特許第6223828号(P6223828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デ,ロシェモント,エル.,ピエールの特許一覧

特許6223828モノリシックに集積した量子ドット装置を有する半導体チップキャリア及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223828
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】モノリシックに集積した量子ドット装置を有する半導体チップキャリア及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20171023BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 29/80 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 29/66 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 21/208 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H01L29/06 601N
   H01L29/78 655A
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 301B
   H01L29/06 601W
   H01L29/80 A
   H01L29/80 H
   H01L29/66 T
   H01L21/208 Z
【請求項の数】20
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-537841(P2013-537841)
(86)(22)【出願日】2011年11月3日
(65)【公表番号】特表2014-502417(P2014-502417A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】US2011059236
(87)【国際公開番号】WO2012061656
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/409,846
(32)【優先日】2010年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507101598
【氏名又は名称】デ,ロシェモント,エル.,ピエール
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ,ロシェモント,エル.,ピエール
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−310386(JP,A)
【文献】 特開2010−206004(JP,A)
【文献】 特開2010−067803(JP,A)
【文献】 特開2009−267190(JP,A)
【文献】 特表2002−526945(JP,A)
【文献】 特開2008−004791(JP,A)
【文献】 特開平10−335496(JP,A)
【文献】 特開2005−064200(JP,A)
【文献】 特表2007−523754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 29/78
H01L 29/792
H01L 29/80
H01L 31/04
B82B 1/00
B82B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その物質本体内の3物理次元全体に沿って10.6nmよりも大きい距離を超えて機能する量子井戸の自由電子ガス特性を形成し、粒状量子井戸の均一な三次元アセンブリを備える三次元多結晶半導体物質であって、各粒状量子井戸は、
50nm以下の公称最大粒径を有するとともに前記粒状量子井戸内全体に亘って原子スケールの化学均一性を有する個々の結晶粒を形成する半導体主要成分と、
前記粒状量子井戸内の前記主要成分を包囲し、隣接する結晶粒内の前記半導体主要成分間にエネルギーの粒界を形成する副成分と、
を含み、
前記粒界を形成する副成分は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であり、前記金属ハロゲン化物は、周期表の第1(I)族からのアルカリ元素若しくは第2(II)族のアルカリ土類元素、又は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含み、
前記三次元の粒状量子井戸のアセンブリは、多結晶半導体物質を形成し、均一なナノスケールの微細構造及び粒サイズを有することを特徴とする三次元多結晶半導体物質。
【請求項2】
前記副成分のモル濃度が、前記多結晶物質の0.0001mol%から0.75mol%の間であることを特徴とする請求項1に記載の物質。
【請求項3】
前記結晶粒を含む主要成分は、シリコン、ゲルマニウム、スズ又はそれらの混合であることを特徴とする請求項1に記載の物質。
【請求項4】
前記絶縁又は半絶縁物質は、前記多結晶粒を含む半導体物質のバンドギャップよりも大きいエネルギーバンドギャップを有することを特徴とする請求項に記載の物質。
【請求項5】
前記結晶粒を備える主要成分は、III−V化合物半導体物質であり、且つ、前記境界を形成する副成分は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であり、前記金属ハロゲン化物は、第1(I)族からのアルカリ元素、又は、アルカリ金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の物質。
【請求項6】
前記結晶粒の主要成分は、II−VI化合物半導体であり、且つ、前記境界を形成する副成分は、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、スズ又はそれらの混合であることを特徴とする請求項1に記載の物質。
【請求項7】
前記多結晶半導体物質によって形成された自由電子ガスは、全ての方向において50nmよりも大きい距離に及ぶことを特徴とする請求項1に記載の物質。
【請求項8】
前記多結晶物質は、能動装置にモノリシックに集積されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の物質。
【請求項9】
前記能動装置は、電界効果トランジスタ、光電装置又は光子装置であることを特徴とする請求項に記載の物質。
【請求項10】
半導体キャリアであって、
当該半導体キャリアにモノリシックに集積される多結晶半導体層を含む能動装置を備え、
前記多結晶半導体層は、粒状量子井戸の均一なアセンブリを備え、
前記粒状量子井戸は、原子スケールの化学的均一性を有し、且つ、エネルギーバリアを形成するとともに2nmから10nm厚である副成分の粒界物質によって包囲される20nmから50nmの範囲の最大物理寸法を有する半導体主要成分の粒をさらに備え、
前記粒状量子井戸内の量子サイズ効果が、前記多結晶半導体層の全空間方向に亘って量子井戸の自由電子ガス特性を誘導し、
前記粒を含む半導体主要成分は、III−V化合物半導体物質であり、且つ、前記粒界物質を形成する副成分は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であり、前記金属ハロゲン化物は、第1(I)族からのアルカリ元素、又は、アルカリ金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含むことを特徴とする半導体キャリア。
【請求項11】
前記能動装置は、電界効果トランジスタ、光電装置又は光子装置であることを特徴とする請求項10に記載の半導体キャリア。
【請求項12】
前記能動装置は、その表面にモノリシックに集積された受動ネットワーク回路を有する出力管理モジュールを備えることを特徴とする請求項10に記載の半導体キャリア。
【請求項13】
前記能動装置は、前記キャリア表面に搭載された半導体ダイを備えることを特徴とする請求項10に記載の半導体キャリア。
【請求項14】
当該半導体キャリアは、半導体基板を備え、前記半導体基板は、前記キャリア基板内に集積された能動回路、及び、前記キャリア基板上にモノリシックに集積された受動ネットワーク回路を有することを特徴とする請求項10に記載の半導体キャリア。
【請求項15】
2nmから10nm厚である粒界物質によって包囲される20nmから50nmの範囲の最大物理寸法を有する半導体結晶粒を含むナノスケールの多結晶アセンブリから構成された半導体層を製造する方法であって、前記多結晶粒内の量子サイズ効果が、量子井戸の自由電子ガス特性を誘導し、
