。(119 mg, 0.064 mmol)
【0290】

【0291】
化合物225の調製
【化21】
【0292】
該保護された化合物229(156 mg, 84 μmol)が、6mLのDCM及び10 mLのMeOH中に溶解される。ナトリウムメタノラート(72.6 mg, 1.34 mmol,16 当量)が、-15 °Cで攪拌しながら添加される。該混合物が、-10 °Cで5時間攪拌される。出発化合物の完全な消失後、該媒体が酸性樹脂(IRC 50)によって15分間中和される。該混合物が、コットンでろ過され、MeOHによりリンスされ、次に蒸発乾燥される。フラッシュクロマトグラフィー(5/95,10/90 MeOH/DCM)による精製が行なわれて、産物225 (115 mg, 68 μmol)を、赤い固形物の形で、収率81%で分離する。
【0293】
【0294】
化合物221の調製
【化22】
【0295】
化合物225 (30.0mg, 17.7 μmol)が、700 μlのDMSOの混合物に溶解される。該フォレート化合物223 (11.4 mg, 17.7 μmol)、硫酸銅(2.2 mg, 8.9 μmol, 0.5 当量)、及び、ホスフェートバッファー(pH 7、0.2M)中の300 mLのアスコルビン酸ナトリウム(3.5 mg, 17.7 μmol)の溶液300mLが添加される。一晩の環境温度での攪拌後、反応混合物が、メタノール中に溶解され、そして次に、冷却されたジエチルエーテル中に注がれる。沈殿がろ過され、そして次に、1 mLのホスフェートバッファー、pH 7、0.2M、中のEDTA.2Na (41.2 mg, 4当量)により脱複合体化される。環境温度での2時間の攪拌後、反応混合物が、メタノール中に溶解され、そして次に、冷却されたジエチルエーテル中に注がれる。ろ過後、産物221 (11 mg, 4.7 μmol)が、赤い粉末の形で得られる。セミ分取HPLCによる精製が行なわれて、化合物221を、4つの異性体の形で、89%の純度で得る。
【0296】
【実施例5】
【0297】
デンドリマー状ベクター(221)の毒性
【0298】
デンドリマー状ベクター(221)の有効性が、化合物(7) DOX-GAL-AFのものと及びドキソルビシン単独のものと、ガン細胞の株LAMタイプKG-1について、比較された。
【0299】
3x103細胞/ウェルが、96カルチャープレートに置かれ、そして次に、 20%ウシ胎仔血清(InVitrogen)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補われた100 μlの修正Dulbecco Iscove培地中に、37°Cで、5% CO2を含む雰囲気で、置かれた。細胞が24時間培養され、その後、試験される化合物の添加が行なわれる。
【0300】
細胞が、増加する濃度 (0〜2000nM)のドキソルビシン(DOX)、化合物(7)(DOX-GAL-AF)、及びデンドリマー状ベクター(221)の存在下で、4日間インキュベートされる。
【0301】
4日の処理後、細胞の生存能力が、Cell Proliferation Kit II(XTT; Roche)(製造者の推奨に従い用いられた)により、ウェル当たり50 μlのXTTマーキング混合物の添加により、試験された。この試験は、代謝的に活性な細胞によるXTTの開裂に基づき、オレンジ色のホルマザンプローブの産生を結果としてもたらし、これが分光測定により定量されることができる。
【0302】
細胞がさらに、追加の3時間、37°Cでインキュベートされ、その後、480 nmでの吸収の測定が行なわれた。IC50値が図によって決定された。
【0303】
図5に示される結果は、デンドリマー状ベクター(221) (四角)が、化合物(7) (三角)よりも約4〜5倍だけ、LAMタイプKG 1細胞の生存能力を減少すること(0.1 μM < IC50< 0.15 μM vs IC50 = 0.5 μM) (図5)、及びドキソルビシンのもの(丸)とほとんど等しいことを示す。
【0304】
デンドリマー状ベクター (221)は、一つのターゲティングリガンド(葉酸)についての2分子のドキソルビシンを含む。化合物(7)と比べて、このベクターは、標的細胞又は腫瘍微小環境において2倍の量の薬剤の放出をもたらすことができる。すなわち、比 [放出される薬剤の数/ターゲティングリガンドの数]の増加のおかげで、デンドリマー状ベクター(221)は、葉酸受容体を発現するガン細胞に対してより有効である。さらに、比[放出される薬剤の数/酵素基質の数]の増加が、より高い細胞毒性活性を、酵素的事象の数の変化無しに、得るために役立つ。






図1
図2
図3
図4
図5
図6