(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る接続装置10の一例を示す概略図である。接続装置10は、本体11と、接続部12とを備える。
図1では、説明のため、本体11の内部の構成も図示しているが、実際には、内部の構成は本体11の外部から直接視認できないように構成されていてもよい。
【0014】
接続装置10は、例えばパーソナルコンピュータ(以下「PC」ともいう)等の電子機器に接続されて使用される。接続装置10は、電子機器に接続された状態で、当該電子機器に電界通信機能を付加することができる。本実施形態では、電子機器がPCであり、接続装置10が電子機器のUSB(Universal Serial Bus)ポートに接続されるとして、以下説明する。
【0015】
本体11は、内部に備える各種構成部品を保護する筐体である。本体11は、例えば外形が略直方体形状であるが、これに限られない。本体11は、例えば樹脂等により構成される。本体11は、送受信機13と、端末線路14とを備える。送受信機13は、後述する第1入出力端子を介して、端末線路14と電気的に結合されている。また、送受信機13は、電界通信用信号線17を介して、ケーブル15のグランドまたはシールド線に接続されている。送受信機13は、詳細については後述するように、電子機器からの制御信号に基づき、高周波信号または高周波電力の送受信を制御する。また、端末線路14は、ほぼ90度の電気長を有する。端末線路14の詳細については後述する。
【0016】
接続部12は、ケーブル15と、接続端子16とを備える。接続部12は、例えばUSB(Universal Serial Bus)コネクタとして構成することができる。
【0017】
ケーブル15は、例えば公知のUSBケーブルであってよい。ケーブル15は、例えば、電子機器と信号の送受信を行うための信号線を含む線心と、線心を覆いグランドに接続されるシールド線と、線心を保護する被覆とを備える。被覆は、例えば塩化ビニル製であってよい。ケーブル15の一端は接続端子16に接続され、他端は送受信機13に接続される。ケーブル15のグランドまたはシールド線は、電界通信用信号線17により、送受信機13から電界信号を伝達可能に、送受信機13と接続されている。
【0018】
接続端子16は、例えば公知のUSB端子である。接続端子16は、電子機器のUSBポートに挿脱可能に構成される。
【0019】
図2は、
図1の接続装置10を電子機器20に接続した状態の一例を示す概略図である。
図2示すように、接続装置10は、接続端子16を電子機器20に挿入することにより、電子機器20に接続される。接続装置10が接続された状態で、電子機器20は、電界信号を用いた電界通信を行うための電界アンテナとして機能する。電子機器20が電界アンテナとして機能する原理については、後述する。
【0020】
図3は、
図1の接続装置10が接続された電子機器20を用いた電界通信システム1の一例を示す概略図である。電界通信システム1は、電子機器20と、電子機器20に接続された接続装置10と、電界通信端末30とを備える。
【0021】
電界通信端末30は、例えばユーザが装着して使用する。電界通信端末30は、例えば手首または腕等に装着される。電界通信端末30は、ユーザに装着された状態で、電界信号を用いた電界通信可能に構成されている。
【0022】
電界通信端末30は、本体31と、装着部32とを備える。本体31は、電界通信端末30が電界通信を行うための各機能部を備える。本体31が備える各機能部の詳細については後述する。装着部32は、ユーザが電界通信端末30の装着状態を維持するための機構である。装着部32は、例えば、ユーザが手首または腕等に巻きつけて装着可能なベルト、リストバンドまたはアームバンドとして構成されている。ただし、装着部32は、ベルトに限られず、ユーザが着脱可能な任意の形態として構成されていてよい。装着部32は、例えば指輪の形状を有し、ユーザの指に着脱可能に構成されていてもよい。本実施形態では、電界通信端末30がユーザの手首に装着されるとして、以下説明する。
【0023】
電子機器20と、電界通信端末30とは、誘電体である人体(ユーザ)を伝送媒体として、電界通信を行う。すなわち、電界通信端末30を装着したユーザが、電界アンテナとして機能する電子機器20に触れたときに、電界通信が実行される。
【0024】
図4は、
図3の接続装置10および電子機器20による電界通信の動作の仕組みを説明する概略図である。
図4において、送受信機13は、第1入出力端子13aおよび第2入出力端子13bに接続されている。第1入出力端子13aは、送受信機13と端末線路14との間に設けられている。第2入出力端子13bについては、電界通信システム1において電界通信が行われる場合に、電子機器20およびケーブル15のグランドまたはシールド線が第2入出力端子13bとして機能する。
【0025】
