特許第6223848号(P6223848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223848
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】打撃工具
(51)【国際特許分類】
   B25D 17/00 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   B25D17/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-21570(P2014-21570)
(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-147268(P2015-147268A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小野田 真司
(72)【発明者】
【氏名】古澤 正規
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−230229(JP,A)
【文献】 特開平08−141943(JP,A)
【文献】 特開2005−161497(JP,A)
【文献】 特開2007−044869(JP,A)
【文献】 特開2004−174688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 17/00
B25F 5/02
B23B 45/16
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングが、モータを収容するモータハウジングと、そのモータハウジングの上部で前向きの出力部を収容する上側ハウジングとを含んでなり、前記モータハウジングと前記上側ハウジングとが、前記モータハウジングの前後にそれぞれ配置された複数のネジによって連結される打撃工具であって、
前記ネジのうち、前記モータハウジングの前側に位置するネジが下方から、前記モータハウジングの後側に位置するネジが上方からそれぞれ螺合され
前記モータハウジングと前記上側ハウジングとの後方に、前記モータハウジングの後側に位置する前記ネジを覆うハンドルハウジングがネジ固定され、前記ハンドルハウジングの取り外しによって前記後側に位置する前記ネジが露出することを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
ハウジングが、モータを収容するモータハウジングと、そのモータハウジングの上部で前向きの出力部を収容する上側ハウジングとを含んでなり、前記モータハウジングと前記上側ハウジングとが、前記モータハウジングの前後にそれぞれ配置された複数のネジによって連結される打撃工具であって、
前記ネジのうち、前記モータハウジングの前側に位置するネジが下方から、前記モータハウジングの後側に位置するネジが上方からそれぞれ螺合され、
前記モータハウジングの前部に、前記モータハウジングの前側に位置する前記ネジを覆う前カバーが組み付けられることを特徴とする打撃工具。
【請求項3】
前記前カバーは、前記前カバーに前方から巻回して前記ハウジングに取り付けられる帯状部材によって固定されることを特徴とする請求項に記載の打撃工具。
【請求項4】
前記上側ハウジングと前記前カバーとの間に、前記前カバーの組み付け位置で互いに係合する係合部をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の打撃工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマドリルや電動ハンマ等の打撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハンマドリルでは、モータを収容するモータハウジングの上方に、モータの回転をピストン等の往復動に変換するクランク機構を収容するクランクハウジングを、上方から螺合されるネジによって固定し、モータハウジングとクランクハウジングとの後方にハンドルを後方からネジ固定するものが知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】マキタ総合カタログ2013−10、ハンマドリルHR5211C、[平成26年1月24日検索]、インターネット<http://www.makita.co.jp/product/ecatalog/sougou/index.html#44>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなハンマドリルにおいては、モータハウジングとクランクハウジングとを固定するネジは、ハンドル等の複数のハウジングやカバーによって隠されているため、モータの修理等を行う際、作業者は、複数のハウジング等の固定ネジをそれぞれ緩めてハウジング等を取り外し、その上でモータハウジングとクランクハウジングとを固定するネジを緩めてモータハウジングを分離させる手順が必要となり、作業性がよくなかった。