当該製造方法は、
元素半導体又は所望の化合物半導体化学量論からなる主要相の多結晶粒を形成するために適切な化学量論比を有する低揮発性液体有機金属前駆体の溶液を形成するステップと、
前記主要相の多結晶粒の粒界に、絶縁、半絶縁又は半導体第2層物質を形成するために適切な化学量論比を有する、0.0001mol%から0.5mol%の範囲の濃度で前記溶液にドーパントを加えるステップと、
前記多結晶粒内に必要な濃度の前記主要相の多結晶粒の、前記ドーパント前駆体を前記溶液に加えるステップと、
前記半導体層が形成される基板を250℃から500℃の範囲の温度に加熱するステップと、
原子スケールで化学的に均一である化学量論的精度を有するアモルファス堆積物を形成するように、不活性又は還元ガス雰囲気中で前記基板上で不揮発性有機金属前駆体を同時に分解するステップと、
前記堆積物から有機残渣物を除去するように前記アモルファス堆積物をベークするステップと、
最小で5秒間、イオン化アルゴンプラズマ内で、40℃と400℃の間の基板温度、且つ、1500mTorrから5000mTorrの範囲の圧力で、50Wから300Wの適用電力を使用して前記ベークした堆積物をアニーリングするステップと、
前記イオン化アルゴンプラズマに窒素、及び/又は、二酸化炭素及び一酸化炭素の還元分圧比を選択的に加えるステップと、を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項16】
前記結晶粒を含む半導体物質は、シリコン、ゲルマニウム、スズ又はこれらの任意の混合であることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記粒界物質は、金属ハロゲン化物からなる絶縁体、半絶縁体又は半導体物質であり、前記金属ハロゲン化物は、周期表の第1(I)族からのアルカリ元素若しくは第2(II)族のアルカリ土類元素、又は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含むことを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記絶縁又は半絶縁物質は、前記多結晶粒を含む半導体物質のバンドギャップよりも大きいエネルギーバンドギャップを有することを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記多結晶粒を含む半導体物質はIII−V化合物半導体物質であり、且つ、前記境界物質は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であり、前記金属ハロゲン化物は、第1(I)族からのアルカリ元素、又は、アルカリ金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含むことを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項20】
前記多結晶粒を含む半導体物質は、II−VI化合物半導体であり、且つ、前記粒界物質は、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、スズ又はそれらの混合であることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年11月3日に出願された「完全集積型シリコンキャリアにおける量子ドット電界効果トランジスタ及びその製造方法」と題する米国仮特許出願第61/409,846号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般的に、三次元電子ガスの特性を表す、ナノメートル寸法のスケールで構造的に設計され、且つ、化学的にエンジニアリングされたバルク半導体物質に関し、特には、キャリア表面にモノリシックに集積された他の能動的な電気又は光電子装置を有する、より大きいマイクロ電子システムを備える追加の半導体ダイを電気的に相互接続することに使用される半導体キャリア内にこれらのユニークな半導体物質を組み込むことに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、特に、ナノスケールの多結晶粒(又はグレイン)の均一な分布を含むバルク半導体物質に関し、半導体物質のナノスケールのテクスチャがバルク半導体に三次元(3D)電子ガスの電気又は光学特性(ここに「一般の誘電特性(general dielectric properties)」と称される)をバルク半導体に付与する多結晶粒内に量子サイズ効果を誘導するように、多結晶粒の径がナノメートルの物理寸法に制限される。本発明のさらなる特定の実施形態は、導電又は絶縁物質をナノスケールの多結晶粒の粒界(粒子境界)に拡散する方法及び工程に関する。
【0004】
本発明は、一般的に、能動的な電子、光子又は光電子装置のモノリシックアセンブリ(集積体)に関し、該装置は、より洗練されたマイクロ電子システム内に様々な追加の半導体ダイを電気的に相互接続することに使用される半導体チップキャリアに対して、3D電子ガスの一般的な誘電特性を示す50nmよりも大きい厚みを有する半導体物質の層を備える。このような様々な能動的な電子又は光電子装置は、これに限定されないが、高出力(電力)密度/高速出力管理回路、安定クロック発生器、電子信号モジュレータ、光学センサ、光出力発生器、光信号発生器及び/又はモジュレータ又は熱電気システムを含むことができる。
【0005】
1.先行技術の説明
T.J.Phillips等(US7173292)、(以後、Phillips‘292)は、逃走電流(アバランシェ降伏)を教示する。量子井戸電界効果トランジスタ(QWFET)を形成することによって、軽減されるか又は実質的に排除される狭いバンドギャップ半導体物質に適用される変調ドープ電界効果トランジスタ(MODFET)又は高電子モビリティ(HEMT)トランジスタ内の衝突イオン化によって当該逃走電流が引き起こされる。量子井戸FETは、1又は複数の広いバンドギャップの半導体を備える多層構造からなる(図1及び2参照)。図1は、QWFET1の垂直断面を示し、当該QWFET1は、2つの広いバンドギャップ半導体層3、4の間に組み込まれた量子井戸領域2を備える。量子井戸領域2は、複数の異なる半導体層5、6、7からなる。中央層6は、半導体物質5、6によって境界される第1伝導チャネルを形成する。該半導体物質5、6は、広いバンドギャップ半導体層3、4のバンドギャップ24、25よりも小さいが、第1伝導チャネル6を形成する層内に使用される半導体物質のバンドギャップ23よりも大きい半導体バンドギャップ21、22を有する第2伝導チャネルを形成する。図2は、図1のX−X’で定められる断面視で示された積層半導体構造の代表的なエネルギーバンドギャップダイアグラム20を示す。
【0006】
電界効果装置は、2つの導電ドープソース8及びドレイン9領域の間に量子井戸領域2を挿し込むことによって作成される。そして、ゲート電極10に適用された電気バイアスは、それがドレイン電極12によって制御されるとき、ソース電極11に供給された変調電流に使用される。QWFET装置において利用可能な高電荷キャリアモビリティ(移動度)は、250GHzから1THzの間の範囲で報告された高いスイッチング速度を可能とし、そして、高いスイッチング速度システム又はミリ波通信システムにおいて価値を有する。
【0007】
QWFET装置では、中央層6は、第1伝導チャネル内に含まれる量子井戸内の量子化効果を通して2D電子ガスを形成するのに十分に薄い(20−50nm)必要がある。量子井戸28を形成する、中央層6のナノメートルスケールの厚み及び半導体層5、7に接触することによって形成されるバンドエッジ26、27の高さによって量子化効果が生成される。これら量子化効果は、高い電子モビリティの2電子ガスの不連続な(ディスクリート)エネルギー準位を形成する。半導体層5、7は、より高いイオン化閾値を提供する。当該イオン化閾値は、中央層6内の第1伝導チャネルにおける電流フローが衝突イオン化プロセスを通してアバランシェ降伏を受けることを防止する。第1チャネルに使用される低バンドギャップ半導体物質の例は、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジウム(InAs)、インジウムヒ素アンチモン(InAs(1−y)Sb)、インジウムガリウムアンチモン(In(1−x)GaSb)及び/又はインジウムガリウムヒ素(In(1−x)GaAs)である。
【0008】
2.用語の定義
本明細書において、「能動コンポーネント(active component)」という用語は、動作するための電力を必要としかつ電力利得を生み出すことができる電気回路の一素子としてのその従来の定義を指すものと理解される。