送受信機13は、高周波信号または高周波電力の送受信を制御する。送受信機13は、電界通信を行うとき、例えば10kHzから10GHzの高周波信号(または高周波電力)を送受信する。第1入出力端子13aは、仮想的なグランドとして機能する端末線路14に接続されている。端末線路14の詳細については後述する。
【0026】
送受信機13は、第2入出力端子13bに接続されている。第2入出力端子13bは、誘電体と結合する結合電極(電界アンテナ)として機能する。第2入出力端子13bが、人体により構成される伝送媒体40に電気的に結合されると、接続装置10が接続された電子機器20と、電界通信端末30との間で電界通信が確立される。
【0027】
ここで、仮想的なグランドとして機能する端末線路14について説明する。第1入出力端子13aは、端末線路14と電気的に結合されている。端末線路14は、金属等の導体または誘電体により構成される。なお、ここでは一例として、送受信機13が高周波信号を送信する場合について説明する。
【0028】
送受信機13が電界通信端末30との電界通信により高周波信号を送信する場合、端末線路14に結合された送受信機13の第1入出力端子13aから端末線路14に電流が流れる。これと同時に、端末線路14に流れる電流と大きさが同じで向きが逆の電流が、第2入出力端子13bから、人体等により構成される伝送媒体40に流れる。このようにして、送受信機13は、高周波信号を伝送媒体40に送り出す。
【0029】
端末線路14は、90度の電気長を有する。90度の電気長とは、第1入出力端子13aに接続された端部14aからもう一方の端部14bまでの線路の長さが、伝送する高周波信号の波長の4分の1の長さ、すなわち、第1入出力端子13aに接続された端部14aからもう一方の端部14bまでに至るあいだに、伝送する高周波信号の位相が90度進む長さである。
【0030】
従って、第1入出力端子13aに接続された端部14aから端末線路14側に流れる電流が、端末線路14のもう一方の端部14bで反射し、一往復してふたたび第1入出力端子13aに接続された端部14aに戻ると、それまでの間に2分の1波長分の距離を経て、位相が180度進む。
【0031】
このとき、
図4に示すように、電気長が90度、すなわち長さが伝送する高周波信号の波長の4分の1で、端部14bが開放された端末線路14に、送受信機13が高周波信号を入力するので、端部14bの電圧振幅が最大で電流振幅がゼロ、端部14aの電圧振幅がゼロで電流振幅が最大の定在波が端末線路14に発生し、端部14aに電流が流れる。すなわち、端末線路14が90度の電気長を有する場合には、端部14aの電圧振幅がゼロである一方、電流が流れるので、
図5に模式的に示すように、端部14aは、仮想的にグランドに短絡されたように機能する。そのため、端末線路14に接続された第1入出力端子13aは、仮想的にグランドに接続された短絡端子とみなすことができる。
【0032】
図4に示すように、端末線路14の電気長が90度、すなわち、端末線路14の、送受信機13の第1入出力端子13aに接続される端部14aから入力された信号がもう一方の端部14bで反射して一往復してくる反射波の位相が180度のとき、第1入出力端子13aに流れる電流が最大になる。そのため、端末線路14の電気長が90度の場合、最も効率的に電界通信が行われる。ただし、電界通信を行うに際しては、端末線路14の電気長が90度を中心に±45度の範囲内、つまり反射波の位相が90度より大きく270度より小さい範囲内で動作しても、高周波を伝送するための所定の効果を生じる。従って、端末線路14は、90度を中心に±45度の範囲内を含む、ほぼ90度の電気長を有していればよい。また、端末線路14は、((2n+1)・90±45)度の電気長(但し、nは0以上の整数)を有していてもよい。端末線路14は、((2n+1)・90±45)度の電気長を有する場合、
図4を参照して説明したのと同様の原理により、仮想的なグランドとして機能する。
【0033】
次に、電界通信端末30の構成について説明する。上述のように、電界通信端末30は、本体31と、装着部32とを備える。
【0034】
図6は、電界通信端末30の本体31の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。本体31は、記憶部33と、送受信機34と、第1結合電極35と、第2結合電極36とを備える。
【0035】
記憶部33は、各種情報を記憶する。記憶部33は、例えばIC(Integrated Circuit)チップにより構成されていてよい。記憶部33は、例えば電界通信端末30と1対1に対応付けられた固有の識別情報(以下「ID」ともいう)を記憶する。IDは、例えば電界通信端末30のユーザと1対1に対応付けられていてもよい。
【0036】
送受信機34は、電子機器20との電界通信において、例えば10kHzから10GHzの高周波信号(または高周波電力)を送受信する。送受信機34の機能は、上述した送受信機13と同様であってよい。送受信機34は、第1結合電極35および第2結合電極36と電気的に結合されている。
