特許第6223892号(P6223892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223892
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】フューザー部材
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   G03G15/20 515
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-75103(P2014-75103)
(22)【出願日】2014年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-215610(P2014-215610A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2017年3月24日
(31)【優先権主張番号】13/870,440
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー・チ
(72)【発明者】
【氏名】ブリン・エム・ドゥーリー
(72)【発明者】
【氏名】ナン−シン・フー
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−064122(JP,A)
【文献】 特開2008−145832(JP,A)
【文献】 米国特許第05864740(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フューザー部材であって、
基材と;
基材に接するように配置された表面層とを含み、この表面層は、架橋フルオロポリマーと剥離剤分散したポリイミドエアロゲル層を含み、剥離剤は、約100℃を超える温度で液体である、フューザー部材。
【請求項2】
前記ポリイミドエアロゲル層は、空隙率が約50%〜約95%である、請求項1に記載のフューザー部材。
【請求項3】
前記架橋フルオロポリマーが、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのうち、2種類のコポリマー;フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのターポリマー;フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよびキュアサイトモノマーのテトラポリマー;ペルフルオロポリエーテルおよびシロキサンフルオロカーボンからなる群から選択される、請求項1または2に記載のフューザー部材。
【請求項4】
前記架橋フルオロポリマーが、前記表面層の約10重量%〜約95重量%含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項5】
前記剥離剤が、ペルフルオロポリエーテル;ポリシロキサン;フッ素化ポリシロキサン;フッ素化シラン;多面体オリゴマー性シルセスキオキサンからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項6】
前記剥離剤が、前記表面層の約1重量%〜約50重量%含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項7】
前記表面層と前記基材との間に配置された中間層をさらに含み、前記中間層がエラストマーを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項8】
前記表面層が、カーボンブラック、グラフェン、酸化スズ、二酸化アンチモン、アンチモンがドープされた酸化スズ、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウムおよびインジウムがドープされた三酸化スズ、ポリアニリンおよびポリチオフェンからなる群から選択される導電性粒子をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項9】
前記表面層は、厚みが約5ミクロン〜約400ミクロンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項10】
前記ポリイミドエアロゲルは、密度が約0.1gm/cm3〜約0.5gm/cm3である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項11】
前記ポリイミドエアロゲルは、表面積が約100m2/g〜約550m2/gである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項12】
前記ポリイミドエアロゲルは、孔直径が約2nm〜約200nmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のフューザー部材。
【請求項13】
フューザー部材であって、
基材と;
基材に接するように配置された中間層と;
中間体に接するように配置された表面層とを含み、この表面層は、架橋フルオロポリマーと剥離剤全体に分散したポリイミドエアロゲル層を含み、前記架橋フルオロポリマーは、表面層の約10重量%〜約95重量%含まれ、剥離剤は、100℃以上の温度で液体であり、剥離剤は、表面層の約1重量%〜約50重量%含まれる、フューザー部材。
【請求項14】
前記ポリイミドエアロゲル層は、孔直径が約2ナノメートル〜約200ナノメートルである、請求項13に記載のフューザー部材。
【請求項15】
フューザー部材であって、
基材と;
基材に接するように配置された表面層とを含み、この表面層は、シロキシフルオロカーボン(SFC)網目構造ポリマーとフッ素化多面体オリゴマー性シルセスキオキサン全体に分散したポリイミドエアロゲル層を含み、ポリイミドエアロゲルは、空隙率が約50%〜約95%であり、ポリイミドエアロゲル層は、孔直径が約2ナノメートル〜約200ナノメートルである孔を有し、表面層は、厚みが約5ミクロン〜約400ミクロンである、フューザー部材。
【請求項16】
シロキシフルオロカーボンモノマーが以下の式で示されるモノマーをさらに含み、
【化1】
式中、Cfは、約2〜約40個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の脂肪族または芳香族フルオロカーボン鎖であり;Lは、Cn2n基であり、nは、0〜約10の数であり、X1、X2、およびX3は、反応性ヒドロキシド官能基、反応性アルコキシド官能基、約1〜約10個の炭素原子を含む非反応性脂肪族官能基および約1〜10個の炭素原子を含む非反応性芳香族官能基からなる群から選択される、請求項15に記載のフューザー部材。
