(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に減圧貯蔵室を有する貯蔵室を形成する断熱箱体と、冷気を生成する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルからの冷気を送風機によって前記貯蔵室に供する冷気供給路とを備えた冷蔵庫において、
前記減圧貯蔵室に混合鮮度保持剤収納体が収納された鮮度保持成分放出カセットを配置すると共に、
前記混合鮮度保持剤収納体は、揮発性の鮮度保持剤と脂溶性抗酸化剤を混合した混合鮮度保持剤を収納した気体透過性の第1の収納袋と、この第1の収納袋を収納すると共に、前記混合鮮度保持剤から放出される揮発性の鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分を外部に放出する放出制御部を備える気体非透過性の第2の収納袋から構成され、
前記減圧貯蔵室が減圧された時に、前記第1の収納袋と前記第2の収納袋の間に隙間が形成されて前記第1の収納袋から揮発性の鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分が充満される共に、前記減圧貯蔵室の減圧が解除されると、前記第2の収納袋の外側から作用する圧力によって前記隙間に充満されていた揮発性の鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分が前記放出制御部から放出されることを特徴とする冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0013】
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される冷蔵庫の構成を
図1乃至
図3に基づいて説明する。
図1は冷蔵庫の正面外観図であり、
図2は
図1の縦断面を示す断面図である。尚、
図2においては製氷室の断面は示されていない。
【0014】
図1、及び
図2において、冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、製氷室3及び上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6を有する。ここで、製氷室3と上部冷凍室4は、冷蔵室2と下部冷凍室5との間に左右に並べて設けている。尚、上部冷凍室4は下部冷凍室5より容積が小さく形成されており、少量の食品が冷凍、貯蔵されるものである。
【0015】
そして、各貯蔵室の温度は、一例として、冷蔵室2はおよそ+3℃、野菜室6はおよそ+3℃〜+7℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。ここで、減圧貯蔵室は冷蔵室2の最下端に形成されている。
【0016】
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a、2bを備えている。製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6は夫々引き出し式の製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。
【0017】
また、各扉の貯蔵室側の面には、各扉の外縁に沿うように磁石が内蔵されたパッキン(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、鉄板で形成された冷蔵庫外箱のフランジや後述の各仕切り鉄板に密着し貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気の漏れを抑制する構成とされている。
【0018】
ここで、
図2に示すように冷蔵庫本体10の下部には機械室11が形成され、この中に圧縮機12が内蔵されている。冷却器収納室13と機械室11には水抜き通路14によって連通され、凝縮水が排出できるようになっている。
【0019】
図2に示すように、冷蔵庫本体10の庫外と庫内は、内箱と外箱との間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体15により隔てられている。また冷蔵庫本体10の断熱箱体15は複数の真空断熱材16を実装している。冷蔵庫本体10は、上側断熱仕切壁17により冷蔵室2と上部冷凍室4及び製氷室3(
図1参照、