【0037】
第1結合電極35および第2結合電極36は、ユーザが電界通信端末30を装着した状態(以下「装着状態」ともいう)において、誘電体である人体と結合する結合電極である。すなわち、第1結合電極35および第2結合電極36は、本体31において、装着状態で、ユーザと接触する位置に配置される。
【0038】
電界通信端末30は、
図4で説明したものと同様の原理で、電界通信を行うことができる。電界通信を行う際、送受信機34、第1結合電極35および第2結合電極36は、それぞれ
図4における送受信機13、第2入出力端子13bおよび第1入出力端子13aに対応する機能を有する。そして、第1結合電極35に接触する人体の一部(例えば手首よりも末端側)が、
図4における伝送媒体40として機能し、第2結合電極36に接触する人体の一部(手首よりも末端側を除く体全体)が、
図4における端末線路14と同様に機能する。
【0039】
ここで、人体が伝送媒体および端末線路として機能する原理について説明する。
図7は、電界通信端末30を誘電体700に結合させた状態を模式的に示す図である。
図7では、誘電体700を模式的に円柱形状で示している。
【0040】
図7に示すように、円柱形状の誘電体700は、第1底面(第1端)710aおよび第2底面(第2端)710bを備える。円柱形状の誘電体700の高さは、誘電体700の底面(第1底面710aおよび第2底面710b)の直径よりも長い。以下、円柱の高さ方向を長手方向ともいう。
【0041】
電界通信端末30は、第1結合電極35および第2結合電極36が誘電体700の長手方向に沿って並ぶように、誘電体700に結合される。ここでは、第1底面710aに近い側に第1結合電極35が結合され、第2底面710bに近い側に第2結合電極36が結合されるとする。
【0042】
電界通信端末30が結合された誘電体700において、第1結合電極35が結合された位置よりも第1底面710a側の領域を第1領域700aとし、第2結合電極36が結合された位置よりも第2底面710b側の領域を第2領域700bとする。第1領域700aの高さ(長手方向の長さ)をLaとし、第2領域700bの高さをLbとする。ユーザが、電界通信端末30の第1結合電極35および第2結合電極36を、誘電体700に対して、次に説明する所定の位置に結合させることにより、第1領域700aは伝送媒体として機能し、第2領域700bは端末線路として機能する。
【0043】
ここで、第1領域700aが伝送媒体として機能し、第2領域700bが端末線路として機能するための上記所定の位置について説明する。電界通信端末30は、誘電体700において、長さLbが((2n+1)・90)度の電気長となる位置に結合される。長さLbが((2n+1)・90)度の電気長である場合、
図8に示すように第1領域700aが、模式的に示される電子機器20により構成される第2入出力端子13bと結合すると、電界通信端末30、誘電体700、および接続装置10が接続された電子機器20により電界通信可能な電界通信システム1が確立される。この場合、
図5を参照して説明した原理により、第2領域700bの第2底面710bにおいて、電圧振幅が最大で電流振幅がゼロ、第2領域700bの第2結合電極36が結合された側の端部において、電圧振幅がゼロで電流振幅が最大の定在波が発生する。そのため、送受信機34から、第2結合電極36を介して誘電体700の第2領域700bに向かって電流が流れるとともに、第1結合電極35を介して第1領域700aに向かって電流が流れる。その結果、電界通信端末30は、電界アンテナとして機能する電子機器20を介して、接続装置10との間で、第1領域700aを伝送媒体とした通信を行うことが可能になる。このように、第2領域700bは、
図4で示した端末線路14と同様の機能を有する。
【0044】
なお、
図4の説明でも述べたように、端末線路14の電気長が90度を中心に±45度の範囲内、つまり反射波の位相が90度より大きく270度より小さい範囲内で動作しても、高周波を伝送するための所定の効果を生じる。そのため、第2領域700bが端末線路として機能するためには、長さLbは、((2n+1)・90±45)度の範囲の電気長となる位置に結合されればよい。
【0045】
ここで、電界通信端末30は、誘電体700において、長さLaが(2n・90)度の電気長となる位置に結合される。仮に、長さLaも、長さLbと同様に((2n+1)・90)度の電気長である場合、
図9に示すように第2領域700bが第2入出力端子13bと結合すると、第1領域700aが端末線路として機能し、第2領域700bが伝送媒体として機能する。すなわち、この構成では、第1領域700aおよび第2領域700bのいずれも、端末線路として機能し得る。
【0046】
