特許第6224439号(P6224439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6224439迅速交換ポンプ統合組立体を有する接着剤溶融装置及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6224439
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】迅速交換ポンプ統合組立体を有する接着剤溶融装置及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/04 20060101AFI20171023BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20171023BHJP
   F04B 15/04 20060101ALI20171023BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20171023BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20171023BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B05C5/04
   B05C11/10
   F04B15/04
   F04B53/00 H
   B01J4/00 105D
   F16B1/00 B
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-244660(P2013-244660)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2014-138926(P2014-138926A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】13/688,966
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ピー.ガンツァー
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−116782(JP,A)
【文献】 実公昭58−33826(JP,Y2)
【文献】 特開2002−282761(JP,A)
【文献】 特開昭53−57241(JP,A)
【文献】 特開2004−77133(JP,A)
【文献】 特表2010−518233(JP,A)
【文献】 特開2005−238233(JP,A)
【文献】 特表2015−510566(JP,A)
【文献】 特開平9−192577(JP,A)
【文献】 特開2004−268017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00〜B05C21/00
B01J4/00〜B01J6/00
F04B1/00〜F04B53/22
F16B1/00〜F16B47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤吐出システムにおいて使用する接着剤溶融装置であって、前記接着剤溶融装置は、
ばね付勢支持体を有する溶融装置支持枠体と、
前記溶融装置支持枠体上に位置決めされる溶融タンク及びマニホールドと、
ポンプ統合組立体と、
を備え、
前記マニホールドは、前記溶融タンクから溶融接着剤を受け取るように構成されており、
前記ポンプ統合組立体は、
基部と、ポンプ支持部材と、後支持部材と、前記マニホールドに連結される少なくとも1つの締結具とを有する剛性枠体であって、前記ポンプ支持部材及び前記後支持部材が前記基部に連結されている剛性枠体と、
前記マニホールドを通る溶融接着剤の流れを方向付けるために前記ポンプ支持部材に連結されたポンプと、
前記後支持部材に連結されたモーターと、
前記ポンプを前記モーターに動作可能に連結する駆動カップリングと、
を含み、
前記ポンプ統合組立体は、前記剛性枠体を前記ばね付勢支持体上に位置決めすることによって前記溶融装置支持枠体上に一体として一括して取り付けられ、前記ポンプ支持部材は、前記マニホールドと液密係合状態で位置決めされて前記ポンプと前記マニホールドとの間で溶融接着剤が流れることができるようにし、前記ばね付勢支持体は、前記ポンプ統合組立体を片持ち荷重として前記基部で弾性的に担持するのに役立つように位置決めされている接着剤溶融装置。
【請求項2】
前記剛性枠体は、前記片持ち荷重の大部分を前記少なくとも1つの締結具ではなく前記ばね付勢支持体へ伝達するように前記溶融装置支持枠体上に配置される請求項1に記載の接着剤溶融装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの締結具によって前記ポンプ支持部材を前記マニホールドとの係合から緩めるとともに、前記剛性枠体を前記ばね付勢支持体から持ち上げることによって、前記ポンプ、前記モーター及び前記駆動カップリングを同時に取り外すことができるように、前記ポンプ統合組立体は、前記少なくとも1つの締結具のみによって前記溶融装置支持枠体に機械的に固定されている請求項1に記載の接着剤溶融装置。
【請求項4】
前記ポンプ統合組立体は、迅速接続プラグを有する組合せ型電源/制御コードを更に含み、
前記接着剤溶融装置は、
前記モーター及び前記ポンプへ制御コマンド及び電力を供給するために電源及び/又はコントローラーまで延在するコード及び迅速接続差込口を更に備える請求項3に記載の接着剤溶融装置。
【請求項5】
前記後支持部材は、作業者によって把持されて前記ポンプ統合組立体を一体として移動させて前記ばね付勢支持体及び前記マニホールドと係合及び係脱させるように構成されている取っ手を更に備える請求項3に記載の接着剤溶融装置。
【請求項6】
前記ポンプ支持部材及び前記後支持部材は、それぞれ、前記基部から上方へ延在するプレートを備え、
