(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記尾側の板は前記第1椎骨端板を貫通するように構成されており、かつ、前記頭側の板は前記第2椎骨端板を貫通するように構成されている、請求項1に記載の椎間装置。
前記内部支持具要素は後方蓋を備え、前記拡張された第2形態の前記椎間装置をさらに安定させるために、前記後方蓋は前記椎間装置の後端と揃えて係合するように構成されている、請求項15に記載の椎間装置。
【背景技術】
【0002】
本出願は2011年3月30日に出願された米国仮特許出願番号61/469778に関して米国特許法119条(e)に基づいて優先権の利益を主張する。前述の出願日の優先権はここに主張され、そして前記仮特許出願の開示はここでの参照により本明細書全体に含まれる。
【0003】
非常に多くの成人は、脊柱の部位から生じる、背中の痛みを経験したことがある、又は慢性の痛みに苦しんでいる。多くの脊椎疾患は、外傷性脊椎損傷、病気の進行、老化の進行、及び先天的異常によって引き起こされる。そしてこの脊椎疾患は、痛みを引き起こし、脊柱の柔軟性を減少させ、脊柱の耐負荷能力を低下させ、脊柱の長さを短くし、及び/又は脊柱の正常な湾曲を歪曲させる。背中の痛みに苦しむ多くの人々は痛みを和らげるために外科治療の介入を訴える。
【0004】
椎間板変性は背中の痛みに寄与することがある。年齢とともに、椎間板の骨核は流動性を失い、より粘性が高まる傾向にある。椎間板の脱水及び他の変性効果は深刻な痛みを引き起こすことがある。環状の亀裂はまた、ヘルニア又は環状の断裂にもつながりうる。そしてこれらは前記骨核を外部へ膨らませる、又は前記骨核をこの亀裂を通じて押し出し、脊柱又は神経に作用する(すなわち「椎間板断裂症」又は「脊椎すべり症」)。
【0005】
いくつかの運動分節を超えて起こりうる脊柱の変形に加えて、脊椎すべり症(すなわち、1つの椎骨が別の椎骨を通り超して前方へ変位する。一般的には腰椎又は頸椎で起こる。)は重要な軸又は神経根に関係している。このような症状に苦しむ患者は、耐負荷能力の低下、運動機能の喪失、極度の衰弱と痛みを体験し、しばしば神経機能における神経学上の欠損に苦しむことがある。
【0006】
例えば、安静、痛み及び筋肉弛緩薬、理学療法、又はステロイド注射のような脊柱の痛みを治療する保存医療の失敗によって、しばしば患者は外科治療介入を求める。劣化した椎間板に対して、非侵襲的、経皮的、又は最小限の侵襲的なアクセスを意図した多くの外科手技、器具、及び椎間板インプラントが記述されてきている。器具により、椎間板を切除し、そして骨成長材料又は生体材料を移植する、又は線維輪内の椎間板移植を行うために線維輪を通して移植を行う。1以上の線維輪の切開により、椎間板が椎間板移植又は結合を促進する骨成長材料を受け、もしくはまだ形作られておらず、人工的で、機能的な椎間板にとってかわる移植を受けられる。
【0007】
広範な神経周囲の切開及び骨の生成にはこれらの技術のいくつかが必要となることがある。さらに、線維輪又は線維輪周囲構造の崩壊は、安定性損失又は神経損傷につながりうる。結果として、脊柱はさらに弱体化し、及び/又は手術を求める痛みを伴う症状につながりうる。
【0008】
腰椎後方椎体間固定術(PLIF)及び片側侵入腰椎後方椎体間固定術(TLIF)のような様々な後方椎体間アプローチは、後部アクセス切開路から比較的小さな線維輪の開口部を通して椎体間装置を配置することを要する。椎間板の高さを復元し、前方伸延を通じて前彎を形成したいという要求は、制限のある後方椎体間アプローチによる固定高さの椎体間スペーサを適用することとは矛盾する。さらに、前記椎体間スペーサの「設置面積」(foot-print)が大きくなればなるほど、沈下しなくなる。これは端板圧力の減少につながるだけでなく、また前記端板の(中央領域に対して)周囲付近においてより耐負荷能力のある骨となる。
【発明の概要】
【0009】
一実施形態で、開示されているのは人間の脊柱で用いる椎間装置である。前記椎間装置は、前端、後端、及び前記椎間装置の正中線を囲む内部容積を画定する少なくとも4つの周囲壁を有する。前記周囲壁は上壁、下壁、及び一対の対向する略台形の側壁を有する。それぞれの前記略台形の各側壁は、第1方向に拡張できるように、第1形態から少なくとも第2形態へ回転可能である内部ヒンジ要素を備える。それぞれの前記内部ヒンジ要素は前記正中線と同一平面内にある軸を有する。
【0010】
前記椎間装置はさらに第2方向に拡張可能である。前記第1方向は尾から頭への方向であり、前記第2方向は外から内への方向である。前記各内部ヒンジ要素は、その各側壁の正中線に沿って配置されている。前記上壁及び前記下壁は、回転可能なジョイントで前記一対の対向する側壁とそれぞれ組になっている。前記内部ヒンジ要素は、上板要素と下板要素を連結する。前記各内部ヒンジ要素はさらに、前記第1形態から前記第2形態への関節運動を制限するように構成される多数の突出部を備えていてもよい。前記上壁の頭側表面が人間の脊柱の第1椎骨と係合するように構成されている。前記下壁の尾側表面の少なくとも一部分が人間の脊柱の第2椎骨と係合するように構成されている。前記上壁の頭側表面及び前記下壁の尾側表面が前記上椎骨端板及び前記下椎骨端板をそれぞれ貫通するように構成されている。
【0011】
前記上壁の頭側表面及び前記下壁の尾側表面は前記上椎骨端板及び前記下椎骨端板とそれぞれ係合する突起要素を備える。前記突起要素はくさび形状を備え、さらに前記突起要素により前記上椎骨端板及び前記下椎骨端板の間がさらに分離される。前記突起要素は先細の先端を備える。前記一対の対向する側壁の外表面に突起要素を有する。前記突起要素により前記対向する側壁の剛性がさらに高くなっている。前記略台形の側壁は、前記脊柱に対して、より長い辺が前方で、より短い辺が後方であるように方向付けされてもよい。前記椎間装置によって脊柱内で所望の前彎を形成することができる。前記少なくとも4つの周囲壁のそれぞれは略台形であってもよい。前記内部ヒンジ要素は前記椎間装置が前記第2形態へ拡張された際に直線路を形成する多数の隆起要素を有していてもよい。前記内部ヒンジ要素はさらに、前記第1形態から前記第2形態への関節運動を制限するように構成される多数の突出部を備えていてもよい。
【0012】