【0009】
本明細書において、「アルカリ金属」という用語は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びフランシウムを含む周期表のIA族の金属元素の群を意味する従来の定義を指すものと理解される。
【0010】
本明細書において、「アルカリ土類金属」という用語は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムを含む周期表のIIA族の金属元素の群を意味する従来の定義を指すものと理解される。
【0011】
本明細書において、「非晶質(アモルファス)物質」という用語は、原子の周期格子を含まない、または中距離(数十ナノメートルを超える距離)から長距離(数百ナノメートルを超える距離)までの結晶秩序を欠く物質を意味するものと理解される。
【0012】
本明細書において、「化学的複雑性」、「組成の複雑性」、「化学的に複雑な」または「組成的に複雑な」という用語は、金属または超合金、化合物半導体、または周期表からの3つ以上の元素より成るセラミック等の物質を指すものと理解される。
【0013】
本明細書において、「チップキャリア(chip carrier)」という用語は、配線エレメントと、チップキャリア表面に実装される1つまたは複数の集積回路とこれらの集積回路が接続され得るより大きい電気システムとの間で電気信号をルーティングする能動コンポーネントとを含む、半導体基板内に埋め込まれる相互接続構造体を指すものと理解される。
【0014】
本明細書において、「電子ガス(electron gas)」という用語は、トンネルプロセスを介して修飾固体(modified solid)内で自由に移動可能であり、且つ、それらが類似の非修飾固体において通常有するよりも高い移動性を有する電子(又は正孔)の集合(collection)であって、そこでは、固体の修飾(典型的にはナノスケールの積層)によって生成された量子化効果が、量子エネルギー井戸を引き起こし、当該量子エネルギー井戸は電子(正孔)の輸送特性を支配及び定義すると共に量子エネルギー井戸内に配置された電子(正孔)間の相互作用を最小化する、一般的に認められている電子(又は正孔)の集合として定義を指すものと理解される。
【0015】
本明細書において、「FET」という用語は、絶縁ゲート電極に印加される電圧が、ソース電極とドレイン電極との間の電流を変調するために使用される絶縁体を介して電界を誘導する、一般的に認められているその電界効果トランジスタという定義を指すものと理解される。
【0016】
本明細書において、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素及びアスタチンを含む周期表のVIIA族の非金属元素の群を意味する従来の定義を指すものと理解される。
【0017】
本明細書において、「ハロゲン化された(halogenated)」という用語は、ハロゲンと共に処理又は結合された分子又は物質を意味する従来の定義を指すものと理解される。
【0018】
本明細書において、「集積回路(integrated circuit)」という用語は、多数、極めて多数または超多数のトランジスタ素子が中に埋め込まれている半導体チップを意味するものと理解される。
【0019】
本明細書において、「LCD」という用語は、液体前駆体溶液を用いて任意の組成的または化学的複雑性物質を、原子レベルの化学的均一性およびナノスケールサイズまで制御可能な微細構造を有する非晶質の積層体または独立体として、または結晶性の積層体または独立体として製造するための方法を意味するものと理解される。
【0020】
本明細書において、「液体前駆体溶液(liquid precursor solution)」という用語は、炭化水素分子の溶液であって、溶解された後に炭化水素分子の有機酸塩となる場合もならない場合もある可溶性有機金属化合物をも含む炭化水素分子溶液を意味するものと理解される。
【0021】
本明細書において、「微細構造(microstructure)」という用語は、材料物質を形成する結晶粒の元素組成および物理的大きさを定義するものと理解される。
【0022】
本明細書において、「不整合材料(mismatched material)」という用語は、異なる結晶格子構造または5%以上異なる格子定数および/または10%以上異なる熱膨張係数を有する2つの物質を定義するものと理解される。
【0023】
本明細書において、「ナノスケール」という用語は、1ナノメートル(nm)から数百ナノメートル(nm)までの範囲の長さで測定される物理的大きさを定義するものと理解される。
【0024】
本明細書において、「光電子装置(opto−electronic device)」という用語は、光学、赤外線(近、中又は遠)、ミリ波、サブミリ波又は電子スペクトルの紫外線(近又は遠)領域等で定められるエネルギー特性を有する電気信号を使用する任意の装置を指すものとして理解される。
【0025】
本明細書において、「受動コンポーネント(passive component)」という用語は、動作のために電力を必要とせずに電気信号の増幅及び/又は位相を変化させ、あるいは、エネルギー貯蔵装置として使用される電気回路の一素子としてのその従来の定義を指すものと理解される。
【0026】
本明細書において、「光子装置(photonic device)」という用語は、光学、赤外線(近、中又は遠)、ミリ波、サブミリ波又は電子スペクトルの紫外線(近又は遠)領域等で定められるエネルギー特性を有する1又は複数の追加の信号を変調させるために、光学、赤外線(近、中又は遠)、ミリ波、サブミリ波又は電子スペクトルの紫外線(近又は遠)領域等で定められるエネルギー特性を有する信号を使用する任意の装置を指すものとして理解される。
【0027】
本明細書において、「パワーFET」という用語は、大信号垂直構成型MOSFETに対して一般に認められている定義を指すものと理解され、マルチチャネル(MUCHFET)、V溝MOSFET、切頂V溝MOSFET、二重拡散DMOSFET、超接合、ヘテロ接合FETまたはHETFETおよび絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)が含まれる。
【0028】
本明細書において、「量子ドット(quantum dot)」という用語は、電子ガスの電子、光学又は光電子特性を示す量子サイズ効果(quantum−size effect)を引き起こすのに十分に小さい物質ドメインとしての従来の意味を適用するように理解される。
【0029】
本明細書において、「標準動作温度」という用語は、−40℃から+125℃までの間の温度範囲を意味するものと理解される。
【0030】
本明細書において、「厳密公差(tight tolerance)」または「臨界公差(critical tolerance)」という用語は、標準動作温度に渡る定格設計値からの変動が±1%未満であるキャパシタンス、インダクタンスまたは抵抗等の性能値を意味するものと理解される。
【0031】
本明細書において、「II−VI化合物半導体」という用語は、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)又は水銀(Hg)からなる周期表のIIB族の少なくとも1つの元素、及び、酸素(O)、硫黄(S)、セレニウム(Se)又はテルリウム(Te)からなる周期表のVI族の少なくとも1つの元素を含む化合物半導体を表す従来の意味を指すものとして理解される。
【0032】
本明細書において、「III−V化合物半導体」という用語は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びインジウム(In)からなる周期表のIII族の少なくとも1つの半金属元素、及び、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)又はビスマス(Bi)からなる周期表のV族の少なくとも1つの気体又は半金属元素を含む化合物半導体を表す従来の意味を指すものとして理解される。
【0033】
本明細書において、「IV−IV化合物半導体」という用語は、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)又は鉛(Pb)からなる周期表のIV族の複数の元素を含む化合物半導体を表す従来の意味を指すものとして理解される。
【0034】
本明細書において、「IV−VI化合物半導体」という用語は、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)又は鉛(Pb)からなる周期表のIV族の少なくとも1つの元素、及び、硫黄(S)、セレニウム(Se)又はテルリウム(Te)からなる周期表のVI族の少なくとも1つの元素を含む化合物半導体を表す従来の意味を指すものとして理解される。