前記ポンプ統合組立体は、タイロッドを更に含み、前記タイロッドは、前記基部から離間しているとともに前記ポンプ支持部材と前記後支持部材との間に延在し、前記ポンプ支持部材の前記プレート及び前記後支持部材の前記プレートが概ね平行な関係で位置合わせされることを確実にする請求項1に記載の接着剤溶融装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの締結具は、複数の連結ボルトを含み、前記複数の連結ボルトは、前記剛性枠体上に捕捉されて保持されているとともに前記ポンプ支持部材と前記後支持部材との間に延在している請求項1に記載の接着剤溶融装置。
【請求項8】
前記マニホールドは、一対の位置合わせ溝穴を更に有し、
前記ポンプ統合組立体は、前記剛性枠体の前記基部から前方へ突出する位置合わせフォークを更に含み、前記位置合わせフォークは、前記ポンプ支持部材が前記マニホールドと液密係合状態で位置決めされる際に、前記一対の位置合わせ溝穴と係合して正確な位置決めを確実にするように位置決めされる請求項1に記載の接着剤溶融装置。
【請求項9】
前記溶融装置支持枠体は、前記ばね付勢支持体に隣接して位置決めされたガイドレールを更に備え、
前記ポンプ統合組立体は、前記剛性枠体の前記基部に形成されているガイド軌道を更に含み、前記ガイド軌道は、前記ポンプ統合組立体が前記ばね付勢支持体上に位置決めされる際に、前記ガイドレールを受け入れて前記ポンプ統合組立体を前記マニホールドに対して正確に位置決めするように構成されている請求項1に記載の接着剤溶融装置。
【請求項10】
前記ばね付勢支持体は、前記ガイドレールの周辺に突出するU字状支持アームを備え、それによって、前記ガイド軌道が前記ガイドレールを受け入れる際に前記ポンプ統合組立体を前記ガイド軌道の両側で前記U字状支持アームによって支持する請求項9に記載の接着剤溶融装置。
【請求項11】
ばね付勢支持体と溶融接着剤を受け取るマニホールドとを備える接着剤溶融装置に、ポンプを支持するポンプ支持部材を有する剛性枠体を含むポンプ統合組立体を一体として連結する方法であって、
前記ばね付勢支持体が前記ポンプ統合組立体の重量を片持ち荷重として担持するように前記ポンプ統合組立体の前記剛性枠体を前記ばね付勢支持体上に配置することと、
前記剛性枠体の前記ポンプ支持部材が前記マニホールドに当接するように前記ポンプ統合組立体を前記マニホールドへ向けて移動させることと、
前記ポンプと前記マニホールドとの間を溶融接着剤が流れることができるように前記ポンプ支持部材を前記マニホールドに液密係合するように締結することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記ポンプ支持部材を前記マニホールドに係合するように締結することは、
前記片持ち荷重の大部分を前記ばね付勢支持体上にかけることを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポンプ統合組立体は、また、モーターと、前記モーターを前記ポンプに動作可能に連結する駆動カップリングとを含み、
前記ポンプ、前記駆動カップリング又は前記モーターが保守を必要とするときに、前記方法は、前記剛性枠体を前記ばね付勢支持体から持ち上げて前記マニホールドから離すことにより前記ポンプ統合組立体を一括して一体として前記接着剤溶融装置から取り外すことを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ポンプ、前記駆動カップリング又は前記モーターが保守を必要とするときに、前記方法は、バックアップ用ポンプ統合組立体を前記接着剤溶融装置に連結するために前記配置すること、前記移動させること及び前記締結することを繰り返すことにより前記ポンプ統合組立体を前記バックアップ用ポンプ統合組立体と交換することを更に含み、それによって、前記ポンプ、前記駆動カップリング又は前記モーターの保守中に前記接着剤溶融装置の動作を続けることを可能にする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記剛性枠体は、前記マニホールドへ向かって突出する位置合わせフォークを更に備え、前記マニホールドは、一対の位置合わせ溝穴を更に有し、
前記ポンプ統合組立体を前記マニホールドへ向けて移動させることは、前記位置合わせフォークを前記一対の位置合わせ溝穴と係合させることにより前記ポンプ統合組立体を水平の向きに配置するとともに前記マニホールドに対して前記ポンプ統合組立体を正確に位置決めすることを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記接着剤溶融装置は、前記ばね付勢支持体に隣接したガイドレールを更に備え、前記ポンプ統合組立体は、前記剛性枠体に形成されたガイド軌道を更に含み、
前記剛性枠体を前記ばね付勢支持体上に配置することは、前記ポンプ統合組立体が前記マニホールドへ向かって移動する際に正確に位置決めされたままとなるように前記ガイドレールを前記ガイド軌道内に受け入れることを更に含む請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、接着剤吐出システムとともに用いられる接着剤溶融装置に関し、より詳細には、接着剤溶融装置とともに用いられるポンプ統合組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱された接着剤を供給する従来の吐出システム(すなわち、ホットメルト接着剤吐出システム)は、概して、固体状又は半固体状の接着剤を受け取って、次いでその接着剤を加熱及び/又は溶融するように構成されている溶融装置と、加熱された接着剤を溶融装置の外へ吐出することを駆動及び制御するように溶融装置と連通するポンプと、加熱された接着剤をポンプから受け取る1つ又は複数の接着剤吐出装置(例えば、ガン又はモジュール)とを備える。加熱された接着剤を溶融装置と、ポンプと、吐出装置との間で移動させる1つ若しくは複数のホース又はマニホールドを吐出システムに含めることもできる。従来の吐出システムとともに用いられる1つの特定のタイプの溶融装置は、吐出装置によって必要に応じて供給されるべき溶融された接着剤を収容する比較的大型のタンクを備えるタンク溶融装置である。タンクは、タンクに隣接して位置付けられているマニホールドに溶融接着剤を送出し、ポンプは、一般的に、タンクのすぐ下流の位置における接着剤の流れを制御するようにこのマニホールドに連結される。ポンプの保守を可能にするために、そのような保守が必要となる場合、ポンプは、通常、ボルト締結具又は同様の方法によってマニホールドの壁に直接連結されている。