【0005】
そこで、本発明は、モータハウジングとクランクハウジング等の上側ハウジングとを連結するネジの取り外しを簡単にして修理等に係る作業性を向上させることができる打撃工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ハウジングが、モータを収容するモータハウジングと、そのモータハウジングの上部で前向きの出力部を収容する上側ハウジングとを含んでなり、モータハウジングと上側ハウジングとが、モータハウジングの前後にそれぞれ配置された複数のネジによって連結される打撃工具であって、ネジのうち、モータハウジングの前側に位置するネジが下方から、モータハウジングの後側に位置するネジが上方からそれぞれ螺合され、モータハウジングと上側ハウジングとの後方に、モータハウジングの後側に位置するネジを覆うハンドルハウジングがネジ固定され、ハンドルハウジングの取り外しによって後側に位置するネジが露出することを特徴とするものである。
なお、本発明でいう「ネジ」は「ボルト」も含む。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、ハウジングが、モータを収容するモータハウジングと、そのモータハウジングの上部で前向きの出力部を収容する上側ハウジングとを含んでなり、モータハウジングと上側ハウジングとが、モータハウジングの前後にそれぞれ配置された複数のネジによって連結される打撃工具であって、ネジのうち、モータハウジングの前側に位置するネジが下方から、モータハウジングの後側に位置するネジが上方からそれぞれ螺合され、モータハウジングの前部に、モータハウジングの前側に位置するネジを覆う前カバーが組み付けられることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項の構成において、前カバーは、前カバーに前方から巻回してハウジングに取り付けられる帯状部材によって固定されることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項2又は3の構成において、上側ハウジングと前カバーとの間に、前カバーの組み付け位置で互いに係合する係合部をそれぞれ設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び2に記載の発明によれば、モータハウジングの前側のネジを下方から螺合させたことで、複数のハウジング等の固定ネジを取り外さなくてもモータハウジングと上側ハウジングとを連結する前後のネジの取り外しが簡単に行え、修理等に係る作業性を向上させることができる。
特に、請求項1に記載の発明によれば、上記効果に加えて、ハンドルハウジングによって常態では後側のネジが保護される一方、ハンドルハウジングの取り外しによって当該ネジの取り外しを簡単に行うことができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、前カバーによって常態では前側のネジが保護される一方、前カバーの取り外しによって当該ネジの取り外しを簡単に行うことができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項の効果に加えて、前カバーの固定を帯状部材を利用して簡単に行うことができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項2又は3の効果に加えて、係合部同士の係合によって前カバーを組み付ける際の脱落が防止でき、前カバーの組み付けに係る作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ハンマドリルの全体図である。
図2】ハンマドリルの縦断面図である。
図3】モータハウジングを分離した状態の斜視図である(ハンドルハウジングは省略)。
図4】モータハウジングを分離した状態の側面図である(ハンドルハウジングは省略)
図5】ハンドルハウジングを分離した状態の斜視図である。
図6】ハンドルハウジングを分離した状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、打撃工具の一例であるハンマドリルの全体図、図2は縦断面図で、ハンマドリル1は、ハウジング2の後方(図1,2の左側を前方とする。)に、出力軸4を上向きにしたモータ3を配置し、その上方にクランク機構5及び回転伝達機構6を設けると共に、前端に図示しないビットを装着可能なツールホルダ8を有する出力部7を備えて、出力軸4の回転に伴い、クランク機構5及び回転伝達機構6を介してビットに打撃又は打撃+回転を伝達するものである。ハウジング2の後方には、スイッチ10及びスイッチレバー11を備えたハンドル9が設けられている。12は電源コードである。