【発明の概要】
【0035】
本発明は、一般的に、高いスイッチング速度で機能するシステムを含む完全集積型半導体チップキャリアに関し、特には、量子サイズ効果、又は、バルク物質層を通して量子ドットの特性を示すバルク物質層を含む能動装置のモノリシックな集積を可能とするプロセス及び方法に関する。
【0036】
本発明の一実施形態は、50nm以下の公称最大粒径を有する個々の結晶粒を形成する主要成分と、前記個々の結晶粒間に境界を形成する副成分と、
を含む三次元多結晶半導体物質を提供する。
【0037】
前記副成分は前記主要成分の前記結晶粒を包囲してもよい。前記多結晶物質内の量子サイズ効果が、量子井戸の自由電子ガス特性を引き起こし(誘導)てもよい。前記多結晶物質が三次元量子井戸構造を形成してもよい。前記副成分のモル濃度が、前記多結晶物質の0.0001mol%から0.75mol%の間であってもよい。前記結晶粒を含む前記主要成分は、シリコン、ゲルマニウム、スズ又はそれらの混合であってもよい。前記粒界を形成する前記副成分は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であってもよく、前記金属ハロゲン化物は、周期表の第1(I)族からのアルカリ元素若しくは第2(II)族のアルカリ土類元素、又は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含む。前記絶縁又は半絶縁物質は、多結晶粒を含む半導体物質のバンドギャップよりも大きいエネルギーバンドギャップを有してもよい。境界を形成する前記副成分は、周期表の第1(I)族からのアルカリ元素若しくは第2(II)族のアルカリ土類元素、又は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属と同様の化学特性を有する遷移金属からなる導電物質であってもよい。結晶粒を備える前記主要成分は、III−V化合物半導体物質であり、且つ、境界を形成する前記副成分は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であり、前記金属ハロゲン化物は、第1(I)族からのアルカリ元素、又は、アルカリ金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含んでもよい。結晶粒の前記主要成分は、II−VI化合物半導体であってもよく、且つ、境界を形成する副成分は、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、スズ又はそれらの混合である。前記多結晶物質は、全ての方向において50nmよりも大きい三次元サイズを有してもよい。前記多結晶物質は、モノリシックに能動装置に一体化されてもよい。前記能動装置は、電界効果トランジスタ、光電装置又は光子装置であってもよい。結晶粒を備える前記主要成分は、III−V化合物半導体物質であり、且つ、境界を形成する前記副成分は、周期表の第1(I)族からのアルカリ元素又はアルカリ金属と同様の化学特性を有する遷移金属からなる導電物質であってもよい。
【0038】
本発明の別実施形態は、半導体キャリアにモノリシックに集積されると共に、2nmから10nm厚である粒界物質によって包囲される20nmから50nmの範囲の最大物理寸法を有する半導体結晶粒を含むナノスケールの多結晶アセンブリから構成された半導体層を含む能動装置を備えており、前記多結晶粒内の量子サイズ効果が、量子井戸の自由電子ガス特性を引き起こす半導体キャリアを提供する。
【0039】
前記能動装置は、電界効果トランジスタ、光電装置又は光子装置であってもよい。前記能動装置は、その表面にモノリシックに集積された出力(電力)管理モジュールを備えてもよい。前記能動装置は半導体ダイを備えてもよい。当該半導体キャリアは、前記キャリア基板内に組み込まれた能動回路を有してもよい。
【0040】
さらに別の実施形態は、半導体層を製造する方法を提供する。当該方法は、2nmから10nm厚である粒界物質によって包囲される20nmから50nmの範囲の最大物理寸法を有する半導体結晶粒を含むナノスケールの多結晶アセンブリから構成された半導体層を製造する方法であって、前記多結晶粒内の量子サイズ効果が、量子井戸の自由電子ガス特性を引き起こし、当該製造方法は、元素半導体又は所望の化合物半導体化学量論からなる主要相の多結晶粒を形成するために適切な化学量論比を有する低揮発性液体有機金属前駆体の溶液を形成するステップと、前記主要相の多結晶粒の粒界に、絶縁、半絶縁又は半導体第2層物質を形成するために適切な化学量論比を有する、0.0001mol%から0.5mol%の範囲の濃度で前記溶液にドーパントを加えるステップと、前記多結晶粒内に必要な濃度の前記主要相の多結晶粒の、前記ドーパント前駆体を前記溶液に加えるステップと、前記半導体層が形成される基板を250℃から500℃の範囲の温度に加熱するステップと、原子スケールで化学的に均一である化学量論的精度を有するアモルファス堆積物を形成するように、不活性又は還元ガス雰囲気中で前記基板上で不揮発性有機金属前駆体を同時に分解するステップと、前記堆積物から有機残渣物を除去するように前記アモルファス堆積物をベーク(焼成)するステップと、最小で5秒間、イオン化アルゴンプラズマ内で、40℃と400℃の間の基板温度、且つ、1500mTorrから5000mTorrの範囲の圧力で、50Wから300Wの適用電力を使用して前記ベークした堆積物をアニーリングするステップと、前記イオン化アルゴンプラズマに窒素、及び/又は、二酸化炭素及び一酸化炭素の還元分圧比を選択的に加えるステップと、を含む。
【0041】
結晶粒を含む前記半導体物質は、シリコン、ゲルマニウム、スズ又はこれらの任意の混合であってもよい。前記粒界を形成する前記副成分は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であってもよく、前記金属ハロゲン化物は、周期表の第1(I)族からのアルカリ元素若しくは第2(II)族のアルカリ土類元素、又は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含む。前記絶縁又は半絶縁物質は、多結晶粒を含む半導体物質のバンドギャップよりも大きいエネルギーバンドギャップを有してもよい。結晶粒を備える前記主要成分は、III−V化合物半導体物質であり、且つ、境界を形成する前記副成分は、金属ハロゲン化物からなる絶縁、半絶縁又は半導体物質であり、前記金属ハロゲン化物は、第1(I)族からのアルカリ元素、又は、アルカリ金属と同様の化学特性を有する遷移金属、及び、周期表の第7(VII)族から選択されたハロゲン元素を含んでもよい。結晶粒の前記主要成分は、II−VI化合物半導体であってもよく、且つ、境界を形成する副成分は、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、スズ又はそれらの混合である。
【0042】
本発明を、添付の図面を参照して例示的に示し、かつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】先行技術の量子井戸電界効果トランジスタの物理構造を示す。
図2図1の量子井戸装置のエネルギーバンドダイアグラムを示す。
図3】完全集積型シリコンチップキャリアを示す。
図4】様々な元素及び化合物半導体の電荷キャリアモビリティを表す表。
図5A】粒界内に埋め込まれた金属元素を有するナノスケールの粒を含む多結晶半導体を示す。
図5B】粒界内に埋め込まれた絶縁化合物を有するナノスケールの粒を含む多結晶半導体を示す。
図6A】粒界内に埋め込まれた金属元素を有するナノスケールの粒を備える多結晶半導体マトリックス内に形成された三次元(3D)量子ドット半導体層のエネルギーバンド構造の二次元(2D)画像を示す。
図6B】粒界内に埋め込まれた絶縁化合物を有するナノスケールの粒を備える多結晶半導体マトリックス内に形成された三次元(3D)量子ドット半導体層のエネルギーバンド構造の二次元(2D)画像を示す。
図7】量子ドット電界効果トランジスタの断面図。
図8A】ハロゲン化有機金属前駆体化合物を使用して量子井戸電界効果トランジスタの半導体層を作成する方法を示すことに使用される基板断面視を示す。
図8B】ハロゲン化有機金属前駆体化合物を使用して量子井戸電界効果トランジスタの半導体層を作成する方法を示すことに使用される基板断面視を示す。
図8C】ハロゲン化有機金属前駆体化合物を使用して量子井戸電界効果トランジスタの半導体層を作成する方法を示すことに使用される基板断面視を示す。
図9】ナノスケールの多結晶3D電子ガス層を含むIGBTパワーFETを示す。
図10】その表面上にモノリシックに集積された量子ドット光電又は光子装置を備える半導体キャリアを示す。