前記椎間装置はさらに負荷の下で前記椎間装置を支持するために前記椎間装置の内部容積内に配置されるように構成される支持具を備えていていもよい。前記支持具は、前記内部容積内に配置されるときに、前記支持具が前記後方領域よりも前記前方領域の付近で大きいような先細の外径を有する円筒形要素を備えていてもよい。前記支持具は固定寸法を有していてもよい。前記支持具要素は、前記周囲壁の1以上が前記第2形態から前記第1形態へ関節運動することを防止することができる。前記支持具要素は、初期移植姿勢から最終安定姿勢に変化するように構成されてもよい。前記支持具要素は1つの椎骨端板から2つ目の椎骨端板へ組織が成長できるように構成される穿孔を備えていてもよい。
【0013】
相互に関連する実施形態として、開示されているのは脊柱の治療方法である。前記方法は隣接する椎骨間の空間内に第1形態の椎間装置を配置することを含む。前記椎間装置は、前端、後端、及び内部容積を画定する少なくとも4つの周囲壁を有する。前記周囲壁は上壁、下壁、及び一対の対向する側壁を備える。前記周囲壁のうち少なくとも2つは略台形である。前記対向する側壁は多数のヒンジを有する関節運動機構を備える。前記第1形態では前記椎間装置の内部容積を最小化するように関節運動した多数のヒンジを有する。前記方法ではまた、前記椎間装置を第2形態に拡張するために、後方で前方に向かって前記椎間装置の内部容積を介して支持具を挿入し、前記隣接する椎骨を分離し、且つ、前記脊柱に所望の前彎を形成し、前記第2形態は前記第1形態であるときよりも大きい内部容積を有している。前記方法では、前記支持具によって前記多数のヒンジが関節運動して前記第1形態になることを防止するように前記支持具を固定する。
【0014】
前記方法はさらに、前記支持具を挿入する前に前記椎間装置を第2形態に拡張するために内部容積に細長い道具を挿入することを含んでいてもよい。前記細長い道具を挿入するときに、こじあけて多数のヒンジを少なくとも部分的に関節運動させるために、前記細長い道具の先細の突出端を使用してもよい。前記方法はさらに、油圧を用いて前記細長い道具のエラストマー要素を拡張することを含んでいていてもよい。前記方法はさらに、前記細長い道具の前記エラストマー要素を潰し、前記支持具の長軸を貫通する中心孔を通じて前記細長い道具を引き抜くことを含んでいてもよい。
【0015】
相互に関連する実施形態として、開示されているのは、椎間板内で椎骨端板に隣接配置されている尾側の板及び頭側の板を備える装置である。前記装置は、関節運動機構を介して、前記尾側の板及び前記頭側の板に取り付けられている少なくとも2つの側壁を備える。前記側壁のうち少なくとも1つが、中心上又は中心を超えた関節運動位置をとることを制限されたヒンジ要素を有する。前記装置は、縮小寸法形態で椎間板内に挿入された後、伸長寸法形態に拡張されるように構成されている。
【0016】
前記尾側の板、前記頭側の板、及び前記側壁の1以上は相対的なX線透過性を有していてもよい。前記装置はさらに、前記装置の内部に配置され、尾側の椎骨端板から頭側の椎骨端板へ伸びる、1以上の骨誘導、骨増殖、骨伝導性の材料を備えていてもよい。前記尾側又は前記頭側の板のうち、1又は双方は、外面にテクスチャー構造を備えていてもよい。前記伸長寸法形態は、尾から頭への方向の拡張に関連する以外の軸又は円弧に沿って寸法を拡張されてもよい。
【0017】
相互に関連する実施形態として、開示されているのは、椎間板内で椎骨端板に隣接配置されている尾側の板及び頭側の板を備える装置である。そして、その2つの側壁は関節運動機構を介して前記尾側の板及び前記頭側の板に取り付けられている。前記装置は前記尾側の板及び前記頭側の板と前記少なくとも2つの側壁の間に配置されている内部支持具を備える。前記装置の尾から頭への方向に圧縮負荷をかけると、少なくとも2つの側壁間だけでなく前記尾側の板と前記頭側の板の間で伸びている軸に沿って前記内部支持具が圧縮される。前記装置は、縮小寸法形態で椎間板内に挿入された後、伸長寸法形態に拡張されるように構成されている。
【0018】
1以上の前記尾側の板、前記頭側の板、及び前記側壁は、相対的な線透過性を有していてもよい。前記装置はさらに、前記装置の内部に配置され、尾側の椎骨端板から頭側の椎骨端板へ伸びる、1以上の骨誘導、骨増殖、骨伝導性の材料を有していてもよい。前記尾側の板又は前記頭側の板のうちの1つ又は両方ともが外面にテクスチャー構造を備えていてもよい。前記伸長寸法形態は、尾から頭への方向への拡張に関連する以外の軸又は円弧に沿って寸法を拡張されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】完全に潰された形態(
図1A)から完全に拡張された形態(
図1D)までの椎間装置の側面斜視図。
【
図1B】完全に潰された形態(
図1A)から完全に拡張された形態(
図1D)までの椎間装置の側面斜視図。
【
図1C】完全に潰された形態(
図1A)から完全に拡張された形態(
図1D)までの椎間装置の側面斜視図。
【
図1D】完全に潰された形態(
図1A)から完全に拡張された形態(
図1D)までの椎間装置の側面斜視図。
【
図2A】完全に拡張された形態における本実施形態の椎間装置後端を表す詳細図。
【
図2B】完全に拡張された形態における本実施形態の椎間装置前端を表す詳細図。
【
図2C】完全に拡張された形態における本実施形態の椎間装置側面を表す詳細図。
【
図3A】完全に潰された形態における本実施形態の椎間装置前端を表す詳細図。
【
図3B】わずかに拡張された形態における本実施形態の椎間装置前端を表す詳細図。
【
図3C】完全に拡張された形態における本実施形態の椎間装置側面を表す詳細図。
【
図4A】椎間装置の斜視図。支持具としての本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図4B】椎間装置の斜視図。支持具としての本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図4C】椎間装置の斜視図。支持具としての本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図4D】椎間装置の斜視図。支持具としての本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図4E】椎間装置の斜視図。