図2中で製氷室3は図示されていない)とが区画され、下側断熱仕切壁18により下部冷凍室5と野菜室6とが区画されている。
【0020】
冷蔵室2の最下端で上側断熱仕切壁17の上面には減圧貯蔵室82が形成されており、この減圧貯蔵室82内の食品を取り出すために減圧貯蔵室扉を引き出す時に大気圧に戻され、減圧貯蔵室扉を元に戻すと真空ポンプが作動して減圧貯蔵室82を減圧するものである。この減圧貯蔵室82については後で説明する。
【0021】
また、下部冷凍室5の上部には横仕切部を設けている。横仕切部は、製氷室3及び上部冷凍室4と下部冷凍室5とを上下方向に仕切っている。また、横仕切部の上部には、製氷室3と上部冷凍室4との間を左右方向に仕切る縦仕切部を設けている。
【0022】
横仕切部は、下側断熱仕切壁18の前面及び左右側壁前面と共に、下部冷凍室扉5aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)と接触する。製氷室扉3aと上部冷凍室扉4aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)は、横仕切部、縦仕切部、上側断熱仕切壁51及び冷蔵庫本体1の左右側壁前面と接することで、各貯蔵室と各扉との間での冷気の移動をそれぞれ抑制している。
【0023】
図2に示すように、上部冷凍室4、下部冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aが取り付けられている。また、上部冷凍室4には上部冷凍貯蔵容器41が収納、配置され、下部冷凍室5には上段冷凍貯蔵容器61、下段冷凍貯蔵容器62が収納、配置されている。更に、野菜室6には上段野菜貯蔵容器71、下段野菜貯蔵容器72が収納、配置されている。
【0024】
そして、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、製氷貯蔵容器3b(図示せず)、上部冷凍貯蔵容器41、下段冷凍貯蔵容器62、下段野菜貯蔵容器72が引き出せるようになっている。
【0025】
詳しくは、下段冷凍貯蔵容器62は冷凍室扉内箱に取り付けられた支持アーム5dに下段冷凍貯蔵容器62の側面上部のフランジ部が懸架されており、冷凍室扉5aを引き出すと同時に下段冷凍貯蔵容器62のみが引き出される。上段冷凍貯蔵容器61は冷凍室5の側面壁に形成された凹凸部(図示しない)に載置されており前後方向にスライド可能になっている。
【0026】
下段野菜貯蔵容器72も同様にフランジ部が野菜室扉6aの内箱に取り付けられた支持アーム6dに懸架され、上段野菜貯蔵容器71は野菜室側面壁の凹凸部に載置されている。また、この野菜室6には断熱箱体15に固定された電熱ヒーター6Cが設けられており、この電熱ヒーター6Cによって野菜室6の温度が冷やし過ぎにならないように、野菜の貯蔵に適した温度になるようにしている。尚、この電熱ヒーター6Cは必要に応じて設けられれば良いものであるが、本実施例では野菜の貯蔵がより上手く行えるように電熱ヒーター6Cを設けるようにしている。
【0027】
次に冷蔵庫の冷却方法について説明する。冷蔵庫本体1には冷却器収納室13が形成され、この中に冷却手段として冷却器19を備えている。冷却器19(一例として、フィンチューブ熱交換器)は、下部冷凍室5の背部に備えられた冷却器収納室13内に設けられている。また、冷却器収納室13内であって冷却器19の上方には送風手段として送風機20(一例として、プロペラファン)が設けられている。
【0028】
冷却器19で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器19で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、送風機20によって冷蔵室送風ダクト21、冷凍室送風ダクト22、及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
【0029】
各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯の冷蔵室2への送風量を制御する第一の送風制御手段(以下、冷蔵室ダンパ23という)と、冷凍温度帯の冷凍室4、5への送風量を制御する第二の送風量制御手段(以下、冷凍室ダンパ24という)とにより制御される。ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、及び野菜室6への各送風ダクトは、