図11】所定の物質の絶縁/半絶縁/半導体粒界のための代表的な粒−粒界の組み合わせを示す表Iである。
図12】所定の物質の絶縁/半絶縁/半導体粒界のための代表的な粒−粒界の組み合わせを示す表IIである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本出願は、2011年6月24日に出願されたde Rochemontの「縦型FET電力モジュールを有する半導体キャリア」と題する米国特許出願第13/168,922号(de Rochemont‘922号)、および2011年6月17日に出願されたde Rochemontの「周波数選択性ダイポールアンテナ」と題する米国特許出願第13/163,654号(de Rochemont‘654号)との同時係属出願であり、これらは参照により本明細書に含まれる。本出願は、半導体キャリア上に一体化された能動コンポーネント内にバルク半導体層を挿し込むための手段を教示し、バルク半導体層は、50nmよりも大きい厚みを有し、電子ガスの一般的な誘電特性を表す。一つの対応出願(de Rochemont‘922号)は、高電流レベルを変調(モジュレート、調節、修正)するために、蛇行巻線により有効化される共振三次元ゲート構造体を用いて高効率の電力管理システムを半導体キャリア上にモノリシック構造体として完全集積するための手段を教示している。もう一つの対応出願(de Rochemont‘654号)は、導電素子を、容量または誘導負荷の局所化領域を引き起こすように折り畳み、折り畳まれた導体の長さに沿った局所化リアクティブ負荷の組み合わせが分散ネットワークフィルタを形成するようにすることで、導電素子を蛇行巻線として形成するための方法を教示している。前記出願は次いで、こうして形成される2つの鏡像蛇行素子が選択周波数に渡って共振性であるダイポールアンテナとしてどのように機能するかを示している。また、対応出願であるde Rochemont‘654号は、局所化リアクティブ負荷の結合強度を高める、またはより精確に調整するために、局所化リアクティブ負荷領域内に厳密公差のエレクトロセラミック材料を挿入することも教示している。現行出願は、2011年8月23日に出願されたde Rochemontの「共振トランジスタゲートを有するパワーFET」と題する米国出願第13/216,692号(de Rochemont‘692号)と共に出願され、前記出願は参照により本明細書に含まれる。同時継続出願のde Rochemont‘692号は、所定の周波数において低電流密度で大電流を変調する電力管理モジュール及び半導体キャリア上に電力管理モジュールを形成する方法を教示する。
【0045】
現行出願は、参照により、2006年6月30日に出願されたde Rochemontの「電気素子および製造方法」と題する米国特許出願第11/479,159号明細書(‘159号出願)、2007年1月6日に出願されたde Rochemontの「電力管理モジュール」と題する米国特許出願第11/620,042号明細書(‘042号出願、2010年7月26日に出願されたde RochemontおよびKovacsの「液体化学堆積プロセス装置および実施形態」と題する米国特許出願第12/843,112号明細書(‘112号出願)、2011年6月2日に出願されたde Rochemontの「表面FETを有するモノリシックDC/DC電力管理モジュール」と題する米国特許出願第13/152,222号明細書(‘222号出願)、及び、2011年7月13日に出願されたde Rochemontの「切断ツール及び製造方法」と題する米国特許出願第13/182,405号明細書(‘405号出願)に含まれる全ての内容を組み入れるものである。‘159号出願は、LCD法が、厳密公差の受動ネットワークを備えるモノリシック集積回路をどのように製造するかを開示している。‘042号出願は、液体化学堆積(「LCD」)法が、調整可能なインダクタコイルを備えるモノリシック集積電力管理モジュールをどのように製造するかを開示している。‘112号出願は、LCD法の適用において使用される好適な装置を開示している。‘222号出願は、表面FETを含む低損失電力管理回路のモノリシックな集積化を教示している。‘405号出願は、ケイ素及び炭素元素を組み込む炭化ケイ素又は複雑な化合物のような、炭化物、窒化物及び最大相(MAX−phase)物質を製造するLCD法を開示する。
【0046】
図3〜10を参照して、本発明の特徴を説明する。図3は、半導体チップキャリア100を図示する。本発明は、高速コンピューティングモジュール、RF無線モジュール、完全集積型レーダーモジュール、フォトニックモジュール及び光電子モジュールに適用可能である。また、それは、このようなモジュール、又は、高出力密度及び高スイッチング速度回路を要求する上述のモジュールの組み合わせを含む任意の回路にも適用可能である。ここに説明するとおり、半導体チップキャリア100は、キャリア基板103上のディスクリート(独立)又は積層構造のいずれかに搭載された複数の集積回路(半導体チップ)102A、102B、102C、102Dを含む。キャリア基板103は、大きい半導体チップであり、該半導体チップは、搭載された又はそこに集積された様々なコンポーネント(素子)を相互接続することに使用されるその表面上に導電トレースを有する。追加の低レベル能動回路(明確に示さず)は、キャリア基板103内に組み込み可能である。このような低レベル能動回路は、限定されないが、ラッチング、センシング、スイッチング及びバス管理システムに有用な信号ドリフト回路を含んでもよい。LCDプロセスは、キャリア基板103の表面に追加の回路を集積することに使用可能であり、それは、限定されないが、回路クロック速度を安定化又は能動的に調整する厳密公差LC回路を形成することに使用される臨界公差インダクタコイル104A、104B、及び/又は、キャリア基板103の表面上にモノリシックに形成される能動ネットワーク106を含んでもよい。
【0047】
集積回路半導体ダイ102は、半導体製造公差が22nmラインのフィーチャーノード(feature node)を超えるときに、750Wインチを超える電力需要を必要とする。ここに参照により組み込んだ‘042、‘122、‘159、‘222、‘654、‘692、‘922号出願に詳述された方法及び実施形態を使用して、高効率、高速完全集積型電力管理モジュール108がチップキャリア100上にモノリシックに形成される。これら方法及び実施形態は、メモリ装置、及び、プロセッサダイ又は半導体キャリア100上の同一場所に配置された他の半導体ダイの間のデータ転送を最適化することに使用してもよい。
【0048】
図4〜8A、8B、8C、8Dを参照して、半導体層内に三次元(3D)電子ガスを生成するために必要なナノスケールマイクロ構造に付与される、20〜50nmよりも大きい厚みを有する半導体相を集積することに、LCD製造方法のユニークな特性がどのように適用されるかを説明する。上述の参照した出願に開示されているとおり、LCD製造方法は、原子スケールの化学均一性及び化学量論の精度で異種の「不整合(mismatched)」物質を、堆積物質の引張強度よりも強い表面付着で、半導体基板表面上の選択された領域に集積することを可能とする。従来の物質堆積技術と異なり、LCDは、高い組成精度で堆積物質内に組み込み可能である元素(化学)コンポーネントの数に制限を課さない。これは、高い化学的複雑性を有する物質をモノリシック構造に集積することを可能とする。LCDで使用される低いプロセス温度(≦400℃)は、半導体基板内に埋め込まれた能動コンポーネントのドーパントプロファイル(形態)を変化させない。これら低い堆積温度は、LCD堆積物が均一な固溶体を初期形成することを可能とする。すなわち、これは、続く高速熱アニーリングプロセスの適用によってナノスケール寸法に制限されるLCD堆積物にマイクロ構造を形成する手段を提供する。均一な化学分布及びナノスケールのマイクロ構造(結晶粒サイズ)が、変化する温度で安定したままの機能特性を有する電磁受動コンポーネントを集積するために必要な条件であり、これは、経済的に実行可能なシステムインパッケージ(SiP)又はシステムオンチップ(SoC)内の受動回路のモノリシックな集積を形成するのに必要とされる臨界性能公差を満足する。また、これらユニークな特性は、3D電子量子ガスを形成するために必要な粒状の量子井戸の均一なアセンブリを含む多結晶半導体物質のナノスケールの修飾をも可能とする。
【0049】