【0003】
ポンプがギヤポンプのように機械式に作動する実施形態では、ポンプを駆動するモーターがポンプに動作可能に連結されねばならない。モーターは、溶融接着剤によってポンプへ与えられる熱エネルギーから遮蔽されるべきである。そのため、モーターは、溶融装置の枠体に別箇に連結され、駆動カップリングが、モーターの駆動回転をポンプへ伝達するようにモーターとポンプとの間に位置決めされる。駆動カップリングは、モーターとポンプとの間の熱の障壁として作用することに加えて、モーターとポンプとの軸芯ずれを補正するように設計されている。この駆動カップリングは、軸ずれ及び角度ずれと同様に、許容誤差並びにモーター及びポンプの別々の取付けによって生じる直角度誤差を補正することができねばならない。したがって、ポンプ及びモーターとともに使用せねばならない駆動カップリングは、高価であり、適正に設置するのが複雑である。
【0004】
接着剤吐出システムの動作時に、ポンプ内に不具合が検出された場合、保守要員は、ポンプを修理するためのアクセスができるようにする前に、駆動カップリングを分解するとともに溶融装置枠体からモーターを取り外す必要がある。その場合、ポンプを修理又は交換した後、モーター及び駆動カップリングの複雑な設置及び調整を再び繰り返さねばならず、その後で接着剤吐出システムが動作することができる。これらの分解工程及び組立工程のそれぞれにより、ポンプを修理又は交換するのに要する稼働停止時間に著しい時間が加算される。さらに、駆動カップリングの組立ては、モーターとポンプとの間の位置合わせを調整する更なる稼働停止時間を回避するように慎重に行わねばならない。全体的に見て、ポンプの日常保守は、1時間もの稼働停止時間を生じることがある。接着剤吐出システムが1分あたり10000ドルにも値する製品を製造する不織布製品製造等の或る特定の吐出の分野では、保守の著しい稼働停止時間は、経済的に重大な影響を与える可能性がある。したがって、接着剤吐出システムのいかなる不要な稼働停止時間も最小限に抑えられるか又は排除されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのような理由から、ポンプ、モーター及び駆動カップリングを吐出システムの接着剤溶融装置に取り付ける改善された組立体及び方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、接着剤吐出システムにおいて使用する接着剤溶融装置は、ばね付勢支持体を有する溶融装置支持枠体を備える。接着剤溶融装置は、また、溶融装置支持枠体上に位置決めされる溶融タンク及びマニホールドを備え、マニホールドは、溶融タンクから溶融接着剤を受け取るように構成されている。ポンプ統合組立体もまた溶融装置に備わっており、ポンプ統合組立体は、剛性枠体と、ポンプと、モーターと、駆動カップリングとを有する。剛性枠体は、基部と、ポンプ支持部材と、後支持部材と、マニホールドに連結される少なくとも1つの締結具とを有する。ポンプ支持部材及び後支持部材は、剛性枠体の基部に連結される。ポンプは、ポンプ支持部材に連結され、モーターは、後支持部材に連結される。駆動カップリングは、ポンプをモーターに動作可能に連結する。ポンプ統合組立体は、剛性枠体をばね付勢支持体上に位置決めすることによって溶融装置支持枠体上に一体として一括して取り付けられ、ポンプ支持部材は、マニホールドと液密係合状態で位置決めされることで、ポンプとマニホールドとの間の溶融接着剤の流れを受容する。ばね付勢支持体は、基部においてポンプ統合組立体を片持ち荷重として弾性的に担持するのに役立つ。したがって、ポンプ及びモーターは、保守を必要とする際に、接着剤吐出システムの動作稼働時間に著しい影響を及ぼすことなく、一体として迅速に連結及び分離することができる。
【0007】
少なくとも1つの締結具が片持ち荷重による損傷を受けないように、ばね付勢支持体は、ポンプ統合組立体によって規定される片持ち荷重の大部分を担持する。締結具は、単に、締結具を緩め、剛性枠体をばね付勢支持体から持ち上げることによって、ポンプ統合組立体の取外しができるようにポンプ統合組立体を溶融装置支持枠体に機械的に固定する唯一の部品としてもよい。溶融装置及びポンプ統合組立体は、また、ポンプ及びモーターに電力及び制御信号を供給する迅速交換差込口及び対応する迅速交換プラグを更に備えることができる。作業者がポンプ統合組立体を移動させてばね付勢支持体と係合及び係脱させることに役立つ取っ手を剛性枠体上に設けることもできる。
【0008】
別の態様において、溶融装置支持枠体は、ばね付勢支持体に隣接して位置決めされるガイドレールを備え、ポンプ統合組立体は、剛性枠体の基部に形成されているガイド軌道を含む。ガイド軌道は、ポンプ統合組立体がばね付勢支持体上に位置決めされる際にガイドレールを受けてポンプ統合組立体をマニホールドに対して正確に位置決めするようにする。ばね付勢支持体は、ガイドレールの周囲に突出するU字状支持アームを備えることができ、それによって、ガイド軌道及びガイドレールは、通常、ポンプ統合組立体と溶融装置支持枠体との間に間隙を画定する。したがって、ポンプ統合組立体は、直角度誤差の影響がポンプとマニホールドとの液密係合に及ぶことを回避するようにマニホールドにおいて接着剤溶融装置に単に強固に連結される。マニホールドに一対の位置合わせ溝穴、及び、剛性枠体の基部から前方に突出する位置合わせフォーク等の更なる位置合わせ特徴部を設けることもできる。位置合わせフォークは、ポンプ支持部材が押されてマニホールドに当接したときに位置合わせ溝穴と係合してポンプ統合組立体の正確な側方位置決めを確実にするように構成されている。
【0009】
更なる別の態様において、ポンプ支持部材及び後支持部材は、それぞれ基部から上方へ延在するプレートを備える。ポンプ統合組立体は、ポンプ支持部材と後支持部材との間に延在するとともに基部から離間しているタイロッドを更に含むことができる。タイロッドは、2つの支持部材のプレートが概ね平行な関係で位置合わせされることを確実にする。少なくとも1つの締結具は、剛性枠体上に固定されて保持されるとともにポンプ支持部材と後支持部材との間に延在する複数の連結ボルトを含むことができる。したがって、ポンプ、モーター及び駆動カップリングは、接着剤溶融装置に対して迅速かつ容易に連結及び分離して、そのように迅速かつ容易に連結及び分離しなければこれらの部品に保守を行うことに起因して受ける著しい稼働停止時間を省くことができる。