支持具としての本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図5A】椎間装置の側面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図5B】椎間装置の側面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図5C】椎間装置の側面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図5D】椎間装置の側面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図5E】椎間装置の側面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図6A】椎間装置の後面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図6B】椎間装置の後面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図6C】椎間装置の後面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図6D】椎間装置の後面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図6E】椎間装置の後面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図7A】椎間装置の前面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図7B】椎間装置の前面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図7C】椎間装置の前面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図7D】椎間装置の前面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図7E】椎間装置の前面図。支持具として本実施形態の支持支柱が椎間装置の内部に挿入され、固定位置まで回転されている。
【
図8A】本実施形態の椎間装置のヒンジ機構及び関連要素(例えば隆起部及び突出部)の詳細図。
【
図8B】本実施形態の椎間装置のヒンジ機構及び関連要素(例えば隆起部及び突出部)の詳細図。
【
図8C】本実施形態の椎間装置のヒンジ機構及び関連要素(例えば隆起部及び突出部)の詳細図。
【
図9】本実施形態でくさび形要素の直径が前記支持支柱の蓋の直径を超えて伸びるようなフランジ、溝、及びロックの特徴を有する前記くさび形要素前端部の設計詳細を示す本実施形態の支持支柱の上面図。
【
図10A】本実施形態の支持支柱及び椎間装置を拡張するときの斜視図。
【
図10B】本実施形態の支持支柱及び椎間装置を拡張するときの正面図。
【
図12A】拡張された形態における椎間装置の実施形態の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで説明されているインプラントは必要に応じて各図に示されていない特徴を有することがあることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、任意のインプラントの表面と係合する端板は、椎骨間の所望の位置でインプラントを保持可能にするために、均一又は様々な形状及び大きさであって、規則的又は不規則な間隔で配置された突起を有していてもよい。
【0021】
ここで説明されている装置及び方法を用いることで、椎間板伸延及び端板支持のために増大した「設置面積」(foot-print)を必要とする前湾症に備えながら、比較的小さい後部の接近経路のアニュロトミー(annulotomy)を介して椎体間ケージを移植するという外科的要求に対応可能となる。ここで説明されている装置は、まず、潰された又は畳まれた形態で椎間板に移植され、続いてその位置で拡張される。
【0022】
ここで開示されているインプラント又は他の装置の形及び/又は大きさは以下の要因によって選択されてもよいが、これらだけに限定されるものではない。その要因とは挿入のための外科的手法、脊椎において意図する配置、及び患者の大きさである。例えば、椎間装置は高さに関して約6mmから約18mmの範囲(例えば、7mm、8mm、9mm、10mm、10.5mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm)であってもよい。これらの範囲外の高さは患者の生体構造によって必要に応じて用いられてもよい。その範囲は約8mmから約16mmの範囲であってもよい。略長方形又は略台形のインプラントは、PLIF手法及びTLIF手法では、内側から外側で約9mmから約14mmの範囲であってもよい。その高さ(又は頭から尾まで)の寸法は約9mmから約14mmの間とすることができる。前記寸法がこれらの寸法よりわずかに小さい又はわずかに大きくとることができるというのは理解されるべきである。
【0023】
ここで説明されている装置は、脊椎の、首、胸、腰、及び仙骨領域を含む1以上の脊柱運動分節内の脊柱で使用することができる。また、同じ脊柱運動分節で又は異なる脊柱運動分節内に、2以上の装置を移植できることは理解されるべきである。また、ここで説明されている装置を移植するために様々な手法がとられていることは理解されるべきである。例えば前方手法、後方手法、大孔手法、及び先行文献で知られている他の手法である。
【0024】
ここで説明されている装置は前記装置の高さ又は前記装置の2つの部品間の分離距離を増加させるように拡張することができる。いくつかの実施形態では、前記インプラントは人間の脊柱に挿入された後に拡張されてもよい。
【0025】
また、ここで説明されている装置は、前記インプラントのうち少なくとも2つが、人間の脊柱に挿入された後に少なくとも一方向にお互いに対して回転運動をすることができるように関節運動することができる(例えばヒンジ構造)。例えば、関節運動する椎間装置又はケージは関節やヒンジによって一体化された分節を備えることができる。ここで説明されている装置は、前記関節と前記ヒンジが4つの周囲壁(内、外、頭、及び尾)に関連付けられているおかげで、その全体の前後長に沿って、一般的には頭側から尾側までと同様に内側から外側までの寸法もともに増加させることができる。
【0026】
ある実施形態では、人間の脊柱に挿入された後にインプラントが拡張することによって、前記装置が関節運動してもよい。つまり、人間の脊柱内でインプラントが拡張する前に前記椎間装置は関節運動しなくてもよい。他の実施形態では、人間の脊柱内で前記インプラントが拡張することにより、前記インプラントのうち少なくとも2つの間の運動範囲を増加させてもよい(関節運動の範囲を増加させてもよい)。
