特許第6223923号(P6223923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223923
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】車両の車軸リフト装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 61/12 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   B62D61/12
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-152249(P2014-152249)
(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公開番号】特開2016-30464(P2016-30464A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2016年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−044590(JP,U)
【文献】 特開平07−237425(JP,A)
【文献】 米国特許第04842302(US,A)
【文献】 実開平03−069584(JP,U)
【文献】 実開昭57−124486(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に並ぶ第1及び第2の車輪とサスペンション装置とを備える車両であり、前記サスペンション装置はリーフスプリングを備え、前記リーフスプリングの前後方向の中間部を前記第1の車輪の車軸に連結し、前記リーフスプリングの前後方向の一端部に車体側の第1当接部を載置し、前記リーフスプリングの前後方向の他端部に車体側の第2当接部を載置した懸架状態で、接地した前記第1の車輪の車軸によって車体側の荷重が前記リーフスプリングを介して弾性支持される前記車両に、前記第1及び第2の車輪が接地した状態から前記第1の車輪を持ち上げるために装備される車軸リフト装置であって、
車体側に支持され、リフト禁止状態とリフト許可状態とに設定可能な第1当接部移動手段と、
車体側に支持され、前記第1の車輪の車軸を昇降可能な車軸昇降手段と、を備え、
前記第1当接部移動手段は、前記リフト禁止状態では、前記リーフスプリングの前記一端部に上方から当接して該一端部の上方への移動を規制する前記懸架状態のリフト禁止位置に前記第1当接部を保持し、前記リフト許可状態では、前記リーフスプリングの前記一端部の前記懸架状態からの上昇を許容するリフト許可位置へ前記第1当接部を移動させ
前記第1及び第2の車輪が接地した状態で前記第1当接部移動手段が前記リフト禁止状態から前記リフト許可状態に変更されると、前記第1当接部は、前記リーフスプリングの前記一端部から離間して前記リフト許可位置へ移動し、前記リフト許可状態で前記車軸昇降手段によって前記第1の車軸が上昇して前記第1の車輪が持ち上がる際に、前記リーフスプリングの前記一端部は、前記第1当接部と干渉することなく上昇する
ことを特徴とする車両の車軸リフト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車軸リフト装置であって、
傾動許可状態と傾動規制状態とに設定可能な傾動規制手段を備え、
前記リーフサスペンション装置は、第2のリーフスプリングとエコライザ機構とを備え、
前記第2のリーフスプリングの前後方向の中間部を前記第2の車輪の車軸に連結し、前記中間部から前記第1の車輪側へ延びる前記第2のリーフスプリングの前後方向の一端部に車体側の第3当接部を載置し、前記第2のリーフスプリングの前後方向の他端部に車体側の第4当接部を載置した懸架状態で、接地した前記第2の車輪の車軸によって車体側の荷重が前記第2のリーフスプリングを介して弾性支持され、
前記エコライザ機構は、前記リーフスプリングの前記他端部と前記第2のリーフスプリングの前記一端部との間で車幅方向に延びる回転軸を中心として傾動自在に車体側に支持され、前記回転軸よりも前記第1の車輪側に前記第2当接部が設けられ、前記回転軸よりも前記第2の車輪側に前記第3当接部が設けられる傾動部材を有し、
前記傾動規制手段は、前記傾動許可状態では前記傾動部材の傾動を許容し、前記傾動規制状態では前記傾動部材の傾動を規制する
