(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
オゾン発生器は、放電発生装置により発生した放電を利用して生成された熱的非平衡プラズマ中に、空気等の酸素を含有するガスを通すことにより、オゾンを発生する装置である。放電発生装置としては例えば無声放電方式がある。この方式は、例えば高電圧電極と接地電極の放電ギャップ間に、高圧交流電源より発生した数〜数十kVの高電圧を印加して微小放電柱の集合である放電を発生させる。酸素含有ガスは放電によって分解され、これによって、オゾンが発生する。
【0003】
従来、このようなオゾン発生器の構成としては、例えば特許文献1及び2に開示がある。
【0004】
すなわち、特許文献1の段落[0002]には、「無声放電式オゾン生成装置は1又は2の誘電体を挟んで対向した電極を有し、誘電体と電極との隙間又は誘電体同士の隙間に酸素を含む原料ガス(高濃度酸素(PSA酸素)や脱湿空気等)を通過させながら前記電極に交流高電圧を印加し、無声放電により酸素を解離させてオゾンを生成する。前記隙間は1mm前後で、誘電体には絶縁耐力の高いガラスやセラミックが用いられる。」との記載がある。
【0005】
さらに、特許文献1の段落[0015]に、「このオゾン発生体2は、外径18mm、肉厚0.9mm……(中略)……、スイッチング回数0.1〜1000回/秒、負荷率5〜95%の交流高電圧(数〜十数kV、40kHz)を印加して、」と記載されている。さらに、段落[0020]には、「脱湿空気1.0L/minの場合、」とある。また、段落[0005]に、「誘電体と電極との隙間又は誘電体同士の隙間をより狭くする(0.5〜1mm)」と記載されている。
【0006】
特許文献2の段落[0011]には、「乾燥空気を原料とし、円筒状の高圧電極に対し、同軸に円筒状の低圧電極を配置し、前記高圧電極と前記低圧電極との間に誘電体を介して所定の高電圧を印加して放電させ、前記放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置において、放電ギャップ長dが0.3mm〜0.5mmとされている。」と記載されている。さらに、段落[0018]に、「原料ガス(空気)の圧力である原料ガス圧pは、放電ギャップ長dと原料ガス圧pとの積であるpd積が6〜16kPa・cmとされている。さらに本実施形態においては、原料ガス圧p(kpa)とギャップ長d(cm)とが次式を満たすように設定している。」と記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、沿面放電型のオゾン発生器において、外径18mm、肉厚0.9mmの円筒管内に、放電周波数40kHzを印加し、脱湿空気1.0L/minを流すと記載されている。しかしながら、放電空間を原料ガスがどの程度の速さで流れれば、オゾンの分解を減少させられるかは述べていない。
【0009】
一方、特許文献2では、放電ギャップ長と原料ガス圧との関係でオゾン発生効率を述べている。しかしながら、管の長さや空気量によって、ガス圧はどれだけでも変化してしまう。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術は、同軸円筒状のオゾン発生器のような供給した原料ガスが放電空間を全て通過する場合には有効である。しかし、円筒状のセラミック誘電体と、セラミック誘電体の内部に設けられた導電体から形成された電極を、互いに所定の間隔を隔てて配置されたオゾン発生器においては有効ではない。放電空間以外にも原料ガスが通過する場所があるため、放電空間以外の空間の大きさによって、原料ガス圧がどのようにも変化するからである。
【0011】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、放電によって発生したオゾンが、再び放電にさらされるということが抑制され、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起き難く、オゾン発生の低減を少なくすることができるオゾン発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1] 本発明に係るオゾン発生器は、2つの電極が所定のギャップ長を隔てて配置された1以上の電極対と、前記2つの電極間に交流電圧を印加する電源とを有し、前記電極対の少なくとも前記2つの電極間に原料ガスを通過させ、前記2つの電極間に放電を発生させることで、オゾンを発生させるオゾン発生器において、前記2つの電極で挟まれた空間が放電空間であり、前記放電空間を通過する前記原料ガスの流速をV(m/s)、前記交流電圧の周波数をf(Hz)、前記放電空間のうち、前記原料ガスの流れの主方向に沿った長さをL(m)としたとき、