【0010】
本発明の別の実施形態において、ポンプ統合組立体を接着剤溶融装置のマニホールドに連結する方法は、ポンプ統合組立体の剛性枠体を溶融装置のばね付勢支持体上に配置することを含む。したがって、ばね付勢支持体は、ポンプ統合組立体の重量を片持ち荷重として担持する。方法は、また、ポンプ統合組立体のポンプ支持部材がマニホールドと当接するようにポンプ統合組立体をマニホールドへ向けて移動させることを含む。次に、ポンプ支持部材を締め付けてマニホールドと液密係合させる。その結果、ポンプ統合組立体のポンプとマニホールドとの間の溶融接着剤の流れが受容される。
【0011】
本発明のこれらの目的及び利点並びに他の目的及び利点は、本明細書に添付の図面と併せて以下の詳細な記載中により容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の例示的な実施形態による接着剤溶融装置であって、その溶融装置のマニホールドに設置される迅速交換ポンプ統合組立体を備える接着剤溶融装置の上面斜視図である。
図2】溶融装置支持枠体及びマニホールドの更なる詳細を説明するためにポンプ統合組立体が取り外されている状態の図1の接着剤溶融装置の上面斜視図である。
図3】ポンプ統合組立体の剛性枠体によって形成されているガイド軌道を示す図1のポンプ統合組立体の底面斜視図である。
図4図3のポンプ統合組立体の正面端面図である。
図5】ポンプ統合組立体の剛性枠体がばね付勢支持体上に位置決めされている第1の設置工程時の図1の接着剤溶融装置及びポンプ統合組立体の側面図であって、溶融装置支持枠体のガイドレールと剛性枠体のガイド軌道との係合を示すように部分的に切り欠かれている側面図である。
図6】ポンプ統合組立体の重心がばね付勢支持体を越えて移動してガイド軌道が傾いてガイドレールと当接した第2の設置工程時の図5の接着剤溶融装置及びポンプ統合組立体の側面図である。
図7】ポンプ統合組立体の位置合わせフォークがマニホールドの位置合わせ溝穴と係合してポンプ統合組立体がマニホールドに隣接した概ね水平の向きの正常な位置に戻り始めている第3の設置工程時の図6の接着剤溶融装置及びポンプ統合組立体の側面図である。
図8】ポンプ統合組立体のポンプ支持部材が押されてマニホールドと当接係合しており、これらの部品間に小さな直角度誤差が示されている第4の設置工程時の図7の接着剤溶融装置及びポンプ統合組立体の側面図である。
図8A図8のポンプ支持部材とマニホールドとの間にある直角度誤差(図8において円で囲まれた領域8Aとして示されている)の拡大詳細図である。
図9】ポンプ統合組立体の連結ボルトが締められてマニホールドと係合してポンプ支持部材及びマニホールドを面一係合させており、この締めの動きに起因してばね付勢支持体が更に圧縮されている第5の設置工程時の図8の接着剤溶融装置及びポンプ統合組立体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に援用されるとともに本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、上記の本発明の概説及び以下に示す実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0014】
図1図9を参照すると、本発明の例示的な実施形態による接着剤溶融装置10が示されている。接着剤溶融装置10は、大量の接着剤を溶融して、その接着剤をマニホールド12及びポンプ14を介して接着剤溶融装置10から下流に配置される1つ又は複数の吐出装置(不図示)に供給するように構成される大型のタンク型溶融装置10である。例示的な実施形態の接着剤溶融装置10は、ノードソンコーポレーション(オハイオ州ウェストレイク所在)から市販されているバーサブルー(登録商標)メルター(溶融装置)に収容されている構造体とほぼ同じ構造体を含む。しかしながら、接着剤溶融装置10は、迅速交換ポンプシステム及び方法が接着剤溶融装置10とともに用いられる点が既知の溶融装置とは異なる。
【0015】
より詳細には、接着剤溶融装置10は、ポンプ統合組立体18を収納するように構成されている構造体を溶融装置支持枠体16及びマニホールド12に備える。ポンプ統合組立体18は、ポンプ14を担持する剛性枠体20と、モーター22と、ポンプ14とモーター22とを動作可能に連結する駆動カップリング24とを含む。ポンプ14及びモーター22は、安価であまり複雑ではない駆動カップリング24をポンプ統合組立体18とともに使用することができるように剛性枠体20上で互いに予め位置合わせされる。ポンプ統合組立体18は、ポンプ14、モーター22及び駆動カップリング24が同時に設置されるか又は保守を必要とする際に同時に取り外されるように、接着剤溶融装置10に一体として取り付けることができることが有利である。その結果、ポンプ14は、部品の修理又は交換が必要とされる際に1時間もの接着剤溶融装置10の稼働停止時間を必要としていたのに対して、数分で交換することができる。この点で、ポンプ統合組立体18によって可能になる迅速交換システム及び方法は、接着剤溶融装置10の動作を向上させるとともに接着剤溶融装置10のコスト及び複雑性を減らす。
【0016】
図1及び図2を特に参照すると、接着剤溶融装置10の例示的な実施形態が更に詳細に示されている。このため、接着剤溶融装置10は、溶融装置支持枠体16を備え、溶融装置支持枠体16は、中央枠体部分30と、溶融装置支持枠体16から上向きの支持面34を集合的に画定するように中央枠体部分30に連結される延長部32とを備える。接着剤溶融装置10は、また、支持面34に取り付けられている溶融タンク36を備え、溶融タンク36は、溶融されて所望の塗布温度に加熱されるべき接着剤材料を収納するように構成されている内部38を画定している。内部38及び加熱格子仕切り40が内部38内に見えるように、溶融タンク36の頂壁は図1には示されていない。しかしながら、溶融タンク36には、本発明による他の実施形態では異なる形状及び内部形態を設けることができることが理解されるであろう。溶融タンク36の内部38は、接着剤溶融装置10の例示的な実施形態では概ね矩形の形状を形成する複数の側壁42によって境界を定められている。これらの側壁42のうちの1つに沿って、マニホールド12は、溶融タンク36に連結され、溶融タンク36の内部38と流体連通するように配置されている。側壁42とのマニホールド12の連結は、図2に示されているように複数の締結具44によって行うことができる。