ことを特徴とする車両の車軸リフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備されて車輪を地面から持ち上げる車軸リフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タイヤ持ち上げ機構付大型車両が記載されている。この大型車両は、所謂トラニオン方式のリーフサスペンション機構を備え、前後の車軸がリーフスプリングの前端と後端とにそれぞれ連結されている。後の車軸にはワイヤの一端側が捲きつけ固定され、ワイヤの他端側は小型ウインチに巻きつけられている。操作スイッチがオンされると、小型ウインチがワイヤを巻き上げて車軸を持ち上げ、タイヤが路面から持ち上がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−69584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のタイヤ持ち上げ機構では、リーフスプリングによって車軸が下方へ付勢された状態を維持したまま車軸を持ち上げなければならない。このため、リーフスプリングの付勢力が車軸の上昇に対する抵抗力となり、車軸を上昇させるために過大な力が必要となる。また、車軸の可動範囲がリーフスプリングの弾性変形域内に限定されるので、タイヤを地面から十分に離間させることができない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑み、リーフスプリングに支持された車軸を上昇させるために必要な力を小さく抑え、且つ車軸の上昇量を増大させることが可能な車軸リフト装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は、車軸リフト装置であって、第1当接部移動手段と車軸昇降手段とを備える。
【0007】
車軸リフト装置は、前後方向に並ぶ第1及び第2の車輪とサスペンション装置とを備える車両に、第1及び第2の車輪が接地した状態から第1の車輪を持ち上げるために装備される。サスペンション装置はリーフスプリングを備え、リーフスプリングの前後方向の中間部を第1の車輪の車軸に連結し、リーフスプリングの前後方向の一端部に車体側の第1当接部を載置し、リーフスプリングの前後方向の他端部に車体側の第2当接部を載置した懸架状態で、接地した第1の車輪の車軸によって車体側の荷重がリーフスプリングを介して弾性支持される。
【0008】
第1当接部移動手段は、リフト禁止状態とリフト許可状態とに設定可能であり、車体側に支持される。車軸昇降手段は、第1の車輪の車軸を昇降可能であり、車体側に支持される。
【0009】
第1当接部移動手段は、リフト禁止状態では、リーフスプリングの一端部に上方から当接して該一端部の上方への移動を規制する懸架状態のリフト禁止位置に第1当接部を保持し、リフト許可状態では、リーフスプリングの一端部の懸架状態からの上昇を許容するリフト許可位置へ第1当接部を移動させる。
第1及び第2の車輪が接地した状態で第1当接部移動手段がリフト禁止状態からリフト許可状態に変更されると、第1当接部は、リーフスプリングの一端部から離間してリフト許可位置へ移動し、リフト許可状態で車軸昇降手段によって第1の車軸が上昇して第1の車輪が持ち上がる際に、リーフスプリングの一端部は、第1当接部と干渉することなく上昇する。

【0010】
上記構成では、第1の車輪を接地する場合、運転者等は、第1当接部移動手段をリフト禁止状態に設定する。第1当接部移動手段がリフト禁止状態に設定されると、第1当接部がリフト禁止位置に保持されてサスペンション装置が懸架状態となり、接地した第1の車輪の車軸によって車体側の荷重がリーフスプリングを介して弾性支持される。
【0011】
第1及び第2の車輪が接地した状態から第1の車輪を持ち上げて地面から離間させる場合、運転者等は、第1当接部移動手段をリフト禁止状態からリフト許可状態に変更した後、車軸昇降手段によって第1の車輪の車軸を上昇させる。第1当接部移動手段をリフト禁止状態からリフト許可状態に変更することによって、第1当接部がリフト禁止位置からリフト許可位置へ移動する。第1当接部のリフト禁止位置への移動によって、リーフスプリングの一端部の懸架状態からの上昇が許容されるので、車軸の上昇に伴ってリーフスプリングが全体的に傾動する。従って、リーフスプリングの付勢力に抗して車軸を上昇させる場合に比べて、車軸を上昇させるための力を小さく抑えることができ、装置の大型化や重量化を抑制することができる。また、車軸の可動範囲がリーフスプリングの弾性変形域内に限定されることがないため、車輪を地面から十分に離間させることができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様の車軸リフト装置であって、傾動許可状態と傾動規制状態とに設定可能な傾動規制手段を備える。
【0013】
リーフサスペンション装置は、第2のリーフスプリングとエコライザ機構とを備える。第2のリーフスプリングの前後方向の中間部を第2の車輪の車軸に連結し、中間部から第1の車輪側へ延びる第2のリーフスプリングの前後方向の一端部に車体側の第3当接部を載置し、第2のリーフスプリングの前後方向の他端部に車体側の第4当接部を載置した懸架状態で、接地した第2の車輪の車軸によって車体側の荷重が第2のリーフスプリングを介して弾性支持される。エコライザ機構は、第2当接部と第3当接部とが設けられる傾斜部材を有する。傾斜部材は、リーフスプリングの他端部と第2のリーフスプリングの一端部との間で車幅方向に延びる回転軸を中心として傾動自在に車体側に支持される。第2当接部は、回転軸よりも第1の車輪側に設けられ、第3当接部は、回転軸よりも第2の車輪側に設けられる。
【0014】