0.5<
V/
f/
L
を満足することを特徴とする。
【0013】
これにより、放電によって発生したオゾンは、再び放電にさらされ難くなるため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
【0014】
[2] 本発明において、1<
V/
f/
Lを満足することが好ましい。これにより、放電によって発生したオゾンは、再び放電にさらされ難くなる度合いが高くなる。そのため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減をさらに少なくすることが可能となる。
【0015】
[3] 本発明において、50>
V/
f/
Lを満足することが好ましい。これにより、反応しないまま通過する原料ガスが減少するため、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
【0016】
[4] 本発明において、20>
V/
f/
Lを満足することが好ましい。これにより、反応しないまま通過する原料ガスがさらに減少するため、オゾン発生の低減をより少なくすることが可能となる。
【0017】
[5] 本発明において、前記ギャップ長は0.2mm以上0.5mm未満であることが好ましい。
【0018】
これにより、高湿度環境であっても、オゾンの生成に影響を与える水分子やOHが誘電体の表面に付着し、誘電体の付近や放電空間の中央部分に存在する水分子やOHの量が減少する。そのため、オゾンの生成が阻害されず、オゾン生成量の減少を抑制することができる。さらに、誘電体の付近や放電空間の中央部分に水分子やOHが存在する範囲も狭くなるため、オゾンの生成が阻害される範囲も小さく、オゾン生成量の減少が少ない。しかも、放電空間が水分子やOHによって短絡することがさらに回避され、オゾン生成量の減少を抑えることができる。
【0019】
その結果、湿度が高くなってもオゾン発生の変化が少なくなり、幅広い湿度環境(絶対湿度0〜50g/m
3)において、安定したオゾン発生が得られるオゾン発生器とすることができる。
【0020】
[6] 本発明において、前記原料ガスが大気であってもよい。この場合、除湿されていない空気であっても構わない。
【0021】
[7] 本発明において、前記電極は、中空部を有する筒状の誘電体と、該誘電体の前記中空部内に位置された導体とを有してもよい。
【0022】
[8] 本発明において、複数の前記電極対が並列もしくは直列又は並列及び直列に配置され、前記原料ガスの流れの主方向を法線方向とする原料ガス通過面に、前記放電空間ではない部分が存在してもよい。
【0023】
[9] 本発明において、前記放電空間を通過する原料ガスの流量が380L/min以下であることが好ましい。さらに好ましくは300L/min以下であり、より好ましくは150L/min以下である。
【0024】
これにより、放電空間に流れる原料ガスの分布が減少し、放電空間内で均一にオゾンが生成でき、原料ガスが多すぎてオゾンが生成しきれないことをなくすことができる。その結果、オゾンの分解反応によるオゾン発生の低減を減らすことができ、且つ、反応しきれないまま放電空間を通過する原料ガスを減らすことができるため、高いオゾンの生成効率を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るオゾン発生器によれば、放電によって発生したオゾンが、再び放電にさらされるということが抑制され、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起き難く、オゾン発生の低減を少なくすることができる。これは、発生するオゾン濃度の向上、オゾン発生効率の向上につながる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るオゾン発生器の実施の形態例を
図1〜
図9を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0028】
本実施の形態に係るオゾン発生器10は、
図1及び
図2に示すように、原料ガス12が流通する筐体14と、筐体14の内部に設置された1以上の電極対16と、交流電源18とを有する。電極対16は、2つの電極20(一方の電極20a及び他方の電極20b)が所定のギャップ長Dgを隔てて配置されて構成されている。交流電源18は、2つの電極20間に交流電圧v(=Asin(2πf)t)を印加する。
