(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223840
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/18 20060101AFI20171023BHJP
B29C 45/72 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/72
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-9021(P2014-9021)
(22)【出願日】2014年1月21日
(65)【公開番号】特開2015-136840(P2015-136840A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 昌博
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−156062(JP,A)
【文献】
特開2010−260297(JP,A)
【文献】
特開2013−104386(JP,A)
【文献】
特開2012−110151(JP,A)
【文献】
特表2016−516617(JP,A)
【文献】
特開平11−115015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 − 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型装置内に充填される成形材料を加熱するシリンダと、
該シリンダの成形材料供給口を冷却する冷却ブロックと、
第1気流形成部とを備え、
前記第1気流形成部は、前記冷却ブロックの周囲のガスを吸引するものであり、前記冷却ブロックと前記第1気流形成部との間のガスを下方向に吸引する、射出成形機。
【請求項2】
前記冷却ブロックの周囲に配設され、前記冷却ブロックとの間に空間を形成するカバーを有し、
前記第1気流形成部は、前記冷却ブロックと前記カバーとの間のガスを、前記カバーの下面の開口部から下方向に吸引する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記第1気流形成部は、前記冷却ブロックと前記第1気流形成部との間のガスを吸引する排気状態と、前記冷却ブロックと前記第1気流形成部との間にガスを噴出する給気状態とに切り替えられる、請求項1または2に記載の射出成形機。
【請求項4】
第2気流形成部をさらに備え、
前記第2気流形成部は、前記冷却ブロックの周囲にガスを噴出するものであり、
前記第1気流形成部は、前記第2気流形成部が前記冷却ブロックと前記第2気流形成部との間に噴出するガスを、前記冷却ブロックと前記第1気流形成部との間から吸引する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記第2気流形成部は、前記冷却ブロックの両横側にガスを当てる、請求項4に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記第2気流形成部は、前記冷却ブロックと前記第2気流形成部との間のガスを吸引する排気状態と、前記冷却ブロックと前記第2気流形成部との間にガスを噴出する給気状態とに切り替えられる、請求項4または5に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記第1気流形成部と、前記第2気流形成部とは、独立に、前記冷却ブロックとの間のガスを吸引する排気状態と、前記冷却ブロックとの間にガスを噴出する給気状態とに切り替えられる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、金型装置内に成形材料を充填する射出装置を備える。射出装置は、金型装置内に充填される成形材料を加熱するシリンダ、およびシリンダの成形材料供給口を冷却する冷却ブロックを備える(例えば、特許文献1参照)。冷却ブロックの内部には冷却液(例えば冷却水)を流す流路が形成され、シリンダの成形材料供給口の温度は成形材料(例えば樹脂ペレット)が溶融しない温度に保たれる。成形材料供給口の目詰まりが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−103875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却ファンが冷却ブロックにガスを吹き付ける場合、冷却ブロックにおけるガスの当たる部分は冷却ファンの大きさに依存し、冷却ブロックが部分的に冷却されることがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ガスによって冷却ブロックを均一に冷却できる、射出成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
金型装置内に充填される成形材料を加熱するシリンダと、
該シリンダの成形材料供給口を冷却する冷却ブロックと、
第1気流形成部とを備え
、