【請求項17】
前記フッ素化多面体オリゴマー性シルセスキオキサンが以下の式で示され、
【化2】
式中、Rfは、約2〜約40個の炭素原子を含む直鎖脂肪族または芳香族フルオロカーボン鎖である、請求項15または16に記載のフューザー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、デジタル、多重画像型などを含む電子写真式画像形成装置で有用なフューザー部材のための表面層に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式印刷プロセスにおいて、フューザーローラーを用い、支持材(例えば、紙シート)の上にトナー画像を固定または融合させてもよい。従来の融合技術は、フューザーローラーの良好な剥離特性を維持するために、融合操作中にフューザーローラーに剥離剤/フューザー油を塗布する。例えば、エントリーモデルの製造および製品のカラー市場での全ての高速製品に、油を用いる融合技術が用いられてきた。他のフューザー技術は、表面エネルギーが低いものの、適合していない組成物を使用する。
【0003】
表面エネルギーが低く、適合しており、耐久性があり、簡単に製造されるコーティングが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、基材と、基材に接するように配置された表面層とを含むフューザー部材が提供される。表面層は、架橋フルオロポリマーと剥離剤全体に分散したポリイミドエアロゲルを含み、剥離剤は、約100℃を超える温度で液体である。
【0005】
別の実施形態によれば、基材と、基材に接するように配置された中間層と、中間層に接するように配置された表面層とを含むフューザー部材が提供される。表面層は、架橋フルオロポリマーと剥離剤全体に分散したポリイミドエアロゲルを含む。架橋したフルオロポリマーは、表面層の約10重量%〜約95重量%である。剥離剤は、100℃以上の温度で液体である。剥離剤は、表面層の約1重量%〜約50重量%含まれる。
【0006】
別の実施形態によれば、基材と、基材に接するように配置された表面層とを含むフューザー部材が記載される。表面層は、シロキシフルオロカーボン(SFC)網目構造ポリマーとフッ素化多面体オリゴマー性シルセスキオキサン剥離剤全体に分散したポリイミドエアロゲルを含む。ポリイミドエアロゲルは、空隙率が約50%〜約95%である。ポリイミドエアロゲル層は、孔直径が約2ナノメートル〜約200ナノメートルの孔を有する。ポリイミドエアロゲル層は、厚みが約5ミクロン〜約400ミクロンである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本教示にかかる円柱状基板を備える例示的なフュージング部材を示す。
図2図2は、本教示にかかるベルト基板を備える例示的なフュージング部材を示す。
図3A図3Aは、本発明の教示にかかる、図1に示したフューザーローラーを用いた例示的なフュージング構造を示す。
図3B図3Bは、本発明の教示にかかる、図1に示したフューザーローラーを用いた例示的なフュージング構造を示す。
図4A図4Aは、本発明の教示にかかる、図2に示したフューザーベルトを用いた別の例示的なフュージング構造を示す。
図4B図4Bは、本発明の教示にかかる、図2に示したフューザーベルトを用いた別の例示的なフュージング構造を示す。
図5図5は、転写固定装置を用いる例示的なフューザー構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
種々の実施形態では、固定部材は、例えば、その上に1つ以上の機能性層が形成された基板を備えていてもよい。基板は、例えば、図1および図2に示されるように、非導電性または導電性の適切な材料を用い、特定の構造に依存して、例えば、円柱(例えば、円筒管)、円柱状のドラム、ベルト、または膜のような種々の形状で作成されてもよい。
【0009】
特定的には、図1は、本教示にかかる円柱状基材110を備える例示的な固定部材またはフュージング部材100を示し、図2は、本教示にかかるベルト基材210を備える、別の例示的な固定部材またはフュージング部材200を示す。図1に示されている固定部材またはフュージング部材100および図2に示されている固定部材またはフュージング部材200は、一般化された概略をあらわしており、他の層/基材を加えてもよく、または存在する層/基材を除去するか、または代えてもよいことは、当業者には容易に明らかになるはずである。
【0010】
図1において、例示的な固定部材100は、その上に1つ以上の機能性層120(中間層とも呼ばれる)と外側層130とが形成された円柱状基材110を備えるフューザーローラーであってもよい。種々の実施形態では、円柱状基材110は、円筒管の形(例えば、内部に加熱ランプを備える中空構造を有するもの)または中身が詰まった円筒状のシャフトの形態をしていてもよい。図2において、例示的な固定部材200は、その上に1つ以上の機能性層(例えば、220)と外側表面230とが形成されたベルト基材210を備えていてもよい。
【0011】
(基材層)
ベルト基材210(図2)および円柱状基材110(図1)は、当業者には知られているように、剛性および構造一体性を維持するために、例えば、ポリマー材料(例えば、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフタルアミド、ポリアミド−イミド、ポリケトン、ポリフェニレンスルフィド、フルオロポリイミドまたはフルオロポリウレタン)および金属材料(例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレス鋼)から作られていてもよい。
【0012】
(中間層)