【0027】
インプラントは非多孔質で滑らかな仕上げをされた生体適合性のある1以上の金属で構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントはセラミック及び/又は生体適合ポリマーのような1以上の生体適合性のある金属から構成されていてもよい。ある実施形態においては、インプラントは、1以上の生体適合性のある金属及び複数のセラミックやポリマー材料の組み合わせで構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、前記装置は以下のような移植可能な合金材料から作ることができる。チタン、バナジウム、アルミニウム合金、チタン合金、又は移植可能な生体適合ポリマーであるがこれらに限定されるものではない。また、前記ポリマーにはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)があるが、これに限定されるものではない。ここで説明されている装置は、炭素繊維複合材料及びポリカーボネート材料で作ることができる。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、前記椎間装置は少なくとも4つの壁を有し、それを上壁、下壁、及び2つの内壁又は側壁と記載している場合がある。いくつかの実施形態では少なくとも4つの壁を有し、ここで少なくとも2つの壁はヒンジ結合された壁である。いくつかの実施形態では、前記ヒンジ結合された壁は対向している(すなわち、内又は側壁同士が対向しており、上及び下壁が対向している、又は頭側及び尾側表面が対向している)。前記壁はそれらのそれぞれの正中線に沿ってヒンジ結合されていてもよい。また、前記壁は、互いに連結される場所をヒンジ結合されてもよく、前記椎間装置の各角にヒンジが形成されてもよい。いくつかの実施形態では、前記椎間装置は前記周囲壁が接触する各角で各周囲壁の正中線に沿ってヒンジ要素を備えている。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記椎間装置は少なくとも4つの壁を有しており、ここで少なくとも4つの壁はヒンジ結合された壁であってもよい。前記壁はそれらそれぞれの正中線に沿ってヒンジ結合されてもよい。例えば、前記上(すなわち頭)壁、前記下(すなわち尾)壁、及び前記側壁はそれぞれの正中線に沿ってヒンジ結合されてもよい。
【0030】
前記椎間装置は、前記対向壁が同一又は互いの鏡像であるように長軸に沿って対称であってもよい。いくつかの実施形態では、前記上(すなわち頭)壁及び前記下(すなわち尾)壁は前方部より後方部が狭くなっている。いくつかの実施形態では、各壁は後方部より前方部が狭くなっている。いくつかの実施形態では、前記椎間装置の前方部分は前後垂直断面及び横断面において先細になっていてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記椎間装置の壁の少なくとも2つは略台形である。前記略台形壁の平行部分は、前彎のテーパを形成するために、例えばより長い辺が前方で、より短い辺が後方であるように方向付けしてもよい。いくつかの実施形態では、前記台形壁は例えばそれぞれの正中線に沿ってヒンジ結合されている。他の実施形態では、全ての周囲壁が台形であり、脊柱内に配置されているとき、前端と比較して後端でより狭くなっている。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記椎間装置は前記ヒンジ構造で統合/相互接続されている複数のブロック要素を備えることができる。前記椎間装置が潰された形態から拡張された形態へ動かされると、前記椎間装置のブロック要素が開口領域すなわち開口部に取って代わられる。さらに、前記椎間装置の内部容積は骨セメント、骨移植片、及び拡散性、回遊性、及び骨伝導性材料を有する他の材料で満たしてもよい。前記開口領域から前記内部容積を満たした材料が出ることもある。なお、ここで説明されている装置は内部容積を材料で満たすことなく使用可能であることは理解されるべきである。
【0033】
いくつかの実施形態では、インプラントの表面と係合している端板は前記端板を貫通又は把持できる歯、先鋭部、隆起部、又は他の突起部を有していてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントの部材は骨移植材料の充填を受け入れるために、及び/又は成長中の骨に備えるために、1以上の開口部を有していてもよい。ある実施形態では、患者の脊柱内の前記インプラントの統合を強化するために、前記インプラントの1以上の表面は骨伝導性の足場のような材料を有していてもよい。ある実施形態では、ここで示されているインプラントは椎骨間の所望の前彎角度を提供するような特徴を有していてもよい。所望の前彎角度は約8度から約18度までの間で可能である。例えば、前記上壁及び/又は前記下壁は必要に応じて歯、先鋭部、隆起部、上表面及び/又は下表面から垂直に突き出るような他の突起部(例えば先細の突起要素)を備えていてもよい。その配置により、これ又はこれらの要素が前記隣接壁へと伸びる。つまり、前記上壁及び/又は前記下壁からの前記突起要素(例えば先鋭部、歯など)は、前記装置をさらに安定化及びインプラントが移動するのを抑制するために、装置が拡張された状態で前記上端板及び前記下端板をそれぞれ貫通するように設計されていてもよい。
【0034】
図1Aから
図1Dは以下のいくつかの実施形態による椎間装置100の図である。これらは、前記椎間装置が完全に潰された状態(
図1A)から完全に拡張/関節運動した状態(
図1D)に拡張されるときのものである。椎間装置100は後方部分102と後方部分102に対向する前方部分104を有していてもよい。椎間装置100の壁は略台形であり、前記略台形壁の平行部分は、より長い辺が前方でより短い辺が後方であるように方向付けされてもよい。各壁によって、前方よりも後方を狭くしてもよい。
【0035】
図1Aは4つの壁又は表面を有する椎間装置100を示している。それは上壁22、下壁24,2つの内側壁26である。上壁22は下壁24に対向する位置にある。上壁22と下壁24の間に一対の側壁26がある。上壁22と下壁24は椎間装置100の中で椎体の露出端に最も近い部分である。上壁22と下壁24はそれぞれ前記頭表面及び前記尾表面として言及されることもある。上(すなわち頭)壁22、下(すなわち尾)壁24、及び内部側壁26はそれらのそれぞれの正中線に沿ってヒンジ結合されていてもよい。各壁により前方よりも後方を狭くしてもよい。このようにして上壁22、下壁24、及び側壁26は、頭表面、尾表面、及び、それらの間に延びる内部で結合を促進するための空洞を備えるインプラント本体を形成する。