【0017】
マニホールド12は、溶融タンク36の内部38からマニホールド出口46に延在する内部通路(不図示)と、マニホールド入口48から、接着剤溶融装置10に連結されている1つ又は複数の吐出装置へつながる出口導管又は通路(不図示)へ延在する内部通路(不図示)とを画定している。これらの吐出装置は、例えば、接着剤溶融装置10によって与えられる特定の吐出方法に応じて、任意のタイプの接着剤吐出モジュール又は接着剤吐出ガンを含むことができる。マニホールド出口46及びマニホールド入口48は、溶融タンク36から離れる方向へ向いたマニホールド12の連結面50内に、それぞれ位置付けられる。以下で更に詳細に説明するように、連結面50は、ポンプ統合組立体18と液密係合するように位置決めされており、ポンプ14がマニホールド出口46及びマニホールド入口48でマニホールド12と連通するようになっている。連結面50は、また、以下で説明するようにマニホールド12をポンプ統合組立体18に連結するようにポンプ統合組立体18に位置付けられている連結ボルト54を受け入れるように構成されている複数のねじ孔52を有する。以下で記載されている単一のコード電気接続部を除き、これらの連結ボルト54は、ポンプ統合組立体18と接着剤溶融装置10の残りの部分との間の唯一の締結具であり、ポンプ統合組立体18を取り外すか又は交換するために分離されるか又は外されねばならない。したがって、連結ボルト54は、マニホールド12に対してポンプ統合組立体18を固定及び分離する迅速機構を提供する。連結ボルト54の代わりに、本発明の他の実施形態では、剛性枠体20に連結されるクランプ機構又は非ねじタイプの締結具等の異なる形態を有する少なくとも1つの締結具を用いることができることが理解されるであろう。
【0018】
図2を参照すると、マニホールド12の更なる部材が更に詳細に示されている。マニホールド12は、延長プレート56を備え、延長プレート56は、マニホールド12の残りの部分に連結されるとともに連結面50から下方へ延在している。延長プレート56は、一対の位置合わせ溝穴58を有し、一対の位置合わせ溝穴58は、延長プレート56の対向する両側60に形成されている。位置合わせ溝穴58は、ポンプ統合組立体18がマニホールド12と係合するために移動させられるときに、ポンプ統合組立体18から突出する対応する構造体を案内するために用いられ、それによって、連結面50に対するポンプ統合組立体18の正確な配置を確実にする。マニホールド12は、代替的には、本発明の他の実施形態では別箇の延長プレート56を設けることなくこれらの位置合わせ溝穴58を含むように寸法を増大してもよいことが理解されるであろう。マニホールド12は、また、図2に示されているタンク隔離弁62及び油圧逃し弁64等の、マニホールド12を通る溶融接着剤の流れを制御及び監視する更なる既知の構造体及び/又はセンサーも収容する。タンク隔離弁62の例では、溶融タンク36とポンプ14との間の連通は、ポンプ統合組立体18が取り外されるときにタンク隔離弁62で遮断され、それによって、ポンプ統合組立体18がマニホールド12に再連結されるまでマニホールド出口46を通る接着剤材料の損失を回避する。したがって、マニホールド12は、接着剤溶融装置10の動作中に必要に応じてポンプ統合組立体18に連結及び分離できるように構成されている。
【0019】
図2は、また、溶融装置支持枠体16が支持面34に取り付けられているガイドレール70を有することを示す。ガイドレール70は、ねじ締結具72によって溶融装置支持枠体16に連結される概ね矩形の細長い棒状体である。ガイドレール70は、マニホールド12とのポンプ統合組立体18の連結時にポンプ統合組立体18の方へ対向するように構成されている上面74と、以下で記載されるようにポンプ統合組立体18の対応する構造体を案内するように構成されている長手方向側面76とを有する。ガイドレール70の中間部分において、ばね付勢支持体78が溶融装置支持枠体16から上方へ突出している。より具体的には、ばね付勢支持体78は、ガイドレール70の下から、双方の長手方向側面76に沿ってガイドレール70の上面74の真下の高さまで延在するU字状支持アーム80(ブロックとも呼ばれ得る)を有する。このため、U字状支持アーム80は、ポンプ統合組立体18がガイドレール70に沿って案内される際にポンプ統合組立体18に係合するように位置決めされる。ばね付勢支持体78の更なる詳細及び動作は、以下で図5図9を参照しながら示す。
【0020】
図3及び図4を参照すると、例示的な実施形態のポンプ統合組立体18が更に詳細に示されている。上記に簡潔に記載したように、ポンプ統合組立体18は、ポンプ14を担持する剛性枠体20と、モーター22と、ポンプ14とモーター22とを連結する駆動カップリング24とを含む。剛性枠体20は、ポンプ14及びモーター22の構造的な取付け位置を規定するように互いに固定連結されている3つの支持部材によって画定されている。より具体的には、剛性枠体20は、ポンプ統合組立体18の長手方向に沿って前端部88と後端部90との間に延在する基部86と、基部86の前端部88に近接して基部86に連結されるポンプ支持部材92と、基部86の後端部90側で基部86に連結される後支持部材94とを備える。ポンプ支持部材92及び後支持部材94のそれぞれは、位置決め用ピン96によって基部86と位置合わせされ、位置決め用ピン96の両側に位置付けられるねじ締結具98によって基部86に締結される。位置決め用ピン96及びねじ締結具98は、ポンプ支持部材92の底端部100及び後支持部材94の底端部102と係合する。
【0021】