図4は、本発明で使用可能な様々な半導体の電荷キャリア(電子−正孔)モビリティのリストを示す。より高いスイッチング速度が、より高い電荷キャリアモビリティを有する半導体システムにおいて可能となる。先行技術(図1及び2)に教示するとおり、超高速電界効果トランジスタ(FET)は、高い電荷キャリアモビリティ半導体物質を使用して構築される。これら半導体物質は、典型的に、低い有効電子質量、大きい弾道(ballistic)平均自由行程、及び高い飽和速度を有する。アンチモン化インジウム(InSb)のような好ましい高キャリアモビリティ半導体物質は、典型的には、低いバンドギャップエネルギーを有し、これは、衝突イオン化によって発生したアバランシェ降伏にそれらを導く。衝突イオン化閾値が本質的に物質バンドギャップに対応するので、比較的低いソース−ドレイン電圧(VDS)から生成された電界が、線形応答及び熱暴走の虞があるアバランシェ降伏及び逃走電流を引き起こす。アバランシェ降伏は、高速FETがモジュレータ、増幅器又はFETベース論理装置のような比較的高い動作電圧を要求する用途で使用されることを阻み、高い周波数ゲイン値をも制限する。これら制限が、高速コンピューティング又はモバイル通信プラットフォームのような高出力周波数信号増幅又は管理が必要であるシステムにおける応用を阻害する。量子井戸内に形成された電子ガスは、有効電子質量をさらに削減し、且つ、低バンドギャップ半導体におけるアバランシェ降伏を最小化することができる。
【0050】
図1及び2の先行技術は、広いバンドギャップ半導体物質の層5、7(層5、7は、さらに広いバンドギャップ半導体の層3、4によって挟み込まれる)間の超薄層6(20−50nm)のように、高キャリアモビリティ/低バンドギャップエネルギー半導体を挟み込むことで平面量子井戸28を形成することにより、逃走電流を低バンドギャップ半導体内に抑制可能であることを教示する。超薄層6の薄い厚みは、エネルギーバンド26、27によって閉じ込められる量子井戸28内の量子化効果を引き起こす。これら量子化効果は、量子井戸28で定められる第1伝導チャネル内の高電子モビリティを有する2D電子ガスを生成する。より広いバンドギャップ半導体を備えるこれら隣接層5、7は、第1伝導チャネル6内に含まれる半導体物質の衝突イオン化閾値に近い伝導バンド21、22を有するように選択される。これは第2チャネルを可能とする。第2伝導チャネル2の幅が、量子化効果を引き起こすために必要な寸法よりも大きいので、2D電子ガスが、第1伝導チャネルの量子井戸28内に形成されるだけである。これは、スイッチング速度を低下させるトレードオフにつながるが、第1伝導チャネル6内の衝突イオン化閾値に到達するべきキャリアのいくつかを、より高いイオン化閾値を有する第2チャネル2にそらすことを可能にすることにより、なだれ電流を軽減する。先行技術は、キャリアモビリティ、速度及び平均自由行程を最大化する結晶半導体を作製するためにエピタキシャル法を使用して形成された超高速FET内の第1及び第2伝導チャネルにおいて使用された半導体物質を教示する。
【0051】
先行技術が、超高速FETの超薄平面内に2D電子ガスを引き起こす多層構造の使用を教示するが、第1伝導チャネルを20〜50nmの厚みに規制する限界が、高電子モビリティ層を通して導かれ得る全体電流を限定する。超薄層は、低い電力レベルであっても衝突イオン化及びなだれ電流の確率を迅速に増加させる高い電流密度を引き起こす。したがって、高速層における電力密度を減少させるように20〜50nmよりも大きい厚みを有する半導体物質内に、高い電子モビリティを引き起こす方法及び実施形態を開発することが望まれている。第1及び第2伝導チャネルを備える複数の多層構造を形成することによって、より高い電流は先行技術の下で達成可能である。すなわち、複数の多層構造を使用するアプローチは、20〜50nmよりも厚い単半導体層内に電子ガス特性を可能とする同様の装置と比較したときに実質的にコストが高く、且つ、経済的価値が限定されるので、大幅に大きい厚みを有する量子化伝導チャネルを作製することが望まれている。また、良好に衝突イオン化閾値を管理するように、より広いバンドギャップの半導体物質において電子ガスを可能とする方法及び実施形態を開発することも望ましい。
【0052】
図5A、5B、6A、6Bを参照して、どのように、LCD製造方法によって可能となったナノスケールのマイクロ構造制御が、三次元(3D)電子ガスを有する半導体層を形成するように使用されるかを説明する。図5A、5Bは、径において50nmよりも小さい最大物理寸法123(好ましくは、最大物理寸法が20〜50nmの範囲)を有する半導体粒122のマトリックスからなる多結晶半導体物質120の三次元微細体積の断面を示す。多結晶物質は、シリコン又はゲルマニウム、周期表のIV族の複数の元素を含むIV−IV半導体のような元素半導体を含んでもよく、あるいは、III−V半導体化合物、より好ましくは、組成的に複雑なIII−V半導体化合物からなる。装置の用途に応じて、本発明の特定の実施例は、II−VI又はIV−VI化合物半導体、好ましくは組成的に複雑なII−VI又はIV−VI化合物半導体の使用を好む。
【0053】
通常、電荷キャリアが粒界を誘導しようとするときに衝突される格子転位によって引き起こされる平均自由行程の減少によって、多結晶半導体は、大幅に減少した電荷キャリアモビリティを有する。しかしながら、化学的に異なる物質が粒界124、126で粒122を包囲するとき、多結晶半導体物質120の各粒122がバルク物質内で量子ドットになって、量子化効果を励起する量子井戸を形成することに、範囲20〜50nmの最大物理寸法123は十分に小さい。これにより、量子ドットは各粒122内で三次元(3D)電子ガスを形成する。量子トンネル機構は、フェムト秒(1000兆分の1秒)で起こる、エネルギーバリアに亘る最速電荷移動機構を表しており、本発明のさらなる好適な実施例は、選択的に、金属粒界物質124(図5A)の薄層(2〜10nm厚、好ましくは2〜5nm厚)で半導体粒122を包囲することによって、又は、粒界物質126(図5B)を絶縁することによって、エネルギーバリアを強化する。粒界内に拡散した相分離物質で励起された量子効果が図6A、6Bに示されている。
【0054】
図6Aは、A−A’、B−B’、C−C’(図5A)の断面のいずれかに沿って観察される3D電子ガスのエネルギーバンドダイアグラム130を示している。これは、1nmから10nmの範囲、好ましくは2〜4nmの範囲の厚みを有する金属粒界物質124によって20〜50nmの多結晶半導体粒122が包囲されるときに、形成された接合(ジャンクション)によって構成される。金属半導体界面131A、131B、131C、131Dは、金属粒界134A、134B及び半導体粒135A、135B、135C内のフェルミ準位133の平衡を通して接合バリア132A、132B、132C、132Dを形成する。平衡プロセスは、金属粒界内の電子及び半導体粒内の正孔を界面に収集させる。半導体領域内の強力な空乏場が、伝導バンド136A、136B、136Cを屈曲させて、これにより、3D電子ガスを形成するように、伝導バンド内の電子エネルギー準位138を量子化するエネルギー井戸137A、137B、137Cを形成する。金属半導体接合における量子エネルギー井戸137A、137B、137C間の接合バリア(φ)132A、132B、132C、132Dの高さ139は一般的に以下の式で与えられる。
qφ=q(φ−χ) 式(1)
qは電子電荷であり、φは金属仕事関数であり、且つ、χは半導体電子親和力である。量子化エネルギー準位138内に注入され、且つ含有された伝導電子は、フェムト秒の通過速度で接合バリア(φ)をトンネル(tunnel)する。これにより、これら物質が電界効果トランジスタ構造内に構成されたとき、非常に速い半導体スイッチング速度を可能とする。薄型金属粒界物質124は、ほとんどの応用で望ましくない漏れ電流を引き起こすので、FETスイッチ装置には制限的である。したがって、図5Bに示すとおり、半導体粒122を包囲する電気的に絶縁又は半絶縁/半導体粒界物質126を有する多結晶半導体121を形成することが好ましい。絶縁粒界物質126及び半導体粒122の間の階段接合(abrupt junction)は、特徴的に異なる量子井戸構造を形成する。図6Bは、D−D’、E−E’、F−F’(図5B)の断面のいずれかに沿って観察される3D電子ガスのエネルギーバンドダイアグラム140を示している。これは、1nmから10nmの範囲、好ましくは2〜5nmの範囲の厚みを有する絶縁粒界物質126によって20〜50nmの多結晶半導体粒122が包囲されるときに、形成された接合によって構成される。あるいは、代替的に、粒122及び粒界物質126間のヘテロ接合を形成するように、絶縁体はより広いバンドギャップの半導体であってもよい。絶縁体−半導体界面141A、141B、141C、141Dは、絶縁粒界144A、144B及び半導体粒145A、145B、145C内のフェルミ準位143の平衡を通して接合バリア142A、142Bを形成する。半導体及び絶縁体領域の間の伝導バンド端146A及び価電子バンド(価電子帯)端146Bのオフセットが、3D電子ガスを形成するように、伝導バンド149内の電子エネルギー準位148を量子化する半導体粒145A、145B、145C内にエネルギー井戸147A、147B、147Cを形成する。同様の量子化が、半導体粒147A、147B、147Cの価電子バンド151内の正孔エネルギー準位において起こる。半導体物質が多結晶であるので、電荷キャリアは、非常に短い平均自由行程(20〜50nm)を有し、且つ、弾道導電電流が衝突イオン化を発生させるのに必要な高速度に達しない。さらに、フェムト秒の通過(transit)時間を有するトンネル電流が、多結晶半導体物質内の量子井戸間の導電メカニズムを支配する。これら運搬工程は、速いスイッチング速度を可能にすると共にアバランシェ降伏のリスクを軽減して、弾道電子が生じることなく、且つ、固定全体に分配された量子エネルギー井戸が結晶格子内の原子を伝導電子から有効に遮断する。粒がほぼ球状であると共に、電子が全方位にトンネル可能な三次元量子エネルギー井戸内に電子をトラップ(捕捉)することにより、3D電子(正孔)ガスが形成される。