【0036】
上壁22及び下壁24は必要に応じて突起要素30を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、突起要素30は先細形状であって、鋭くとがった先端部が1以上の上端板及び下端板を貫通するような錐体又は先鋭部と、完全に拡張された形態のときに椎間装置100を安定化及びインプラントが移動するのを抑制する機能とを備えていてもよい。別の実施形態では、突起要素30は前記端板を貫通しないようにとがっていない形状であってもよい。別の実施形態では、突起要素30はそれらが1以上の椎骨端板に対してさらなる「持ち上げ」を行うことができるようにくさび形を有していてもよい(
図11A及び
図11B参照)。この構成を有する突起要素30はまた、前記くさび形の1以上の領域で前記端板を貫通することができることを理解されるべきである。突起要素30はまた、細長い形状とすることができ、それらの表面上で前記端板を貫通することができるような構造又は引係り要素を有していてもよい。
【0037】
椎間装置100が拡張されていない形態のときは、突起要素30はそれらが配置されているところで内側又は各壁表面の正中線の方へ向いていてもよい。このようにして、突起要素30は潰された形態では疑似平坦構造を備え、移植時に組織を引っかけないようにすることができる。拡張時の突起要素30は周囲壁の外周を超えて伸びてもよい。このようにして、突起要素30は、前記椎骨上でさらに高く、すなわち持ち上げられるか、あるいは、前記椎骨端板を貫通する。
図11Aから
図11Bに示された実施形態では、突起要素30は移動を防止するリブ付き表面を提供し、前記椎間装置は前記椎骨間に一度移植されると滑りにくくなる。
【0038】
上壁22及び下壁24は開口部、貫通孔、又は以下の構成を備えるその他の特徴を有することができることを理解されるべきである。その構成では突起要素30の間で、前記装置の内部領域に挿入される骨成長材料又はその他の材料が、骨の結合を促進するために、前記上壁及び前記下壁を貫通し、前記椎骨端板に接触することができるように開いた構成をしている。
【0039】
また、突起要素30は、1以上の対向する側壁26上に配置することができる。側壁26上に配置された突起要素30によりさらに剛性を高め、壁の支持安定性を強化することができる。対向する側壁26は突起要素30が配置されている部位で壁の厚みを増すことができ、負荷を印加したときに前記側壁が座屈するのを防ぐことができる。
【0040】
上壁22と下壁24は、回転可能なヒンジ構成を有するジョイントで2つの側壁26とそれぞれ連結することができる。前記ヒンジ構成は多数の連動するヒンジ要素60を備えていてもよい。前記ヒンジ要素は、前記装置が前記ジョイントを中心として回転し、潰された形態から拡張された形態(
図1D参照)に拡張されると、孔すなわち開口部42に取って代わるブロック要素40を備えていてもよい。ブロック要素40によって、前記内部容積内に移植された材料を装置100に閉じこめ、ブロック要素40は前記椎骨端板と接触してもよい。前記ヒンジ構成はさらに、多くの突起要素62及び突出部64を備えていてもよい(
図8Aから
図8C参照)。突起要素62と突出部64の位置に応じて、装置100の拡張は変化してもよい。突出部64はハイポエクステンション、ハイパーエクステンション又は前記壁要素の中心での延長を可能にするように構成することができる。例えば突出部64はヒンジ要素60に対して前記ヒンジを中心として過拡張又は過伸展を防止(又は可能に)するように構成することができる。1つの実施形態では、突出部64は、1以上の壁がAフレーム型の構造を有するように、過拡張を可能にする構成としてもよい。別の実施形態では、突出部64は、1以上の壁がVフレーム型の構造を有するように、拡張不足を可能にする構成としてもよい。別の実施形態では、突出部64は、1以上の壁が平行配置を有するように、中心での延長を可能にする構成としてもよい(
図8C参照)。
【0041】
1以上の上壁22、下壁24、及び2つの内側壁26は一体とすることができる。また、1以上の上壁22、下壁24、及び2つの内側壁26は、互いに関節運動する2以上の壁部分を有していてもよい。
図1Cに最もよく示されているが、内側壁26はそれぞれ、内部ヒンジ機構60aによって下板要素26bに連結される上板要素26aを備えていてもよい。内部ヒンジ機構60aの軸は前記装置の正中線と同一平面上であってもよい。さらに、上壁22の内部ヒンジ機構60aの軸を下壁24の内部ヒンジ機構60aの軸とちょうど同一平面上にとることができることと同じように、1つの内側壁26の内部ヒンジ機構60aの軸は対向する内側壁26の内部ヒンジ機構60aの軸と同一平面上にとることができる。内部ヒンジ機構60aの軸は、内側壁26の上板要素26aを上壁22と連結しているヒンジ機構60bの軸と平行にならないようにとることができる。さらに、内部ヒンジ機構60aの軸はまた、内側壁26の下板要素26bを下壁24に連結する内部ヒンジ機構60cの軸と非平行とすることができる。前記装置は、前記ヒンジ軸が前記装置の正中線と同一平面上にあるが、互いに非平行となるように、台形状で、分岐し、ヒンジ結合されて一体となっている側壁を備えるようにしてもよい。
【0042】
装置100が完全に拡張されたとき、突起要素62は直線路を形成するように一列に並んでもよい。いくつかの実施形態では、突起要素62によって形成された直線路は装置100の前端102から後端104へ部分的に伸びる(例えば、前記装置の長さの20%から80%)。前記直線路がなく、完全に拡張された装置100の一部分が、ここで詳細に論じられている支持具200のくさび部分220に接触するように構成されていてもよい。前記直線路を備える完全に拡張された装置100の一部分は、ここで詳細に論じられている支持具200のくさび部分230の第2部分のフランジ232に接触するように構成されていてもよい。
【0043】
さらに椎間装置100はテザー50(例えば、縫合糸、糸、ケーブル、紐、金属繊維、及びこれに類似するもの)の各端を受けるために小さな開口部又は縫合孔52を備えていてもよい。縫合孔52は椎間装置100の1以上の壁を完全に通って伸びてもよく、テザー50の各端を受けるように構成されていてもよい。テザー50は移植前、移植中、又は移植後に椎間装置100に組み込まれてもよい。テザー50は拡張前の形態又は潰された形態のとき緩めることができ、椎間装置100が展開された形態又は拡張された形態でピンと張ったようにすることができる。テザー50によってまた、椎間装置100を安定するように構成してもよいし、拡張された椎間装置の空洞に供給された充填材料がにじみ出ることを防止してもよい。