例示的な実施形態に示されているように、ポンプ支持部材92及び後支持部材94は、互いに対して概ね平行かつ基部86に対して垂直に置かれているプレートを含むが、支持部材92、94は、他の実施形態では、ポンプ14及びモーター22の種々の取り付け構造体に適合するように種々の向きに位置決め変更することができる。さらに、ポンプ支持部材92及び後支持部材94は、本発明の範囲から逸脱することなく、ポンプ統合組立体18の他の実施形態では非プレート状の構造体を画定することができる。支持部材86、92、94は、通常、剛性構造の鋼又はアルミニウムから形成されるが、本発明の範囲から逸脱することなく他の材料を使用することができる。例示的な実施形態ではポンプ支持部材92及び後支持部材94を互いに対して概ね平行に保つために、タイロッド104をポンプ支持部材92の上端部106及び後支持部材94の上端部108に連結することができる。支持部材86、92、94及びタイロッド104によって画定される全体的な構造は、ポンプ統合組立体18上に支持される部品のための剛性かつ確実な支持体を提供する。タイロッド104により、ポンプ支持部材92及び後支持部材94の正確かつ概ね平行な位置合わせが確実になる。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態では支持部材86、92、94を位置合わせ及び連結する代替的な方法を用いることができる。
【0022】
ポンプ統合組立体18の駆動部品と剛性枠体20との間の連結部は、図1図3の斜視図に更に詳細に示されている。このため、ポンプ14は、ポンプ筐体112を備え、ポンプ筐体112は、流体通路及び流体圧送要素(不図示)を含み、複数の締結具114によってポンプ支持部材92に対して所定位置に固定される。したがって、ポンプ統合組立体18のポンプ支持部材92がマニホールド12と当接係合せしめられると、ポンプ14が移動して接着剤溶融装置10の残りの部分と動作係合する。同様にして、モーター22は、駆動軸等の駆動部品を包囲するモーター筐体116と、後支持部材94と当接係合状態で位置付けられる取付けフランジ118とを備える。取付けフランジ118は、複数の締結具120によって後支持部材94に固定される。したがって、モーター22及びモーター筐体116が基部86の後端部90を越えて後支持部材94から後方へ延在するとしても、モーター22は、ポンプ支持部材92に固定されるポンプ14に対して所定位置に固定されたままとなる。したがって、モーター22の駆動軸(不図示)とポンプ14の駆動部品との間に挿入される駆動カップリング24は、互いに対して予測可能かつ繰り返し可能な軸方向位置で連結されるモーター22とポンプ14との間の軸ずれ又は許容誤差を調整するように設計される必要がない。このように軸ずれ調整の必要性がないことにより、あまり複雑でなくあまり費用がかからない駆動カップリング24の使用が可能になり、これにより、ポンプ統合組立体18の製造コストが減る。ポンプ14及びモーター22がポンプ統合組立体18に組み付けられる際、ポンプ14とモーター22との半径方向のいかなるずれも、後支持部材94に対するモーター22の調整可能な位置決め及び締結を可能にすることによって調整され、それによって、駆動カップリング24がそのような半径方向のずれを補正する必要性を回避することができることが理解されるであろう。
【0023】
タイロッド104に加えて、ポンプ統合組立体18は、また、ポンプ支持部材92と後支持部材94との間に延在する4つの連結ボルト54の形態の少なくとも1つの締結具を含む。連結ボルト54は、後支持部材94からモーター22の方へ対向するねじ頭122と、ポンプ支持部材92から前方へ突出するねじ先124とを有する捕捉された機上締結具である。さらに、連結ボルト54は、本明細書全体を通して記載されているように、ポンプ統合組立体18が移動してマニホールド12と当接する際、マニホールド12の連結面50においてねじ孔52と係合するのに用いられる。連結ボルト54は、マニホールド12との係合を締めるか又は緩める際に剛性枠体20の所定位置に留まり、これにより、マニホールド12に対するポンプ統合組立体18の組付け又は分解時に注意及び取扱いを必要とする別箇の部品の数が単純化する。上述したように、ポンプ統合組立体18は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態では連結ボルト54とは異なる形態を有する少なくとも1つの締結具を含むことができる。
【0024】
さらに、図3及び図4に示されているように、ポンプ支持部材92は、マニホールド12のマニホールド出口46と連通するように構成されているポンプ入口126を有し、また、マニホールド12のマニホールド入口48と連通するように構成されているポンプ出口128も有する。ポンプ入口126及びポンプ出口128を、例示的な実施形態に示されているようにポンプ支持部材92のOリングシール130(鳩尾型のOリング溝(不図示)内に保持されている)によって囲むことができる。これに関して、連結ボルト54のねじ先124をマニホールド12のねじ孔52に係合させて締めることにより、ポンプ入口126及びポンプ出口128がマニホールド出口46及びマニホールド入口48とそれぞれシール当接及び連通する。その結果、マニホールド12内の、溶融タンク36及び出口導管につながる内部通路が、ポンプ14と連通せしめられて、接着剤溶融装置10内の溶融接着剤の通常の流路を完成させる。上記で簡潔に記載されたように、連結ボルト54によるポンプ統合組立体18とマニホールド12との迅速な連結及び分離により、接着剤溶融装置10においてポンプ14及びモーター22を交換するのに要する時間が大幅に排除され、それによって、或る特定の産業における何千ドルもの生産ロスを意味し得るシステム稼働停止時間が減る。
【0025】
図3の参照を続けると、モーター筐体116は、迅速接続プラグ138まで延在する単一の組合せ型電源/制御コード136を有する接続ボックス134を備える。この迅速接続プラグ138は、接着剤溶融装置10に組み込まれている電源及びコントローラー(不図示)まで延在するコード142及び迅速接続差込口140(図1に示す)に接続されるように構成される。したがって、モーター22を駆動する電力及びポンプ14の動作を駆動する制御信号が、単一の組合せ型電源/制御コード136のみを用いてポンプ統合組立体18へ送出される。この構成により、ポンプ14及びモーター22の交換方法が更に単純化するが、その理由は、ポンプ統合組立体18をマニホールド12から引き離す前に必要とされる工程は、連結ボルト54をマニホールド12との係合から緩めること及び迅速接続プラグ138を迅速接続差込口140から抜くことのみとなるからである。本発明の範囲に従った他の実施形態では、迅速接続プラグ138及び差込口140は、任意の既知の電気コネクター形態をとることができ、また、「差込口」が単一の組合せ型コード136側にあるとともに「プラグ」がコード142側にあるように逆にすることができることが理解されるであろう。さらに、単一の組合せ型コード136及び迅速接続プラグ138が位置付けられるポンプ統合組立体18における特定の位置は、エンドユーザーの特定のニーズに従って変更することができ、また、ポンプ統合組立体18の交換時の使用にとって最も好都合なように変更することができる。