中間層または機能性層120(図1)および220(図2)の例としては、フルオロシリコーン、シリコーンゴム、例えば、室温加硫(RTV)シリコーンゴム、高温加硫(HTV)シリコーンゴム、低温加硫(LTV)シリコーンゴムが挙げられる。これらのゴムは既知であり、商業的に簡単に入手可能であり、例えば、SILASTIC(登録商標)735ブラックRTVおよびSILASTIC(登録商標)732 RTV(いずれもDow Corning製);106 RTV Silicone Rubberおよび90 RTV Silicone Rubber(いずれもGeneral Electric製);JCR6115CLEAR HTVおよびSE4705U HTVシリコーンゴム(Dow Corning Toray Silicones製)である。他の適切なシリコーン材料としては、シロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン);フルオロシリコーン(例えば、Silicone Rubber 552(Sampson Coatings(リッチモンド、バージニア)から入手可能));液体シリコーンゴム、例えば、ビニル架橋した熱硬化性ゴム、またはシラノールを室温で架橋した材料などが挙げられる。別の特定の例は、Dow Corning Sylgard 182である。市販のLSRゴムとしては、Dow Corning製のDow Corning Q3−6395、Q3−6396、SILASTIC(登録商標)590 LSR、SILASTIC(登録商標)591 LSR、SILASTIC(登録商標)595 LSR、SILASTIC(登録商標)596 LSR、SILASTIC(登録商標)598 LSRが挙げられる。機能性層は、弾力性を付与し、必要な場合には、例えば、SiCまたはAlのような無機粒子と混合してもよい。
【0013】
また、中間層または機能性層120(図1)および220(図2)の例としては、フルオロエラストマーも挙げられる。フルオロエラストマーは、(1)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのうち、2つのコポリマー、例えば、VITON A(登録商標)として商業的に知られているもの;(2)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのターポリマー、例えば、VITON B(登録商標)として商業的に知られているもの;(3)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、キュアサイトモノマーのテトラポリマー、例えば、VITON GH(登録商標)およびVITON GF(登録商標)として商業的に知られているものなどの種類に由来する。これらのフルオロエラストマーは、VITON E(登録商標)、VITON E 60C(登録商標)、VITON E430(登録商標)、VITON 910(登録商標)およびVITON ETP(登録商標)とともに、上に列挙したような種々の名称で商業的に知られている。VITON(登録商標)という名称は、E.I.DuPont de Nemours,Incの商標である。キュアサイトモノマーは、4−ブロモペルフルオロブテン−1、1,1−ジヒドロ−4−ブロモペルフルオロブテン−1、3−ブロモペルフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロ−3−ブロモペルフルオロプロペン−1、または任意の他の適切な既知のキュアサイトモノマー(例えば、DuPontから市販されているもの)であってもよい。他の市販されているフルオロポリマーとしては、FLUOREL 2170(登録商標)、FLUOREL 2174(登録商標)、FLUOREL 2176(登録商標)、FLUOREL 2177(登録商標)およびFLUOREL LVS 76(登録商標)が挙げられ、FLUOREL(登録商標)は、3M Companyの登録商標である。さらなる市販材料としては、AFLAS(商標)というポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレン)およびFLUOREL II(登録商標)(LII900)というポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレンビニリデンフルオリド)(これらも、3M Companyから入手可能)、FOR−60KIR(登録商標)、FOR−LHF(登録商標)、NM(登録商標)FOR−THF(登録商標)、FOR−TFS(登録商標)、TH(登録商標)、NH(登録商標)、P757(登録商標)TNS(登録商標)T439(登録商標)、PL958(登録商標)、BR9151(登録商標)およびTN505(登録商標)として特定されるTecnoflon(Ausimontから入手可能)が挙げられる。
【0014】
フルオロエラストマーであるVITON GH(登録商標)およびVITON GF(登録商標)は、フッ化ビニリデンの量が比較的少ない。VITON GF(登録商標)およびVITON GH(登録商標)は、約35重量%のフッ化ビニリデンと、約34重量%のヘキサフルオロプロピレンと、約29重量%のテトラフルオロエチレンと、約2重量%のキュアサイトモノマーとを含んでいる。キュアサイトモノマーは、Dupontから入手可能である。
【0015】
ローラー構造の場合、中間層または機能性層の厚みは、約0.5mm〜約10mm、または約1mm〜約8mm、または約2mm〜約7mmであってもよい。ベルト構造の場合、機能性層は、約25μm〜約2mm、または40μm〜約1.5mm、または50μm〜約1mmであってもよい。
【0016】
(剥離層)
剥離層130(図1)、230(図2)の例示的な実施形態は、架橋フルオロポリマーと剥離剤全体に分散したポリイミドエアロゲルを含む表面層を含み、剥離剤は、約100℃を超える温度で液体である。
【0017】
フューザー部材100(図1)、200(図2)の場合、表面層または剥離層130(図1)、230(図2)は、厚みが約5ミクロン〜約400ミクロン、または約20ミクロン〜約300ミクロン、または約40ミクロン〜約250ミクロンであってもよい。
【0018】