しかしながら、第2入出力端子13bを、誘電体700において、第1領域700aの長さLaが(2n・90)度の電気長となる位置に結合した場合、第1領域700aの第1結合電極35が結合された側の端部において、
図4に示した定在波は発生しない。そのため、
図9に示すように第2領域700bが第2入出力端子13bと結合しても、第1領域700aは端末線路として機能せず、仮想的なグランドが形成されないので、電界通信端末30と接続装置10との間で、通信が確立されない。
【0047】
このように、第1領域700aの長さLaが(2n・90)度の電気長となり、第2領域700bの長さLbが(2(n+1)・90)度の電気長となる位置に電界通信端末30を結合させた場合、誘電体700の第2領域700bは、端末線路として機能するが、誘電体700の第1領域700aは、端末線路として機能しない。そのため、電界通信端末30は、電子機器20により構成される第2入出力端子13bが、第1領域700aに結合した場合に通信が確立され、第2領域700bに結合した場合には通信が確立されない。
【0048】
このように、電界通信端末30を誘電体700の所定の位置に結合することにより、誘電体700において、第2入出力端子13bである電子機器20と結合した際に通信を確立可能な領域と通信を確立不可能な領域とを形成することができる。すなわち、このようにして、誘電体700において通信を確立可能な領域を制限することができる。そのため、電界通信端末30を、誘電体700において上記所定の位置に結合した場合、通信を確立可能な領域を制限できるので、意図しない通信が発生しにくくなり、意図しない情報の漏えいを防止しやすくなる。本実施形態における電界通信端末30によれば、この点において安全性が向上する。
【0049】
なお、電界通信端末30は、第1領域700aの長さLaが第1領域700aにおいて定在波が発生しない長さとなる位置に結合されればよい。そのため、電界通信端末30は、長さLaが(2n・90±45)度の範囲の電気長となる位置に結合されればよい。
【0050】
図10は、電界通信端末30を誘電体である人体720に結合して構成した電界通信システム1の一例を示す図である。
図10に示すように、電界通信端末30は、例えば人体720の手首等に装着されることによって、第1結合電極35および第2結合電極36と人体720とが結合される。このとき、第1結合電極35および第2結合電極36は、腕の胴体側から末端側に沿って並ぶように、人体720に結合される。電界通信端末30を人体720に結合する場合、電界通信端末30は、例えばリストバンドまたはアームバンド等、手首または腕等に装着可能な態様で形成されてもよい。
【0051】
電界通信端末30を人体720に結合させると、電界通信端末30は、末端側に結合した第1結合電極35から末端(例えば指先)までが
図7に示した第1領域700a、胴体側の第2結合電極36から腕、胴体および足の全体が
図7に示した第2領域700bとなるよう、所定の周波数の電界信号を使用する。当該所定の周波数は、例えば13.56MHzとすることができる。電界信号の周波数が13.56MHzである場合、胴体側の第2結合電極36を、手首付近で人体720に結合させると、成人の一般的な身長(例えば170cm)の人体720において、第2領域の長さが約90度の電気長となり、第1領域の長さが45度未満の電気長となる。以下、電界通信端末30が使用する信号の周波数は、13.56MHzであるとして説明する。また、末端側の第1結合電極35から末端(例えば指先)までを、人体720の末端側720aといい、胴体側の第2結合電極36から腕、胴体および足の全体を、人体720の胴体側720bという。
【0052】
電界通信端末30を装着した人体720が、例えば指先で電子機器20に触れると、人体720の胴体側720bにおいて、定在波が発生し、仮想的なグランドが形成される。すなわち、胴体側720bが端末線路として機能する。また、末端側720aは、伝送媒体として機能する。これにより、伝送媒体として機能する人体720を介して、接続装置10と、電界通信端末30との間で電界通信が実現される。
【0053】
本実施形態においては、電界通信端末30を装着した人体720の胴体側720bが第2入出力端子13bと結合しても、末端側720aは、端末線路として機能しないので、通信が確立されない。すなわち、本実施形態に係る電界通信システム1によれば、電界通信を実現可能な一方で、意図しない通信が発生しにくくなるため、意図しない情報の漏えいを防止しやすくなり、安全性が向上する。
【0054】
次に、
図11を参照して、接続装置10が接続された電子機器20が電界アンテナとして機能する動作の一例について説明する。ここでは、電界アンテナとして機能する電子機器20が高周波信号を送信する場合の例について説明する。
【0055】
接続装置10の送受信機13は、電子機器20にインストールされたドライバまたはアプリケーションにより制御される。接続装置10が接続された電子機器20が、電界通信により、例えば高周波信号を送信する場合、電子機器20の制御部から、高周波信号を送信するための制御信号が送受信機13に送信される(