傾動規制手段は、傾動許可状態では傾動部材の傾動を許容し、傾動規制状態では傾動部材の傾動を規制する。
【0015】
上記構成では、第1の車輪及び第2の車輪を接地する場合、運転者等は、傾動規制手段を傾動許可状態に設定するとともに、第1の態様と同様に、第1当接部移動手段をリフト禁止状態に設定する。傾動規制手段が傾動許可状態に設定されると、傾動部材の傾動が許容されてエコライザ機構が機能し、車体側の荷重が第1及び第2の車輪の各車軸に好適に配分される。
【0016】
第1及び第2の車輪が接地した状態から第1の車輪を持ち上げて地面から離間させる場合、運転者等は、傾動規制手段を傾動許可状態から傾動規制状態に変更した後、第1の態様と同様に、第1当接部移動手段をリフト許可状態に変更し、車軸昇降手段によって第1の車輪の車軸を上昇させる。移動規制手段が傾動規制状態に変更されると、傾動部材の傾動が規制されるので、車軸昇降手段によって第1の車輪の車軸を上昇させる際に、リーフスプリングの他端部の上昇が第3当接部によって確実に抑制される。従って、リーフスプリングを安定した挙動で確実に傾動させながら第1の車輪を上昇させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リーフスプリングに支持された車軸を上昇させるために必要な力を小さく抑え、且つ車軸の上昇量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態の車軸リフト装置を示す側面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3図1をIII−III方向から視た要部断面図である。
図4図1をIV−IV方向から視た要部断面図である。
図5図1をV−V方向から視た要部断面図である。
図6図1をVI−VI方向から視た要部断面図である。
図7】リーフ受部可動機構及びエコライザ固定機構を示す図1の平面図である。
図8】車軸昇降機構及びリーフ受部可動機構を示す図1の平面図である。
図9】空圧回路の模式図である。
図10】エコライザ固定機構が傾動規制状態へ移行した後の車軸リフト装置を示す側面図である。
図11】リーフ受部可動機構がリフト許可状態へ移行した後の車軸リフト装置を示す側面図である。
図12】後後軸がリフトされた軸リフト状態の車軸リフト装置を示す側面図である。
図13】軸リフト状態のリーフ受部可動機構及びエコライザ固定機構を示す要部平面図である。
図14】軸リフト状態の車軸昇降機構及びリーフ受部可動機構を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。各図において、FRは車両前方を、Rrは車両後方を、UPは車両上方を、Lは左方向を、Rは右方向をそれぞれ示す。また、以下の説明の左右方向は、特に説明がない限り車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0020】
本実施形態では、トラクタ(図示省略)によって牽引されるセミトレーラ(車両)1に装備される車軸リフト装置20について説明する。なお、車軸リフト装置20が装備される車両は、セミトレーラ1に限定されず、トラックやトレーラなどであってもよい。
【0021】
図1図8に示すように、セミトレーラ1の車体は、シャシフレーム2によって構成される。シャシフレーム2は、車両前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビーム3と、車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる複数のクロスフレーム(図示省略)とを有する。各クロスフレームの両端は、メインビーム3の側面に結合され、シャシフレーム2は、メインビーム3とクロスフレームとによって梯子状に形成される。
【0022】
シャシフレーム2の前部は、キングピン(図示省略)を介してトラクタのカプラ(図示省略)に連結され、シャシフレーム2の後部は、前後方向に並ぶ複数組(本実施形態では3組)の車輪(タイヤ)5F,5M,5Rによって下方から支持される。前側の左右の車輪(後前輪)5Fは、前側の車軸(後前軸)6Fに回転自在に支持され、中央の左右の車輪(後中輪(第2の車輪))5Mは、中央の車軸(後中軸)6Mに回転自在に支持され、後側の左右の車輪(後後輪(第1の車輪))5Rは、後側の車軸(後後軸)6Rに回転自在に支持される。車軸5F,5M,5Rは車幅方向に沿って延び、左右のメインビーム3と各車軸6F,6M,6Rとの間にはサスペンション装置7が設けられる。
【0023】
サスペンション装置7は、所謂エコライザ方式によるタンデム車軸の懸架装置であり、後前軸6Fに支持される前リーフスプリング8Fと、後中軸6Mに支持される中リーフスプリング8Mと、後後軸6Rに支持される後リーフスプリング8Rと、前リーフスプリング8Fと中リーフスプリング8Mとの間に設けられる前側のエコライザ機構9Fと、中リーフスプリング8Mと後リーフスプリング8Rとの間に設けられる後側のエコライザ機構9Rとを備える。
【0024】