添加剤およびさらなる導電性または非導電性のフィラーが基材層110(図1)および210(図2)、中間層120(図1)および220(図2)、および剥離層130(図1)および230(図2)に存在していてもよい。種々の実施形態では、他のフィラー材料または添加剤(例えば、無機粒子を含む)をコーティング組成物に使用し、その後に、生成する表面層に使用することができる。本明細書で使用する導電性フィラーとしては、カーボンブラック(例えば、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、アセチレンブラック、フッ素化カーボンブラックなど);カーボンナノチューブ;金属酸化物およびドープされた金属酸化物、例えば、酸化スズ、二酸化アンチモン、アンチモンがドープされた酸化スズ、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムがドープされた三酸化スズなど;およびこれらの混合物が挙げられる。特定のポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ピロール、ポリインドール、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリアズレン、ポリアゼピン、ポリ(フッ素)、ポリナフタレン、有機スルホン酸塩、リン酸エステル、脂肪酸エステル、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、およびこれらの混合物を、導電性フィラーとして用いてもよい。種々の実施形態では、当業者に知られている他の添加剤を入れ、開示されているコンポジット材料を作成することもできる。
【0019】
剥離層は、エアロゲル全体に分散したフルオロポリマーを含むポリイミドエアロゲルを含む。エアロゲル上にフルオロポリマーをコーティングする典型的な技術としては、フローコーティング、液体噴霧コーティング、浸漬コーティング、ワイヤ巻き付けロッドによるコーティング、流動床コーティング、粉末コーティング、静電噴霧、音波噴霧、ブレードコーティング、成形、積層などが挙げられる。
【0020】
(接着層)
場合により、任意の既知の接着層および入手可能な適切な接着層が、剥離層130(図1)、230(図2)、中間層120(図1)、220(図2)、基材110(図1)、210(図2)の間に配置されていてもよい。適切な接着剤の例としては、アミノシランのようなシラン類(例えば、Dow Corning製のHV Primer 10)、チタネート、ジルコネート、アルミネートなど、およびこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、接着剤は、約0.001%溶液〜約10%溶液の形態で基板にワイピングによってのせられてもよい。接着層は、約2nm〜約2,000nm、または約2nm〜約500nmの厚みで基板または外側層にコーティングされてもよい。接着剤を、スプレーコーティングまたはワイピングを含む既知の任意の適切な技術によってコーティングしてもよい。
【0021】
図3A〜3Bおよび図4A〜4Bは、本発明の教示にかかる融合プロセスのための例示的なフュージング構造を示す。図3A〜3Bに示されているフュージング構造300A〜B、および図4A〜4Bに示されているフュージング構造400A〜Bが、一般化された概略図を示しており、他の部材/層/基板/構造を追加してもよく、または、既存の部材/層/基板/構造を取り除くか、または変えてもよいことが当業者には容易に明らかになるはずである。本明細書では電子写真式プリンターを記載しているが、開示されている装置および方法を、他の印刷技術に応用してもよい。例としては、オフセット印刷およびインクジェット機および固体転写固定機が挙げられる。
【0022】
図3A〜3Bは、本教示にかかる、図1に示されるフューザーローラーを用いたフュージング構造300A〜Bを示す。構造300A〜Bは、フューザーローラー100(すなわち、図1の100)を備えていてもよく、このローラーは、加圧機構335(例えば、図3Aの加圧ローラーまたは図3Bの加圧ベルト)とともに、画像支持材料315のためのフューザー用爪を形成する。種々の実施形態では、加圧機構335を、加熱ランプ337と組み合わせて用い、トナー粒子を画像支持材料315の上で融合させるプロセスのために圧力と熱を両方加えてもよい。それに加え、構造300A〜Bは、図3Aおよび図3Bに示されているように、1つ以上の外部熱ローラー350を、例えば、クリーニングウェブ360とともに備えていてもよい。
【0023】
図4A〜4Bは、本教示にかかる、図2に示されるフューザーベルトを用いたフュージング構造400A〜Bを示す。構造400A〜Bは、フューザーベルト200(すなわち、図2の200)を備えていてもよく、このベルトは、加圧機構435(例えば、図4Aの加圧ローラーまたは図4Bの加圧ベルト)とともに、媒体基板415のためのフューザー用爪を形成する。種々の実施形態では、加圧機構435を、加熱ランプと組み合わせて用い、トナー粒子を媒体基板415の上で融合させるプロセスのために圧力と熱を両方加えてもよい。それに加え、構造400A〜Bは、フューザーベルト200を動かし、媒体基板415の上でトナー粒子を融合させ、画像を作成するような機械システム445を備えていてもよい。機械システム445は、1つ以上のローラー445a〜cを備えていてもよく、必要な場合には、これらを加熱ローラーとして用いてもよい。
【0024】
図5は、ベルト、シート、膜などの形態であってもよい、転写固定部材7の一実施形態の図を示す。転写固定部材7は、上述のフューザーベルト200と似た構成である。現像した画像12が中間転写体1の上にあり、ローラー4およびローラー8を介して転写固定部材7と接触し、転写固定部材7に転写される。ローラー4および/またはローラー8は、これらに関連して熱を帯びていてもよいし、帯びていなくてもよい。転写固定部材7は、矢印13の方向に進む。複写基板9がローラー10とローラー11との間を進むにつれて、現像した画像が複写基板9に転写され、融合する。ローラー10および/またはローラー11は、これらに関連して熱を帯びていてもよいし、帯びていなくてもよい。
【0025】
表面層は、ポリイミドエアロゲル(ポリイミドフォームとも呼ばれる)を含む。ポリイミドエアロゲル層で、基材(中間層が存在しない場合)または中間層をコーティングする。ポリイミドエアロゲルは、エアロゲルの孔全体に分散するフルオロポリマーのための支持体を与える。結果として、エアロゲル全体に分散したフルオロポリマーを含む表面層ポリイミドエアロゲルを含むフューザー部材は、紙の損傷を最小限にし、改良された融合効率を与え、広い媒体自由度を与え、改良された画質を与え、エネルギー効率を高める。
【0026】
フューザー部材中の表面層として使用するためのポリイミドエアロゲルまたはポリイミドフォームは、耐熱性および絶縁性を与える。ポリイミドエアロゲルは、密度が約0.1gm/cm〜約0.5gm/cm、または約0.15gm/cm〜約0.45gm/cm、または約0.2gm/cm〜約0.4gm/cmである。ポリイミドエアロゲルは、表面積が約100m/g〜約550m/g、または約150m/g〜約450m/g、または約200m/g〜約400m/gである。ポリイミドエアロゲルは、孔直径が約2nm〜約200nm、または5nm〜約180nm、または10nm〜約150nmである。