【0055】
より詳細に説明するとおり、熱力学及び/又は化学的不適合(chemical incompatibility)が、結晶粒を処理する間、粒界物質から粒物質を相分離することに必要である。表I及びII(図11及び図12)に示すとおり、絶縁、半絶縁又は半導体粒界物質126は、ナノスケール多結晶粒を含む元素から少なくとも2又は3列離れた周期表の列内に見出された元素を主成分とし、当該熱力学/化学不適合を達成する。表Iは、IV族及びIII−V族化合物半導体(左手側)の代表的な組み合わせを表しており、これらは粒界126内に配置された絶縁、半絶縁、又は、広いバンドギャップのII−VI及び/又はI−VII半導体物質によって包囲された粒122に使用可能である。表IIは、低いバンドギャップのII−VI族化合物半導体(左手側)の代表的な組み合わせを表しており、これらは粒界126内に配置された絶縁、半絶縁、又は、広いバンドギャップのVI族半導体物質によって包囲された粒122に使用可能である。半導体粒122を伝導粒界物質124で包囲するとき、族順位(column ranking)に関する同様の関係を適用する。明確に理解されるべきであるが、LCD製造方法が高い化学的複雑性を有する物質の化学的融合を可能とするので、III−V及びII−VI半導体化合物が、二元化合物に制限されることを必要とせず、簡単に3又はそれ以上の元素化合物を含むことができる。
【0056】
これら多結晶半導体によって提供される主な利点は、図1に示すような第1伝導チャネル6が20〜50nm層厚に制限される先行技術と対照的に、任意の厚みの伝導チャネルを有する装置を簡単に構築可能であることである。図7は、本発明の重要な実施例を示し、有効電場(electrically active field)、先行技術よりも実質の電流を運搬可能な電界効果トランジスタ(FET)装置160を構築する手段を提供する。多結晶半導体が、伝導電子の平均自由行程を減少させ、且つ、高い弾道速度で引き起こされるアバランシェ降伏の関連リスクを軽減させるので、そこに形成された3D電子(及び正孔)ガスが、1又は複数のより広いバンドギャップの半導体層7、8及び3、4によって囲まれた薄い第1伝導チャネル6に限定される必要がない。本発明の下で、第1伝導チャネル161は、20nmから10ミクロン(μm)の範囲、好ましくは50nmよりも大きく、且つ、最適には1〜2μmの多結晶半導体層厚を有してもよい。これにより、より大幅に高い電流が、かなり低い電流密度に変調(調節、モジュレート)されることを許容する。本発明は、半導体間のエネルギーバリアによって励起される量子サイズ効果よりはむしろ、半導体層自体のナノスケール微細構造によって電子ガスを形成するので、アンチモン化インジウム(Egap=0.17eE)のような低いバンドギャップの対応物よりもイオン化衝突に影響を受けにくい、シリコン(Egap=1.11eV)又はガリウムヒ素(Egap=1.43eV)のような伝導チャネル内の広いバンドギャップ物質の使用を可能とする。50nmよりも厚い伝導チャネル内の低いバンドギャップ物質を挿入することに利点があるような場合、伝導チャネルは、その間に挿入されたより広いバンドギャップ半導体物質を備える追加層162、163、基板164及び/又はゲート電極165を選択的に有する。ゲート電極165に適用された電圧は、ソース167及びドレイン168領域の間の第1伝導チャネル161内の電流フローを調節(変調)するように、ゲート酸化物166を通して電場を変化させることに使用される。電気コンタクトが、抵抗ソース電極167及びドレイン電極170をそれぞれ使用して、ソース167及びドレイン168領域に形成される。
【0057】
先行技術によって教示された変調(調節)された電流多層2Dガス構造は、20〜50nm厚である第1伝導チャネル6への高速電流輸送を制限し、40から数100のこのような層は、本発明で説明された1つの2ミクロン厚の3D電子ガス第1伝導チャネル161内の等価電流を輸送することに必要である。限定されないが、高速コンピューティングプロセス又は無線用途で使用される電力管理装置又はシリコンキャリアを含むLCD法、装置及びプロセスを使用して、高速量子ドット電界効果トランジスタは任意の回路に集積されてもよい。
【0058】
図8A、8B、8C、8Dを参照して、どのように液相化学堆積(Liquid chemical deposition,LCD)法が使用されて多結晶3D電子ガス半導体層161を形成することに使用されるかを説明する。参照によってここに組み込まれたde Rochemont等の‘112号出願は、基板172上にアモルファス層171を形成するためにLCDプロセスによって使用される装置(?)、プロセスを説明する。基板172は、適切にドープされた半導体ウエハ又は半導体層を含んでもよい。所望の半導体化合物、その電子ドーパント(必要であれば)、及び、その粒界物質の化学量論的混合物からなる低揮発性液体有機金属前駆体のエアロゾルスプレーを不活性又は還元ガス環境内で分解することによって、アモルファス層171が基板172上に形成される。基板172は、典型的には200℃から500℃、好ましくは300℃から400℃の最高分解温度を有する液体前駆体化合物を熱分解する温度まで加熱される必要がある。(基板172(図8A)として機能する適切にドープされた半導体層又はウエハに液体有機金属のエアロゾルスプレーを適用することを用いて)不活性又は還元ガス雰囲気は、窒素又は希ガス、水素及び/又は一酸化炭素及び二酸化炭素の還元分圧比を含んでもよい。アモルファス層は、電気的及び他のドーパントを有する元素半導体を含んでもよく、あるいは、電気的及び他のドーパントを有する化合物半導体であってもよい。LCDプロセスは、アモルファス層が、原子スケールで組成的に均一である化学成分の正確な比率を有することを可能とする。スプレー堆積の後にベークアウト(焼成)ステップが続く。このベークアウトステップは、基板を加熱し、2〜20分間、400℃及び600℃の間の温度に置いて、エアロゾルスプレー堆積ステップの間に熱分解しない全ての残渣有機金属を除去する。堆積物中のいずれかの液体種の存在が、続くアニーリングステップの間に、原子スケールの化学的均一性の低下を加速する。
【0059】
そして、プラズマアニーリングステップが、アモルファス層171を20〜50nmの間の範囲の粒サイズ174を有する均一な微細構造を有する多結晶層173に変えることに使用される。アモルファス堆積物を多結晶状態に変えることに他の熱処理方法を使用可能であるが、高速熱アニーリングプロセス及びプラズマアニーリングプロセスが特に好ましい。基板172及び堆積物171は、イオン化プラズマアニーリングプロセスステップの間、40℃から400℃の範囲の温度に予熱されてもよい。アルゴンガスは、プラズマアニーリングプロセスステップに使用された主要なバラスト(安定化手段)であり、20%の分圧を超えない窒素及び/又は一酸化炭素及び二酸化炭素からなる追加のガス添加物を含む。5から60秒の50Wから300Wの範囲の出力(電力)設定で、1500から5000mTorrの範囲の全雰囲気圧が、異なる相粒界物質で包囲されたナノスケールの多結晶半導体粒を発生させることに好ましい。
【0060】