前記第1気流形成部は、前記冷却ブロックの周囲のガスを吸引するものであって、前記冷却ブロックと前記第1気流形成部との間のガスを下方向に吸引する、射出成形機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ガスによって冷却ブロックを均一に冷却できる、射出成形機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による射出成形機の射出装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。また、充填工程におけるスクリュの移動方向(
図1および
図3において左方向)を前方、計量工程におけるスクリュの移動方向(
図1および
図3において右方向)を後方として説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による射出成形機の射出装置を示す側面図である。
図2は、
図1の射出装置を後方から見た図である。
図1および
図2は、説明の都合上、カバーの内部まで透視して示す。
図1および
図2において、矢印はガスの流れを示す。
図3は、
図1の射出装置の断面図である。
【0011】
射出成形機は、金型装置内に成形材料を充填する射出装置40を備える。射出装置40は、シリンダ41、ノズル42、スクリュ43、冷却ブロック44、カバー50、横冷却ファン51、および下冷却ファン52などを含む。横冷却ファン51および下冷却ファン52のうち、いずれか一方が特許請求の範囲に記載の第1気流形成部に相当し、他方が特許請求の範囲に記載の第2気流形成部に相当する。
【0012】
シリンダ41は、シリンダ41の外周に設けられるヒータなどの加熱源H1〜H4から供給される熱で成形材料を加熱する。シリンダ41の後部には成形材料供給口41aが形成され、成形材料供給口41aからシリンダ41内に成形材料が供給される。
【0013】
スクリュ43は、シリンダ41内において回転自在に且つ進退自在に配設される。計量工程では、スクリュ43を回転させて、シリンダ41内に供給された成形材料をスクリュ43に形成される螺旋状の溝43aに沿って前方に送り、徐々に溶融させる。溶融させた成形材料がスクリュ43の前方に送られ、シリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ43が後退させられる。スクリュ43の前方に所定量の成形材料が蓄積すると、スクリュ43の回転が停止され、計量工程が完了する。その後、充填工程では、スクリュ43を前進させて、スクリュ43の前方に蓄積された成形材料をシリンダ41の前端に設けられるノズル42から射出し、金型装置内に充填する。ノズル42の外周にはヒータなどの加熱源H5が設けられてよい。
【0014】
スクリュ43に形成される螺旋状の溝43aの深さは、一定でもよいし、場所によって異なってもよい。
【0015】
冷却ブロック44は、シリンダ41の後部を挿入させる挿入孔を有し、シリンダ41の後部に形成される成形材料供給口41aを冷却する。成形材料供給口41aの温度は成形材料(例えば樹脂ペレット)が溶融しない温度に保たれる。成形材料供給口41aの目詰まりが防止できる。
【0016】
冷却ブロック44は、表面の放熱面積を増やすため、複数の放熱フィン44aを有してよい。放熱フィン44aは、冷却ブロック44の両側部にそれぞれ形成されてよい。各放熱フィン44aは、例えば、直線状に形成され、上下方向に平行とされる。放熱フィン44a同士の間にガスを流すガス流路が形成される。ガス流路に沿ってガスが流れるので、流れが安定化する。
【0017】
ガス流路の断面形状は、例えば矩形状であってよい。尚、ガス流路の断面形状は、多種多様であってよく、例えば三角形状、台形状などでもよい。本明細書において、ガス流路の断面とは、ガスの流れ方向に対して垂直な断面を意味する。
【0018】
ガス流路の断面積は、一定であってよい。尚、ガス流路の断面積は、ガス流路の少なくとも一部において連続的または断続的に変化してもよい。ガス流路の断面積が大きくなるほどガスの流動抵抗が小さくなるため、ガス流路の断面積が大きくなる方向にガスが流れやすい。
【0019】
カバー50は、冷却ブロック44の周囲に配設され、
図2に示すように、冷却ブロック44との間に空間を形成する。カバー50は、例えば箱形状に形成される。カバー50の両側面および下面にはそれぞれ開口部が設けられる。カバー50の各側面の開口部に横冷却ファン51が配設され、カバー50の下面の開口部に下冷却ファン52が配設される。
【0020】
横冷却ファン51は、冷却ブロック44の周囲にガスを噴出する。横冷却ファン51から噴出されたガスは、冷却ブロック44に当たることにより、その流れ方向を変える。横冷却ファン51から噴出されたガスは、冷却ブロック44の表面に沿って流れ、冷却ブロック44の熱を奪う。ガスの種類は、特に限定されないが、例えば空気であってよい。
【0021】
横冷却ファン51からのガスの噴出方向は、
図2に示すように、冷却ブロック44の表面に沿って流れるガスの流れ方向に対して垂直とされてよい。横冷却ファン51の噴出口の大口径化によって横冷却ファン51から冷却ブロック44に向けて大量のガスが供給でき、冷却ブロック44が冷えやすい。冷却ブロック44の内部に流す冷却液の使用量が減り、ゼロにすることも可能である。