【0027】
ポリイミドエアロゲル層は、ゲルを生成する組成物をコーティングすることによって調製される。ポリイミドゲルから溶媒を抽出する。溶媒を抽出した後、ポリイミドエアロゲル層は、フルオロポリマーを支えるのに適したままの状態であり、フルオロポリマーは、エアロゲルの孔全体に分散している。
【0028】
ポリイミドゲルは、溶媒中、1つ以上の無水物で保護されたポリアミド酸オリゴマーと1種類以上のマルチアミン(ジアミンまたはトリアミン)の組成物をコーティングしてゲルを作成することによって製造される。マルチアミンは、イミド化反応によってポリアミド酸オリゴマーを架橋し、ポリイミドゲル層を生成する。イミド化反応が終了した後、溶媒抽出によって溶媒を除去し、ポリイミドエアロゲル層を与える。溶媒抽出は、超臨界COによって達成することができる。ポリイミドエアロゲル注型膜は、優れた柔軟性、高い引張強度(すなわち、4〜9MPa)、高い分解開始温度(すなわち、460℃〜610℃)を有する。
【0029】
開示している無水物で保護されたポリアミド酸オリゴマーとしては、ピロメリット酸二無水物のポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物のポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物のポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物のポリアミド酸など、およびこれらの混合物のいずれかが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、無水物で保護されたポリアミド酸オリゴマーは、二無水物とジアミンの反応から作られる。適切な二無水物としては、芳香族二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物、例えば、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス((3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)エーテル二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)スルフィド二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,4,5−テトラカルボキシベンゼン二無水物、1,2,4−トリカルボキシベンゼン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4−4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルフィドジオキシビス(4−フタル酸)無水物、4,4’−ジフェニルスルホンジオキシビス(4−フタル酸)無水物、メチレンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)無水物、エチリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)無水物、イソプロピリデンビス−(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)無水物などが挙げられる。
【0031】
無水物で保護されたポリアミド酸オリゴマーの調製に使用するのに適した例示的なジアミンとしては、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ビフェニル、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−アゾベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−p−ターフェニル、1,3−ビス−(ガンマ−アミノプロピル)−テトラメチル−ジシロキサン、1,6−ジアミノヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロ−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,1−ジ(p−アミノフェニル)エタン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
無水物で保護されたポリアミド酸オリゴマーを架橋するのに適した例示的なマルチアミンとしては、ジアミンおよびトリアミンが挙げられる。上に列挙したジアミンを用い、二無水物で保護されたポリ(アミド)酸オリゴマーを架橋することができる。さらなるマルチアミン化合物の例としては、1,3,5−トリアミノフェノキシベンゼン、1,3,5−トリアミノベンゼン、シクロヘキサン−1,3,5−トリアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−オクタ(アミノフェニル)シルセスキオキサンが挙げられる。
【0033】
無水物で保護されたポリアミド酸オリゴマーおよびマルチアミンは、例えば、ポリアミド酸オリゴマーに対するジアミンまたはトリアミンの重量比が約1%〜約5%、さらに具体的には、約2%になるように選択される。上述の無水物とジアミンとトリアミンを、それぞれ1種類、または混合物として使用する。非プロトン性有機溶媒(例えば、NMP、DMAcまたはDMF)中、二無水物とジアミンを室温で混合し、ポリアミド酸を作成する。このポリアミド酸溶液にトリアミンを加え、次いで、化学的なイミド化のために、無水酢酸およびピリジンを加える。無水酢酸とピリジンを加えて約20分後に、ゲルが生成する。12時間熟成した後、75重量%NMPのアセトン溶液、25重量%NMPのアセトン溶液、100%アセトンを含む一連の溶液でゲルを抽出する。31℃/1100〜1400psiで、超臨界COによって溶媒を除去し、次いで、減圧下、80℃で乾燥させる。
【0034】
ポリアミド酸オリゴマーおよびアミンの組成物は、溶媒を含む。組成物を作成するために選択される溶媒の例としては、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、塩化メチレンなど、およびこれらの混合物が挙げられ、溶媒は、コーティング混合物の量を基準として、例えば、約70重量%〜約95重量%、80重量%〜約90重量%になるように選択される。
【0035】