【0029】
オゾン発生器10は、電極対16の少なくとも2つの電極20間に原料ガス12を通過させ、2つの電極20間に放電を発生させることで、オゾンを発生させる。2つの電極20で挟まれた空間は、放電が発生する空間であることから、ここでは、放電空間22と定義する。
【0030】
また、このオゾン発生器10は、原料ガス12の流れの主方向を法線方向とする原料ガス通過面24に、放電空間ではない部分26が存在する。具体的には、原料ガス通過面24のうち、一方の電極20aと筐体14の一方の内壁28a(一方の電極20aに近接する内壁)間の部分と、他方の電極20bと筐体14の他方の内壁28b(他方の電極20bに近接する内壁)間の部分とがそれぞれ放電空間ではない部分26である。なお、原料ガス12の流れの主方向とは、原料ガス12の中央部分における指向性のある流れの方向を示し、これは、原料ガス12の周辺部の指向性のない流れ成分の方向を排除する意味である。
【0031】
各電極20は棒状を有し、中空部30を有する筒状の誘電体32と、該誘電体32の中空部30内に位置された導体34とを有する。
図1及び
図2では、誘電体32は円筒状を有し、横断面形状が円形の中空部30が形成された例を示す。導体34は横断面形状が円形を有する。もちろん、これらの形状に限定する必要はなく、誘電体32は、横断面形状が三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形の筒状としてもよい。これに対応させて、導体34の形状も横断面形状が三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形の柱状としてもよい。
【0032】
原料ガス12は、本実施の形態では、オゾンを発生させることを目的としているため、大気や酸素を含んだガスを例示することができる。この場合、除湿されていない空気であっても構わない。
【0033】
誘電体32の材料は、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ネオジム、窒化チタン、窒化アルミ、窒化珪素、アルミナ、シリカ及びムライトからなる群から選ばれた1つ以上の材料を含む単独もしくは複合酸化物や複合窒化物であってもよい。
【0034】
導体34の材料は、モリブデン、タングステン、銀、銅、ニッケル及びこれらの中から少なくとも1つを含む合金からなる群より選ばれた1つであることが好ましい。合金としては、インバー、コバール、インコネル(登録商標)、インコロイ(登録商標)を例示することができる。
【0035】
また、誘電体32の材料は、導体34の融点未満の温度において焼成することができるセラミックス材料、例えばLTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)を用いることが好ましい。具体的には、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ネオジム、窒化チタン、窒化アルミ、窒化珪素、アルミナ、シリカ及びムライトからなる群から選ばれた1つ以上の材料を含む単独もしくは複合酸化物や複合窒化物であることが好ましい。
【0036】
そして、本実施の形態に係るオゾン発生器10においては、
図3に示すように、放電空間22を通過する原料ガス12の流速をV(m/s)、交流電圧vの周波数をf(Hz)、放電空間22のうち、原料ガス12の流れの主方向に沿った長さをL(m)としたとき、以下の(1)式を満足することが好ましい。
0.5<
V/
f/
L ……(1)
【0037】
ここで、
V/
f/
Lは、交流電圧1周期当たりに長さLの何倍の距離だけ原料ガス12が移動するかを示す。
【0038】
上述の(1)式を満足することで、放電によって発生したオゾンは、再び放電にさらされ難くなるため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
【0039】
また、以下の(2)式を満足することで、放電によって発生したオゾンは、(1)式の場合よりも、再び放電にさらされ難くなる度合いが高くなる。そのため、O原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応が起きず、オゾン発生の低減をさらに少なくすることが可能となる。
1<
V/
f/
L ……(2)
【0040】
以下の(3)式を満足することで、反応しないまま通過する原料ガス12が減少するため、オゾン発生の低減を少なくすることが可能となる。
50>
V/
f/
L ……(3)
【0041】