【0022】
尚、本実施形態の横冷却ファン51からのガスの噴出方向は、冷却ブロック44の表面に沿って流れるガスの流れ方向に対して垂直とされるが、斜めとされてもよい。この場合も、横冷却ファン51の噴出口の大口径化によって横冷却ファン51から冷却ブロック44に向けて大量のガスが供給でき、冷却ブロック44が冷えやすい。
【0023】
横冷却ファン51は、例えば、複数の羽根51aおよび複数の羽根51aと共に回転する回転軸51bを含み、回転軸51bの軸方向からガスを吸引し、回転軸51bの軸方向にガスを噴出してよい。横冷却ファン51の薄型化が可能であり、射出装置40の大型化が抑制できる。尚、横冷却ファン51は、多種多様であってよく、吸引方向と噴出方向とが異なるものでもよく、例えばシロッコファンなどでもよい。
【0024】
横冷却ファン51は、冷却ブロック44の周囲のガスを吸引する排気状態と、冷却ブロック44の周囲にガスを噴出する給気状態とに切り替えられてもよい。例えば、横冷却ファン51は、回転軸51bの回転方向の切り替えによって、排気状態と給気状態とに切り替えられる。冷却ブロック44の側面付近におけるガスの流れが変更できる。
【0025】
下冷却ファン52は、冷却ブロック44の周囲のガスを吸引する。下冷却ファン52は、負圧を発生させ、気圧差によって広い場所からガスを吸引できる。よって、
図1および
図2に示すように下冷却ファン52よりも広い幅のガスの流れが冷却ブロック44の周辺に形成できる。よって、冷却ブロック44が均等に冷却できる。
【0026】
下冷却ファン52は、横冷却ファン51と同様に、複数の羽根および複数の羽根と共に回転する回転軸を含み、回転軸の軸方向からガスを吸引し、回転軸の軸方向にガスを噴出してよい。下冷却ファン52の薄型化が可能であり、射出装置40の大型化が抑制できる。尚、下冷却ファン52は、多種多様であってよい。
【0027】
下冷却ファン52は、横冷却ファン51が噴出するガスを吸引する。横冷却ファン51は冷却ブロック44の側面付近に正圧を生じさせ、下冷却ファン52は冷却ブロック44の下面付近に負圧を生じさせる。気圧差によって冷却ブロック44付近のガスの流れを整えることができる。本実施形態では、下方向に向かうガスの流れが形成され、ガスが下方に排気される。よって、排気ガスがシリンダ41に当たらないので、シリンダ41の温度低下が防止できる。また、排気ガスが射出成形機の横で操作盤を操作する操作者に当たらないので、操作に対する悪影響がない。
【0028】
下冷却ファン52は、冷却ブロック44の周囲のガスを吸引する排気状態と、冷却ブロック44の周囲にガスを噴出する給気状態とに切り替えられてよい。例えば、下冷却ファン52は、その回転軸の回転方向の切り替えによって、排気状態と給気状態とに切り替えられる。冷却ブロック44の下面付近におけるガスの流れが変更できる。
【0029】
横冷却ファン51と下冷却ファン52とは、独立に排気状態と給気状態とに切り替えられてもよい。例えば、横冷却ファン51と下冷却ファン52の両方が排気状態または給気状態とされてもよいし、いずれか一方が排気状態とされ他方が給気状態とされてもよい。冷却ブロック44の付近の複数箇所におけるガスの流れが独立に変更でき、選択肢が広がる。
【0030】
以上、射出成形機の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0031】
例えば、上記実施形態の射出装置は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式でもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。スクリュ・プリプラ方式では可塑化シリンダ内にスクリュが配設され、プランジャ・プリプラ方式では可塑化シリンダ内にプランジャが配設される。プリプラ方式の場合、冷却ブロックは可塑化シリンダを冷却する。
【0032】
また、冷却ファンの数および配置は多種多様であってよい。例えば、上記実施形態では冷却ファンとして横冷却ファン51および下冷却ファン52の両方が用いられるが、いずれか一方のみが用いられてもよい。また、冷却ファンは、冷却ブロック44の横や下だけでなく、冷却ブロック44の前、上、後のいずれに配置されてもよい。冷却ファンの配置に応じて放熱フィン44aの形状および配置が選択されてよい。例えば、冷却ファンが冷却ブロック44の後に配置されガスを後方に吸引する場合、放熱フィン44aは前後方向に平行とされてもよい。ガスを後方に排気する場合、ガスを下方に排気する場合と同様に、排気ガスによるシリンダ41の温度低下が防止でき、また、操作者に対する排気ガスの悪影響がない。また、放熱フィン44aは、上記実施形態では直線状に形成されるが、曲線状に形成されてもよく、例えば渦巻き状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
40 射出装置
41 シリンダ
41a 成形材料供給口
43 スクリュ
44 冷却ブロック
44a 放熱フィン
50 カバー
51 横冷却ファン
51a 羽根
51b 回転軸
52 下冷却ファン
H1〜H5 加熱源