図3に破線で示すように冷蔵庫本体1の各貯蔵室の背面側に設けられている。具体的には、冷蔵室ダンパ23が開状態、冷凍室ダンパ24が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト21を経て多段に設けられた吹き出し口25から冷蔵室2に送られる。
【0030】
また、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた冷蔵室戻り口26から冷蔵室−野菜室連通ダクト27を経て、下側断熱仕切壁18の下部右奥側に設けた野菜室吹き出し口28から野菜室6へ送風される。野菜室6からの戻り冷気は、下側断熱仕切壁18の下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口29から野菜室戻りダクト30を経て、野菜室戻りダクト出口から冷却器収納室13の下部に戻る。尚、別の構成として冷蔵室−野菜室連通ダクト27を野菜室6へ連通せずに、
図3において冷却器収納室12の上面から見て、右側下部に戻す構成としてもよい。この場合の一例として、冷蔵室−野菜室連通ダクト27の前方投影位置に野菜室送風ダクトを配置して、冷却器19で熱交換した冷気を、野菜室吹き出し口28から野菜室6へ直接送風するようになる。
【0031】
図2、
図3に示すように、冷却器収納室13の前方には、各貯蔵室と冷却器収納室12との間を仕切る仕切部材31が設けられている。仕切部材31には、
図3にあるように上下に一対の吹き出し口32a、32b、33a、33bが形成されており、冷凍室ダンパ24が開状態のとき、冷却器19で熱交換された冷気が送風機20により図示を省略した製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクト34を経て吹き出し口32a、32bからそれぞれ製氷室3、上部冷凍室4へ送風される。また、下段冷凍室送風ダクト35を経て吹き出し口、33a、33bから下部冷凍室5へ送風される。尚、下部冷凍室5には必要に応じて吹き出し口を増設しても良いものである。
【0032】
また、冷蔵庫本体10の天井壁上面側にCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御装置が設けられており、外気温度センサ(図示せず)、冷却器温度センサ(図示せず)、冷蔵室温度センサ(図示せず)、野菜室温度センサ(図示せず)、冷凍室温度センサ(図示せず)、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続し、ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機12のON、OFF等の制御、冷蔵室ダンパ23及び冷凍室ダンパ24を個別に駆動するそれぞれのアクチュエータの制御、送風機20のON/OFF制御や回転速度制御、扉開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御を行うようになっている。
【0033】
図1に戻って、冷蔵室扉2aには入力制御部40が設けられており、この入力制御部40は上述した制御装置に接続されている。したがって、入力制御部40からの入力によって冷蔵庫1の各貯蔵室の温度を設定できるようになっている。例えば圧縮機12の回転数、送風機20の回転数、冷蔵室ダンパ23及び冷凍室ダンパ24の開閉や開閉量等を制御することで各貯蔵室の温度を制御するものである。本実施例では2つの温度設定ボタン41、42が新たに設けられており、温度設定ボタン41は減圧貯蔵室に供給される冷気の制御を行い、温度設定ボタン42は下部冷凍室4に設けられた下部貯蔵容器(図示せず)に供給される冷気の制御を行うものである。
【0034】
図4に示したるように、冷蔵室2の最下段空間には、左から順に、製氷室3の製氷皿に製氷水を供給するための製氷水タンク80、デザートなどの食品を収納するための収納ケース81、室内を減圧して食品の鮮度保持及び長期保存するための減圧貯蔵室82が設置されている。減圧貯蔵室82は、冷蔵室2の横幅より狭い横幅を有し、冷蔵室2の側面に隣接して配置されている。
【0035】