また、以下の(4)式を満足することで、反応しないまま通過する原料ガス12がさらに減少するため、オゾン発生の低減をより少なくすることが可能となる。
20>
V/
f/
L ……(4)
【0042】
本実施の形態に係るオゾン発生器10においては、放電空間22を通過する原料ガス12の流量を380L/min以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、300L/min以下であり、より好ましくは150L/min以下である。
【0043】
これにより、放電空間22に流れる原料ガス12の分布が減少し、放電空間22内で均一にオゾンが生成でき、原料ガス12が多すぎてオゾンが生成しきれないことをなくすことができる。その結果、オゾンの分解反応によるオゾン発生の低減を減らすことができ、且つ、反応しきれないまま放電空間22を通過する原料ガス12を減らすことができるため、高いオゾンの生成効率を得ることができる。
【0044】
また、
図1に示すように、2つの電極20間のギャップ長Dgの上限は、1.0mm未満であることが好ましい。ギャップ長Dgは、2つの電極20間の距離のうち、一方の電極20aの誘電体32と他方の電極20bの誘電体32との間の最短距離を示す。
【0045】
本実施の形態では、各電極20を、中空部30を有する筒状の誘電体32と、該誘電体32の中空部30内に位置された導体34とを有する構成としたので、電極20間の距離を容易に調整することができ、特許文献1に記載された沿面放電方式の構成と比して、電極20間のギャップ長Dgを1.0mm未満とすることが容易になる。
【0046】
ところで、高湿度環境では、オゾンの生成に影響を与える水分子やOHをできるだけ電極20の誘電体32に付着させることが好ましい。これにより、放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの量が減少し、オゾンの生成への影響を低減させることできる。しかし、
図4Aに示すように、ギャップ長Dgが1.0mm以上であると、誘電体32間の距離が大きくなることから、誘電体32に付着する水分子やOHの量が減り、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの量が増えることとなる。そのため、高湿度環境では原料ガス12に含まれ、且つ、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの影響によってオゾンの生成が阻害され、オゾンの生成効率が低下したり、発生しなくなる。
【0047】
これに対して、本実施の形態では、ギャップ長Dgの上限を、1.0mm未満としている。これにより、
図4Bに示すように、高湿度環境であっても、オゾンの生成に影響を与える水分子やOHが誘電体32の表面に付着し、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する水分子やOHの量が減少する。そのため、オゾンの生成が阻害されず、オゾン生成量の減少を抑制することができる。さらに、誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに水分子やOHが存在する範囲も狭くなるため、オゾンの生成が阻害される範囲も小さく、オゾン生成量の減少が少ない。
【0048】
その結果、湿度が高くなってもオゾン発生の変化が少なくなり、幅広い湿度環境(絶対湿度0〜50g/m
3)において、安定したオゾン発生が得られるオゾン発生器とすることができる。
【0049】
ギャップ長Dgの上限として、0.5mm未満がさらに好ましい。これにより、さらにオゾンの生成を阻害する水分子やOHが誘電体32に付着する割合が増え、水分子やOHが誘電体32の付近や放電空間22の中央部分22aに存在する割合が減少するため、オゾン生成量の減少をさらに抑えることができる。
【0050】
一方、ギャップ長Dgが小さすぎると、水分子やOHが誘電体32に付着することによって、放電空間22が短絡するおそれがある。すなわち、誘電体32間が水分子やOHで接続されるおそれがある。これは、放電空間22の中央部分22aに水分子やOHが多く存在することと同じになり、水分子やOHの影響によってオゾンの生成が阻害され、オゾンの生成効率が低下したり、発生しなくなる。そこで、ギャップ長Dgの下限としては、0.1mm以上が好ましく、さらに好ましくは0.2mm以上である。これにより、放電空間22が水分子やOHによって短絡することが回避され、オゾン生成量の減少を抑えることができる。
【0051】