図11の矢印A1)。制御信号は、ケーブル15の信号線を通して、送受信機13に送信される。
【0056】
送受信機13は、電子機器20から受信した制御信号に基づき、電界通信により送信する高周波信号に関する出力信号を電界通信用信号線17から送信する。電界通信用信号線17から送信された出力信号は、ケーブル15のグランドまたはシールド線を介して、電子機器20の筐体に伝達される(
図11の矢印A2)。
【0057】
このようにして、電子機器20の筐体(グランド)に出力信号が送信され、出力信号が電子機器20の筐体(グランド)からその近傍に電界となって放射されることにより、電子機器20が電界アンテナとして機能する。
【0058】
電子機器20は、高周波信号を受信する場合、上記送信する場合と反対の要領で、高周波信号を受信できる。すなわち、伝送媒体を介して、電界アンテナとして機能する電子機器20が高周波信号を受信すると、高周波信号は、ケーブル15のグランドまたはシールド線を介して、電界通信用信号線17から送受信機13に伝達される。送受信機13は、受信した高周波信号に基づく受信信号を、ケーブル15の信号線を介して電子機器20に送信する。電子機器20は、受信信号に基づいて、所定の処理を実行することができる。
【0059】
例えば、
図3に示すように、電界通信端末30を装着したユーザが、接続装置10が接続された電子機器20に手で触れると、
図4から
図10を参照して説明した原理により、電界通信が実現される。このようにして、例えば、電子機器20は、電界通信端末30の記憶部33に記憶された情報を取得することができる。例えば、電界通信端末30の記憶部33にIDが記憶されている場合、電子機器20は、電界通信によりIDに関する情報を取得することができる。例えば、電子機器20の制御部がIDに基づいてPCのログイン処理を実行する場合、電界通信端末30を装着したユーザが電子機器20に触れることにより、電子機器20の制御部は、電界通信端末30の記憶部33に記憶されたIDを読み取ることにより、ログイン権限を有する正当なIDであると判定すれば、ログイン処理を実行することができる。すなわち、ユーザは、例えばパスワード等を入力することなく、電子機器20に触れることにより、ログイン処理を実行させることができる。
【0060】
以上説明したように、接続装置10によれば、接続装置10を電子機器20に接続することにより、電子機器20に電界通信機能を付加することができる。そのため、接続装置10によれば、電界通信機能を有さない既存の電子機器に対して、簡便に電界通信機能を付加可能である。
【0061】
また、接続装置10は、電子機器20に挿脱可能に構成されているため、例えば、電子機器20に電界通信機能を付与しないことを希望する場合には、接続装置10を電子機器20から取り外せばよい。このように、接続装置10によれば、電子機器20に電界通信機能を付与したり、電界通信機能を付与しなかったりできる。
【0062】
なお、上記実施形態では、電子機器20がPCであるとして説明したが、電子機器20は、必ずしもPCに限られず、他の任意の電子機器であってよい。例えば、電子機器20は、複写機、プリンター、イメージスキャナ、ファクシミリ等であってもよく、これらの機能が1台の電子機器として実現された、いわゆる複合機等であってもよい。
【0063】
また、接続装置10おいて、ケーブル15の長さを短くし、ケーブル内の信号線を基板上に構成して、接続装置10の基板が直接、接続端子16につながっていてもよい。
【0064】
以上、実施形態を参照しながら、本発明について詳説した。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、当業者であれば、該実施形態の修正や代用を成し得る。すなわち、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0065】
また、本明細書の記載は、本明細書に記載される発明の全てを意味するものではない。換言すれば、本明細書の記載は、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加されたりする発明の存在を否定するものではない。
【0066】
本明細書においては、例示という形態で本発明を開示したのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。
【解決手段】接続装置10は、電子機器20に接続可能な接続端子16と、接続端子16に接続されたケーブル15と、ケーブル15に接続され、高周波信号または高周波電力の送受信を制御する送受信機13と、送受信機13に接続された、ほぼ90度の電気長の端末線路14と、送受信機13からケーブル15のグランドに接続された、電界通信用信号線17と、を備える。