製氷水タンク80及び収納ケース81は、左側の冷蔵室扉2aの後方に配置されている。これによって、使用者は左側の冷蔵室扉2aを開くのみで、製氷水タンク80及び収納ケース81を引き出すことができる。また、減圧貯蔵室82は、右側の冷蔵室扉2bの後方に配置されている。これによって、右側の冷蔵室扉2bを開くのみで、減圧貯蔵室82の扉83を引き出すことができる。また、減圧貯蔵室82の内部には、食品を載置する減圧貯蔵室容器84が設けられている。減圧貯蔵室容器84は、扉83と係合しており、扉83の引き出し動作に伴って前方に引き出される。すなわち、左側の冷蔵室扉2a、若しくは右側の冷蔵室扉2bを開くのみで、所望の食品を取り出したり、製氷水タンク80の水の補充や交換をしたりできるので、必要以上に冷蔵室2の冷気が庫外に漏れることを防止できる。
【0036】
尚、製氷水タンク80及び収納ケース81は、左側の冷蔵室扉2aの最下段の扉ポケットの後方に位置することとなり、減圧貯蔵室82は右側の冷蔵室扉2bの最下段の扉ポケットの後方に位置することとなる。ここで、冷却器19によって冷却されて冷蔵室2へ送られた冷気は、減圧貯蔵室82の周囲を通って減圧貯蔵室82の内部を間接冷却するようになっている。なお、製氷水タンク80、収納ケース81、減圧貯蔵室82の配置はこれに限定されず、例えば、収納ケース81を省略して減圧貯蔵室82の幅を広げて大型化する構成や、製氷水タンク80を異なる場所に配置する構成であっても良い。
【0037】
製氷水タンク80の後方には、製氷水ポンプ85が設置されている。収納ケース81の後方で且つ減圧貯蔵室82の後部側方の空間には、減圧貯蔵室82を減圧するための減圧手段の一例である負圧ポンプ86が配置されている。負圧ポンプ86は、減圧貯蔵室82の側面に設けられたポンプ接続部(図示せず)に導管を介して接続されている。
【0038】
尚、収納ケース81を省略して減圧貯蔵室82の幅を広げた場合、負圧ポンプ86は減圧貯蔵室82の背部に位置する構成となる。
【0039】
図5にあるように、減圧貯蔵室82は、食品出し入れ用開口部を有する箱状の減圧貯蔵室本体87と、減圧貯蔵室本体87の食品出し入れ用開口部を開閉する扉83と、食品を収納して扉83に係合して出し入れする減圧貯蔵室容器84とを備えて構成されている。扉83の開閉ハンドル88を操作することで、減圧貯蔵室本体87と扉83とで囲まれた空間が減圧されて、低圧空間として形成される。減圧貯蔵室容器84は扉83の背面側に取り付けられ、扉83の移動に伴って前後に移動可能である。
【0040】
減圧貯蔵室82は負圧ポンプ86により内部の空気が吸引され、大気圧よりも低い気圧、一例として0.8気圧(80kPa)等に減圧される圧力調節室である。すなわち、減圧貯蔵室82は、食品の酸化防止,精肉や鮮魚、生野菜類の鮮度維持等に特別な空気雰囲気を醸成している。減圧貯蔵室本体87の両側方には開閉ハンドル88が回動自在に支持される。また、扉83には差圧抜き弁Vが構成されている。この開閉ハンドル88を使用者が把持して、扉83の開閉操作および扉83の閉塞時のロックが行われるとともに、差圧抜き弁Vの開閉が行われる。
【0041】
尚、減圧貯蔵室82が負圧ポンプ86によって減圧された場合、減圧貯蔵室82の外部の大気圧と、減圧貯蔵室82の内部の減圧された圧力との差圧によって扉83に加わる荷重が大きくなる。これにより、直接、扉83を開放するためには使用者は相当の力を要することになる。そこで、差圧抜き弁Vを開くことによって、扉83の内外空間を挿通させ、内外圧力差を無くして差圧による閉じ荷重を解消し、扉83を容易に開くことができるようにしている。
【0042】
そして、本実施例になる鮮度保持成分放出カセット(図示せず)は減圧貯蔵室本体87の内部に設けられるものであり、扉83の裏側に固定されるようになっている。これについては後で説明する。
【0043】
以上のような構成の冷蔵庫において、次に本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、まず鮮度保持成分放出カセットに収納される混合鮮度保持剤収納体について説明する。
【0044】
図6に示す混合鮮度保持剤収納体90には、揮発性抗酸化剤、或いは揮発性抗菌剤、或いは揮発性抗酸化剤と揮発性抗菌剤の両方の混合剤と、脂溶性抗酸化剤が混合された混合鮮度保持剤が内包されている。尚、揮発性抗酸化剤、或いは揮発性抗菌剤、或いは揮発性抗酸化剤と揮発性抗菌剤の混合剤を包括して揮発性鮮度保持剤と表記する。
【0045】
揮発性鮮度保持剤の揮発性鮮度保持成分は、生鮮食品を保存したときに生鮮食品の鮮度の劣化を抑制する機能を有しているが、更に、脂溶性抗酸化剤から脂溶性抗酸化成分を放出させることにより、生肉や生魚等の脂質が多い食品の酸化を抑制する効果の増大が期待できるものである。尚、上述したように、本実施例では揮発性鮮度保持剤には抗酸化機能以外に減圧貯蔵室82内の空気中に浮遊する雑菌の増殖を抑制する抗菌機能を合わせて備えるようにしている。