【0044】
前記装置はそのまま拡張されてもよい。ここではそのまま拡張するための様々な方法が考えられている。ひとつの実施形態では、前記壁をこじあけるためにくさび形の道具を使用する機械的伸延、又は対向する壁を押引する関節運動する道具が考えられている。いくつかの実施形態では、閉塞具を使用できる。前記閉塞具は潰された椎間装置100の挿入口に合うような先細になっている端及び椎間装置100の壁を少なくとも部分的に拡張された構成に押し出すことができるような外径を備えていてもよい。前記閉塞具の外径は約6mmから約7mmの間とすることができるが、ここではこれより小さい及び大きい外径が考えられている。他の実施形態では、その後の拡張はエラストマーバルーンのような拡張可能な要素とともに油圧拡張を用いてなすことができる。そしてこれを以下でより詳細に説明する。
【0045】
一旦完全に拡張されると、椎間装置100はさらに、円筒形状を有する支持具200によって安定化されてもよい(
図4Aから
図4E参照)。支持具200は椎間装置100を負荷条件の下で支持することができる。支持具200は、アンダーカット構造のいくつかの形状を採用する直線路を介して、ヒンジ機構60に隣接した対向する4つの壁20をロックしながら、後方102から前方104へスライドする。いくつかの実施形態では前記直線路はヒンジ機構60上に配置された突起要素62によって形成されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記支持具は、戻り止め機構、シャンク202、及び後蓋210を備えていてもよい。支持具200は椎間装置100と同一の長さ又はわずかに短くともよい(例えば0.2mmから5mmの短さ)。支持具200は、椎間装置100が完全に拡張されることによって形成される空洞の形状に合うように設計されている。いくつかの実施形態では、支持具200は椎間装置100の内部形状に一致する態様で後方から前方へ前進するとき、円錐形に拡張するような外径を有する円筒形である。支持具200はさらに多数のくさび固定要素220及び/又は多数の掘削孔240を有していてもよい。
【0047】
多数の掘削孔240は骨成長材料のような材料をあらかじめ充填されていてもよいし、又は移植後充填されてもよい。いくつかの実施形態では、掘削孔240及び/又は開口部により骨移植片の充填を受け入れ、及び/又は成長中の骨に備えることが可能である。ある実施形態では、1以上のインプラントの表面には、患者の脊柱内のインプラントの結合を強化するために骨伝導性の足場となるような材料を備えていてもよい。掘削孔240は、外から内への方向と同様に尾から頭への方向でも支持具200の1以上の壁を通して伸びることができる。支持具200にはまたカニューレを挿入することができ、支持具200は、部材挿入のために長軸を貫通する中心孔245、及び/又はより詳細には以下で説明するように支持具200を通る装置を備えることができる(
図12Aから
図12B参照)。
【0048】
後蓋210の上端は支持具200が機械的に回転する際に用いる、六角形、すりわり形、又は四角形のナットのような蓋ネジ250を備えていてもよい(
図6Aから
図6E参照)。後蓋又は後壁210は、前記壁をさらに安定させるために、及び前記後方門を介して前記装置の内部から材料が移動することを防止するように、支持具200に結合されていてもよいし、又は拡張された装置100に独立して結合されていてもよい。この後蓋又は後壁は、ネジ固定及び戻り止め機構の有無に関わらず、内部及び/又は外部の形状と連結されている周囲壁に固定されていてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、後蓋210は支持具200が椎間装置100内に進入しないように設計された構造を備えている。いくつかの実施形態では、後蓋210は円形であり、その直径は椎間装置100の後部102の開口部よりも大きい。例えば、
図4Aから
図4E及び
図5Aから
図5Eは、椎間装置100が完全に拡張されたことによって形成された前記空洞内への支持具200の進入を示す異なる視点の図である。これらの図は、支持具200が後蓋210の係合及び椎間装置100の後端102によって進入が停止されるまで、椎間装置100の内部へ進入させることができることを示している。
【0050】
支持具200のこの底入れは、支持具200が規定位置に固定される準備が整っていることを示す。そしてそれは支持具200の回転及び戻り止め機構の展開によってなされてもよい。いくつかの実施形態では、支持具200は椎間装置100の壁とくさび固定体220を係合させることによって規定位置に固定される。
図4A及び
図5Aはいくつかの実施形態におけるくさび固定体220を示している。いくつかの実施形態では、支持具200はシャンク202を形成する第1の内径を有している。シャンク202は支持具200の後方から前方へ円錐形に拡張してもよいし、又は支持具200の後方から前方へ単一の直径を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、支持具200はさらに第2の直径を有している。そしてそれはシャンク202から突き出る多数のくさび固定体要素220が取る領域によって画定されている。多数のくさび固定体要素220の直径は支持具200の後方から前方へ円錐形に拡張してもよいし、又は支持具200の後方から前方へ単一の直径を備えていてもよい。これに関して、シャンク202の直径及びくさび要素220に関連する直径は、椎間装置100の先細形状に一致するような態様で支持具200の後方から前方へ円錐形に拡張する。くさび要素220の外表面は椎間装置100の内壁の外形に合うように一般的には構成されている。いくつかの実施形態では、くさび要素220はシャンク202に一体化して接合され、直角形状を有していてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記支持具は合わせて十字形を形成する4つのくさび要素を備えている。そしてその役割はさらに前記壁を安定させ、そして前記後方門を介して前記装置の内部から材料が移動/流出するのを防止することである。いくつかの実施形態では、前記十字形は椎間装置100の壁22,24,26の正中線に沿って支えている。