ポリイミドゲル層を作成した後、ゲルから溶媒を除去することが必要である。このことは、超臨界COを用いて溶媒を交換し、減圧乾燥してCOを除去し、ゲル中の孔を無傷のまま維持することによって達成される。いくつかの実施形態では、コーティング溶液の溶媒を、超臨界COに可溶性の第2の溶媒(例えば、アセトン)と交換することができ、これにより溶媒の除去が向上する。COを除去する条件としては、温度が約31℃、圧力が約1100psi〜約1400psiが挙げられる。
【0036】
フューザー部材の上にポリイミドエアロゲルが与えられると、ポリイミドエアロゲル全体に分散されているフルオロポリマーが与えられる。オリゴマー性ポリイミドのNMP溶液を浸漬コーティングまたはフローコーティングによって基材に塗布することによって、ポリイミドエアロゲルコーティングが調製される。ゲル層を作成し、24時間熟成した後、75%NMPのアセトン溶液で抽出し、一晩浸する。その後、24時間間隔で、溶媒を25%NMPのアセトン溶液と交換し、最後に100%アセトンと交換する。乾燥前に80℃で一晩減圧乾燥し、場合により超臨界COによって抽出すると、ナノ空隙率(空隙率約90%、図1)のポリイミドエアロゲル層が得られる。
【0037】
フューザー表面層または剥離層は、架橋フルオロポリマーと100℃を超える温度で液体である剥離剤全体に分散したポリイミドエアロゲルを含む。
【0038】
架橋したフルオロポリマーとしては、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのうち、2種類のコポリマー;フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのターポリマー;フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよびキュアサイトモノマーのテトラポリマー;ペルフルオロポリエーテルおよびシロキシフルオロカーボン。剥離剤としては、ペルフルオロポリエーテル;ポリシロキサン、例えば、シリコーン油;フッ素化ポリシロキサン;フッ素化シラン;多面体オリゴマー性シルセスキオキサン(POSS)が挙げられる。ポリイミドエアロゲルを含む剥離層中の架橋したフルオロポリマーの量は、約10重量%〜約95重量%、またはいくつかの実施形態では、約20重量%〜約90重量%、または約50重量%〜約80重量%である。ポリイミドエアロゲルを含む剥離層中の100℃を超える温度で液体である剥離剤の量は、約1重量%〜約50重量%、または約5重量%〜約40重量%、または約10重量%〜約20重量%である。剥離層の厚みは、約5μm〜約400μm、または約20μm〜約300μm、または約25μm〜約200μmである。
【0039】
(架橋したフルオロポリマー)
適切な架橋したフルオロポリマーとしては、中間層としてすでに列挙したフルオロエラストマーが挙げられる。フルオロプラスチックは、本明細書で使用するのに適しており、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、およびこれらの混合物からなる群から選択されるモノマー繰り返し単位を含む。フルオロプラスチックの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ペルフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA);テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)のコポリマー;ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDFまたはVF2)のコポリマー;テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のターポリマー;テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VF2)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)のテトラポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
適切な架橋したフルオロポリマーとしては、信越化学工業株式会社から入手可能な架橋したペルフルオロポリエーテル(商標名SIFEL(登録商標))も挙げられ、
【化1】
式中、nは、約0〜約5000の数である。
【0041】
シロキシフルオロカーボン網目構造(SFC)は、ポリイミドエアロゲルに組み込むことが可能な、適切なフルオロポリマーである。SFC網目構造は、アルコキシシラン前駆体を含む。アルコキシシラン前駆体のモル比は、高度に調整可能なシステムを生じるように変えることができる。アルコキシシラン前駆体を、液体コーティング配合物に組み込むことができ、非フッ素化溶媒からポリマー繊維マトリックスに直接的にスプレーコーティングまたはフローコーティングし、180℃以下の温度で硬化させることができる。
【0042】
シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、ゾルゲル化学によって作られる。シロキシフルオロカーボンモノマーをゾルゲル化学によって架橋し、アルコキシド基またはヒドロキシド基の加水分解および縮合が起こり、高温で硬化させると、フュージング表面で用いられるコーティングを生成する。シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、溶融または分解を起こすことなく、高温条件に耐えることができ、フュージング条件で機械的に丈夫であり、フュージング条件で良好な剥離性を示す。
【0043】
一官能、二官能または三官能のシラン末端基を用い、シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーを調製してもよい。シロキシフルオロカーボンモノマーは、以下の構造によってあらわされ、
【化2】
式中、Cは、2〜40個の炭素原子を含む直鎖脂肪族または芳香族フルオロカーボン鎖であり;Lは、C2n基であり、nは0〜約10の数であり;X、XおよびXは、反応性ヒドロキシド官能基、反応性アルコキシド官能基、約1〜約10個の炭素原子を含む非反応性脂肪族官能基、約1〜約10個の炭素原子を含む非反応性芳香族官能基であり、すべてのシロキシフルオロカーボンモノマーが、1つの系で酸化ケイ素(Si−O−Si)を介して結合しており、シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、ケトン、塩素化溶媒およびエーテルからなる群から選択される溶媒に不溶性である。