【0026】
ポンプ統合組立体18は、図3に示されているように、完全に組み付けられると、モーター22及び剛性枠体20の寸法により、18.14キログラムを上回る重量となり得る。したがって、ポンプ統合組立体18は、また、後支持部材94の上端部108に連結される取っ手144を有する。取っ手144は、図示のように締結具146によって後支持部材94に連結することができる。後支持部材94における取っ手144の位置決めにより、ポンプ統合組立体18によって規定される重心の概ね上方に作業者の把持点が位置し、この把持点は、ポンプ統合組立体18がもたらす重荷重にとって好都合の持上げ位置である。したがって、作業者は、取っ手144を把持して剛性枠体20を移動させて必要に応じてマニホールド12と係合又は係脱させることによって、ポンプ統合組立体18を容易に移動させることができる。代替的には、本発明の範囲から逸脱することなく、ポンプ統合組立体18の他の実施形態では、取っ手144は位置決め変更してもよく、又は、取っ手144の代わりに複数の取っ手を用いてもよい。
【0027】
図3及び図4を参照すると、剛性枠体20の基部86が更に詳細に示されている。基部86は、前端部88と後端部90との間に長手方向に延在するガイド軌道152を画定している凹状部分を有する底面150を有する。ガイド軌道152は、上記で詳細に記載された溶融装置支持枠体16に位置付けられるガイドレール70を収める寸法になっている。より具体的には、ガイド軌道152は、基部86がばね付勢支持体78上に配置されるとガイドレール70の長手方向側面76と係合して密接するように構成されている対向する両側154を有する。ガイド軌道152は、また、下記で説明される図5図9に示されている組付け工程に示されるようにガイドレール70の上面74側に面するように構成されている1つ又は複数の孔158を有することができる対向面156を画定する。基部86は、基部86の前端部88において前方へ延在する2つの突出歯部162によって画定される位置合わせフォーク160も備える。位置合わせフォーク160は、ポンプ統合組立体18を移動させてマニホールド12と係合させる際、マニホールド12に位置付けられている位置合わせ溝穴58と係合し、それによって、連結ボルト54によって連結できるように、これらの部材を適正に位置合わせするように構成されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態では、位置合わせフォーク160は、マニホールド12に設けることができ、位置合わせ溝穴58は、剛性枠体20に設けることができることが理解されるであろう。位置合わせフォーク160及び位置合わせ溝穴58の動作は、図5図9を参照しながら以下で更に詳細に記載する。
【0028】
図5図9を参照すると、ポンプ統合組立体18をマニホールド12に機械的に連結する迅速交換連結方法が段階的に示されている。これらの図では、ガイド軌道152とガイドレール70との間の間隔及び/又は係合が分かるように、基部86の実質的な部分が、ポンプ統合組立体18の長手方向中心を通る切欠き断面で示されている。図5に示されている第1の設置工程では、ポンプ統合組立体18は、取っ手144によって全体が一体として移動されてばね付勢支持体78及びガイドレール70上の所定位置にくる。より具体的には、ポンプ統合組立体18は、ポンプ統合組立体18によって規定される重心170がばね付勢支持体78の概ね上方にくるように、ばね付勢支持体78上に配置される。その結果、ポンプ統合組立体18は、片方の向きに傾く傾向はなく(すなわち、基部86は概ね水平の向きにある)、ガイドレール70の上面74は、ガイド軌道152の対向面156から小さな間隙172だけ離間したままである。加えて、ポンプ統合組立体18の重量により、支持体78のU字状支持アーム80が下方に押されてばね174を圧縮する。ばね174は、ポンプ統合組立体18を支持していないときは、U字状支持アーム80を上方へ付勢してガイドレール70に係合させる。図5には明示されていないが、ガイド軌道152の対向する両側154は、ガイドレール70の長手方向側面76と係合すなわち密接するように位置決めされ、それによって、ポンプ統合組立体18をマニホールド12に対して側方の正しい位置に適正に合わせる。溶融タンク36及び溶融装置支持枠体16の位置は、これらの図面では状況に合わせて仮想線で示されているが、仮想線で示されているこれらの構造体は、ポンプ統合組立体18の連結方法には直接関わらない。
【0029】
ポンプ統合組立体18をばね付勢支持体78と係合させた後、作業者は、図6の第2の設置工程に示されているようにポンプ統合組立体18をマニホールド12へ向かって前方に押すことができる。この前方移動は、U字状支持アーム80に沿う基部86の底面150の摺動であり、これにより重心170がばね付勢支持体78を越えて動き、それによって、図6に示されているようにポンプ統合組立体18がポンプ支持部材92において僅かに下方へ傾く。この傾動により、ガイド軌道152とガイドレール70との間の間隙172が閉じて、これにより対向面156が上面74と係合してポンプ統合組立体18の更なる傾動を阻止する。さらに、対向面156に設けられている孔(複数の場合がある)を、この下方の傾動時にガイドレール70の前端部176を受け入れるように位置決めすることができる。
【0030】