前リーフスプリング8Fの前後方向の中間部は、後前軸6Fに上方から載置され、前軸連結部材10Fによって後前軸6Fに締結固定される。中リーフスプリング8Mの前後方向の中間部は、後中軸6Mに上方から載置され、中軸連結部材10Mによって後中軸6Mに締結固定される。後リーフスプリング8Rの前後方向の中間部は、後後軸6Rに上方から載置され、後軸連結部材10Rによって後後軸6Rに締結固定される。
【0025】
左右のメインビーム3の下面には、第1〜第4のハンガー11A〜11Dが前後方向に離間して固定されている。第1のハンガー11Aは前リーフスプリング8Fの前端部の近傍に配置され、第2のハンガー11Bは前リーフスプリング8Fと中リーフスプリング8Mとの間に配置され、第3のハンガー11Cは中リーフスプリング8Mと後リーフスプリング8Rとの間に配置され、第4のリーフスプリング11Dは後リーフスプリング8Rの後端部の近傍に配置される。
【0026】
前後のエコライザ機構9F,9Rは、それぞれエコライザ12F,12Rを備える。前側のエコライザ12Fは、車幅方向に延びる回転軸13Fを中心として第2のハンガー11Bに傾動自在に支持される中間部と、回転軸13Fの前方に配置される前リーフ後端受部14Rと、回転軸13Fの後方に配置される中リーフ前端受部(第4当接部)15Fとを一体的に有する。後側のエコライザ(傾動部材)12Rは、車幅方向に延びる回転軸13Rを中心として第3のハンガー11Cに傾動自在に支持される中間部と、回転軸13Rの前方に配置される中リーフ後端受部(第3当接部)15Rと、回転軸13Rの後方に配置される後リーフ前端受部(第2当接部)16Fとを一体的に有する。
【0027】
前リーフスプリング8Fの前端部は、第1のハンガー11Aの上部でメインビーム3に対して固定される前リーフ前端受部14Fに下方から当接し、その後端部は、前側のエコライザ12Fの前リーフ後端受部14Rに下方から当接する。中リーフスプリング8Mの前端部は、前側のエコライザ12Fの中リーフ前端受部15Fに下方から当接し、その後端部は、後側のエコライザ12Rの中リーフ後端受部15Rに下方から当接する。後リーフスプリング8Rの前端部は、後側のエコライザ12Rの後リーフ前端受部16Fに下方から当接し、その後端部は、後述するリフト禁止位置に保持された後リーフ後端受部(第1当接部)16Rに下方から当接する。
【0028】
このように、前リーフスプリング8Fの中間部を後前軸6Fに連結し、前リーフスプリング8Fの前端部に車体側の前リーフ前端受部14Fを載置し、前リーフスプリング8Fの後端部に車体側の前リーフ後端受部14Rを載置した懸架状態で、接地した後前輪5Fの後前軸6Fによって車体側の荷重が前リーフスプリング8Fを介して弾性支持される。同様に、中リーフスプリング8Mの中間部を後中軸6Mに連結し、中リーフスプリング8Mの前端部に車体側の中リーフ前端受部15Fを載置し、中リーフスプリング8Mの後端部に車体側の中リーフ後端受部15Rを載置した懸架状態で、接地した後中輪5Mの後中軸6Mによって車体側の荷重が中リーフスプリング8Mを介して弾性支持される。また、後リーフスプリング8Rの中間部を後後軸6Rに連結し、後リーフスプリング8Rの前端部に車体側の後リーフ前端受部16Fを載置し、後リーフスプリング8Rの後端部に後リーフ後端受部16Rを載置した懸架状態で、接地した後後輪5Rの後後軸6Rによって車体側の荷重が後リーフスプリング8Rを介して弾性支持される。
【0029】
第1のハンガー11Aの下端部には前ラジアスロッド17Fの前端部が回転自在に連結され、前ラジアスロッド17Fの後端部は前軸連結部材10Fの前端下部に回転自在に連結される。第2のハンガー11Bの下端部には中ラジアスロッド17Mの前端部が回転自在に連結され、中ラジアスロッド17Mの後端部は中軸連結部材10Mの前端下部に回転自在に連結される。第3のハンガー11Cの下端部には後ラジアスロッド17Rの前端部が回転自在に連結され、後ラジアスロッド17Rの後端部は後軸連結部材10Rの前端下部に回転自在に連結される。
【0030】
前側のエコライザ機構9Fは、後前輪5F及び後中輪5Mが段差等を通過することにより後前軸6Fと後中軸6Mとの間で分担する荷重に変化が生じたときに、エコライザ12Fが傾動して後前輪5F及び後中輪5Mの接地を維持するというエコライザ機能を有する。同様に、後側のエコライザ機構9Rは、後中輪5M及び後後輪5Rが段差等を通過することにより後中軸6Mと後後軸6Rとの間で分担する荷重に変化が生じたときに、エコライザ12Rが傾動して後中輪5M及び後後輪5Rの接地を維持するというエコライザ機能を有する。
【0031】
次に、車軸リフト機構20について説明する。車軸リフト装置20は、全ての車輪5F,5M,5Rが接地した状態から後後輪5Rを持ち上げるためにセミトレーラ1に装備され、リーフ受部可動機構(第1当接部移動手段)21と、車軸昇降機構(車軸昇降手段)31と、エコライザ固定機構(傾動規制手段)51と、エア回路71とを備える。リーフ受部可動機構21と車軸昇降機構31とエコライザ固定機構51の主な構成要素は、左右の後後輪5Rに対応して左右にそれぞれ設けられる。
【0032】