【0052】
支持具200は、椎間装置100の内部を自由にスライドするように、くさび要素220が椎間装置100の角に対して曲げられて、椎間装置100に挿入されてもよい(
図4及び
図5参照)。支持具200は後蓋210によってその動きが停止されるまで進入することができる。前記支持具は、くさび要素220によって誘導される固定位置へ向けて(時計回りに、必要に応じて反時計回りに)回転されてもよい。くさび要素220はシャンク202に一体化して接合されてもよく、直角形状を有していてもよい。支持具200は、くさび要素220が椎間装置100の壁と係合するように回転されてもよい。前記くさび要素の外表面が椎間装置100の壁と完全に係合するとき、支持具200の自由なスライド運動は椎間装置100の壁と前記支持具のくさび要素220の間で生成される力によって形成されるくさび作用に変換される。支持具200は、PEEKや炭素繊維複合材のような様々な種類の材料から作られてもよいが、これらだけに限らない。前記材料は、前記椎骨又は移植硬化(graft consolidation)をX線により視覚化することを妨げるX線不透過性の材料影響を最小化するように選んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、くさび固定体220は2つの異なるセクションを有していてもよい。第1には後方セクション220、そして第2には前方セクション230である。
図9は前記くさび要素の第2の前方セクション230の拡大図を示している。第2の前方セクション230はフランジ232、溝234、及びロック236を備えていてもよい。フランジ232は、椎間装置100上の支持具200が固定位置へ回転すると、ヒンジ機構60の突起要素62によって形成される直線路に係合するように設計されている(
図7Aから
図7E参照)。この態様では、フランジ232は支持具200の回転をさらに抑制する。突起要素62は溝234の内部に適合し、ロック236は支持具200の戻り運動を防止/抑制する。
【0054】
後蓋又は後壁は前記十字形の支えに結合されてもよいし、前記拡張された椎間装置に独立して結合されてもよい。そしてさらに前記壁を安定させ、前記後方門を介して前記装置の内部から材料が流出することを防止する。いくつかの実施形態では後蓋又は後壁は、ネジ固定及び戻り止め機構の有無に関わらず、内部又は外部の構造と組になって前記周囲壁に固定されている。
【0055】
さらに、前記後方門から前記椎間装置へ供給される材料を部分的に得るのと同様に、完全に拡張された形態で前記側壁の比較的同一平面構成の最安定位置を大きく超える拡張を抑制すべく、1つの対向壁から別の前方へ伸びるケーブル要素を使用してもよい。
【0056】
図10A及び
図10Bは、支持具300が潰された形態から完全に係合した支持位置まで動くときのいくつかの実施形態による支持具300を示している。支持具300は蓋310及び中心ネジ310を備えていてもよい。蓋310はインプラント100の後端に合うように構成することができる。支持具300は椎間装置400の内部空洞へ挿入することができる。支持具300は、一旦後蓋310が椎間装置400の後端に係合及び揃えられると、規定の位置をとることができる。圧力は、中央ネジ312から後蓋310の方へ、中央ネジ312に対して与えることができる。また、中央ネジ312に与えられる圧力のため、支持パッド320を配置してもよい。そして前記支持パッドはレバー機構330を介して中央ネジ312に接続されている。支持パッド320は前記インプラントの壁と係合し、4象限全てにおいて支えていてもよい。支持パッド320は、前記支持具が拡張後にさらに移動するのを防止するために、必要に応じてインプラント100上のロック機構340と係合するように構成してもよい。
【0057】
上述したように、前記周囲壁は、前記支持具を挿入する前に少なくとも部分的に拡張することができる。初期導入高さ及び体積が減少した形態から高さと体積が増加した拡張形態まで前記周囲壁をこじ開ける又は拡張することにより、前記支持具を挿入する前に少なくとも部分的に拡張することができる。閉塞具のような細長い道具を使用することができる。例えば、前記閉塞具は、前記椎間装置の後端で相補的なネジ山をつけられた入口に合うように外表面にネジ山形状を有する先細のとがった先端を備えていてもよい。代替的に又は閉塞具に加えて、椎間装置100の周囲壁は、閉塞具1210に付けられた拡張可能要素1205を用いて、支持具200を挿入する前に少なくとも部分的にそのまま拡張できる(
図12Aから
図12B参照)。前記壁は対称に同時に拡張でき、あるいは前記壁は非対称に又は順次拡張されてもよい。先細の先端1215を有する閉塞具1210は、それが椎間装置100の後端を通って入るように、挿入することができる。閉塞具1210の先端1215はネジ山のような組機構を有していてもよい。そしてそのネジ山は椎間装置100の後端近くで相補的にネジ山をつけられた入口と組になっている。このようにして閉塞具1210は、閉塞具1210の先端1215の外表面を覆っている拡張可能要素1205を内部容積へ誘導する間、自身を椎間装置100の内部容積の方へ引っ張るために使用することができる。閉塞具1210はネジ山を備えることを要しないし、別の道具を使用して入口の中にタップを切ってもよい。閉塞具1210の先端1215上の拡張可能要素1205は、内部容積を通って半径方向外側に拡張可能である内部容積の前方部へ挿入することができる。拡張可能要素1205は風船のようなエラストマー材料から作ることができ、拡張可能要素1205を油圧拡張するために気体や液体で加圧することができる。前記内部容積に位置する拡張可能要素1205の油圧拡張によって、前記装置の周囲壁は第2の拡張形態へ変化を促される。拡張可能要素1205の前方部はくさび形の椎間装置100を収容するために拡張可能要素1205の隣接部よりも急速に拡張してもよい。拡張可能要素1205は先端1215の先細のとがった先端の近くで閉塞具1210に取り付けてもよい。
【0058】
一旦椎間装置100が閉塞具1210上の拡張可能要素1205を用いて少なくとも部分的に拡張されると、支持具200は、掘削孔245がその長軸に沿って支持具200を貫通するため、閉塞具1210を超えて挿入することができる。支持具200は、掘削孔245への前方開口部247が少なくとも拡張可能要素1205の隣接部に接触するように挿入することができる。拡張可能要素1205は閉塞具1210の外表面の周りで潰すことができ、支持具200の掘削孔245を通して引き出すことができる。支持具200は椎間装置100の拡張を維持するために、より前方へ動かすことができ、規定の位置に固定することができる。