金属粒界を形成するためのアニーリングステップの間、熱力学プロセスによって粒界に向かって駆動(移動)される金属種を選択することが望ましい。結晶核形成の初期段階では、協働的な力が、大半の化学的濃度で駆動され、不適合(incompatible)な元素を粒界に追い出す一方で、化学的に適合可能(compatible)な元素を結晶核形成プロセスに引き込む。例えば、シリコンが主要な化学元素であり、99.99mol%を超えるレベルで堆積物内に存在する場合、核形成プロセスの間に構築される結晶場が、ゲルマニウムのような同じ電荷及び分子軌道配向を有する元素の組み込みを好む。したがって、不適合な電荷及び軌道特性を有する金属元素から表I及びIIで示されるような粒内に形成された半導体化合物まで、粒界物質を選択することが好ましい。半導体元素が選ばれる列から最も遠い周期表の列に位置する元素がこの要求を満たす。したがって、多結晶堆積物173中に金属粒界175を形成することが望ましいとき、0.0001から0.5mol%の濃度のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の有機金属前駆体が、アモルファス堆積物を形成することに使用される液体前駆体溶液に添加される。アルカリ金属はアルカリ土類金属よりも好ましい。多結晶堆積物173内の表I及びII中に記載されたI−VII粒界物質のいずれかを含む絶縁粒界176を形成することが望ましいとき、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属のハロゲン化有機金属前駆体が、液体前駆体溶液に加えられる。前駆体分子177は、金属元素178が最終的に堆積される表面上で分解する有機分子に付着した金属元素178を本質的に「運搬(carry)」する。ハロゲン化前駆体は、有機分子中の1又は複数の水素元素178をフッ素、塩素、ヨウ素又は臭素の群からのハロゲン元素180で置換する。ハロゲン化アルカリ又はアルカリ土類金属前駆体によって、1つのアルカリ又はアルカリ土類ハロゲン又は複数のアルカリ又はアルカリ土類ハロゲンを含む絶縁化合物の元素成分が、続くプラズマアニーリングステップにおいて、堆積表面に輸送され、アモルファス堆積物内に一体化され、且つ、粒界領域176に駆動される。’405号出願でより詳細に説明されているとおり、液体有機金属前駆体及び炭化ケイ素又は窒化アルミニウムのナノ粒子のコロイド懸濁液を形成することによって、アモルファス堆積物171に炭化ケイ素又は窒化アルミニウム物質相を導入可能である。プラズマアニーリングの間、これらナノ粒子炭化物及び窒化物相は、その分子濃度が0.0001mol%から0.75mol%の間に維持されるときに粒界に移動する。
【0061】
本発明の特定の利点は、特定の層又は複数の層内でキャリアモビリティを増加させるように、ナノスケールの多結晶粒半導体によって生成される3D電子ガスを使用する能力であり、先行技術の下では不可能である。フィリップスの‘292号出願に記載されているとおり、アンチモン化インジウム(InSb、Egap=0.17eV)のような低いバンドギャップ半導体の層をより高いバンドギャップの半導体のエピタキシャル層の間に挟み込むことによって量子井戸を形成することで、2D電子ガスが生成される(図1及び図2参照)。InSbのような低いバンドギャップ半導体は、図4に示すとおり、非常に高い電荷キャリアモビリティを有するが、それらが結び付けられる原子の、電子ドリフトによって加速される伝導バンド電子が価電子バンド電子を失わせることを引き起こす衝突イオン化プロセスによる、なだれ電流に影響を受け易い。このプロセスは、性能を落とす逃走スイッチング電流を発生させる超過の伝導バンド電子を生成する。2D量子井戸は、弾道速度で層を通って移動する伝導電子から価電子バンド電子を効果的に遮断する平面低バンドギャップ半導体内に量子化エネルギーバンド構造を形成する。より広いバンドギャップ半導体24、25の追加層3、4は、衝突イオン化プロセスをさらに軽減するように付加可能である。2D量子井戸は、価電子バンド電子を遮断し、且つ、自由電子及び半導体物質を形成する原子に結合される価電子バンド電子の間の電磁的相互作用を最小化する。当該遮断は、伝導電子の有効質量、(「慣性(inertia)」)を減少させ、それは、適用電場の影響下でドリフト輸送機構に対してより応答し易くする。
【0062】
上述したとおり、トンネルプロセスは、最速電子輸送機構を示す。トンネルプロセスは、井戸の底部を形成する層内のエネルギーバリアが存在しないので、低いバンドギャップ半導体層内でなく、隣接する量子井戸(図示せず)の間で起こり得る。(隣接量子井戸は、図1の垂直方向の複数の多層構造を画像化することにより見ることができる。)平面2D電子ガスの主な利点は、低バンドギャップ半導体層の非常に薄い(20〜50nm)層内での、低くなった電子(及び正孔)有効質量及び軽減した衝突イオン化への感受性である。
【0063】
上述したとおり、本発明の3D量子井戸は、エネルギー粒の境界でエネルギーバリアを差し挟む。したがって、任意の伝導電子の平均自由行程が、ナノスケール寸法の粒(20nmから50nm)に制限される。そして、ドリフトする電子が、それがトンネルする薄い(2nmから10nm)エネルギーバリアに衝突する。減少した平均自由行程(減少した衝突イオン化)及び所定方向のトンネル電流又は主要なドリフト電流の組み合わせによって、20〜50nm層に変調電流を限定する規制なしに、全種類の半導体物質が、全方向の速い輸送行程をサポートすることを可能とする。
【0064】
この利点は、パワーFET装置、光電又は光子装置において特に重要であって、層161、162、163、164(図7参照)のいずれかが任意の厚みの半導体3D電子ガスとして形成され得る。さらに、各個別の層161、162、163、164は、隣接多結晶半導体層内のバンドギャップとは異なるエネルギーバンドギャップを有する半導体粒から構成可能である。本発明の当該実施例は、p−ドーピング層がスイッチング速度を制限する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)と同様に、層の電子ドーピングの利点により、バルク半導体層内で、減少したキャリアモビリティによってスイッチング速度が制限される装置構造に特に有益である。図9は、シリコンチップキャリアに集積されたIGBT装置200の断面図であり、これは、グランド及びヒートシンクとして機能する半導体キャリア基板202及び電極204を選択的に含むことができる。LCDは、非常に薄いアモルファス層206の挿入を可能とし、それにより、半導体3D電子ガス層を備える単結晶p−型半導体ドレイン層208をドレイン電極204(3D電子ガス層を含んでもよい)上に堆積することが可能である。p−n接合210は、3D電子ガス多結晶物質から選択的に構成可能なp−型半導体ドレイン層208及びn−型半導体層212の間で形成される。n−型半導体層は、ソース電極218と電通したp型サブチャネル214A、214B、214C及びn型ドーパントプロファイル216A、216B、216C、216Dで電気的にパターニングされる。絶縁ゲート電極220は、ドレイン208からソース電極218まで電流が流れることを可能とするチャネル222内の反転キャリア集団(inversion carrier population)を調節(変調)する。ゲート電極220は、好ましくはアモルファスシリカ絶縁物質のような低損失高誘電ブレークダウン絶縁物質(low loss high−dielectric breakdown insulating material)224A、224B内に包囲される。任意の又は全ての半導体層は、3D電子ガスを生成するように変調(修正)されたナノスケールでエンジニアリングされた多結晶半導体から構成されてもよい。LCD堆積法が三次元モノリシック物質集積をも可能とするので、垂直伝導チャネルは、3D電子ガス半導体領域226A、226B、228A、228Bからなり、装置構造に選択的に付加され得る。3D電子ガス半導体領域226A、226B、228A、228Bの各々がIGBT装置200内の隣接半導体物質のいずれかの中のエネルギーバンドギャップとは異なるエネルギーバンドギャップを有する多結晶粒を含んでもよい。そして、複数のヘテロ構造を三次元的にパターニングされたモノリシック構造内に形成する
【0065】
図10に示された最後の実施形態では、キャリア基板254の表面上にモノリシックに集積された出力管理モジュール252、そこに搭載された1又は複数の半導体ダイ256、及び、内部に組み込まれた3D電子ガス半導体層260を含む光電又は光子装置258からなる半導体キャリア250が図示されている。
【0066】
量子井戸技術及びここに説明した製造方法は、量子井戸装置の任意の他の形態に簡単に適用することができることは容易に理解されよう。それらは、限定されないが、マルチプレクサ、信号エンコーダ及びセンサを含む。さらに、上述した装置は、先行技術に対して新規であり自明でない製造方法及び操作方法を具現化することが容易に理解されよう。
【0067】
以上が、開示した実施形態を参照した本発明の例示的な説明である。開示された実施形態に対しては、当業者により、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更が行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12