なお、電極20の製造方法としては、以下に示す方法が挙げられる。すなわち、例えば筒状の成形体を仮焼成して中空部を有する仮焼成体を作製し、その後、仮焼成体の中空部内に導体34を挿入する。そして、仮焼成体と導体34とを仮焼成よりも高い温度で焼成することによって直接一体化させて誘電体32の中空部30に導体34が挿入された電極20を作製する。
【0052】
その他の方法としては、ゲルキャスト法を用いることができる。ゲルキャスト法では、金型内に、導体34をセットし、セラミック粉末、分散媒、及びゲル化剤を含むスラリーを注型した後に、このスラリーを温度条件や架橋剤の添加等によりゲル化させることにより固化し、成形して、その後、焼成することで、電極20を作製する。
【0053】
上述の例では、1つの電極対16を示したが、その他、
図5〜
図7に示す第1変形例〜第3変形例も好ましく採用することができる。
【0054】
第1変形例に係るオゾン発生器10aは、
図5に示すように、複数の電極対16を並列に配列した点で、オゾン発生器10(
図1及び
図2参照)と異なる。交流電源18は、それぞれ一方の電極20aと他方の電極20b間に交流電圧vを印加する。
【0055】
このオゾン発生器10aにおいても、原料ガス通過面24に、放電空間ではない部分26が存在する。具体的には、原料ガス通過面24のうち、電極対16間の部分と、筐体14の一方の内壁28aに近接する一方の電極20aと一方の内壁28a間の部分と、筐体14の他方の内壁28bに近接する他方の電極20bと他方の内壁28b間の部分が、それぞれ放電空間ではない部分26である。
【0056】
第2変形例に係るオゾン発生器10bは、
図6に示すように、複数の電極対16を直列に配列した点で、オゾン発生器10(
図1及び
図2参照)と異なる。交流電源18は、それぞれ一方の電極20aと他方の電極20b間に交流電圧vを印加する。
【0057】
このオゾン発生器10bにおいても、原料ガス通過面24に放電空間ではない部分26が存在する。具体的には、複数の電極対16の各一方の電極20aと筐体14の一方の内壁28a間の部分と、複数の電極対16の各他方の電極20bと筐体14の他方の内壁28b間の部分が、それぞれ放電空間ではない部分26である。
【0058】
第3変形例に係るオゾン発生器10cは、
図7に示すように、複数の電極対16を並列及び直列に配列した点で、オゾン発生器10(
図1及び
図2参照)と異なる。交流電源18は、それぞれ一方の電極20aと他方の電極20b間に交流電圧vを印加する。
【0059】
このオゾン発生器10cにおいても、原料ガス通過面24に放電空間ではない部分26が存在する。
【実施例】
【0060】
[第1実施例]
それぞれ原料ガス12の流量が異なるサンプル1〜3について、上述した
V/
f/
Lを変化させたときのオゾン濃度の変化を確認した。
【0061】
原料ガス12として空気を使用した。放電用の電源として、電圧(振幅A)が±4kV、周波数fが20kHzの交流電圧vを出力する交流電源18を用いた。
【0062】
上記の条件で、排出ガスのオゾン濃度をオゾン濃度計(EG−3000D(荏原実業株式会社製))にて測定した。
【0063】
また、
図3に示すように、Lは、放電空間22のうち、原料ガス12の流れの主方向に沿った長さ(m)を示し、Vは、放電空間22を通過する原料ガス12の流速(m/s)を示す。また、fは、交流電源18の交流電圧vの周波数(Hz)を示す。
【0064】
サンプル1〜3の内訳は以下の通りである。
【0065】
(サンプル1)
サンプル1は、
図1〜
図3に示す構造において、電極対16のギャップ長Dgが0.30mmである。原料ガス12の流量は350L/minである。
【0066】
(サンプル2)
サンプル2は、原料ガス12の流量が275L/minである点以外はサンプル1と同じである。
【0067】
(サンプル3)
サンプル3は、原料ガス12の流量が145L/minである点以外はサンプル1と同じである。
【0068】
(評価結果)
サンプル1〜3の評価結果を
図8に示す。
図8において横軸の
V/
f/
Lは対数目盛である。
【0069】
図8から、サンプル1は、0.5<
V/
f/
L≦10の範囲で、0.7ppm以上のオゾン濃度を維持し、1<
V/
f/
L<10の範囲で、約0.72ppmのオゾン濃度を維持している。また、10<
V/
f/
L≦30の範囲で、0.6〜0.7ppmのオゾン濃度を維持し、30<
V/
f/
L<50の範囲で、0.55〜0.6ppmのオゾン濃度を維持している。
【0070】
サンプル2は、0.5<
V/
f/
L≦20の範囲で、0.7ppm以上のオゾン濃度を維持し、1<
V/
f/