【0010】
ここでのハウジング2は、モータ3を収容するモータハウジング20と、モータハウジング20の上端に連結されて出力軸4及びクランク機構5のクランク軸13、回転伝達機構6の中間軸14をそれぞれ軸支するギヤハウジング21と、ギヤハウジング21の上方に連結されてクランク機構5及び回転伝達機構6、出力部7の後部を収容する上側ハウジングとしてのクランクハウジング22と、クランクハウジング22の前方に連結されて出力部7の前部を収容する前ハウジング23と、モータハウジング20及びクランクハウジング22に連結されて後端にハンドル9を形成するハンドルハウジング24とからなる。モータハウジング20の上端には、ギヤハウジング21の前部を覆う前カバーとしてのギヤハウジングカバー25が設けられ、クランクハウジング22及び前ハウジング23の外側には、ハウジングカバー26及びクランクキャップカバー27が設けられている。
【0011】
モータ3の出力軸4は、ギヤハウジング21を貫通してクランクハウジング22内に突出し、クランク軸13に設けた上側ギヤ15と噛合している。クランク軸13に設けた偏心軸16は、クランクハウジング22に保持されるシリンダ17内へ前後動可能に収容されるピストン18に、コネクティングロッド19を介して連結されて、クランク軸13の回転をピストン18の往復動に変換可能としている。シリンダ17内でピストン18の前方には、空気室30を介して打撃子31が収容されて、打撃子31の前方でツールホルダ8内には、中間子32が収容されている。中間子32の前方でツールホルダ8の前端には、ビットを差し込み装着するチャック33が設けられている。
一方、クランク軸13に設けた下側ギヤ34は、その前方の中間軸14に設けたトルクリミッタ付きの中間ギヤ35と噛合しており、中間軸14の上端に設けた第1ベベルギヤ36は、ツールホルダ8の後端へ回転可能に外装された第2ベベルギヤ37と噛合している。
【0012】
第2ベベルギヤ37の前方でツールホルダ8には、ツールホルダ8とスプライン結合されるリング状のクラッチ38が設けられ、クラッチ38の前方には、ツールホルダ8と一体のロックリング39が設けられて、クラッチ38は、第2ベベルギヤ37と係合する後退位置と、ロックリング39と係合する前進位置との間でスライド可能となっている。すなわち、クラッチ38が後退位置にあれば、第2ベベルギヤ37の回転がクラッチ38を介してツールホルダ8に伝達可能となり、クラッチ38が前進位置にあれば、第2ベベルギヤ37の回転はツールホルダ8に伝わらず、ロックリング39を介してツールホルダ8の回転がロックされる。ツールホルダ8は、クラッチ38を第2ベベルギヤ37とロックリング39との間に位置させれば回転がフリーとなるため、任意の回転角度が選択できる。このクラッチ38の前後及び中間位置は、クランクキャップカバー27の上面に設けたチェンジレバー40の回転操作によって選択可能となっている。
【0013】
よって、スイッチレバー11を押し込み操作してスイッチ10をONさせると、モータ3が駆動して出力軸4が回転し、上側ギヤ15を介してクランク軸13を回転させるため、偏心軸16が偏心運動してコネクティングロッド19を介してピストン18が往復動する。すると、空気バネの作用で打撃子31が連動して前後動し、中間子32を打撃してツールホルダ8前端のビットに打撃を伝える。同時にクランク軸13の下側ギヤ34及び中間ギヤ35を介して中間軸14を回転させ、第2ベベルギヤ37を回転させる。このとき、クラッチ38が後退位置に切り替えられていれば、第2ベベルギヤ37の回転がクラッチ38を介してツールホルダ8に伝わり、ビットは打撃に加えて回転動作を行う(ハンマドリルモード)。逆にクラッチ38が前進位置に切り替えられていれば、第2ベベルギヤ37の回転はツールホルダ8に伝わらないため、ビットには打撃のみが伝わるハンマモードとなる。モータ3の後方には、モータ3の通電量を調整するコントローラ41が配置されており、コントローラ41に設けられてモータハウジング20の側面に露出する調整ダイヤル42の操作により、回転数及び打撃数の調整が可能となっている。
【0014】
なお、クラッチ38の内周には、リング状の凹溝43が周設されて、クラッチ38には、凹溝43と連通する複数の貫通孔44,44・・が半径方向に形成されている。一方、ツールホルダ8には、クラッチ38の前後位置でそれぞれ凹溝43と連通する連通孔45,45・・が形成されている。よって、打撃動作等によって温度上昇したツールホルダ8内の空気を、どちらの動作モードでも連通孔45からクラッチ38の凹溝43及び貫通孔44を介して出力部7の外部へ逃がすことができる。