リーフ受部可動機構21は、リーフ受リンク用エアシリンダ22と、駆動側のリーフ受上リンク23と、従動側のリーフ受下リンク24と、リーフ受リンク用回転軸25とを備える。エアシリンダ22のシリンダチューブ22aは、左右のメインビーム3の間に架設されて車幅方向に延びるリーフ受シリンダ固定用のクロスメンバ26に固定され、エアシリンダ22のピストンロッド22bは、シリンダチューブ22aから前方へ伸長自在である。回転軸25は車幅方向に延び、その両端部は左右の第4のハンガー11Dに回転自在に支持される。リーフ受上リンク23の上端部はピストンロッド22bの前端部に回転自在に連結され、その下端部は回転軸25に固定される。リーフ受下リンク24の上端部は回転軸25に固定され、その下端部には後リーフ後端受部16Rが固定される。なお、回転軸25は、左右のリーフ受部可動機構21で共用される。
【0033】
エアシリンダ22は、ピストンロッド22bが最も伸長するリフト禁止状態(図1図2図7図8図10参照)と最も短縮するリフト許可状態(図11図14参照)とに設定可能であり、ピストンロッド22bの伸縮に応じて、リーフ受上リンク23及びリーフ受下リンク24が回転軸25と一体的に回転し、後リーフ後端受部16Rが移動する。後リーフ後端受部16Rは、リフト禁止状態では、後リーフスプリング8Rの後端部に上方から当接して該後端部の上方への移動を規制する懸架状態のリフト禁止位置に保持される。リフト禁止状態からピストンロッド22bが短縮すると、後リーフ後端受部16Rは、回転軸25の回転によって前斜め上方へ移動し、リフト許可状態では、後リーフスプリング8Rの後端部の懸架状態からの上昇を許容するリフト許可位置に保持される。
【0034】
第4のハンガー11Dには、リフト禁止状態のリーフ受下リンク24に後方から当接(面接触)する平板状の下リンク当接部27が固定される。リーフ受下リンク24に当接する下リンク当接部27の前面部は、後リーフ後端受部16Rから回転軸25へ入力する荷重の一部を分担して支持するように、上方に向かって斜め前方へ傾斜して延びる。リーフ受下リンク24の下端部(後リーフ後端受部16R)は、リフト許可状態からリフト禁止状態への変更に応じて、回転軸25(車体側に回転自在に支持されるリーフ受下リンク24の上端部)の前方から回転軸25の鉛直下方を超えて後方へ移動して下リンク当接部27と当接し、リフト禁止位置に設定される。このため、後リーフスプリング8Rの後端部から後リーフ後端受部16Rに対して上方への荷重が入力すると、リーフ受下リンク24は、リフト許可位置(リフト許可状態)とは反対の方向である後方の下リンク当接部27に向かって傾動しようとする。従って、後リーフスプリング8Rの後端部から後リーフ後端受部16Rに対して入力する上方への荷重を下リンク当接部27によって受け止めるとともに、後リーフ後端受部16Rがリフト禁止位置からリフト許可位置へ移動することを確実に防止することができる。
【0035】
車軸昇降機構31は、リフト用エアシリンダ32と、ローラチェーン33と、駆動側スプロケット34と、中間スプロケット35と、従動側スプロケット36と、チェーンテンショナ37とを備える。エアシリンダ32のシリンダチューブ32aは、リーフ受シリンダ固定用のクロスメンバ26の前方で左右のメインビーム3の間に架設されて車幅方向に延びるリフトシリンダ固定用のクロスメンバ38に固定され、エアシリンダ32のピストンロッド32bは、シリンダチューブ32aから前方へ伸長自在である。
【0036】
リフトシリンダ固定用のクロスメンバ38の前方には、車幅方向に延びるエコライザシリンダ固定用のクロスメンバ60が左右のメインビーム3の間に架設され、これらのクロスメンバ38,59の間には、左右のメインビーム3の略中央で前後方向に延びる駆動側スプロケット支持用のセンタメンバ39が架設される。センタメンバ39には、車幅方向に延びる駆動側スプロケット支持部材40の中央部が前後方向にスライド移動自在に支持され、駆動側スプロケット支持部材40の左右の両端部には、左右のリフト用エアシリンダ32のピストンロッド32bの前端部がそれぞれ固定される。
【0037】
駆動側スプロケット34は、車幅方向に延びる回転軸を中心として回転自在に、駆動側スプロケット支持部材40に支持される。中間スプロケット35は、車幅方向に延びる回転軸を中心として回転自在に、クロスメンバ38の後面に固定されたブラケット41の後上端の隅部に支持される。従動側スプロケット36は、車幅方向に延びる回転軸を中心として回転自在に、後後軸6Rの上方で後軸連結部材10Rに支持される。ローラチェーン33は、その一端がブラケット41の前部に固定され、リフト用エアシリンダ32の下方を通って前方へ延び、駆動側スプロケット34の下端部から上端部の範囲に噛合して折り返され、リフト用エアシリンダ32の上方を通って後方へ延び、中間スプロケット35の上端部から後端部の範囲に噛合して下方へ延び、従動側スプロケット36の後端部から前端部の範囲に噛合して折り返されて上方へ延び、その他端がブラケット41の後部に固定される。
【0038】