【0046】
図6にあるように、本実施例になる混合鮮度保持剤収納体90は平袋(ピロータイプ)で製袋した混合鮮度保持剤収納体である。この混合鮮度保持剤収納体90は、外袋である第2の収納袋91の上面に長手方向に形成された放出制御部91Aと、外袋91の両側端に形成された放出制御部91Bとを備えている。この第2の収納袋91の内部には、内袋である第1の収納袋が収納されており、この第1の収納袋には揮発性鮮度保持剤と脂溶性抗酸化剤が混合された混合鮮度保持剤が封入されている。第1の収納袋は揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分とが通過できる気体透過性の収納袋より構成されている。したがって、揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分は第1の収納袋より外部に流出することが可能である。
【0047】
図7に混合鮮度保持剤収納体90を長手方向に沿って平行に断面した横断面を示している。第2の収納袋91は気体を透過しない気体非透過性フィルムであるアルミニウムフィルム92の内側に、気体透過性フィルムである紙フィルム93を貼着して形成されている。紙フィルム93はパルプ紙から作られており、パルプ紙には繊維の間に細かい通気孔が形成されている。紙フィルム93の内側には第1の収納袋94が収納されており、この第1の収納袋94も気体透過性部材であるパルプ紙から形成されている。第1の収納袋94の内部には揮発性鮮度保持剤95と脂溶性抗酸化剤96が混合した混合鮮度保持剤が封入されている。
【0048】
気体化された揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分は第1の収納袋94を透過できるが、第2の収納袋91はアルミニウムフィルム92によって透過できない。しかしながら、後述するような混合鮮度保持剤収納体90に設けた紙フィルム93によって放出制御部91A、91Bが形成されるので、気体化された揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分は放出制御部91A、91Bを通って外部に放出されるようになる。
【0049】
図8は混合鮮度保持剤収納体90を上面からみた図であり、破線で示す領域が第2の収納袋91の接着部分であると共に放出制御部91A、91Bを形成するものである。第2の収納袋91は、アルミニウムフィルム92が貼着された紙フィルム93よりなる矩形の複合シートの両端面の一部が重なるように折り畳み、この部分を接着して放出制御部91Aとするものである。
【0050】
更に、折り畳まれて筒状となった複合シートの一方の側方端の開口部分を重ね合わせて接着して放出制御部91Bとするものである。この状態で一方が開口した袋状の第2の収納袋91が完成する。
【0051】
そして、揮発性鮮度保持剤95と脂溶性抗酸化剤96が混合された混合鮮度保持剤が封入された第1の収納袋94を第2の収納袋91に収納した後に、開口した側方端を接着してもう一方の放出制御部91Bを形成するものである。接着は接着剤を使用する方法やヒートシール法等を使用する方法によって行うことができる。
【0052】
図8のX-X断面を
図9に示し、Y−Y断面を
図10に示している。
図9にあるように、第1の収納袋94は第2の収納袋91の紙フィルム93内に収納されており、第2の収納袋91の両側の側方端の一部は紙フィルム93の面が互いに向きあって接着されている。この紙フィルム93の面が接着されている部分が外部に露出して放出制御部91Bとなるものである。つまり、紙フィルム93は繊維の間に細かい連通孔があるので、この連通孔を介して第2の収納袋91の内部と外部が接続されるものである。
【0053】
更に
図10にあるように、複合シートの両端面の一部が重なるように折り畳まれた部分は、紙フィルム93とアルミニウムフィルム92の面が互いに重なって接着されている。この紙フィルム93とアルミニウムフィルム92の接着面の紙フィルム93の部分が外部に露出して放出制御部91Aとなるものである。これも同様に、紙フィルム93は繊維の間に細かい連通孔があるので、この連通孔を介して第2の収納袋91の内部と外部が接続されるものである。
【0054】