【0059】
ここで説明されている装置は、椎間板内で椎骨端板に隣接配置されている尾側の板及び頭側の板を備えることができる。前記装置は関節運動機構を介して前記尾側の板及び前記頭側の板に取り付けられている少なくとも2つの側壁を備えることができる。前記板と壁のいずれかは相対的なX線透過性があってもよい。さらに、前記板と壁のいずれかはテクスチャー構造を備えていてもよい。少なくとも1つの前記側壁は、中心上又は中心を超えた関節運動位置をとることを制限するヒンジ要素を備えることができる。前記装置は縮小寸法形態で椎間板の中に挿入された後、伸長寸法形態に拡張されるように構成することができる。伸長寸法形態では、材料は前記装置の内部容積内に配置及び含むことができる。そのような材料は1以上の骨誘導、骨増殖、骨伝導性の材料を含んでいてもよい。前記材料は、下(尾)側椎骨端板上から上(頭)側椎骨端板まで伸びることができる。前記伸長寸法形態は尾から頭への方向の拡張に関連する拡張以外の軸及び円弧に沿って寸法を拡張される。前記装置は、少なくとも2つの側壁間と同様に前記尾側の板と前記頭側の板の間で伸びる軸に沿って前記装置を尾から頭への方向へ圧縮する荷重によって圧縮することができる。
【0060】
前記椎間装置は、端板支持に対する椎間板伸延及び「設置面積」(foot-print)の拡大を誘発する前湾症に備えながら、比較的小さい後部の接近経路のアニュロトミー(annulotomy)を通って椎体間ケージを移植することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、神経根又は硬膜に近接した挿入が危険でないように、前記椎間装置は比較的滑らかな境界表面をもつ挿入具によって運ばれる。さらに前記椎間装置は、成長中の筋繊維、血管、及び骨に備えるために、その表面に大きな穿孔を有していてもよい。
【0062】
上述のように、前記椎間装置は潰された又は畳まれた形態で最初に前記椎間板に供給され、そしてそれからそのまま拡張される。前記椎間装置は様々な方法を用いてそのまま拡張されてもよい。前記方法とは、油圧拡張(例えば、拡張する風船を使用する)、機構伸延(例えば、前記壁を引き離すくさび形道具を使用する)、又は関節運動する道具(例えば、対向する壁を押し引きして離すもの)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0063】
いくつかの実施形態では、神経根又は硬膜に隣接した挿入が危険でないように、前記椎間装置は比較的滑らかな境界表面をもつ挿入具によって運ばれる。前記支持具及び/又は閉塞具はまた、鞘を介して運ばれてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記椎間装置は、付近又は隣接した椎骨及び/又は椎骨端板から、成長中の筋繊維、血管、及び骨に備えるために、その表面に大きな穿孔を有していてもよい。これにより、装置はさらに安定し、端板から隣接端板まで骨が成長することを促進する。
【0065】
いくつかの実施形態によって、以下の方法が提供されている。ここで説明されている椎間装置は、必要とする断面の供給領域又は移植に関する挿入量を減少又は最小化するように関節運動する前記ヒンジ結合された壁とともに、拡張した形状内で前記装置を順に拡張しながら、前記椎間板に移植される。このようにして、ヒンジ結合された要素は、それらの安定化された及び/又は拡張された形態では比較的平行である。拡張された形態内への拡張は、前記椎間装置の内部容積内に挿入される分離道具によってなすことができる。このようにして、前記椎間装置の壁はこじあけられ、外側方向へ拡張される。前記壁はくさび形道具又は油圧拡張を使用することによって関節運動することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、椎体の交換や椎体間結合のために示されている体内の椎間装置を提供する。前記椎間装置は開口部を通じて挿入されてもよいし、又は、椎間板切除又は他の過程の後に椎間板の高さを維持又は復元するための移植スペース内への最小侵襲、後方、前方、大孔手法を通じて挿入されてもよい。椎体の結合は前記椎体の間の適切な空間を維持できるように、6から12ヶ月で交換されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、人間の脊柱の椎骨間で椎間板の高さにわたって形成される移植空間内への挿入に際して人工の椎体間脊柱固定椎間装置を提供する。
【0068】
他の実施形態では、いくつかの椎体の間に高さを有する椎間板及び椎体を備える人間の脊柱の手術用外科キットを含んでいてもよい。ここで前記椎体は前側面及び後側面及びそれらの間に深さを有している。1つの実施形態によれば、外科キットは、前記椎間板の高さにわたって形成される移植空間内に挿入する一連の異なったサイズの関節運動する椎体間ケージを備えることができる。
【0069】
別の実施形態では、人間の脊柱の椎間板の高さにわたって形成される移植空間内に挿入する関節運動する椎体間ケージを作る方法を含んでいてもよい。そして前記椎体は前方側面と後方側面、及びその間に深さを有している。
【0070】
本明細書は多くの詳述を含んでいるが、これらは述べられていること又は述べられているであろうことの範囲に限定して解釈されるべきではない。むしろ特別な実施形態に特有の特徴の記載として解釈されるべきである。本明細書において別の実施形態の文章中で述べられているある特徴はまた、単一の実施形態の組み合わせで実行することもできる。逆に、単一の実施形態の文章中に述べられている様々な特徴はまた、多数の実施形態に分かれて、又はいずれかの適切な副組み合わせで実行することもできる。さらに、特徴はある組み合わせで作用するように上述し、最初にそのように述べられているけれども、いくつかのケースにおいては、述べられた組み合わせからの1以上の特徴は前記組み合わせから除去することができる。同様に、動作が特定の順序で図面に描かれているが、これはそのような動作が、望みの結果を達成するために、示されている特定の順序でなされることを要するものとして理解されるべきではない。単に、一例及び実装が開示されている。ここで説明されている各実施例と実装に対する、変形、修正、及び機能強化、並びに他の実装は、開示されている内容に基づいて行ってもよい。