【0044】
上に列挙したモノマーに加え、シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、以下の構造を有するモノマーを用いて調製することができ、
【化3】
式中、Cは、約2〜40個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の脂肪族または芳香族フルオロカーボン鎖をあらわし;Lは、C2n基であり、nは、0〜約10の数であり、mは、1〜3であり;X、XおよびXは、反応性ヒドロキシド官能基、反応性アルコキシド官能基、約1〜約10個の炭素原子を含む非反応性脂肪族官能基、または約1〜約10個の炭素原子を含む非反応性芳香族官能基であり、すべてのシロキシフルオロカーボンモノマーが、1つの系で酸化ケイ素(Si−O−Si)を介して結合しており、シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、ケトン、塩素化溶媒およびエーテルからなる群から選択される溶媒に不溶性である。
【0045】
上に列挙したモノマーに加え、シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、ケイ素テトラアルコキシドおよび分岐したペンタシランからなる群から選択される非フッ素化シランモノマーを含むモノマーを用いて調製することができる。ケイ素テトラアルコキシドは、以下によってあらわされ、
【化4】
式中、Rは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、他の炭化水素基、またはこれらの混合物であってもよい。
【0046】
分岐したペンタシランは、一般的に、それぞれの構造によってあらわされてもよく、
【化5】
式中、X、XおよびXは、上に定義されるとおりである。
【0047】
シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、フッ素含有量が約20重量%〜約70重量%、または約25重量%〜約70重量%、または約30重量%〜約60重量%である。シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマー中のケイ素含有量は、重量基準で、約1重量%のケイ素〜約20重量%のケイ素、または約1.5重量%のケイ素〜約15重量%のケイ素、または約2重量%のケイ素〜約10重量%のケイ素である。
【0048】
モノマーは、すべてのモノマーが、酸化ケイ素(Si−O−Si)結合によって硬化したコーティング中で分子が結合するように網目構造を形成する。したがって、このコーティングは1つの系になるように架橋するため、シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーについて分子量を与えることはできない。
【0049】
層のシロキシフルオロカーボン前駆体およびコーティングをゾルゲル処理するために用いられる溶媒としては、有機炭化水素溶媒およびフッ素化溶媒が挙げられる。例示的なコーティング溶媒としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−ブタノールが、溶液中でゾルゲル反応を促進するために典型的に用いられる。溶媒のさらなる例としては、ケトン、例えば、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。溶媒の混合物を使用してもよい。溶媒系は、少量の水、例えば、ケイ素の合計モル当量と比較して、約1モル当量〜10モル当量の水、または約2モル当量〜約4モル当量の水の添加を含んでいた。
【0050】
ゾルゲル前駆体の溶液に水を添加すると、アルコキシ基が水と反応し、縮合し、凝集物を生成し、これが部分的に網目構造を形成し、これはゾルと呼ばれる。ポリイミドエアロゲルに部分的に網目構造を形成したゾルをコーティングすると、乾燥したときにゲルが生成し、その後、熱処理し、完全に網目構造を形成したSFCコーティング(シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマー)がポリイミドエアロゲル内に作られる。
【0051】
シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、溶媒(例えば、ケトン、塩素化溶媒、エーテルなど)にさらされても溶解せず、250℃までの温度で分解せず、系によってはもっと高い温度で安定である。シロキシフルオロカーボン網目構造ポリマーは、トナーまたは他の混入物質にさらされたとき、良好な剥離性を示し、その結果、トナーおよび他の印刷に関連する材料は、フュージング部材に付着しない。
【0052】
架橋したSFCポリマーは、融点またはガラス転移点(Tg)がない。表面の修復は、POSSが表面に対してマトリックスを介して拡散可能な速度に依存する。表面の修復は、架橋密度にもっと依存し、架橋密度は、SFCの配合に依存する。
【0053】
一実施形態では、金属アルコキシド(M=Si、Al、Tiなど)官能基を、フルオロカーボン鎖間の架橋要素として使用することができる。コンポジット全体で効率的に架橋させるために、二官能フルオロカーボン鎖を使用する。フッ素化含有量を増やすために、一官能フルオロカーボン鎖も加えてもよい。末端がCFの鎖は、フュージング表面に整列し、表面エネルギーを下げ、剥離性を高める。
【0054】
コンポジット系を作成するために使用可能な前駆体の例としては、ケイ素テトラアルコキシドおよび末端がシロキサンのフルオロカーボン鎖が挙げられ、これらを以下に示す。シロキサン系ゾルゲル前駆体は、市販されている。ケイ素テトラアルコキシド(例えば、以下のケイ素テトラアルコキシド)を添加すると、材料に過剰な架橋が導入され、過剰に頑丈になるが、ゾルゲル/フルオロカーボンコンポジット系を作成するのに必須ではない。
【化6】
【0055】
フルオロカーボン鎖は、簡単に入手可能なジアルケン前駆体を含み、このジアルケン前駆体をヒドロシリル化(反応1)によってシランに変換することができる。一官能フッ素化シロキサン鎖は、メチルシロキサンまたはエチルシロキサンとして市販されており、または、クロロシランまたはジアルケン前駆体から変換することができた。
【化7】
【0056】