したがって、第1の収納袋94から流出した揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分は、第1の収納袋94と紙フィルム93との間にたまり、その後、矢印で示すように、第2の収納袋91の両側方端に形成された紙フィルム93からなる放出制御部91Bと、第2の収納袋91の上面に形成された紙フィルム93からなる放出制御部91Aから外部に放出されるものである。
【0055】
ここで、揮発性鮮度保持剤95から揮発した揮発性鮮度保持成分は、揮発性に劣る脂溶性抗酸化剤96の脂溶性抗酸化成分と結合される形で、第2の収納袋94から流出するものである。このように、第2の収納袋に揮発性鮮度保持剤95と脂溶性抗酸化剤96を混合することで、揮発性に劣る脂溶性抗酸化成分の揮発性を改善して効率よく脂溶性抗酸化成分を放出することが可能となるものである。
【0056】
尚、放出制御部91A、91Bから放出される鮮度保持成分(揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分の混合されたもの)の放出量は、第2の収納袋91を構成するアルミニウムフィルム92に貼着した紙フィルム93の幅や厚みを変えることで調整することができる。すなわち、この紙フィルム93は鮮度保持成分の放出量制御手段としての機能を有することになる。
【0057】
このように、第2の収納袋91に貼着した紙フィルム93の接着面を鮮度保持成分の放出量制御手段として機能させることによって、混合鮮度保持剤収納体90の形状を大きくしなくても鮮度保持成分の放出量を増大できるので、減圧貯蔵室82の貯蔵容積を減らすことがないものである。更に、紙フィルム93が鮮度保持成分の放出量制御手段として機能するので構成が簡単となり、更に長期間に亘って放出量を確保することが可能である。
【0058】
尚、本実施例では鮮度保持成分を放出する部材として紙フィルム93を使用したが、気体となった鮮度保持成分の透過が可能な材料であれば良く、例えば、天然繊維又は人口繊維からなるフィルタ、不織布、ハニカム構造体等が適宜採用できるものである。また、紙フィルム93は第2の収納袋91を形成するアルミニウムフィルム92の全面に貼着されているが、少なくとも
図8に示す斜線領域の接着部だけに紙フィルム93を設けることでも良いものである。
【0059】
揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96から放出される鮮度保持成分は食品の栄養成分の減少抑制に働くと共に、揮発性鮮度保持剤95に抗菌剤を含ませているので減圧貯蔵室82内や食品表面に存在する雑菌の増殖を抑制する機能をもたせることができる。
【0060】
本実施例では、揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96を混合しているため、揮発性鮮度保持成分が脂溶性抗酸化成分と結合することで脂溶性抗酸化成分の揮発性を改善することができ、生魚、生肉等の脂質成分が多い食品の抗酸化作用を向上することできる。このように脂溶性抗酸化剤96の脂溶性抗酸化成分の揮発性を改善するために、揮発性鮮度保持剤95は揮発性が高く、非常に強い求電子剤(electrophile)として働く物質からなるものが望ましいものである。
【0061】
また、揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96から放出される鮮度保持成分は食品に触れるため、安全性に十分配慮する必要がある。このため、揮発性鮮度保持剤95にはアリルイソチオシアネート,イソチオシアン酸エステル、及びプロポリス等の栄養成分を含む自然食品に含有する抗菌剤、すなわち植物系成分を用いることができる。脂溶性抗酸化剤96は自然食品に含有する酸化防止成分であるビタミンEや、脂溶性ビタミンC誘導体を用いることができる。尚、これらの材料はこれに限ることなく、他の適切な材料を選択すれば良いものである。また、これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて混合して使用しても良いものである。
【0062】
第1の収納袋94は揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96の混合物である混合鮮度保持剤を収納すれば良いので、包装する為の包装形態は製袋してその中に揮発性鮮度保持成分剤95及び脂溶性抗酸化成分剤96の混合物を封入する態様のものであれば特に限定されない。袋の形態としては、三方シール袋、四方シール袋、または平袋(ピロータイプ)等を使用することができる。