【0015】
そして、モータハウジング20とクランクハウジング22とは、図3,4に示すように、モータハウジング20をギヤハウジング21を介して上側のクランクハウジング22に複数のボルトで固定することで連結する構造となっているが、ここではモータハウジング20の後部では、左右一対のボルト46,46を、クランクハウジング22の上側からクランクハウジング22の後部両端及びギヤハウジング21の後部両端を貫通させてモータハウジング20へねじ込み、モータハウジング20の前部では、同じく左右一対のボルト47,47を、ギヤハウジング21の下側からモータハウジング20の前部両端及びギヤハウジング21の中間部両端を貫通させてクランクハウジング22へねじ込むようになっている。ギヤハウジング21の上面におけるボルト46,47の貫通部には、クランクハウジング22の下面に設けた図示しない凹部に嵌合する位置決めボス48,48・・が設けられている。
【0016】
また、ギヤハウジング21は、中間軸14を軸支する前部がモータハウジング20より前方へ突出しているが、この前部両端も、ギヤハウジング21の下側からギヤハウジング21を貫通してクランクハウジング22へねじ込まれる左右一対のボルト49,49によってクランクハウジング22と連結されている。
このギヤハウジング21の前部は、モータハウジング20の上側前端に組み付けられる前カバーとしてのギヤハウジングカバー25によって覆われる。このギヤハウジングカバー25は、図5に示すように、上面及び後面を開放した皿状で、前端の内面中央に突設した突起50には、クランクハウジング22の前端中央に突設した係合片52が係合可能な溝51が形成され、両端後部には、組み付け状態でモータハウジング20の左右上端の内側に入り込む差込部53,53が形成されている。
【0017】
よって、溝51を係合片52に合わせてモータハウジング20の前方から、差込部53,53がモータハウジング20の左右上端の内側に差し込まれるようにギヤハウジングカバー25を後方へスライドさせると、ギヤハウジングカバー25は、図2に示すように、溝51に係合片52が係合し、差込部53,53がモータハウジング20の左右上端に係合した状態でモータハウジング20と連続状に繋がった状態で組み付けられて、ギヤハウジング21の前部を覆うものとなる。この状態でモータハウジング20を組み付ける前側のボルト47,47及びギヤハウジング21を組み付けるボルト49,49はギヤハウジングカバー25に覆われる。
【0018】
一方、ハンドルハウジング24は、モータハウジング20及びクランクハウジング22の後部を覆うカバー部28を前部に有し、後部にハンドル9を形成したもので、図5,6に示すように、カバー部28をモータハウジング20及びクランクハウジング22の後部に組み付けて、カバー部28内で前向きに形成したボス54,54・・をモータハウジング20及びクランクハウジング22へ後ろ向きに形成したボス55,55・・にそれぞれ嵌合させ、各ボス54,55の位置で後方から8本のネジ56,56・・をねじ込むことで、ハンドルハウジング24はモータハウジング20及びクランクハウジング22に連結される。この連結状態で、カバー部28の上側はハウジングカバー26及びクランクキャップカバー27に連続し、カバー部28の下側はモータハウジング20と連続する。また、ギヤハウジング21の後部もカバー部28に覆われてボルト46,46が隠される。
【0019】
また、ギヤハウジングカバー25の上端外周と、モータハウジング20の上端で左右の側面と、ハンドルハウジング24のカバー部28の外周とには、ギヤハウジングカバー25及びハンドルハウジング24の組み付け状態で連続状に繋がる凹部57,57・・がそれぞれ形成されて、これらの凹部57の全周に亘って帯状部材としての帯状カバー29が設けられている。すなわち、凹部57の位置で帯状カバー29をギヤハウジングカバー25の前方から巻き付けるようにして嵌合させて、帯状カバー29の後端内面に突設した小ボス58,58をカバー部28の凹部57の位置に設けたボス54に嵌合させ、ハンドルハウジング24を組み付けるネジ56の内の2本を帯状カバー29ごとねじ込むことで、図1に示すように、帯状カバー29はギヤハウジングカバー25及びモータハウジング20、ハンドルハウジング24のカバー部28を周回する格好で組み付けられ、この状態でギヤハウジングカバー25の前方への抜け止めがなされる。
【0020】