チェーンテンショナ37は、ローラチェーン33と噛合可能な外周を有する弾性環状体であり、ブラケット41と従動側スプロケット36との間で相対向して上下方向に延びる前後のローラチェーン33の間に配置される。チェーンテンショナ37の外径は、前後のローラチェーン33間の距離よりも大きく、楕円状に弾性変形した状態で前後のローラチェーン33に挟持された状態で噛合する。弾性変形したチェーンテンショナ37が前後のローラチェーン33を離間させる方向へ押圧することにより、ローラチェーン33に所望の張力が付与される。
【0039】
エアシリンダ32は、ピストンロッド32bが最も短縮する非リフト状態(図1図2図8図10図11参照)と最も伸張するリフト状態(図12図14参照)とに設定可能であり、ピストンロッド32bの伸縮に応じて、駆動側スプロケット34が前後方向に移動し、ローラチェーン33が移動して、従動側スプロケット36(後後軸6R)が昇降する。
【0040】
駆動側スプロケット支持部材40の前方には、車軸昇降機構31のリフト状態を保持して後後軸6Rの下降を防止するための下降防止ストッパ部材42が設けられている。下降防止ストッパ部材42は、車幅方向に延び、一端部(右端部)と中央部とがセンタメンバ39と左側のメインビーム3とにそれぞれ回転自在に支持される棒状体であり、その他端側(左端側)は左側のメインビーム3の車幅方向外側へ延びる。駆動側スプロケット支持部材40には係合孔43が設けられ、下降防止ストッパ部材42の一端部には、ピストンロッドbが最も伸張するリフト状態において、下降防止ストッパ部材42の回転操作に応じて駆動側スプロケット支持部材40の係合孔43と着脱自在に係合する係止突起44が設けられている(図8参照)。係合孔43と係止突起44との係合により、駆動側スプロケット支持部材40の後方への移動が阻止され、車軸昇降機構31のリフト状態が保持される。
【0041】
エコライザ固定機構51は、エコライザリンク用エアシリンダ52と、第1〜第3リンク53〜55と、前後の傾動規制リンク56,57と、前後のエコライザ固定用回転軸58,59とを備える。エアシリンダ52のシリンダチューブ52aは、上記エコライザシリンダ固定用のクロスメンバ60に固定され、エアシリンダ52のピストンロッド52bは、シリンダチューブ52aから後方へ伸長自在である。前側の回転軸58は第3のハンガー11Cの前方で車幅方向に延び、その両端部は左右のメインビーム3の下面に固定された軸受部61(図2参照)に回転自在に支持される(図7参照)。後側の回転軸59は第3のハンガー11Cの後方で車幅方向に延び、左右の回転軸59が左右のメインビーム3の下面に固定された軸受部62(図2参照)にそれぞれ回転自在に支持される(図7参照)。第1リンク53の上端部はピストンロッド52bの後端部に回転自在に連結され、その下端部は前側の回転軸58に固定される。第3リンク55の上端部は後側の回転軸59に固定され、第2リンク54の前端部と後端部とは、第1リンク53の中間部と第3リンク55の下端部とにそれぞれ回転自在に連結される。前後の傾動規制リンク56は、その上端部が前側の回転軸58に固定されて下方へ延びる。後側の傾動規制リンク57は、その上端部が後側の回転軸59に固定されて下方へ延びる。なお、前側の回転軸58は、左右のエコライザ固定機構51で共用される。
【0042】
エアシリンダ52は、ピストンロッド52bが最も伸長する傾動許容状態(図1図2図7図10参照)と最も短縮する傾動規制状態(図11図13)とに設定可能であり、ピストンロッド52bの伸縮に応じて、前後の回転軸58,59が相反する方向に回転し、前後の傾動規制リンク56,57が移動する。傾動許容状態では、前後の傾動規制リンク56,57の下端部は、後側のエコライザ12Rの上面から上方に離間する傾動許容位置に保持されて、エコライザ12Rの傾動を許容する。傾動許容状態からピストンロッド52bが短縮すると、前側の傾動規制リンク56の下端部は前側の回転軸58の回転によって後斜め下方へ移動し、後側の傾動規制リンク57の下端部は後側の回転軸59の回転によって前斜め下方へ移動する。傾動規制状態では、前後の傾動規制リンク56,57の下端部は、回転軸13Rの前後でエコライザ12Rの上面に近接又は接触してエコライザ12Rの傾動を規制する傾動規制位置に保持される。
【0043】
前側の傾動規制リンク56の下端部は、傾動許可状態から傾動規制状態への変更に応じて、回転軸58(車体側に回転自在に支持される傾動規制リンク56の上端部)の前方から回転軸58の鉛直下方を超えて後方へ移動して、回転軸13Rの前方でエコライザ12Rの上面に近接又は接触する。後側の傾動規制リンク57の下端部は、傾動許可状態から傾動規制状態への変更に応じて、回転軸59(車体側に回転自在に支持される傾動規制リンク57の上端部)の後方から回転軸59の鉛直下方を超えて前方へ移動して、回転軸13Rの後方でエコライザ12Rの上面に近接又は接触する。エコライザ12Rの傾動は、エコライザ12Rの上面が前側の傾動規制リンク56の下端部及び/又は後側の傾動規制リンク57の下端部と当接することによって規制される。このため、傾動規制状態において、中リーフスプリング8Mの後端部や後リーフスプリング8Rの前端部からエコライザ12Rに対して強い傾動力が作用した場合であっても、エコライザ12Rの傾動を受けて前側の傾動規制リンク56又は後側の傾動規制リンク57が傾動しようとする方向は何れも傾動解除状態とは反対の方向となるので、傾動禁止状態を確実に保持することができる。