【0063】
更に、第1の収納袋94に封入される揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96の使用形態及びその充填量は、減圧貯蔵室82の容積、第1の収納袋94の気体透過性、使用期間等から適切に選択されるものである。揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96の使用形態は、液状、粉体や顆粒状、固形状等から選択されるが、取り扱いの容易性からゲル状が望ましい。揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96をゲル状とすることで、表面積は粉体や顆粒状に比べて抑えられ、自然放出量が過多になることを抑制できる効果がある。
【0064】
このように、紙フィルタ93等の放出量制御手段や、揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96の使用形態を適切に管理することによって、鮮度保持成分の放出量の制御が可能となるものである。
【0065】
上述したような、揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96が封入された第1の収納袋94と、この第1の収納袋94が収納される第2の収納袋91よりなる混合鮮度保持剤収納体90は、
図11に示されるような合成樹脂からなる鮮度保持成分放出カセット97に収容されて減圧貯蔵室82内に取り付けられるものである。
【0066】
鮮度保持成分放出カセット97は混合鮮度保持剤収納体90の収容部98を有し、この収容部98の内部に、
図8に示すように直方体状に形成された混合鮮度保持剤収納体90が収容されるようになっている。収容部98には横長の通気孔99が複数個形成されており、混合鮮度保持剤収納体90から放出された鮮度保持成分が通気孔99から減圧貯蔵室82内に放出されるようになっている。鮮度保持成分放出カセット97の下端両側には、取り付けフック100が形成されており、この取り付けフック100によって鮮度保持成分放出カセット97が減圧貯蔵室82の扉83の裏側に固定されるものである。
【0067】
このように、混合鮮度保持剤収納体90を合成樹脂製の鮮度保持成分放出カセット97に収納することで取り扱い性が容易となり、減圧貯蔵室82への着脱が容易となる効果を奏するようになる。
【0068】
次に、鮮度保持成分放出カセット97を減圧貯蔵室82に装着した場合の混合鮮度保持剤収納体90から放出される鮮度保持成分の挙動と作用、効果について説明する。
【0069】
混合鮮度保持剤収納体90に封入された揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96は大気圧より低い圧力状態でより多く鮮度保持成分を放出するものである。尚、鮮度保持成分の放出量は、減圧貯蔵室82の容積に依存せず、減圧貯蔵室82内の気圧と温度に依存する。つまり、減圧貯蔵室82内を減圧することにより、混合鮮度保持剤収納体90内部の圧力と外部の圧力との圧力差に応じた量の鮮度保持成分が放出されるものである。
【0070】
今、減圧貯蔵室容器84に食品を載せて扉83を閉じると、減圧貯蔵室82内への空気の移動が抑制される。そして、冷蔵室扉2aが閉じられてドアスイッチ(図示せず)がオンになると負圧ポンプ86が駆動され、減圧貯蔵室82が大気圧より低い状態に減圧される。減圧貯蔵室82が減圧された状態となってから、混合鮮度保持剤収納体90に封入された揮発性鮮度保持剤95及び脂溶性抗酸化剤96から鮮度保持成分の放出が開始される。そして、減圧貯蔵室82内で鮮度保持成分が充満して食品の鮮度劣化を抑制することができる。
【0071】
ここで、揮発性鮮度保持剤95から揮発した揮発性鮮度保持成分は、揮発性に劣る脂溶性抗酸化剤96の脂溶性抗酸化成分と結合される形で放出されるので、揮発性に劣る脂溶性抗酸化成分の揮発性を改善して効率よく放出することが可能となるものである。
【0072】
このように、混合鮮度保持剤収納体90を減圧室82に配置すると鮮度保持成分の放出量の制御を簡単に行うことができる。減圧貯蔵室82が大気圧より低い圧力状態に遷移した場合、第1の収納袋94と第2の収納袋91が上述した圧力差で膨らみ、第1の収納袋94と第2の収納袋91の間に隙間が生じ、この隙間に鮮度保持成分が充満する。この鮮度保持成分は第2の収納袋94に形成した紙フィルム93からなる放出制御部91A,91Bから減圧貯蔵室82内に放出される。