以上の如く構成されたハンマドリル1においては、例えばモータ3の修理等を行う場合、ハンドルハウジング24を組み付ける8本のネジ56を緩めてハンドルハウジング24を取り外せば、帯状カバー29の固定が解除されるため、帯状カバー29と共に帯状カバー29に抜け止めされていたギヤハウジングカバー25も取り外し可能となる。すると、図5,6に示すように、モータハウジング20を組み付ける後側のボルト46,46と前側のボルト47,47とが露出するため、これらのボルト46,47を緩めれば、モータハウジング20をクランクハウジング22及びギヤハウジング21から取り外すことができ、モータ3の修理等が行える。修理後の組み付けも、逆の手順でボルト46,47によってモータハウジング20とクランクハウジング22とを連結させた後、ギヤハウジングカバー25とハンドルハウジング24とを組み付けて帯状カバー29を巻回させた状態でネジ56を締め付ければよい。
【0021】
このように、上記形態のハンマドリル1によれば、モータハウジング20とクランクハウジング22とを連結するボルトのうち、モータハウジング20の前側に位置するボルト47,47を下方から、モータハウジング20の後側に位置するボルト46,46を上方からそれぞれ螺合するようにしたことで、ハンドルハウジング24を固定するネジ56を取り外すだけで前後のボルト46,47の取り外しが簡単に行えるようになり、修理等に係る作業性を向上させることができる。
特にここでは、モータハウジング20とクランクハウジング22との後方に、後側のボルト46,46を覆うハンドルハウジング24がネジ固定され、ハンドルハウジング24の取り外しによってボルト46,46が露出するようにしているので、常態ではボルト46,46が保護される一方、ハンドルハウジング24の取り外しによってボルト46,46の取り外しを簡単に行うことができる。
【0022】
また、モータハウジング20の前部に、前側のボルト47,47を覆うギヤハウジングカバー25が組み付けられることで、常態ではボルト47,47が保護される一方、ギヤハウジングカバー25の取り外しによってボルト47,47の取り外しを簡単に行うことができる。
さらに、ギヤハウジングカバー25は、ギヤハウジングカバー25に前方から巻回してハンドルハウジング24に取り付けられる帯状カバー29によって固定されることで、ギヤハウジングカバー25の固定が帯状カバー29を利用して簡単に行える。
加えて、クランクハウジング22とギヤハウジングカバー25との間に、ギヤハウジングカバー25の組み付け位置で互いに係合する係合部(溝51、係合片52)をそれぞれ設けたことで、係合部同士の係合によってギヤハウジングカバー25を組み付ける際の脱落が防止でき、ギヤハウジングカバー25の組み付けに係る作業性が向上する。
【0023】
なお、モータハウジングを連結するボルトは前後2本ずつに限らず、3本以上あってもよいし、前後で数を変えてもよい。ハンドルハウジングを固定するネジの数も変更可能である。
また、前カバーも上記ギヤハウジングカバーの形態に限らず、溝と係合片とを互いに逆に設けてもよいし、溝と係合片以外にフックと係合孔といった他の係合部を採用してもよい。さらに、ギヤハウジングカバーをモータハウジングと一体に形成してもよい。この場合、モータハウジングの前側のボルトは露出させても差し支えない。
帯状部材についても、ハンドルハウジングでなくモータハウジングやハウジングカバーに取り付ける等して変更可能であるが、上記形態の帯状カバーのようにハンドルハウジングを取り付けるネジを利用して同時に取り付けるようにすれば、組み付けや取り外しの手順が簡略化する利点がある。勿論ギヤハウジングカバーがモータハウジングと一体形成されたり、ギヤハウジングカバーが単独で固定可能であったりすれば、帯状部材は省略することができる。
【0024】
そして、ハンマドリルの他の構造も上記形態に限らず、クランクハウジングと前ハウジングとを一体に形成したり、中間軸を複数設けたり、中間子を省略したり、ハウジングカバーを省略したり等、適宜設計変更可能である。バッテリーを電源とする充電式であってもよい。勿論ハンマドリルに限らず、電動ハンマであっても本発明の適用は可能である。
【符号の説明】
【0025】
1・・ハンマドリル、2・・ハウジング、3・・モータ、4・・出力軸、5・・クランク機構、6・・回転伝達機構、7・・出力部、8・・ツールホルダ、9・・ハンドル、13・・クランク軸、14・・中間軸、17・・シリンダ、18・・ピストン、20・・モータハウジング、21・・ギヤハウジング、22・・クランクハウジング、23・・前ハウジング、24・・ハンドルハウジング、25・・ギヤハウジングカバー、26・・ハウジングカバー、28・・カバー部、29・・帯状カバー、31・・打撃子、38・・クラッチ、46,47,49・・ボルト、51・・溝、52・・係合片、54,55・・ボス、56・・ネジ、57・・凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6