【0044】
図9に示すように、エア回路71は、加圧エアを貯留するエアタンク(図示省略)に連通する主管路72と、主管路72から分岐する第1〜第3分岐管路73A〜73Cと、第1〜第3分岐管路73A〜73Cの下流端にそれぞれ接続される第1〜第3手動操作弁74A〜74Cと、第1手動操作弁74Aと左右のリーフ受リンク用エアシリンダ22の各シリンダ室の伸張側とを連通する第1伸張側管路75Aと、第1手動操作弁74Aと左右のリーフ受リンク用エアシリンダ22の各シリンダ室の短縮側とを連通する第1短縮側管路75Bと、第2手動操作弁74Bと左右のリフト用エアシリンダ32の各シリンダ室の伸張側とを連通する第2伸張側管路76Aと、第2手動操作弁74Bと左右のリフト用エアシリンダ32の各シリンダ室の短縮側とを連通する第2短縮側管路76Bと、第3手動操作弁74Cと左右のエコライザリンク用エアシリンダ52の各シリンダ室の伸張側とを連通する第3伸張側管路77Aと、第3手動操作弁74Cと左右のエコライザリンク用エアシリンダ52の各シリンダ室の短縮側とを連通する第2短縮側管路77Bとを備える。
【0045】
第1〜第3手動操作弁74A〜74Cは、運転者等からの手動操作によって、3軸走行状態(非リフト状態)と2軸走行状態(リフト状態)とにそれぞれ設定可能である。
【0046】
3軸走行状態の第1手動操作弁74Aは、第1分岐管路73Aと第1伸張側管路75Aとを連通し、第1短縮側管路75Bを大気に開放する。これにより、ピストンロッド22bが伸長し、リフト禁止状態となる。2軸走行状態の第1手動操作弁74Aは、第1分岐管路73Aと第1短縮側管路75Bとを連通し、第1伸長側管路75Aを大気に開放する。これにより、ピストンロッド22bが短縮し、リフト許可状態となる。
【0047】
3軸走行状態の第2手動操作弁74Bは、第2分岐管路73Bと第2短縮側管路76Bとを連通し、第2伸長側管路76Aを大気に開放する。これにより、ピストンロッド32bが短縮し、非リフト状態となる。2軸走行状態の第2手動操作弁74Bは、第2分岐管路73Bと第2伸長側管路76Aとを連通し、第2短縮側管路76Bを大気に開放する。これにより、ピストンロッド32bが伸長し、リフト状態となる。
【0048】
3軸走行状態の第3手動操作弁74Cは、第3分岐管路73Cと第3伸張側管路77Aとを連通し、第3短縮側管路77Bを大気に開放する。これにより、ピストンロッド52bが伸長し、傾動許容状態となる。2軸走行状態の第3手動操作弁74Cは、第3分岐管路73Cと第3短縮側管路77Bとを連通し、第3伸長側管路77Aを大気に開放する。これにより、ピストンロッド52bが短縮し、傾動規制状態となる。
【0049】
後前輪5F、後中輪5M及び後後輪5Rの3輪で走行する3軸走行時は、第1〜第3手動操作弁74A〜74Cはそれぞれ3軸走行状態に設定され、図1及び図2に示すように、リーフ受部可動機構21はリフト禁止状態に、車軸昇降機構31は非リフト状態に、エコライザ固定機構51は傾動許容状態にそれぞれ維持される。リフト禁止状態のリーフ受部可動機構21の後リーフ後端受部16Rは、リフト禁止位置に保持され、後リーフスプリング8Rの後端部に上方から当接して該後端部の上方への移動を規制するので、接地した後後輪5Rの後後軸6Rによって車体側の荷重が後リーフスプリング8Rを介して弾性支持される。また、傾動許容状態のエコライザ固定機構51の前後の傾動規制リンク56,57の下端部は、傾動許容位置に保持されて後側のエコライザ12Rの上面から上方に離間するので、後側のエコライザ機構9Mのエコライザ機能が有効に機能する。
【0050】
3軸走行から2軸走行(後後輪5Rをリフトした走行)に変更する場合、運転者等は、車両1の停車中に、第3手動操作弁74Cを3軸走行状態から2軸走行状態に切替える。第3手動操作弁74Cが2軸走行状態に切替わると、エコライザ固定機構51が傾動許容状態から傾動規制状態に移行し、前後の傾動規制リンク56,57の下端部は、傾動許容位置から傾動規制位置へ下降し、回転軸13Rの前後でエコライザ12Rの上面に近接又は接触してエコライザ12Rの傾動を規制する(図10参照)。
【0051】
次に、運転者等は、第1手動操作弁74Aを2軸走行状態に切替える。第1手動操作弁74Aが2軸走行状態に切替わると、リーフ受部可動機構21がリフト禁止状態からリフト許可状態に移行し、後リーフ後端受部16Rは、リフト禁止位置からリフト許可位置へ移動し(図11参照)、後リーフスプリング8Rの後端部の懸架状態からの上昇を許容する。
【0052】
次に、運転者等は、第2手動操作弁74Bを2軸走行状態に切替える。第2手動操作弁74Bが2軸走行状態に切替わると、車軸昇降機構31が非リフト状態からリフト状態に移行し、リフト用エアシリンダ32のピストンロッド32bが伸長してローラチェーン33が移動し、後ラジアスロッド17Rが前端部(第3のハンバー11Cと後ラジアスロッド17Rとの連結軸)を中心として前斜め上方へ傾動して、後後軸6R(後後輪5R)が上昇する(図12参照)。