【0073】
このように、混合鮮度保持剤収納体90を袋状にすることにより、減圧貯蔵室82が大気圧より低い圧力状態になったとき、混合鮮度保持剤収納体90の全体が膨らみやすく、特許文献1にあるような樹脂容器を用いた従来のものよりも鮮度保持成分の放出を容易にすることができる。そして、放出制御部91A,91Bの通気孔を管理すれば放出量を適切に設定することが可能である。
【0074】
一方、減圧貯蔵室82の扉83を開くため差圧抜き弁Vによって扉83の内外空間を挿通させ、内外圧力差を無くすと減圧貯蔵室82内が減圧解除状態となって大気圧となる。したがって、混合鮮度保持剤収納体90の内部と外部の圧力差によって、第1の収納袋94と第2の収納袋91の内部に充満した鮮度保持成分が紙フィルム93からなる放出制御部91A、91Bから放出される。
【0075】
減圧貯蔵室82には外部の空気が流入するため、放出された鮮度保持成分は流入する空気によって減圧貯蔵室282の奥側に押し流される。これにより、鮮度保持成分が減圧貯蔵室82の内部に留まり易くなり、扉83の開放時に減圧貯蔵室82の外部に鮮度保持成分が放出されることを抑制することができる。このとき、放出される脂溶性抗酸化成分は空気中の酸素と反応しにくいので、空気中に放出させても脂溶性抗酸化成分の抗酸化作用の効果が持続されやすくなる。
【0076】
尚、扉83を開くことによる減圧解除によらず、減圧状態から大気圧未満の範囲で圧力が高くなる場合(例えば、時間経過とともに減圧貯蔵室82の隙間から空気が流入して、圧力が次第に上昇する状態)でも、混合鮮度保持剤収納体90から減圧貯蔵室82に向けて鮮度保持成分を放出することができる。もちろん、その放出作用は上述の通りである。
【0077】
次に、
図12乃至
図14によって鮮度保持成分による保存食品の鮮度劣化を抑制する効果について説明する。
【0078】
図12は減圧貯蔵室82に保存された鶏肉のK値の変化を脂溶性抗酸化剤(脂溶性ビタミンC)と水溶性抗酸化剤(水溶性ビタミンC)を添加した場合を比較して示したグラフである。K値とは生鮮度を表わす指標であり、K値が低いほど鮮度が良いことを表わす目安となる。脂質成分の多い鶏肉等では水溶性抗酸化剤に比べて脂溶性抗酸化剤の方が鮮度劣化の抑制効果が大きいことがわかる。
【0079】
次に、
図13は、減圧貯蔵室82に保存されたマグロのK値の変化を揮発性鮮度保持成分のみを放出させた場合と、本実施例になる揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分を合わせて放出させた場合を比較して示したグラフである。これからわかるように揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分を合わせて放出することにより、マグロのK値の上昇を抑制できることがわかる。
【0080】
最後に、
図14は減圧貯蔵室82に保存された小松菜のビタミンC残存量の変化を揮発性鮮度保持成分のみを放出させた場合と、本実施例になる揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分を合わせて放出させた場合を比較して示したグラフである。縦軸は、小松菜100g中のビタミンCの量(mg)である。本実施例になる揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分を合わせて放出することにより、初期から保存後のビタミンC残存量が多いことがわかる。このことから、揮発性鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分を合わせて放出することにより、小松菜の栄養素であるビタミンCの減少を抑制できることがわかる。
【0081】
このように、本発明によれば、揮発性の鮮度保持剤と脂溶性抗酸化剤を混合した混合鮮度保持剤をガス透過性の第1の収納袋に収納し、この第1の収納袋をガス非透過性の第2の収納袋に収納すると共に、第2の収納袋の内部と外部とを放出制御部によって連通して混合鮮度保持剤から揮発性の鮮度保持成分と脂溶性抗酸化成分を放出するようにした。
【0082】
これによって、脂溶性抗酸化剤の揮発性能を揮発性の鮮度保持成分剤によって改善することによって脂質成分の抗酸化作用を向上でき、減圧貯蔵室内で充分な脂質成分の抗酸化作用を発揮することができるようになるものである。