図6に示されている傾動は、また、位置合わせフォーク160上の面取り面178を所定位置にせしめて、位置合わせ溝穴58に設けられている丸みを帯びた前縁部180と当接させる。したがって、第3の設置工程時に、図7に示されているように、ポンプ統合組立体18がばね付勢支持体78に対して前方へ摺動し続けるにつれて位置合わせフォーク160及び位置合わせ溝穴58が互いに面取り面178及び/又は丸みを帯びた前縁部180において係合する。位置合わせフォーク160と位置合わせ溝穴58とのこの係合により、マニホールド12に対するポンプ支持部材92の適正な側方の位置決めが確実となり、ポンプ統合組立体18の更なる前方摺動時に、面取り面178が上方へ摺動して位置合わせフォーク160の底部(底面150)を位置合わせ溝穴58に係合させるので、ポンプ統合組立体18を概ね水平の向きに戻す。面取り面178及び丸みを帯びた前縁部180のうちの一方又は双方は、接着剤溶融装置10の他の実施形態では省くことができることが理解されるであろう。
【0031】
図8の第4の設置工程に示されているように、ポンプ統合組立体18の前方摺動は、ポンプ支持部材92がマニホールド12の連結面50と当接係合するまで続ける。この位置では、位置合わせフォーク160は、上述したように位置合わせ溝穴58に完全に挿入されており、ポンプ統合組立体18は、ガイド軌道152の対向面156とガイドレール70の上面74との間に再び小さな間隙172が設けられるように傾くか又は回動して水平向きに戻る。マニホールド12に隣接したこの位置に押しやられると、接着剤溶融装置10の種々の部品(溶融装置支持枠体16上及びポンプ統合組立体18上のものを含む)の許容誤差により、直角度誤差が生じる可能性があり、この直角度誤差は、ポンプ支持部材92と連結面50との間の当接部において小さな当接間隙184を形成する。この小さな当接間隙184は、直角度誤差によって引き起こされる可能性がある事柄(例えば、ともにシールされるべきであるポンプ統合組立体18の表面とマニホールド12の表面との間のずれ)を明確にするように、図8及びより詳細な図面の図8Aに誇張されている。例えば、例示的な実施形態では、総直角度誤差により、最大0.5度の角度がポンプ統合組立体18とマニホールド12との間に形成される可能性がある。
【0032】
ポンプ統合組立体18とマニホールド12との機械的な連結を完了させるには、上記で簡潔に記載したように、連結ボルト54を締めて連結面50のねじ孔52と係合させる。連結ボルト54のこの締付けにより、ポンプ支持部材92が押圧されて連結面50と液密に面一係合し、図8に示されている直角度誤差を補正するが、この理由は、ポンプ統合組立体18が、図9に示されている第5の設置工程に示されているように、ばね付勢支持体78のばね174を更に下方に圧縮することによって僅かに自由に傾くか又は回動するからである。連結ボルト54を締めている間のばね付勢支持体78の動きにより、ポンプ統合組立体18の重量によって規定される片持ち荷重の実質的に大部分が、ガイドレール70又は連結ボルト54において剛性的に担持されるのではなく、ばね付勢支持体78において担持されることも確実になる。片持ち荷重をガイドレール70のような剛性支持体において担持すると、直角度誤差の補正が妨げられる。片持ち荷重を連結ボルト54において担持すると、ねじ先124とねじ孔52とが固着し、それによって、ポンプ統合組立体18及びマニホールド12の交換が必要となる可能性がある。換言すれば、ガイド軌道152の対向面156とガイドレール70との間に小さな間隙172を設けることと、図9に示されているようにU字状支持アーム80とガイドレール70との間に別の小さな間隙186を設けることとにより、連結ボルト54から離れるポンプ統合組立体18のいかなる剛性の当接又は支持も回避される。したがって、ばね付勢支持体78は、ポンプ統合組立体18がもたらす荷重を弾性的かつ調整可能に担持して、そのように担持しなければポンプ14及びモーター22を共有の剛性枠体20に保持することによってもたらされる可能性がある幾つかの問題を回避することが有利である。
【0033】
ポンプ統合組立体18を接着剤溶融装置10から取り外すには、連結ボルト54を緩め、次にポンプ統合組立体18を後方に摺動させて解放してばね付勢支持体78から持ち上げるように、図5図9に示されている設置工程を逆に行う。ポンプ統合組立体18を取り外してバックアップ用ポンプ統合組立体18又は交換用ポンプ統合組立体18と交換する方法全体は、5分未満とすることができ、これにより、ポンプ14又はモーター22が保守又は交換を必要とする際に接着剤溶融装置10が受ける実質的に全ての稼働停止時間が排除される。このため、ポンプ統合組立体18が迅速に取り外されて別の工場において修理され、その一方でバックアップ用ポンプ統合組立体が接着剤溶融装置10とともに動作することができる。図5図9におけるこれらの一連の工程には記載されていないが、接着剤溶融装置10とポンプ統合組立体18との電気的な接続は、迅速交換プラグ138及び迅速交換差込口140において迅速に行われるか又は接続解除される。したがって、ポンプ14、モーター22及び駆動カップリング24は、一体として接着剤溶融装置10に対して迅速に設置されるか又は取り外され、マニホールド12とのポンプ14の適正な位置合わせ及び向きが上述した迅速交換システム及びプロセスによって確実となる。ポンプ14及びモーター22を取り付けることにより、単純化した安価な駆動カップリング24の使用も可能になり、それによって、接着剤溶融装置10とともに使用される接着剤吐出システムの動作が更に向上する。ポンプ統合組立体18により、接着剤溶融装置10の信頼度及び稼働時間が向上する。
【0034】
本発明を例示的な実施形態の記載によって例示し、またこれらの実施形態をかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲の範囲をそのような詳細に限定するか又はいかようにも制限する意図はない。付加的な利点及び変更が当業者には容易に明らかであろう。したがって、本発明はその最も広範な態様において、図示及び記載されている特定の詳細に限定されない。本明細書に開示されている種々の特徴は、特定の用途に必要な又は所望の任意の組合せにおいて用いることができる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている詳細から逸脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9