L<10の範囲で、約0.75ppmのオゾン濃度を維持している。また、20<
V/
f/
L<50の範囲で、オゾン濃度0.6〜0.7ppmを維持している。
【0071】
サンプル3は、0.5<
V/
f/
L≦10の範囲で、オゾン濃度0.8ppm以上を維持し、1<
V/
f/
L<10の範囲で、約0.82ppmのオゾン濃度を維持している。また、10<
V/
f/
L≦35の範囲で、オゾン濃度0.7〜0.8ppmを維持し、35<
V/
f/
L<50の範囲で、オゾン濃度0.65〜0.7ppmを維持している。
【0072】
このことから、0.5<
V/
f/
Lを満足することが好ましく、1<
V/
f/
Lを満足することがさらに好ましいことがわかる。これらの条件を満足することで、放電によって発生したオゾンが、再び放電にさらされ難くなっているものと考えられる。つまり、再度の放電によるO原子との反応による分解反応や、水分子やOHとの反応による分解反応を引き起こすことがなく、オゾン発生の低減が抑制されているものと考えられる。
【0073】
また、50>
V/
f/
Lを満足することが好ましく、20>
V/
f/
Lを満足することがさらに好ましいことがわかる。これらの条件を満足することで、反応しないまま通過する原料ガス12が減少し、その結果、オゾン発生の低減が抑制されているものと考えられる。
【0074】
さらに、サンプル1〜3の結果から、放電空間22を通過する原料ガス12の流量を380L/min以下とすることが好ましいことがわかる。さらに好ましくは、300L/min以下であり、より好ましくは150L/min以下である。これらの条件を満足することにより、放電空間22に流れる原料ガス12の分布が減少し、放電空間22内で均一にオゾンが生成でき、原料ガス12が多すぎてオゾンが生成しきれないことをなくすことができているものと考えられる。その結果、放電空間22に入った原料ガス12のうち、放電空間22で反応しきれないまま放電空間22を通過する原料ガス12を減らすことができるため、高いオゾンの生成効率を得ることができる。
【0075】
[第2実施例]
サンプル11〜16について、絶対湿度を変化させた場合のオゾン発生効率の変化を確認した。オゾン発生効率は、一定の投入電力、一定のガス流量下における排出ガス中のオゾン濃度とした。
【0076】
(オゾン発生効率の確認方法)
オゾン発生効率を確認するために、原料ガス12は、空気を使用した。ガス流量は350L/minであり、ガス圧力は0.10MPaとした。
【0077】
第1実施例と同様に、放電用の電源として、電圧(振幅A)が±4kV、周波数fが20kHzの交流電圧vを出力する交流電源18を用いた。
【0078】
上記の条件で、排出ガスのオゾン濃度をオゾン濃度計(EG−3000D(荏原実業株式会社製))にて測定した。
【0079】
サンプル11〜16に係るオゾン発生器における電極構造の内訳は以下の通りである。
【0080】
(サンプル11)
サンプル11は、
図1及び
図2に示す構造において、電極対16のギャップ長Dgが0.60mmである。
【0081】
(サンプル12〜15)
サンプル12、13、14及び15は、電極対16のギャップ長Dgがそれぞれ0.45mm、0.30mm、0.15mm、0.05mmである点以外はサンプル11と同じである。
【0082】
(サンプル16)
サンプル16は、電極対16のギャップ長Dgが1.00mmである点以外はサンプル11と同じである。
【0083】
(評価結果)
サンプル11〜16の評価結果を
図9に示す。
【0084】
図9から、サンプル16は絶対湿度0〜15g/m
3にわたってオゾンが生成されていることがわかった。
【0085】
また、サンプル11〜15では、絶対湿度0〜50g/m
3にわたってオゾンが生成されている。特に、サンプル12〜14では、絶対湿度0〜50g/m
3にわたってオゾン発生効率が15g/kWh以上を維持しており、幅広い湿度環境において安定したオゾン発生が実現されている。その中でも、サンプル12及び13は、絶対湿度0〜50g/m
3にわたってオゾン発生効率が25g/kWh以上を維持している。
【0086】
このことから、電極対16のギャップ長Dgの上限は1.0mm未満であることが好ましく、0.5mm未満であることがさらに好ましいことがわかる。また、ギャップ長Dgの下限は0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがさらに好ましいことがわかる。
【0087】
なお、本発明に係るオゾン発生器は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。