【0053】
車軸昇降機構31がリフト状態に完全に移行した後、運転者等は、下降防止ストッパ部材42の他端部(左端部)を回転操作し、駆動側スプロケット支持部材40の係合孔43に下降防止ストッパ部材42の係止突起44を係合する。係合孔43と係止突起44との係合により、駆動側スプロケット支持部材40の後方への移動が阻止され、車軸昇降機構31のリフト状態が保持される。
【0054】
なお、2軸走行から3軸走行に戻す場合、運転者等は、上記と逆の手順で下降防止ストッパ部材42及び手動操作弁74A〜74Cを操作すればよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、後前輪5F、後中輪5M及び後後輪5Rが接地する3軸走行から後後輪5Rを持ち上げて地面から離間させる2軸走行に変更する場合、運転者等は、第3手動操作弁74Cを2軸走行状態に切替えてエコライザ固定機構51を傾動許容状態から傾動規制状態に変更し、第1手動操作弁74Aを2軸走行状態に切替えてリーフ受部可動機構21をリフト禁止状態からリフト許可状態に変更した後、第2手動操作弁74Bを2軸走行状態に切替えて、車軸昇降機構31によって後後軸6Rを上昇させる。
【0056】
リーフ受部可動機構21がリフト禁止状態からリフト許可状態へ移行することによって、後リーフ後端受部16Rがリフト禁止位置からリフト許可位置へ移動する。後リーフ後端受部16Rのリフト禁止位置への移動によって、後リーフスプリング8Rの後端部の懸架状態からの上昇が許容されるので、後後軸6Rの上昇に伴って後リーフスプリング8Rが全体的に傾動する。従って、後リーフスプリング8Rの付勢力に抗して後後軸6Rを上昇させる場合に比べて、後後軸6Rを上昇させるための力を小さく抑えることができ、車軸リフト装置20の大型化や重量化を抑制することができる。また、後後軸6Rの可動範囲が後リーフスプリング8Rの弾性変形域内に限定されることがないため、後後輪5Rを地面から十分に離間させることができる。
【0057】
また、エコライザ固定機構51が傾動規制状態に変更されると、エコライザ12Rの傾動が規制されるので、車軸昇降機構31によって後後軸6Rを上昇させた際に、後リーフスプリング8Rの前端部の上昇が傾動規制リンク57の下端部によって確実に抑制される。従って、後リーフスプリング8Rを安定した挙動で確実に傾動させながら後後軸6Rを上昇させることができる。
【0058】
また、3軸走行時は、エコライザ固定機構51が傾動許可状態に設定されるので、エコライザ12Rの傾動が許容されてエコライザ機構が機能する。従って、車体側の荷重を後中軸6Mと後後軸6Rとに好適に配分することができる。
【0059】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【0060】
例えば、上記実施形態では前後方向に並ぶ3組の車輪5F,5M,5Rの後端側の後後輪5Rをリフトする場合を説明したが、前後方向に並ぶ2組又は4組以上の車輪の一つをリフトしてもよく、また前端側の車輪をリフトしてもよい。
【0061】
エアシリンダ22,32,52に代えて、油圧シリンダやモータ等の他のアクチュエータを設けてもよい。また、手動操作弁74A〜74Cに代えて電磁弁を設け、スイッチ操作等によって電磁弁を制御してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1:セミトレーラ(車両)
2:シャシフレーム
3:メインビーム
5F:後前輪
5M:後中輪(第2の車輪)
5R:後後輪(第1の車輪)
6F:後前軸
6M:後中軸
6R:後後軸
7:サスペンション装置
8F:前リーフスプリング
8M:中リーフスプリング
8R:後リーフスプリング
9F,9R:前後のエコライザ機構
12F,12R:エコライザ
14F:前リーフ前端受部
14R:前リーフ後端受部
15F:中リーフ前端受部(第4当接部)
15R:中リーフ後端受部(第3当接部)
16F:後リーフ前端受部(第2当接部)
16R:後リーフ後端受部(第1当接部)
20:車軸リフト装置
21:リーフ受部可動機構(第1当接部移動手段)
22:リーフ受リンク用エアシリンダ
23:リーフ受上リンク
24:リーフ受下リンク
25:リーフ受リンク用回転軸
27:下リンク当接部
31:車軸昇降機構(車軸昇降手段)
32:リフト用エアシリンダ
33:ローラチェーン
34:駆動側スプロケット
35:中間スプロケット
36:従動側スプロケット
37:チェーンテンショナ
42:下降防止ストッパ部材
51:エコライザ固定機構(傾動規制手段)
52:エコライザリンク用エアシリンダ
53〜55:第1〜第3リンク
56,57:前後の傾動規制リンク
58,59:前後のエコライザ固定用回転軸
71:エア回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14