アルコキシシラン前駆体は、高度に調整可能な系を生じるように変えることができ、典型的には、非フッ素化溶媒からポリマー繊維マトリックスに直接的にスプレーコーティングまたはフローコーティングし、180℃以下の温度で硬化させる。ポリマー繊維マトリックス内および上部での網目構造SFCの生成を以下に示す。
【化8】
【0057】
(剥離剤)
100℃を超える温度で液体である剥離剤としては、ペルフルオロポリエーテル;ポリシロキサン、例えば、シリコーン油;フッ素化ポリシロキサン;フッ素化シラン;および多面体オリゴマー性シルセスキオキサン(POSS)が挙げられる。
【0058】
ペルフルオロアルキル置換基を有する多面体オリゴマー性シルセスキオキサン(POSS)は、適切な剥離剤であり、架橋したポリマー内にPOSSを溶解し、分散させることができるすでに記載した架橋ポリマーと化学的に似ている。
【0059】
ポリシロキサン、例えば、シリコーン油;フッ素化ポリシロキサン;フッ素化シランは、電子写真装置で使用するよく知られた剥離剤である。
【0060】
剥離剤として使用するのに適切なペルフルオロポリエーテルは、米国特許第7,491,435号に記載され、その全体が本明細書に組み込まれる。適切な剥離剤の例としては、以下の骨格式IまたはIIを有するものが挙げられる。
【化9】
〔式中、Rは、CF、CF−CFまたは−NHRであり;Rは、CF、CF−CF、または−NRであり;Rは、CFまたはCFであり、Rは、水素、約1〜約18個の炭素原子、または約1〜約8個の炭素、または約1〜約6個の炭素、または約1〜約3個の炭素を含むアルキル基、約7〜約18個、または約7〜約9個の炭素原子を含むアリールアルキル基(アルキル基またはアリール基のいずれかが、ケイ素原子に接続している)、メルカプト、ヒドリドまたはカルビノール官能基からなる群から選択され;Rは、約1〜約20個の炭素、または約1〜約10個の炭素を含むアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチルなど、約2〜約10個の炭素を含むフルオロアルキル、例えば、フルオロメチル、フルオロブチル、ジフルオロエチルなどからなる群から選択され;mは、0または1の数であり;nは、約0〜約500、または約200〜約350の数であり;pは、約0〜約100、または約50〜約75の数であり;qは、0または1の数であり;p+nは、約100〜約500、または約250〜約425の数である〕
【化10】
〔式中、Rは、CFおよびCF−CFからなる群から選択され;mは、0または1の数であり;nは、約0〜約500、または約200〜約350の数であり;pは、約0〜約100、または約50〜約75の数であり;qは、0または1の数であり;p+nは、約100〜約500、または約250〜約425の数である。〕上のアルキル基は、直鎖、分枝鎖、環状、不飽和のアルキル基を含んでいてもよい。
【0061】
信越化学工業株式会社から入手可能なさらなるペルフルオロポリエーテルとしては、以下のものが挙げられ、
【化11】
式中、nは、約0〜約500の数である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロポリエーテル剥離剤は、剥離剤をトナーとともに用いるとき、粘度が約75〜約1,500cS、または約100〜約1,000cSである。
【0063】
もっと長いペルフルオロアルキル置換基を有する多面体オリゴマー性シルセスキオキサン(POSS)は、適切な剥離剤である。これらは、知られているうちで最も疎水性の結晶性固体材料であり、フルオロポリマー−ポリイミドエアロゲル剥離層に組み込むと表面自由エネルギー(SFE)を下げ、トナーの剥離性を高める。さらに、これらのペルフッ素化POSS材料の低い融点(100℃未満は、POSSが、フュージング中に溶融状態であり、POSSが移動し、フューザーの表面層に再供給され、修復するにつれてトナーを「継続的に剥離」させることができることを意味する。
【0064】
フッ素化多面体オリゴマー性シルセスキオキサンは、以下によってあらわされ、
【化12】
式中、Rは、2〜40個の炭素原子を含む直鎖脂肪族または芳香族フルオロカーボン鎖である。いくつかの実施形態では、Rfは、CHCHCFCFCFCF(フルオロヘキシル)またはCHCHCFCFCFCFCFCF(フルオロオクチル)またはCHCHCFCFCFCFCFCFCFCF(フルオロデシル)である。
【0065】
または、個々の剥離剤の利点をあわせもつように、機能性シリコーン材料と非機能性ペルフッ素化ポリエーテル剥離剤とPOSSのブレンドを使用することができる。
【0066】
ポリイミドエアロゲルコーティングの調製を行った。ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(BPDA)(2.395g、8.15mmol)および4,4’−オキシジアニリン(ODA)(1.58g、7.9mmol)を25mLのn−メチルピロリドン(NMP)に溶かした溶液をアルゴン下、室温で30分間攪拌した。この溶液に、1,3,5,−トリアミノフェノキシベンゼン(TAB)(0.175mmol、0.07g)を8mLのNMPに溶かした溶液を加えた。この溶液を1時間攪拌し、次いで、この溶液に無水酢酸(65mmol、6.15g)、ピリジン(65mmol、5.14g)を加えた。この溶液でポリイミドベルト基材をコーティングし、20分以内にゲル層が生成した。ゲル層を24時間かけて熟成した。熟成した後、75%NMPのアセトン溶液を用いてゲルを抽出し、一晩浸した。ゲル中の溶媒を24時間間隔で25%NMPのアセトン溶液と交換し、次いで、100%アセトンと交換した。最後に、31℃、約1100psiでの超臨界CO抽出、減圧乾燥によって、空隙率が約90%のポリイミドエアロゲル層を得る。ポリイミドエアロゲル層は、優れた柔軟性、高い引張強度(すなわち、4〜9MPa)、高い分解開始温度(すなわち、460℃〜610℃)を有する。
【0067】
シリコーン層を有するコーティングしたフューザーローラーにポリイミドエアロゲルを塗布し、液体ペルフルオロポリエーテルと混合した架橋ペルフルオロポリエーテル(SIFEL(登録商標))の組成物をポリイミドエアロゲル層にフローコーティングする。架橋したペルフルオロポリエーテルと液体ペルフルオロポリエーテルの混合物を約150℃〜約200℃で熱処理することによって硬化させる。硬化したポリフルオロポリエーテルは、ポリイミドエアロゲル層全体に分散する。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5